(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
巻取方向に回転することでウェビングを巻取るスプールを有すると共に、作動することで前記巻取方向とは反対の引出方向への前記スプールの回転を規制するロック機構を有し、車両用シートを構成するシートクッションに対してシート幅方向を軸方向とする軸周りに傾動可能なシートバックに設けられた巻取装置本体と、
慣性移動することで前記ロック機構を作動させる慣性質量体が載置されると共に、前記巻取装置本体に対して所定の回動軸周りに回動可能に前記巻取装置本体に設けられたハウジングを有する加速度センサと、
長手方向先端が前記加速度センサの前記ハウジングに直接又は間接的に接続されて、長手方向に変位することで前記加速度センサの前記ハウジングを前記巻取装置本体に対して回動させる長尺の連結部材と、
前記シートバックの傾動に一体的又は前記シートバックの傾動に連動して回転すると共に、前記連結部材の長手方向基端側が係止された回転体を含めて構成され、前記回転体が回転方向の一方へ回転することにより前記回転体が前記連結部材をその長手方向基端側から巻取りつつ前記連結部材をその長手方向基端側へ引っ張って移動させる傾動検出手段と、
前記連結部材の先端が係止されると共に、前記回転体の回転接線方向に移動可能に前記回転体に設けられた連結部材調整手段と、
前記回転体の回転周方向に前記回転体に係合した状態で前記回転体に対して同軸的に相対回転可能に設けられ、前記シートバックの傾動に一体的又は前記シートバックの傾動に連動して回転して、この回転を前記回転体に伝えて前記回転体を回転させると共に、前記回転方向の他方への前記回転体の回転が規制された状態で、前記回転方向の他方へ前記回転体に対して相対回転可能な回転伝達部材と、
を備えるウェビング巻取装置。
前記回転体の回転方向に前記回転体と対向し、前記回転体が当接することで前記回転体の回転を規制すると共に、前記回転体の当接位置を介して前記回転体とは反対側で前記回転体支持部材を前記シートの所定部位に固定する固定手段が貫通する規制部を前記回転体支持部材に設けた請求項2又は請求項3に記載のウェビング巻取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に開示された構成では、ラックが直線的にスライドするため収容するケースはラックの可動(スライド)範囲を考慮した大きさとしなければならず、ケースが大型化する。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して、シートバックの傾動に連動する機構及びこのような機構を収容する部材を小型化できるウェビング巻取装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明に係るウェビング巻取装置は、巻取方向に回転することでウェビングを巻取るスプールを有すると共に、作動することで前記巻取方向とは反対の引出方向への前記スプールの回転を規制するロック機構を有し、車両用シートを構成するシートクッションに対してシート幅方向を軸方向とする軸周りに傾動可能なシートバックに設けられた巻取装置本体と、慣性移動することで前記ロック機構を作動させる慣性質量体が載置されると共に、前記巻取装置本体に対して所定の回動軸周りに回動可能に前記巻取装置本体に設けられたハウジングを有する加速度センサと、長手方向先端が前記加速度センサの前記ハウジングに直接又は間接的に接続されて、長手方向に変位することで前記加速度センサの前記ハウジングを前記巻取装置本体に対して回動させる長尺の連結部材と、前記シートバックの傾動に一体的又は前記シートバックの傾動に連動して回転すると共に、前記連結部材の長手方向基端側が係止された回転体を含めて構成され、前記回転体が
回転方向の一方へ回転することにより前記回転体が前記連結部材をその長手方向基端側から巻取りつつ前記連結部材をその長手方向基端側へ引っ張って移動させる傾動検出手段と、前記連結部材の先端が係止されると共に、前記回転体の回転接線方向に移動可能に前記回転体に設けられた連結部材調整手段と、
前記回転体の回転周方向に前記回転体に係合した状態で前記回転体に対して同軸的に相対回転可能に設けられ、前記シートバックの傾動に一体的又は前記シートバックの傾動に連動して回転して、この回転を前記回転体に伝えて前記回転体を回転させると共に、前記回転方向の他方への前記回転体の回転が規制された状態で、前記回転方向の他方へ前記回転体に対して相対回転可能な回転伝達部材と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載の本発明に係るウェビング巻取装置によれば、シートバックがシートクッションに対してシート幅方向を軸方向とする軸周りに傾動すると、シートバックと一体的又はこのシートバックの傾動に連動して傾動検出手段の回転体が回転する。回転体には連結部材の長手方向基端が係止されており、シートバックがその傾動方向一方(例えば、シートバックがシート後方へ倒れる方向)へ傾動して回転体がその回転方向一方へ回転すると、連結部材がその長手方向基端側から回転体に巻取られる。このように、連結部材が回転体に巻取られることで連結部材はその長手方向基端側へ引っ張られ、連結部材の長手方向先端側が基端側へ移動する。
【0009】
連結部材の長手方向先端側は、巻取装置本体に対して回動可能に設けられた加速度センサのハウジングに直接又はギヤやプーリ等の伝達手段を介して間接的に接続されており、連結部材の長手方向先端側が基端側へ移動することで加速度センサのハウジングが巻取装置本体に対して回動する。巻取装置本体は上記のシートバックに設けられておりシートバックと共に傾動するが、シートバックが傾動した際に加速度センサのハウジングが連結部材によって巻取装置本体に対して回動させられることにより、加速度センサのハウジングの傾動が抑制される。これにより、シートバックが傾動しても、シートバックが傾動していない状態と同様に加速度センサを作動させることができる。
