特許第5778004号(P5778004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778004
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   A61M1/14 553
   A61M1/14 530
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-248446(P2011-248446)
(22)【出願日】2011年11月14日
(65)【公開番号】特開2013-102927(P2013-102927A)
(43)【公開日】2013年5月30日
【審査請求日】2014年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】古橋 智洋
(72)【発明者】
【氏名】竹内 聡
(72)【発明者】
【氏名】二村 寛
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−255331(JP,A)
【文献】 特開2004−016619(JP,A)
【文献】 特開2002−325837(JP,A)
【文献】 特開平06−261938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00−1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動脈側血液回路及び静脈側血液回路から成るとともに、当該動脈側血液回路の先端から静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環させ得る血液回路と、
該血液回路の動脈側血液回路及び静脈側血液回路の間に介装されて当該血液回路を流れる血液を浄化する血液浄化手段と、
前記動脈側血液回路に配設されるとともに、正転駆動及び逆転駆動が可能とされ、前記血液回路内の液体を流動させ得る血液ポンプと、
前記血液回路における前記血液ポンプの配設位置より前記静脈側血液回路側の所定位置に配設され、当該血液回路の流路を閉止可能な閉止手段と、
前記血液回路内における前記血液ポンプの配設位置と前記閉止手段の配設位置との間の液体の圧力を検出し得る液圧検出手段と、
治療後、置換液を前記血液回路に供給させ、当該血液回路内の血液を前記置換液に置換させて返血させ得る制御手段と、
を具備した血液浄化装置であって、
前記制御手段は、
前記閉止手段にて流路を閉止させ、当該血液ポンプの配設位置と前記閉止手段の配設位置との間で蓄圧させる蓄圧工程と、
前記閉止手段による流路の閉止を維持させつつ前記血液ポンプを逆転駆動させ、前記動脈側血液回路の先端から返血させる圧解放工程と、
を含む動脈側返血工程を複数回行わせつつ前記液圧検出手段で圧力を検出させ、各動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力の変化に基づき前記動脈側血液回路における流路の閉塞を検知し得ることを特徴とする血液浄化装置。
【請求項2】
前記動脈側返血工程における対応する所定時点は、前記蓄圧工程から前記圧解放工程に移行する時点とされたことを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記動脈側返血工程における対応する所定時点は、各動脈側返血工程が終了した時点とされたことを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記制御手段は、複数行われる動脈側返血工程のうち特定の前記動脈側返血工程時に警報値を設定するとともに、その後行われる動脈側返血工程において前記液圧検出手段で検出された所定時点の圧力が当該警報値を超えたか否かを判定することにより、前記動脈側血液回路における流路の閉塞を検知し得ることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記動脈側血液回路の先端近傍を開閉可能として設けられた動脈側弁手段と、
前記静脈側血液回路の先端近傍を開閉可能として設けられた静脈側弁手段と、
を具備するとともに、前記閉止手段は、前記静脈側弁手段から成ることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記静脈側血液回路に接続され、当該静脈側血液回路を流れる液体中の気泡を除去するためのエアトラップチャンバと、
該エアトラップチャンバ内の圧力を検出することにより前記静脈側血液回路を流れる血液の圧力である静脈圧を検出し得る静脈圧センサと、
を具備するとともに、前記液圧検出手段は、前記静脈圧センサから成ることを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアライザを使用した透析治療等、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液浄化装置としての透析装置は、先端に動脈側穿刺針が取り付けられた動脈側血液回路、先端に静脈側穿刺針が取り付けられた静脈側血液回路から成る血液回路と、動脈側血液回路及び静脈側血液回路の間に介装されて血液回路を流れる血液を浄化するダイアライザと、動脈側血液回路に配設された血液ポンプと、動脈側血液回路及び静脈側血液回路にそれぞれ配設されて除泡するための動脈側エアトラップチャンバ及び静脈側エアトラップチャンバと、ダイアライザに透析液を供給し得る透析装置本体とから主に構成されている。
【0003】
