【文献】
Huai-Ting Shin et.al.,High-Performance Blue Electroluminescent Devices Baced on a Biaryl,Advanced Materials,2002年,Vol.14/No.19,p.1409-p.1412
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され、これらに電気的に接続された少なくとも1つの有機層を備える。電流が流れると、(複数であってよい)有機層に、アノードはホールを注入し、カソードは電子を注入する。注入されたホールと電子はそれぞれ、反対に帯電した電極に向かって移動する。電子とホールが同じ分子に局在するとき、「励起子」(励起エネルギー状態を有する局在化した電子-ホール対である)が形成される。励起子が光放出機構により緩和するときに光が放出される。いくつかの場合には、励起子はエキシマーまたはエキシプレックスに局在化されることがある。非放射的機構、例えば熱緩和もまた起こり得るが、通常、望ましくないと考えられている。
【0028】
初期のOLEDでは、例えば、米国特許第4769292号(その全体を参照により援用する)に開示されているように、一重項状態から発光する(「蛍光」)発光分子を用いた。蛍光発光は一般に、10ナノ秒未満の時間範囲で起こる。
【0029】
より最近、三重項状態から発光する(「燐光」)発光材料を有するOLEDが実証された。Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、Nature, vol.395, 151〜154頁, 1998(「Baldo-I」)、および、Baldoら、「Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl. Phys. Lett., vol.75, No.3, 4〜6頁(1999)(「Baldo-II」)(その全体を参照により援用する)。燐光は、遷移がスピン状態の変化を必要とするので「禁制」遷移と呼ばれることがあり、量子力学はこのような遷移は有利でないことを示している。結果として、燐光は一般に、少なくとも10ナノ秒を超える時間範囲で起こり、典型的には100ナノ秒を超える。燐光の自然な放射寿命が長すぎると、三重項が非放射的機構により減衰してまったく光が放出されないということがあり得る。有機燐光は、しばしば、非共有電子対を有するヘテロ原子を含む分子においてもまた、非常に低温で観察される。2,2'-ビピリジンはこのような分子である。非放射的減衰機構は通常、温度に依存するので、液体窒素の温度で燐光を示す有機材料は、通常、室温では燐光を示さない。しかし、Baldoにより実証されたように、室温で実際に燐光を発する燐光化合物を選択することによって、この問題に取り組むことができる。代表的な発光層には、米国特許第6303238号、および米国特許第6310360号;米国特許出願公開第2002-0034656号;米国特許出願公開第2002-0182441号;米国特許出願公開第2003-0072964号;ならびにWO-02/074015に開示されているようなドープまたは無ドープ燐光有機金属材料が含まれる。
【0030】
一般に、OLED内の励起子は、約3:1の比で、すなわち、約75%の三重項と約25%の一重項として、生成されると考えられている。Adachiら、「Nearly 100% Internal Phosphorescent Efficiency In An Organic Light Emitting Device」、J. Appl. Phys., 90, 5048頁(2001)(その全体を参照により援用する)を参照されたい。多くの場合、一重項励起子は「項間交差」を通じて三重項励起状態に容易にエネルギーを移動できるが、三重項励起子はそれらのエネルギーを一重項励起状態に容易には移動できない。結果として、燐光OLEDにより、100%の内部量子効率が理論的には可能である。蛍光デバイスにおいては、三重項励起子のエネルギーは通常、デバイスを昇温させる無放射減衰過程に費やされるので、結果的に内部量子効率はずっと小さくなる。三重項励起状態から発光する燐光材料を用いるOLEDが、例えば、米国特許第6303238号(その全体を参照により援用する)に開示されている。
【0031】
燐光発光に先立って、三重項励起状態から、発光減衰が起こる中間の非三重項状態への遷移が起こりうる。例えば、ランタニド元素に配位した有機分子は、しばしば、ランタニド金属に局在化した励起状態から燐光を発する。しかし、このような材料は三重項状態から直接、燐光を発するのでなく、代わりに、ランタニド金属イオンに集中した原子励起状態から発光する。ユウロピウムジケトナート錯体はこれらのタイプの化学種の1つの群を例示する。
【0032】
三重項からの燐光は、有機分子を大きな原子番号の原子のごく近くに、好ましくは結合を通じて、留めることによって蛍光を超えて増大させることができる。この現象は、重原子効果と呼ばれ、スピン-軌道カップリングとして知られている機構によって生じる。このような燐光遷移は、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III)などの有機金属分子の励起金属から配位子への電荷移動(metal-to-ligand charge transfer、MLCT)状態から観察される。
【0033】
本明細書では、「三重項エネルギー」という用語は、所与の材料の燐光スペクトルに認められる最も高いエネルギーピークに対応するエネルギーをいう。最も高いエネルギーピークは、必ずしも、燐光スペクトルにおける最大強度を有するピークではなく、例えば、このようなピークの高エネルギー側の明瞭な肩の極大値であり得る。
【0034】
本明細書では、「有機金属」という用語は当業者に一般に理解されている通りであり、例えば、「Inorganic Chemistry」(2nd Edition)、Gary L.MiesslerおよびDonald A.Tan、Prentice Hall(1998)に記載されている通りである。したがって、有機金属という用語は、炭素-金属の結合を通じて金属に結合した有機基を有する化合物を表す。有機金属それ自体は、配位化合物を含まず、配位化合物はヘテロ原子からの供与結合(donor bond)だけを有する物質(例えば、アミン、ハライド、擬ハライド(CNなど)などの金属錯体)である。実際には、有機金属化合物は一般に、有機化学種への炭素-金属結合の1つまたは複数に加えて、ヘテロ原子からの供与結合の1つまたは複数を含む。有機化学種への炭素-金属結合とは、金属と有機基(例えば、フェニル、アルキル、アルケニルなど)の炭素原子との間の直接結合をいうが、CNまたはCOの炭素などの「無機炭素」への金属結合をいわない。
【0035】
図1は有機発光デバイス100を示している。この図は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、ホール注入層120、ホール輸送層125、電子阻止層130、発光層135、ホール阻止層140、電子輸送層(ETL)145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含み得る。カソード160は、第1導電層162および第2導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記載した層を順次、堆積させることによって製造できる。
【0036】
基板110は所望の構造特性をもたせる任意の適切な基板であってよい。基板110は柔軟であっても堅くてもよい。基板110は、透明、半透明または不透明であり得る。プラスチックおよびガラスは好ましい堅い基板材料の例である。プラスチックおよび金属箔は好ましい柔軟基板材料の例である。基板110は回路の作製を容易にするために、半導体材料であってもよい。例えば、基板110は、続いて基板上に堆積されるOLEDを制御できる回路がその上に作製されているシリコンウェハであってもよい。他の基板を使用してもよい。基板110の材料および厚さは、所望の構造および光学特性が得られるように選択され得る。
【0037】