【0010】
ここで、本発明に係るウェビング巻取装置では、連結部材の引っ張り(連結部材の長手方向基端側への移動)が傾動検出手段の回転体が連結部材をその長手方向基端側から巻取ることで成される。回転体はその回転中心周りに回転するだけであり、その回転中心軸に対して直交する向き(回転半径方向)にスライドすることがない。すなわち、回転体は、その設置スペースがあれば動作できる。このため、傾動検出手段を小型化できる。
【0011】
一方、本発明に係るウェビング巻取装置によれば、回転体には連結部材調整手段が回転体の回転接線方向に移動可能に設けられており、この連結部材調整手段に連結部材の先端が係止される。この連結部材調整手段を上記の回転接線方向一方へ移動させると、連結部材が長手方向基端側へ引っ張られて移動する。これに対して、連結部材調整手段を回転接線方向他方へ移動させると、連結部材が長手方向先端側へ押し戻されて移動する。これにより、シートバックに対する回転体の回転位置と巻取装置本体に対する加速度センサのハウジングの回動位置との初期調整ができる。
また、本発明に係るウェビング巻取装置によれば、回転体に対して同軸的に相対回転可能な回転伝達部材を備えている。この回転伝達部材は回転体の回転周方向に回転体と係合していると共に、シートバックの傾動に一体的又はシートバックの傾動に連動して回転する。シートバックが傾動することで回転伝達部材が回転すると、この回転伝達部材の回転が回転体に伝わり、これにより、回転体が回転して連結部材が操作される。
ここで、回転方向他方(例えば、後方へ倒れていたシートバックが戻る方向)への回転体の回転が規制されると、この状態で回転伝達部材は更に回転方向他方へ回転できる。このため、回転方向他方への向きに対応する傾動方向へシートバックが更に傾動しても、回転体が回転方向他方へ回転することはなく、加速度センサのハウジングが回動させられることがない。
【0012】
請求項2に記載の本発明に係るウェビング巻取装置は、請求項1に記載の本発明において、先端側が前記巻取装置本体に係止されて内側を前記連結部材が通過するチューブと、前記回転体を回転可能に支持すると共に、前記チューブの基端が係止され、更に、
シートバックがシートの前方及び後方へ傾動していないシートバック初期状態で前記回転体の回転中心を介して前記チューブの基端の係止位置とは反対側に操作部が設けられ、前記操作部に対応する回転位置に前記回転体が位置する状態で前記連結部材調整手段を操作可能な回転体支持部材と、を備えている。
【0013】
請求項2に記載の本発明に係るウェビング巻取装置によれば、連結部材が内側を通過するチューブは、その先端側が巻取装置本体に係止されて基端が回転体支持部材に係止される。この回転体支持部材は回転体を回転可能に支持していると共に、
シートバックがシートの前方及び後方へ傾動していないシートバック初期状態で回転体の回転中心を介して回転体支持部材におけるチューブの係止位置とは反対側に操作部が設けられ、この操作部に対応する回転位置に回転体が位置している状態で操作部から連結部材調整手段を操作して、連結部材調整手段を回転体の接線方向へ移動させることができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係るウェビング巻取装置は、請求項2に記載の本発明において
、前記チューブの長手方向に沿うように外周一部にて開口して内側に配置された前記チューブの基端側を係止するチューブ係止部が形成され
ると共に、前記チューブの長手方向に対して直交する向きで且つ前記回転体の回転半径方向外向きに開口したチューブ装着口が前記チューブ係止部に形成され
、更に、前記回転体の回転軸方向一方へ向けて開口した有底形状に形成されて内側で前記回転体を回転可能に支持する支持部材本体を含めて前記回転体支持部材を構成している。
【0015】
請求項3に記載の本発明に係るウェビング巻取装置によれば、回転体支持部材が支持部材本体を含めて構成される。この支持部材本体は回転体の回転軸方向一方へ向けて開口した有底形状に形成され、この支持部材本体の内側で回転体が回転可能に支持される。
【0016】
この支持部材本体にはチューブの基端側を係止するチューブ係止部が形成される。このチューブ係止部はチューブの長手方向に開口しており、チューブ係止部の内側に配置されたチューブの先端側がチューブ係止部における開口からチューブ係止部の外方へ延びる。ここで、チューブ係止部はチューブの長手方向に開口した開口とは別にチューブ装着口が形成される。このチューブ装着口はチューブの長手方向に対して直交する向きで且つ回転体の回転半径方向外向きに開口しており、チューブを支持部材本体に装着するにあたっては、このチューブ装着口からチューブがチューブ係止部内に配置される。
【0017】
このため、チューブの基端側がチューブ係止部から外れるには、チューブがチューブ装着口の開口側へ移動しなくてはならない。したがって、この状態で回転体に設けられた連結部材調整手段に連結部材の基端が接続されていれば、チューブ装着口の開口側へチューブは移動しにくくなり、このため、回転体支持部材をシートバック等に仮組みする際に、チューブが回転体支持部材から外れ難くなる。
【0018】
請求項4に記載の本発明に係るウェビング巻取装置は、請求項2又は請求項3に記載の本発明において、前記回転体の回転方向に前記回転体と対向し、前記回転体が当接することで前記回転体の回転を規制すると共に、前記回転体の当接位置を介して前記回転体とは反対側で前記回転体支持部材を前記シートの所定部位に固定する固定手段が貫通する規制部を前記回転体支持部材に設けている。
【0019】
請求項4に記載の本発明に係るウェビング巻取装置によれば、回転体の回転方向に対向する規制部が回転体支持部材に設けられ、回転体が回転方向一方又は他方に回転して規制部に当接すると、その回転方向へのそれ以上の回転体の回転が規制部によって規制される。