また、動脈側血液回路における動脈側穿刺針と血液ポンプとの間には、生理食塩液供給ラインを介して生理食塩液を収容した収容バッグが接続されており、透析治療前のプライミング時、透析治療中の補液時、又は透析治療後の返血時に収容バッグ内の生理食塩液を生理食塩液供給ラインを介して血液回路内に供給し得るようになっている。例えば、返血時においては、生理食塩液を置換液として血液回路内に供給し、当該血液回路内の血液を置換液に置換させることにより返血し得るものとされている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ところで、近時においては、医療従事者の負担軽減を図るべく、血液浄化治療における種々工程を自動化させるニーズが高まりつつあり、例えば、返血時、血液ポンプを正転駆動させることにより、静脈側血液回路の先端から患者に返血する静脈側返血工程と、血液ポンプを逆転駆動させることにより、動脈側血液回路の先端から患者に返血する動脈側返血工程とを交互に行わせる制御手段を具備させた血液浄化装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
しかるに、血液回路における血液ポンプよりも上流側には、一般に、圧力検出手段が配設されていないため、動脈側返血工程で動脈側血液回路側の閉塞を直接検出することができないことから、返血の自動化を図る上で安全性を確保すべく、動脈側返血工程において動脈側血液回路の何れかの部位に閉塞(異物による流路の詰まりや流路の狭窄等)が生じたことを検知し得る血液浄化装置が提案されている(例えば特許文献3参照)。かかる従来の血液浄化装置によれば、静脈側血液回路の先端部に配設された静脈側電磁弁を閉じつつ血液ポンプを正転駆動させることにより、当該血液ポンプと静脈側電磁弁との間の内圧を所定圧まで上昇させた後、血液ポンプを逆転駆動させて動脈側返血工程を行わせ、当該内圧の実際の下落傾向と仮定下落傾向(動脈側血液回路に閉塞がないと仮定した場合に算出される内圧の下落傾向)とを比較して閉塞の有無を検知し得るよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−280775号公報
【特許文献2】特開平6−261938号公報
【特許文献3】特開2006−255331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の血液浄化装置は、予め付与した内圧の実際の下落傾向と仮定の下落傾向(算出値)とを比較することにより動脈側返血工程時における動脈側血液回路の閉塞を検知し得るものであったので、血液浄化装置を構成する部品の寸法若しくは仕様、又は返血時の種々条件の変化等により、算出されるべき仮定の下落傾向が相違してしまい、動脈側血液回路の閉塞を精度よく検知することが困難であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、動脈側返血工程における動脈側血液回路の閉塞を精度よく検知することができる血液浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、動脈側血液回路及び静脈側血液回路から成るとともに、当該動脈側血液回路の先端から静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環させ得る血液回路と、該血液回路の動脈側血液回路及び静脈側血液回路の間に介装されて当該血液回路を流れる血液を浄化する血液浄化手段と、前記動脈側血液回路に配設されるとともに、正転駆動及び逆転駆動が可能とされ、前記血液回路内の液体を流動させ得る血液ポンプと、前記血液回路における前記血液ポンプの配設位置より前記静脈側血液回路側の所定位置に配設され、当該血液回路の流路を閉止可能な閉止手段と、前記血液回路内における前記血液ポンプの配設位置と前記閉止手段の配設位置との間の液体の圧力を検出し得る液圧検出手段と、治療後、置換液を前記血液回路に供給させ、当該血液回路内の血液を前記置換液に置換させて返血させ得る制御手段とを具備した血液浄化装置であって、前記制御手段は、前記閉止手段にて流路を閉止させ、当該血液ポンプの配設位置と前記閉止手段の配設位置との間で蓄圧させる蓄圧工程と、前記閉止手段による流路の閉止を維持させつつ前記血液ポンプを逆転駆動させ、前記動脈側血液回路の先端から返血させる圧解放工程とを含む動脈側返血工程を複数回行わせつつ前記液圧検出手段で圧力を検出させ、各動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力の変化に基づき前記動脈側血液回路における流路の閉塞を検知し得ることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の血液浄化装置において、前記動脈側返血工程における対応する所定時点は、前記蓄圧工程から前記圧解放工程に移行する時点とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の血液浄化装置において、前記動脈側返血工程における対応する所定時点は、各動脈側返血工程が終了した時点とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記制御手段は、複数行われる動脈側返血工程のうち特定の前記動脈側返血工程時に警報値を設定するとともに、その後行われる動脈側返血工程において前記液圧検出手段で検出された所定時点の圧力が当該警報値を超えたか否かを判定することにより、前記動脈側血液回路における流路の閉塞を検知し得ることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記動脈側血液回路の先端近傍を開閉可能として設けられた動脈側弁手段と、前記静脈側血液回路の先端近傍を開閉可能として設けられた静脈側弁手段とを具備するとともに、前記閉止手段は、前記静脈側弁手段から成ることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記静脈側血液回路に接続され、当該静脈側血液回路を流れる液体中の気泡を除去するためのエアトラップチャンバと、該エアトラップチャンバ内の圧力を検出することにより前記静脈側血液回路を流れる血液の圧力である静脈圧を検出し得る静脈圧センサとを具備するとともに、前記液圧検出手段は、前記静脈圧センサから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、動脈