アノード115は、有機層にホールを輸送するために十分な導電性である如何なる適切なアノードであってもよい。アノード115の材料は、好ましくは、約4eVより大きい仕事関数を有する(「高仕事関数材料」)。好ましいアノード材料には、導電性金属酸化物、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)およびインジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AlZnO)、ならびに金属が含まれる。アノード115(および基板110)は、下部発光デバイスを作るために十分な透明であり得る。好ましい透明基板とアノードの組合せは、ガラスまたはプラスチック(基板)上に堆積された市販のITO(アノード)である。柔軟かつ透明な基板-アノードの組合せは、米国特許第5844363号および米国特許第6602540号B2(その全体を参照により援用する)に開示されている。アノード115は不透明および/または反射性であり得る。反射性アノード115は、デバイスの上部からの発光量を増加させるために、いくつかの上部発光デバイスでは好ましいものであり得る。アノード115の材料および厚さは、所望の導電性および光学特性が得られるように選択され得る。アノード115が透明である場合、特定の材料に対して、所望の導電性をもたせるのに十分なだけ厚いが、それでも所望の透明度をもたせるのに十分なだけ薄い、厚さの範囲があり得る。他のアノード材料および構造を用いてもよい。
【0038】
ホール輸送層125には、ホールを輸送できる材料が含まれ得る。ホール輸送層130は真性(ドープされていない)であってもドープされていてもよい。ドーピングは導電性を増すために使用され得る。α-NPDおよびTPDは真性ホール輸送層の例である。p型ドープホール輸送層の例は、Forrestらの米国特許出願公開第2003-0230980号(その全体を参照により援用する)に開示されている、50:1のモル比でF
4-TCNQによりドープされたm-MTDATAである。他のホール輸送層を用いてもよい。
【0039】
発光層135は、電流がアノード115とカソード160との間に流れたときに発光できる有機材料を含み得る。好ましくは、発光層135は燐光発光材料を含むが、蛍光発光材料も使用され得る。燐光材料が、このような材料に付随するより高いルミネセンス効率のために好ましい。発光層135はまた、電子および/またはホールを輸送できるホスト材料(励起子が光放出機構により発光材料から緩和するように、電子、ホール、および/または励起子を捕捉し得る発光材料によりドープされている)を含んでいてもよい。発光層135は、輸送および発光特性を併せもつ単一材料を含んでいてもよい。発光材料がドーパントであるか主成分であるかにかかわらず、発光層135は、発光材料の発光を調整するドーパントのような他の材料を含み得る。発光層135は、組み合わされて所望の光スペクトルを発光できる複数の発光材料を含んでいてもよい。燐光発光材料の例には、Ir(ppy)
3が含まれる。蛍光発光材料の例には、DCMおよびDMQAが含まれる。OLEDにおけるホスト材料の例には、Alq
3、CBPおよびmCPが含まれる。OLEDにおける発光性且つホストの材料の例は、Thompsonらの米国特許第6303238号(その全体を参照により援用する)に開示されている。本発明においては、好ましいホスト材料には、トリフェニレン複合体が含まれる。トリフェニレン化合物は、米国特許出願公開第2005-0025993号に記載されているように、電子輸送材料などの、OLEDにおける他の用途において有用な材料である。発光材料は発光層135に多くのやり方で含まれ得る。例えば、発光性の低分子がポリマーに組み込まれてもよい。これは、いくつかのやり方によって、例えば、低分子を、別個の独立した分子種としてポリマーにドープすることによって;あるいは、コポリマーを形成するように低分子をポリマー骨格に組み込むことによって;あるいは、低分子をペンダント基としてポリマーに結合させることによって、実施できる。他の発光層の材料および構造を用いてもよい。例えば、低分子の発光材料はデンドリマーのコアとして存在してもよい。
【0040】
多くの有用な発光材料は、金属中心に結合した1つまたは複数の配位子を含む。配位子は、それが有機金属発光材料のルミネセンス特性に直接寄与する場合、「光活性」と呼びうる。「光活性」配位子は、金属と共同で、光子が放出されるときに、電子がそこから、またそこへ移動する複数のエネルギー準位を提供しうる。他の配位子は「補助」と呼びうる。補助配位子は、例えば、光活性配位子のエネルギー準位をシフトさせることによって、分子の光活性特性を改変し得るが、補助配位子は光の放出に直接関与するエネルギー準位を直接提供はしない。1つの分子において光活性である配位子は別の分子においては補助であり得る。光活性および補助のこれらの定義は非限定的な説を意図するものである。
【0041】
電子輸送層145は、電子を輸送できる材料を含み得る。電子輸送層145は、真性(ドープされていない)であることも、またはドープされていることもある。ドーピングは導電性を高めるために使用され得る。Alq
3は真性電子輸送層の例である。n型ドープ電子輸送層の例は、Forrestらの米国特許出願公開第2003-0230980号(その全体を参照により援用する)に開示されている、1:1のモル比でLiによりドープされたBPhenである。他の電子輸送層を用いてもよい。
【0042】
電子輸送層の電荷担体成分は、電子輸送層のLUMO(最低空分子軌道)エネルギー準位へ、電子がカソードから効率的に注入され得るように選択され得る。「電荷担体成分」は、実際に電子を輸送するLUMOエネルギー準位を担う材料である。この成分はベース材料であっても、あるいはそれはドーパントであってもよい。有機材料のLUMOエネルギー準位は一般にその材料の電子親和力により特徴付けることができ、カソードの相対的電子注入効率は一般にカソード材料の仕事関数によって特徴付けることができる。これは、電子輸送層および隣接するカソードの好ましい特性は、ETL(電子輸送層)の電荷担体成分の電子親和力とカソード材料の仕事関数とによって特定できることを意味する。特に、高い電子注入効率を実現するために、カソード材料の仕事関数は、電子輸送層の電荷担体成分の電子親和力より、好ましくは約0.75eVを超えては大きくなく、より好ましくは約0.5eVを超えては大きくない。同様の考察は電子が注入される如何なる層にも適用される。
【0043】
カソード160は、カソード160が電子を伝導しデバイス100の有機層に電子を注入できるような、当技術分野で知られている如何なる適切な材料または材料の組合せであってもよい。カソード160は透明または不透明であってよく、また反射性であってよい。金属および金属酸化物は適切なカソード材料の例である。カソード160は単層であっても、あるいは複合構造を有していてもよい。
図1は、薄い金属層162と、より厚い導電性金属酸化物層164とを有する複合カソード160を示している。複合カソードにおいて、より厚い層164のための好ましい材料には、ITO、IZO、および当技術分野において知られている他の材料が含まれる。米国特許第5703436号、米国特許第5707745号、米国特許第6548956号B2および米国特許第6576134号B2(それら全体を参照により援用する)は、スパッタリングにより堆積させた透明で導電性のITO層が上に重なったMg:Agなどの薄い金属層を有する複合カソードを含めて、カソードの例を開示している。下にある有機層と接触しているカソード160の部分は、それが単層カソード160、複合カソードの薄い金属層162、または何らかの他の部分であるかどうかにかかわらず、好ましくは、約4eVより小さい仕事関数を有する材料(「低仕事関数材料」)からなる。他のカソード材料および構造を用いてもよい。
【0044】
阻止層(blocking layer)は、発光層から出て行く電荷担体(電子もしくはホール)および/または励起子の数を減らすために使用され得る。電子阻止層130は、電子が発光層135を出てホール輸送層125に向かうことを妨害するために、発光層135とホール輸送層125との間に配置され得る。同様に、ホール阻止層140は、ホールが発光層135を出て電子輸送層145に向かうことを妨害するために、発光層135と電子輸送層145との間に配置され得る。阻止層はまた、励起子が発光層から拡散して出て行くのを妨害するためにも使用され得る。阻止層の理論と使用は、より詳細に、米国特許第6097147号およびForrestらの米国特許出願公開第2003-0230980号(それら全体を参照により援用する)に記載されている。
