(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、開閉体を動作させて開口部を開閉する車両用自動開閉装置が知られており、その一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された車両は、車体の前後方向に沿って設けたガイドレールを有する。開閉体にはローラアッシーが取り付けられており、そのローラアッシーがガイドレールに沿って移動することで、開閉体が車体の前後方向に動作し、開口部を開閉するようになっている。さらに、車体におけるガイドレールの前端の近傍には、前側プーリユニットが設けられている。さらにまた、車体におけるガイドレールの後端の近傍には、後側プーリユニットが設けられている。
【0003】
一方、車体には駆動ユニットが設けられており、駆動ユニットは動力源(電動モータ)と、動力源の動力で正逆回転するドラムとを有する。ドラムには第1ケーブル及び第2ケーブルが逆向きに巻き掛けられている。第1ケーブルは後側プーリに巻き掛けられているとともに、第1ケーブルの端部はローラアッシーに接続されている。第2ケーブルは前側プーリに巻き掛けられているとともに、第2ケーブルの端部はローラアッシーに接続されている。
【0004】
特許文献1に記載された車両用自動開閉装置においては、開閉体により開口部が閉じられているとき、動力源が駆動して第1ケーブルがドラムに巻き取られ、かつ、第2ケーブルがドラムから繰り出されて、開閉体が車体の後方に向けて動作し、開口部が開かれる。これに対して、開口部が開かれているとき、動力源が駆動し第2ケーブルがドラムに巻き取られ、かつ、第1ケーブルがドラムから繰り出されて、開閉体が車体の前方に向けて動作し、開口部が閉じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されている車両用自動開閉装置においては、開閉体が車体の前後方向に動作するため、車体の前後方向における開口部の実際の開放量は、開閉体の動作量に依存することとなる。しかしながら、特許文献1に記載された車両用自動開閉装置においては、車体の前後方向でガイドレールの後端の後方に後側プーリユニットが設けられている。このため、車体の前後方向におけるガイドレールの長さが制約を受けて、車体の前後方向における開閉体の動作量をなるべく長くすることが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、車体の前後方向における開閉体の動作量をなるべく長くすることができる車両用自動開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車体の前後方向に開閉体を動作させて開口部を開閉する車両用自動開閉装置であって、前記車体の前後方向に沿って設けられ、かつ、前記開閉体の動作をガイドするガイドレールと、前記開閉体に接続され、かつ、前記開閉体を動作させる動力が伝達される第1ケーブルと、
前記第1ケーブルが巻き掛けられるプーリを備え、かつ、前記車体の前後方向で前記ガイドレールの後端側に設けられた第1プーリユニットとを有し、前記車体の幅方向で、前記ガイドレールと前記第1プーリユニットとが異なる位置に配置され、前記車体の前後方向で、前記ガイドレールの一部と前記
プーリとが重複して配置され、前記第1ケーブルのうち、前記開閉体に接続された箇所と前記第1プーリユニットとの間で取り回される部分が、前記車体の前後方向で前記ガイドレールの後端に接触することを防止するために、
前記車体の前後方向で前記ガイドレールの
後端部と前記第1プーリユニットとの間に配置された補助部材を備え
、前記車体の前後方向で、前記補助部材と前記プーリとが重複して配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記車体の前後方向で前記ガイドレールの後端には、前記第1ケーブルのうち、前記開閉体と前記第1プーリユニットとの間で取り回される部分が通り、かつ、前記車体の前後方向に沿って切り欠かれた切り欠き部を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記補助部材は、前記車体の前後方向で前記ガイドレールの後端に取り付けられていること
を特徴とする。
