特許第5778121号(P5778121)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778121
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】マーキング装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20150827BHJP
   B43L 13/00 20060101ALN20150827BHJP
【FI】
   F16L1/00 Y
   !B43L13/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-267183(P2012-267183)
(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-114829(P2014-114829A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2014年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507369936
【氏名又は名称】ホンダ太陽株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤内 芳郎
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−050853(JP,U)
【文献】 特開2000−130674(JP,A)
【文献】 特開昭54−143317(JP,A)
【文献】 特開平06−344535(JP,A)
【文献】 特開2001−270159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00
B43L 13/00
B41F 17/20
B25H 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムホース類やパイプ類の被マーキング部材の一端部から長手方向の所定位置にマークを付けるマーキング装置であって、
基台と、
前記基台に設けられ、前記被マーキング部材を係脱可能に嵌合する被マーキング部材保持溝を具備した被マーキング保持部と、
前記被マーキング保持溝に嵌合した前記被マーキング部材の一端部が当接することにより前記被マーキング保持部における前記被マーキング部材の長手方向の位置決めを行う先端位置決め部と、
前記先端位置決め部に対して前記被マーキング部材の長手方向に所定量偏倚した位置に設置され、前記被マーキング部材にマークを付けるマーキングユニットと、
前記被マーキング部材の前記一端部が前記先端位置決め部の配置部分の被マーキング部材保持溝に嵌合したことを検出する第1の検出部と、
前記第1の検出部によって前記被マーキング部材の前記一端部が前記先端位置決め部に当接したことが検出されることにより前記マーキングユニットをマーキング動作させる制御部と、
を有するマーキング装置。
【請求項2】
前記被マーキング部材保持部に保持された前記被マーキング部材の長手方向と同方向に所定区間だけ移動可能に、且つ前記先端位置決め部の手前側に偏倚した位置を定常位置とするように前記基台に設けられたスライダを有し、
前記スライダに前記先端位置決め部と前記マーキングユニットとが取り付けられており、
前記第1の検出部は、前記スライダが定常位置にある状態では動作不能で、前記被マーキング部材の前記一端部によって前記先端位置決め部が押されて前記スライダが定常位置より移動することにより動作可能になる請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項3】
前記スライダは、水平面に対して上下に傾斜したガイド部に案内されて移動可能であり、自由状態では重力によって前記定常位置に位置する請求項2に記載のマーキング装置。
【請求項4】
前記被マーキング部材は湾曲部あるいは屈曲部を有しているものであり、被マーキング部材保持溝は前記被マーキング部材の形状に倣った形状をしており、
前記第1の検出部の配置位置とは異なった位置において前記被マーキング部材保持溝に前記被マーキング部材が嵌合したことを検出する第2の検出部を更に有し、
