(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ディスクが載置され回転軸と一体的に回転するターンテーブルを有するスピンドルモータと、該スピンドルモータの上方に位置するクランパを備えるディスククランプ機構であって、
前記ディスクの内縁部を案内するディスクガイドと、
前記ディスクガイドの内径側に配置されたクランプ用マグネットと、
前記回転軸の上部に固定された筒状部材とを有し、
前記筒状部材は、間隙H1を介して前記クランプ用マグネットと軸方向で対面する第1下面部を有し、
前記第1下面部は、前記クランパがディスクを前記ターンテーブル上に圧接した状態において、前記クランプ用マグネットと軸方向で対面する前記クランパの対面部よりも下方に位置することを特徴とするディスククランプ機構。
前記ディスクガイドは貫通口を有し、前記クランプ用マグネットは前記貫通口に配されて、前記ターンテーブルに当接していることを特徴とする請求項1に記載のディスククランプ機構。
【背景技術】
【0002】
ディスクに記録された情報を読み取り、あるいは情報をディスクに書き込むヘッド機構を備えたディスク駆動装置は、例えばCD、DVD、MD等の光ディスク装置、光磁気ディスク装置として知られている。
【0003】
ディスク駆動装置では、ディスクを回転駆動するスピンドルモータのターンテーブルに対して、ディスクを圧接して保持する必要がある。
このため、ディスク駆動装置内には、ターンテーブル上に載置されたディスクの上面に当接するクランパが設けられ、このクランパを吸引するためのクランプ用マグネットがスピンドルモータのターンテーブルの中央に設けられる。
【0004】
例えば特許文献1には、
図15及び
図16に示すような装置が開示されている。
図15はクランパがターンテーブル側に吸着する前の状態を示し、
図16はクランパがターンテーブル側に吸着した状態を示している。
【0005】
図示のように、スピンドルモータ131は、モータ本体132と回転軸133とを有し、回転軸133には、光ディスク150を載置するターンテーブル134が取り付けられている。
ターンテーブル134は、外周部に光ディスク150を載置する載置面135が形成されている。載置面135の内周側には、載置面135より上方に突出したディスクガイド137が形成されている。このディスクガイド137は、光ディスク150が載置面135上に載置されたときに、光ディスク150の中心孔151に嵌合して光ディスクの位置決めを図るものである。
【0006】
ディスクガイド137の内周側には、凹部138が形成されている。この凹部138内には、クランパ145を吸着するクランプ用マグネット139と、このクランプ用マグネット139の磁気抵抗を抑制するためのヨーク140とがそれぞれ配設されている。
さらに、ディスクガイド137の内周側には、ターンテーブル134の略中心部に位置して、スピンドルモータ131の回転軸133が挿通される挿通孔141が設けられている。この挿通孔141にスピンドルモータの回転軸133が取り付けられ、ターンテーブル134は回転軸133と共に回転される。
【0007】
ターンテーブル134と共に光ディスク150を把持するクランパ145には、その略中心部に、光ディスク装置の筐体の一部を構成するカバー128に設けられた係止用凸部129が挿通する貫通孔146が設けられている。
【0008】
クランパ145は、カバー128に設けられた係止用凸部129が貫通孔146に挿通され、係止用凸部129の先端側に取り付けられたストッパー130によって係止片147が係止されることにより、上カバー128に対して移動可能に取り付けられる。
係止片147の外周側には、クランパ145をターンテーブル134に対して位置決めするための位置決め用凸部148が設けられている。
クランパ145は、この位置決め用凸部148がターンテーブル134に設けられた凹部138の内周に沿って嵌合されることにより、ターンテーブル134に対して位置決めされる。
また、クランパ145には、ターンテーブル134の載置面135に対応した外周側に、光ディスク150に当接し、載置面135と共に光ディスク150を挟持するディスク押さえ部149が形成されている。
【0009】
