(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原料供給手段を有し、当該原料供給手段は少なくとも外側原料と内側原料を同軸的かつ断続的に下方に吐出するものであり、下方に別途設置した型等に外側原料と内側原料を載置して内側原料の略全周囲が外側原料で覆われた菓子を製造する菓子製造装置において、
前記原料供給手段は、混合ノズルと二以上の独立した原料供給源を備え、
前記混合ノズルは、内側開口と当該内側開口を取り囲む外側開口を有しており、
内側原料が一の原料供給源から混合ノズルの内側開口を介して下方に吐出され、外側原料が他の一の原料供給源から混合ノズルの外側開口を介して下方に吐出され、
一の原料供給源から混合ノズルの内側開口に至る通路の途中に、内側原料の溜まり場となる空間を備え、前記空間内の内側原料を加圧して混合ノズルの内側開口から内側原料を押し出す加圧手段を有し、
前記空間は、内側原料が加圧手段で加圧されると、内側原料に含まれる空気が抜ける程度に内側原料が滞留する大きさを有し、
吐出前の内側原料を加熱する加熱手段を設け、
前記加熱手段は内側原料の粘度が60cP以下となるように内側原料を加熱するものであり、
前記内側開口のノズル径がφ0.9〜φ1.1であることを特徴とする菓子製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の装置で製造されたマシュマロは、平均4〜5cm程度の卵形状を呈しており、大人であっても頬張るには大きすぎる。すなわち、予め割ってから口に入れるか、または囓らなければ当該マシュマロを食することはできない。そのため、せっかく内側原料を外側原料で包み込む構造のマシュマロを製造しても、外側原料の食感及び風味と内側原料の食感及び風味が同時に口の中に拡がってしまう。
そこでマシュマロを一口サイズの大きさに製造することができれば、無理なく頬張ることができ、食し易い。
【0007】
マシュマロを一口サイズに製造する場合、従来は、原料を長尺状に延ばし、径方向に所定間隔おきに切断することによって短い円柱形状に形成していた。そしてこの手法をアレンジして、内側原料を長尺状に形成し、当該内側原料の周囲を外側原料で環状に包み、径方向に所定間隔おきに切断する。その結果、いずれの切断片のマシュマロも、中心側に内側原料が配置され、外周側に外側原料が配置された短尺の円柱形状を呈する。しかし、この形態のマシュマロは、内側原料が外側原料で包み込まれておらず、頬張った瞬間から外側原料と内側原料の食感及び風味が同時に口の中に拡がってしまう。
【0008】
そこで、本発明者らは、特許文献1の菓子製造装置における内側原料と外側原料を各々供給するノズルの径を小さくし、より小さいサイズの菓子を製造しようと試みた。
【0009】
より小さいサイズとは、例えば直径1〜2cm程度の球形状である。直径1〜2cmまで菓子を小型化するために、内側原料を吐出するノズル径を小さくしたり、内側原料の吐出圧を減らすと、内側材料が有する粘性のためにノズルから内側材料を安定して吐出することができない。そのため内側原料が全く吐出されず、マシュマロが外側原料だけで構成されて内部に内側原料を配置することができなかったり、想定以上の量の内側原料が単発的に吐出されて外側原料で内側原料を覆うことができなかったりした。すなわち、本発明者らは特許文献1に開示されている菓子製造装置を改良する必要性を感じた。
【0010】
本発明は、内側原料の周囲に外側原料が配置された菓子を、従来よりも小さく製造することができる菓子製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、原料供給手段を有し、当該原料供給手段は少なくとも外側原料と内側原料を同軸的かつ断続的に下方に吐出するものであり、下方に別途設置した型等に外側原料と内側原料を載置して内側原料の略全周囲が外側原料で覆われた菓子を製造する菓子製造装置において、前記原料供給手段は、混合ノズルと二以上の独立した原料供給源を備え、前記混合ノズルは、内側開口と当該内側開口を取り囲む外側開口を有しており、内側原料が一の原料供給源から混合ノズルの内側開口を介して下方に吐出され、外側原料が他の一の原料供給源から混合ノズルの外側開口を介して下方に吐出され、一の原料供給源から混合ノズルの内側開口に至る通路の途中に、内側原料の溜まり場となる空間を備え、前記空間内の内側原料を加圧して混合ノズルの内側開口から内側原料を押し出す加圧手段を有
し、前記空間は、内側原料が加圧手段で加圧されると、内側原料に含まれる空気が抜ける程度に内側原料が滞留する大きさを有し、吐出前の内側原料を加熱する加熱手段を設け、前記加熱手段は内側原料の粘度が60cP以下となるように内側原料を加熱するものであり、前記内側開口のノズル径がφ0.9〜φ1.1であることを特徴とする菓子製造装置である。
【0012】
請求項1の発明では、一の原料供給源から混合ノズルの内側開口に至る通路の途中に、内側原料の溜まり場となる空間を備えたので、内側原料は混合ノズルの内側開口に達する前に溜まり場となる空間に入る。そして、空間内の内側原料は加圧手段によって加圧され、自身に含まれる気泡等が抜けた状態で混合ノズルの内側開口から押し出される。そのため安定した量の内側原料が、混合ノズルの内側開口から吐出される。
