特許第5778043号(P5778043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778043
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】ボルト締付機
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/58 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   B25B13/58
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-443(P2012-443)
(22)【出願日】2012年1月5日
(65)【公開番号】特開2013-139069(P2013-139069A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201467
【氏名又は名称】TONE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066728
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100141841
【弁理士】
【氏名又は名称】久徳 高寛
(74)【代理人】
【識別番号】100119596
【弁理士】
【氏名又は名称】長塚 俊也
(74)【代理人】
【識別番号】100100099
【弁理士】
【氏名又は名称】宮野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100114
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 伸泰
(72)【発明者】
【氏名】平尾 元宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 安宏
(72)【発明者】
【氏名】塩田 健一
【審査官】 石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−027264(JP,U)
【文献】 特開2001−187559(JP,A)
【文献】 米国特許第02954994(US,A)
【文献】 米国特許第04794828(US,A)
【文献】 実開平03−022872(JP,U)
【文献】 実開平03−029265(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3075345(JP,U)
【文献】 米国特許第05207544(US,A)
【文献】 実開昭52−141571(JP,U)
【文献】 特開昭55−164480(JP,A)
【文献】 特開昭54−139199(JP,A)
【文献】 米国特許第04508005(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/00− 13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルの先端に設けられたヘッド部と、
該ヘッド部に取り付けられ、先端にボルト及び/又はナットと嵌合するソケットを装着可能なドライブ筒と、
該ドライブ筒の軸方向に開設された挿通孔に嵌まり、挿通孔内でスライド可能なプッシュロッドと、
前記ドライブ筒の側面から出没可能であり、前記プッシュロッドにより出没が規制される抜止め球体と、
を具えたボルト締付機において、
前記プッシュロッドは、軸状のロッド部と、該ロッド部の基端が拡径した頭部を有し、該頭部が前記ヘッド部よりも凹んだ位置でスライド可能に配備され
前記挿入孔には、前記プッシュロッドの前記頭部を前記ヘッド部よりも凹んだ位置で保持する環状の板材からなる押え部材を具え、該押え部材は、前記プッシュロッドの前記頭部を操作可能な直径10mm以下の操作孔を有する、
ことを特徴とするボルト締付機。
【請求項2】
前記プッシュロッドの操作は、治具によって行なわれる請求項1に記載のボルト締付機。
【請求項3】
前記プッシュロッドは、前記頭部を基端に向けて付勢するスプリングを介して前記挿通孔に挿入される、
請求項1又は請求項2に記載のボルト締付機。
【請求項4】
前記ドライブ筒は、前記抜止め球体が出没可能に形成された横孔を有し、
前記ロッド部には、
前記抜止め球体を前記横孔から臨出させるよう押し出す押出凹部が凹設され、
該押出凹部に連続し軸芯側に傾斜したテーパ面を介して、前記抜止め球体を前記横孔内へ埋設させる逃し凹部が凹設されており、