前記制御部は、前記第1の検出部によって前記被マーキング部材の前記一端部が前記先端位置決め部に当接したことが検出されたことに加えて、前記第2の検出部が前記被マーキング部材保持溝に前記被マーキング部材が嵌合したことを検出した場合に前記マーキングユニットをマーキング動作させる請求項1から3の何れか一項に記載のマーキング装置。
【請求項5】
前記マーキングユニットは、前記被マーキング部材にマークを付けるマーキング位置と前記マーキング位置より離れた退避位置との間に移動可能に設けられたマーカと、前記マーカを前記マーキング位置と前記退避位置との間に移動させるマーキング駆動装置とを有する請求項1から4の何れか一項に記載のマーキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング装置に関し、更に詳細には、ゴムホース類やパイプ類等の被マーキング部材の所定位置にマークを付けるマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムホース類やパイプ類等の組み付けや接続作業時の位置決めや、差し込み量の目安等のために、ゴムホース類やパイプ類の表面に作業者が目視可能なマークを付けるマーキング装置(スタンプ装置)が知られている(例えは゛、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−185862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマーキング装置は、一方の片手でゴムホース類やパイプ類を掴んでこれを所定位置にセットし、その状態を維持して他方の片手でマーキング動作を開始するスイッチ類を押す等の作業が必要である。このため、両手作業になって作業性が悪く、しかもゴムホース類やパイプ類を所定位置に正確にセットする必要があり、この作業が正しく行われないと、所定位置にマーク付けが行われず、マーク付け不良の不良品を発生することになる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、片手で作業性よく作業者に負担を掛けることなく、しかもマーク付けが正確に行われるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるマーキング装置は、ゴムホース類やパイプ類の被マーキング部材(W)の一端部から長手方向の所定位置にマークを付けるマーキング装置であって、基台(10)と、前記基台(10)に設けられ、前記被マーキング部材(W)を係脱可能に嵌合する被マーキング部材保持溝(14)を具備した被マーキング保持部(12)と、前記被マーキング保持部(12)に保持された前記被マーキング部材(W)の一端部(We)が当接することにより前記被マーキング保持部(12)における前記被マーキング部材(W)の長手方向の位置決めを行う先端位置決め部(28)と、前記先端位置決め部(28)に対して前記被マーキング部材(W)の長手方向に所定量偏倚した位置に設置され、前記被マーキング部材(W)にマークを付けるマーキングユニット(42、52)と、前記被マーキング部材(W)の前記一端部が前記先端位置決め部(28)の配置部分の被マーキング部材保持溝(14)に嵌合したことを検出する第1の検出部(30)と、前記第1の検出部(30)によって前記被マーキング部材(W)の前記一端部(We)が前記先端位置決め部(28)に当接したことが検出されることにより前記マーキングユニット(42、52)をマーキング動作させる制御部(54)とを有する。
【0007】
この構成によれば、作業者は、被マーキング部材(W)を片手でもって被マーキング部材(W)の一端部(We)を先端位置決め部(28)の配置部分の被マーキング部材保持溝(14)に嵌合させると、マーキング部材(W)の一端部(We)が先端位置決め部(28)に突き当たる。このことを第1の検出部(30)が検出することにより、マーキングユニット(42、52)がマーキング動作を開始し、マーク付け作業が行われる。マーキングユニット(42、52)は、先端位置決め部(28)に対して被マーキング部材(W)の長手方向に所定量偏倚した位置に設置されているから、被マーキング部材(W)の先端部(We)を先端位置決め部(28)に押し当てるだけで、片手作業で被マーキング部材(W)の一端部(We)を基準とする所定位置に精度よくマーク付けが行われることになる。