【0020】
ここで、この規制部における回転体との当接位置を介して回転体とは反対側では規制部を固定手段が貫通しており、この固定手段がシートの所定部位に固定されることで回転体支持手段がシートに取り付けられる。このような固定手段が規制部における回転体との当接位置を介して回転体とは反対側を貫通していることで、規制部の剛性が向上する。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明に係るウェビング巻取装置は、シートバックの傾動に連動する機構及びこのような機構を収容する部材を小型化できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<本実施の形態の構成>
図11には本発明の一実施の形態に係るウェビング巻取装置10を搭載した車両用シートとしてのシート16が側面図により示されている。この図に示されるように、シート16を構成するシートクッション18の後方にはシート16の背凭れを構成するシートバック20が設けられている。このシートバック20の下端側にはシート16の軸方向が幅方向に沿ったシートバック20が設けられており、このシートバック20周りにシート16は上端側が後方や前方へ倒れるように傾動可能とされている。シート16の上端側における幅方向一端側(車両幅方向外側)ではウェビング巻取装置10を構成する巻取装置本体12がシート16の内側に設けられている。
【0027】
(巻取装置本体12の全体構成の概略>
図7には巻取装置本体12の構成の概略分解斜視図により示されている。この図に示されるように、巻取装置本体12はフレーム14を備えている。フレーム14は上述したシートバック20のフレーム(シートバックの骨格)等にボルト等により一体的に締結固定されている。
【0028】
このフレーム14は一対の脚板32、34を備えている。脚板32、34の各々は厚さ方向がシートバックの幅方向に沿った板状に形成されていると共にシートバックの幅方向に互いに対向している。この脚板32と脚板34との間にはスプール36が設けられている。スプール36は軸方向が脚板32と脚板34との対向方向に沿った中空の軸部材とされている。
【0029】
このスプール36にはウェビング38の長手方向基端側が係止されている。ウェビング38は幅方向がスプール36の軸方向に沿った長尺帯状に形成されており、スプール36がその中心軸線周りの一方である巻取方向に回転するとウェビング38がその長手方向基端側からスプール36の外周部に巻取られて格納され、ウェビング38をその先端側へ引っ張ると、スプール36に巻取られているウェビング38が引出されると共にスプール36が巻取方向とは反対の引出方向に回転する。
【0030】
スプール36の内側には、例えば、トーションシャフト等と称される棒状のエネルギー吸収手段が設けられている。このエネルギー吸収手段はスプール36における脚板34側でスプール36に対する相対回転が規制された状態でスプール36に繋がっている。さらに、このエネルギー吸収手段の脚板34側は脚板34に形成された透孔44を通過して脚板34の外側(脚板34の脚板32とは反対側)に突出している。
【0031】
この脚板34の外側(脚板34の脚板32とは反対側)ではスプリングケース46が脚板34に取り付けられている。スプリングケース46の内側には、スプール付勢手段としての渦巻きばねが収容されている。この渦巻きばねの渦巻き方向外側端はスプリングケース46に係止され、渦巻き方向内側端は上述したエネルギー吸収手段に直接又は間接的に係止されている。スプール36と共にエネルギー吸収手段が引出方向に回転すると、渦巻きばねが巻き締められ、エネルギー吸収手段を介してスプール36を巻取方向に付勢する。
【0032】
これにスプール36の脚板32側にはロック機構52を構成するロックベース54が設けられている。ロックベース54はスプール36に対して同軸的に相対回転可能にスプール36の脚板32側の端部に装着されている。但し、ロックベース54は上述したエネルギー吸収手段の脚板32側の部分にエネルギー吸収手段に対して相対回転が規制された状態で繋がっている。したがって、ロックベース54はスプール36に対し、エネルギー吸収手段を介して相対回転が規制された状態で繋がっていることになる。
【0033】
このロックベース54には外周面にて開口したパウル収容部56が形成されている。このパウル収容部56の内側にはロックパウル58が設けられている。また、ロックベース54は脚板32に形成されたラチェット孔60を貫通しており、パウル収容部56からロックパウル58の一部が抜け出ると、ロックパウル58の先端側に形成されたラチェット歯がラチェット孔60のラチェット歯に噛み合う。この状態では、ロックベース54の引出方向への回転が規制され、間接的にはスプール36の引出方向への回転が規制される。
【0034】
一方、脚板32の外側(脚板32の脚板34とは反対側)では脚板32にセンサホルダ62が取り付けられている。センサホルダ62は一部が脚板32側へ向けて開口した有底形状に形成されており、その内側にはVギヤ64が設けられている。Vギヤ64に対応して上述したエネルギー吸収手段から軸部66がセンサホルダ62側へ向けて延出されている。軸部66はスプール36に対して同軸的に設けられており、この軸部66にVギヤ64が回転自在に支持されている。
【0035】
Vギヤ64には図示しないスプリングが設けられている。このスプリングの一部はロックベース54に係合しており、ロックベース54が引出方向に回転するとロックベース54にスプリングが押圧されて、更にこのスプリングがVギヤ64を引出方向に押圧する。このため、Vギヤ64はロックベース54に追従して引出方向に回転できる。但し、スプリングを弾性変形させることでロックベース54はVギヤ64に対して相対的に引出方向に回転できる。また、上記のロックパウル58は一部がVギヤ64に係合しており、Vギヤ64に対するロックベース54の引出方向への相対回転に連動してパウル収容部56から抜け出る方向にロックパウル58が移動してラチェット孔60のラチェット歯に噛み合うようになっている。