【0045】
本明細書では、当業者により理解されている通りに、「阻止層」という用語は、この層が、デバイスを通しての電荷担体および/または励起子の輸送を著しく抑制するバリアを提供することを意味するが、この層が電荷担体および/または励起子を必ずしも完全に妨害することは示唆してはいない。デバイス中にこのような阻止層が存在することにより、阻止層のない類似のデバイスに比べて、実質的により高い効率をもたらしうる。また、阻止層は、OLEDの所望の領域に発光を限定するためにも使用され得る。
【0046】
一般に、注入層は、1つの層、例えば電極または有機層から、隣接する有機層への電荷担体の注入を促進し得る材料からなる。注入層は電荷輸送機能をも果たし得る。デバイス100において、ホール注入層120は、アノード115からホール輸送層125へのホールの注入を促進する如何なる層であってもよい。CuPcは、ITOアノード115、および他のアノードからのホール注入層として使用され得る材料の例である。デバイス100において、電子注入層150は、電子輸送層145への電子の注入を促進する如何なる層であってもよい。LiF/Alは、近くの層から電子輸送層への電子注入層として用いうる材料の例である。他の材料または材料の組合せを注入層に用いてもよい。特定のデバイス構成に応じて、注入層はデバイス100において示されているものとは異なる位置に配置されてもよい。注入層のさらなる例は、Luらの米国特許出願第09/931948号(その全体を参照により援用する)に記載されている。ホール注入層は、スピンコートされたポリマー(例えばPEDOT:PSS)のように、溶液から堆積された材料を含んでいるか、あるいは、それは気相堆積された小分子材料(例えば、CuPcまたはMTDATA)でもあり得る。
【0047】
ホール注入層(HIL)は、アノードからホール注入材料へのホールの注入を効率的にするように、アノード表面を平坦化し、または濡らし得る。ホール注入層はまた、HILの一方の側に隣接するアノード層とHILの反対側のホール輸送層とに、都合よく適合するHOMO(最高被占分子軌道)エネルギー準位(本明細書に記載されている相対的イオン化ポテンシャル(IP)エネルギーにより定まる)を有する電荷担体成分も含み得る。「電荷担体成分」は、実際にホールを輸送するHOMOエネルギー準位を担う材料である。この成分はHILのベース材料であるか、あるいは、それはドーパントであってもよい。ドープされたHILを用いることにより、ドーパントをその電気的特性で選択でき、ホストをモルホロジー的特性(例えば、濡れ性、柔軟性、靱性など)で選択できる。HIL材料の好ましい特性は、ホールがアノードからHIL材料に効率的に注入され得るということである。特に、HILの電荷担体成分は、好ましくは、アノード材料のIPより約0.7eVを超えない範囲で大きいIPを有する。より好ましくは、電荷担体成分は、アノード材料より約0.5eVを超えない範囲で大きいIPを有する。同様の考察は、ホールが注入される如何なる層にも適用される。このようなHIL材料は、従来のホール輸送材料のホール伝導度よりも相当に小さいホール伝導度を有し得るという点において、HIL材料は、OLEDのホール輸送層に通常使用される従来のホール輸送材料からさらに区別される。本発明でのHILの厚さは、アノード層の表面を平坦化する、または濡らすことを助けるのに十分なだけの厚さであってよい。例えば、10nmのように薄いHILの厚さでも、非常に滑らかなアノード表面に対しては許容され得る。しかし、アノード表面は非常に粗い傾向があるので、いくつかの場合には50nmまでのHILの厚さが望ましい。
【0048】
保護層は次の製造工程の間、下にある層を保護するために使用され得る。例えば、金属または金属酸化物の上部電極(トップ電極)を作製するために用いられる工程は有機層を損傷し得るので、保護層はこのような損傷を減らすか、または無くすために使用され得る。デバイス100において、保護層155は、カソード160の作製中、下にある有機層への損傷を減らすことができる。好ましくは、保護層は、それがデバイス100の駆動電圧を著しく増加させないように、それが輸送する担体のタイプ(デバイス100では電子)に対する大きな担体移動度を有する。CuPc、BCP、および様々な金属フタロシアニンは、保護層に使用され得る材料の例である。他の材料または材料の組合せを用いてもよい。好ましくは、保護層155の厚さは、有機保護層155が堆積された後に実施される製造工程によって下にある層への損傷がほとんどまたは全くないように充分に厚いが、デバイス100の駆動電圧を著しく増加させる程には厚くない。保護層155はその導電性を増すためにドープされてもよい。例えば、CuPcまたはBCPの保護層155はLiによりドープされ得る。保護層のより詳細な説明は、Luらの米国特許出願第09/931948号(その全体を参照により援用する)に見ることができる。
【0049】
図2は倒置型(inverted)OLED200を示している。このデバイスは、基板210、カソード215、発光層220、ホール輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は記載した層を順次、堆積させることによって製造できる。最も普通のOLEDの構成はアノードの上方に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、デバイス200を「倒置型」OLEDと呼ぶことができる。デバイス100に関して記載したものと同様の材料を、デバイス200の対応する層に使用できる。
図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層を省けるかの1つの例を提供している。
【0050】
図1および2に例示されている簡単な層状構造は非限定的な例として与えられており、本発明の実施形態は多様な他の構造と関連して使用され得ることが理解される。記載されている具体的な材料および構造は事実上例示であり、他の材料および構造も使用できる。設計、性能、およびコスト要因に基づいて、実用的なOLEDは、様々なやり方で、上記の記載された様々な層を組み合わせることによって実現でき、あるいは、いくつかの層は完全に省かれ得る。具体的に記載されていない他の層もまた含まれ得る。具体的に記載したもの以外の材料を用いてもよい。本明細書に記載されている例の多くは単一の材料を含むものとして様々な層を記載しているが、材料の組合せ(例えばホストおよびドーパントの混合物、またはより一般的には混合物)を用いてもよいことが理解される。また、層は様々な副層(sublayer)を有してよい。本明細書において様々な層に与えられている名称は、厳格に限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、ホール輸送層225はホールを輸送し且つ発光層220にホールを注入するので、ホール輸送層として、あるいはホール注入層としても記載され得る。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するとして記述できる。この有機層は単一の層を含むか、または、例えば
図1および2に関連して記載された様々な有機材料の複数の層をさらに含むことができる。
【0051】
Friendらの米国特許第5247190号(その全体を参照により援用する)に開示されているような、ポリマー材料で構成されるOLED(PLED)のように、具体的に記載されていない構造および材料も使用することができる。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、Forrestらの米国特許第5707745号(その全体を参照により援用する)に記載されているように、積層されてもよい。OLEDの構造は、
図1および2に示されている簡単な層状構造から逸脱していてもよい。例えば、基板は、光取出し(out-coupling)を向上させるために、Forrestらの米国特許第6091195号(その全体を参照により援用する)に記載されているメサ構造、および/またはBulovicらの米国特許第5834893号(その全体を参照により援用する)に記載されているピット構造などの、角度の付いた反射表面を含み得る。