以上のように、クランパ145のターンテーブル134に対する位置決めを正確に行うことにより、光ディスク150が回転操作されたときの偏心を抑制し、光ディスク150に対する記録再生を適切に行うことができる。
【0010】
また、クランパ145がターンテーブル134に吸着されたときに、クランパ145のディスク押さえ部149とターンテーブル134の載置面135との間に光ディスク150が挟持される構成とされているので、光ディスク150をターンテーブル134とクランパ145とによって安定的に把持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に説明する。
【0018】
(第1の実施形態例)
まず、本発明の第1の実施形態例に係るスピンドルモータの構成を
図1により説明する。
図1は本例のスピンドルモータM1を示す側面図であり、紙面右半分を断面で示している。
このスピンドルモータM1は、主に、ステータSとロータRとで構成されている。
【0019】
ステータSは、軸受ホルダ12と軸受13からなる軸受部と、この軸受部の周囲に配されたステータコア14と、コアカバー15と、コイル16を有する。
【0020】
軸受ホルダ12は、表面に印刷回路を形成したいわゆる鉄基板あるいは印刷配線板に鉄板を重ねて取り付けたベース11に固定されている。
軸受13は、筒状の焼結メタルに潤滑油を含浸させたもので、軸受ホルダ12の内周側に圧入等で固定されている。
なお、ベース11上には、後述の駆動用マグネット25と対向するようにホール素子(不図示)が設けられており、このホール素子によってロータRの回転を検出することができるようになっている。
【0021】
ステータコア14は、複数の突極が形成された板状コアの積層体からなり、軸受ホルダ12の外周に固定されている。
ステータコア14の表面には、絶縁性樹脂からなるコアカバー15が配され、このコアカバー15を介してコイル16が巻かれている。
【0022】
ロータRは、軸受部に回転可能に支持された回転軸22と、回転軸22と一体に回転するロータケース21と、ロータケース21に固定された駆動用マグネット25を有する。
【0023】
ロータケース21は、磁性を有する板材でキャップ状に形成されており、回転軸22と同軸で円筒状に形成された円筒部21aと、内径側が若干低い上面部21bを有している。
回転軸22は、ロータケース21の上面部21bの中心に設けられているバーリング部21cに圧入により固定され、軸受13に回転可能な状態で支持されている。
【0024】
ロータケース21の円筒部21aの内側には、ステータコア14の突極と径方向で対向する円筒状の駆動用マグネット25が取り付けられている。この駆動用マグネット25は円周方向にNS交互に複数極着磁されている。
ロータケース21の上面部21bは、ディスクが着脱自在に配されて回転軸22と一体に回転するターンテーブルとなっている。
そして、上面部21bの内径側にはディスクガイド23が配され、上面部21bの外径側には摩擦シート24が配されている。
【0025】
ディスクガイド23は、ディスクを回転軸22と同心状に案内するための部材であり、内径側の立上部23aがロータケース21のバーリング部21cの外周に圧入により固定されている。
このディスクガイド23は、硬質樹脂で形成されており、立上部23aの外周に凹部23bを有し、この凹部23bの外周側に複数のガイド爪23cが回転方向に等間隔に設けられている。ガイド爪23cは、ディスクの中心孔の内縁部に当接されるものである。
【0026】
ディスクガイド23の凹部23bには、ヨーク板26とクランプ用マグネット27が配されている。このヨーク板26とクランプ用マグネット27は、いずれも円環状に形成されている。
ヨーク板26は、クランプ用マグネット27のバックヨークとなるものであり、磁性体で形成されている。
クランプ用マグネット27は、後述のクランパを磁気的に吸引し、クランパをターンテーブル側(上面部21b側)に吸引するものである。
【0027】
回転軸22の上部には、筒状部材28が圧入されている。
本例の筒状部材28は、
図2に示すように、外周部28aの上側は傾斜面28bとなっていて、上方に向かって外径が漸減している。詳しくは後述するが、この傾斜面28bを含む外周部28aは、クランパのセンタリングを行うものである。
