特許第5778051号(P5778051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778051
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】製管装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20150827BHJP
   F16L 55/16 20060101ALI20150827BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   F16L55/18
   F16L55/16
   F16L1/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-19495(P2012-19495)
(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公開番号】特開2013-155864(P2013-155864A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】507157676
【氏名又は名称】株式会社クボタ工建
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】神谷 敏
(72)【発明者】
【氏名】柳川 正和
(72)【発明者】
【氏名】篠原 賢俊
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−191329(JP,A)
【文献】 特開2010−24819(JP,A)
【文献】 特開2011−158392(JP,A)
【文献】 特開2006−35596(JP,A)
【文献】 特開2002−293233(JP,A)
【文献】 特開平9−71997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/16 − 55/18
F16L 1/00
B29C 63/30 − 63/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内で、車体を管軸方向へ進行させながら、長尺な帯状の管構成部材を螺旋状に巻回して、前記管構成部材の隣り合う巻回側縁を接合して、管状体を組み立てる製管装置において、
前記車体に、伸縮可能な持ち上げユニットを設け、
前記持ち上げユニットは、下端部に管周方向へ転動可能な回転体が設けられ、伸長することにより、前記回転体を着地させて、前記車体を持ち上げることを特徴とする製管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製管装置において、
前記回転体の側縁を凸円弧状に面取りした、ことを特徴とする製管装置。
【請求項3】
請求項1に記載の製管装置において、
前記回転体をオムニホイールから構成した、ことを特徴とする製管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内で、長尺な帯状の管構成部材を螺旋状に巻回して、その隣り合う巻回側縁を接合することにより、管状体を組み立てる製管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既設管内で製管を行う製管装置として、たとえば、特許文献1および特許文献2に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1の製管装置は、既設管内において、車体を管軸方向へ進行させながら、ストリップ送出しローラ、ストリップ寄せ器、および押圧ローラ(あるいはハンマ)を管周方向へ旋回させて行く。そして、ストリップ送出しローラにより、長尺な帯状のストリップを管内面へ送りながら、螺旋状に巻回する。また、ストリップ寄せ器により、ストリップを螺旋リードが詰まる方向へ寄せる。さらに、押圧ローラにより、長尺な帯状の接合条片の両側縁に形成された嵌合部を、ストリップの隣り合う巻回側縁に形成された接合耳部に嵌合する。これにより、ストリップと接合条片が接合されて、既設管内に管状体が組み立てられる。
【0004】
特許文献2の製管装置は、製管機と送り装置とから構成されている。製管機は、既設管内において、環状の成形フレームに設けられた接合機構部により、長尺な帯状部材を螺旋状に巻回しながら、帯状部材の隣り合う巻回側縁に形成された接合凸部と接合凹部とを嵌合させる。これにより、帯状部材の隣り合う巻回側縁が接合されて、既設管内に管状体が組み立てられる。送り装置は、既設管内において、車体を管軸方向へ進行させ、帯状部材を管軸方向へ送りつつ管軸周りに回転させる。これにより、帯状部材が製管機へ螺旋状に供給される。
【0005】
ストリップやジョイナや帯状部材などの管構成部材は、高い剛性を有している。このため、既設管内において、ストリップ送出しローラや送り装置によって管構成部材を送り出す力の反力により、車体が管内面に沿って、ストリップや帯状部材の送り出し方向と反対の管周方向に回転(傾斜)することがある。また、押圧ローラなどで接合条片の嵌合部をストリップの接合耳部に押し込む力の反力により、車体が管内面に沿って、押圧ローラの進行方向と反対の管周方向に回転することがある。特に、管軸方向に対して垂直な断面が円形の既設管内では、車体が管周方向へ回転し易い。
