(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水平部材と前記鉛直部材の一方または双方は、少なくとも前記柱状部材への取付部分側を構成するフレーム部材と、該フレーム部材に連結させて当該部材の平面部分を構成する平面部材とを組み立てる組立構造であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の直立補助装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の一態様としては、柱状部材の下部に取り付けて土中に埋設することにより該柱状部材の立てた状態の維持を補助する直立補助装置であって、前記土中で水平となるように前記柱状部材に取り付けられて該柱状部材から離隔する方向に延在する平面を形成する板状の水平部材と、前記土中で鉛直となるように前記柱状部材に取り付けられて該柱状部材から離隔する方向に延在する平面を形成する板状の鉛直部材と、を備えており、前記鉛直部材は少なくとも2枚以上を前記柱状部材に取付可能に備えるのに加えて、次の構成を備えてもよい。
【0012】
第1の他の態様としては、前記鉛直部材は、前記平面の延長面が互いに交差するように前記柱状部材に取り付けられてもよい。
【0013】
この態様では、柱状部材と平行に取り付けられている複数枚の鉛直部材は、延長面が交差して、その柱状部材がいずれの方向に傾斜する場合でもその方向に対面する平面となってその傾斜を制限することができ、その柱状部材の直立状態を維持するように補助することができる。
【0014】
第2の他の態様としては、前記水平部材は、前記鉛直部材の枚数に対応するように分割されており、当該水平部材および当該鉛直部材は、前記柱状部材の設置条件に応じた枚数を準備して該柱状部材に取り付けられてもよい。
【0015】
この態様では、柱状部材の設置条件に応じて水平部材と鉛直部材の使用枚数を調整することができる。例えば、道路の隣接地に水平部材の幅よりも接近する位置に設置する場合には、該当箇所の水平部材や鉛直部材を省いて電柱などの柱状部材を設置することができる。
【0016】
第3の他の態様としては、前記水平部材と前記鉛直部材の一方または双方は、少なくとも前記柱状部材への取付部分側を構成するフレーム部材と、該フレーム部材に連結させて当該部材の平面部分を構成する平面部材とを組み立てる組立構造にされていてもよい。
【0017】
この態様では、柱状部材に取り付けるフレーム部材に平面部材を連結させることにより平面部分を備える水平部材や鉛直部材に組み立てることができ、例えば、フレーム部材に強度を持たせつつ平面部材の軽量化を図るなどすることができる。
【0018】
第4の他の態様としては、前記柱状部材に巻き付けて設置する上下一対のバンド部材と、該バンド部材の双方に連結されて当該バンド部材の間隔を固定するレール部材と、を備えており、前記水平部材は前記レール部材に組み付けて所望の位置にスライドさせるとともに、前記鉛直部材は前記バンド部材に上下を連結されて固定されていてもよい。
【0019】
この態様では、柱状部材にバンド部材を巻き付けて固定したレール部材に水平部材と鉛直部材の一方または双方を組み付けてスライドさせて、これらの間は嵌め込み連結することにより柱状部材に容易に取り付けることができる。
【0020】
第5の他の態様としては、前記水平部材と前記鉛直部材の間の前記柱状部材回りの空間は、縦長に形成されて前記土中の土砂の収容空間を構成するようにされていてもよい。
【0021】
この態様では、水平部材と鉛直部材の間で形成する土砂の収容空間を、柱状部材下部回りの長さ方向に設定することにより、水平部材と鉛直部材を軽量かつコンパクトな形状・寸法にすることができ、また、埋設する際に掘削する穴の直径も小さくて済み、設置作業負担を軽減するとともに、設置スペースを小面積化することができる。
【0022】
第6の他の態様としては、前記水平部材と前記鉛直部材は、連続するように前記柱状部材に取り付けられていてもよい。
【0023】
この態様では、柱状部材回りの土砂が傾斜しようとする際に水平部材と鉛直部材の間から抜けてしまうのを制限することができ、より効果的に直立状態の維持を補助することができる。