また、本例の筒状部材28の下面は段差状になっており、外径側の第1下面部28cと、第1下面部28cよりも低い内径側の第2下面部28dを有している。
【0028】
図1に示すように、筒状部材28の外周部28aの外径は、クランプ用マグネット27の内径よりも大きくなっていて、筒状部材28の第1下面部28cは、所定の間隙を介してクランプ用マグネット27と軸方向で対面する構造になっている。
このため、本例のスピンドルモータM1では、仮にクランプ用マグネット27がディスクガイド23の凹部23bから脱離して浮き上がったとしても、クランプ用マグネット27は筒状部材28の第1下面部28cに当接して受け止められる。
【0029】
また、筒状部材28の第2下面部28dは、所定の間隙を介してディスクガイド23の立上部23aに軸方向で対面している。
このため、本例のスピンドルモータM1では、仮にディスクガイド23がロータケース21の上面部21bから浮き上がったとしても、ディスクガイド23は筒状部材28の第2下面部28dに当接して受け止められる。
【0030】
なお、本発明において、筒状部材28の材料は特に限定されるものではないが、磁性材料よりも非磁性材料が好ましく、耐久性・加工性に優れる真鍮(黄銅)等の非磁性金属材料が特に好ましい。
その理由は、筒状部材28の外周部28aの外径は、クランプ用マグネット27の内径よりも大きいため、筒状部材28はクランプ用マグネット27を組み付けた後に回転軸22に組み付ける必要があり、筒状部材28が磁性材料で構成されていると、組み付け時にクランプ用マグネット27から余計な吸引力を受け、組み付けづらくなるからである。
【0031】
また、本発明においては、筒状部材28の第1下面部28cとクランプ用マグネット27との間に間隙を設けているため、仮に真鍮(黄銅)等の金属材料からなる筒状部材28を用いたとしても、筒状部材28の圧入時にクランプ用マグネット27に力が掛からず、クランプ用マグネット27が破損する危険性がない。
【0032】
次に、本例のスピンドルモータM1を用いたディスククランプ機構を、
図3を用いて説明する。
図3(a)は光ディスクが把持される前の状態を示しており、
図3(b)は光ディスクが把持された状態を示している。
【0033】
図3において、30Aはクランパであり、40は光ディスクである。
スピンドルモータM1とクランパ30Aは、不図示のディスク駆動装置の筐体内に適宜支持されている。
クランパ30Aは、スピンドルモータM1の上方に位置し、全体的に円板状の形状を呈し、少なくともクランプ用マグネット27に対向する部分(対面部33)が磁性体で形成されている。
このクランパ30Aの中心には、筒状部材28の外周部28aの外径よりも僅かに大きい内径を有する位置決め孔31aが設けられている。
また、クランパ30Aの外周には、ディスク押さえ部32が設けられている。
【0034】
図3(a)に示すように、光ディスク40がスピンドルモータM1とクランパ30Aの間に搬送されると、スピンドルモータM1が上昇する。
すると、
図3(b)に示すように、ディスクガイド23の複数のガイド爪23cが光ディスク40の中心孔40aの内縁部に当接され、光ディスク40のセンタリングが自動的に行われる。
一方、クランパ30Aは、クランプ用マグネット27により吸引され、筒状部材28の傾斜面28bと外周部28aに沿って位置決め孔31aがガイドされることにより、自動的にセンタリングされる。なお、本例の筒状部材28の外周部28aの上側は、外径が上方に向かって漸減する傾斜面28bとなっているため、クランパ30Aと回転軸22の中心が多少ずれていても、クランパ30Aは傾斜面28bに沿って適切にセンタリングされる。
これにより、クランパ30Aのディスク押さえ部32が、ロータケース21の上面部21bとの間に光ディスク40を安定的に把持し、スピンドルモータM1の駆動によって光ディスク40が回転操作されたときの偏心を抑制して、光ディスク40に対する記録再生を適切に行うことができる。
【0035】
このように、本例のディスククランプ機構では、クランパ30Aの位置決め孔31aに挿嵌される外周部28aと、クランプ用マグネット27と軸方向で対面する第1下面部28cを有する筒状部材28を回転軸22の上部に固定している。