【0011】
本発明は、前記開閉体に接続され、かつ、前記開閉体を動作させる動力が伝達される第2ケーブルと、前記車体の前後方向で前記第1プーリユニットよりも前方に設けられ、かつ、前記第2ケーブルが巻き掛けられる第2プーリユニットと、前記車体に設けられ、かつ、前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルに伝達する動力を発生する電動モータにより正逆回転されるドラムとを有し、前記第1ケーブルは前記ドラムに巻き掛けられており、前記第2ケーブルは前記ドラムに前記第1ケーブルとは逆向きに巻き掛けられていることを特徴とする。
本発明における前記プーリユニットは
、前記プーリを覆うカバーと、前記車体の前後方向で前記ガイドレールの後端よりも後方で前記カバーに設けられ、かつ、前記第1ケーブルが通る開口部と、を有し、前記補助部材は、前記第1ケーブルのうち、前記開閉体に接続された箇所と前記開口部との間で取り回される部分に接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明(請求項1)によれば、車体の幅方向で異なる位置にガイドレールと第1プーリユニットとが配置されているため、ガイドレールの後端側をなるべく車体の後方に位置させることができる。したがって、車体の前後方向における開閉体の動作量をなるべく長くすることができ、車体の前後方向における開口部の長さをなるべく長くすることができる。また、車体の前後方向で、ガイドレールの後端側の配置領域と第1プーリユニットの配置領域とが同じ位置にあるため、車体の前後方向において、ガイドレールの配置領域と第1プーリユニットの配置領域とを加えた全長が長くなることを抑制できる。さらに、開閉体と第1プーリユニットとの間における第1ケーブルの動作状態を、補助部材により予め定められた状態に保持することができる。
【0013】
本発明(請求項2)によれば、上記本発明の効果に加えて、ガイドレールと第1ケーブルとが接触することを防止できる。したがって、車体の前後方向で、ガイドレールの後端側の配置領域と第1プーリユニットの配置領域とが同じ位置となる重複領域をなるべく長くすることができる。
【0014】
本発明(請求項3)によれば、上記本発明の効果に加えて、車体の幅方向において、第1プーリユニットとガイドレールとの間に、案内部材を設ける必要がない。
【0015】
本発明(請求項4)によれば、上記本発明の効果に加えて、開閉体を車体の後方に向けて動作させて開口部を開放するときに、開閉体の動作量をなるべく長くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の車両用自動開閉装置は、通常、パワースライドドアと称されている機構であり、人力を開閉体に加えることなく、動力源の動力を開閉体に伝達してその開閉体を動作させることにより、車体の開口部を開閉するように構成されている。以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
(第1の具体例)
図1に示された車両10はワンボックスタイプのものであり、車両10の一部を構成する車体14の側部には開口部11が形成されている。開口部11は、フロントドア12とスライドドア13との間に形成されている。フロントドア12は、車体14の前後方向でスライドドア13よりも前方に設けられている。ここで、車体14の前後方向は、車両10が前進または後退して走行する方向と同じである。また、スライドドア13は車体14の前後方向に往復動作することが可能である。言い換えれば、スライドドア13は、水平方向に往復動作可能である。そして、フロントドア12の後端12aと、スライドドア13の前端13aとの間に開口部11が形成される。
【0019】
つぎに、スライドドア13を動作させるための構成を説明する。車体14の一部を構成する外装パネル15には、車体14の前後方向に延ばされたガイドレール16が取り付けられている。ガイドレール16は金属製の板材をプレス加工したものである。ガイドレール16は、水平方向に配置されており、ガイドレール16は、
図2のように直線部16a及び湾曲部16bを有する。直線部16aは、水平方向の平面内で直線状に延ばされており、湾曲部16bは、車体14の前後方向で直線部16aの前端部分に接続されている。また、湾曲部16bは水平方向の平面内で、車体14の前方であるほど、車両10の室内10aに近づく向きで湾曲されている。
