(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の問題を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、偽券検知時に紙葉類取扱装置内に紙葉類を保留する処理が設定されている場合であっても、係員等が偽券を取得する際に、偽券と真券とを取り違えることを抑制する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
本発明の第一の形態は、紙葉類取扱装置である。この紙葉類取扱装置は、
一枚以上の紙葉類を投入及び排出するための開口部と、
前記投入された紙葉類の真偽を判別する判別部と、
前記投入された紙葉類を一時的に保留するための保留部と、
前記投入された紙葉類のうち偽の紙葉類を回収するための偽紙葉類回収部と、
前記投入された紙葉類に偽の紙葉類が含まれる場合に、前記紙葉類取扱装置にあらかじめ設定された処理指示を実行して、前記保留部に前記紙葉類を保留し、前記保留された紙葉類の取得が指示された場合に、前記保留部に保留された紙葉類のうち前記偽の紙葉類を前記偽紙葉類回収部に回収し、前記保留部に保留された紙葉類のうち少なくとも真の紙葉類を排出して取得可能とする制御部と、
前記真の紙葉類を回収するための真紙葉類回収部と、を備え、
前記処理指示は、前記偽の紙葉類について、
前記偽の紙葉類を前記保留部に保留する指示と、
前記偽の紙葉類を前記偽紙葉類回収部に回収する指示と、
前記偽の紙葉類を前記開口部から排出する指示と、
から選択可能であり、
前記処理指示は、前記真の紙葉類について、
前記真の紙葉類を前記保留部に保留する指示と、
前記真の紙葉類を前記真紙葉類回収部に回収する指示と、
前記真の紙葉類を前記開口部から排出する指示と、
から選択可能である。
本発明の他の形態は、紙葉類取扱装置である。この紙葉類取扱装置は、
一枚以上の紙葉類を投入及び排出するための開口部と、
前記投入された紙葉類の真偽を判別する判別部と、
前記投入された紙葉類を一時的に保留するための保留部と、
前記投入された紙葉類のうち偽の紙葉類を回収するための偽紙葉類回収部と、
前記投入された紙葉類に偽の紙葉類が含まれる場合に、前記紙葉類取扱装置にあらかじめ設定された処理指示を実行して、前記保留部に前記紙葉類を保留し、前記保留された紙葉類の取得が指示された場合に、前記保留部に保留された紙葉類のうち前記偽の紙葉類を前記偽紙葉類回収部に回収し、前記保留部に保留された紙葉類のうち少なくとも真の紙葉類を排出して取得可能とする制御部と、
前記真の紙葉類を回収する真紙葉類回収部と、を備え、
前記処理指示は、
前記真の紙葉類を前記保留部に保留する指示と、
前記真の紙葉類を前記真紙葉類回収部に回収する指示と、
前記真の紙葉類を前記開口部から排出する指示と、
から選択可能である。
【0007】
[適用例1]紙葉類取扱装置であって、一枚以上の紙葉類を投入及び排出するための開口部と、前記投入された紙葉類の真偽を判別する判別部と、前記投入された紙葉類を一時的に保留するための保留部と、前記投入された紙葉類のうち偽の紙葉類を回収するための偽紙葉類回収部と、前記投入された紙葉類に偽の紙葉類が含まれる場合に、前記紙葉類取扱装置にあらかじめ設定された処理指示を実行して、前記保留部に前記紙葉類を保留し、前記保留された紙葉類の取得が指示された場合に、前記保留部に保留された紙葉類のうち前記偽の紙葉類を前記偽紙葉類回収部に回収し、前記保留部に保留された前記真の紙葉類を排出して取得可能とする、制御部と、を備える紙葉類取扱装置。
【0008】
このような構成であれば、あらかじめ設定された処理指示が実行されて投入された偽紙葉類を含む紙葉類が保留部に保留され、その紙葉類の取得が指示された場合、保留部から偽紙葉類が偽紙葉類回収部に回収され、真の紙葉類が排出される。そのため、偽の紙葉類と真の紙葉類とが分離されるので、保留された紙葉類を取得する係員等が、偽の紙葉類と真の紙葉類とを取り違えることを防ぐことができる。
【0009】
[適用例2]適用例1記載の紙葉類取扱装置であって、前記処理指示を記憶するための記憶部を更に備え、前記制御部は、前記記憶部から前記処理指示を読み出して前記処理指示を実行する、紙葉類取扱装置。このような構成であれば、投入された紙葉類に偽の紙葉類が含まれる場合には、制御部は紙葉類取扱装置の記憶部に記憶された処理指示に従って偽の紙葉類を処理することができる。
【0010】
[適用例3]適用例1または適用例2記載の紙葉類取扱装置であって、前記処理指示を設定するための操作部を更に備える、紙葉類取扱装置。このような構成であれば、紙葉類取扱装置に対して操作部により処理指示を設定することができる。