前記逃し凹部は、前記押出凹部よりも深底に形成されている、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のボルト締付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットをドライブ筒に装着し、ハンドルの操作によりドライブ筒を回動して手動でボルト又はナットを締め付けるボルト締付機に関するものであり、より具体的には、ソケットがドライブ筒から意図せず外れてしまうことを防止できるボルト締付機に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルト又はナットと嵌合するソケットをドライブ筒に嵌挿し、ハンドルの操作によりドライブ筒を回動してボルトを締め付ける所謂ラチェットハンドルやトルクレンチと称される手動式のボルト締付機が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ソケットはボルトやナットのサイズ応じて交換できるよう、ドライブ筒に対して着脱自在となっている。
【0004】
ソケットをドライブ筒に装着したときに、ソケットがドライブ筒から脱落しないように、特許文献1では、ドライブ筒に形成した横孔にスプリングによって外側へ付勢された抜止め球体を配備し、該球体をソケットの内周壁に形成した凹溝に嵌合させている。
【0005】
しかしながら、上記構成では、サイズの大きいボルトやナットに対応した大型のソケットを用いる場合や、締付時にソケットに大きな力が作用する場合などに、抜止め球体がスプリングの付勢力に抗して後退し、ドライブ筒からソケットが脱落してしまうことがある。
【0006】
そこで、ドライブ筒内に軸方向に沿ってスライド可能なプッシュロッドをその頭部が突出するよう配置し、該プッシュロッドをユーザの操作により押し込んで、抜止め球体の出没を操作できるようにしたボルト締付機も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−207075号公報
【特許文献2】実用新案登録第3150148号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2のボルト締付機では、前述のとおりプッシュロッドの頭部が突出しており、この突出した頭部を押し込むことでプッシュロッドをスライド操作するようにしている。このため、プッシュロッドの頭部が誤って押されたり、締付中などに突出しているプッシュロッドが他の部材に当たって、意図せずソケットが外れてしまうことがあった。
【0009】
本発明の目的は、意図せずソケットが外れてしまうことのないボルト締付機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願発明のボルト締付機は、
ハンドルの先端に設けられたヘッド部と、
該ヘッド部に取り付けられ、ボルト及び/又はナットと嵌合するソケットを装着可能なドライブ筒と、
該ドライブ筒に開設された挿通孔に嵌まり、挿通孔内でスライド可能なプッシュロッドと、
前記ドライブ筒の側面から出没可能であり、プッシュロッドにより出没が規制される抜止め球体と、
を具えたボルト締付機において、
プッシュロッドは、ヘッド部よりも凹んだ位置でスライド可能に配備される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プッシュロッドは、ユーザの操作に係る頭部がヘッド部よりも凹んだ位置に設けられており、突出していないので、プッシュロッドの操作には、細径の治具が必要であり、ユーザが意図せず操作してしまったり、他の部材に当たって操作されてしまうことはない。
従って、ドライブ筒に装着されたソケットの意図しない脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例であるラチェットハンドルの先端の要部断面図であって、ドライブ筒にソケットを取り付ける前の状態を示している。
図2】ドライブ筒の分解図斜視図である。
図3】プッシュロッドを押し込んで、ソケットが着脱可能な状態であるラチェットハンドルの要部断面図である。
図4】プッシュロッドを押し込んで、ソケットをソケット取付部へ取り付け又は取り外し途上にあるラチェットハンドルの要部断面図である。
図5】ドライブ筒にソケットが取り付けられた状態を示すラチェットハンドルの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のボルト締付機について、図1乃至図5に基づき説明する。以下では、ボルト締付機として、ラチェットハンドル(10)を例に挙げるが、本発明はラチェットハンドル(10)に限定されず、トルクレンチやその他の手動式の工具にも適用できることは勿論である。
【0014】