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1〜
図7は本発明に係る直立補助装置の第1実施形態を示す図である。
【0025】
図1および
図2において、直立補助装置10は、電柱(柱状部材)Dの下部に取り付けて土中に埋設する、それぞれ3枚1組の底面部材(水平部材)11および鉛直部材12を備えており、その電柱Dに負荷が加えられても鉛直に直立する状態を維持する補助機能を発揮する。この底面部材11と鉛直部材12は、電柱Dを締め付けるように巻き付けて取り付けるバンド部材13に連結することにより固定するようになっている。
【0026】
底面部材11は、電柱Dの外周面dから離隔する外方に向かう水平方向に延長した、中心が開口する円形の、所謂、ドーナツ形状を形成可能に作製されており、そのドーナツ形状を鉛直部材12の枚数に合わせて概略3分割(2分割や4分割以上でもよい)した板状部材に形成されている。この底面部材11は、
図3に示すように、表裏(上下)一対となる2枚のフレーム部材21内にプレート部材22を収容することにより、全体として、後述するバンド部材13に取り付ける板状の部材を構成するようになっている。
【0027】
フレーム部材21は、外形部分を縁取る周縁部21aと、この周縁部21aの内方で小径側・外径側と同心を中心にして湾曲する桟部21bと、を所望の強度を有する鉄板により一体形成した骨格形状に作製されており、表裏2枚を小径側周縁部21aで連結させている。これら各部21a、21bの間は、収容したプレート部材22により遮蔽して板状部材となる。そのプレート部材22は、フレーム部材21の内部空間と略同一形状に形成された1枚のプレート状に、例えば、軽量化を図るために気泡を内包させているALC(Autoclaved Light-weight Concrete)、所謂、軽量コンクリートを成形することにより作製されている。このプレート部材22は、フレーム部材21の外径側周縁部21aと桟部21bに開口するネジ孔21hに対応する箇所に同様にネジ孔22hを形成して、差し込んだボルトBにナットNを螺合させてネジ止めすることにより組み付けるようになっている。なお、この軽量コンクリートは、軽量であるのに加えて、加工も容易である。
【0028】
これにより、底面部材11は、電柱D回りに設置される板状部材として、強度を備えるコンクリート製で全体を作製する場合よりも、ある程度の面積を確保しつつ軽量化することができ、容易に加工・搬送・取付等の作業を行うことができる。
【0029】
鉛直部材12は、
図4に示すように、底面部材11と同一幅の底部を有して平行に鉛直方向に延在するとともに、その上部側が電柱Dから離隔する外方鉛直部側に向かってなだらかに降下する湾曲形状に作製されており、表裏(上下)一対となる2枚のフレーム部材25内にプレート部材26を収容することにより、全体として、後述するバンド部材13に取り付け可能な板状の部材を構成するようになっている。
【0030】
フレーム部材25は、外形部分を縁取る周縁部25aと、この周縁部25aの内方で底部側と平行な梯子状に並列する桟部25bと、を所望の強度を有する鉄板により一体形成した骨格形状に作製されており、表裏2枚を電柱D側の内方鉛直部側と底部側の周縁部25aで連結されている。これら各部25a、25bの間は、収容したプレート部材26により遮蔽して板状部材となる。そのプレート部材26は、フレーム部材25の内部空間と略同一形状に形成された1枚のプレート状に、例えば、軽量コンクリート(ALC)を成形することにより作製されている。このプレート部材26は、フレーム部材25の桟部25bに開口するネジ孔25hに対応する箇所に同様にネジ孔26hを形成して、差し込んだボルトBにナットNを螺合させてネジ止めすることにより組み付けるようになっている。
【0031】
これにより、鉛直部材12は、底面部材11と同様に、電柱D回りに設置される板状部材として、強度を備えるコンクリート製で全体を作製する場合よりも、ある程度の面積を確保しつつ軽量化することができ、容易に加工・搬送・取付等の作業を行うことができる。
【0032】
バンド部材13は、