【0020】
前記スライドドア13には、車体14の前後方向の後端に支持腕17を介してローラアッシー18が取り付けられている。ローラアッシー18は、
図3及び
図4のようにブラケット19を有する。そのブラケット19には、支持軸20を中心として回転可能なローラ21が取り付けられている。支持軸20の中心線は略水平方向であり、かつ、車体14の幅方向に沿って配置されている。車体14の幅方向とは、水平方向の平面内で、車体14の前後方向に対して略直角な方向である。また、ブラケット19には、支持軸22を中心として回転可能なローラ23が取り付けられている。支持軸22の中心線は支持軸20の中心線に対して略垂直方向である。スライドドア13は、ローラ21,23がガイドレール16に沿って転動することで、車体14の前後方向に動作することが可能である。
【0021】
一方、車体14には駆動ユニット24が設けられている。駆動ユニット24は、車体14の幅方向でガイドレール16よりも室内10a側に配置されている。また、駆動ユニット24は、車体14の前後方向でガイドレール16の前端と後端との間に配置されている。駆動ユニット24は、スライドドア13を動作させる動力を発生する機構であり、駆動ユニット24は、正逆回転可能な電動モータ24aと、電動モータ24aの動力で回転するドラム24bとを有している。そして、ドラム24bには2本のケーブル25,26が互いに逆向きに巻き掛けられている。ケーブル25,26は、複数の金属製の細い線を拠り合わせて形成した線材もしくはワイヤである。
【0022】
さらに、車両10には、スライドドア13の停止、動作方向等を制御する電子制御装置(図示せず)が設けられており、車両10の室内10aに設けられた操作スイッチ(図示せず)の信号が電子制御装置(図示せず)に入力されるように構成されている。操作スイッチは、スライドドア13の動作方向、停止等を利用者が選択する機構である。操作スイッチが操作されてスライドドア13を、車両10の前方または後方に向けて動作する条件が成立すると、電動モータ24aが回転する。また、スライドドア13を停止させる条件が成立すると電動モータ24aは停止する。電動モータ24aが回転すると、一方のケーブルがドラム24bに巻き取られ、他方のケーブルがドラム24bから引き出される。
【0023】
車体14におけるガイドレール16の前端付近には、前側プーリユニット27が設けられている。前側プーリユニット27は、前側プーリ(図示せず)と、前側プーリを回転可能に支持したケーシング(図示せず)とを有している。一方のケーブル25は前側プーリに巻き掛けられている。ケーブル25におけるドラム24bとは反対側の端部には駒(ピン)28が固定されており、その駒28はブラケット19に対してケーブルの向きを調節可能に保持されている。
【0024】
また、車体14におけるガイドレール16の後端付近に、後側プーリユニット29が設けられている。後側プーリユニット29は、車体14の幅方向でガイドレール16よりも室内10a側に配置されている。さらにまた、後側プーリユニット29及びガイドレール16は、車体14の幅方向における配置位置が異なっている。さらに、後側プーリユニット29は、車体14の前後方向において、ガイドレール16の一部と後側プーリユニット29とが同じ位置に配置されている。具体的には、車体14の前後方向で、ガイドレール16の配置領域と、後側プーリユニット29の配置領域とが重なり、重複領域Aが形成されている。すなわち、後側プーリユニット29とガイドレール16とを車体14の幅方向に平行移動することを仮定すると、後側プーリユニット29の配置領域と、ガイドレール16の配置領域とは、重複領域Aの長さで重なる。なお、配置領域は、車体14の前後方向または幅方向における範囲もしくはスペースを意味する。
【0025】
後側プーリユニット29は、
図3のように後側プーリ30と、後側プーリ30を回転可能に支持する樹脂性のケース36と、ケース36を覆う可撓性を有する材料で形成されたケースカバー31とを有している。ケース36は車体14に固定されている。ケース36を車体14に固定する方法には、ボルト、ナットを用いてケース36を直接固定する方法、ケース36をブラケット(図示せず)を介して車体14に間接的に固定する方法、車体14に設けた取り付け孔(図示せず)にケース36を嵌め込んで固定する方法等が含まれる。