【0036】
センサホルダ62の脚板32とは反対側にはセンサカバー78が設けられている。センサカバー78は脚板32側へ向けて開口した有底形状とされ、脚板32に取り付けられている。このセンサカバー78の内側には加速度センサ82が設けられている。加速度センサ82はハンガ84を備えている。ハンガ84は支持壁86、87を備えている。支持壁86と支持壁87とは、スプール36の軸方向と同じ向き、又は、スプール36の軸方向に対してシート前後方向を軸方向とする軸周りにシート上下方向へ傾斜した向きに互いに対向した板状に形成されている。
【0037】
これらの支持壁86、87の間には周壁88が形成されている。周壁88は支持壁86、87の外周一部に沿って形成されている。このため、ハンガ84は周壁88が形成されていない部分にて開口した中空箱形状とされ、支持壁87が脚板32に固定されることでハンガ84がフレーム14に取り付けられる。
【0038】
ハンガ84の支持壁86と支持壁87との間には、例えば、全体的に合成樹脂材を成形することにより形成されたハウジングとしてのセンサハウジング102が設けられている。センサハウジング102は載置部104を備えている。載置部104は厚さ方向上側に平面視略円形で上方へ向けて開口するように湾曲した凹形状の湾曲面106が形成されており、この湾曲面106上に慣性質量体としての球体110が載置されている。
【0039】
また、載置部104の支持壁87側の端部からは縦壁114が上方へ向けて立設されている。これに対して、載置部104の支持壁86側には支持壁116が設けられている。支持壁116は縦壁118を備えている。縦壁118は載置部104の支持壁86側の端部から上方へ向けて立設されており、支持壁86、87の対向方向に縦壁114と対向している。
【0040】
縦壁118の幅方向一端からは縦壁114側へ向けて横壁120が延出されており、縦壁118の幅方向他端からは縦壁114側へ向けて横壁122が延出されている。このため、支持壁116は平面視で縦壁114側へ向けて開口した凹形状とされている。支持壁116の上端部近傍には支持シャフト124が設けられている。支持シャフト124は軸方向が横壁120と横壁122との対向方向に沿った軸部材で、その一端は横壁120に支持されて他端は支持シャフト124に支持されている。
【0041】
また、横壁120と横壁122との間にはセンサレバー130が設けられているセンサレバー130は基部132を備えており、この基部132を上記の支持シャフト124が貫通している。これにより、センサレバー130が支持シャフト124周りに回動可能に支持されている。また、センサレバー130は笠部134を備えている。笠部134は外観が扁平の円錐形状に形成されている。この笠部134の底面は円錐の頂部とは反対側へ向けて開口した凹形状の湾曲面又は斜面とされており、この底面が載置部104における湾曲面106上に載置された球体110に覆い被さっている。
【0042】
このため、球体110が湾曲面106の縁部へ向かって湾曲面106上を昇り上がると、笠部134が支持シャフト124周りに上昇するように回動する。この笠部134には押圧突起136が略上方(すなわち、笠部134の底面とは反対側)へ突出形成されており、笠部134が支持シャフト124周りに上昇するように回動すると押圧突起136が後述するVパウル180を上方へ押し上げる。
【0043】
一方、支持壁116の縦壁118の上端部近傍には回動軸142が形成されている。回動軸142は縦壁118の縦壁114とは反対側の面からスプール36の軸方向と同じ向きに突出形成されており、ハンガ84の支持壁86に形成された軸受孔144に回動自在に支持されている。縦壁118における回動軸142の形成位置よりも下側では縦壁118からガイドピン146が突出形成されている。縦壁118からのガイドピン146の突出方向は縦壁118からの回動軸142の突出方向と同じ向きとされており、ハンガ84の支持壁86に形成されたガイド孔148に入り込んでいる。
【0044】
ガイド孔148は軸受孔144を曲率の中心として湾曲した長孔とされている。このガイド孔148の内側にガイドピン146が入り込んでいることによりガイド孔148の長手方向一端にガイドピン146が当接する位置からガイド孔148の長手方向他端にガイドピン146が当接する位置までの間に回動軸142周りのセンサハウジング102の回動範囲が限定されている。
【0045】
また、
図10に示されるように、縦壁114には回動軸150が形成されている。回動軸150は縦壁114の縦壁118とは反対側の面から上記の回動軸142に対して同軸的に突出形成されている。この回動軸150はハンガ84の支持壁87に形成された軸受孔152に回動自在に支持されている。ここで、支持壁116の縦壁118における回動軸142の形成位置、及び、縦壁114における回動軸150の形成位置は、支持壁116にセンサレバー130を装着し、更に、載置部104の湾曲面106上に球体110を載置した状態でのセンサハウジング102の重心位置よりも上方に設定されている。
【0046】
一方、センサホルダ62からは脚板32とは反対側へ向けて支持シャフト178が突出形成されている。支持シャフト178は軸方向がスプール36の軸方向と同じ向きに設定されており、Vパウル180の基部182が支持シャフト178周りに回動自在に支持されている。このVパウル180は板状の受圧板184を備えている。この受圧板184はセンサレバー130の押圧突起136の上側に位置していると共に、ガイド孔148の一端にガイドピン146が当接した状態からガイド孔148の他端にガイドピン146が当接した状態の間の回動軸142周りのセンサハウジング102の回動範囲内で受圧板184の下側の面が押圧突起136と対向するように押圧突起136の大きさが設定されている。