側返血工程を複数回行わせつつ液圧検出手段で圧力を検出させ、各動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力の変化に基づき動脈側血液回路における流路の閉塞を検知し得るので、動脈側返血工程における動脈側血液回路の閉塞を精度よく検知することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、動脈側返血工程における対応する所定時点は、蓄圧工程から圧解放工程に移行する時点とされたので、より早期に動脈側返血工程における動脈側血液回路の閉塞を検知することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、動脈側返血工程における対応する所定時点は、各動脈側返血工程が終了した時点とされたので、より精度よく動脈側返血工程における動脈側血液回路の閉塞を検知することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、制御手段は、複数行われる動脈側返血工程のうち特定の動脈側返血工程時に警報値を設定するとともに、その後行われる動脈側返血工程において液圧検出手段で検出された所定時点の圧力が当該警報値を超えたか否かを判定することにより、動脈側血液回路における流路の閉塞を検知し得るので、より精度よく且つ円滑に流路の閉塞の検知を行わせることができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、動脈側血液回路の先端近傍を開閉可能として設けられた動脈側弁手段と、静脈側血液回路の先端近傍を開閉可能として設けられた静脈側弁手段とを具備するとともに、閉止手段は、静脈側弁手段から成るので、血液浄化治療に関わる工程で使用される静脈側弁手段を流用して動脈側血液回路における流路の閉塞を検知することができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、静脈側血液回路に接続され、当該静脈側血液回路を流れる液体中の気泡を除去するためのエアトラップチャンバと、該エアトラップチャンバ内の圧力を検出することにより静脈側血液回路を流れる血液の圧力である静脈圧を検出し得る静脈圧センサとを具備するとともに、液圧検出手段は、静脈圧センサから成るので、血液浄化治療に関わる工程で使用される静脈圧センサを流用して動脈側血液回路における流路の閉塞を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係る血液浄化装置(静脈側返血工程時)を示す模式図
図2】同血液浄化装置(動脈側返血工程の蓄圧工程時)を示す模式図
図3】同血液浄化装置(動脈側返血工程の圧解放工程時)を示す模式図
図4】同血液浄化装置において動脈側返血工程時に閉塞がない場合の圧力の変化を示すグラフ
図5】同血液浄化装置において動脈側返血工程時に閉塞がある場合の圧力の変化を示すグラフ
図6】同血液浄化装置の制御手段による動脈側返血時の制御内容を示すフローチャート
図7】本発明の第2の実施形態に係る血液浄化装置において動脈側返血工程時に閉塞がない場合の圧力の変化を示すグラフ
図8】同血液浄化装置において動脈側返血工程時に閉塞がある場合の圧力の変化を示すグラフ
図9】同血液浄化装置の制御手段による動脈側返血時の制御内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る血液浄化装置は、透析治療を行うための透析装置から成り、図1〜3に示すように、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2から成る血液回路と、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2の間に介装されて血液回路を流れる血液を浄化するダイアライザ3(血液浄化手段)と、血液ポンプ4と、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2にそれぞれ配設された動脈側エアトラップチャンバ5及び静脈側エアトラップチャンバ6と、ダイアライザ3に透析液を供給し得る透析装置本体Bと、生理食塩液供給ライン8(置換液供給ライン)と、置換液としての生理食塩液を収容した収容手段9と、液圧検出手段としての静脈圧センサ21と、動脈側弁手段としての電磁弁V1及び静脈側弁手段としての電磁弁V2(閉止手段)と、制御手段19とから主に構成されている。
【0023】
動脈側血液回路1には、その先端に動脈側穿刺針が接続されるとともに、途中にしごき型の血液ポンプ4及び除泡のための動脈側エアトラップチャンバ5が配設されている一方、静脈側血液回路2には、その先端に静脈側穿刺針が接続されるとともに、途中に静脈側エアトラップチャンバ6が接続されている。動脈側エアトラップチャンバ5及び静脈側エアトラップチャンバ6には、空気層が形成されており、動脈側血液回路1を流れる液体中の気泡を除去し得るとともに、濾過網(不図示)が配設されており、例えば返血時の血栓等を捕捉し得るようになっている。
【0024】
また、動脈側エアトラップチャンバ5は、動脈側血液回路1における血液ポンプ4の下流側(動脈側血液回路1における血液ポンプ4とダイアライザ3との間)に配設されているとともに、静脈側エアトラップチャンバ6は、静脈側血液回路2におけるダイアライザ3の下流側(静脈側血液回路2における先端部とダイアライザ3との間)に配設されている。
【0025】
さらに、静脈側エアトラップチャンバ6には、モニタチューブを介して静脈圧センサ21が接続されており、当該静脈側エアトラップチャンバ6内の液圧(すなわち、静脈側血液回路2を流れる血液の圧力である静脈圧)を検出し得るよう構成されている。しかして、この静脈圧センサ21は、血液回路における血液ポンプ4の配設位置と閉止手段としての電磁弁V2(静脈側弁手段)の配設位置との間に配設され、当該血液回路内の液体の圧力を検出し得るものとされている。なお、静脈側エアトラップチャンバ6の上部(空気層側)からは、オーバーフローライン20が延設されており、その途中に電磁弁V4が配設されている。そして、電磁弁V4を開状態とすることにより、オーバーフローライン20を介して、血液回路中を流れる液体(プライミング液等)をオーバーフローし得るようになっている。