【0006】
車体が管周方向へ回転した場合、特許文献1のような製管装置では、各部のバランスが崩れて、ストリップ送出しローラでストリップを送れなかったり、押圧ローラで接合条片の嵌合部をストリップの接合耳部に嵌め込めなかったりするおそれがある。特許文献2のような送り装置では、帯状部材の供給力や螺旋径などが変化して、製管機との連携がとれないおそれがある。
【0007】
また、製管装置や送り装置の車体は重いため、人力で車体を持ち上げて、車体の回転を修正するのは、重労働で非常に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−100927号公報
【特許文献2】特開2011−240638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、管内での車体の管周方向への回転を容易に修正することができる製管装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、管内で、車体を管軸方向へ進行させながら、長尺な帯状の管構成部材を螺旋状に巻回して、管構成部材の隣り合う巻回側縁を接合して、管状体を組み立てる製管装置において、車体に、伸縮可能な持ち上げユニットを設ける。持ち上げユニットは、下端部に管周方向へ転動可能な回転体が設けられ、伸長することにより、回転体を着地させて、車体を持ち上げる。
【0011】
上記によると、管内で車体が管周方向へ回転しても、持ち上げユニットを伸長させて、車体を持ち上げることで、着地した回転体が重力に従って管周方向へ転動して、車体の回転を容易に修正することができる。
【0012】
また、本発明では、上記製管装置において、回転体の側縁を凸円弧状に面取りするのが好ましい。
【0013】
これにより、持ち上げユニットで車体を持ち上げたときに、車体が傾いても、管構成部材の表面が回転体の側縁により損傷するのを防止することができる。
【0014】
さらに、本発明では、上記製管装置において、回転体をオムニホイールから構成してもよい。
【0015】
これにより、持ち上げユニットにより車体を持ち上げたときに、着地したオムニホイールが重力に従って任意の方向へ転動して、車体の回転を容易に修正することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、管内での車体の管周方向への回転を容易に修正することができる製管装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による製管装置の側面図である。
図2図1の製管装置を右方向から見た正面図である。
図3】ストリップとジョイナの断面図である。
図4図1の製管装置の持ち上げユニットの拡大図である。
図5図1の製管装置の持ち上げユニットによる回転修正動作の一例を示した図である。
図6図1の製管装置の持ち上げユニットによる車体の持ち上げ状態の一例を示した図である。
図7】他の実施形態による製管装置の持ち上げユニットを示した側面図である。
図8図7の製管装置を右方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0019】
製管装置100は、たとえば、既設管Pの内面にライニングを施すライニング工法の一工程で使用される。製管装置100は、既設管P内でストリップ1を螺旋状に巻回して、ジョイナ2で接合することにより、管状体を組み立てる。既設管Pの管軸方向に対して垂直な断面は、図2に示すように、円形になっている。
【0020】
ストリップ1およびジョイナ2は、硬質塩化ビニルなどの合成樹脂から成る。ストリップ1およびジョイナ2は、図1に示すように、長尺で帯状に形成されていて、高い剛性を有している。
【0021】
図3(a)に示すように、ストリップ1の裏面には、突起状のアンカ1aが所定の間隔で複数形成されている。ストリップ1の両側縁1dには、凹凸状の嵌合部1cが形成されている。アンカ1aと嵌合部1cは、ストリップ1の全長に渡って延びるように設けられている。
【0022】
図3(b)に示すように、ジョイナ2の中央には、溝2aが形成されている。ジョイナ2の両側縁2dの裏面側には、突起状のリブ2bと凹凸状の嵌合部2cとが形成されている。嵌合部2cの凹部には、シール材2eが設けられている。溝2a、リブ2b、嵌合部2c、およびシール材2eは、ジョイナ2の全長に渡って延びるように設けられている。
【0023】
ストリップ1を螺旋状に巻回して、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの嵌合部1cに、図3(c)に示すように、ジョイナ2の両側縁2dの嵌合部2cを嵌合する。これにより、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dがジョイナ2によって接合される。ストリップ1とジョイナ2は、本発明の「管構成部材」の一例である。
【0024】
