特許第5778019号(P5778019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5778019バッテリ充電装置及びバッテリ充電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778019
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】バッテリ充電装置及びバッテリ充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/14 20060101AFI20150827BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   H02J7/14 P
   H02P9/04 M
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-270298(P2011-270298)
(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公開番号】特開2013-123299(P2013-123299A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2014年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100153914
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 勝己
(72)【発明者】
【氏名】上村 智恭
【審査官】 田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−113420(JP,U)
【文献】 実開平03−097400(JP,U)
【文献】 特開平01−150919(JP,A)
【文献】 実開平03−007628(JP,U)
【文献】 特開平08−089000(JP,A)
【文献】 実開平03−074200(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/00−1/10
H02J 7/00−7/36
H02P 9/00−9/48
H05B 37/00−39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機の発電コイルの一端及び他端間から出力された第1の交流電圧を整流してバッテリを充電すると共に、前記発電コイルの中間タップ及び他端間から出力された第2の交流電圧を制御して負荷に供給するバッテリ充電装置であって、
前記発電コイルの一端が接続されるチャージ端子と、
前記発電コイルの前記中間タップと前記負荷の一端とが接続される負荷端子と、
前記バッテリの一端が接続されるバッテリ端子と、
前記発電コイルの他端と前記負荷の他端と前記バッテリの他端とが接続されるアース端子と、
前記アース端子に入力端子が接続され、前記負荷端子に出力端子が接続された第1のスイッチ素子と、
前記負荷端子の前記第2の交流電圧に応じて、前記第1のスイッチ素子をオンまたはオフにする負荷制御部と、
前記チャージ端子に入力端子が接続され、前記バッテリ端子に出力端子が接続された第2のスイッチ素子と、
前記バッテリ端子のバッテリ電圧に応じて、前記第2のスイッチ素子をオンまたはオフにするバッテリ制御部と、
前記負荷端子に入力端子が接続され、前記アース端子に出力端子が接続された第3のスイッチ素子と、を備え
前記負荷制御部は、前記負荷端子の前記第2の交流電圧が負の第1の所定値以下の時、前記第1のスイッチ素子をオンにして、
前記バッテリ制御部は、前記バッテリ端子の前記バッテリ電圧が正の第2の所定値未満の時、前記第2のスイッチ素子をオンにして、
前記負荷制御部は、前記負荷端子の前記第2の交流電圧が正の第3の所定値以上の時、前記第3のスイッチ素子をオンにして、
前記バッテリ電圧が前記第2の所定値より高い第4の所定値以上の時、前記第3のスイッチ素子をオンにする過電圧制御部を備える
ことを特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項2】
