特許第5778116号(P5778116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5778116粘着シート貼付け方法および粘着シート貼付け装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778116
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】粘着シート貼付け方法および粘着シート貼付け装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20150827BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20150827BHJP
   B62D 65/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   B65H37/04 A
   B65H41/00 B
   B62D65/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-243481(P2012-243481)
(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公開番号】特開2014-91618(P2014-91618A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2014年12月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】出川 修
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−217376(JP,A)
【文献】 特開2010−168214(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/086626(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/089963(WO,A1)
【文献】 特開2010−024038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00−37/06
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
B62D 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに粘着シートを貼り付ける粘着シート貼付け方法であって、
前記粘着シートよりも大きいセパレータの添設された粘着シートを搬送機構で保持しながら搬送する搬送過程と、
前記粘着シートの前方で待機している剥離機構のアーム先端の保持部によって当該粘着シートの前側からはみ出ているセパレータを保持し、搬送方向に水平移動する粘着シートの面に対して当該保持部を交差する方向に移動させるとともに、当該保持部の移動に同期させて搬送機構を搬送方向に移動させながら、セパレータと当接する支持部材の先端を起点にして当該セパレータを折り返して粘着シートから剥離する剥離過程と、
前記セパレータの剥離された粘着シートを前記搬送機構で保持しつつワークに搬送して貼り付ける貼付け過程と、
を備えたことを特徴とする粘着シート貼付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着シート貼付け方法において、
前記剥離過程では、前記粘着シートの長さに応じて、保持部の移動距離を調整する
ことを特徴とする粘着シート貼付け方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粘着シート貼付け方法において、
前記剥離過程では、剥離機構のアームを揺動させて保持部を移動させる
ことを特徴とする粘着シート貼付け方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粘着シート貼付け方法において、
前記剥離過程では、保持部を搬送方向にも移動させる
ことを特徴とする粘着シート貼付け方法。
【請求項5】
ワークに粘着シートを貼り付ける粘着シート貼付け装置であって、
前記粘着シートよりも大きいセパレータの添設された粘着シートを搬送する搬送機構と、
少なくとも前記セパレータの剥離位置に配備され、搬送機構と協働して粘着シートを挟持する支持部材と、
前記搬送機構によって搬送される粘着シートの前側からはみ出ているセパレータをアーム先端の保持部によって保持させ、搬送方向に水平移動する粘着シートの面に対して交差する方向に当該保持部を第1駆動機構によって移動させ、前記支持部材の先端を起点にしてセパレータを折り返して粘着シートから剥離する剥離機構とを備え、
前記搬送機構は、前記剥離機構の剥離動作に同期して粘着シートを保持したまま移動するとともに、セパレータの剥離された当該粘着シートを保持してワークまで搬送して貼り付けるよう構成した
ことを特徴とする粘着シート貼付け装置。
【請求項6】
請求項5に記載の粘着シート貼付け装置おいて、
前記剥離機構のアームは、当該剥離機構の移動とともに揺動するように構成した