【0011】
[適用例4]適用例1から適用例3までのいずれか一の適用例記載の紙葉類取扱装置であって、前記開口部はシャッタを備え、前記保留された紙葉類の取得が指示された場合に、前記保留部に保留された前記偽の紙葉類と異なる紙葉類を前記シャッタの開閉により取得可能とする、紙葉類取扱装置。このような構成であれば、利用者や係員等は、保留部から排出された真の紙葉類を、シャッタの開閉により取得することができる。
【0012】
[適用例5]適用例1から適用例4までのいずれか一の適用例記載の紙葉類取扱装置であって、前記投入された紙葉類の枚数を計数する計数部を更に備える、紙葉類取扱装置。このような構成であれば、投入された紙葉類の枚数を計数することができる。
【0013】
[適用例6]適用例1から適用例5までのいずれか一の適用例記載の紙葉類取扱装置であって、前記紙葉類は紙幣である、紙葉類取扱装置。このような構成であれば、投入された紙幣のうち偽の紙幣をあらかじめ定められた処理指示に従って処理できる。また、偽の紙幣のみを分離することができる。
【0014】
[適用例7]適用例1から適用例6までのいずれか一の適用例記載の紙葉類取扱装置であって、前記偽紙葉類回収部は、該偽紙葉類回収部を取扱可能な人物によって開閉される開閉手段を備える、紙葉類取扱装置。このような構成であれば、偽紙葉類回収部に回収された偽の紙葉類を取扱可能な人物が特定されるので、偽の紙葉類が流通することを防ぐことができる。
【0015】
[適用例8]
適用例1から
適用例7までのいずれか一の
適用例記載の紙葉類取扱装置であって、前記処理指示は、前記偽の紙葉類を前記保留部に保留する指示と、前記偽の紙葉類を前記偽紙葉類回収部に回収する指示と、前記偽の紙葉類を前記開口部から排出する指示と、から選択可能である、紙葉類取扱装置。このような構成であれば、紙葉類取扱装置の設置状況に応じて、投入された
紙葉類の中に偽の紙葉類が含まれる場合の処理指示を紙葉類取扱装置に設定しておくことができる。
【0016】
[適用例9]適用例8記載の紙葉類取扱装置であって、前記真の紙葉類を回収する真紙葉類回収部を更に備え、前記処理指示は、前記真の紙葉類を前記保留部に保留する指示と、前記真の紙葉類を前記真紙葉類回収部に回収する指示と、前記真の紙葉類を前記開口部から排出する指示と、から選択可能である、紙葉類取扱装置。このような構成であれば、紙葉類取扱装置の設置状況に応じて、投入された
紙葉類の中に偽の紙葉類が含まれる場合の真の紙葉類の処理指示を、紙葉類取扱装置に設定しておくことができる。
【0017】
本発明は、上述した紙葉類取扱装置としての構成のほか、紙葉類取扱方法や、紙葉類取扱装置を含む紙葉類取扱システム、コンピュータプログラムとしても構成することができる。かかるコンピュータプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、メモリカード、ハードディスク等の種々の媒体を利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.実施例:
A1.紙葉類取扱装置の構成:
図1は、本発明の紙葉類取扱装置の一実施例としてのATM10の外観を示す模式図である。本実施例のATM10は、ネットワークINTを介してホストコンピュータ20に接続されている。ATM10は、例えば金融機関や小売店、公共施設等に設置され、利用者の操作に基づき、入金や出金等の所定の取引を行う装置である。なお、
図1では、説明上必要としない他の構成部については図示を省略している。このことは、後述する図においても同様である。
【0020】
ATM10は、その前面に、タッチパネル12と、カード明細票機構13と、通帳機構14と、硬貨入出金口15と、開口部としての紙幣入出金口11と、を備えている。タッチパネル12は、ユーザによる指等による接触位置に基づく座標を取得するポインティングデバイスであり、接触操作によってデータの入力を受け付ける。また、タッチパネル12の画像を表示可能な領域には、操作案内画面等が表示される。カード明細票機構13は、種々のカード(例えば、クレジットカードやキャッシュカード等)の挿入を受け付けるための挿入排出口であり、カード明細票機構13からは、印字された明細票が排出される。通帳機構14は、通帳の挿入を受け付けるための挿入排出口である。紙幣入出金口11は、紙葉類としての紙幣の投入を受け付け、また、紙幣の排出を行うための挿入排出口である。硬貨入出金口15は、硬貨の投入を受け付け、また、硬貨の排出を行うための挿入排出口である。紙幣入出金口11および硬貨入出金口15は、それぞれシャッタを備える。紙幣入出金口11および硬貨入出金口15のシャッタが開くことにより、利用者および金融機関の係員等は、紙幣および硬貨の投入や取得を行うことができる。