前記第1のスイッチ素子は、前記アース端子にアノードが接続され、前記負荷端子にカソードが接続された第1のサイリスタで構成され、
前記第2のスイッチ素子は、前記チャージ端子にアノードが接続され、前記バッテリ端子にカソードが接続された第2のサイリスタで構成され、
前記第3のスイッチ素子は、前記負荷端子にアノードが接続され、前記アース端子にカソードが接続された第3のサイリスタで構成されている
ことを特徴とする請求項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項3】
前記バッテリ制御部は、前記バッテリ電圧が前記第2の所定値以上の時、前記第2のサイリスタのアノードとゲートとを開放し、前記バッテリ電圧が前記第2の所定値未満の時、前記第2のサイリスタのアノードとゲートとを短絡する
ことを特徴とする請求項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項4】
前記負荷はランプであることを特徴とする請求項1から請求項の何れかに記載のバッテリ充電装置。
【請求項5】
前記発電機は、単相磁石式交流発電機であることを特徴とする請求項1から請求項の何れかに記載のバッテリ充電装置。
【請求項6】
発電コイルを有し、当該発電コイルの一端及び他端間から第1の交流電圧を出力すると共に、当該発電コイルの中間タップ及び他端間から第2の交流電圧を出力する発電機と、
負荷と、
バッテリと、
前記発電機から出力された前記第1の交流電圧を整流して前記バッテリを充電すると共に、前記発電機から出力された前記第2の交流電圧を制御して前記負荷に供給する請求項1から請求項の何れかに記載のバッテリ充電装置と、を備える
ことを特徴とするバッテリ充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機で発電された交流電圧に基づいてバッテリを充電するバッテリ充電装置及びバッテリ充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等に用いられる従来のバッテリ充電装置として、図3に示される回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。このバッテリ充電装置100xは、発電機101の発電コイル101aの一端T1及び他端T2間から出力された第1の交流電圧Vac1を整流してバッテリ103を充電すると共に、発電コイル101aの中間タップTc及び他端T2間から出力された第2の交流電圧Vac2を制御してランプ(負荷)102に供給するように構成されている。バッテリ充電装置100xのチャージ端子Aは発電コイル101aの一端T1に接続され、負荷端子Lは発電コイル101aの中間タップTc及びランプ102の一端に接続され、バッテリ端子Bはヒューズ104を介してバッテリ103の一端に接続されている。アース端子Eは、発電コイル101aの他端T2とランプ102の他端とバッテリ103の他端とに接続されて接地されている。
【0003】
バッテリ制御部12xは、バッテリ端子Bのバッテリ電圧VBが正の満充電値未満の場合にサイリスタS2xをオンにする。これにより、バッテリ103が十分に充電されていない場合、チャージ端子Aの第1の交流電圧Vac1が正の期間に、オンとなったサイリスタS2xを介してチャージ端子Aからバッテリ端子Bに電流が流れてバッテリ103を充電できる。
【0004】
負荷制御部11xは、負荷端子Lの第2の交流電圧Vac2が負のランプ電圧下限値以下の場合にサイリスタS1xをオンにすると共に、正のランプ電圧上限値以上の場合にサイリスタS3xをオンにする。サイリスタS1x又はサイリスタS3xがオンの期間、チャージ端子Aとアース端子E間は短絡されるので、ランプ102に加えられる負荷端子Lの第2の交流電圧Vac2も0Vに近づく。即ち、正のランプ電圧上限値以上または負のランプ電圧下限値以下の過電圧がランプ102に加えられないように制御して、ランプ102を保護しつつ点灯させることができる。
【0005】