ことを特徴とする粘着シート貼付け装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の粘着シート貼付け装置おいて、
前記粘着シートの搬送方向に剥離機構の保持部を移動させる第2駆動機構を備えた
ことを特徴とする粘着シート貼付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を含む輸送機械および各種産業機械の鋼板に貼り付けて補強或いは制振するための粘着シートの貼付け方法および粘着シート貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの車両の重量を軽量化するために鋼板を薄型化する傾向にある。当該薄型化に伴って鋼板の剛性が低下している。また、薄型化された鋼板は、路面の凹凸やエンジンの振動および騒音が伝わりやすい。したがって、鋼板の剛性を補うための樹脂シートまたは振動などを制振するための樹脂シートが提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
また、補強用の樹脂シートに添設された離型紙を剥離し、自動車のボディの側部外板を構成するサイドメンバーへの貼り付けを自動で行う装置が提案されている。当該装置は、次のようにして樹脂シートの貼り付けを行っている。
【0004】
先ず、樹脂シートから離型紙を剥離する。すなわち、搬送ベルトの前方に配備したガイド部材の先端から突き出た樹脂シートより大きい離型紙に離型紙加圧装置のアームに備わった加圧ローラを押し当てながら揺動下降させる。当該加圧ローラの下降先で搬送ベルトと協働して離型紙の先端を把持する。そのままの状態で搬送ベルトを継続的に駆動させることにより、樹脂シートをガイド部材から送り出しながらから離型紙を剥離する。
【0005】
離型紙の剥離された樹脂シートは、ガイド部材の前方に配備されたシート支持体に載置される。当該シート支持体上の樹脂シートに真空吸着装置のパッドで押し当てて吸着し、自動車のサイドメンバーまで搬送して載置する。その後、樹脂シート上に押圧ローラを転動させてサイドメンバーに貼り付ける(特許文献2を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−139218号公報
【特許文献2】特開2010−24038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の貼付け装置は、搬送ベルトの前方に配備したシート支持体に離型紙の剥離された樹脂シートを載置して真空吸着装置に受け渡すことを前提にしているので、加圧ローラによって離型紙を把持しながら樹脂シートから離型紙を剥離する速度が制限されている。それ故に、離型紙の剥離しづらい強粘着性の樹脂シートから離型紙を剥離する場合、剥離速度の制限によって剥離起点となる当該離型紙の部分にかかる張力が、粘着力よりも小さく作用してしまう。その結果、樹脂シートから離型紙を剥離しきれずに破断させるといった問題がある。
【0008】
また、離型紙の剥離された樹脂シートは、粘着面を下向きにした状態でシート支持体に載置されている。当該シート支持体の表面は、当該樹脂シートが接着しづらいように表面にギザギザ状の凹凸が設けられている。したがって、当該シート支持体に載置された樹脂シートを真空吸着装置のパッドで吸着保持するときにかかる押圧によって、粘着面にシート支持体表面の凹凸が粘着面に形成される。このような状態の加熱硬化型の樹脂シートを薄い鋼板に貼り付けて加熱処理を行うと、樹脂シートの厚みのバラツキによって鋼板の表面が波打つといった問題が生じている。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、輸送機械などの鋼板に高速かつ精度よく粘着シートを貼り付けることのできる粘着シート貼付け方法および粘着シート貼付け装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0011】
すなわち、ワークに粘着シートを貼り付ける粘着シート貼付け方法であって、
前記粘着シートよりも大きいセパレータの添設された粘着シートを搬送機構で保持しながら搬送する搬送過程と、
前記粘着シートの前方で待機している剥離機構のアーム先端の保持部によって当該粘着シートの前側からはみ出ているセパレータを保持し、搬送方向に水平移動する粘着シートの面に対して当該保持部を交差する方向に移動させるとともに、当該保持部の移動に同期させて搬送機構を搬送方向に移動させながら、セパレータと当接する支持部材の先端を起点にして当該セパレータを折り返して粘着シートから剥離する剥離過程と、
前記セパレータの剥離された粘着シートを前記搬送機構で保持しつつワークに搬送して貼り付ける貼付け過程と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
(作用・効果) この方法によれば、支持部材の先端から送り出される粘着シートのセパレータが、前方に配備された保持部によって保持される。セパレータを保持した保持部を搬送方向と交差する方向に移動させることにより、支持部材の先端でセパレータを折り返して剥離することができる。当該セパレータを剥離するとき、粘着シートを保持している搬送機構を保持分の移動に同期させるので、粘着シートからセパレータを剥離し易い速度で、かつ、一定に張力をセパレータに付与しながら剥離することができる。換言すれば、粘着シートの搬送速度に依存されず、剥離速度を適宜に設定することができる。