【0026】
血液ポンプ4は、動脈側血液回路1に配設されたしごき型ポンプから成り、正転駆動及び逆転駆動可能とされるとともに、血液回路内の液体を駆動方向に流動させ得るものである。すなわち、動脈側血液回路1には、当該動脈側血液回路1を構成する他の可撓性チューブより軟質かつ大径の被しごきチューブ1aが接続されており、血液ポンプ4には、この被しごきチューブ1aを長手方向にしごくためのローラが配設されているのである。このように血液ポンプ4が駆動すると、そのローラが回動して被しごきチューブ1aをしごき、内部の液体を駆動方向(ローラの回転方向)に流動させることができるのである。
【0027】
しかして、動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を患者に穿刺した状態で、血液ポンプ4を正転駆動(図中左回転)させると、患者の血液は、動脈側血液回路1を通ってダイアライザ3に至った後、該ダイアライザ3によって血液浄化が施され、静脈側エアトラップチャンバ6で除泡がなされつつ静脈側血液回路2を通って患者の体内に戻る。すなわち、患者の血液を血液回路の動脈側血液回路1の先端から静脈側血液回路2の先端まで体外循環させつつダイアライザ3にて浄化させ得るのである。
【0028】
ダイアライザ3は、その筐体部に、血液導入ポート3a、血液導出ポート3b、透析液導入ポート3c及び透析液導出ポート3dが形成されており、このうち血液導入ポート3aには動脈側血液回路1が、血液導出ポート3bには静脈側血液回路2がそれぞれ接続されている。また、透析液導入ポート3c及び透析液導出ポート3dは、透析装置本体Bから延設された透析液導入ラインLa及び透析液排出ラインLbとそれぞれ接続されている。
【0029】
ダイアライザ3内には、複数の中空糸が収容されており、該中空糸内部が血液の流路とされるとともに、中空糸外周面と筐体部の内周面との間が透析液の流路とされている。中空糸には、その外周面と内周面とを貫通した微少な孔(ポア)が多数形成されて中空糸膜を形成しており、該膜を介して血液中の不純物等が透析液内に透過し得るよう構成されている。
【0030】
一方、透析装置本体Bには、透析液導入ラインLa及び透析液排出ラインLbに跨って複式ポンプ17が配設されているとともに、当該複式ポンプ17をバイパスするバイパスラインLcにはダイアライザ3中を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプ18が配設されている。さらに、透析液導入ラインLaの一端がダイアライザ3(透析液導入ポート3c)に接続されるとともに、他端が所定濃度の透析液を調製する透析液供給装置(不図示)に接続されている。また、透析液排出ラインLbの一端は、ダイアライザ3(透析液導出ポート3d)に接続されるとともに、他端が図示しない排液手段と接続されており、透析液供給装置から供給された透析液が透析液導入ラインLaを通ってダイアライザ3に至った後、透析液排出ラインLbを通って排液手段に送られるようになっている。
【0031】
生理食塩液供給ライン8(置換液供給ライン)は、動脈側血液回路1における血液ポンプ4の配設位置と当該動脈側血液回路1の先端との間のT字管Tに一端が接続され、血液回路内の血液と置換させるための生理食塩液(置換液)を当該動脈側血液回路1に供給可能な流路(例えば可撓性チューブ等)から成るものである。かかる生理食塩液供給ライン8の他端には、所定量の生理食塩液を収容した収容手段9が接続されているとともに、途中には、エアトラップチャンバ7が接続されている。なお、図中符号16は、生理食塩液供給ライン8の有無を検出するためのセンサ等から成るチューブ検出器を示している。
【0032】
また、本実施形態に係る生理食塩液供給ライン8には、電磁弁V3が配設されている。かかる電磁弁V3は、生理食塩液供給ライン8を開閉可能として設けられ、流路の閉塞及び開放を行わせ得るもので、当該電磁弁V3を開閉させることにより、生理食塩液供給ライン8の流路を閉塞させる閉塞状態と生理食塩液(置換液)を流通させ得る流通状態とを任意に切り替え可能とされている。この電磁弁V3は、特に返血時の開閉動作が後で詳述する制御手段19にて制御されるよう構成されている。
【0033】
さらに、動脈側血液回路1における動脈側穿刺針の近傍(動脈側血液回路1の先端近傍であって生理食塩液供給ライン8の接続部(T字管Tの位置)と動脈側穿刺針との間)、及び静脈側血液回路2における静脈側穿刺針の近傍(静脈側血液回路2の先端近傍であって静脈側エアトラップチャンバ6と静脈側穿刺針との間)には、動脈側弁手段としての電磁弁V1及び静脈側弁手段としての電磁弁V2(閉止手段)がそれぞれ配設されている。これら電磁弁V1及びV2は、開閉動作により、配設された各々の部位における流路を閉塞及び開放し得るものであり、特に返血時の開閉動作が後で詳述する制御手段19にて制御されるよう構成されている。
【0034】
また、動脈側血液回路1の先端近傍(動脈側弁手段としての電磁弁V1近傍)には、動脈側気泡検出手段10が配設されるとともに、静脈側血液回路2の先端近傍(静脈側弁手段としての電磁弁V2近傍)には、静脈側気泡検出手段11が配設されている。これら動脈側気泡検出手段10及び静脈側気泡検出手段11は、流路内を流れる液体中の気泡を検出し得るセンサから成り、制御手段19と電気的に接続されている。なお、図中符号12、13及び符号14、15は、動脈側血液回路1の先端近傍及び静脈側血液回路2の先端近傍に配設された血液判別器(流路内を血液が流通しているか否かを判別するセンサ等)及びチューブ検出器(動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2の有無を検出するためのセンサ等)を示している。