このため、ディスクガイドの形状を変更する必要が生じた場合であっても、クランパを変更することなく、筒状部材でクランパを位置決めすることができる。即ち、ターンテーブル側のディスクガイドの形状によらず、同一形状のクランパを用いることができる。
【0036】
次に、本例のディスククランプ機構における各部材の位置関係を、
図4を用いて詳しく説明する。
本例のディスククランプ機構では、筒状部材28の第1下面部28cは、間隙H1を介してクランプ用マグネット27と軸方向で対面し、筒状部材28の第2下面部28dは、間隙H2を介してディスクガイドの立上部23aに軸方向で対面している。
そして、
図4のように、クランパ30Aが光ディスク40をターンテーブル上に圧接した状態において、筒状部材28の第1下面部28cは、クランプ用マグネット27と軸方向で対面するクランパ30Aの対面部33よりも下方に位置している。即ち、間隔H1は間隔H0よりも小さく設定されている。
このため、本例のディスククランプ機構によれば、仮にクランプ用マグネット27がターンテーブル側から脱離して浮き上がったとしても、クランプ用マグネット27は筒状部材28の第1下面部28cに当接して受け止められ、クランパ30Aに接触することがない。
よって、クランプ用マグネット27がターンテーブル側から脱離しても、クランプ用マグネット27がクランパ30Aに吸着することはなく、光ディスク40をターンテーブル上に圧接した状態で挟持することができ、安定したディスクの駆動を行うことができる。
【0037】
また、本例のディスククランプ機構では、間隙H1は間隙H2よりも大きく設定されている。そして、
図4のようにクランパ30Aが光ディスク40をターンテーブル上に圧接した状態において、ディスクガイド23とクランパ30Aの軸方向における最小間隙を間隙H3すると、この間隙H3が間隙H2よりも大きくなるように設定されている。
このため、本例のディスククランプ機構によれば、仮にクランプ用マグネット27を収容しているディスクガイド23がターンテーブル側から浮き上がったとしても、ディスクガイド23は筒状部材28の第2下面部28dに当接して受け止められ、ディスクガイド23がクランパ30Aを押し上げることがない。
よって、ディスクガイド23がターンテーブル側から浮き上がったとしても、光ディスク40をターンテーブル上に圧接した状態で挟持することができ、安定したディスクの駆動を行うことができる。
【0038】
なお、本例のディスククランプ機構における各部の間隙は、
0<H1<H0
0<H2<H1
H2<H3
の関係を有しているが、例えば
図5、
図6の変形例のように構成することもできる。
【0039】
図5の変形例では、ディスククランプ機構の各部の間隙は、
0<H1<H0
H1≦H2
H1<H3
の関係を有している。
図5のディスククランプ機構においても、クランプ用マグネット27がターンテーブル側から浮き上がると、クランプ用マグネット27は筒状部材28の第1下面部28cに当接して受け止められ、クランパ30Aに接触することがない。また、ディスクガイド23がターンテーブル側から浮き上がったとしても、クランプ用マグネット27は筒状部材28の第1下面部28cに当接して受け止められ、ディスクガイド23がクランパ30Aに接触することがない。
よって、クランプ用マグネット27やディスクガイド23がターンテーブル側から浮き上がったとしても、光ディスク40をターンテーブル上に圧接した状態で挟持することができ、安定したディスクの駆動を行うことができる。
【0040】
図6の変形例では、ディスククランプ機構の各部の間隙は、
0<H1<H0
H2=0
の関係を有している。
図6のディスククランプ機構においても、クランプ用マグネット27がターンテーブル側から浮き上がると、クランプ用マグネット27は筒状部材28の第1下面部28cに当接して受け止められ、クランパ30Aに接触することがない。また、ディスクガイド23は筒状部材28の第2下面部28dに当接しているため、ディスクガイド23がターンテーブル側から浮き上がることがなく、ディスクガイド23がクランパ30Aを押し上げることもない。
よって、クランパ30Aは、光ディスク40をターンテーブル上に圧接した状態で挟持することができ、安定したディスクの駆動を行うことができる。
【0041】
(第2の実施形態例)
次に、本発明の第2の実施形態例に係るスピンドルモータの構成を