【0052】
特に断らないかぎり、様々な実施形態の層のいずれも、何らかの適切な方法によって堆積され得る。有機層については、好ましい方法には、熱蒸着(thermal evaporation)、インクジェット(例えば、米国特許第6013982号および米国特許第6087196号(それら全体を参照により援用する)に記載されている)、有機気相成長(organic vapor phase deposition、OVPD)(例えば、Forrestらの米国特許第6337102号(その全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびに有機気相ジェットプリンティング(organic vapor jet printing、OVJP)による堆積(例えば、米国特許出願第10/233470号(その全体を参照により援用する)に記載されている)が含まれる。他の適切な堆積方法には、スピンコーティングおよび他の溶液に基づく方法が含まれる。溶液に基づく方法は、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で実施される。他の層については、好ましい方法には熱蒸着が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての堆積、低温溶接(cold welding)(例えば、米国特許第6294398号および米国特許第6468819号(それら全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJPなどの堆積方法のいくつかに関連するパターニングが含まれる。他の方法もまた用いてよい。堆積される材料は、それらを特定の堆積方法に適合させるために改変されてもよい。例えば、分岐した又は分岐のない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基が、溶液加工性を高めるために、小分子に用いることができる。20個以上の炭素を有する置換基を用いてもよいが、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称材料はより小さな再結晶化傾向を有し得るので、非対称構造を有する材料は、対称構造を有する材料よりも良好な溶液加工性を有し得る。デンドリマー置換基を、小分子の溶液加工性を高めるために用いてもよい。
【0053】
本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書において開示されている分子を多くの異なるやり方で置換することができる。
【0054】
本発明の実施形態により製造されたデバイスは多様な消費者製品に組み込むことができ、これらの製品には、フラットパネルディスプレイ、コンピュータのモニタ、テレビ、広告板、室内もしくは屋外の照明灯および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全透明(fully transparent)ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、乗り物、大面積壁面(large area wall)、映画館またはスタジアムのスクリーン、あるいは標識が含まれる。パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスを含めて、様々な制御機構を用いて、本発明により製造されたデバイスを制御できる。デバイスの多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの、人にとって快適な温度範囲において使用することが意図されている。
【0055】
本明細書に記載されている材料および構造は、OLED以外のデバイスにも用途があり得る。例えば、有機太陽電池および有機光検出器などの他のオプトエレクトロニクスデバイスは、これらの材料および構造を用い得る。より一般的に、有機デバイス(例えば有機トランジスタ)に、これらの材料および構造を用いることができる。
【0056】
本明細書では、「ハロ」または「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。
【0057】
本明細書では、「アルキル」という用語は、直鎖および分岐鎖アルキル基の両方を意図している。好ましいアルキル基は1から15個の炭素原子を含むものであり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどが含まれる。さらに、アルキル基は、ハロ、CN、CO
2R、C(O)R、NR
2、環状アミノ、NO
2、およびORから選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換されていてもよい。
【0058】
本明細書では、「シクロアルキル」という用語は、環状アルキル基を意図している。好ましいシクロアルキル基は3から7個の炭素原子を含むものであり、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシルなどが含まれる。さらに、シクロアルキル基は、ハロ、CN、CO
2R、C(O)R、NR
2、環状アミノ、NO
2、およびORから選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換されていてもよい。
【0059】
本明細書では、「アルケニル」とい用語は、直鎖および分岐鎖の両方のアルケン基を意図している。好ましいアルケニル基は、2から15個の炭素原子を含むものである。さらに、アルケニル基は、ハロ、CN、CO
2R、C(O)R、NR
2、環状アミノ、NO
2、およびORから選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換されていてもよい。
【0060】
本明細書では、「アルキニル」とい用語は、直鎖および分岐鎖アルキン基の両方を意図している。好ましいアルキニル基は、2から15個の炭素原子を含むものである。さらに、アルキニル基は、ハロ、CN、CO
2R、C(O)R、NR
2、環状アミノ、NO
2、およびORから選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換されていてもよい。
【0061】
本明細書では、「複素環式基」とい用語は、非芳香族環状基を意図している。好ましい複素環式基は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む3または7個の環原子を含むものであり、複素環式基には、環状アミン(例えば、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノなど)、および環状エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなど)が含まれる。
【0062】
本明細書では、「アリール」または「芳香族基」という用語は、単環基および多環システムを意図している。多環式の環は、2個の原子が2つの隣接する環により共有されている(環が「縮合」している)2つ以上の環を有していてもよく、これらの環の少なくとも1つは芳香族である(例えば、別の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、複素環および/またはヘテロアリールであってよい)。
【0063】
本明細書では、「ヘテロアリール」という用語は、1から4個のヘテロ原子を含み得る単環のヘテロ芳香族基、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジンおよびピリミジン、を意図している。ヘテロアリールという用語は、2個の原子が2つの隣接する環に共有されている(環が「縮合」している)2つ以上の環を有し、これらの環の少なくとも1つはヘテロアリールである(例えば、別の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、複素環および/またはヘテロアリールであってよい)多環式ヘテロ芳香族システムも含む。