すなわち、溜まり場となる空間に内側原料が充填される段階で、内側原料内の空気が抜け、その結果、混合ノズルの内側開口の口径を小さくしても、内側開口から内側原料を安定供給することができる。
ここで混合ノズルとは、大径の吐出口を有する大径ノズルの内側に、小径の吐出口を有する小径ノズルを同軸状に配置したノズルを意味する。そして、小径ノズルの吐出口が、混合ノズルの内側開口に該当し、大径ノズルの吐出口から小径ノズルの吐出口を除いた環状の開口が、混合ノズルの外側開口に該当する。
【0013】
本発明では、吐出前の内側原料を加熱する加熱手段を設けたので、内側原料の粘度を低下させることができる。その結果、混合ノズルの内側開口における内側原料の吐出を円滑化することができる。
【0014】
本発明では、内側原料が加熱手段で加熱されて、粘度が60cP以下に設定される。その結果、混合ノズルの内側開口の口径を1mm程度に設定することができる。すなわち、内側原料を加熱すると内側原料の粘度が下がるので内側原料の内部に含まれる空気が抜け易くなり、さらに混合ノズルの内側開口の口径を1mm程度に設定しても、内側原料の流動抵抗が小さいので、内側原料を円滑に吐出することができる。その結果、少量の内側原料の周囲を覆う外側原料の吐出量も少なくすることができ、従来よりもサイズの小さい菓子を製造することができるようになる。
【0015】
本発明では、内側開口(小径ノズル)のノズル径を0.9φ(mm)以上としたことにより、直径10〜15mm程度の菓子を形成することができる。よって、請求項5の発明の菓子製造装置で製造された菓子は子供でも楽に頬張ることができる。また、大人であれば、複数個の菓子を同時に頬張ることができる。その際、ある菓子の内側原料及び外側原料と、これとは別の菓子の内側原料及び外側原料とを相違させ、これらの菓子を同時に頬張ることにより、異なる風味及び食感の菓子を同時に楽しむことができるようになる。直径10〜15mm程度の菓子を製造するには、内側開口のノズル径(口径)を0.9〜1.1φ(mm)とするのが好ましく、特に1.0φとするのが好ましい。
【0016】
請求項2の発明は、混合ノズルから各原料を吐出する際に、先行して外側原料が吐出され、外側原料に遅れて内側原料が吐出され、各原料の吐出が進むと、各原料の吐出を同時に停止することを特徴とする請求項1に記載の菓子製造装置である。
【0017】
請求項2の発明では、混合ノズルからの各原料を吐出する際に、先行して外側原料が吐出され、外側原料に遅れて内側原料が吐出されるので、吐出先の型等に内側原料よりも先に外側原料が到達する。型等に達した外側原料は、そこで流動し堆積する。そして外側原料に遅れて吐出された内側原料は、型等に堆積した外側原料に達する。すなわち、内側原料は外側原料に阻まれて型等に達することはできない。
そして各原料の吐出が進むと、各原料の吐出を同時に停止するので、外側開口から吐出された外側原料の環状の最上部が、外側原料自身の粘性で閉じて内側原料の最上部を覆い、その結果内側原料の周囲が確実に外側原料によって被覆される。
【0018】
請求項
3の発明は、複数の混合ノズルを有し、前記各混合ノズルから下方に別途設置した型等に内側原料と外側原料が吐出されることを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載の菓子製造装置である。
【0019】
請求項
3の発明では、複数の混合ノズルから内側原料と外側原料が供給される。よって、複数の菓子が下方に別途設置した型等に同一のタイミングで製造される。すなわち、複数の菓子が並行して製造されるので、多数の菓子を短時間で製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の菓子製造装置は、一の原料供給源から混合ノズルの内側開口に至る通路の途中に、内側原料の溜まり場となる空間を備え、前記空間内の内側原料を加圧して混合ノズルの内側開口から内側原料を押し出す加圧手段を設けたので、溜まり場となる空間内における内側原料から空気を抜くことができる。その結果、混合ノズルの内側開口から従来よりも少量の安定した量の内側原料を吐出することができる。よって、内側原料が外側原料で覆われた菓子の小型化を図ることができる。すなわち、内部開口から少量の内側原料を吐出し、その周囲を外側原料で覆い、従来よりも小さい一口サイズの菓子を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の菓子製造装置の実施形態について説明する。
図1に示すように菓子製造装置1は、上から順に原料供給源(第1ホッパ21,第2ホッパ22)、加圧装置23,24、原料通路形成部材3,混合ノズル2、容器10(型)を有する。
【0023】
まず、菓子製造装置1の各構成を内側原料27の移動経路に沿って説明し、続いて外側原料28の移動経路に沿って説明する。
【0024】
内側原料27は、餡,クリーム,チョコレート等の常温で粘度の比較的高い材料であり、菓子19(
図10(g))の内部に配置される原料である。第1ホッパ21は内側原料27を貯留する。そして、第1ホッパ21は、貯留した内側原料27を、下方の第1加圧装置23へ連続的に供給可能である。また、第1ホッパ21には重量センサ(図示せず)が設けられており、第1ホッパ21内の内側原料27の貯留量が所定以上であるか否かが判定可能になっている。
【0025】