【0047】
また、Vパウル180は係合爪186を備えている。この係合爪186に対応してセンサホルダ62には図示しない開口が形成されており、この開口を介してセンサホルダ62においてVギヤ64を収容する部分とセンサホルダ62の外側とが連通している。支持シャフト124周りに上昇するようにセンサレバー130が回動して、押圧突起136が受圧板184を上方へ押圧すると、係合爪186がVギヤ64の外周部に形成されたラチェット歯に噛み合う。このように係合爪186がVギヤ64のラチェット歯に噛み合うとVギヤ64の引出方向への回転が規制される。
【0048】
(リクライニングセンサ210の構成)
一方、
図11に示されるように、本ウェビング巻取装置10は巻取装置本体12と共にウェビング巻取装置10を構成する傾動検出手段としてのリクライニングセンサ210を備えている。この図に示されるように、リクライニングセンサ210はシートバック20の下端側における幅方向他端側(車両幅方向中央側)でシートバック20の内側に設けられている。
【0049】
図1にはリクライニングセンサ210の構成の概略が分解斜視図により示されている。この図に示されるように、リクライニングセンサ210は、支持部材本体として回転体支持部材を構成するケース212を備えている。ケース212は厚さ方向がシート16の幅方向に沿った板状の底壁214を備えている。この底壁214の外周部からは、底壁214の厚さ方向一方へ向けて周壁216が立設されており、ケース212は全体的に底壁214の厚さ方向一方へ向けて開口した有底箱形状とされている。
【0050】
このケース212の底壁214の略中央には円孔218が形成されており、上述したシャフト22が通過する。ケース212の内側には円筒形状の筒状部220が設けられている。筒状部220は大径筒部222を備えている。大径筒部222は内径寸法が上記の円孔218の内径寸法に略等しい円筒形状に形成されており、円孔218に対して同軸的に底壁214から周壁216の立設方向と同じ向きに立設されている。また、筒状部220は小径筒部224を備えている。小径筒部224は内径寸法が円孔218や大径筒部222の内径寸法に略等しく、外径寸法が大径筒部222の外径寸法よりも小さな円筒形状とされ、円孔218や大径筒部222に対して同軸的に大径筒部222の先端(大径筒部222における底壁214とは反対側の端部)から連続して形成されている。
【0051】
ケース212の内側には回転体としてのプーリ232が設けられている。プーリ232は厚さ方向が底壁214の厚さ方向(すなわち、シャフト22の軸方向)に沿った板状とされている。プーリ232には円孔234が形成されている。円孔234は内径寸法が筒状部220の大径筒部222の外径寸法よりも僅かに大きな円形とされ、プーリ232を貫通している。プーリ232は円孔234を大径筒部222が貫通した状態でケース212内に配置され、プーリ232は大径筒部222を中心に回転できるようになっている。
【0052】
このプーリ232には調整片収容部236が形成されている。この調整片収容部236には調整片収容孔237が形成されている。調整片収容孔237は底壁214からの周壁216の立設方向へ向けて開口した有底孔とされている。この調整片収容孔237の開口形状は円孔234の長手方向が円孔234の接線方向に沿った長方形状とされ、その内側には連結部材調整手段としての調整片238が収容されている。調整片238は幅寸法が調整片収容孔237の内幅寸法よりも僅かに小さなブロック状とされている。但し、調整片238において調整片収容孔237の長手方向に沿った寸法は調整片収容孔237の長手寸法よりも短く、このため、調整片238は調整片収容孔237の長手方向両側の内壁に当接するまで調整片収容孔237の長手方向にスライドできる。
【0053】
この調整片238には係止片収容部240が形成されている。係止片収容部240は調整片収容孔237に調整片238が収容された状態で調整片収容孔237の開口方向に開口した有底孔とされ、その内側には係止片244が収容されている。
【0054】
この係止片244には連結部材としてのワイヤ242の長手方向基端部が係止されている。このワイヤ242の長手方向基端側に対応して調整片238には通過溝246が形成され、調整片238が調整片収容孔237に収容された状態では通過溝246の内側をワイヤ242が通過する。また、調整片収容部236には通過溝248が形成されており、通過溝246を通過したワイヤ242が通過溝248を通過している。
【0055】
プーリ232において通過溝248を介して調整片収容孔237の形成位置とは反対側のプーリ232の外周部は巻付部250とされ、通過溝246、248を通過したワイヤ242を巻付部250に巻付けることができるようになっている。この巻付部250におけるプーリ232の回転軸方向両側には脱落防止片252がプーリ232の回転半径方向外側へ延出されている。巻付部250に巻付けられたワイヤ242はプーリ232の軸方向両側から脱落防止片252に干渉されることでプーリ232の軸方向への変位が規制され、これにより、巻付部250からのワイヤ242の脱落が防止される。
【0056】
一方、ワイヤ242はチューブ254を通過している。このチューブ254は可撓性を有する長尺紐状に形成されており、その中心軸線に沿って両端が開口した筒形状とされている。チューブ254の長手方向基端部には係止金具256が取り付けられている。この係止金具256に対応してケース212にはチューブ係止部258が形成されている。
【0057】
ケース212を
図1の矢印A方向から見た拡大図である
図5で示されるように、チューブ係止部258に対応してケース212の周壁216には切欠部260が形成されている。切欠部260は細幅のスリット状に形成され、その内幅寸法はチューブ254の外径寸法以上で係止金具256の外径寸法未満とされている。また、ケース212を