【0064】
本発明は、燐光材料とトリフェニレン化合物とを含む有機発光層、ならびにこのような発光層を含むデバイスを目的とする。具体的なトリフェニレン化合物も提供される。本発明の好ましい実施形態において、有機発光層は、燐光材料と、任意選択で置換されていてもよいトリフェニレン化合物とを含む。置換基は同じであっても異なっていてもよく、各々は、アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、アルキニル、およびヘテロアルキルからなる群から選択される。特に好ましいものは、分解なしに真空蒸着できる、1400未満の分子量を有するトリフェニレン化合物である。高い効率と長い寿命が、本発明により製造されたデバイスによって実証される。トリフェニレンの高い三重項エネルギーは、トリフェニレン化合物を、深青色燐光ドーパントと共に使用されるホストまたは共ホスト(co-host)として特に適切なものにしている。
【0065】
トリフェニレンは、高い三重項エネルギーと、第1の一重項と第1の三重項準位との間の比較的小さなエネルギー差とを有する多環式芳香族炭化水素である。このことは、類似の三重項エネルギーを有する他の芳香族化合物(例えば、ビフェニル)と比べて、トリフェニレンが比較的容易に利用可能なHOMOおよびLUMO準位を有することを示しているであろう。トリフェニレンおよびその誘導体をホストとして用いる利点は、それが、赤色、緑色の燐光ドーパント、及び青色の燐光ドーパントにさえ適合して、エネルギー消光なしに高い効率をもたらすことである。
【0066】
好ましくは、本発明におけるトリフェニレン化合物は、燐光材料のHOMOとLUMOのエネルギー準位の間のエネルギーギャップよりも大きな、HOMOとLUMOのエネルギー準位の間のエネルギーギャップを有する。
【0067】
好ましい実施形態においては、本発明のトリフェニレン化合物は、そのHOMOエネルギー準位とそのLUMOエネルギー準位との間に少なくとも約1.8eVのエネルギーギャップを有する。
【0068】
別の実施形態において、トリフェニレン化合物は、燐光材料の最高被占分子軌道よりも低い最高被占分子軌道を有する。
【0069】
別の実施形態において、トリフェニレン化合物は、燐光材料の最低空分子軌道よりも高い最低空分子軌道を有する。
【0070】
一実施形態において、本発明は、燐光材料とトリフェニレン化合物とを含む有機発光層、並びに前記発光層を含むデバイスを提供し、このトリフェニレン化合物は、マルチ-アリール置換トリフェニレン、好ましくは次の構造を有する2,3,6,7,10,11-ヘキサアリールトリフェニレンを含む。
【0072】
上記式中、R
2、R
3、R
6、R
7、R
10およびR
11は、それぞれ独立に、H、または、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルキル、アリールキル(arylkyl)、ヘテロアルキル、アルケニル、およびアルキニルからなる群から選択される置換基であり、且つこのトリフェニレン化合物は少なくとも2つの置換基を有する。
【0073】
R
2、R
3、R
6、R
7、R
10およびR
11は、同じであっても異なっていてもよい。一実施形態においては、R
2、R
3、R
6、R
7、R
10およびR
11の各々は、アリールおよび置換アリールから選択される。好ましくは、R
2、R
3、R
6、R
7、R
10およびR
11の少なくとも1つは、アリールおよび置換アリールから選択される。好ましいものは、任意選択で置換されてもよい、フェニル、ナフチルおよびビフェニルである。
【0074】
好ましいマルチ-アリール置換トリフェニレン化合物は、分解なしに減圧下(at vacuum)で蒸発できるものである。例には、これらに限らないが、R
2、R
3、R
6、R
7、R
10およびR
11がフェニル、ナフチルおよびビフェニルである、次の構造により示される化合物が含まれる。
【0076】
別の例では、R
2、R
3、R
6、R
7、R
10およびR
11がすべて置換フェニルである。このような例には、これに限らないが、次の構造を有する化合物が含まれる。
【0078】
別の実施形態において、本発明は、燐光材料と、トリフェニレン部分を含む繰返し単位を有する化合物とを含む有機発光層、並びに前記発光層を含むデバイスを提供する。
【0079】
トリフェニレン部分を含む繰返し単位を有する化合物には、次の構造を有するアリーレントリフェニレンが含まれる。
【0081】
上記式中、
Arはアリールおよび置換アリールから選択され;
Xは、1〜3であり;
Yは、1〜3であり;かつ
nは、1〜3である。
【0082】
好ましいアリーレントリフェニレン化合物は、次の構造を有するフェニレントリフェニレンである。
【0084】
上記式中、
Xは、1〜3であり;
Yは、1〜3であり;かつ
nは、1〜3である。
【0085】
より好ましいアリーレントリフェニレン化合物は、分解なしに減圧下で蒸発できるものである。例には、これらに限らないが、次のものが含まれる。
【0087】
トリフェニレン部分を含む繰返し単位を有する化合物には、次の構造を有するトリフェニレニレンも含まれる。
【0089】
好ましいトリフェニレニレン化合物は、n≦5のオリゴ(トリフェニレニレン)である。より好ましいものは、分解なしに減圧下で蒸発できるトリフェニレニレン化合物である。例には、次のものが含まれるがこれらに限らない。
【0091】
トリフェニレン部分を含む繰返し単位を有する化合物には、トリフェニレン部分が次の構造を有するものも含まれる。
【0093】
上記式中、R
1、R
2、およびR
3は、それぞれ独立に、H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アルキル、アリールキル、ヘテロアルキル、アルケニル、およびアルキニルからなる群から選択される。
【0094】
例には、これらに限らないが、トリフェニレン部分が次の式を有するものが含まれる(式中、n>5)。
【0096】
トリフェニレン部分を含む繰返し単位を有する化合物には、トリフェニレン部分が次の構造を有するものも含まれる。
【0098】
上記式中、n>5であり、
R
1、R
2、R
3およびR'は、それぞれ独立に、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アルキル、アリールキル、ヘテロアルキル、アルケニル、およびアルキニルからなる群から選択される。
【0099】
例には、これらに限らないが、トリフェニレン部分が次の式を有するものが含まれる。
【0101】
別の実施形態において、本発明は、燐光材料とトリフェニレン化合物とを含む有機発光層、ならびに、前記発光層を含むデバイスを提供し、このトリフェニレン化合物はマルチ-ベンゾトリフェニレン構造を有する。好ましいマルチ-ベンゾトリフェニレンは、分解なしに減圧下で蒸発できるものである。例には、これらに限らないが、次のものが含まれる。
【0103】
別の実施形態において、本発明は、燐光材料とトリフェニレン化合物とを含む有機発光層、ならびに、前記発光層を含むデバイスを提供し、このトリフェニレン化合物は縮合トリフェニレニレン構造を有する。好ましい縮合トリフェニレニレン構造には、これらに限らないが、次のものが含まれる。
【0105】
本明細書に記載されている様々な実施形態は単に例としてであり、本発明の範囲を限定しようとするものではないことがわかる。例えば、本明細書に記載されている材料および構造の多くは、本発明の精神から逸脱することなく他の材料および構造で置き換えることができる。本発明が何故機能するかについての様々な理論は限定しようとするものではないことがわかる。
【0106】
[材料の定義]
本明細書では、略語は以下の材料を表す。
CBP: 4,4'-N,N-ジカルバゾール-ビフェニル
m-MTDATA: 4,4',4"-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン
Alq
3: 8-トリス-ヒドロキシキノリンアルミニウム
Bphen: 4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン
n-BPhen: n型ドープBPhen(リチウムでドープ)
F