図7により説明する。
図7は本例のスピンドルモータM2を示す側面図であり、紙面右半分を断面で示している。
図7において、
図1中の部材と同一の部材には同一の符号を付しており、これらの部材については説明を省略する。
【0042】
本例のスピンドルモータM2は、主に、ロータケースとディスクガイドと円筒部材の形状が
図1のスピンドルモータM1と異なる。
【0043】
本例のロータケース51は、磁性を有する板材でキャップ状に形成されており、回転軸22と同軸で円筒状に形成された円筒部51aと、平板状の上面部51bを有している。回転軸22は、ロータケース51の上面部51bの中心に設けられているバーリング部51cに固定されている。
【0044】
本例のディスクガイド53は、硬質樹脂で円環状に形成されており、外周側に複数のガイド爪53cが回転方向に等間隔に設けられており、下面に複数の突起部53dが設けられている。また、ディスクガイド53の内径部は貫通口となっている。
ディスクガイド53は、突起部53dがロータケース51の上面部51bに設けられている複数の貫通孔に挿入されて熱圧着されることにより、ロータケース51と一体化されている。
【0045】
クランプ用マグネット27は、ディスクガイド53の貫通口部分に配され、ロータケース51の上面部51bに直接配されている。このため、ロータケース51がクランプ用マグネット27のバックヨークとなり、本例のスピンドルモータM2では
図1中のヨーク板26が不要となる。
【0046】
本例の筒状部材58は、
図8に示すように、軸方向に平行な外周部58aの上側は湾曲した傾斜面58bとなっていて、上方に向かって外径が漸減している。また、筒状部材58の下面は、平坦な第1下面部58cとなっている。
【0047】
図7に示すように、筒状部材58の外周部58aの外径は、クランプ用マグネット27の内径よりも大きくなっていて、筒状部材58の第1下面部58cは、クランプ用マグネット27の上面と軸方向で対面する構造になっている。
このため、本例のスピンドルモータM2は、スピンドルモータM1と同様、仮にクランプ用マグネット27がターンテーブル側から脱離して浮き上がったとしても、クランプ用マグネット27は筒状部材58の第1下面部58cに当接して受け止められる。
【0048】
次に、本例のスピンドルモータM2を用いたディスククランプ機構を、
図9を用いて説明する。
図9(a)は光ディスクが把持される前の状態を示しており、
図9(b)は光ディスクが把持された状態を示している。
【0049】
図9において、
図3中の部材と同一の部材には同一の符号を付しており、これらの部材については説明を省略する。
図9(a)に示すように、光ディスク40がスピンドルモータM2とクランパ30Aの間に搬送されると、スピンドルモータM2が上昇する。
すると、
図9(b)に示すように、ディスクガイド53のガイド爪53cが光ディスク40の中心孔40aの内縁部に当接され、光ディスク40のセンタリングが自動的に行われる。
一方、クランパ30Aは、クランプ用マグネット27により吸引され、筒状部材58の傾斜面58bと外周部28aに沿って位置決め孔31aがガイドされることにより、自動的にセンタリングされる。
これにより、クランパ30Aのディスク押さえ部32が、ロータケース51の上面部51bとの間に光ディスク40を安定的に把持し、スピンドルモータM2の駆動によって光ディスク40が回転操作されたときの偏心を抑制し、光ディスク40に対する記録再生を適切に行うことができる。
【0050】
このように、本例のディスククランプ機構では、クランパ30Aの位置決め孔31aに挿嵌される外周部58aと、クランプ用マグネット27と軸方向で対面する第1下面部58cを有する筒状部材58を回転軸22の上部に固定している。
このため、ディスクガイドの形状を変更する必要が生じた場合であっても、クランパを変更することなく、筒状部材でクランパを位置決めすることができる。即ち、ターンテーブル側のディスクガイドの形状によらず、同一形状のクランパを用いることができる。
【0051】
次に、本例のディスククランプ機構における各部材の位置関係を、
図10を用いて詳しく説明する。
本例のディスククランプ機構では、筒状部材58の第1下面部58cは、間隙H1を介してクランプ用マグネット27と軸方向で対面している。