【0021】
図2は、ATM10の内部構成を概略的に示す説明図である。ATM10は、ATM側制御部100と、操作部102と、カード明細票処理部103と、通帳取扱部104と、紙幣取扱部110と、硬貨取扱部105と、ATM側記憶部108と、ATM側通信部109と、を備える。
【0022】
ATM側制御部100は、図示しないCPUとROMやRAM等の内部記憶装置とを含む。ATM側制御部100は、ROMに記憶されているプログラムをRAMに展開して実行することにより、ATM10全体を制御する。ATM側制御部100は、本願の「制御部」に相当する。
【0023】
操作部102は、タッチパネル12を含み、種々の情報をタッチパネル12(画面)に表示するとともに、タッチ操作を検知することにより、利用者の入出金処理を受け付ける。また、操作部102は、金融機関の係員等から、偽券検知時処理や、保留紙幣取得処理(後述)の入力等を受け付ける。操作部102は、受け付けた処理をATM側制御部100へと伝達する。ATM側通信部109は、ホストコンピュータ側通信部209と接続するための回線を備え、ATM10とホストコンピュータ20との間のデータの通信を行う。ATM側記憶部108は、例えば、ハードディスクや、フラッシュメモリ等のデータ記録装置で構成される。ATM側記憶部108には、偽券検知時処理の指示(偽券検知時処理指示)が記憶されている。ATM側記憶部108は、本願の「記憶部」に相当する。カード明細票処理部103は、カード明細票機構13を備え、利用者のカードの挿入・排出動作、カードの磁気ストライプやICチップへのリードまたはライト動作、カードエンボス部分のイメージの読み取りなどを行う。また、カード明細票処理部103は、取引内容を明細票に印字し、カード明細票機構13から排出する。通帳取扱部104は、通帳機構14を備え、通帳の挿入または排出動作、磁気ストライプのリードまたはライト動作、通帳への印字などを行う。硬貨取扱部105は、硬貨入出金口15を含み、硬貨の入出金等を行う。紙幣取扱部110は、計数部111および判別部112を備える。計数部111は、紙幣入出金口11から投入された紙幣の枚数を計数する。判別部112は、紙幣入出金口11から投入された紙幣の判別を行い、判別結果をATM側制御部100へ伝える。紙幣の判別とは、投入された1枚以上の紙幣の中に、偽券が存在するか否かを判別することをいう。また、投入された複数の紙幣それぞれが真券か偽券かを判別することをいう。判別部112は、さらに、過度の損傷や汚染のある真券(リジェクト券)があるか否かを判別する。
【0024】
次に、ホストコンピュータ20について説明する。ホストコンピュータ20は、ホストコンピュータ側制御部200と、ホストコンピュータ側通信部209と、ホストコンピュータ側記憶部208とを備えている。
【0025】
ホストコンピュータ側制御部200は、図示しないCPUと、ROMやRAM等の内部記憶装置とを含み、ホストコンピュータ20全体を制御する。ホストコンピュータ側通信部209は、ATM側通信部109と接続するための回線を備え、ホストコンピュータ20とATM10との間のデータの通信を行う。ホストコンピュータ側記憶部208には、口座情報ファイル218が記憶されている。口座情報ファイル218は、口座毎に設けられたファイルであり、口座番号と各口座に関わる情報(利用者名、暗証番号、取引履歴、残高など)とが関連づけられて記憶されたファイルである。ホストコンピュータ側記憶部208には、他に、カード情報に関するファイル等も記憶されている。
【0026】
A2.紙幣取扱部の構成:
図3は、紙幣取扱部110の構成について説明するための図である。紙幣取扱部110は、紙幣入出金口11と、計数部111と、判別部112と、真券回収庫114と、偽券回収庫115と、取忘券回収庫116と、一時保留庫113と、リサイクル庫118と、リジェクト庫117と、図中に矢印で示した搬送路130と、を含んでいる。
【0027】