過電圧制御部13xは、バッテリ電圧VBがバッテリ電圧上限値以上の時、サイリスタS3xをオンにする。バッテリ電圧上限値は、上記バッテリ電圧VBの満充電値より高い。これにより、バッテリ端子Bにバッテリ電圧上限値以上の過電圧が加えられないようにして、バッテリ端子Bに接続されている他の負荷を破壊しないようにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4597194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、サイリスタS1x又はサイリスタS3xがオンしている期間では、上述のように第1の交流電圧Vac1が加えられるチャージ端子Aとアース端子E間が短絡されている。そのため、ランプ102のみならず、バッテリ103にも電圧が供給されなくなってしまう。
【0008】
従って、図4に示すように、バッテリ103を充電可能な期間TBxは、チャージ端子Aの第1の交流電圧Vac1が正であり、且つ、サイリスタS1xとサイリスタS3xがオフである期間に限られてしまう。つまり、バッテリ103の充電開始のタイミング(時刻t10)がサイリスタS1xのオンに影響され、バッテリ103の充電終了のタイミング(時刻t11)がサイリスタS3xのオンに影響されてしまうので、バッテリ103を充電可能な期間TBxを十分に確保できないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、負荷を保護しつつバッテリを充電可能な期間を長くできるバッテリ充電装置及びバッテリ充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る実施例に従ったバッテリ充電装置は、
発電機の発電コイルの一端及び他端間から出力された第1の交流電圧を整流してバッテリを充電すると共に、前記発電コイルの中間タップ及び他端間から出力された第2の交流電圧を制御して負荷に供給するバッテリ充電装置であって、
前記発電コイルの一端が接続されるチャージ端子と、
前記発電コイルの前記中間タップと前記負荷の一端とが接続される負荷端子と、
前記バッテリの一端が接続されるバッテリ端子と、
前記発電コイルの他端と前記負荷の他端と前記バッテリの他端とが接続されるアース端子と、
前記アース端子に入力端子が接続され、前記負荷端子に出力端子が接続された第1のスイッチ素子と、
前記負荷端子の前記第2の交流電圧に応じて、前記第1のスイッチ素子をオンまたはオフにする負荷制御部と、
前記チャージ端子に入力端子が接続され、前記バッテリ端子に出力端子が接続された第2のスイッチ素子と、
前記バッテリ端子のバッテリ電圧に応じて、前記第2のスイッチ素子をオンまたはオフにするバッテリ制御部と、を備える
ことを特徴とする。
【0011】
また、前記バッテリ充電装置において、
前記負荷制御部は、前記負荷端子の前記第2の交流電圧が負の第1の所定値以下の時、前記第1のスイッチ素子をオンにして、
前記バッテリ制御部は、前記バッテリ端子のバッテリ電圧が正の第2の所定値未満の時、前記第2のスイッチ素子をオンにしてもよい。
【0012】
また、前記バッテリ充電装置において、
前記負荷端子に入力端子が接続され、前記アース端子に出力端子が接続された第3のスイッチ素子を備え、
前記負荷制御部は、前記負荷端子の前記第2の交流電圧が正の第3の所定値以上の時、前記第3のスイッチ素子をオンにしてもよい。
【0013】
また、前記バッテリ充電装置において、
前記バッテリ電圧が前記第2の所定値より高い第4の所定値以上の時、前記第3のスイッチ素子をオンにする過電圧制御部を備えてもよい。
【0014】
また、前記バッテリ充電装置において、
前記第1のスイッチ素子は、前記アース端子にアノードが接続され、前記負荷端子にカソードが接続された第1のサイリスタで構成され、
前記第2のスイッチ素子は、前記チャージ端子にアノードが接続され、前記バッテリ端子にカソードが接続された第2のサイリスタで構成され、
前記第3のスイッチ素子は、前記負荷端子にアノードが接続され、前記アース端子にカソードが接続された第3のサイリスタで構成されていてもよい。
【0015】
また、前記バッテリ充電装置において、
前記バッテリ制御部は、前記バッテリ電圧が前記第2の所定値以上の時、前記第2のサイリスタのアノードとゲートとを開放し、前記バッテリ電圧が前記第2の所定値未満の時、前記第2のサイリスタのアノードとゲートとを短絡してもよい。
【0016】
また、前記バッテリ充電装置において、
前記負荷はランプであってもよい。
【0017】
また、前記バッテリ充電装置において、