【0035】
本実施形態に係る透析装置本体B内には、例えばマイコン等から成る制御手段19が配設されている。かかる制御手段19は、例えば血液ポンプ4や電磁弁V1、V2及びV3等のアクチュエータ、静脈圧センサ21、動脈側気泡検出手段10及び静脈側気泡検出手段11や血液判別器12、13等のセンサ類と電気的に接続されたものであり、血液浄化治療後、電磁弁V3を流通状態として生理食塩液(置換液)を血液回路に供給させ、当該血液回路内の血液を生理食塩液(置換液)に置換させて返血させ得るものである。
【0036】
より具体的には、制御手段19は、返血時、血液ポンプ4を正転駆動させ、血液回路における生理食塩液供給ライン8との接続部(T字管Tの位置)から静脈側血液回路2の先端までの血液を生理食塩液に置換させて返血する静脈側返血工程(図1参照)と、血液ポンプ4を逆転駆動させ、血液回路における生理食塩液供給ライン8との接続部(T字管Tの位置)から動脈側血液回路1の先端までの血液を生理食塩液に置換させて返血する動脈側返血工程(図3参照)とを行わせ得るものとされている。
【0037】
ここで、本実施形態に係る制御手段19は、電磁弁V2(静脈側電磁弁)にて流路を閉止させつつ血液ポンプ4を正転駆動させ、当該血液ポンプ4の配設位置と電磁弁V2の配設位置との間で蓄圧させる蓄圧工程(図2参照)と、電磁弁V2による流路の閉止を維持させつつ血液ポンプ4を逆転駆動させ、動脈側血液回路1の先端から返血させる圧解放工程(図3参照)とを含む動脈側返血工程を複数回行わせつつ静脈圧センサ21(液圧検出手段)で圧力を検出させ、各動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力の変化に基づき動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知し得るものとされている。
【0038】
より具体的には、蓄圧工程は、図2に示すように、制御手段19による制御にて、電磁弁V1及び電磁弁V2を閉状態としつつ電磁弁V3を開状態とし、血液ポンプ4を正転駆動(同図において左回りの駆動)させることにより、当該血液ポンプ4の配設位置と電磁弁V2の配設位置との間の液体の圧力を上昇させて蓄圧する工程である。この蓄圧工程により、動脈側血液回路1の先端から返血する際に使用する所定量の置換液を貯め込んで確保することができる。また、圧解放工程は、図3に示すように、制御手段19による制御にて、電磁弁V1を開状態としつつ電磁弁V2及び電磁弁V3を閉状態とし、血液ポンプ4を逆転駆動(同図において左回りの駆動)させることにより、蓄圧工程で付与された圧力を解放しつつ動脈側血液回路1の先端から患者に返血する工程である。
【0039】
そして、上記の如き蓄圧工程及び圧解放工程を1回ずつ行わせて1回の静脈側返血工程が終了するのであるが、本実施形態においては、かかる静脈側返血工程を複数回行わせつつ静脈圧センサ21にて圧力を検出させるよう構成されている。蓄圧工程及び圧解放工程から成る静脈側返血工程を複数回繰り返し行わせつつ静脈圧センサ21にて圧力を検出すると、図4のグラフに示すように、圧力の上昇及び下降を示す波形が静脈側返血工程に応じて複数個形成されることとなる。
【0040】
しかるに、動脈側血液回路1における流路の閉塞がない場合、蓄圧工程で付与された圧力が圧解放工程でほぼ全て解放される(すなわち、蓄圧工程で貯め込んだ置換液が全て流れた)ことから、図4に示すように、静脈側返血工程に応じて順次形成された複数の圧力の波形が略同一の圧力値で推移するのに対し、動脈側血液回路1における流路の閉塞が生じている場合、蓄圧工程で付与された圧力が流路の閉塞によって圧解放工程においても解放しきれない(すなわち、蓄圧工程で貯め込んだ置換液の一部又は全部が流れない)ことから、図5に示すように、静脈側返血工程に応じて形成された圧力の波形が順次上昇して推移することとなる。
【0041】
そこで、各動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力の変化に基づき動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知することが可能であることから、本実施形態においては、図4、5に示すように、動脈側返血工程における対応する所定時点(圧力変化の監視時点)を蓄圧工程から圧解放工程に移行する時点(蓄圧工程と圧解放工程との間の血液ポンプ4を停止させた時点である時点a〜c)とし、その時点(a〜c)の圧力の変化を監視するものとされており、当該所定時点の圧力が警報値を超えたか否かを判定することにより、動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知し得るよう構成されている。本実施形態の図5においては、3回目の動脈側返血工程に対応する圧力の波形において所定時点cの圧力が警報値を超えており、これにより流路の閉塞が検知されることとなる。なお、本実施形態においては、動脈側返血工程における対応する所定時点(圧力変化の監視時点)を蓄圧工程と圧解放工程との間の血液ポンプ4を停止させた時点a〜cとしているが、蓄圧工程から圧解放工程に移行する時点であれば血液ポンプ4を停止させる必要はない。
【0042】
また、本実施形態においては、制御手段19は、複数行われる動脈側返血工程のうち特定の動脈側返血工程時(最初の静脈側返血工程時が好ましい)に警報値を設定するとともに、その後行われる動脈側返血工程において静脈圧センサ21で検出された所定時点(蓄圧工程から圧解放工程に移行する時点a〜c)の圧力が当該警報値を超えたか否かを判定することにより、動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知し得るよう構成されている。
【0043】
次に、第1の実施形態に係る制御手段19による動脈側返血時の制御内容について図6のフローチャートに基づいて説明する。