紙幣入出金口11から投入された紙幣は一旦、判別部112に搬送される。判別部112は前述のように投入された複数の紙幣の真偽等を判別する。偽券回収庫115は、投入された紙幣に偽券が含まれる場合に、その偽券が回収される回収庫である。本実施例の偽券回収庫115には、開閉手段としての鍵が備えられており、特定の人物のみが偽券を偽券回収庫115から取得することが可能となっている。真券回収庫114は、投入された紙幣に偽券が含まれる場合に、その投入された紙幣のうちの真券が回収される回収庫である。一時保留庫113は、投入された紙幣が取引成立までの間、一時的に保留される収納庫である。取忘券回収庫116は、紙幣入出金口11に取り忘れられた紙幣が判別部112を経由して回収される回収庫である。リサイクル庫118は、投入された紙幣の中で、出金に適した紙幣(真券)を収納しておく収納庫である。本実施例においては、リサイクル庫118は5つ設けられているが、リサイクル庫118の数は1つ以上の任意の個数とすることができる。リジェクト庫117は、リジェクト券が収納(回収)される収納庫である。本実施例では、リジェクト庫117とリサイクル庫118は、金庫筐体119に収納されている。なお、一時保留庫113は本願の「保留部」に、偽券回収庫115は「偽紙葉類回収部」に、真券回収庫114は「真紙葉類回収部」にそれぞれ相当する。
【0028】
A3.入金取引処理:
図4は、ATM10において実行される入金取引処理の手順を示すフローチャートである。また、
図5および
図6は、入金取引処理が実行されている間に、ATM側制御部100のCPUの指示により、操作部102のタッチパネル12に表示される情報を示した図である。以降、
図5および
図6のタッチパネル12に表示される情報を示しつつ、
図4のフローチャートを用いて、入金取引処理について説明する。入金取引処理は、ATM10の利用者がタッチパネル12を介して取引内容(入金)を選択することで開始される。
【0029】
入金取引処理が開始されると、ATM側制御部100のCPUは、操作部102に対して、カードの挿入を促すための情報(
図5(A))をタッチパネル12に表示させる(
図4ステップS5)。
【0030】
利用者のカードがカード明細票機構13より挿入されると、ATM側制御部100のCPUは、挿入されたカードに記録された口座番号をカード明細票処理部103に読み取らせる(
図4ステップS10)。カード明細票処理部103が口座番号の読み取りを行っている間、タッチパネル12には、
図5(B)に示すようにカードの口座番号等を読み出し中である旨の情報が表示される。
【0031】
カードの口座番号が読み取り可能である場合には(
図4ステップS15:Yes)、ATM側制御部100のCPUは、紙幣取扱部110に紙幣入出金口11を開口させる(
図4ステップS20)。この際、タッチパネル12には、
図5(C)に示すように利用者に紙幣の入金を促す情報が表示される。利用者が紙幣入出金口11に紙幣を投入し、タッチパネル12に表示された「シャッタ閉」ボタンを押下すると、ATM側制御部10
0のCPUは、紙幣取扱部110に、投入された紙幣を計数部111および判別部112へ搬送させる。
【0032】
投入された紙幣が搬送されると、ATM10は、投入された紙幣の枚数を計数部111に計数させ(
図4ステップS30)、投入された紙幣に偽券が含まれているか否かを判別部112に判別させる(
図4ステップS40)。ステップS30およびステップS40の処理が行われている間、タッチパネル12には、
図6(A)に示すような投入された紙幣を計数中である旨の情報が表示される。ATM側制御部100のCPUは、投入された紙幣の枚数と、判別の結果を紙幣取扱部110から取得して、ATM側通信部109およびホストコンピュータ側通信部209を介してホストコンピュータ側制御部200に通知する。
【0033】
投入された紙幣の中に偽券が含まれていない場合には(ステップS45:No)、ATM側制御部100のCPUは、ホストコンピュータ側制御部200に対し、利用者の口座残高の更新を要求する(ステップS60)。具体的には、ATM側制御部100のCPUは、タッチパネル12に、
図6(B)に示すような情報を表示させる。
図6(B)に示す「入金」ボタンが利用者により押下されると、ATM側制御部100のCPUは、ATM側通信部109、ホストコンピュータ側通信部209を介して、ホストコンピュータ側制御部200に、入金指示がされたことを通知する。ホストコンピュータ側制御部200は、その通知を受けて、ステップS10で読み取られた口座番号に対応する口座残高を、投入された金額分増加させる。紙幣取扱部110は、投入された紙幣をリサイクル庫118へ搬送して収納する。
【0034】
口座残高の更新が行われると、ATM側制御部100のCPUは、カード明細票処理部103に取引内容を示す明細票を印字させ(ステップS70)、カード明細票機構13から利用者のカードを返却させる(ステップS80)。ATM側制御部100のCPUは、タッチパネル12に、
図6(C)に示すような情報を表示させる。
【0035】