4-TCNQ: テトラフルオロ-テトラシアノ-キノジメタン
p-MTDATA: p型ドープm-MTDATA(F
4-TCNQでドープ)
Ir(ppy)
3: トリス(2-フェニルピリジン)-イリジウム
Ir(ppz)
3: トリス(1-フェニルピラゾロト,N,C(2')イリジウム(III)
BCP: 2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン
TAZ: 3-フェニル-4-(1'-ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール
CuPc: 銅フタロシアニン
ITO: インジウムスズ酸化物
NPD: N,N'-ジフェニル-N-N'-ジ(l-ナフチル)-ベンジジン
TPD: N,N'-ジフェニル-N-N'-ジ(3-トリル)-ベンジジン
BAlq: アルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)4-フェニルフェノラート
mCP: 1,3-N,N-ジカルバゾール-ベンゼン
DCM: 4-(ジシアノメチレン)-6-(4-ジメチルアミノスチリル)-2-メチル-4H-ピラン
DMQA: N,N'-ジメチルキナクリドン
PEDOT:PSS ポリスチレンスルホン酸(PSS)によるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)の水性分散体
HPT: 2,3,6,7,10,11-ヘキサフェニルトリフェニレン
2,7-DCP: 2,7-N,N-ジカルバゾールフェナントレン
3,3'-DC-o-TerP: 3,3'-ジカルバゾール-o-ターフェニル
4,4'-DC-o-TerP: 4,4'-ジカルバゾール-o-ターフェニル
2,6'-DCN: 2,6-N,N-ジカルバゾールナフタレン
Ir(5-Phppy)
3: トリス[5'-フェニル(2-フェニルピリジン)]イリジウム(III)
Ir(3-Meppy)
3: トリス(3-メチル-2-フェニルピリジン)イリジウム(III)
Ir(1-piq)
3: トリス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(III)
Ir(3-Mepq)
2(acac): ビス[3-メチル-2-フェニルキノリン]イリジウム(III)アセチルアセトナート
Ir(5-Phppy)
3: トリス[5-フェニル(2-フェニルピリジン)]イリジウム(III)
Ir(pq)
2(acac): ビス[2-フェニルキノリン]イリジウム(III)アセチルアセトナート
2,2-BT: 2,2-ビストリフェニレン
HPT: 2,3,6,7,10,11-ヘキサフェニルトリフェニレン
H1NT: 2,3,6,7,10,11-ヘキサ(1-ナフチル)トリフェニレン
H2BT: 2,3,6,7,10,11-ヘキサ(2-ビフェニル)トリフェニレン
【0107】
本発明の具体的で代表的な実施形態を、このような実施形態がどのようになされうるかを含めてこれから記載する。特定の方法、材料、条件、プロセスパラメータ、装置などは本発明の範囲を必ずしも限定しないことがわかる。
【0108】
[マルチ-アリール置換トリフェニレン化合物の合成]
〔2,3,6,7,10,11-ヘキサフェニルトリフェニレン(HPT)の合成〕
【化17】
【0109】
2,3,6,7,10,11-ヘキサフェニルトリフェニレンを、米国特許出願公開第2005/0025993号に従って合成した。
【0110】
〔2,3,6,7,10,11-ヘキサ(4-t-ブチルフェニル)トリフェニレン(4-t-ブチルHPT)の合成〕
ステップ1. 2,3,6,7,10,11-ヘキサブロモトリフェニレンの調製
2,3,6,7,10,11-ヘキサブロモトリフェニレンを、文献の方法(Breslowら、Tetrahedron、1982、38、863)に従って調製した。トリフェニレン(3.0g、13.2mmol)を70mLのニトロベンゼンに溶かした。0.27gのFe粉末を加えた。この混合物に、20mLのニトロベンゼン中の臭素(18.6g、120mmol)を滴下漏斗により加えた。混合物を室温で12時間攪拌し、2時間還流させた。冷却後、固体を濾過し、エタノールにより洗い、乾燥した。8.9g(96%)の粗生成物を得た。沸騰1,2-ジクロロベンゼン(約180℃)からの再結晶により、オフホワイトの針状晶として生成物を得た(8.64g、94%)。この生成物は、質量分析によって確認した。
【0111】
ステップ2: 2,3,6,7,10,11-ヘキサ(4-t-ブチルフェニル)トリフェニレン(化合物VII)の調製
【化18】
【0112】
2,3,6,7,10,11-ヘキサブロモトリフェニレン(8.64g、12.3mmol)、4-t-ブチルフェニルボロン酸(13.5g、111mmol)、トリフェニルホスフィン(0.64g、2.46mmol)、Pd(OAc)
2(0.14g、0.615mmol)、K
2CO
3(20.4g、147.6mmol)を、600mLのキシレンおよび50mLの水に加えた。この混合物を、窒素で5分間パージし、窒素下で、ゆっくりと還流状態にした。TLC(CH
2Cl
2:ヘキサン、約1:2 v/v、ヘキサブロモ出発化合物は移動しなかった)は、数時間以内に新しいスポット(キシレンもTLCに現れたが、それは生成物より速く展開した)の出現を示した。混合物を12時間還流した。冷却後、固体を濾過し、エタノールにより洗い、乾燥した。粗収率は90%を超えていた。キシレン(生成物3〜4g当たり約100mL)中での再結晶により白色結晶を得た。真空昇華により、生成物(約4.5g)を得て、これを、NMRおよび質量分析により確認した。この物質は普通の有機溶媒に非常によく溶け、溶液プロセスによるデバイスに使用できる。例えば、4-t-ブチルHPTの1重量%トルエン溶液を、シリコンウェハに1000および2000rpmでスピンコートして、それぞれ約60および約40nmの厚さの均一な膜を得ることができる。
【0113】
〔2,3,6,7,10,11-ヘキサ(2-ナフチル)トリフェニレン(H2NT)の合成〕
【化19】
【0114】
2.0gの2,3,6,7,10,11-ヘキサブロモトリフェニレン(2.85mmol)、4.4gのナフタレン-2-イルボロン酸(25.6mmol)、0.15gのトリフェニルホスフィン(0.57mmol)、0.03gの酢酸パラジウム(0.14mmol)を、1Lの三口丸底フラスコに入れた。次いで、250mlのキシレン、次に、250mLの炭酸カリウム溶液(0.1M)を加えた。混合物を30分間を窒素をバブリングすることにより徹底的に脱ガスした。次いで、混合物を窒素雰囲気下で24時間還流した。次いで、反応物を放冷し、内容物を分液ロートに移した。水性層を除去し、有機層を水で洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、次に、溶媒を減圧下で除去した。生成物を、ジクロロメタン/ヘキサン(50/50)を移動相として用いるカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。
【0115】
〔2,3,6,7,10,11-ヘキサ(1-ナフチル)トリフェニレン(H1NT)の合成〕
【化20】
【0116】
2.0gの2,3,6,7,10,11-ヘキサブロモトリフェニレン(2.85mmol)、4.4gのナフタレン-1-イルボロン酸(25.6mmol)、0.22gのジシクロヘキシル(2',6'-ジメトキシビフェニル-2-イル)ホスフィン(0.5mmol)、0.14gのトリスジベンジリデンアセトンパラジウム(0)(0.15mmol)を、1Lの三口丸底フラスコに入れた。次いで、250mLのキシレン、次に、250mlのリン酸三カリウム溶液(0.1M)を加えた。混合物を30分間窒素をバブリングすることにより徹底的に脱ガスした。次いで、混合物を窒素雰囲気下で24時間還流した。次いで、反応物を放冷し、内容物を分液ロートに移した。水性層を除去し、有機層を水により洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。生成物を、ジクロロメタン:ヘキサン(50:50)を移動相として用いるカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。