図2に示すように第1加圧装置23は、第1ブロック4,第1シリンダ6,第1ピストン8等で構成されている。第1ブロック4は、直方体形状又は立方体形状を呈するブロックであり、上下に貫通する上下方向貫通孔29と、水平方向に貫通する水平方向貫通孔30とを有する。上下方向貫通孔29と水平方向貫通孔30は、第1ブロック4内で交差し連通している。
【0026】
また、第1ブロック4の上面と下面には、上下方向貫通孔29によって開口29a,29bが形成されている。上下方向貫通孔29の上部の開口29aは、第1ホッパ21の下部開口21aと一致するか、又は若干大きい。そして上下方向貫通孔29は開口29aから内部(下部)へいくほど縮径し、水平方向貫通孔30と交差する部位が最も小径となっている。上下方向貫通孔29の開口29aには、第1ホッパ21の下部開口21aが液密を保ち接続される。
【0027】
第1ブロック4の側面には、水平方向貫通孔30によって開口30a,30bが形成されている。すなわち水平方向貫通孔30は、円柱状の空洞であり、内面30cを有する。
図1,
図2で見て第1ブロック4の左側面の開口30bは、封止部材41によって閉塞されている。封止部材41は短尺の円柱形状を呈しており、外周面にOリングを備えている。そして、Oリングが水平方向貫通孔30の内面30cに密着し、開口30bを液密を保ち閉塞する。
【0028】
水平方向貫通孔30には、右側の開口30aから第1シリンダ6が挿入される。第1シリンダ6は、筒状部6aと、歯車6bとを有する。筒状部6aの外径は、水平方向貫通孔30の内径よりも若干小さい。第1シリンダ6の内部には空洞部6cが形成されている。空洞部6cは、筒状部6aと歯車6bの内部を貫通する貫通孔である。
【0029】
また、筒状部6aには、空洞部6cと外部とを貫通する孔31a,31b(
図8)が設けられている。孔31aと孔31bは、筒状部6aの円周側面における中心角が90度離れた位置関係にある。すなわち、第1シリンダ6を90度回転させると、孔31aが回転前の孔31bの位置まで移動する。また、筒状部6a(外周面)には、孔31aと孔31bの近傍部分にOリング32が設けられている。
【0030】
また歯車6bは、
図1,
図2で見て筒状部6aの右端側に連続して設けられており、筒状部6aよりも大径である。すなわち、歯車6bは、水平方向貫通孔30よりも大径であり、筒状部6aは水平方向貫通孔30内に配置されるが、歯車6bは水平方向貫通孔30(第1ブロック4)の外部に配置される。
【0031】
歯車6bには、
図8に示すラック34aが係合する。ラック34aは、ラック駆動装置51(
図11)によって駆動されて往復移動が可能である。ラック34aが移動すると、歯車6b(第1シリンダ6)に動力が伝達され、歯車6b(第1シリンダ6)が回転(正転及び逆転)する。
【0032】
第1シリンダ6の空洞部6cには、第1ピストン8が挿通される。第1ピストン8の先端部分近傍にはOリング33が設けられている。
図1,
図2では、Oリング33が2つ設けられている例を示している。また、第1ピストン8の後端側には動力伝達部材35a(
図8)が接続されている。動力伝達部材35aは板状であり、動力伝達部材駆動装置52(
図11)によって往復駆動が可能であり、第1ピストン8を進退させることができる。
【0033】
一方、第2ホッパ22(原料供給源)にはゼラチンを主成分とする外側原料28が貯留される。そして、第2ホッパ22は、貯留した外側原料28を、下方の第2加圧装置24へ連続的に供給可能である。第2加圧装置24は、
図1,
図2で見て第1加圧装置23と左右対称の構成を有している。すなわち、第2加圧装置24は、第2ブロック5,封止部材42,第2シリンダ7,第2ピストン9を有しており、第2加圧装置24の構成は、第1加圧装置23の構成と同じであるので重複する説明を省略する。
【0034】
次に原料通路形成部材3について説明する。
図2に示すように原料通路形成部材3は、第1プレート11,第2プレート12,第3プレート13,第4プレート14,混合ノズル2によって構成されている。
【0035】
図5に示すように第1プレート11は、平面視すると四角形形状を呈しており、上面が平坦であり、下面側には一対の突条36a,36bが設けられている。突条36a,36bは、第1プレート11の下面の縁に所定の間隔を置いて平行に設けられている。
【0036】
また、第1プレート11には上下に貫通する貫通孔37,38が設けられている。貫通孔37は、第1プレート11の上面から下面に至るまで断面形状が同じ大きさの円形である。貫通孔37は、第1ブロック4の上下貫通孔29の開口29bと連通する。
【0037】
一方、貫通孔38は、第1プレート11の上面に設けた有底の長穴38aの底部に貫通孔38bを設けた構造を有する。すなわち、
図6に示すように第1プレート11を下方から見ると貫通孔38bのみが見えるが、
図5に示すように第1プレート11を上方から見ると長穴38aの底の部分と、貫通孔38bが見える。
図2に示すように、長穴38aは、第2ブロック5の上下貫通孔39の開口39b(第1ブロック4の上下貫通孔29の開口29bに対応する開口)と連通する。
【0038】
図6に示すように第2プレート12は、スリット43と貫通孔44とが設けられた薄板状の部材である。スリット43は、後述する内側原料27の溜まり場として機能する。