前記発電機は、単相磁石式交流発電機であってもよい。
【0018】
本発明の一態様に係る実施例に従ったバッテリ充電システムは、
発電コイルを有し、当該発電コイルの一端及び他端間から第1の交流電圧を出力すると共に、当該発電コイルの中間タップ及び他端間から第2の交流電圧を出力する発電機と、
負荷と、
バッテリと、
前記発電機から出力された前記第1の交流電圧を整流して前記バッテリを充電すると共に、前記発電機から出力された前記第2の交流電圧を制御して前記負荷に供給する上記バッテリ充電装置と、を備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様に係るバッテリ充電装置及びバッテリ充電システムによれば、アース端子に入力端子が接続され、負荷端子に出力端子が接続された第1のスイッチ素子を設け、負荷端子の第2の交流電圧に応じて第1のスイッチ素子をオンまたはオフに制御するようにしている。これにより、第1のスイッチ素子のオン期間において、負荷端子とアース端子との間は短絡されて負荷には電圧がほとんど加えられないが、負荷端子とチャージ端子との間は短絡されないので、発電機から出力された負荷端子とチャージ端子との間の電圧を用いてバッテリを充電できる。即ち、バッテリの充電タイミングが、第1のスイッチ素子のオンに影響されない。従って、負荷を保護しつつバッテリを充電可能な期間を長くできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1に係るバッテリ充電システムの構成を示す図である。
図2】実施例1に係るバッテリ充電システムの動作を説明する波形図である。
図3】従来のバッテリ充電システムの構成を示す図である。
図4】従来のバッテリ充電システムの動作を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る各実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、実施例1に係るバッテリ充電システムの構成を示す図である。図1に示すように、バッテリ充電システムは、バッテリ充電装置(レギュレータ)100と、発電機101と、ランプ(負荷)102と、バッテリ103と、ヒューズ104と、を備える。このバッテリ充電システムは、例えば、自動二輪車に搭載される。
【0023】
発電機101は、発電コイル101aを有し、当該発電コイル101aの一端T1及び他端T2間から第1の交流電圧Vac1を出力すると共に、当該発電コイル101aの中間タップTc及び他端T2間から第2の交流電圧Vac2を出力する。つまり、第2の交流電圧Vac2は、中間タップTcによって第1の交流電圧Vac1が分圧された電圧である。この発電機101は、例えば、単相磁石式交流発電機である。
【0024】
バッテリ103は、ヒューズ104を介して、バッテリ充電装置100に接続されている。このバッテリ103は、充放電可能であり、発電機101により充電されるようになっている。このバッテリ103には、例えば、バッテリ103から電力が供給されるストップランプ等の他の負荷(図示せず)が接続されている。
【0025】
ランプ102は、発電機101により電力が供給されるようになっている。ランプ102は、例えば、自動二輪車のヘッドライトである。
【0026】
バッテリ充電装置100は、発電機101から出力された第1の交流電圧Vac1を整流してバッテリ103を充電すると共に、発電機101から出力された第2の交流電圧Vac2を制御してランプ102に供給する。
【0027】
バッテリ充電装置100は、チャージ端子Aと、負荷端子Lと、バッテリ端子Bと、アース端子Eと、第1のサイリスタ(第1のスイッチ素子)S1と、第2のサイリスタ(第2のスイッチ素子)S2と、第3のサイリスタ(第3のスイッチ素子)S3と、負荷制御部11と、バッテリ制御部12と、過電圧制御部13と、を備える。
【0028】
チャージ端子Aは、発電コイル101aの一端T1が接続される。負荷端子Lは、発電コイル101aの中間タップTcとランプ102の一端とが接続される。バッテリ端子Bは、ヒューズ104を介してバッテリ103の一端(正極側の端子)が接続される。アース端子Eは、発電コイル101aの他端T2と、ランプ102の他端と、バッテリ103の他端(負極側の端子)とが接続される。