【0026】
ケース36は、ケース半体36aとケース半体36bとによって構成されている。後側プーリ30は、ケース半体36aにより回転可能に支持されている。ケース半体36aには係合片40が設けられている。係合片40がケース半体36bに係合して、ケース半体36aとケース半体36bとが相互に固定され、ケース36が形成されている。そして、重複領域Aは、車体14の前後方向で、ケース半体36bの後端から、ガイドレール16の前端に亘る範囲を含む。ケース36内には、後側プーリ30の外周形状に沿って湾曲された案内通路41が設けられている。ケース半体36aには開口部42が設けられており、開口部36には案内通路41がつながっている。
【0027】
ケースカバー31には、案内通路43が設けられている。案内通路43は、ガイドレール16に向けて車体14の幅方向に延ばされている。案内通路43は案内通路41とつながっている。さらに、ケースカバー31には開口部44が設けられており、開口部44は案内通路43につながっている。さらに、開口部44は、車体14の前後方向でガイドレール16の後端16cよりも後方に配置されている。さらにまた、ケース半体36bには案内通路45が設けられている。案内通路45は案内通路41へつながっている。
【0028】
ガイドレール16に案内されたケーブル26は、開口部44、案内通路43、案内通路41、案内通路45を通るように配索されている。案内通路45から出たケーブル26は、ドラム24bに巻き掛けられている。ケーブル26は、案内通路41内で後側プーリ30に巻き掛けられて向きが変えられている。さらに、ケーブル26におけるドラム24bとは反対側の端部には駒(ピン)32が取り付けられており、その駒32がブラケット19に対してケーブル26の向きを調節可能に保持されている。
【0029】
また、後側プーリユニット29に、ケーブル26の取り回しを補助するガイド部材33が取り付けられている。ガイド部材33に取付け孔33aが設けられており、取付け孔33aに後側プーリユニット29が嵌め込まれている。ガイド部材33は、平面内で湾曲された案内部33bを有する。案内部33bは、ケーブル26のうち、駒32と開口部44との間の部分の状態を補助する要素である。案内部33bは、ケーブル26がガイドレール16の後端16cに接触することを防止する。また、案内部33bは、ケーブル26のうち、開口部44と駒32との間に取り回される部分の動作状態を予め定められた状態に保持するための要素である。
【0030】
ケーブル26の動作状態には、ケーブル26が湾曲するときの曲率半径、ケーブル26が所定の平面内で屈曲するときの屈曲角度、ケーブル26の長さ方向における向き、開口部44とケーブル26との接触角度等が含まれる。接触角度は、開口部44の中心線(図示せず)とケーブル26の長手方向の中心線(図示せず)とのなす鋭角側の角度であり、この接触角度が小さいほど、ケーブル26とケースカバー31との接触部分の摩擦抵抗がより小さくなる。また、ケーブル26が湾曲するときの曲率半径、屈曲角度が大きいほど、ケーブル26に集中する応力は小さくなる。すなわち、予め定められた状態とは、スライドドア13の開閉が繰り返されたときに、ケーブル26に応力が集中して耐久性が低下することを防止することのできる状態である。予め定められた状態は、ケーブル26の摩耗、焼き付き、損傷等を考慮して、実験、シミュレーション等により求められる。
【0031】
このため、ケーブル26が、駒32と開口部31cとの間において、所定の角度未満まで屈曲されることを防止することができる。所定の角度は、ケーブル26がその角度未満に屈曲された状態で長さ方向に動作することが繰り返されると、ケーブル26の耐久性が低下するものとして、予め実験、シミュレーション等などによって求められた値である。なお、ケーブル26の耐久性を保持できれば、案内部33bの曲率半径は、必ずしも後側プーリ30の曲率半径以上である必要はない。
【0032】