図1の矢印B方向から見た拡大図である
図6に示されるように、チューブ係止部258に対応してケース212の周壁216には開口溝部262が形成されている。
【0058】
開口溝部262は開口幅寸法が係止金具256の外径寸法以上とされていると共に、開口溝部262における係止金具256の軸方向に沿った両側が開口している。このため、係止金具256はこの開口溝部262からチューブ係止部258の内側に配置することができ、係止金具256をチューブ係止部258の内側に配置した状態ではチューブ係止部258内に設けられた図示しない係合部が係止金具256に係合し、係止金具256の長手方向に沿った変位を規制し、ひいては、チューブ254の長手方向基端部における長手方向に沿った変位を規制する。
【0059】
このようなチューブ254の長手方向先端は、
図10に示されるセンサハウジング操作部272に下端部に係止され、チューブ254を通過したワイヤ242の先端側はセンサハウジング操作部272の内側に入り込んでいる。センサハウジング操作部272の内部では図示しないラックがフレーム14に対するセンサハウジング102の回転半径方向に直線的にスライド可能に設けられており、ワイヤ242の先端がこのラックに係止されている。このラックにはセンサハウジング操作部272内に設けられたピニオンギヤが噛み合っている。ピニオンギヤは、フレーム14に対するセンサハウジング102の回転軸線と同じ向きを軸方向とする軸周りに回転可能に支持されており、このピニオンギヤが上述したセンサハウジング102に直接又は他のギヤ等を介して間接的に繋がっている。
【0060】
ワイヤ242の先端側がその長手方向基端側へ移動することでワイヤ242の長手方向基端側へラックがスライドすると、ラックに噛み合うピニオンギヤが回転し、このピニオンギヤの回転がセンサハウジング102に伝わることでセンサハウジング102がフレーム14に対して回転する。
【0061】
また、センサハウジング操作部272の内側には圧縮コイルばね等により構成された図示しないワイヤ付勢手段が設けられており、ワイヤ242の先端側を直接又は上記のラック等の他の部材を介して間接的にワイヤ242の長手方向先端側へ付勢している。
【0062】
一方、上述したシートバック20がリクライニングされておらず、また、シート16の前方へ傾動して折り畳まれてもいない状態(以下、この状態をシートバック初期状態と称する)でプーリ232の調整片収容部236は、
図2に示されるように、概ね、プーリ232の回転中心を介してチューブ係止部258とは反対側に位置する。この状態での調整片収容孔237に対応してケース212の周壁216には調整片操作窓282が形成されている。
【0063】
この調整片操作窓282はシートバック初期状態における調整片収容孔237の位置に対して調整片収容孔237の長手方向に沿った延長上に形成されており、この調整片操作窓282からドライバ等の調整片操作手段をケース212の内側へ挿入できる。236における調整片収容孔237の内壁のうち調整片収容孔237の長手方向に沿って通過溝248が形成された部分とは反対側には透孔284が貫通しており、この透孔284を雄ねじ286が貫通している。雄ねじ286の先端側は調整片収容孔237内に入り込み、更に上述した調整片238に形成された雌ねじ孔に螺合している。
【0064】
これに対して雄ねじ286の頭部292は調整片収容部236の外側で調整片収容部236の外周部に当接している。このため、調整片操作窓282を貫通したドライバ等の調整片操作手段を頭部292に係合させて、雄ねじ286をその中心軸線周りに回転操作すると、調整片収容孔237の内側で調整片収容孔237の長手方向に調整片238がスライドする。
【0065】
一方、
図1に示されるように、ケース212の開口側には蓋302が設けられる。この蓋302は厚さ方向が底壁214の厚さ方向に沿った板状に形成されており、この蓋302によりケース212の開口端が閉止される。この蓋302には透孔304が形成されており、ケース212の筒状部220を通過したシャフト22が透孔304を通過する。
【0066】
また、これらの透孔304に対応してケース212には3箇所のボス312、314、316が形成されている。これらのボス312〜316には底壁214の厚さ方向に貫通した透孔が形成されており、ボス312〜316の透孔及び蓋302の透孔306を貫通するねじやボルト等の締結部材322によってケース212に蓋302が一体的に締結固定される。
【0067】
ここで、3箇所のボス312〜316のうち、ボス316はその外周一部がケース212の内側へ張り出すようにケース212の内側に入り込んでいる。このようにボス316においてケース212の内側に入り込んだ部分は規制部326とされる。この規制部326は、プーリ232において巻付部250よりもプーリ232の回転半径方向外側へ張り出した調整片収容部236に対してプーリ232の回転方向に対向している。プーリ232が回転することで調整片収容部236が規制部326に当接すると、それ以上のプーリ232の回転が規制されるようになっている。
【0068】
一方、蓋302とプーリ232との間には回転伝達部材としての操作プレート342の操作部344が設けられている。操作部344は厚さ方向が底壁214の厚さ方向に沿った板状に形成されている。この操作部344には円孔346が形成されており、大径筒部222を通過したシャフト22が円孔346を通過する。
【0069】
この操作部344の外周一部からは固定片348が延出されており、この固定片348の先端側は上述したシートクッション18の所定部位(例えば、シートクッション18のフレーム)に一体的に結合されている。すなわち、本実施の形態では、シートクッション18に対してシートバック20が傾動すると、操作プレート342に対してケース212が回動するようになっている。