図5に示すように、底面部材11に対応して電柱D回りを3分割したベルト状部材31の両端部同士を接近させることにより、電柱Dに巻き付けて締め付ける状態にして取付固定するようになっている。このバンド部材13は、ベルト状部材31の両端側から電柱Dの外周面dより外方に離隔する方向に立設されている締付片32を一体形成されており、その締付片32に開口するネジ孔32h内に差し込んだボルトBにナットNを螺合させてネジ止めすることにより離隔間隔を詰めて電柱Dを締め付けることができるようになっている。なお、このベルト状部材31は、電柱Dとの間に同一の曲率に湾曲する鉄板IPを挟み込むことにより、締付片32の角部32aが締め付け力により電柱Dの外周面dに食い込んで損傷させてしまうことを防止するようになっている。
【0033】
また、バンド部材13は、
図6に示すように、鉛直部材12の上部と下部に位置するように2組準備されており、上部バンド部材13Aと下部バンド部材13Bは、締付片32に隣接する内側に一体形成されている2本のレール部材35により連結されている。
【0034】
これにより、バンド部材13は、3分割されてレール部材35で連結されているベルト状部材31を準備して電柱D回りにボルトBとナットNで締付固定するだけで取り付けることができ、レール部材35により上部バンド部材13Aと下部バンド部材13Bを位置決めしてその離隔間隔を後述する鉛直部材12のネジ孔25hに一致させている状態で電柱Dに取り付けることができる。
【0035】
レール部材35は、ベルト状部材31の本体部31a(電柱Dの外周面d側)から外方に離隔する方向に立設されている一対の壁面部35a、35bが一定間隔で上部バンド部材13Aと下部バンド部材13Bに一体形成(連結)されており、この壁面部35a、35bの端辺側から本体部31aに対面しつつ互いに接近する方向に延在して一定間隔の隙間を形成する対面部35c、35dも一体形成されている。また、このレール部材35は、壁面部35a、35bと対面部35c、35dで囲まれる空間の上部側は開口する一方、下部側は閉塞部35eにより閉じられている。
【0036】
これに対して、底面部材11は、フレーム部材21の小径側周縁部21aの連結側(電柱Dの外周面dに対面する内面側)2箇所に、ベルト状部材31のレール部材35内に差し込んで係合状態のままスライド可能な係合駒23が一体形成されており、係合駒23は、そのレール部材35の壁面部35a、35b間の空間形状に形成されて対面部35c、35dにより引抜方向への移動を衝止される駒本体部23aと、レール部材35の対面部35c、35d間の隙間形状に形成されて駒本体部23aを支持する駒首部23bと、を一体形成されている。
【0037】
これにより、底面部材11は、係合駒23の駒本体部23aをバンド部材13(ベルト状部材31)のレール部材35内に上部側から嵌め込んで閉塞部35eに突き当たる下部までスライドさせるだけで、電柱Dの下部で外方に広がる円盤形状の板状部材として取り付けることができる。
【0038】
このバンド部材13(13A、13B)は、2本のレール部材35の間に、コの字形状に形成したブラケット37が対面部37b間の空間を上下方向に開口させるように中間部37aがネジ止めされており、対面部37bには、ネジ孔37hが開口している。
【0039】
これに対して、鉛直部材12は、フレーム部材25の電柱D側の内方鉛直部側周縁部25aおよびプレート部材26の電柱D側の直線部分近傍に、上部バンド部材13Aと下部バンド部材13Bに固定されているブラケット37の対面部37bのネジ孔37hに一致する位置にネジ孔25hが開口されており、下部端面が底面部材11に当接する状態で取り付けられるように設定されている。
【0040】
これにより、鉛直部材12は、フレーム部材25の上下両端側をバンド部材13(ベルト状部材31)のブラケット37の対面部37b間に差し込むだけで、双方のネジ孔25h、37hを一致させてボルトBとナットNにより固定することができ、電柱Dの直立姿勢と平行になる鉛直姿勢を維持しつつ3つの法線方向外方に広がって延長面が互いに交差する板状部材として取り付けることができる。
【0041】
また、レール部材35は、下部バンド部材13Bよりも下方に延長されているとともに、その延長端部には内方に突出する突片36が閉塞部35eの背面側から延在するように一体形成されており、電柱Dの下部側端面に対面させる状態で設置することができるようになっている。