【0008】
本発明によるマーキング装置は、好ましくは、更に、前記被マーキング部材保持部(12)に保持された前記被マーキング部材(W)の長手方向と同方向に所定区間だけ移動可能に、且つ前記先端位置決め部(28)の手前側に偏倚した位置を定常位置とするように前記基台(10)に設けられたスライダ(18)を有し、前記スライダ(18)に前記先端位置決め部(28)と前記マーキングユニット(42、52)とが取り付けられており、前記第1の検出部(28)は、前記スライダ(18)が定常位置にある状態では動作不能で、前記被マーキング部材(W)の前記一端部(We)によって前記先端位置決め部(28)が押されて前記スライダ(18)が定常位置より移動することにより動作可能になる。
【0009】
この構成によれば、被マーキング部材(W)の一端部(We)によって先端位置決め部(28)が押され、スライダ(18)が定常位置より移動しない限り第1の検出部(30)は動作しないので、被マーキング部材(W)の先端部(We)が先端位置決め片(28)に押し当てられていることの検出が確実に行われる。これにより、作業ミスが生じ難くなり、マーク付けの信頼性が向上し、歩留まりが向上する。
【0010】
本発明によるマーキング装置は、好ましくは、前記スライダ(18)は、水平面に対して上下に傾斜したガイド部(16)に案内されて移動可能であり、自由状態では重力によって前記定常位置に位置する。
【0011】
この構成によれば、スライダ(18)は、自由状態では重力によって定常位置に位置するから、スライダ(18)を定常位置に位置させるための付勢部材を設ける必要がなく、構造が簡単になる。
【0012】
本発明によるマーキング装置は、好ましくは、前記被マーキング部材(W)は湾曲部(Wc)あるいは屈曲部(Wb)を有しているものであり、被マーキング部材保持溝(14)は前記被マーキング部材(W)の形状に倣った形状をしており、前記第1の検出部(30)の配置位置とは異なった位置において前記被マーキング部材保持溝(14)に前記被マーキング部材(W)が嵌合したことを検出する第2の検出部(32)を更に有し、前記制御部(54)は、前記第1の検出部(30)によって前記被マーキング部材(W)の前記一端部(We)が前記先端位置決め部(28)に当接したことが検出されたことに加えて、前記第2の検出部(32)が前記被マーキング部材保持溝(14)に前記被マーキング部材(W)が嵌合したことを検出した場合に前記マーキングユニット(42、52)をマーキング動作させる。
【0013】
この構成によれば、第1の検出部(30)によって被マーキング部材(W)の一端部(We)が先端位置決め部(28)に当接したことが検出された上で、第2の検出部(32)が被マーキング部材保持溝(14)に被マーキング部材(W)が嵌合したことを検出したことにより、マーキングユニット(42、52)がマーキング動作を開始し、マーク付け作業が行われるから、被マーキング部材(W)が曲がり管のような場合には、被マーキング部材(W)の一端部(We)を基準とする所定位置で、且つ曲がり管の湾曲方向及び屈曲方向に対して所定位置にマーク付けが行われるようになる。
【0014】
本発明によるマーキング装置は、好ましくは、前記マーキングユニットは、前記被マーキング部材(W)にマークを付けるマーキング位置と前記マーキング位置より離れた退避位置との間に移動可能に設けられたマーカ(52)と、前記マーカ(52)を前記マーキング位置と前記退避位置との間に移動させるマーキング駆動装置(42)とを有する。
【0015】
この構成によれば、マーキング駆動装置(42)によってマーカ(52)がマーキング位置より離れた退避位置に位置することにより、被マーキング保持部(12)に対する被マーキング部材(W)のセット作業、取り外し作業がマーカ(52)によって邪魔されることなく作業性良く行われる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるマーキング装置によれば、作業者が被マーキング部材を片手でもって被マーキング部材の一端部を先端位置決め部(28)の配置部分の被マーキング部材保持溝(14)に嵌合させるだけで、被マーキング部材の先端部を基準とする所定位置に精度よくマーク付けが作業性よく行われる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるマーキング装置の一つの実施形態の待機状態を示す側面図。