【0070】
また、係止片244の外周一部には押圧片350が形成されている。押圧片350はケース212の底壁214側へ延出されている。この押圧片350に対応してプーリ232にはスリット孔352が形成されている。スリット孔352はプーリ232の回転中心を曲率中心として湾曲したスリット状に形成されており、押圧片350の先端側がスリット孔352の内側に入り込んでいる。
【0071】
上記のように、ワイヤ242はセンサハウジング操作部272に設けられたワイヤ付勢手段の付勢力で常にその長手方向先端側に付勢されている。このため、プーリ232は常に
図1の矢印C方向に付勢され、脱落防止片252における長手方向矢印D側の端部354が押圧片350に圧接している。したがって、シートバック20と一体のケース212が
図1の矢印C方向に回転し、ケース212と共にプーリ232が矢印C方向に回転しようとすると、シートクッション18と一体の操作プレート342に形成された押圧片350がスリット孔352の端部354に当接してプーリ232の矢印C方向への回転を規制する。これにより、ケース212がプーリ232に対して矢印C方向へ相対回転すると、プーリ232によってワイヤ242の長手方向基端が引っ張られて移動する。
【0072】
一方、上記のように、規制部326に調整片収容部236が当接した状態でケース212がプーリ232を伴い
図1の矢印D方向に回転すると、操作プレート342の押圧片350は端部354から離間して端部354とは反対側の
端部356へ接近するようにスリット孔352内を相対移動する。
【0073】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0074】
本ウェビング巻取装置10では、車両が急減速すると加速度センサ82におけるセンサハウジング102の載置部104に形成された湾曲面106上を球体110が湾曲面106の縁部側へ向けて転動しつつ昇り上がる。このように転動した球体110は笠部134の底面を上方へ押圧し、支持シャフト124周りにセンサレバー130を上方へ向けて回動させる。
【0075】
このようにセンサレバー130が回動すると笠部134に形成された押圧突起136がVパウル180の受圧板184の下面を上方へ押圧し、支持シャフト178周りにVパウル180を回動させる。このように回動したVパウル180は係合爪186が上昇して、Vギヤ64の外周部に形成されたラチェット歯に噛み合う。これにより、Vギヤ64の引出方向への回転が規制される。
【0076】
一方、車両が急減速することでウェビング38を装着した乗員が車両前方へ慣性移動するとウェビング38が引っ張られる。ウェビング38が引っ張られるとスプール36が引出方向へ回転する。スプール36には上述したエネルギー吸収手段を介してロックベース54が繋がっている。ロックベース54はスプール36に対する相対回転が規制されているので、スプール36が引出方向に回転することでロックベース54が引出方向に回転する。
【0077】
ここで、上記のようにVパウル180の係合爪186がVギヤ64のラチェット歯に噛み合うことでVギヤ64の引出方向への相対回転が規制された状態でスプール36と共にロックベース54が引出方向に回転すると、Vギヤ64に対するロックベース54の相対的な引出方向への回転が生じる。このような相対回転がVギヤ64とロックベース54との間で生じると、ロックベース54に形成されたロックパウル58からパウル収容部56の一部が突出するようにパウル収容部56が移動し、これにより、脚板32に形成されたラチェット孔60のラチェット歯にパウル収容部56の先端側のラチェット歯が噛み合う。
【0078】
このようにラチェット孔60のラチェット歯にパウル収容部56のラチェット歯が噛み合うことでロックベース54の引出方向への回転、ひいては、スプール36の引出方向への回転が規制される。これによってスプール36からのウェビング38の引出しが規制され、ウェビング38によって車両前方へ慣性移動する乗員の身体を効果的に拘束できる。
【0079】
ところで、本ウェビング巻取装置10を構成する巻取装置本体12は上述したようにシート16のシートバック20に内蔵される。シート16はシートクッション18に対してシートバック20がシャフト22周りに傾動する所謂「リクライニング機構」が設けられている。シートバック20がシートクッション18に対して傾動すると、シートバック20に内蔵された巻取装置本体12がシャフト22周りに回動して傾く。
【0080】
ここで、本ウェビング巻取装置10では、シートバック20の上端側がシート16の後方へ倒れるようにシートバック20が傾動すると、
図2に示される状態から、シートバック20のフレームに固定されたケース212が
図1及び
図2の矢印C方向に回転する。これに対して、リクライニングセンサ210の操作プレート342は固定片348がシートクッション18のフレームに固定されているので、シートバック20が傾動しても操作プレート342は回動しない。このため、この状態では、操作プレート342に対してケース212が
図1及び
図2の矢印C方向に相対回転する。
【0081】
この状態で、ケース212と共にプーリ232が回動しようとすると、操作プレート342の押圧片350がスリット孔352の端部354に干渉して、プーリ232の矢印C方向への回転を規制する。このため、この状態では、プーリ232に対してケース212が
図2の矢印C方向へ相対的に回転する。このような相対回転が生じると、
図3に示されるように、ケース212のチューブ係止部258に対してプーリ232の調整片収容部236が矢印D方向(すなわち、プーリ232に対するケース212の回転方向とは反対方向)へ離間する。
【0082】