【0013】
また、セパレータの剥離された粘着シートを搬送機構で保持したままワークに搬送して貼り付けることができるので、樹脂シートの粘着面に不要な凹凸が形成されたり、塵埃が付着したりしない。したがって、粘着シートの厚みを均一に保った状態でワークに貼り付けることができる。
【0014】
さらに、粘着シートからのセパレータの剥離から貼り付けまでを搬送機構で保持しているので、樹脂シートの各過程で載置して受け渡す必要がない。すなわち、従来の方法に比べてタクトタイムを短縮することができる。
【0015】
なお、上記方法において、剥離過程では、粘着シートの長さに応じて、保持部の移動距離を調整することが好ましい。
【0016】
例えば、剥離機構のアームを揺動させて保持部を移動させる。或いは、粘着シートの搬送方向と交差する方向に保持部を移動させるとともに、保持部を搬送方向にも移動させる。
【0017】
これらの方法によれば、粘着シートから離型紙を剥離しきるまで一定の張力を離型紙に作用させたまま粘着シートから剥離することができる。
【0018】
また、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0019】
すなわち、ワークに粘着シートを貼り付ける粘着シート貼付け装置であって、
前記粘着シートよりも大きいセパレータの添設された粘着シートを搬送する搬送機構と、
少なくとも前記セパレータの剥離位置に配備され、搬送機構と協働して粘着シートを挟持する支持部材と、
前記搬送機構によって搬送される粘着シートの前側からはみ出ているセパレータをアーム先端の保持部によって保持させ、搬送方向に水平移動する粘着シートの面に対して交差する方向に当該保持部を第1駆動機構によって移動させ、前記支持部材の先端を起点にしてセパレータを折り返して粘着シートから剥離する剥離機構とを備え、
前記搬送機構は、前記剥離機構の剥離動作に同期して粘着シートを保持したまま移動するとともに、セパレータの剥離された当該粘着シートを保持してワークまで搬送して貼り付けるよう構成した
ことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、剥離機構の保持部によってセパレータが搬送方向と交差する方向に移動されるとき、支持部材によってセパレータが折り返されて粘着シートから剥離される。このとき、搬送機構が粘着シートを保持したままセパレータの剥離速度と同期して移動するので、粘着シートは、搬送機構と支持部材によって挟持されて浮き上がりを防止されるとともに、セパレータに一定の張力を付与したまま粘着シートから剥離することができる。
【0021】
さらに、セパレータの剥離された粘着シートを搬送機構で保持したままワークまで搬送して貼り付けることができるので、粘着シートを個別に貼付け装置に受け渡す時間を短縮することができる。したがって、粘着シート貼付け処理のタクトタイムを従来装置に比べて短縮することができる。
【0022】
なお、剥離機構は、次のように構成してもよい。例えば、剥離機構のアームが搬送方向と交差する方向に移動するとともに、揺動するように構成する。或いは、粘着シートの搬送方向に剥離機構の保持部を移動させる第2駆動機構を備える。
【0023】
これらの構成によれば、保持部の移動距離を変更することができる。換言すれば、粘着シートの長さに応じて、保持部の移動距離を調整し、セパレータに一定の張力をかけながら粘着シートから剥離することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の粘着シート貼付け方法および粘着シート貼付け装置によれば、搬送機構で保持された粘着シートからセパレータを自動で精度よく剥離し、当該搬送機構で粘着シートを保持したままワークまで搬送して貼り付けることができる。したがって、粘着シートの貼付け処理のタクトタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】粘着シートの貼付け装置の正面図である。
図2】粘着シートの貼付け装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】粘着シートの縦断面図である。
図4】粘着シートの貼付け動作を説明する図である。
図5】粘着シートの貼付け動作を説明する図である。
図6】粘着シートの貼付け動作を説明する図である。
図7】粘着シートの貼付け動作を説明する図である。
図8】粘着シートの貼付け動作を説明する図である。
図9】粘着シートの貼付け動作を説明する図である。
図10】変形例装置の正面図である。
図11】変形例装置による粘着シートの貼り付け動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の一実施例説明する。なお、本実施例では、自動車のボンネットやドアなどの鋼板を補強する補強用鋼板樹脂組成物からなる粘着シートを貼り付ける場合を例にとって説明する。
【0027】
<粘着シート>
粘着シートSは、図3に示すように、補強層1に樹脂層2が積層された枚葉体である。当該樹脂層2の反対側には、当該樹脂層2の形状よりも大きいセパレータ3が添設されている。
【0028】
補強層1は、例えば、加熱による発泡する樹脂層2に勒性を付与するものである。補強層1としては、例えば、ガラスクロス、樹脂ガラスクロス、合成樹脂不織布、金属箔、カーボンファイバなどが挙げられる。