ラチェットハンドル(10)は、図1に示すように、使用者の掴むハンドル(11)と、該ハンドル(11)の先端のヘッド部(12)を有し、該ヘッド部(12)にドライブ筒(20)が嵌まっている。ドライブ筒(20)は、先端側に角柱状のソケット取付部(21)を有しており、ソケット取付部(21)がヘッド部(12)から突出した状態でヘッド部(12)に取り付けられている。
【0015】
より具体的には、ドライブ筒(20)は、図1に示すように、周面に形成されたドライブギア(22)を介して、ヘッド部(12)のラチェット機構(13)と噛合し、ラチェット機構(13)の切替レバー(14)を切り替えることで、ハンドル(11)の回転が一方向のみドライブ筒(20)に伝わり、他方向ではドライブ筒(20)が空転するよう構成されている。
【0016】
また、ドライブ筒(20)に取り付けられるソケット(70)は、図1及び図3に示すように、ドライブ筒(20)のソケット取付部(21)に嵌まる断面矩形の取付孔(71)を有しており、先端にボルトやナットが嵌まる差込穴(73)が形成されている。差込穴(73)は、6角や12角のものを例示でき、ソケット(70)は、ボルトやナットのサイズに合わせた差込穴(73)のものが準備される。
取付孔(71)には、ソケット(70)をソケット取付部(21)に保持するための後述する抜止め球体(50)の嵌まる凹溝(72)が形成されている。図示の実施例では、凹溝(72)は、断面矩形の取付孔(71)の各面に凹設している。これにより、ソケット(70)の回転方向の向きを気にすることなく取付けを行なうことができる。
【0017】
ドライブ筒(20)には、軸芯に沿う方向に挿通孔(30)が形成されており、該挿通孔(30)には、後述するプッシュロッド(40)が頭部(45)を埋没した状態でスライド可能に配備される。
【0018】
より具体的には、挿通孔(30)は、複数の段部を具える構成とすることができ、種々の異なる内径を有している。例えば、図1に示すように、挿通孔(30)は、先端側からロッドスライド孔(31)、スプリング用孔(32)、頭部スライド孔(33)、押え部材(61)の取り付けられる押え部材取付溝(34)、抜止め部材(63)が取り付けられる抜止め用溝(35)の順で径が大きくなっており、基端は押え部材(61)を挿入できるように押え部材取付溝(34)と略同口径に縮径して開口している。なお、スプリング用孔(32)と頭部スライド孔(33)は同径としてもよい。
【0019】
また、図1及び図2に示すように、ドライブ筒(20)は、ソケット取付部(21)の側面にドライブ筒(20)の軸芯と直交する向きに横孔(24)が形成されている。該横孔(24)には、ソケット(70)と係合する抜止め球体(50)が転動又はスライド可能に収容される。横孔(24)は、外側端が縮径しており、ソケット取付部(21)から抜止め球体(50)の一部が臨出して、ソケット(70)との係合を許容するが、抜止め球体(50)が外側に脱落することを阻止する脱落止め(25)が設けられている。
【0020】
抜止め球体(50)は鋼球製とすることができ、その直径は、後述するプッシュロッド(40)の押出凹部(42)と当接した状態で、横孔(24)から臨出して、ソケット(70)の凹溝(72)と係合可能であり、プッシュロッド(40)の逃し凹部(44)に嵌まったときには、横孔(24)内に後退するよう調整される。
【0021】
ドライブ筒(20)の挿通孔(30)には、プッシュロッド(40)がスライド可能に挿入される。プッシュロッド(40)は、図1及び図2に示すように、軸状、より具体的には円柱状のロッド部(41)と、該ロッド部(41)の基端側の拡径した円板状の頭部(45)を具える。
【0022】
ロッド部(41)は、長さ方向のやや先端側に、抜止め球体(50)を横孔(24)から臨出させるよう押し出す浅底の押出凹部(42)と、該押出凹部(42)の上側に連続し、軸芯側へ傾斜したテーパ面(43)を介して、抜止め球体(50)を後退させて、横孔(24)内へ埋没させる深底の逃し凹部(44)が凹設されている。
【0023】
押出凹部(42)は、図1に示すように、頭部(45)が最も上方へ移動した状態で、横孔(24)と対向する位置に形成され、逃し凹部(44)は、図3及び図4に示すように、プッシュロッド(40)が押し込まれた状態で、横孔(24)と対向する位置に形成される。
【0024】
プッシュロッド(40)は、図1及び図2に示すように、ロッド部(41)にスプリング(60)を嵌装した状態で挿通孔(30)へ挿入され、押え部材取付溝(34)にワッシャの如き環状の押え部材(61)を装着し、スプリング(60)の付勢力によりプッシュロッド(40)と押え部材(61)が挿通孔(30)から抜け出ないように、抜止め部材(63)を抜止め用溝(35)に嵌めることで、ドライブ筒(20)に装着される。
【0025】
より具体的には、スプリング(60)はコイルバネであり、スプリング用孔(32)内でプッシュロッド(40)の頭部(45)を上向きに付勢する。