ステップS45において、投入された紙幣の中に偽券が含まれる場合には(ステップS45:Yes)、ATM側制御部100のCPUは、ATM側記憶部108に記憶されている偽券検知時処理指示を読み出して、偽券検知時処理を実行する(ステップS50)。偽券検知時処理の詳細については後述する。
【0036】
偽券検知時処理が終了すると、ATM側制御部100のCPUは、カード明細票処理部103に、カード明細票機構13から利用者のカードを返却させる(ステップS80)。また、ステップS15においてカード明細票処理部103により口座情報が読み取り可能でないと判断された場合にも(ステップS15:No)、ATM側制御部100のCPUは、同様にカード明細票処理部103にカード明細票機構13からカードを返却させる(ステップS80)。以上のようにして、一連の入金取引処理が終了する。
【0037】
なお、上述の入金取引処理においては、投入された紙幣の中に偽券が含まれないが(ステップS45:No)、リジェクト券が含まれる場合には、紙幣取扱部110は、リジェクト券を、紙幣入出金口11に搬送して、利用者に返却する。
【0038】
A4.偽券検知時処理:
次に、偽券検知時処理について説明する。偽券検知時処理は、入金取引処理に際して、投入された紙幣の中に偽券が含まれていることを判別部112が検知した場合に実行される処理である。偽券検知時処理の指示(処理指示)は、金融機関の係員等によりATM10の設置時や、電源投入時など所定のタイミングで、ATM側記憶部108に記憶される。
【0039】
図7は、タッチパネル12に表示される偽券検知時処理を指示するための画面の一例を説明するための図である。本実施例のATM10においては、「1.偽券保留かつ真券保留」「2.偽券保留かつ真券返却」「3.偽券回収かつ真券回収」「4.偽券回収かつ真券
返却」「5.偽券返却かつ真券返却」の5つの偽券検知時処理指示が選択可能である。係員等により
図7に示す1から5のいずれかの偽金検知時処理の選択ボタン212が押下されて、OKボタン213が押下されると、操作部102は、受け付けた処理をATM側制御部100へと伝達する。ATM側制御部100のCPUは、選択された偽券検知時処理指示を、ATM側記憶部108に記憶する。ATM側制御部100のCPUは、判別部112により偽券が検知された場合には、ATM側記憶部108に記憶された偽券検知時処理指示を読み出して、その処理指示に従ってATM10の各部を動作させ、偽券検知時処理を実行する。
【0040】
図8は、ATM10において実行される偽券検知時処理について説明するためのフローチャートである。また、
図9は、偽券検知時処理指示と偽券、真券およびリジェクト券の取扱と、偽券検知時処理後のATM10での取引についてまとめた図である。また、
図10および
図11は、偽券検知時処理において、ATM側制御部100のCPUの指示により、操作部102のタッチパネル12に表示される情報を示した図である。以降、
図10および
図11のタッチパネル12に表示される情報を示しつつ、
図8のフローチャートを用いて、偽券検知時処理について説明する。
【0041】
ATM側記憶部108に偽券検知時の処理指示として、「1.偽券保留かつ真券保留」が記憶されている場合、偽券の処理としては「保留」が選択されているので(ステップS501:保留)、紙幣取扱部110は、偽券を一時保留庫113に一時的に保留する(
図8ステップS502)。紙幣取扱部110は、投入された紙幣の中に真券(リジェクト券を含む)がある場合(
図8ステップS505:Yes)、真券の処理としては「保留」が選択されているので(
図8ステップS506:保留)、真券もあわせて一時保留庫113に保留する(
図8ステップS507)。このように投入された紙幣が一時保留庫113に保留されるとATM側制御部100のCPUは、操作部102のタッチパネル12に、
図10(A)に示すような「投入された紙幣は返却できない」旨の情報を表示させる。ATM側制御部100のCPUは、その後、ATM10の取引を停止させる。
【0042】
ATM側記憶部108に偽券検知時の処理指示として、「2.偽券保留かつ真券返却」が記憶されている場合、偽券の処理としては「保留」が選択されているので(
図8ステップS501:保留)、紙幣取扱部110は、偽券を一時保留庫113に保留する(
図8ステップS50
2)。紙幣取扱部110は、投入された紙幣の中に真券(リジェクト券を含む)がある場合(
図8ステップS505:Yes)、真券の処理としては「返却」が選択されているので(
図8ステップS506:返却)、真券を紙幣入出金口11から利用者に返却する(
図8ステップS509)。ATM側制御部1