【0029】
<粘着シート貼付け装置>
図1は、この発明の一実施例に係り、粘着シート貼付け装置の全体構成を示した正面図である。
【0030】
この貼付け装置は、剥離テーブル4、搬送ユニット5、剥離ユニット6および保持テーブル7などから構成されている。以下、各構成について詳述する。
【0031】
剥離テーブル4は、装置フレーム8上に着脱可能な支持プレート9を備えている。支持レート9は、粘着シートSの全面を保持する扁平面になっている。当該支持プレート9の先端は、丸みを有している。なお、支持プレート9は、本発明の支持部材に相当する。
【0032】
搬送ユニット5は、図1および図2に示すように、可動台10および保持部11などから構成されている。なお、搬送ユニット5は、本発明の搬送機構に相当する。
【0033】
可動台10は、サーボモータやシリンダなどの駆動部を備えるリニアアクチュエータ12によって、上側の装置フレームに沿って前後水平に配備されたガイドレール13上を往復移動する。
【0034】
保持部11は、可動台10に配備されたエアーシリンダ14によって昇降する支持部15に、バネなどの弾性体によって下向きに付勢された複数本の吸着バッド16を備えている。複数本の吸着バッド16は、例えば、ワークWに粘着シートSを貼り付けるときに、当該粘着シートSに均一な押圧が作用するよう所定ピッチで2次元アレー状に配備されている。
【0035】
当該吸着バッド16の吸着面は、同軸芯を有する円弧状の凸部が形成されている。当該凸部は、吸着バッド16の凹部内に収まる高さに設定されている。したがって、当該凸部は、吸着バッド16に粘着シートSが引き込まれるのを防止する。
【0036】
また、吸着バッド16は、上流側から外部接続の真空源20、1次圧力調整機21、圧力変換調整機22および電磁弁23の順に接続されている。なお、圧力変換調整機23には、逆止弁24が装備されている。
【0037】
1次圧力調整機21は、真空源20による吸引力を所定の安定した2次圧力にして出力する。
【0038】
圧力変換調整器22は、例えばレギュレータで構成されており、予め設定した2次圧力(吸引力)を一定に保つように調整する。すなわち、圧力調整器22は、吸着バッド16の吸引力の変化をセンサ17で検知しとき、当該検知信号の実圧力と設定された基準圧力の偏差を求め、電磁弁23や逆止弁24の開度を調整することによって設定吸引力に戻す。
【0039】
図1に戻り、剥離ユニット6は、エアーシリンダからなる昇降機構30、当該エアーシリンダのロッド31の先端に装着され、昇降する可動台32に軸支された揺動アーム33および当該揺動アーム33の先端に備わった一対の可動片34A、34Bからなる把持部34などから構成されている。なお、当該剥離ユニット6は、本発明の剥離機構に相当する。
【0040】
揺動アーム33は、圧力制御により揺動および停止並びに揺動速度の調整が可能に構成されている。また、可動片34A、34Bも同様に圧力制御により相対的に接近および離反移動するよう構成されている。
【0041】
昇降機構30、揺動アーム33および保持分34は、図2に示すように、それぞれが電磁弁42A、42B、42Cを介してして1次圧力調整機41および圧縮エアー源40に連通接続されている。なお、これらの構成は、本発明の第1駆動機構として機能する。
【0042】
1次圧力調整機41は、圧縮エアー源40から供給されるエアーの圧力を所定の安定した2次圧力にして出力する。
【0043】
保持テーブル7は、ワークWを吸着またはクランプによって保持するよう構成されている。
【0044】
次に、上述の実施例装置を用いて、ワークに粘着シートを貼り付ける一巡の動作を図2から図9に基づいて説明する。
【0045】
先ず、図2に示す操作パネル100から所定条件を制御部50に入力し、使用する粘着シートSに添設されたセパレータ3が破断されることなく粘着シートSから剥離可能な張力を求める。すなわち、支持プレート9でセパレータ3を折り返して剥離するときにセパレータ3が破断するときの剥離速度を実験やシミュレーションによって予め求め、当該速度から剥離許容速度を制御部50に設定する。例えば、当該剥許容速度は、昇降機構30の下降速度と揺動アーム33の揺動下降速度から求める。当該剥離速度と同じ速度で搬送ユニット5を水平移動させるように設定する。
【0046】
次に、剥離ユニット6の保持部11の高さなどハード構成の設定をする。例えば、支持プレート9から送り出される粘着シートSの撓み量を考慮し、粘着シートSに添設されたセパレータ3の先端部分が、前方で待機している可動片34A,34Bの間に進入するよう保持部11の高さを調整する。
【0047】
各種条件設定が完了すると、装置を作動させる。先ず、搬送経路の最上流に載置された容器60の上まで搬送ユニット5が移動する。搬送ユニット5は、図4に示すように、エアーシリンダ14によって支持部15を所定高さまで下降させ、容器内に積層収納されている粘着シートSを吸着バッド16で吸着保持する。
【0048】
搬送ユニット5は、粘着シートSを容器60から搬出し、支持プレート9上に粘着シートSを載置する。その後、搬送ユニット5は、吸着パット16の弾性付勢により、粘着シートSに適度の荷重をかけながら支持プレート9上で粘着シートSをスライドさせてゆく。
【0049】