【0117】
〔2,3,6,7,10,11-ヘキサ(ビフェニル-2-イル)トリフェニレン(H2BT)の合成〕
【化21】
【0118】
1.0gの2,3,6,7,10,11-ヘキサブロモトリフェニレン(1.4mmol)、2.5gのビフェニル-2-イルボロン酸(25.6mmol)、0.11gのジシクロヘキシル(2',6'-ジメトキシビフェニル-2-イル)ホスフィン(0.26mmol)、0.07gのトリスジベンジリデンアセトンパラジウム(0)(0.076mmol)を、1Lの三口丸底フラスコに入れた。次いで、250mLのキシレン、次に、250mlのリン酸三カリウム溶液(0.1M)を加えた。混合物を30分間の窒素をバブリングすることにより徹底的に脱ガスした。次いで、混合物を窒素雰囲気下で24時間還流した。次いで、反応物を放冷し、内容物を分液ロートに移した。水性層を除去し、有機層を水で洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。生成物を、ジクロロメタン:ヘキサン(50:50)を移動相として用いるカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。
【0119】
他のマルチ-アリール置換トリフェニレンの例は、鈴木カップリングにより、対応するハロトリフェニレンおよびアリールボロン酸を用いて、当業者は合成できる。
【0120】
トリフェニレンおよび2,3,6,7,10,11-ヘキサアリールトリフェニレンの電気化学を表1にまとめる。
【0122】
[トリフェニレン繰返し単位を有する化合物の合成]
[トリフェニレン化合物]
〔2,2-ビストリフェニレン(2,2-BT)の合成〕
【化22】
【0123】
2,2-ビストリフェニレンを、Organic Letters 2001,3,811、および米国特許出願公開第2004-0076852号A1に従って合成した。
【0124】
〔1,1-ビストリフェニレン(1,1-BT)の合成〕
1,1-ビストリフェニレンは、Organometallics,2004,23,3079に従って合成できる。
【0125】
[アリーレントリフェニレン化合物]
〔1,3-ビス(トリフェニレン-2-イル)ベンゼンの合成〕
ステップ1: 2-ブロモトリフェニレンの合成
【化23】
【0126】
3.2g(14mmol)のトリフェニレンを、60mLのリン酸トリメチルに溶かした。この懸濁液に、N
2下に室温で、10mLのリン酸トリメチル中2.23g(14mmol)の臭素を加えた。次いで、この混合物を80℃まで加熱した。反応をHPLCによりモニタした。氷水に注ぐことによって反応を失活させ、次いで、ジクロロメタンにより抽出し、亜硫酸水素ナトリウム飽和溶液で洗った。硫酸マグネシウムによる乾燥後、溶媒を留去した。ジクロロメタンを用い、短いシリカゲル栓を通して粗生成物をさっと流した。真空乾燥後に3.0gの生成物を得た。この生成物は、トリフェニレン、1-ブロモトリフェニレン、2-ブロモトリフェニレン、およびジブロモトリフェニレン異性体混合物を含む。
【0127】
ステップ2: 4,4,5,5-テトラメチル-2-(トリフェニレン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロランの合成
【化24】
【0128】
3.0gのブロモトリフェニレン混合物、2.8g(11mmol)のビス(ピナコラート)ジボロン、0.24gのPd(dppf)
2Cl
2、3.0g(30mmol)の酢酸カリウム、および60mLのDMSOをN
2下に室温で混合した。この混合物を脱ガスし、その後、80℃に14時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を氷水に注いだ。次いで、析出物を濾過により集めた。この固体をエーテルに溶かし、硫酸マグネシウムで乾燥した。粗生成物を、ヘキサンとジクロロメタンの混合物を溶離液として用いるカラムによって精製した。1.3gの純粋な生成物を単離した。
【0129】
ステップ3: 1,3-ビス(トリフェニレン-2-イル)ベンゼンの合成
【化25】
【0130】
前のステップからの1.23g(3.5mmol)のトリフェニレンボロン酸エステル、0.5g(1.5mmol)の1,3-ジヨードベンゼン、1.0g(7.5mmol)の炭酸カリウム、30mLのトルエン、および10mLの水を250mLの三口フラスコ内で混合した。この系を10分間窒素によってパージし、その後、0.05gのPd(PPh
3)
4を加えた。次いで、この混合物を激しく攪拌しながら87℃に加熱した。24時間後、混合物に200mLのメタノールを加えた。析出物を濾過により集めた。この固体を大量のメタノール、次いでヘキサンにより洗った。次に、固体を80mlのキシレンから再結晶した。生成物の最終の精製はこの物質を250℃で昇華させることによった。0.35gの生成物を白色針状結晶として集めた。
【0131】
〔3,3'-ビス(トリフェニレン-2-イル)ビフェニルの合成〕
ステップ1: 2-アミノトリフェニレンの合成
約100mLのエタノール中の3.1g(11.3mmol)の1および2-ニトロトリフェニレンの混合物(J.Chem.Soc., 1955, 4482に従って合成)、600mg(0.57mmol)のPd/C(活性炭上10%)、ならびに2.3g(45.2mmol)のヒドラジン一水和物を、250mLの丸底フラスコに投入した。この反応混合物を窒素下で2時間加熱還流した。次いで、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮し、ヘキサン中25%の酢酸エチルを溶離液として用いてシリカゲルカラムに通した。1および2-アミノトリフェニレンを分離し、MSおよびNMRにより確認した。この反応の収率は100%であった。
【0132】
ステップ2: 2-ブロモトリフェニレンの合成
【化26】
【0133】
0.5g(2.05mmol)の2-アミノトリフェニレンおよび0.24g(1.02mmol)の無水臭化銅(II)を、100mLの丸底フラスコに入れた。このフラスコを窒素でパージし、数回排気した。25mLの無水アセトニトリルを固体に加えた。次いで、フラスコを氷/塩の浴(-5℃)に入れた。0.27mLの亜硝酸イソアミルを、セプタムを通して溶液に滴下して加えた。すべての亜硝酸イソアミルを加えた後、混合物を2時間攪拌した。次いで、フラスコを氷浴から取り出し、室温で1時間攪拌し、その後、55℃で2時間加熱した。次いで、混合物を冷却し、溶媒を減圧除去し、生成物を、ヘキサン/ジクロロメタン(10%/90%)を用いてカラムクロマトグラフィーにかけて、0.36g(60%)の生成物を得た。
【0134】
ステップ3: 3,3'-ビス(トリフェニレン-2-イル)ビフェニルの合成
【化27】
【0135】
0.1g(0.32mmol)の3,3'-ジブロモビフェニル、0.24g(0.66mmol)の4,4,5,5-テトラメチル-2-(トリフェニレン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン、0.03g(0.07mmol)の2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル(S-Phos)および0.01g(0.01mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を、100mLの三口丸底フラスコに入れた。次いで、この混合物に、20mLのキシレンおよび20mlのリン酸三カリウム一水和物溶液(3M)を加えた。この2相溶液を窒素で半時間徹底的にパージした。この混合物を18時間還流した。冷却すると、生成物が析出した。この生成物を濾過し、水により洗った。次いで、生成物をジクロロメタンに溶かし、シリカゲル栓(シリカゲルプラグ)に通した。溶媒を減圧下で除去して、0.17g(収率89%)の生成物を得た。
【0136】
〔次の構造を有するアリーレントリフェニレントリフェニレン化合物の合成〕
【化28】
【0137】
上の構造を有する化合物は、Angew. Chem., Int. Ed. Engl., 1996, 35, 886に従って合成できる。
【0138】