00のCPUは、操作部102のタッチパネル12に、
図10(B)に示すような「取扱できない紙幣(偽券)は返却できない」旨の情報および「返却された紙幣(真券およびリジェクト券)の受け取り」を促す情報を表示させる。その後、前述の「1.偽券保留かつ真券保留」の処理指示が記憶されているときと同様に、ATM側制御部100のCPUは、ATM10の取引を停止させる。このように、本実施例では、偽券の「保留」が処理指示としてATM側記憶部108に記憶されていると(
図8ステップS501:保留)、ATM側制御部100のCPUは、ATM10の取引を停止させる。
【0043】
ATM側記憶部108に偽券検知時の処理指示として、「3.偽券回収かつ真券回収」が記憶されている場合、偽券の処理としては「回収」が選択されているので(
図8ステップS501:回収)、紙幣取扱部110は、偽券を偽券回収庫115に回収する(
図8ステップS503)。さらに投入された紙幣の中に真券がある場合(
図8ステップS505:Yes)、真券の処理としては「回収」が選択されているので(
図8ステップS506:回収)、紙幣取扱部110は真券を真券回収庫114に回収する(
図8ステップS508)。なお、真券の処理として「回収」が選択されており、真券にリジェクト券が含まれる場合は、紙幣取扱部110は、リジェクト券をリジェクト庫117に収納する。このように投入された紙幣が回収されると、ATM側制御部100のCPUは、操作部102のタッチパネル12に、
図10(C)に示すような「投入された紙幣は回収された」旨の情報を表示させる。その後、ATM側制御部100のCPUは、ATM10の取引を継続させる。
【0044】
ATM側記憶部108に偽券検知時の処理指示として、「4.偽券回収かつ真券返却」が記憶されている場合、偽券の処理としては「回収」が選択されているので(
図8ステップS501:回収)、紙幣取扱部110は偽券を偽券回収庫115に回収する(
図8ステップS503)。さらに投入された紙幣の中に真券(リジェクト券を含む)がある場合には(
図8ステップS505:Yes)、真券の処理としては「返却」が選択されているので(ステップS506:返却)、紙幣取扱部110は真券を紙幣入出金口11に搬送して、紙幣入出金口11のシャッタを開ける
(図8ステップS509)。ATM側制御部100のCPUは、操作部102のタッチパネル12に、
図11(A)に示すような「取扱できない紙幣(偽券)は回収された」旨の情報および「返却された紙幣(真券
およびリジェクト券)の受け取り」を促す情報を表示させる。その後、ATM側制御部100のCPUは、ATM10の取引を継続させる。
【0045】
ATM側記憶部108に偽券検知時の処理指示として、「5.偽券返却かつ真券返却」が記憶されている場合、偽券の処理としては「返却」が選択されているので(
図8ステップS501:返却)、紙幣取扱部110は偽券を紙幣入出金口11に搬送する(
図8ステップS504)。さらに投入された紙幣の中に真券(リジェクト券を含む)がある場合には(
図8ステップS505:Yes)、真券の処理としては「返却」が選択されているので(
図8ステップS506:返却)、紙幣取扱部110は真券を紙幣入出金口11に搬送して、紙幣入出金口11のシャッタを開ける
(図8ステップS509)。ATM側制御部100のCPUは、操作部102のタッチパネル12に、
図11(B)に示すような「取扱できない紙幣が含まれている」旨の情報および「返却された紙幣の受け取り」を促す情報を表示させる。その後、ATM側制御部100のCPUは、ATM10の取引を継続させる。このように、本実施例では、偽券の「保留」が処理指示としてATM側記憶部108に記憶されていない場合には、ATM側制御部100のCPUは、偽券検知後もATM10の取引を継続させる。
【0046】
A5.保留紙幣の取得処理:
上述したように、ATM側記憶部108に偽券検知時処理指示として「1.偽券保留かつ真券保留」もしくは「2.偽券保留かつ真券返却」の処理指示が記憶されている場合、偽券検知時処理後、ATM10での取引は停止される。ATM10の停止は、ATM10に備えられたアラームの鳴動や、ATM側制御部100から、ATM側通信部109、ホストコンピュータ側通信部209を介して偽券を検知した旨の情報を取得したホストコンピュータ側制御部200により、係員等に通知される。通知を受けた係員等は、ATM10での取引再開等のために、保留紙幣の取得処理を行う。
【0047】
図12は保留紙幣取得処理について説明するためのフローチャートである。また、
図13は、保留紙幣取得処理において、ATM側制御部100のCPUの指示により、操作部102のタッチパネル12に表示される情報を示した図である。以降、