支持プレート9の先端から粘着シートSが突き出ると、図5に示すように、前方で待機している開放状態にある可動片34A、34Bの間にセパレータ3の先端部分が進入してゆく。
【0050】
セパレータ3が所定位置まで達すると、図6に示すように、可動片34A、34Bを閉じてセパレータ3の先端部分を把持し、図7に示すように、昇降機構30を下降させつつ揺動アーム33を揺動下降する。水平搬送される粘着シートSと交差する方向に揺動アーム33を下降させることにより、セパレータ3が支持プレート9の先端で折り返されて剥離されてゆく。このとき、粘着シートSの長手水平軸に対して折り返されたセパレータ3のなす角度αは、鋭角に保たれている。
【0051】
このセパレータ3の剥離動作に同期して、搬送ユニット5は、粘着シートSを吸着保持しまま、水平移動してゆく。
【0052】
粘着シートSから剥離されたセパレータ3は、図8に示すように、揺動アーム33の下方に配置された回収容器70に回収される。
【0053】
搬送ユニット5は、粘着シートSを吸着保持したまま保持テーブル7まで移動する。搬送ユニット5は、保持テーブル7上のワークWの所定位置に達すると、図9に示すように、エアーシリンダ14によって支持部15を下降させ、吸着バッド16によって粘着シートSをワークWに押圧して貼り付ける。
【0054】
ワークWへの粘着シートSの貼り付けが完了すると、図示しない搬送機構によってワークWを保持テーブル7から搬出するとともに、搬送ユニット5は、次の貼り付け動作に移行する。
【0055】
上記実施例装置によれば、支持プレート9から突き出たセパレータ3の先端部分が、前方で待機している把持部34の可動片34A、34Bの間に進入して把持されると、昇降機構30が下降するとともに、揺動アーム33が揺動下降する。当該把持部34の下降動作によって支持プレート9の先端でセパレータ3が鋭角に折り返されて粘着シートSから剥離される。すなわち、把持部34は、粘着シートSの搬送方向に交差する方向に移動する。同時に、搬送ユニット5が、粘着シートSを吸着保持したまま搬送方向に移動してゆく。
【0056】
したがって、搬送ユニット5の搬送速度に依存させることなく、張力を一定に保ったまま剥離速度を任意に設定することができる。換言すれば、粘着シートSの粘着力を超える張力を剥離開始起点に付与することができるので、セパレータ3を破断させることなく確実に粘着シートSから剥離することができる。
【0057】
さらに、セパレータ3の剥離された粘着シートSは、搬送ユニット5に吸着保持されているので、そのままの状態でワークWまで搬送し、当該搬送ユニット5を利用して粘着シートSをワークWに貼り付けることができる。したがって、セパレータ3を剥離した粘着シートSを一旦載置台などに載置して他の搬送機構に受け渡す必要がないので、粘着面に塵埃を付着させるのを抑制するとともに、搬送時にタクトタイムを短縮することができる。
【0058】
なお、本発明は以下のような形態で実施することもできる。
【0059】
(1)上記実施例装置において、剥離ユニット6を搬送方向に移動するように構成してもよい。例えば、図10に示すように、搬送方向に沿って前後水平に配備されたガイドレール80上で駆動装置によって移動する可動台81に当該剥離ユニット6を配備する。可動台81をセパレータ3の剥離動作に同期させて搬送方向に移動させように移動速度および距離を制御する。なお、ガイドレール80、可動台81および当該可動台81用の駆動装置は、本発明の第2駆動機構として機能する。
【0060】
この構成によれば、粘着シートSが長尺の場合、その距離に応じて可動台81の移動距離を調整することにより、一定の張力をセパレータ3に付与しつつ粘着シートSからセパレータ3を完全に剥離することができる。
【0061】
(2)上記実施例では、搬送ユニット5によりワークWに粘着シートSを貼り付けた後に、図11に示すように、ローラRを転動させて再び粘着シート9を押圧してもよい。この構成によれば、粘着シートSをワークWに密着させることができる。
【0062】
(3)上記実施例装置において、昇降機構30の下降または揺動アーム33の揺動下降による移動距離のいずれかのみでセパレータ3を剥離可能な長さを有する粘着シートSを取り扱う場合、昇降機構30または揺動アーム33のいずれかのみを作動させるようにしてもよい。
【0063】
(4)上記各実施例装置において、セパレータ3の剥離方向は、下向きに限定されるものではなく、搬送方向に対して交差する方向であればよい。したがって、装置構成を反転させてセパレータ3を上向きにして剥離してもよいし、搬送方向を上または下向きにして剥離方向を横向きにしてもよい。
【0064】
(5)上記各実施例装置において、支持プレート9は、粘着シートSの長さよりも短く設定してもよい。すなわち、搬送ユニット5と協働して粘着シートSの先端側を挟持して所定の荷重をかけつつ、支持プレート9の先端でセパレータ3を折り返して剥離できる程度の長さであればよい。
【符号の説明】
【0065】
3 … セパレータ
4 … 剥離テーブル
5 … 搬送ユニット
6 … 剥離ユニット
7 … 保持テーブル
30 … 昇降機構
33 … 揺動アーム
34 … 把持部
50 … 制御部
S … 粘着シート
W … ワーク
図1
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