図2】同実施形態のマーキング作業状態を示す側面図。
図3】同実施形態の待機状態を、マーキングユニットの図示を省略して示す平面図。
図4】同実施形態の駆動−制御系を示す回路図。
図5】同実施形態における被マーキング部材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明によるマーキング装置の一つの実施形態を、図1図5を参照して説明する。
【0019】
本実施形態におけるマーキング装置の被マーキング部材は、図5に示されているように、一つの仮想面上に湾曲部Wc、屈曲部Wbを平面的に有するに二次的な曲がり管と呼ばれるゴムホースWである。マーキング装置は、ゴムホースWの先端部(一端部)Weからホース長手方向に所定長Lだけ離れた位置であって、且つゴムホースWの湾曲方向、屈曲方向に対してホース円周周りの90度の回転角位置変位にマークMを付けるための装置である。
【0020】
マーキング装置は、図1図3に示されているように、平板状の基台10と、基台10上に固定配置されたゴムホース保持部材12とを有する。
【0021】
ゴムホース保持部材12にはゴムホースWを係脱可能に保持するゴムホース保持溝14が形成されている。ゴムホース保持溝14は、上向き開口の凹溝で、ゴムホースWの湾曲形状〜屈曲形状に倣った平面形状をしており、ゴムホースWの先端部We側に対応する溝端部14Aよりホース長手方向の所定区間に亘って直線区間A(図3参照)を有する。ゴムホース保持溝14にはゴムホースWのほぼ全体がゴムホース保持溝14の上側より抜き差し可能に嵌合する。
【0022】
基台10上にはリニアガイドレール16が取り付けられている。リニアガイドレール16は、ゴムホース保持部材12の一側方に、ゴムホース保持溝14の直線区間Aに沿って平行に、且つゴムホース保持溝14の溝端部14Aの側より直線区間Aの側に向けて下り勾配になるように水平面に対して上下に傾斜している。
【0023】
リニアガイドレール16にはスライダ18のレール係合子20がリニアガイドレール16の長手方向にスライド可能に係合している。つまり、スライダ18は、リニアガイドレール16に案内されて、ゴムホース保持部材12に保持されたゴムホースWの先端部We側の長手方向と同方向にゴムホース保持部材12に対して移動可能である。
【0024】
スライダ18は、レール係合子20と、ゴムホース保持部材12上に載置されるように一端をレール係合子20の上部に固定されてゴムホース保持溝14の直線区間Aを溝幅方向に横切って延在する上部クロスメンバ22とにより構成されている。
【0025】
リニアガイドレール16にはスライダ18の移動区間を設定する下側ストッパ24と上側ストッパ26とが取り付けられている。これにより、スライダ18は、図1に示されているように、レール係合子20の前面(手前面)20Aが下側ストッパ24に当接する降下位置(手前位置)と、図2に示されているように、レール係合子20の背面20Bが上側ストッパ26に当接する上昇位置(押され位置)との間を、ゴムホース保持部材12に保持されたゴムホースWの長手方向と同方向に往復移動可能であり、自由状態では重力によって降下位置に位置している。この降下位置は、後述する先端位置決め片28の手前側に偏倚した位置であり、以降、定常位置と云うことがある。
【0026】
上部クロスメンバ22には先端位置決め片28が固定されている。先端位置決め片28は、ゴムホース保持溝14内に位置し、図2に示されているように、上部クロスメンバ22より手前側(溝端部14Aとは反対側)に突出した位置にある先端面がなすストッパ面28Aにゴムホース保持溝14内に嵌められたゴムホースWの先端部Weが突き当たることにより、ゴムホース保持部材12に保持されているゴムホースWの長手方向の位置決めを行う。
【0027】
この構造では、ストッパ面28AにゴムホースWの先端部Weが突き当たり、ゴムホースWによって先端位置決め片28が溝端部14Aの側(図1図3で見て左方)に押されることによってスライダ18が定常位置(降下位置)より上昇位置へ移動する。
【0028】