図13のタッチパネル12に表示される情報を示しつつ、
図12のフローチャートを用いて、保留紙幣取得処理について説明する。
【0048】
上述のように、偽券検知時処理指示として「1.偽券保留かつ真券保留」が記憶されている場合、ATM10の一時保留庫113には、投入された紙幣の全てが保留されている。「2.偽券保留かつ真券返却」が記憶されている場合、真券(リジェクト券を含む)は返却されているので(
図8ステップS509)、ATM10の一時保留庫113には偽券のみが保留されている。係員等は、一時保留庫113内の紙幣を取得するために、ATM10に保留紙幣の返却を指示する(
図12ステップS710)。具体的には、ATM10が係員等による偽券取得処理の実行待ちである場合、ATM10のタッチパネル12には、
図13(A)に示すような情報が表示される。係員等は、
図13(A)に示す保留紙幣返却ボタンを押下して、ATM10に対し、保留紙幣の返却を指示する。なお、
図13(A)の情報は、ATM10を取扱可能な係員等の特定の人物が、タッチパネルを通じて暗証番号を入力すること等で表示させるようにすることもできる。
【0049】
保留紙幣の返却が指示されると(
図12ステップS710)、ATM側制御部100のCPUは、紙幣取扱部110に一時保留庫113内の紙幣を判別部112に搬送させて、判別部112に紙幣の真偽を判別させる(
図12ステップS720)。
【0050】
一時保留庫113内の紙幣が偽券と判別されると(
図12ステップS730:Yes)、紙幣取扱部110は偽券を偽券回収庫115へ搬送する(
図12ステップS740)。偽券でないと判別されると(
図12ステップS730:No)、紙幣取扱部110は偽券でないと判別された紙幣を紙幣入出金口11へ搬送する
(図12ステップS750)。すると、ATM10のタッチパネル12には、図13(B)に示すような情報が表示される。なお、処理指示として「2.偽券保留かつ真券返却」が選択されている場合には、一時保留庫113には偽券のみが保留されているため、一時保留庫113内の紙幣は偽券と判別され(
図12ステップS730:Yes)、紙幣入出金口11には紙幣が搬送されない。
【0051】
以上のような紙葉類取扱装置としてのATM10であれば、ATM10のATM側記憶部108に偽券検知時処理指示を記憶しておき、偽券検知時にはその処理指示を読み出して、指示に応じた偽券検知時処理を実行することができる。偽券検知時処理指示として、偽券の「保留」を含まない処理指示を記憶しておけば、ATM10に投入された偽券は偽券回収庫115に回収され、もしくは紙幣入出金口から返却される。そして、ATM10において、入出金等の取引が継続される。そのため、例えば、係員等が即座に対応できない箇所にATM10が設置されている場合においても、利用者は入出金を行うことができる。
【0052】
偽券検知時処理指示に、偽券の「回収」が含まれると、偽券回収庫115には、各取引において偽券が検知されるたびに偽券が回収される。偽券回収庫115は、リサイクル庫118のように多数の紙幣を揃えて順序だてて積層し、入出金するのに適した構造になっていない場合が多い。そのような構造にすると、ATM10の製造コストが高くなるためである。そのため、例えば投入された偽券に折れや曲がりがあると、偽券回収庫115内の偽券が、投入された順序に積層されない場合がある。そのような場合には、偽券と、偽券を投入した利用者との対応付けが取れないおそれがある。しかし、偽券検知時処理指示として、偽券の「保留」を含む処理指示を記憶しておけば、ATM10に偽券が投入された場合、ATM10の取引は一時的に停止される。そのため、一時保留庫113には取引が停止された直前に投入された紙幣のみが保留されることとなる。よって、偽券を投入した利用者と、一時保留庫113に保留されている偽券を含む紙幣との対応付けを明らかにすることができる。
【0053】
保留紙幣取得処理においては、一時保留庫113に保留された紙幣が判別されて、偽券のみが偽券回収庫115へ回収される。そのため、係員等は回収された紙幣が偽券であるか真券であるかを判断しなくともよいため、係員等が偽券と真券とを取り違えることが抑制される。さらに、本実施例の偽券回収庫115には、開閉手段としての鍵が備えられているので、特定の人物のみが偽券を偽券回収庫115から偽券を取得することができる。そのため、偽券を取り扱うことのできる人物が制限されるので、不特定な人物が偽券を取り扱うことによって偽券が市場に流出するリスクを減少させることができる。
【0054】