図4に示すように第2プレート12の幅寸法Wは、第1プレート11の対向する突条36a,36bの間の距離と略等しく、第2プレート12は第1プレート11の突条36aと36bの間にちょうど配置することができる。すなわち、第2プレート12は、突条36a,36bによって幅方向の移動が制限される。また、第2プレート12の長手方向の寸法Lは、第1プレート11の長手方向の寸法Lと等しい。
【0039】
図5に示すように第2プレート12のスリット43は、上部連通部43a,水平方向連通部43b,下部連通部43c,43dで構成されている。上部連通部43aは、第1プレート11の貫通孔37と同径の孔である。下部連通部43c,43dは、長孔形状を呈した部位である。下部連通部43cと43dは平行であり、同じ幅で同じ長さであるが、長手方向に位置をずらして、貫通孔44を挟んで配置されている。そして水平方向連通部43bは、上部連通部43aと下部連通部43c,43dとを連通させるスリットである。
【0040】
第2プレート12を第1プレート11の突条36a,36bの間に配置して重ねると、第2プレート12のスリット43の上部連通部43aが第1プレート11の貫通孔37と同芯状に重なり、第2プレート12の貫通孔44が、第1プレート11の貫通孔38bと同芯状に重なる。また、スリット43の水平方向連通部43bと下部連通部43c,43dの上部は、第1プレート11の下面11a(
図6)で閉塞される。
【0041】
第3プレート13は、第2プレート12と同じ幅寸法Wと長さ寸法Lとを有する薄板状の部材である。第3プレート13の下面13bには、窪み部45が設けられている。窪み部45では、第3プレート13の肉厚が他の部位よりも部分的に薄くなっている。窪み部45の中央には孔46が設けられている。孔46の周囲4箇所には小孔47が設けられている。孔46は第2プレート12の貫通孔44と同径である。
【0042】
小孔47は、孔46よりも小径のねじ孔である。各小孔47には、小径ノズル15が螺合して固定される。小径ノズル15については後述する。
第2プレート12に第3プレート13を重ねると、第2プレート12の貫通孔44と第3プレート13の孔46とが同芯状に連通する。また、第2プレート12の下部連通部43c,43dと、第3プレート13の各小孔47が連通する。すなわち、第2プレート12の長孔形状の下部連通部43c,43dの両端部分に第3プレート13の各小孔47が連通する。
【0043】
第3プレート13の上面13aは、第2プレート12における上部連通部43aの下部と、水平方向連通部43bの下部と、下部連通部43c,43dにおける小孔47と連通する部分以外の部位の下部を閉塞する。
【0044】
最後に、第4プレート14は、貫通したねじ孔48を有する薄板状の部材である。ねじ孔48は、第3プレート13の各小孔47に固定した小径ノズル15を余裕をもって挿通可能な径を有する。ねじ孔48は、第3プレート13の小孔47の数だけ設けられており、第3プレート13に第4プレート14を重ねると、各ねじ孔48は各小孔47と同芯状に配置される。そして、各ねじ孔48には大径ノズル16が螺合により固定される。
【0045】
第3プレート13の各小孔47に小径ノズル15を固定し、第4プレート14の各ねじ孔48に大径ノズル16を固定し、第3プレート13と第4プレート14とを重ねると、
図4に示すように大径ノズル16内に小径ノズル15が同芯状に配置され、混合ノズル2が構成される。
すなわち、一つの窪み部45(第3プレート13)に対して4つの混合ノズル2が配置される。
【0046】
第1プレート11〜第4プレート14を順次重ねると、
図3及び
図4に示す状態となる。第2プレート12〜第4プレート14は、いずれも第1プレート11の対向する突条36a,36bの間に配置される。各プレートは図示しない固定手段(ボルトナット等)で固定される。第2プレート12と第3プレート13の幅寸法Wは、突条36a,36bの間にちょうど収まる大きさである。よって第2プレート12と第3プレート13の幅方向の移動は、突条36a,36bによって制限され、第1プレート11〜第3プレート13の各孔等の位置合わせが容易に成される。そして、大径ノズル16の内部に小径ノズル15を配置することによって、第3プレート13に対する第4プレート14の位置合わせが容易に成される。
【0047】
また、原料通路形成部材3の軽量化を図るため、第4プレート14の幅寸法は、第2プレート12,第3プレート13の幅寸法Wよりも短く設定されている。また、第1プレート11〜第4プレート14の長手方向の寸法は、寸法Lで一致している。第1ブロック4,第2ブロック5,第1プレート11〜第4プレート14は、軽量の材料(例えば耐食アルミ材)で形成するのが好ましい。
【0048】
第1プレート11〜第4プレート14が図示しないボルトナットで一体固着されると、原料通路形成部材3が構成される。原料通路形成部材3の内部には、
図7に仮想的に示す原料通路49が形成される。
図7では、原料通路形成部材3内に形成された原料通路49を仮想的に描写している。すなわち、原料通路形成部材3における貫通孔37,スリット43の上部連通部43a,水平方向連通部43b,下部連通部43c,小孔47を経て小径ノズル15に至る経路が内側原料27の通路となり、原料通路形成部材3における長穴38a,貫通孔38b,貫通孔44,孔46,窪み部45を経て大径ノズル16に至る経路が外側原料28の通路となる。
【0049】
図3〜
図8に示すように本実施の形態では、原料通路形成部材3によって2組の原料通路49が形成されている。その結果、