静脈側返血工程が終了すると、血液ポンプ4を停止(S1)させた後、当該血液ポンプ4を正転駆動させて蓄圧工程(S2)を行わせる。この蓄圧工程においては、既述したように、電磁弁V1及び電磁弁V2を閉状態としつつ電磁弁V3を開状態としている(図2参照)。その後、血液ポンプを停止(S3)させ、静脈圧センサ21にて圧力を検出する(S4)とともに、検出された圧力に基づき警報値を設定する(S5)。本実施形態においては、S4で検出された圧力の値に対して予め定められた所定値α(図4、5参照)を加算した値が警報値とされる。
【0044】
そして、血液ポンプ4を逆転駆動させて圧解放工程(S6)を行わせる。この圧解放工程においては、既述したように、電磁弁V1を開状態としつつ電磁弁V2及び電磁弁V3を閉状態とされており、生理食塩液供給ライン8から供給される生理食塩液によって当該生理食塩液と血液とが置換され、動脈側血液回路1の先端から返血が行われることとなる(図3参照)。その後、血液ポンプ4の駆動によって流動した液体が所定量に達したか否かが判定され(S7)、所定量に達したと判定されると、血液ポンプ4を停止し(S8)、1回目の動脈側返血工程が終了する。
【0045】
次に、再び血液ポンプ4を正転駆動させて蓄圧工程を行わせ(S9)、当該蓄圧工程S9が終了した時点(本実施形態においては、蓄圧工程から圧解放工程に移行する所定時点b)の圧力がS5で設定した警報値を超えているか否かが判定される(S10)。ここで、所定時点bの圧力が警報値を超えていると判定されると、動脈側血液回路1において流路の閉塞が生じていることを示す警報を出力する(S11)。なお、警報は音声や効果音の発生、画像表示、点灯手段による点灯若しくは点滅表示の何れであってもよく、警報と同時に返血を停止させるよう制御してもよい。
【0046】
一方、S10にて所定時点bの圧力が警報値を超えていないと判定されると、血液ポンプ4を停止(S12)した後、当該血液ポンプ4を逆転駆動させて圧解放工程(S13)を行わせ、動脈側血液回路1の先端から返血を行うとともに、血液ポンプ4の駆動によって流動した液体が所定量に達したか否かが判定され(S14)、所定量に達したと判定されると、血液ポンプ4を停止し(S15)、2回目の動脈側返血工程が終了する。
【0047】
その後、動脈側血液回路1側の返血が開始されて以降、導入された生理食塩液(置換液)が動脈側血液回路1側の返血を十分に行わせ得る規定量(規定回数でもよい)に達したか否かが判定され(S16)、規定量に達していると判定されると、一連の静脈側血液回路1側の返血が終了する。なお、S16にて規定量に達していないと判定されると、S9に戻り、再び蓄圧工程S9及び圧解放工程S13が順次行われて、次回(3回目以降)の動脈側返血工程が行われることとなる。
【0048】
上記実施形態によれば、動脈側返血工程における対応する所定時点(すなわち、各動脈側返血工程における圧力の変化を監視する時点)は、蓄圧工程から圧解放工程に移行する時点とされたので、静脈側返血工程に応じて形成される圧力の波形のピークを監視することとなり、より精度よく動脈側返血工程における動脈側血液回路の閉塞を検知することができる。また、1回目の動脈側返血工程時に警報値を設定し、それ以降の動脈側返血工程において警報値を超えたか否かが判定されるので、動脈側血液回路1における閉塞の検知を更に早期に行わせることができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、1回目の動脈側返血工程が終了した時に警報値を設定し、その警報値を基準として、それ以降の動脈側返血工程の終了時において警報値を超えたか否かが判定されるよう構成されているが、例えばS10の判定後に再度、警報値を設定するようにしてもよい。また、警報値は、本実施形態の他、種々方法で設定することができる。さらに、各動脈側返血工程時の時点a、b、cに至る前であっても、検出された圧力が警報値を超えた場合、その超えた時点で警報を発生させることができる。この場合、異常状態の把握をより早期に行わせることができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態に係る血液浄化装置について説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、透析治療を行うための透析装置から成り、装置構成は、当該第1の実施形態と同様のものとされる(図1〜3参照)とともに、当該第1の実施形態とは、制御手段19による動脈側血液回路1側の返血時の制御内容が相違するものとされる。なお、本実施形態に係る具体的装置構成については第1の実施形態と重複するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施形態に係る制御手段19は、第1の実施形態と同様、電磁弁V2(静脈側電磁弁)にて流路を閉止させつつ血液ポンプ4を正転駆動させ、当該血液ポンプ4の配設位置と電磁弁V2の配設位置との間で蓄圧させる蓄圧工程(図2参照)と、電磁弁V2による流路の閉止を維持させつつ血液ポンプ4を逆転駆動させ、動脈側血液回路1の先端から返血させる圧解放工程(図3参照)とを含む動脈側返血工程を複数回行わせつつ静脈圧センサ21(液圧検出手段)で圧力を検出させ、各動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力の変化に基づき動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知し得るものとされている。
【0052】
ここで、本実施形態においては、図7、8に示すように、動脈側返血工程における対応する所定時点(圧力変化の監視時点)を各動脈側返血工程が終了した時点(各動脈側返血工程が終了して血液ポンプ4を停止させた時点である時点d〜f)とし、その時点(d〜f)の圧力の変化を監視するものとされており、当該所定時点の圧力が警報値を超えたか否かを判定することにより、動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知し得るよう構成されている。なお、図8においては、2回目の動脈側返血工程に対応する圧力の波形において所定時点eの圧力が警報値を超えており、これにより流路の閉塞が検知されることとなる。