図1および図2に示すように、製管装置100の車体10には、操作ユニット3、走行ユニット5、旋回ユニット4、駆動源18、および持ち上げユニット6が備わっている。車体10の前方(図1で右側)には、嵌合ユニット20、寄せユニット30、送りユニット40、および案内ユニット50が備わっている。
【0025】
作業者は、操作ユニット3に設けられたレバーやボタンなどを操作して、製管装置100を運転する。駆動源18は、たとえば、減速機付の電動モータやエアーモータから成る。
【0026】
走行ユニット5は、駆動源18の動力を伝達して、車輪15を回転させることにより、製管装置100の車体10を既設管Pの管軸方向へ走行させる。図1では、右側が車体10の前進方向である。
【0027】
旋回ユニット4は、駆動源18の動力を伝達して、回転軸7a、7bを軸周りに回転させることにより、回転軸7bに連結されたアーム11、12、13、14を既設管Pの管軸周りに旋回させる。図2では、時計回りがアーム11、12、13、14の旋回方向である。また、各図において、下方が重力のかかる方向である。既設管Pの管頂部(最上部)の内面には、図2に示すように、スペーサ19が設置されている。
【0028】
アーム11の先端には、嵌合ユニット20が連結されている。嵌合ユニット20の側方には、寄せユニット30がリンク機構70によって連結されている。アーム12の先端には、送りユニット40が連結されている。アーム13、14の先端には、それぞれ案内ユニット50が連結されている。
【0029】
製管装置100は、走行ユニット5により車体10を既設管Pの管軸方向へ走行させながら、旋回ユニット4によりアーム11〜14を既設管Pの管周方向へ旋回させる。これにより、各ユニット20、30、40、50が、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行(図1で右方へ前進)して行く。
【0030】
案内ユニット50には、複数のローラが設けられている(符号省略)。案内ユニット50は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行しながら、外部から既設管P内に送り込まれたストリップ1をローラ間に通して、送りユニット40へ案内する。ストリップ1は、図1で製管装置100の前方から供給される。
【0031】
送りユニット40には、複数のローラと電動モータと伝達機構などが設けられている(符号省略)。送りユニット40は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行しながら、案内ユニット50から案内されたストリップ1をローラ間に通して、既設管Pの内面へ所定の角度で送り出す。これにより、ストリップ1が、既設管P内で螺旋状に巻回される。
【0032】
寄せユニット30は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行しながら、送りユニット40により螺旋状に巻回されたストリップ1を幅方向に寄せて、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1d(図3)を所定の間隔に位置決めする。その所定の間隔は、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの嵌合部1cに、ジョイナ2の両側縁2dの嵌合部2cを嵌合可能な間隔に設定されている。
【0033】
嵌合ユニット20は、アーム11の先端部11aに固定されている。アーム11には、図2に示すように、シリンダ16が内蔵されている。このシリンダ16の圧力でアーム11の先端部11aが伸長することにより、嵌合ユニット20は既設管Pの内面側へ付勢されている。
【0034】
嵌合ユニット20には、ローラ28a、28bが設けられている。ローラ28a、28bの回転軸27a、27b(図2)は、既設管Pの管軸方向と平行に設けられている。図1に示すように、ローラ28aは、ローラ28bより、製管装置100の後方(図1で左方)に所定量ずれた位置に設けられている。また、図2に示すように、ローラ28aは、ローラ28bより、嵌合ユニット20の旋回方向の前方(図2で時計回り)に所定量ずれた位置に設けられている。
【0035】
嵌合ユニット20は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行しながら、寄せユニット30により位置決めされたストリップ1の巻回側縁1dの嵌合部1cに、外部から既設管P内に送り込まれたジョイナ2の嵌合部2cを、ローラ28a、28bにより嵌合する。
【0036】
詳しくは、ローラ28aが、ジョイナ2上を転動しながら、ジョイナ2の後方側の側縁2d近傍を既設管Pの内面側へ押圧して、ジョイナ2の後方側の嵌合部2cを、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの後方側の嵌合部1cに嵌合して行く。また、ローラ28bが、ジョイナ2上を転動しながら、ジョイナ2の前方側の側縁2d近傍を既設管Pの内面側へ押圧して、ジョイナ2の前方側の嵌合部2cを、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの前方側の嵌合部1cに嵌合して行く。ジョイナ2は、製管装置100の後方(図1で左方)から鋼管9、8を通して、嵌合ユニット20の近傍に送り込まれる。