【0026】
押え部材(61)は、図1及び図2に示すように、ワッシャのような環状の板材であり、スプリング(60)により付勢される頭部(45)の上方への移動を阻止し、頭部(45)をヘッド部(12)よりも凹んだ位置で保持すると共に、中央の孔は、ドライバ等の細径の治具(80)を用いて頭部(45)を押し込み可能とする操作孔(62)となる。
操作孔(62)は、ユーザの指で誤操作されないように直径10mm以下、望ましくは5mm以下とすることが望ましい。なお、押え部材(61)は環状に限定されず、プッシュロッド(40)の頭部(45)の移動を阻止できれば挿通孔(30)から突出するネジ等でもよい。この場合、次に説明する抜止め部材(63)を兼ねることもできる。
【0027】
また、抜止め部材(63)は、図2に示すように、止め輪を例示することができ、プライヤやピンセット等で縮めて抜止め用溝(35)に装着される。
【0028】
上記構成のドライブ筒(20)を有するラチェットハンドル(10)の如きボルト締付機について、ソケット(70)の着脱を行なう方法について説明する。
【0029】
図1に示すように、ドライブ筒(20)は、無負荷の状態では、図1に示すように、プッシュロッド(40)がスプリング(60)の付勢力により押え部材(61)に当たった状態で押し上げられており、ロッド部(41)の押出凹部(42)が抜止め球体(50)を横孔(24)から外側に押し出して後退しないように保持している。
【0030】
図3に示すように、ドライバ等の細径の治具(80)を操作孔(62)に差し込んで、スプリング(60)の付勢力に抗して頭部(45)を下方に押し込む(図3中矢印A)。
【0031】
頭部(45)の押し込みにより、プッシュロッド(40)は下方に移動し(図3中矢印B)、横孔(24)が逃し凹部(44)と対向して、抜止め球体(50)が逃し凹部(44)側に後退可能となる(図3中矢印C)。
【0032】
この状態で、図3の矢印D及び図4の矢印Eに示すように、ソケット(70)をソケット取付部(21)に挿入すると、抜止め球体(50)はソケット(70)の端縁に当たって、逃し凹部(44)側に後退する(図4の矢印C)。
【0033】
ソケット(70)を、図5に示すように、ソケット(70)の凹溝(72)が横孔(24)と対向するまで差し込んで、プッシュロッド(40)を押し込んでいた治具(80)を外すと、スプリング(60)の付勢力によりプッシュロッド(40)は押し上げられる(図5の矢印F)。
これにより、抜止め球体(50)は、逃し凹部(44)からテーパ面(43)を転動又はスライドして、押出凹部(42)により横孔(24)から臨出するよう押し出され、一部がソケット(70)の凹溝(72)に嵌まる(図5の矢印G)。
【0034】
抜止め球体(50)がソケット(70)の凹溝(72)に嵌まることで、ソケット(70)はドライブ筒(20)に装着される。
なお、抜止め球体(50)は押出凹部(42)により後退不能となっており、また、プッシュロッド(40)は細径の治具(80)を用いない限り、操作不能であるから、意図しないソケット(70)の脱落を防止できる。
【0035】
ソケット(70)を取り付けた後、ソケット(70)の差込穴(73)に所望のボルトやナットを嵌めて締結作業を行なうことができる。
【0036】
ソケット(70)を取り外すには、まず、ドライバ等の細径の治具(80)を操作孔(62)に挿入しプッシュロッド(40)を押し込んで(図4の矢印A)、横孔(24)と逃し凹部(44)を対向させる。この状態から、ソケット(70)を図4の矢印H方向に引き出すと、抜止め球体(50)はソケット(70)の凹溝(72)から外れて、逃し凹部(44)側へ後退する(図4の矢印C)。
【0037】
ソケット(70)をさらに図3の矢印Iに示すように引っ張ることで、ソケット(70)をドライブ筒(20)から取り外すことができる。
【0038】
本発明によれば、プッシュロッド(40)は、細径の治具(80)を用いない限り操作を行なうことができないから、誤操作や他の部材に当たるなど、意図しないソケット(70)の脱落を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、ドライブ筒よりソケットが意図せず外れてしまうことのないボルト締付機として広く利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
(10) ラチェットハンドル
(12) ヘッド部
(20) ドライブ筒
(21) ソケット取付部
(24) 横孔
(40) プッシュロッド
(41) ロッド部
(42) 押出凹部
(44) 逃し凹部
(50) 抜止め球体
(61) 押え部材
(62) 操作孔
(63) 抜止め部材
(70) ソケット
(80) 治具
図1
図2
図3
図4
図5