そして、
図10のように、クランパ30Aが光ディスク40をターンテーブル上に圧接した状態において、筒状部材58の第1下面部58cは、クランプ用マグネット27と軸方向で対面するクランパ30Aの対面部33よりも下方に位置している。即ち、間隔H1は間隔H0よりも小さく設定されている。
このため、本例のディスククランプ機構によれば、仮にクランプ用マグネット27がターンテーブル側から脱離して浮き上がったとしても、クランプ用マグネット27は筒状部材58の第1下面部58cに当接して受け止められ、クランパ30Aに接触することがない。
よって、クランプ用マグネット27がターンテーブル側から脱離しても、クランプ用マグネット27がクランパ30Aに吸着することはなく、光ディスク40をターンテーブル上に圧接した状態で挟持することができ、安定したディスクの駆動を行うことができる。
【0052】
また、本例では、クランプ用マグネット27がロータケース51の上面部51bに直接当接して配され、磁性体のロータケース51がバックヨークとなり、
図1中のヨーク板26が不要となる。したがって、スピンドルモータ全体の高さを低背化できる。
【0053】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明はこれらの実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において各構成部材などを適宜変更して実施できるものである。
【0054】
例えば、先の実施形態例では、筒状部材28,58は貫通孔を有しているが、天面が閉じたキャップ状とすることもできる。
また、先の実施形態例では、筒状部材28,58は外周部28a,58aの上部に傾斜面28b,58bを有しているが、例えばクランパ側の位置決め部分に同様の機能を持つ傾斜面を設けたり、ディスクガイドを利用してクランパの位置決めを行う場合には、必ずしも傾斜面28b,58bを設ける必要はない。
また、先の実施形態例では、筒状部材28,58を回転軸22に直接圧入しているが、ロータケースのバーリング部21c,51cの外周に圧入したり、ディスクガイドの立上部23aの外周に圧入することもできる。
【0055】
また、先の実施形態例では、位置決め孔31aを有するクランパ30Aを用いているが、例えば
図11に示すように位置決め凹部31bを有するクランパ30Bを用いてもよい。この位置決め凹部31bの内径は、筒状部材28の外周部28aの外径よりも僅かに大きいものである。
但し、
図11のように、クランパ30Bの位置決め凹部31bと筒状部材28の外周部28aの嵌合によってクランパのセンタリングを行う構造では、センタリングの精度に若干ばらつきが生じ易い。その理由は、一般にクランパはセンタリング用の位置決め凹部31bの他にも凹凸加工を必要とする場合が多い為、センタリング用の位置決め凹部31bの内径寸法を厳密に管理するのが難しく、その内径にばらつきが生じ易いからである。
一方、先の実施形態例のように、クランパの位置決め孔31aと筒状部材28,58の外周部28a,58aの嵌合によってクランパのセンタリングを行う構造では、センタリング精度のばらつきを抑制することができる。その理由は、位置決め孔31aはクランパの凹凸形状に関係なく容易に寸法を管理することができるからである。
そのため、本発明のディスククランプ機構では、
図11の形態よりも
図3や
図9の形態の方が、より好ましいものである。
【0056】
また、第1の実施形態例で用いたディスクガイド23と第2の実施形態例で用いた円筒部材58を組み合わせ、
図12乃至
図14のように構成してよい。
図12の例では、ディスククランプ機構の各部の間隙は、
0<H1<H0
H1<H2
H1<H3
の関係を有している。
図13の例では、ディスククランプ機構の各部の間隙は、
0<H1<H0
H1=H2<H3
の関係を有している。
図14の例では、ディスククランプ機構の各部の間隙は、
0<H1<H0
0<H2<H1
H2<H3
の関係を有している。
図12乃至
図14のディスククランプ機構においても、クランプ用マグネット27やディスクガイド23がターンテーブル側から浮き上がったとしても、光ディスク40をターンテーブル上に圧接した状態で挟持することができ、安定したディスクの駆動を行うことができる。