【0029】
第1のサイリスタS1は、アース端子Eにアノード(入力端子)が接続され、負荷端子Lにカソード(出力端子)が接続されている。
第2のサイリスタS2は、チャージ端子Aにアノード(入力端子)が接続され、バッテリ端子Bにカソード(出力端子)が接続されている。
第3のサイリスタS3は、負荷端子Lにアノード(入力端子)が接続され、アース端子Eにカソード(出力端子)が接続されている。
【0030】
負荷制御部11は、負荷端子Lの第2の交流電圧Vac2に応じて、第1のサイリスタS1または第3のサイリスタS3をオンまたはオフにする。即ち、負荷制御部11は、ランプ102を短絡制御する。
【0031】
具体的には、負荷制御部11は、4つの端子T11a,T11b,T11c,T11dを有する。端子T11aは、負荷端子Lに接続されている。端子T11bは、第1のサイリスタS1のゲートに接続されている。端子T11cは、第3のサイリスタS3のゲートに接続されている。端子T11dは、アース端子Eに接続されている。
【0032】
負荷制御部11は、負荷端子Lの第2の交流電圧Vac2(即ち、端子T11aと端子T11dとの間の電位差)が負の第1の所定値(ランプ電圧下限値)以下の時、端子T11bから第1のサイリスタS1のゲートに電流を流すことにより、第1のサイリスタS1をオンにする。負荷制御部11は、第2の交流電圧Vac2が第1の所定値より高い時、端子T11bから第1のサイリスタS1のゲートへの電流を遮断することにより、第1のサイリスタS1をオフにする。
【0033】
また、負荷制御部11は、第2の交流電圧Vac2が正の第3の所定値(ランプ電圧上限値)以上の時、端子T11cから第3のサイリスタS3のゲートに電流を流すことにより、第3のサイリスタS3をオンにする。負荷制御部11は、第2の交流電圧Vac2が第3の所定値未満の時、端子T11cから第3のサイリスタS3のゲートへの電流を遮断することにより、第3のサイリスタS3をオフにする。
【0034】
第1の所定値及び第3の所定値は、ランプ102に過電圧が加えられない電圧値に設定されている。即ち、負荷制御部11は、第1の所定値以上または第3の所定値以下の過電圧がランプ102に加えられないように制御して、ランプ102を保護しつつ点灯させることができる。
【0035】
バッテリ制御部12は、バッテリ端子Bのバッテリ電圧VBに応じて、第2のサイリスタS2をオンまたはオフにする。具体的には、バッテリ制御部12は、4つの端子T12a,T12b,T12c,T12dを有する。端子T12aは、チャージ端子Aに接続されている。端子T12bは、第2のサイリスタS2のゲートに接続されている。端子T12cは、バッテリ端子Bに接続されている。端子T12dは、アース端子Eに接続されている。
【0036】
バッテリ制御部12は、バッテリ端子Bのバッテリ電圧VB(即ち、端子T12cと端子T12dとの間の電位差)が正の第2の所定値(満充電値)未満の時、端子T12bから第2のサイリスタS2のゲートに電流を流すことにより、第2のサイリスタS2をオンにする。第2の所定値は、バッテリ103が過充電されない電圧値に設定されている。これにより、バッテリ103が十分に充電されていない場合、第1の交流電圧Vac1が正の期間に、オンとなった第2のサイリスタS2を介してチャージ端子Aからバッテリ端子Bに電流が流れてバッテリ103は充電される。
【0037】
また、バッテリ制御部12は、バッテリ電圧VBが第2の所定値以上の時、端子T12bから第2のサイリスタS2のゲートへの電流を遮断することにより、第2のサイリスタS2をオフにする。これにより、バッテリ103が十分に充電されている場合、第2のサイリスタS2は電流を流さないので、バッテリ103は過充電されない。
【0038】
より詳細には、バッテリ制御部12は、バッテリ電圧VBが第2の所定値未満の時、端子T12aと端子T12bとを短絡することにより、第2のサイリスタS2のアノードとゲートとを短絡する。また、バッテリ制御部12は、バッテリ電圧VBが第2の所定値以上の時、端子T12aと端子T12bとを開放することにより、第2のサイリスタS2のアノードとゲートとを開放する。
【0039】