【0042】
これにより、レール部材35は、電柱Dの下端面に突片36を対面させて突き当てる状態にすることができ、電柱Dの重量を突片36で受けてバンド部材13が電柱Dに対して抜ける方向にずれてしまうことがないように取り付けることができる。
【0043】
したがって、直立補助装置10は、電柱D下部で円盤形状となるように軽量の底面部材11を容易に取り付けるとともに、その電柱Dに沿って連続するように軽量の鉛直部材12を容易に取り付けることができ、電柱Dの下部を縦長の太めにするだけのコンパクトな形状に留めることができる。例えば、この直立補助装置10は、電柱Dが直径39cmに対して、底面部材11を幅35cmの円盤板状部材として、鉛直部材12を幅35cmで高さ250cmとする程度でも、根かせとしての十分な効果が得られる。
【0044】
この直立補助装置10は、取り付けても、電柱Dの直径が大径になるだけであることから、従来には、120×20cmの根かせのために大面積の穴を掘って土中に埋設していたのに対して、先端部に直径45cmの掘削用スクリューを備えるオーガ装置を用いて直径70cmの小面積のコンパクトな竪穴を掘削するだけで土中に埋設することができる。この場合には、直立補助装置10は、例えば、
図7に示すように、底面部材11と鉛直部材12の間に形成される3か所の土砂ESの収容空間内の重量分の荷重を電柱D回りに掛けることができる。土砂1m
3で1.6tの重量として概算すると、直立補助装置10は、底面部材11と鉛直部材12の間の1か所の収容空間内で416kgの重量を掛けることができ、従来の根かせの54kgよりも大きな荷重を掛けて電柱Dを鉛直に建柱されている状態に維持することができる。
【0045】
また、直立補助装置10は、底面部材11が水平方向に延在する平面を備えるとともに鉛直部材12が鉛直方向に延在する3方向の平面を備えることから、電柱Dを傾斜させようとする負荷が加わったとしても、その電柱Dと一体の底面部材11と鉛直部材12が土砂ES内で電柱Dが動こうとするのを効果的に制限することができ、電柱Dが鉛直姿勢のまま立設する状態を信頼性高く維持することができる。特に、鉛直部材12は、仮に1つの延長面と平行な方向に電柱Dを傾斜させようとする負荷が加わったとしても、他の2つの平面が効果的にその移動を制限することができ、信頼性高く電柱Dの直立状態を維持するように補助することができる。また、底面部材11と鉛直部材12は隙間なく連続していることから収容空間内の土砂ESが漏れてしまうこともない。このため、例えば、電柱Dに架線する電線の延長方向に合わせて根かせの向きを交互にするなどの確認作業をすることなく、設置することができる。
【0046】
また、この直立補助装置10は、設置場所に応じて、例えば、電柱Dの設置場所が隣接地に近接する道路端などであるために、底面部材11を全周に取り付けることができない場合にも、適宜、底面部材11の枚数を削減して設置することができ、隣接地の所有者に許可を得るなどの煩雑な作業を省いて電柱Dを設置することができる。
【0047】
このように本実施形態においては、底面部材11上で鉛直部材12が鉛直姿勢になるように電柱Dの下部にバンド部材13によりコンパクトに取り付けるだけでよく、小さな掘削穴内に埋設することができ、小さな占有面積で電柱Dを建柱することができる。この底面部材11と鉛直部材12の間に形成される収容空間内の土砂ESの重量を電柱Dに負荷する状態にしてその電柱Dの鉛直姿勢を維持するように補助することができる。また、板状部材の底面部材11と鉛直部材12と共にバンド部材13のベルト状部材31を保管するだけでよく、容易に管理することができるとともに、容易に搬送・取付することができる。
【0048】
ここで、本実施形態では、レール部材35はバンド部材13A、13Bに一体形成して連結する場合を一例にして説明するが、これに限る必要はなく、別部材として、鉛直部材12と同様にブラケットなどで連結するようにしてもよく、また、下部のバンド部材13Bのみに配置するようにして、鉛直部材12により連結する形態にしてもよい。
【0049】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。