案内部33bは、このような役割を果たすために、金属、樹脂等により構成された板材を厚さ方向に屈曲して形成されている。具体的に説明すると案内部33bは、水平方向の平面内で略円弧形状に湾曲されている。そして、案内部33bは水平方向の平面内で、一方の端部33cが開口部31c付近に配置され、他方の端部33dがガイドレール16の後端16c付近に配置されている。
【0033】
次に、スライドドア13の動作を説明する。スライドドア13が車体14の前後方向で最も前方の前端位置に停止していると、開口部11はスライドドア13により閉じられている。開口部11がスライドドア13で閉じられているときに、操作スイッチが操作されて開口部11を開放する操作が行われると、電動モータ24aが所定方向に回転する。すると、電動モータ24aの回転によりケーブル26がドラム24bに巻き取られ、電動モータ24aのトルクがケーブル26による牽引力に変換される。ケーブル26が牽引されると、スライドドア13がガイドレール16に沿って車両10の後方に向けて動作するとともに、他方のケーブル25はドラム24bから引き出される。その後、スライドドア13が車体14の前後方向で後端位置まで移動した時点で、電動モータ24aが停止する。このようにして、開口部11が開放される。
【0034】
一方、開口部11が開放されているときに、操作スイッチが操作されて開口部11を閉じる操作が行われると、電動モータ24aが前記とは逆方向に回転する。すると、電動モータ24aの回転によりケーブル25がドラム24bに巻き取られ、電動モータ24aのトルクがケーブル25による牽引力に変換される。ケーブル25が牽引されると、スライドドア13がガイドレール16に沿って車両10の前方に向けて動作するとともに、ケーブル26はドラム24bから引き出される。その後、スライドドア13が車体14の前後方向で前端位置まで移動した時点で、電動モータ24aが停止する。このようにして、開口部11が閉じられる。
【0035】
ケーブル26が長さ方向に動作するとき、ケーブル26はガイド部材33の案内部33bに接触して滑りながら動作する。ここで、ケーブル26のうち、開口部31cと駒32との間に取り回される部分の動作状態は、案内部33bによって予め定められた状態に保持される。したがって、ケーブル26がガイドレール16の後端16cに接触してケーブル26の耐久性が低下することを抑制できる。
【0036】
ところで、後側プーリユニット29が車体14に取り付けられる場所、すなわち、後側プーリユニット29の配置領域は、車体14の幅方向で、ガイドレール16の配置領域よりも室内10a側にある。つまり、後側プーリユニット29は、ガイドレール16の後方へ向けて突出する張り出し量が少ない。このため、ガイドレール16を、車体14の前後方向における長さをなるべく長くしても、後側プーリユニット29が邪魔になることはない。言い換えれば、ガイドレール16は、車体14の前後方向で後端16cの位置をなるべく後方に配置することができる。このため、車体14の後方向におけるスライドドア13の動作量(ドアストローク)を、なるべく車両10の後端側へ配置することができる。したがって、車体14の前後方向における開口部11の開口長さ(開口幅)をなるべく長くすることができ、開口部11を広くすることができる。さらにまた、車体14の前後方向で、ガイドレール16の一部の配置領域と、後側プーリユニット29の配置領域とが重なる重複領域Aが形成されている。このため、車体14の前後方向で、重複領域Aに相当する分、ガイドレール16の後端をなるべく後方に配置することができる。したがって、車体14の全長が比較的短い小型車であっても、ガイドレール16を車両10の後方に配置することができ、開口部11を広くすることができるとともに、限られた車体14の空間内に自動開閉装置を搭載可能である。
【0037】
さらに、ガイド部材33は、ケーブル26のうち、駒32と案内通路31bとの間に位置する部分が所定の角度未満に屈曲することを防止する役割を果たす。したがって、ケーブル26が長さ方向に動作する作用が円滑に行われ、かつ、ケーブル26の耐久性が低下することを抑制できる。
【0038】