過電圧制御部13は、バッテリ電圧VBが第2の所定値より高い第4の所定値(バッテリ電圧上限値)以上の時、第3のサイリスタS3をオンにする。具体的には、過電圧制御部13は、3つの端子T13a,T13b,T13cを有する。端子T13aは、第3のサイリスタS3のゲートに接続されている。端子T13bは、バッテリ端子Bに接続されている。端子T13cは、アース端子Eに接続されている。
【0040】
過電圧制御部13は、バッテリ電圧VB(即ち、端子T13bと端子T13cとの間の電位差)が第4の所定値以上の時、端子T13aから第3のサイリスタS3のゲートに電流を流すことにより、第3のサイリスタS3をオンにする。第4の所定値は、バッテリ端子Bに接続されたストップランプ等の他の負荷に過電圧が加えられない電圧値に設定されている。
【0041】
これにより、過電圧制御部13は、バッテリ端子Bに過電圧が加えられないようにして、バッテリ端子Bに接続されているストップランプ等の他の負荷を破壊しないようにできる。つまり、バッテリ端子Bにバッテリ103が接続されておらず、第1の交流電圧Vac1が直接他の負荷に供給される場合であっても、他の負荷を保護できる。
【0042】
次に、図2を参照してバッテリ充電システムの動作を説明する。図2は、実施例1に係るバッテリ充電システムの動作を説明する波形図である。図2は、第1の交流電圧Vac1の時間変化を、発電機101の端子T1及び端子T2が解放されていると仮定した場合に発電機101が端子T1及び端子T2間から出力する電圧Vac1’の時間変化に重ねて示している。
【0043】
時刻t0以降、第1の交流電圧Vac1が0Vから負に低下する。このとき、ランプ102は、第1の交流電圧Vac1が分圧された負の第2の交流電圧Vac2(図示せず)が加えられて点灯する。時刻t1において、第2の交流電圧Vac2が負の第1の所定値以下になると、負荷制御部11は第1のサイリスタS1のゲートに電流を流して、第1のサイリスタS1をオンにする。これにより、負荷端子Lとアース端子E間が短絡されるため、第2の交流電圧Vac2はほぼ0Vになり、第1の交流電圧Vac1は、絶対値が低下して発電コイル101aの一端T1と中間タップTc間(即ち、チャージ端子Aと負荷端子L間)の電圧となる。第2の交流電圧Vac2はほぼ0Vになるため、ランプ102は消灯する。そして、第2の交流電圧Vac2が負の第1の所定値より高くなるので、負荷制御部11は第1のサイリスタS1のゲートの電流を遮断する。
【0044】
時刻t2において、バッテリ電圧VBが第2の所定値未満であるとする。すると、第2のサイリスタS2は、正になった第1の交流電圧Vac1よってゲートに電流が流れてオンする。これにより、第1の交流電圧Vac1が第2のサイリスタS2を介してバッテリ103に供給され、バッテリ103は充電される。時刻t2以降のバッテリ103が充電されている間、第1の交流電圧Vac1はバッテリ電圧VBの影響によりほぼ一定となる。
【0045】
第1のサイリスタS1に流れる電流の位相が第1の交流電圧Vac1の位相より遅れるため、時刻t2から遅れた時刻t3において、第1のサイリスタS1のアノードからカソードに流れる電流が0Aになり、第1のサイリスタS1はオフになる。これにより、ランプ102は、第1の交流電圧Vac1が分圧された正の第2の交流電圧Vac2が加えられて再び点灯する。また、第1の交流電圧Vac1は、発電コイル101aの一端T1と他端T2間から供給される。
【0046】
バッテリ103の充電が進むに従い、バッテリ電圧VBは上昇する。そして、時刻t4において、バッテリ電圧VBが第4の所定値以上になると、過電圧制御部13は、第3のサイリスタS3のゲートに電流を流して第3のサイリスタS3をオンにする。これにより、負荷端子Lとアース端子E間が短絡されるため、第2の交流電圧Vac2はほぼ0Vになり、第1の交流電圧Vac1は、発電コイル101aの一端T1と中間タップTc間から供給される。その後、バッテリ電圧VBが第4の所定値未満になると、過電圧制御部13は第3のサイリスタS3のゲートの電流を遮断する。
【0047】
その後、第1の交流電圧Vac1が低下する時刻t5までバッテリ103は充電される。
【0048】
時刻t6において、第3のサイリスタS3のアノードからカソードに流れる電流が0Aになり、第3のサイリスタS3はオフになる。これにより、ランプ102に負の第2の交流電圧Vac2が加えられ、ランプ102は再び点灯する。また、第1の交流電圧Vac1は、絶対値が増加して発電コイル101aの一端T1と他端T2間(即ち、チャージ端子Aとアース端子E間)の電圧となる。