図4に示すように原料通路形成部材3は、8つの混合ノズル2を備えている。
【0050】
本実施の形態では、1つの原料通路49に対して4つの混合ノズル2を設けているが、これによらず、例えば1つの原料通路49に対して1〜3つ又は5以上の混合ノズルを設けてもよい。
【0051】
また、本実施の形態では原料通路49の数を2つとしたが、これによらず、例えば1つ又は3以上の任意の数に設定することもできる。原料通路49の数に対応する数の第1シリンダ6,第2シリンダ7,第1ピストン8,第2ピストン9が必要であるが、全ての第1シリンダ6が共通のラック34a(
図8)で同期して駆動され、全ての第2シリンダ7が共通のラック34b(
図8)で同期して駆動され、全ての第1ピストン8が共通の動力伝達部材35a(
図8)で同期して駆動され、全ての第2ピストン9が共通の動力伝達部材35b(
図8)で同期して駆動される。
【0052】
以上説明した各構成に加え、菓子製造装置1は混合ノズル2の下方にプレート17(台)が配置されている。プレート17の上にはコーンスターチ粉が敷き詰められてコーンスターチ層18が形成されている。コーンスターチ層18には窪み18a,18bが形成されている。プレート17とコーンスターチ層18(窪み18a,18b)によって容器10が構成されている。すなわち、コーンスターチ層18には多数の窪みの型が形成されており、各図にはそのうちの窪み18a,18bの2つのみを描写している。容器10(コーンスターチ層18に形成された窪みの型)は、容器搬送コンベア53(
図11)によって搬送され、容器10の多数の窪み18a,18bを順次混合ノズル2と対向させることができる。
また、容器搬送コンベア53は、容器10を混合ノズル2に近い接近位置(後述)と、混合ノズル2から離れた離間位置(後述)の間を往復移動させることができる。
【0053】
菓子製造装置1には、第1ホッパ21内の内側原料27を加熱する加熱装置54(
図11)と、第1ホッパ21内の内側原料27の温度を検出する温度センサ55(
図11)が設けられている。
【0054】
さらに、ラック34a,34bを往復駆動するラック駆動装置51(
図11)と、動力伝達部材35a,35bを往復駆動する動力伝達部材駆動装置52(
図11)と、容器10を搬送する容器搬送コンベア53(
図11)の動作が、制御装置50(
図11)によって制御される。
【0055】
次に菓子製造装置1の動作について説明する。
図12に示すように、ステップ1において各種の準備が完了しているか否かが制御装置50によって判定される。ステップ1では、以下の第1〜第5の準備が完了したか否かが判定される。
【0056】
第1に、第1ホッパ21に所定量以上の内側原料27が充填されており、その内側原料27の温度が所定温度以上であるか否かが判定される。仮に、内側原料27の温度が所定温度以下であると判定された場合には、制御装置50は加熱装置54を作動させ、第1ホッパ21内の内側原料27を加熱する。その結果、第1ホッパ21内の内側原料27の粘度が低下し、内側原料27は流動し易くなる。また、内側原料27内に含まれた空気(気泡)が抜け易くなる。
【0057】
第2に、第2ホッパ22に所定量以上の外側原料28が充填されているか否かが制御装置50によって判定される。
【0058】
第3に、第1シリンダ6の孔31aが、第1ブロック4の開口29a側の上下貫通孔29と連通しているか否かが判定される。すなわち、第1シリンダ6の孔31a(
図8)が、第1ブロック4の開口29a側の上下貫通孔29と連通しているか否かは、ラック34a(
図8)の進退位置によって容易に判定可能である。第2シリンダ7の孔25aが、第2ブロック5の開口39a側(上側)の上下貫通孔39と連通しているか否かについても同様に判定される。
【0059】
仮に第1シリンダ6の孔31aが、第1ブロック4の上下方向貫通孔29と連通していなければ、制御装置50はラック駆動装置51を駆動してラック34aを移動させ、第1シリンダ6を回転させて両者を連通させる。第2シリンダ7の孔25aと第2ブロック5の上下方向貫通孔39についても同様である。
【0060】
第1シリンダ6の孔31a(
図8)が、第1ブロック4の開口29a側の上下貫通孔29と連通するときには、第1シリンダ6の孔31bは第1ブロック4の内面30cによって閉塞される。また、第1シリンダ6の孔31bが、第1ブロック4の開口29b側の上下貫通孔29と連通するときには、第1シリンダ6の孔31aは第1ブロック4の内面30cによって閉塞される。
【0061】
第4に、容器10において、プレート17(台)上のコーンスターチ層18に窪み18a,18bが形成されており、当該容器10が接近位置に配置されているか否かが判定される。仮に容器10が接近位置に配置されていなければ、制御装置50(
図11)は容器搬送コンベア53を駆動し、容器10を接近位置まで移動させる。ここで接近位置とは、
図10(a)〜
図10(c)に示すような、容器10が混合ノズル2に接近した位置であり、混合ノズル2から窪み18a,18b内に内側原料27と外側原料28を供給する際の位置である。
【0062】
第5に、第1ピストン8が第1シリンダ6内に深く挿入されており、同様に第2ピストン9が第2シリンダ7内に深く挿入されているか否かが判定される。第1ピストン8及び第2ピストン9の位置(挿入量)は、動力伝達部材35a,35bの位置によって容易に判定可能である。