ゴムホース保持部材12の底部には第1の検出スイッチ30と第2の検出スイッチ32とが取り付けられている。第1の検出スイッチ30と第2の検出スイッチ32とは、被マーキング部材検出器であり、双方とも押しボタンスイッチにより構成され、各々ゴムホース保持溝14の底部に開口した貫通孔34、36よりゴムホース保持溝14内に突出した先端半球形のボタン30A、32Aを有し、ゴムホース保持溝14内に嵌められたゴムホースWによってボタン30A、32Aを押下されることにより閉成(オン)する。
【0029】
第1の検出スイッチ30は、ゴムホースWによるボタン30Aの押下によってゴムホースWの先端部Weが先端位置決め片28の配置部分のゴムホース保持溝14に嵌合したことを検出する。本実施形態では、ボタン30Aが溝端部14Aの近傍で、スライダ18の移動に伴う先端位置決め片28の移動区間内にあることにより、ゴムホースWの先端部We側がゴムホース保持溝14内に嵌められて先端部Weが先端位置決め片28のストッパ面28Aに当接したことと等価の状態を検出することになる。
【0030】
より詳細には、第1の検出スイッチ30は、スライダ18が定常位置にある状態では、先端位置決め片28の真下位置に位置してボタン30Aが押下されることを先端位置決め片28によって禁止(阻止)された動作不能状態にあり、ゴムホースWの先端部Weが先端位置決め片28のストッパ面28Aに当接した状態でスライダ18が押され、スライダ18が上昇位置へ移動することにより、ボタン30Aが先端位置決め片28の真下位置より外れ、ゴムホース保持溝14内に嵌められたゴムホースWによってボタン30Aが押下され得る動作可能状態になる。つまり、先端位置決め片28は、スライダ18が定常位置にある状態下で、第1の検出スイッチ30の閉成を阻止するインヒビット(プロテクタ)をなす。
【0031】
第2の検出スイッチ32のボタン32Aは溝端部14Aとは反対側の溝端部14Bの近傍にあり、第2の検出スイッチ32は当該部分にゴムホースWに嵌められたことを検出する。
【0032】
ゴムホース保持溝14は、図1図2に示されているように、直線区間Aを含む溝端部14A側の区間がリニアガイドレール16の傾斜に並行するようにリニアガイドレール16と同じ方向の勾配をもって水平面に対して上下に傾斜しており、直線区間Aより溝端部14Aとは反対の溝端部14B側の中間部より溝端部14Bに区間がリニアガイドレール16の勾配とは反対の方向の勾配をもって水平面に対して上下に傾斜しており、中間部より溝端部14Bに向けて上り勾配になっている。
【0033】
上部クロスメンバ22上にはスタンド部材38が立設されている。スタンド部材38の上部にはマウント部材40によって空気圧シリンダ装置42が垂直方向に取り付けられている。空気圧シリンダ装置42は、マーキング駆動装置であり、マウント部材40に固定されたシリンダチューブ44と、シリンダチューブ44内に軸線方向に移動可能に設けられて上側シリンダ室44Aと下側シリンダ室44Bとを区画するピストン46と、ピストン46より下側シリンダ室44B側に延出したピストンロッド48とにより構成されている。
【0034】
ピストンロッド48の先端はシリンダチューブ44より下方に突出しており、突出端部には取付具50によってフェルトペン等によるマーカ52が筆先52Aを下側にして交換可能に取り付けられている。マーカ52の筆先52Aの中心軸線Bは空気圧シリンダ装置42の中心軸線と同一軸線上にあり、中心軸線Bは先端位置決め片28のストッパ面28Aより直線区間Aの長手方向に前述の所定長Lと同じ距離だけ手前側(図1図3で見て右側)に偏倚した位置にある。マーカ52の筆色は、マークMを作業者が視認し易いよう、ゴムホースWの表面色とは異なる色であることが好ましく、ゴムホースWの表面色が黒色であれば、マーカ52の筆色は白色や黄色であればよい。
【0035】
空気圧シリンダ装置42は、下側シリンダ室44Bに圧縮空気を供給されることによってピストン46が上昇移動することにより、図1に示されているように、マーカ52を後述するマーキング位置より上方に離れた退避位置に移動させ、上側シリンダ室44Aに圧縮空気に供給されることによってピストン46が降下移動することにより、マーカ52を退避位置より降下させ、ゴムホースWの上面にマークMを付けるマーキング動作を行うマーキング位置に移動させる。
【0036】