上述の合成スキームに従って調製できる、1または2-ブロモトリフェニレンと4,4,5,5-テトラメチル-2-イル-(1または2-トリフェニレン)-1,3,2-ジオキサボロランとのカップリングによって、当業者は、その他のトリフェニレニレンおよびアリーレントリフェニレンの例を合成することができる。
【0139】
[トリフェニレンポリマー]
〔ポリ(2-ビニルトリフェニレン)の調製〕
ポリ(2-ビニルトリフェニレン)は、当業者によって一般的に用いられる合成化学に基づく次のスキームによって合成できる。
【0141】
〔ポリ[2-(4-ビニルフェニル)トリフェニレン]の合成〕
ポリ[2-(4-ビニルフェニル)トリフェニレン]は、当業者によって一般的に用いられる合成化学に基づく次のスキームによって合成できる。
【0143】
〔ポリ(2,7-トリフェニレン)の合成〕
ポリ(2,7-トリフェニレン)は、当業者によって広く用いられる合成化学に基づく次のスキームによって合成できる。
【0145】
〔ポリ(2,7-トリフェニレン-1,4-フェニレン)の合成〕
ポリ(2,7-トリフェニレン-1,4-フェニレン)は、当業者によって広く用いられる合成化学に基づく次のスキームによって合成できる。
【0147】
[ベンゾトリフェニレニレントリフェニレン化合物の合成]
〔次の構造を有するベンゾトリフェニレニレントリフェニレン化合物の合成〕
【化33】
【0148】
上の構造を有する化合物は、J. Org. Chem., 1996, 61, 7198に従って合成できる。
【0149】
次の構造を有するベンゾトリフェニレニレントリフェニレン化合物の合成
【化34】
【0150】
上の構造を有する化合物は、Org. Lett., 2000, 2, 1629に従って合成できる。
【0151】
[縮合トリフェニレン化合物の合成]
〔1,12-縮合ビストリフェニレン(1,12-縮合-BT)(1,12-fused-BT)の合成〕
【化35】
【0152】
1,12-縮合ビストリフェニレンは、Organometallics, 2004, 23, 3079に従って合成できる。
【0153】
〔1,12-縮合テトラトリフェニレン(1,12-縮合-TT)(1,12-fused-TT)の合成〕
1,12-縮合テトラトリフェニレンは、次のスキームに従って合成できる。
【0155】
特定のデバイスの製造、構造および用途において有利でありうる、より高い溶解性、より低い蒸発温度、より高い/より低いHOMO/LUMOエネルギー準位などの、非置換同族体とは異なる特性を提供しうる置換トリフェニレン生成物を合成するために、置換前駆体を用いることができることが、当業者によって理解される。
【0156】
[デバイスの製造および測定]
すべてのデバイスは高真空(<10
-7Torr)熱蒸着によって製造した。アノード電極は約1200Åのインジウムスズ酸化物(ITO)である。カソードは10ÅのLiFとそれに続く1,000ÅのAlとからなる。すべてのデバイスを、製造直後に、窒素グローブボックス(<1ppmのH
2OおよびO
2)内においてエポキシ樹脂で密封したガラス蓋(glass lid)で封じ、かつ吸湿剤をパッケージ内に組み込んだ。
【0157】
[実施例デバイス1〜23および比較実施例デバイス1〜6]
有機積層体は、ITO表面から順次、ホール注入層(HIL)として100Åの厚さの銅フタロシアニン(CuPc)、ホール輸送層(HTL)として300Åの厚さの4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(α-NPD)、発光層(EML)として6ないし12wt%のドーパント発光体でドープされた300Åの厚さの、トリフェニレン化合物または比較化合物、で構成される。実施例デバイス1、4、7、10、13、16、および22、ならびに比較実施例デバイス1、2、3、および4は、ETL2として100〜150Åのアルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)4-フェニルフェノラート(BAlq)、およびETL1として400〜500Åのトリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq
3)で構成される。実施例デバイス2、5、8、11、14、19、20、21、および23、ならびに比較実施例デバイス5および6は、ETL2として50〜150ÅのHPT、およびETL1として400〜500ÅのAlq
3で構成される。実施例デバイス3、6、9、12、15、および18は、ETL1なしで、ETL2として400〜500ÅのAlq
3で構成される。正確なETL層の厚さを表2に示している。HPTおよび2,2-BTならびにホスト材料として適切であるトリフェニレン化合物の追加の例の構造を、
図17に示している。
【0158】
赤色発光デバイスに対しては500cd/m
2、または緑色発光デバイスに対しては1000cd/m
2での発光効率を表2にまとめる。
【0159】
上記トリフェニレン化合物は、ホスト材料として高いデバイス効率を示す。ホストとしてHPTを有するデバイスは、ホストとして比較化合物CBPを有するデバイスに匹敵するか、またはより高い効率を示す。
【0160】
電流-電圧-輝度(IVL)特性および作動安定性を、選択したデバイスについて測定し、
図3〜16、
図19〜26および
図28〜31に示す。トリフェニレンホストを有するデバイスの寿命は、ホストとして比較化合物CBPを有するデバイスに匹敵する。
【0162】
非常に高いデバイス効率を有する燐光デバイスは、ディスプレイ、照明などの用途においてきわめて望ましい。フルカラーおよび照明の用途では、赤色、緑色、および青色での高い作動安定性が欠かせない。青色燐光ドーパント発光体の高い三重項エネルギー特性のため、高いデバイス効率を得るには、高い三重項エネルギーのホスト材料が必要とされる。OLEDにおいて、広がったπ共役を有する多環芳香族化合物は、通常、かなりの寿命を示す。しかし、広がったπ共役を有する多環芳香族化合物は、通常、低い三重項エネルギーも有する。例えば、アントラセンは、1.8eVの三重項エネルギーを有するが、これは、Ir(1-piq)
2(acac)などの赤色燐光ドーパントの三重項エネルギーよりも低い。結果的に、ドーパント発光体としてIr(1-piq)
2(acac)を有し、ホストとしてアントラセン化合物を有するデバイスは、消光によって非常に非効率である。アントラセンから1つの縮合フェニル環を減らすと、最小の縮合多環芳香族化合物であるナフタレンが得られる。それは2.6eVの三重項エネルギーを有するが、それでもなお、Ir(4,6-F
2-5CNppy)
3などの深青色燐光ドーパントの三重項エネルギーよりも低い。しかし、トリフェニレンは、その4つの縮合環構造にもかかわらず、2.9eVの三重項エネルギーを有し、これは、Ir(4,6-F
2-5CNppy)
3などの深青色燐光ドーパントに適すると考えられる。トリフェニレンは、電子特性(例えば、共役、三重項エネルギー、HOMO/LUMO準位、など)、構造特性(例えば、平面性、非平面性、キラリティー)、および物理的特性(例えば、昇華温度、溶解性)を調節するために、様々なやり方(例えば、アルキルまたはアリール基を付加すること、様々な位置に複数のトリフェニレンを連結することまたはトリフェニレンを縮合させること)で誘導体化できる。トリフェニレン化合物が比較的大きな程度のπ共役を有しながら比較的高い三重項エネルギーを有するという固有の特性は、トリフェニレン化合物を安定で高効率のPHOLEDのために非常に適したものにしている。例えば、赤色ドーパントであるIr(3-Mepq)
2(acac)およびIr(1-piq)
3に対するホストとしてのヘキサフェニルトリフェニレン(HPT)は、それぞれ
図3〜5および
図6〜8に示されているように、効率的できわめて安定なデバイスを与える。 ホストとして2,2-ビストリフェニレン(2,2-BT)を有するデバイスは、ホストとしての比較化合物CBPを用いたデバイスに比べてより低い効率を示すが、赤色ドーパントであるIr(3-Mepq)
2(acac)およびIr(1-piq)
3に対するホストとして2,2-BTを用いると、それぞれ
図9〜11(11〜13)および12〜14(14〜16)に示されているように、比較的効率的できわめて安定なデバイスが得られる。