【0049】
このように、バッテリ103の充電開始のタイミング(時刻t2)が第1のサイリスタS1のオン(時刻t1からt3)に影響されず、その上、バッテリ103の充電終了のタイミング(時刻t5)が第3のサイリスタS3のオン(時刻t4からt6)に影響されない。よって、バッテリ103を充電可能な期間TB(時刻t2からt5)は、第1の交流電圧Vac1が正の期間とほぼ等しくなる。
【0050】
時刻t6以降も、以上の説明と同様に動作する。
【0051】
なお、バッテリ電圧VBが第2の所定値以上に保持されている時に第1の交流電圧Vac1が負から正になっても、第2のサイリスタS2はオフを保つため、第1の交流電圧Vac1はバッテリ103に加えられない。よって、この場合、第1の交流電圧Vac1はバッテリ電圧VBより高くなる。しかし、第1の交流電圧Vac1がバッテリ電圧VBより高くなり、これにより第2の交流電圧Vac2が第3の所定値以上になると、負荷制御部11が第3のサイリスタS3をオンにする。これにより、第2の交流電圧Vac2はほぼ0Vになり、ランプ102に過電圧が加えられることはない。
【0052】
以上で説明した様に、本実施例によれば、アース端子Eにアノードが接続され、負荷端子Lにカソードが接続された第1のサイリスタS1を設け、負荷端子Lの第2の交流電圧Vac2に応じて第1のサイリスタS1をオンまたはオフに制御するようにしている。これにより、第1のサイリスタS1のオン期間において、負荷端子Lとアース端子Eとの間は短絡されてランプ102には電圧がほとんど加えられないが、負荷端子Lとチャージ端子Aとの間は短絡されないので、発電機101から出力された負荷端子Lとチャージ端子Aとの間の電圧を用いてバッテリ103を充電できる。即ち、バッテリ103の充電タイミングが、第1のサイリスタS1のオンに影響されない。
【0053】
また、負荷端子Lにアノードが接続され、アース端子Eにカソードが接続された第3のサイリスタS3を設け、第2の交流電圧Vac2またはバッテリ端子Bのバッテリ電圧VBに応じて第3のサイリスタS3をオンまたはオフに制御するようにしている。これにより、第3のサイリスタS3のオン期間において、負荷端子Lとアース端子Eとの間は短絡されてランプ102には電圧がほとんど加えられないが、負荷端子Lとチャージ端子Aとの間は短絡されないので、発電機101から出力された負荷端子Lとチャージ端子Aとの間の電圧を用いてバッテリ103を充電できる。即ち、バッテリ103の充電タイミングが、第3のサイリスタS3のオンに影響されない。
【0054】
以上から、本実施例によれば、ランプ102を保護しつつバッテリ103を充電可能な期間TBを長くできる。よって、バッテリ103が充電不足になる可能性を低くできる。
【0055】
なお、バッテリ端子Bに接続されているストップランプ等の他の負荷に過電圧が加えられる恐れが無い場合には、バッテリ充電装置100aは、第3のサイリスタS3と過電圧制御部13を備えなくてもよい。この場合でも、第1のサイリスタS1がオンした時にランプ102に過電圧が加えられない上、バッテリ103の充電タイミングが第1のサイリスタS1のオンに影響されないので、ランプ102を保護しつつバッテリ103を充電可能な期間TBを長くできる。
【0056】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することができる。
例えば、実施例1では3つのサイリスタS1,S2,S3を備える一例について説明したが、サイリスタS1,S2,S3のかわりにバイポーラトランジスタやMOSFETなどのスイッチ素子を用いてもよい。
【符号の説明】
【0057】
A チャージ端子
L 負荷端子
B バッテリ端子
E アース端子
S1 第1のサイリスタ(第1のスイッチ素子)
S2 第2のサイリスタ(第2のスイッチ素子)
S3 第3のサイリスタ(第3のスイッチ素子)
11 負荷制御部
12 バッテリ制御部
13 過電圧制御部
100 バッテリ充電装置
101 発電機
101a 発電コイル
102 ランプ(負荷)
103 バッテリ
104 ヒューズ
図1
図2
図3
図4