【0037】
上記のように嵌合ユニット20で、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dとジョイナ2の両側縁2dとを接合することで、図1に示すように、既設管P内にストリップ1とジョイナ2から成る管状体200が組み立てられる。
【0038】
持ち上げユニット6は、図1に示すように、製管装置100の重心Gを通る鉛直線(二点鎖線)上に設けられている。持ち上げユニット6には、伸縮機60と回転体62とが備わっている。伸縮機60は、エアージャッキから構成されている。回転体62は、図1および図2に示すように、ローラから構成されている。
【0039】
伸縮機60は、図4図6に示すように、車体10の下部において上下へ伸縮可能なロッド61を有している。ロッド61の下端部には、ハウジング64と回転軸63を介して、回転体62が左右1対で取り付けられている。左右1対の回転体62は、車体10を支持可能な所定の間隔で設けられている。
【0040】
回転軸63は、既設管Pの管軸方向と平行になっている。回転体62は、従輪であって、回転軸63を中心にして、既設管Pの管周方向へ転動可能になっている。図1および図4に示すように、回転体62の後方側(図1および図4で左側)の側縁62dは、凸円弧状に面取りされている。
【0041】
持ち上げユニット6は、図4に二点鎖線で示すように、伸縮機60のロッド61を伸長させることにより、回転体62を管状体200(ストリップ1およびジョイナ2)の表面に着地させて、車体10を持ち上げる(図5参照)。
【0042】
製管装置100が既設管P内で管状体200を組み立てる製管工程において、送りユニット40でストリップ1を送り出す力の反力により、車体10が、図5(a)に示すように、既設管Pの内面に沿って、ストリップ1の送り出し方向と反対の管周方向に回転(傾斜)する。
【0043】
送りユニット40がストリップ1を送り出す力より、嵌合ユニット20のローラ28a、28bがストリップ1の嵌合部1cにジョイナ2の嵌合部2cを押し込む力の方が大きい場合は、その押し込み力の反力により、車体10が既設管Pの内面に沿って、ローラ28a、28bの進行方向と反対の管周方向に回転する。
【0044】
たとえば、図5(a)に示すように、車体10が既設管Pの管周方向に回転した場合、作業者が、操作ユニット3の操作部材を操作して、製管装置100の製管動作を停止させる。具体的には、走行ユニット5による車体10の走行と、旋回ユニット4によるアーム11〜14の旋回と、送りユニット40によるストリップ1の送り出しとを停止させる。そして、作業者が、操作ユニット3の操作部材を操作して、持ち上げユニット6を作動させることにより、車体10の回転を修正する。
【0045】
詳しくは、図5(a)に示す車体10の回転状態から、伸縮機60のロッド61を伸長(下降)させることにより、回転体62を管状体200の表面に着地させて、図5(b)に示すように、車体10を持ち上げる。つまり、車体10の下部の前後左右に設けられた各車輪15を、管状体200の表面から浮かせて、車体10を、車輪15ではなく、回転体62により支持する。
【0046】
すると、回転体62が重力に従って転がり落ちるように、既設管Pの管周方向(図5(b)に矢印Aで示す反時計回り方向)へ転動して、図5(c)に示すように、車体10が元の鉛直な姿勢に戻る。つまり、車体10の回転が修正された状態となる。
【0047】
車体10の回転が修正されると、伸縮機60のロッド61を収縮(上昇)させることにより、回転体62を管状体200の表面から離間させて、図5(d)に示すように、車体10を管状体200の表面に降ろす。つまり、各車輪15を管状体200の表面に着地させて、車輪15により車体10を支持する。
【0048】
この後、作業者が、操作ユニット3の操作部材を操作して、製管装置100の製管動作を再開させる。
【0049】
上記実施形態によると、既設管P内で製管装置100の車体10が管周方向へ回転しても、任意のタイミングで、持ち上げユニット6の伸縮機60のロッド61を伸長させて、車体10を持ち上げることで、着地した回転体62が重力に従って管周方向へ転動して、車体10の回転を容易に修正することができる。
【0050】
また、持ち上げユニット6により車体10を持ち上げたときに、図6に示すように、車体10が既設管Pの管軸方向に対して後方へ傾くことがある。これは、たとえば、車体10の後部に作業者が搭乗することや、アーム11〜14とユニット20、30、40、50の旋回による重心Gのばらつきなどによって、起こり易い。
【0051】
この場合、回転体62の後方側の側縁62dが凸円弧状に面取りされているので、車体10が後方へ傾いても、管状体200(ストリップ1とジョイナ2)の表面が回転体62の側縁62dにより損傷するのを防止することができる。
【0052】