【0063】
仮に、第1ピストン8が第1シリンダ6内に深く挿入されていなければ、制御装置50は、動力伝達部材駆動装置52を駆動し、動力伝達部材35aを移動させ、第1ピストン8を第1シリンダ6内の所定の挿入位置へ移動させる。第2ピストン9についても同様である。
【0064】
ステップ1において全ての準備が完了していると判定されると、ステップ2へ進む。ステップ2では、第1シリンダ6内に内側原料27が充填され、第2シリンダ7内に外側原料28が充填される。すなわち、動力伝達部材駆動装置52によって動力伝達部材35aが駆動され、
図9(a)に示すように、第1ピストン8が第1シリンダ6(空洞部6c)内から引き抜かれる方向へ移動する。その結果、第1シリンダ6の空洞部6cに負圧が発生する。よって内側原料27は、自身の重量と、空洞部6c内に生じた負圧によって第1シリンダ6の空洞部6cに円滑に充填される。第2シリンダ7の空洞部7c内へも同様に外側原料28が充填される。
動力伝達部材駆動装置52は、動力伝達部材35a,35b(第1ピストン8,第2ピストン9)を所定距離だけ移動させて停止させる。そしてステップ3へ移行する。
【0065】
ステップ3では、第1シリンダ6内の内側原料27と第2シリンダ7内の外側原料28を原料通路49へ移動させる。すなわち、制御装置50はラック駆動装置51(
図11)を駆動し、ラック34a,34bを所定距離だけ移動させる。その結果、第1シリンダ6及び第2シリンダ7が90度回転して停止する。このとき、第1シリンダ6の筒状部6aの孔31aは第1ブロック4の内面30cで閉塞され、
図9(b)に示すように、代わりに筒状部6aの孔31bが第1ブロック4の開口29b側(下側)の上下貫通孔29と連通する。
【0066】
さらに制御装置50は、動力伝達部材駆動装置52(
図11)によって動力伝達部材35a(
図8)を駆動し、第1ピストン8で内側原料27を加圧し、内側原料27を第1シリンダ6の空洞部6c内から孔31b(第1シリンダ6)と上下方向貫通孔29(開口29b側)を介して原料通路49内へ押し出す。その結果、内側原料27は原料通路形成部材3の原料通路49内へ移動する。すなわち内側原料27は、第1プレート11の貫通孔37,第2プレート12のスリット43,第3プレート13の4つの小孔47,及び混合ノズル2の内側開口15a(小径ノズル15)に充填される。ここで、スリット43の水平方向連通部43bは通路断面積が比較的大きく、内側原料27はこの水平方向連通部43bにも充填される。その際に内側原料27に含まれる空気成分(気泡)が抜け、内側原料27は押し出され易くなる。スリット43の水平方向連通部43bは通路断面積が比較的大きいことにより、水平方向連通部43b内では内側原料27の流動抵抗が小さくなる。外側原料28も同様に原料通路49内へ移動する。
【0067】
すなわち外側原料28は、第2加圧装置24から第1プレート11の長穴38a,貫通孔38b,第2プレート12の貫通孔44,第3プレート13の孔46を経て外側開口16a(大径ノズル16)に充填される。
【0068】
そして、ステップ4では、
図9(c)に示すように、内側原料27及び外側原料28が混合ノズル2から吐出され、容器10(窪み18a,18b)に供給される。内側原料27及び外側原料28が容器10へ供給される過程を、
図10を参照しながら説明する。
【0069】
原料通路49に各原料27,28が充填されている状態で、制御装置50は、動力伝達部材駆動装置52を駆動し、動力伝達部材35a,35bを介して第1ピストン8,第2ピストン9を各々第1シリンダ6,第2シリンダ7内に押し込む。その際に、第1ピストン8による内側原料27の加圧及び押出しの開始時期を、第2ピストン9による外側原料28の加圧及び押出しの開始時期よりも若干遅らせ、
図10(a)に示すように混合ノズル2(外側開口16a)から外側原料28を先に吐出する。ここで外側開口16aとは、大径ノズル16の開口のうちの、小径ノズル15の開口(内側開口15a)を除く環状の開口である。
【0070】
第2ピストン9が第2シリンダ7の空洞部7c内に押し込まれると、空洞部7c内の外側原料28が、第2シリンダ7の筒状部7aの孔25b,第2ブロック5の上下方向貫通孔39(開口39b),第1プレート11の長穴38a,貫通孔38b,第2プレート12の貫通孔44,第3プレート13の孔46を経て混合ノズル2(外側開口16a)から吐出される。そして外側開口16aから吐出された外側原料28は、容器10の窪み18a(18b)に供給される。
図10(b)に示すように、やがて窪み18aの外側原料28は、窪み18aの表面を覆う。
【0071】
続いて混合ノズル2の内側開口15aから内側原料27を吐出する。すなわち
図10(b),
図10(c)に示すように、内側原料27が外側原料28の上から吐出される。内側原料27は、外側原料28に囲まれた内部空間20(
図10(b))に供給される。外側原料28を吐出してから内側原料27を吐出するまでの遅延時間は、予め行った実験結果を参考に設定する。すなわち、
図10(b)に示す内部空間20が適正に形成されて、内側原料27を内部空間に配置することができるように遅延時間を設定する。
【0072】