このようにして本実施形態では、空気圧シリンダ装置42とマーカ52とによってマーキングユニットが構成される。
【0037】
次に、マーキング装置の駆動−制御系について、図4を参照して説明する。
【0038】
マーキング装置は制御部として電磁切換弁54を有する。電磁切換弁54は、空気圧源56に接続された空気圧ポートaと、大気開放の大気開放ポートbと、下側シリンダ室44Bに接続された第1の出入ポートcと、上側シリンダ室44Aに接続された第2の出入ポートdとを有し、非通電時には空気圧ポートaが第1の出入ポートcに連通し且つ大気開放ポートbが第2の出入ポートdに連通し、通電時には空気圧ポートaが第2の出入ポートdに連通し且つ大気開放ポートbが第1の出入ポートcに連通する。
【0039】
これにより、電磁切換弁54に通電が行われていない場合には、上側シリンダ室44Aが大気開放で、下側シリンダ室44Bに圧縮空気が供給され、マーカ52はマーキング位置より上方の退避位置に位置する。これに対し、電磁切換弁54に通電が行われると、下側シリンダ室44Bが大気開放で、上側シリンダ室44Aに圧縮空気が供給され、マーカ52は退避位置よりマーキング位置へ降下する。
【0040】
電磁切換弁54に対する通電は、第1の検出スイッチ30と第2の検出スイッチ32との直列回路を介して行われる。これにより、第1の検出スイッチ30と第2の検出スイッチ32との双方が閉成した場合にのみ電磁切換弁54に通電が行われる。
【0041】
次に、マーキング装置の使用手順及び動作について説明する。
【0042】
ゴムホース保持溝14内にゴムホースWが嵌め込まれていない初期状態では、第1の検出スイッチ30と第2の検出スイッチ32との双方が開成(オフ)し、電磁切換弁54に通電が行われていなので、下側シリンダ室44Bに圧縮空気が供給され、マーカ52は上方の退避位置に位置している。
【0043】
この状態で、作業者は、ゴムホースWの先端部Weとは反対側の端部近傍を片手で握り、ゴムホースWの先端部Weを、スライダ18と共に降下位置にある先端位置決め片28のストッパ面28Aに押し当てるようにしてゴムホースWの先端部Weをゴムホース保持溝14の上側よりゴムホース保持溝14内に嵌め込む。この作業は、マーカ52が退避位置に退避した状態で行われるから、マーカ52が邪魔になることなく作業性よく行われる。
【0044】
そして、ゴムホースWの先端部Weによって先端位置決め片28のストッパ面28Aを溝端部14A側(図1図3で見て右方)に押し、スライダ18を降下位置より上昇位置へ向けて移動させる。この移動過程で、先端位置決め片28がボタン30Aの真上位置より退き、ゴムホースWの先端部We近傍がボタン30Aの真上位置に位置するようになり、ゴムホースWによってボタン30Aが押下される。これにより、第1の検出スイッチ30が閉成する。このようにして、第1の検出スイッチ30は、ゴムホースWの先端部Weが先端位置決め片28の配置部分のゴムホース保持溝14に嵌合したことを検出する。
【0045】
引き続き、ゴムホースWの先端部Weとは反対側の端部近傍を片手で握り、ゴムホースWの先端部Weを先端位置決め片28のストッパ面28Aに押し当てた状態で、ゴムホースWの先端部We側からその反対側の部分を徐々にゴムホース保持溝14内に嵌め込む。この上からの作業は、ゴムホース保持溝14が中間部より溝端部14Bに向けて上り勾配になっているので、ゴムホース保持溝14が水平である場合に比して楽な姿勢で作業性よく行われる。
【0046】
このようにして、ゴムホースWの略全体がゴムホース保持溝14の全域にぴったりと嵌め込まれると、ゴムホースWによってボタン32Aが押下され、第2の検出スイッチ32が閉成する。
【0047】
これにより、第1の検出スイッチ30と第2の検出スイッチ32との双方が閉成し、電磁切換弁54に通電が行われる。この通電によって上側シリンダ室44Aに圧縮空気が供給され、マーカ52が退避位置よりマーキング位置へ降下し、マーカ52の筆先52AがゴムホースWの上面に接触し、ゴムホースWの上面にマークMが付けられる。
【0048】
ゴムホースWの先端部Weが先端位置決め片28のストッパ面28Aに当接していて、しかもゴムホースWの先端部Weによってスライダ18が溝端部14A側に動かされることによって初めて第1の検出スイッチ30が閉成するので、第1の検出スイッチ30が閉成することは、ゴムホースWの先端部Weが先端位置決め片28のストッパ面28Aに当接していることが必須となる。