また、回転体62を管状体200の表面に着地させる際や、ロッド61の伸長により車体10を持ち上げる際にも、管状体200の表面が回転体62の側縁62dにより損傷するのを防止することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、複数の回転体62により車体10を支持するので、持ち上げユニット6から管状体200にかかる力が分散され、管状体200の表面の損傷を一層防止することができる。
【0054】
さらに、上記実施形態では、製管装置100の重心Gを通る鉛直線上に、持ち上げユニット6を設けているので、1つの持ち上げユニット6によって車体10を安定に持ち上げることができる。その上、持ち上げユニット6にかかるコストを低く抑えることができる。
【0055】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、持ち上げユニット6の回転体62の後方側の側縁62dのみを凸円弧状に面取りした例を示したが、回転体62の前方側の側縁も凸円弧状に面取りしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、回転体62をローラから構成した例を挙げたが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、ベアリング、ころ、または球体などを回転体62として用いてもよい。また、回転体の設置数は、単一でも複数(2つまたは3つ以上)でもよい。
【0057】
また、図7および図8に示すように、回転体62’をオムニホイールから構成してもよい。図7および図8に示す他の実施形態では、回転体62’の本体の回転軸63’は、既設管Pの管軸方向と平行になっている。また、持ち上げユニット6は、車体10の前後2箇所に所定の間隔で取り付けられている。既設管Pの管周方向への車体の10の回転を修正する際は、たとえば、前後2つの持ち上げユニット6を同時に作動させて、車体10を前後均等に持ち上げ、一度に車体10の回転を修正するようにすればよい。
【0058】
また、たとえば、先に、前方の持ち上げユニット6で車体10の前方を持ち上げて、車体10の前方の回転を修正してから、後方の持ち上げユニット6で車体10の後方を持ち上げて、車体10の後方の回転を修正するようにしてもよい。また、この逆で、先に、後方の持ち上げユニット6で車体10の後方を持ち上げて、車体10の後方の回転を修正してから、前方の持ち上げユニット6で車体10の前方を持ち上げて、車体10の前方の回転を修正するようにしてもよい。
【0059】
その際、回転体62’がオムニホイールから構成されているので、持ち上げユニット6により車体10を持ち上げたときに、着地した回転体62’が重力に従って任意の方向へ転動して、車体10の回転を容易に修正することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、持ち上げユニット6の伸縮機60をエアージャッキから構成した例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、油圧ジャッキ、ねじジャッキ、ラック駆動ジャッキ、または油圧式やエアー式のシリンダなどを伸縮機60として用いてもよい。また、持ち上げユニット6における伸縮機60の設置数は、単一でも複数でもよい。また、車体10における持ち上げユニット6の設置数も、単一でも複数でもよい。さらに、車体10における持ち上げユニット6の設置位置は、製管装置100の重心Gを通る鉛直線上に限らず、車体10を持ち上げ可能な位置に適宜設定すればよい。
【0061】
また、上記実施形態では、製管装置100の製管動作を停止してから、持ち上げユニット6を作動させて、車体10の回転を修正した例を示したが、製管装置100の製管動作中に、持ち上げユニット6を作動させて、車体10の回転を修正するようにしてもよい。または、製管装置100の製管動作の一部を停止させてから、持ち上げユニット6を作動させて、車体10の回転を修正するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、管構成部材として、ストリップ1とジョイナ2を用いた例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、幅方向の一方の側縁にほぞが設けられ、他方の側縁にほぞ溝が設けられた長尺の帯状体を、管構成部材として用いるようにしてもよい。この場合、帯状体を螺旋状に巻回して、隣り合う巻回側縁のほぞをほぞ溝に嵌合することにより、隣り合う巻回側縁を接合して、管状体を組み立てればよい。
【0063】
さらに、上記実施形態では、管軸方向に対して垂直な断面が円形の既設管P内において、製管装置100の車体10の管周方向への回転を修正する場合に本発明を適用した例を示した。然るに、断面が矩形や馬蹄形などの既設管内やその他の管内において、製管装置100の車体10の回転を修正する場合にも、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 ストリップ
1d 側縁
2 ジョイナ
2d 側縁
6 持ち上げユニット
10 車体
62、62’ 回転体
62d 側縁
100 製管装置
200 管状体
P 既設管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8