予め設定した所定量だけ吐出すると、制御装置50は内側原料27と外側原料28の吐出を同時に停止する。すなわち、動力伝達部材駆動装置52による動力伝達部材35a,35b(第1ピストン8,第2ピストン9)の移動を停止させる。このときには、各原料は、自身の粘性によって混合ノズル2から容器10まで繋がっている。
【0073】
次にステップ5へ移行し、容器10を、
図10(c)に示す接近位置から
図10(e)に示す離間位置まで移動させる。その際、各原料27,28は、自身の粘性によって容器10と混合ノズル2の間で引き延ばされるが、たとえ各原料27,28の粘度が同程度であっても、内側原料27の方が外側原料28よりも細いために、
図10(d)に示す離間位置に至る途中の位置で内側原料27が先に上下に分断される。
【0074】
そして容器10が
図10(e)に示す離間位置まで降下すると、外側原料28も上下に分断される。外側原料28は、内側原料27よりも長く混合ノズル2側と繋がっていたので、容器10上に供給された外側原料28の上端は、内側原料27の上端よりも高い位置に存在している。
【0075】
ここで原料の粘度が低い場合には、原料の供給を停止させるだけで原料は自重で分断される。よってこの場合には、容器10をこのタイミングで離間位置まで離間させる(下降させる)必要はない。また、第1加圧装置23内,第2加圧装置24内に負圧が生じるため、混合ノズル2から原料は垂れ落ちない。
【0076】
混合ノズル2側と縁が切れた外側原料28の上端(最上部)は、
図10(f)に示すように内側原料27の上端(最上部)を覆い、やがて
図10(g)に示すように内側原料27の上端を完全に包み込む。その結果、内側原料27の周囲は、外側原料28によって完全に被覆され、菓子19が完成する(ステップ6)。
【0077】
そして、ステップ7で菓子の製造を継続するか否かが判定される。菓子の製造を終了する場合には、ステップ8へ移行して菓子の製造を終了する。菓子の製造を続行する場合には、ステップ7からステップ1へ戻る。そして、ステップ1において容器搬送コンベア53(
図11)によって容器10が搬送され、各原料27,28が充填されていない別の窪みが混合ノズル2の下方に配置され、さらに容器10は容器搬送コンベア53がリフトして離間位置から接近位置まで移動する。その後の動作は、上述の動作の繰り返しである。すなわち、ステップ1からステップ7までの動作が1サイクルである。一旦、製造を開始すると、通常はステップ1からステップ7までを連続的に繰り返し、大量に菓子を製造することができる。
【0078】
ここで、
図10(d)において内側原料27が分断されず、
図10(e)において外側原料28と同時に、又は外側原料28よりも後に分断された場合には、完成した菓子19aは、
図10(h)のようになる。
図10(h)に示す菓子19aは、内側原料27の一部が露出部27aとなって、露出部27aが外側原料28の外側に筋状に付着している。菓子19aがこのような形態に製造されても、内側原料27の露出部27aの露出量が少ないので、内側原料27の食感及び風味が、外側原料28の食感及び風味に影響を及ぼすことはほとんどない。
【0079】
次に、本実施の形態における1組4つの混合ノズル2による菓子19の製造精度について、従来の菓子製造装置と比較した実験結果を示す。
表1は、従来の菓子製造装置(特許文献1に開示した菓子製造装置)でマシュマロを製造した際における外側原料(生地)の重さ(グラム)と、内側原料(餡)の重さ(グラム)を、製造したマシュマロ毎に計量して示したものである。
【0080】
内側原料27の溜まり場となる空間が存在しない特許文献1の菓子製造装置における、混合ノズルの小径ノズルのノズル径(内側開口の口径)は2mm(φ2)であり、大径ノズルの径(外側開口の外径)は10mm(φ10)である。また、内側原料27(餡)の粘度は60cPとした。
【0081】
ちなみに、この特許文献1の菓子製造装置は、小径ノズルのノズル径が2mmで、この小径ノズルから吐出される内側原料(餡)の粘度が60cPである場合に、内側原料(餡)の目標吐出量を3グラム以上に設定すると、吐出量は安定する。ただし、この場合には菓子(マシュマロ)を一口サイズに製造することができないので、ここでは目標吐出量を0.8グラムに設定して実験を試みた。
【表1】
【0082】
表1に示すように、従来の菓子製造装置でマシュマロを10回製造したところ、生地の平均重さは4.7グラムであり、毎回ともほぼ安定した量が吐出できた。一方、生地の平均重さ4.7グラムに対する餡の適正な量は0.8グラム程度である。表1に示すように、餡の吐出量の平均値は0.8グラム程度となったが、各回ごとにばらつきが大きく、安定した吐出量は得られなかった。
【0083】
このような結果になるのは、内側原料自身に気泡等の空気成分が含まれており、内側原料の通路断面積が小さいと、内側原料を加圧して内側開口から吐出しようとしても、空気成分が圧縮されて吐出圧が不安定になるからではないかと考えられる。
【0084】
一方、表2は、本発明による菓子製造装置でマシュマロ(菓子)を製造した場合における4つの各ノズル毎に吐出された外側原料(生地)の重さ(グラム)と、内側原料27(餡)の重さ(グラム)を、製造したマシュマロ毎に計量して示したものである。小径ノズルのノズル径(内側開口15aの口径)を1mm(φ1)とし、大径ノズル16の径(外側開口16aの外径)を10mm(φ10)とした。また、内側原料27(餡)の粘度は60cPとした。
【表2】
【0085】