さらに、ガイドレール16及び後側プーリユニット29は、同一平面上に設けられていてもよいし、異なる平面上に設けられていてもよい。車体14に設けられている部品の形状、車体14の形状等の条件により、このような設計変更を行うことがあり得る。ガイドレール16及び後側プーリユニット29が異なる平面上に設けられていると、車両10の高さ方向において、駒32の位置と開口部31cの位置とが異なる。そこで、車両10の高さ方向におけるガイド部材33の寸法等を大きくすることにより、ケーブル26を水平方向に対して所定の角度で移動できるように構成すればよい。
【0039】
(第2の具体例)
次に、本実施形態の第2の具体例を、
図5及び
図6に基づいて説明する。第2の具体例も、
図1及び
図2に適用される。また、
図5及び
図6において、
図1〜
図4と同じ構成部分については、
図1〜
図4と同じ符号を付してその説明を省略する。第2の具体例において、後側プーリユニット29の配置領域は、車体14の幅方向で、ガイドレール16の配置領域よりも室内10a側にある。したがって、第1の具体例と同様の効果を得られる。
【0040】
また、車体14の前後方向で、後側プーリユニット29の配置領域とガイドレール16の配置領域とが一部で重複する位置にあり、重複領域Aが形成されている。さらに、ガイドレール16の後端16c付近には、車体14の前後方向に沿った切り欠き部16dが形成されている。そして、ケーブル26は、切り欠き部16dを通るように取り回されている。また、車体14にはガイド部材34が取り付けられている。ガイド部材34は、開口部44と駒32との間で、ケーブル26の状態を補助する要素である。ガイド部材34において、ケーブル26が接触する部分には、水平方向の平面内で円弧形状に構成された案内部34aが形成されている。また、案内部34aの先端は切り欠き部16d内に配置されている。さらに、案内部34aは、後側プーリユニット29とガイドレール16とが重複する重複領域Aに配置されている。
【0041】
この第2の具体例においても、電動モータ24aが回転してケーブル25,26が長さ方向に動作し、スライドドア13が車体14の前後方向に動作して開口部11が開閉される。また、ケーブル26が長さ方向に動作するとき、ガイド部材34に接触して滑りながら動作する。また、ケーブル26の状態は、ガイド部材34の案内部34aによって補助される。さらに、第2の具体例において、車体14の前後方向で、後側プーリユニット29の配置領域とガイドレール16の配置領域とが一部で同じとなり、重複領域Aが形成されているため、第1の具体例と同様の効果を得られる。さらに、ガイド部材34の案内部34aは、ケーブル26のうち、駒32と開口部44との間における部分を、予められた動作状態に保持する役割を果たす。したがって、第1の具体例と同様の効果を得られる。
【0042】
さらに、第2の具体例においては、ガイドレール16に切り欠き部16dが形成されており、ケーブル26が切り欠き部16dを通過する構成となっている。このため、車体14の前後方向における切り欠き部16dの長さに応じて、重複領域Aをなるべく長くしても、ケーブル26とガイドレール16とが接触することを防止できる。すなわち、切り欠き部16dの長さに応じて、ガイドレール16の後端16cをなるべく後方に配置することができる。したがって、第2の具体例によれば、車体14の前後方向におけるスライドドア13の動作範囲を一層長くすることができる。さらにまた、ガイドレール16に切り欠き部16dが設けられているため、ケーブル26はガイドレール16を構成する板材のエッジ部に接触することを回避できる。
【0043】
また、特に図示はしていないが、開口部44を切り欠き部16dの前端よりも前方に配置し、かつ、開口部44を車体14の後方に向けるとともに、ガイド部材34の案内部34aの円弧長をなるべく長くすれば、ケーブル26がガイドレール16に接触することを防止でき、また、ケーブル26が所定角度未満に屈曲することを防止できる。さらに、第2の具体例においても、ガイドレール16及び後側プーリユニット29は、同一平面上に設けられていてもよいし、異なる平面上に設けられていてもよい。なお、第2の具体例において、第1の具体例と同じ構成部分については、第1の具体例と同様の作用効果を得られる。
【0044】
(第3の具体例)
次に、本実施形態の第3の具体例を、
図7及び
図8に基づいて説明する。第3の具体例も、
図1及び
図2に適用される。また、
図7及び
図8において、
図1〜
図4と同じ構成部分については、
図1〜