【0053】
また、本実施形態においては、制御手段19は、複数行われる動脈側返血工程のうち特定の動脈側返血工程時(最初の静脈側返血工程時が好ましい)に警報値を設定するとともに、その後行われる動脈側返血工程において静脈圧センサ21で検出された所定時点(各動脈側返血工程が終了した時点d〜f)の圧力が当該警報値を超えたか否かを判定することにより、動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知し得るよう構成されている。
【0054】
次に、第2の実施形態に係る制御手段19による動脈側返血時の制御内容について図9のフローチャートに基づいて説明する。
静脈側返血工程が終了すると、血液ポンプ4を停止(S1)させ、静脈圧センサ21にて圧力を検出する(S2)とともに、検出された圧力に基づき警報値を設定する(S3)。本実施形態においては、S2で検出された圧力の値に対して予め定められた所定値α(図7、8参照)を加算した値が警報値とされる。
【0055】
その後、血液ポンプ4を正転駆動させて蓄圧工程(S4)を行わせる。この蓄圧工程においては、既述したように、電磁弁V1及び電磁弁V2を閉状態としつつ電磁弁V3を開状態としている(図2参照)。続いて、血液ポンプを停止(S5)させた後、当該血液ポンプ4を逆転駆動させて圧解放工程(S6)を行わせる。この圧解放工程においては、既述したように、電磁弁V1を開状態としつつ電磁弁V2及び電磁弁V3を閉状態とされており、生理食塩液供給ライン8から供給される生理食塩液によって当該生理食塩液と血液とが置換され、動脈側血液回路1の先端から返血が行われることとなる(図3参照)。
【0056】
そして、血液ポンプ4の駆動によって流動した液体が所定量に達したか否かが判定され(S7)、所定量に達したと判定されると、血液ポンプ4を停止し(S8)、1回目の動脈側返血工程が終了するとともに、この時点(本実施形態においては、動脈側返血工程が終了した所定時点d)の圧力がS3で設定した警報値を超えているか否かが判定される(S9)。ここで、所定時点dの圧力が警報値を超えていると判定されると、動脈側血液回路1において流路の閉塞が生じていることを示す警報を出力する(S10)。なお、警報は音声や効果音の発生、画像表示、点灯手段による点灯若しくは点滅表示の何れであってもよく、警報と同時に返血を停止させるよう制御してもよい。
【0057】
一方、S9にて所定時点dの圧力が警報値を超えていないと判定されると、再び血液ポンプ4を正転駆動させて蓄圧工程(S11)を行わせる。その後、血液ポンプ4を停止(S12)させた後、当該血液ポンプ4を逆転駆動させて圧解放工程(S13)を行わせ、動脈側血液回路1の先端から返血を行うとともに、血液ポンプ4の駆動によって流動した液体が所定量に達したか否かが判定され(S14)、所定量に達したと判定されると、血液ポンプ4を停止し(S15)、2回目の動脈側返血工程が終了する。
【0058】
その後、動脈側血液回路1側の返血が開始されて以降、導入された生理食塩液(置換液)が動脈側血液回路1側の返血を十分に行わせ得る規定量(規定回数でもよい)に達したか否かが判定され(S16)、規定量に達していると判定されると、一連の静脈側血液回路1側の返血が終了する。なお、S16にて規定量に達していないと判定されると、S9に戻り、再びS9による判定が行われた後、次回(3回目以降)の動脈側返血工程が行われることとなる。
【0059】
上記実施形態によれば、動脈側返血工程における対応する所定時点(すなわち、各動脈側返血工程における圧力の変化を監視する時点)は、動脈側返血工程における対応する所定時点は、各動脈側返血工程が終了した時点とされたので、より早期に動脈側返血工程における動脈側血液回路1の閉塞を検知することができる。また、1回目の動脈側返血工程が終了した時に警報値を設定し、それ以降の動脈側返血工程の終了時において警報値を超えたか否かが判定されるので、動脈側血液回路1における閉塞の検知を早期に行わせることができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、1回目の動脈側返血工程が終了した時に警報値を設定し、その警報値を基準として、それ以降の動脈側返血工程の終了時において警報値を超えたか否かが判定されるよう構成されているが、例えばS9の判定後に再度、警報値を設定するようにしてもよい。また、警報値は、本実施形態の他、種々方法で設定することができる。
【0061】
上記第1、2の実施形態によれば、動脈側返血工程を複数回行わせつつ静脈圧センサ21(液圧検出手段)で圧力を検出させ、各動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力の変化に基づき動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知し得るので、動脈側返血工程における動脈側血液回路1の閉塞を精度よく検知することができる。なお、対応する所定時点(圧力を監視する時点)は、上記実施形態の如く蓄圧工程から圧解放工程に移行する時点及び各動脈側返血工程が終了した時点に限定されず、例えば蓄圧工程開始時点、動脈側返血工程が開始されてから所定時間経過時等、任意の時点とすることができる。
【0062】
また、制御手段19は、複数行われる動脈側返血工程のうち特定の動脈側返血工程時に警報値を設定するとともに、その後行われる動脈側返血工程において静脈圧センサ21(液圧検出手段)で検出された所定時点の圧力が当該警報値を超えたか否かを判定することにより、動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知し得るので、より精度よく且つ円滑に流路の閉塞の検知を行わせることができる。
【0063】