表2に示すように、マシュマロを10回(10サイクル)製造すると、各ノズル毎の外側原料28(生地)の平均重さは4.49〜4.67(グラム)であり、内側原料27(餡)の平均重さは、0.8(グラム)であった。各ノズルで製造されたマシュマロは、外側原料28(生地)も内側原料27(餡)も、重量のばらつきが小さいことがわかる。
【0086】
また、各ノズルから吐出される各サイクル毎の内側原料27の重量は、0.7〜0.9(グラム)の範囲に収まっている。すなわち、内側原料27の吐出量は、いずれのノズルでも安定しており、さらに各ノズル間の吐出量の差も小さい。これは、通路断面積の比較的大きい水平方向連通部43b(第2プレート12)が内側原料27の溜まり場となり、内側原料27は水平方向連通部43bに存在している間に、自身に含まれる空気成分(気泡等)が加圧されることによって抜け、また、流動抵抗が小さい水平方向連通部43bを通過した内側原料27が、均等に各混合ノズル2の内側開口15aに導かれるためであると考えられる。
【0087】
表2のノズルNo.は任意に設定しており、
図4に示す4つのノズル(混合ノズル2)のいずれが何番ノズルであるかを議論する必要性が感じられないくらい原料の吐出量は安定している。特に、どの小径ノズル15からも、ほぼ同量の内側原料27が吐出されている。よって菓子製造装置1は、品質がほぼ均一の菓子19を多数製造することができる。
【0088】
表2に示す本発明による菓子製造装置1で製造された菓子19は、直径が20mm程度の球形状を呈している。よって、本発明の菓子製造装置1は、従来の装置よりも小さな一口サイズの菓子19を製造することができる。
【0089】
なお、内側原料27が加熱装置54(
図11)で加熱されて高温(例えば60℃〜80℃)であるので、製造直後の菓子19は高温で比較的柔らかい。しかし、菓子19は容器10上で自然冷却されてやがて常温となり、硬化する。そのため、型崩れしにくくなる。
【0090】
4.5グラム程度の外側原料28(生地)に対して、内側原料27(餡)を0.7〜0.9グラム程度とすると、直径2cm以下の一口サイズの菓子(マシュマロ)を製造することができる。そして表2では、内側原料27(餡)の粘度を60cPとした場合には、小径ノズル15のノズル径を1mm(φ1)まで小さく設定しても0.7〜0.9グラムの内側原料27(餡)を吐出することができることが示されている。
【0091】
すなわち内側原料27(餡)の粘度を、特許文献1の菓子製造装置と本発明の菓子製造装置1とで同じ60cPとし、小径ノズルのノズル径を、特許文献1の菓子製造装置では2mm(φ2)とし、本発明の菓子製造装置1では1mm(φ1)とした。そしてその結果、特許文献1の菓子製造装置では0.7〜0.9グラムの内側原料27(餡)を安定して吐出することができたのに対して、特許文献1の菓子製造装置では、小径ノズルのノズル径を本発明の菓子製造装置1よりも有利な2mm(φ2)としたにも関わらず、内側原料の吐出量は安定しなかった。
【0092】
よって、本発明の菓子製造装置1において、0.7〜0.9グラムという少量の内側原料27を安定して吐出するのに、原料供給源(第1ホッパ21)から小径ノズル15に至る経路の途中に、内側原料27の溜まり場となる空間(第2プレート12の水平方向連通部43b)を設けることが、非常に有効であるのがわかる。
【0093】
ところで、本発明の菓子製造装置1において、小径ノズル15のノズル径を2mm(φ2)にすると、内側原料27(餡)の粘度が60cPより高くても内側原料27(餡)を良好に吐出できる。すなわち本発明者の実験では、内側原料27の溜まり場となる空間(第2プレート12の水平方向連通部43b)を設けた菓子製造装置1において、内側原料27(餡)の粘度を90cP程度とした場合には、小径ノズル15のノズル径が2mm(φ2)であっても、0.8グラム程度の内側原料27(餡)を安定して吐出できることが確認できた。よって、内側原料27(餡)の加熱温度をあまり高く設定できない場合には、小径ノズル15のノズル径を2mm(φ2)にすることにより、0.8グラム程度の内側原料27(餡)を良好に吐出することができる。
【0094】
図13に原料A,Bで示すように、内側原料27として採用される餡,クリーム,チョコレート等の常温で粘度の比較的高い材料であっても、高温になるにつれて粘度が低下する。
図13に一例として示す原料A,Bは、高温になるにつれて各々粘度が低下している。そして原料Bは38℃程度、原料Aは24℃程度で粘度が90cpとなり、小径ノズル15のノズル径を2mmとすると、菓子の製造時期が日本の夏場であれば、敢えて原料A,Bを加熱する必要がない。また、原料Bであっても、50℃程度まで加熱すると、粘度を60cPとすることができ、小径ノズル15のノズル径を1mm(φ1)として、一口サイズの菓子を良好に製造することができる。
【0095】
本発明では、原料供給源(第1ホッパ21)から混合ノズル2の内側開口15aに至る通路の途中に、内側原料2の溜まり場となる空間(水平方向連通部43b)を備え、当該空間(水平方向連通部43b)内の内側原料27を第1加圧装置23で加圧し、内側原料27内に含まれる空気(気泡)を抜くことにより、第1加圧装置23によって付与された圧力が内側原料27に良好に伝達され、0.7〜0.9グラムの少量の内側原料27を小径ノズル15(内側開口15a)から安定して吐出することができる。