図4と同じ符号を付してその説明を省略する。第3の具体例において、後側プーリユニット29の配置領域は、車体14の幅方向で、ガイドレール16の配置領域よりも室内10a側にある。したがって、第1の具体例と同様の効果を得られる。
【0045】
また、第3の具体例においてはガイドレール16にガイド部材35が取り付けられている。このガイド部材35は、金属材料または樹脂材料により一体成形されたブロック体であり、車体14の前後方向に沿ったスリット35aを有する。そのスリット35a内をケーブル26が通過できるように構成されている。さらに、スリット35aの底部35bは円弧形状に構成されている。さらに、ガイド部材35の後端は、車体14の前後方向で開口部44と同じ位置にある。さらに、車体14には開口部14aが設けられており、ケーブル26は開口部14aを通して駒32に接続されている。
【0046】
この第3具体例においても、電動モータ24aが回転してケーブル25,26が長さ方向に動作し、スライドドア13が車体14の前後方向に動作して開口部11が開閉される。また、ケーブル26が長さ方向に動作するとき、ガイド部材35に接触して滑りながら動作する。ここで、ケーブル26のうち、駒32と開口部44との間に位置する部分の動作状態は、ガイド部材35の底部35bによって、予め定められた状態に保持される。したがって、第1の具体例と同様の効果を得られる。
【0047】
第3の具体例においても、後側プーリユニット29の配置領域は、車体14の前後方向で、ガイドレール16の配置領域と一部が重なって重複領域Aが形成されている。第3の具体例において、重複領域Aは、ガイド部材35の前端35cを基準として定められている。それは、ガイドレール16にはガイド部材35が固定されており、車体14の前後方向において、ガイド部材35の前端35cにブラケット19が接触すると、ローラアッシー18はそれ以上は後方に向けて動作できないからである。
【0048】
この第3の具体例においても、車体14の前後方向で、後側プーリユニット29の配置領域と、ガイドレール16の配置領域とが、一部で同じとなる重複領域Aが形成されているため、第1の具体例と同様の効果を得られる。さらに、ガイド部材35の底部35bは、ケーブル26のうち、駒32と案内通路31bとの間に位置する部分が所定の角度未満に屈曲することを防止する役割を果たす。したがって、第1の具体例と同様の効果を得られる。さらに、第3の具体例においても、ガイドレール16及び後側プーリユニット29は、同一平面上に設けられていてもよいし、異なる平面上に設けられていてもよい。なお、第3の具体例において、第1の具体例と同じ構成部分については、第1の具体例と同様の作用効果を得られる。
【0049】
ここで、本発明の構成と各具体例において説明した構成との対応関係を説明すると、スライドドア13が、本発明の開閉体に相当し、ケーブル26が、本発明の第1ケーブルに相当し、ケーブル25が、本発明の第2ケーブルに相当し、後側プーリユニット29が、本発明の第1プーリユニットに相当し、前側プーリユニット27が、本発明の第2プーリユニットに相当し、ガイド部材33,34,35が、本発明の補助部材に相当する。また、駒32が、本発明における「開閉体に接続された箇所」に相当する。
【0050】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、第1の具体例において、ガイド部材は後側プーリユニットに固定されているが、ガイド部材は、車体パネルに固定する構成、または、ガイドレールに固定する構成とすることもできる。また、第2の具体例において、ガイド部材は車体ではなくケースカバーに固定することもできる。さらに、各具体例において、ケーブルを案内するガイド部材の円弧部分の曲率半径は、プーリの曲率半径以上であることが望ましい。
【0051】
さらに、前側プーリユニット及び後側プーリユニットは、車体に直接取り付ける構成に代えて、専用の取り付けボディ、ブラケット等を介して車体に取り付けられていてもよい。さらに、ケーブルを案内するガイド部材は板材に代えて筒形状とし、筒形状のガイド部材の孔にケーブルを通してもよい。さらにまた、各具体例において、ガイド部材を構成する材料は、ケーブルが接触して滑っても、ケーブルの耐久性が低下することのないような摩擦係数を有する材料を用いることができる。