さらに、本実施例のATM10においては、紙幣入出金口11から投入された紙幣は一旦、判別部112に搬送される。そのため、例えば出金された紙幣(真券)を偽券とすり替えた後に、故意に取り忘れを発生させて、偽券をATM10に回収させるような不正が行われたとしても偽券は検知されることとなる。したがって、不正な取引を検知することが可能となる。
【0055】
B.変形例:
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上述した実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現するものとしてもよい。そのほか、以下のような変形が可能である。
【0056】
B1.変形例1:
上述の実施例の偽券検知時処理「3.偽券回収かつ真券回収」において、リジェクト券はリジェクト庫117に収納されることとしているが、リジェクト券は、紙幣入出金口11から利用者に返却することとしてもよい。また、他の偽券検知時処理においても、リジェクト券の取扱を、真券とは別に設定することとしてもよい。
【0057】
B2.変形例2:
上述の実施例のATM10の偽券検知時処理において、返却された紙幣が紙幣入出金口11に取り忘れられた場合には、紙幣取扱部110は通常の取引と同様に取り忘れられた紙幣を取忘券回収庫116に回収することができる。この回収の際に、取り忘れられた紙幣の中に偽券が含まれることを判別部112が検知した場合には、ATM側制御部100は、ATM側記憶部108に記憶されている偽券検知時処理を実行することとしてもよい。また、返却された紙幣が紙幣入出金口11に取り忘れられた場合には、真券のみを取忘券回収庫116に回収して、偽券を一時保留庫113に保留することとしてもよい。
【0058】
B3.変形例3:
上述の実施例においては、偽券検知時処理として「1.偽券保留かつ真券保留」がATM側記憶部108に記憶されている場合、偽券および真券は一時保留庫113に保留され、ATM10の取引が停止される。その後、保留紙幣取得処理において、偽券は、係員等により取得されることとしているが、係員による偽券の取得に代えて、偽券を偽券回収庫115へ、真券を真券回収庫114へ回収することとしてもよい。例えば、ATM10から、ホストコンピュータ20が偽券検知の通知を受け取った場合、ホストコンピュータ20は「3.偽券回収かつ真券回収」の指示をATM10へ通知する。ATM側制御部100のCPUはその指示にしたがって、紙幣取扱部110に一時保留庫113内の偽券を偽券回収庫115へ、真券を真券回収庫114へ回収させる。その後、ATM側制御部100のCPUはATM10の取引を開始させる。こうすることで、例えば係員等による保留紙幣取得処理が即座に実行できない場合においても、ATM10の取引の中断が長引くことはないため、ATM10の利用者の便宜を図ることができる。
【0059】
B4.変形例4:
上述の実施例では、偽券検知時処理指示は、金融機関の係員等によりATM10の設置時や、電源投入時など所定のタイミングでATM側記憶部108に記憶される。このほかにも、偽券検知時処理指示は、ATM10の設置時や、電源投入時など所定のタイミングでホストコンピュータ20からホストコンピュータ側通信部209、ATM側通信部109を介してATM10に偽券検知時処理指示を送信し、ATM側制御部100のCPUがその指示をATM側記憶部108に記憶するものとしてもよい。
【0060】
B5.変形例5:
上述の実施例においては、偽券回収庫115には、開閉手段として鍵が備えられているが、開閉手段としては、偽券を取り扱うために認証が必要な設定(例えば暗証番号によって認証が必要な設定、係員等の画像を取得してホストコンピュータに照会することで鍵を解除する設定など)を適用することもできる。
【0061】
B6.変形例6:
上述の実施例においては、保留紙幣取得の指示は、タッチパネル12から係員が行うこととしているが、例えば、ATM10に係員等が操作する専用の操作部を設け、その操作部から指示することとしてもよい。
【0062】
B7.変形例7:
紙葉類取扱装置としてのATM10の構成は、上述の構成に限られない。ATM10の構成は、例えば、音声により利用者の入出金等の取引をサポートする音声案内ガイダンス部や、静脈認証により利用者を識別する静脈認証機構等の種々の機構を備える構成とすることが可能である。
【0063】
B8.変形例8:
紙葉類取扱装置が取り扱う紙葉類は、紙幣に限られない。紙葉類としては、例えば、株券、小切手、商品券、カード等、偽の紙葉類とそれ以外の紙葉類とを判別して取得することが望まれる紙葉類であればよい。