ケース212のチューブ係止部258にはチューブ254の長手方向基端部に設けられた係止金具256が係止され、プーリ232の調整片収容部236には調整片238を介してワイヤ242の長手方向基端部に設けられた係止片244が係止される。このため、プーリ232の調整片収容部236がケース212のチューブ係止部258から
図1及び
図2の矢印D方向へ離間すると、センサハウジング操作部272内のワイヤ付勢手段の付勢力に抗してワイヤ242がチューブ254の内側をその長手方向基端側へ移動する。
【0083】
これにより、センサハウジング操作部272内ではワイヤ242の長手方向先端が基端側へ移動し、ワイヤ242の先端が係止されているラックがスライドして、ラックに噛み合うピニオンを回転させる。これにより、
図8に示される状態から
図9に示されるように、加速度センサ82のセンサハウジング102がフレーム14に対し、フレーム14の傾動を相殺するように回動する。このように、フレーム14に対してセンサハウジング102が回動することでセンサハウジング102は元の姿勢(載置部104の上面が鉛直上方を向いた姿勢)を維持する。これにより、シートバック20と共に巻取装置本体12が傾いても、不用意に(車両が急減速していないのに)球体110が転動することを防止できる。
【0084】
ここで、本ウェビング巻取装置10のリクライニングセンサ210では、上記のようにプーリ232に対してケース212が
図1及び
図2の矢印Cに回転すると(換言すれば、ケース212に対するプーリ232の矢印D方向への相対回転が生ずると)、チューブ254の長手方向基端部から引出されたワイヤ242はプーリ232の巻付部250に巻き付けられる。このように、本実施の形態では、ワイヤ242をその長手方向へ引っ張る手段が、筒状部220の大径筒部222を中心に回転する構成であるため、ケース212の内側のスペースは、プーリ232を収容できる程度の大きさでよい。このため、ケース212、ひいては、リクライニングセンサ210を小型化できる。
【0085】
一方、シートバック20の上端側をシート16の前方に倒してシート16を折り畳むような場合には、シートバック20と共にケース212が
図2の矢印D方向に回転する。このようにケース212が回転すると、調整片収容部236に調整片収容部236が押圧されて、プーリ232がケース212と共に矢印D方向に回転する。このような回転がケース212に生じた場合には、プーリ232の調整片収容部236と
ケース212のチューブ係止部258との間隔に変化が生じないので、センサハウジング102が回動させられることはない。
【0086】
また、このように、ケース212と共にプーリ232が
図2の矢印D方向に回転した場合には、
図4に示されるように、操作プレート342の押圧片350がスリット孔352に対して相対的に端部354から離間する。したがって、このような回転がケース212やプーリ232に生じても、シートクッション18に固定された操作プレート342にプーリ232が不用意
に干渉することがなく、円滑にシートバック20をシート16の前方へ傾動させることができる。
【0087】
また、上記のように、本実施の形態では、ケース212のチューブ係止部258に対してプーリ232の調整片収容部236が接離することで、プーリ232の調整片収容部236は、ケース212の規制部326から接離する。プーリ232の調整片収容部236がケース212のチューブ係止部258に接近することで、調整片収容部236と規制部326とが衝突するが、規制部326は締結部材322が貫通するボス316の一部であり、規制部326が調整片収容部236から受ける衝撃に対し、規制部326(すなわち、ボス316)は締結部材322に対して補強されたのと同じである。このため、規制部326を特に大きく形成しなくても、規制部326が調整片収容部236から受ける衝撃に対して充分な機械的強度及び剛性を得ることができる。
【0088】
一方、上述したようにリクライニングセンサ210の蓋302は締結部材322によってケース212に一体的に取り付けられる。ここで、シートバック初期状態(
図2図示状態)では、調整片収容部236の調整片収容孔237の長手方向に延長上に調整片操作窓282が位置する。このため、この状態でドライバ等の調整片操作手段をケース212の外側から調整片操作窓282を通過するように挿し込むと、この調整片操作手段を雄ねじ286の頭部292に係合させることができる。
【0089】
調整片操作手段を頭部292に係合させた状態で雄ねじ286の中心軸線周りに調整片操作手段を回転させて雄ねじ286を回転させると、調整片収容孔237の長手方向に調整片238が移動する。このように調整片238と共に係止片244を移動させることで、シートバック初期状態でのセンサハウジング102の回動位置を調整できる。しかも、上記のように、ケース212の周壁216に形成された調整片操作窓282から調整変操作手段を挿入できるので、蓋302をケース212から取り外さなくてもよい。このため、シートバック初期状態でのセンサハウジング102の回動位置を調整の作業効率を向上できる。
【0090】
また、本ウェビング巻取装置10のリクライニングセンサ210は、係止金具256(すなわち、チューブ254の長手方向基端)を係止するためのチューブ係止部258は、チューブ係止部258内に係止金具256を配置するための開口溝部262がチューブ係止部258内でのチューブ254の長手方向に対して直交し、且つ、プーリ232の回転半径方向外方へ向けて開口している。このため、ワイヤ242の長手方向基端に設けられた係止片244を調整片238に係止させ、更に、この調整片238を
調整片収容部236の調整片収容孔237内に配置した状態で係止金具256を開口溝部262からチューブ係止部258内に配置すると、チューブ係止部258から係止金具256が抜け難くなる。これにより、ケース212に蓋302を締結固定する作業等においてチューブ係止部258から係止金具256、ひいては、チューブ254が外れ難くなる。