さらに、動脈側血液回路1の先端近傍を開閉可能として設けられた電磁弁V1(動脈側弁手段)と、静脈側血液回路2の先端近傍を開閉可能として設けられた電磁弁V2(静脈側弁手段)とを具備するとともに、本発明に係る閉止手段(血液回路における血液ポンプ4の配設位置より静脈側血液回路2側の所定位置に配設されて血液回路の流路を閉止可能な手段)が電磁弁V2(静脈側弁手段)から成るので、血液浄化治療に関わる工程で使用される電磁弁V2(静脈側弁手段)を流用して動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知することができる。
【0064】
またさらに、静脈側血液回路2に接続され、当該静脈側血液回路2を流れる液体中の気泡を除去するためのエアトラップチャンバ(本実施形態の静脈側エアトラップチャンバ6に相当)と、該エアトラップチャンバ内の圧力を検出することにより静脈側血液回路2を流れる血液の圧力である静脈圧を検出し得る静脈圧センサ21とを具備するとともに、本発明に係る液圧検出手段(血液回路における血液ポンプ4の配設位置と閉止手段の配設位置との間に配設され、当該血液回路内の液体の圧力を検出し得る手段)が静脈圧センサ21から成るので、血液浄化治療に関わる工程で使用される静脈圧センサ21を流用して動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知することができる。
【0065】
以上、本実施形態に係る血液浄化装置ついて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、返血時に使用される置換液は、生理食塩液に限定されず、例えば透析液導入ラインLa又は透析液排出ラインLbとT字管Tとを連結させ、或いはダイアライザ3(血液浄化手段)から透析液を逆濾過させることにより、透析液を置換液として動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2内に供給するものとしてもよい。この場合、蓄圧工程において、閉止手段(本実施形態においては電磁弁V2)にて流路を閉止させた状態で、血液ポンプ4の代わりに又は当該血液ポンプ4と共に、複式ポンプ17又は除水ポンプ18を駆動して、血液ポンプ4の配設位置と閉止手段の配設位置との間に透析液を逆濾過させて蓄圧させるようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態においては、動脈側返血工程において静脈圧センサ21(液圧検出手段)で検出された所定時点の圧力が警報値を超えたか否かを判定することにより、動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知しているが、各動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力の変化に基づき動脈側血液回路1における流路の閉塞を検知し得るものであれば足り、複数の動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力同士を比較して、その差分が所定以上の場合に警報を行わせるものとしてもよい。
【0067】
さらに、本実施形態においては、従来より血液浄化装置に汎用的に配設された電磁弁V2(静脈側弁手段)を流用して閉止手段を構成しているが、当該電磁弁V2とは別個に配設するものであってもよい。この場合、閉止手段の配設位置は、静脈側血液回路の先端近傍に限定されず、血液回路における血液ポンプ4の配設位置より静脈側血液回路2側(下流側)の所定位置であれば何れの位置であってもよい。
【0068】
またさらに、本実施形態においては、従来より血液浄化装置に汎用的に配設された静脈圧センサ21を流用して液圧検出手段を構成しているが、当該静脈圧センサ21とは別個に配設するものであってもよい。この場合、液圧検出手段の配設位置は、静脈側エアトラップチャンバ6に限定されず、血液回路における血液ポンプ4の配設位置と閉止手段の配設位置との間であれば何れの位置であってもよい。また、液圧検出手段は、血液回路内における血液ポンプ4の配設位置と閉止手段(本実施形態においては電磁弁V2)の配設位置との間の液体の圧力を検出し得るものであれば、何れの位置に配設されたものであってもよく、例えば透析液排出ラインに配設されて当該透析液排出ラインを流れる透析液の液圧を検出するための透析液圧センサであってもよい。
【0069】
なお、本実施形態においては、透析治療時に用いられる透析装置に適用されているが、患者の血液を体外循環させつつ浄化し得る他の形態の血液浄化装置(例えば血液濾過透析法、血液濾過法若しくはAFBFで使用される血液浄化装置、血漿吸着装置等)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
閉止手段にて流路を閉止させ、当該血液ポンプの配設位置と閉止手段の配設位置との間で蓄圧させる蓄圧工程と、閉止手段による流路の閉止を維持させつつ血液ポンプを逆転駆動させ、動脈側血液回路の先端から返血させる圧解放工程とを含む動脈側返血工程を複数回行わせつつ液圧検出手段で圧力を検出させ、各動脈側返血工程における対応する所定時点の圧力の変化に基づき動脈側血液回路における流路の閉塞を検知し得る制御手段を備えた血液浄化装置であれば、他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 動脈側血液回路
2 静脈側血液回路
3 ダイアライザ(血液浄化手段)
4 血液ポンプ
5 動脈側エアトラップチャンバ
6 静脈側エアトラップチャンバ
7 エアトラップチャンバ
8 生理食塩液供給ライン
9 収容手段
10 動脈側気泡検出手段
11 静脈側気泡検出手段
12、13 血液判別器
14、15、16 チューブ検出器
17 複式ポンプ
18 除水ポンプ
19 制御手段
20 オーバーフローライン
21 静脈圧センサ(液圧検出手段)
V1 電磁弁(動脈側弁手段)
V2 電磁弁(静脈側弁手段)(閉止手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9