【0049】
マーカ52の筆先52Aの中心軸線Bが先端位置決め片28のストッパ面28Aに対して直線区間Aの長手方向に前述の所定長Lと同じ距離だけ手前側(図1図3で見て右側)に偏倚した位置に予め設定されていることから、第1の検出スイッチ30が閉成状態であることが保たれることで、筆先52Aによるマーク付け位置はゴムホースWの先端部Weを基準としてこれよりホース長手方向に所定長Lだけ離れた位置であることが確実に保証される。
【0050】
換言すると、ゴムホースWの先端部Weによって先端位置決め片28が押され、スライダ18が定常位置より移動しない限り第1の検出スイッチ30は動作しないので、ゴムホースWの先端部Weが先端位置決め片28に押し当てられていることの検出が確実に行われる。これにより、作業ミスが生じ難くなり、マーク付けの信頼性が向上し、歩留まりが向上する。
【0051】
そして、ゴムホースWの湾曲形状〜屈曲形状に倣った平面形状をしていてゴムホース保持溝14にゴムホースWの略全体がぴったりと嵌り込むことによって初めて第2の検出スイッチ32が閉成するので、ゴムホースWの湾曲方向及び屈曲方向に対してホース円周周りに90度回転変位した位置にマーク付けされることが確実に保証される。
【0052】
このようにして、片手作業で、ゴムホースWの先端部Weからホース長手方向に所定長Lだけ離れた位置であって、且つゴムホースWの湾曲方向、屈曲方向に対してホース円周周りに90度回転変位した位置にマークMが精度よく確実に付けられ、しかもマーク付け作業が経験等を必要とすることなく、作業性よく、歩留まりよく行われる。
【0053】
マーク付けが完了すれば、ゴムホースWの先端部Weとは反対側の端部近傍を片手で握ったまま持ち上げ、この端部近傍をゴムホース保持溝14より取り外す。すると、ゴムホースWによるボタン32Aの押し下げが解除され、第2の検出スイッチ32が開成する。これにより、電磁切換弁54に対する通電が停止され、下側シリンダ室44Bに圧縮空気が供給され、マーカ52はマーキング位置より退避位置へ上昇移動する。
【0054】
その後、先端部Weを含めてゴムホースWをゴムホース保持溝14より完全に取り外す。この取り外しは、マーカ52が退避位置に退避した状態で行われるから、マーカ52が邪魔になることなく作業性よく行われる。このようにしてゴムホースWがゴムホース保持部材12より外されると、スライダ18は重力によって元の手間位置に戻り、次の作業に備える。
【0055】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0056】
たとえば、マーキング駆動装置は空気圧シリンダ装置42に限られることなく、電動式アクチュエータであってもよい。また、空気圧シリンダ装置42は、ピストン46が上昇方向或いは降下方向にばね付勢され、片側のシリンダ室44Aあるいは44Bにのみばね力に抗してピストン46を駆動する圧縮空気が供給されるものや自重によってピストン46が降下するものであってよい。
【0057】
また、検出部は、押しボタン式の第1の検出スイッチ30、第2の検出スイッチ32に限られることなく、光学式等の非接触式のものであてもよい。
【0058】
また、先端位置決め片28のストッパ面28Aは、必ずしも上部クロスメンバ22より手前側に突出した位置にある必要はなく、つまり、定常位置において先端位置決め片28が第2の検出スイッチ30のボタン30Aの真上位置にある必要はなく、ボタン30Aがストッパ面28Aの近傍位置に配置されていればよい。
【0059】
また、ゴムホースWが直管等であってマーク付け位置がホース円周周りの何れの位置であってもよい場合には、第2の検出スイッチ32は省略されてもよい。この場合には、ゴムホースWを片手でもってゴムホースWの先端部Weを先端位置決め片28のストッパ面28Aに押し当てるだけで、第1の検出スイッチ30が閉成することによってマーク付け作業が行われることになる。
【0060】
また、スライダ18は、重力によらずに、ばね等によって定常位置に位置する構造であってもよい。
【0061】
また本発明によるマーキング装置は、ゴムホース保持溝14の立体幾何学的な形状設定によって三次的に湾曲〜屈曲した曲がり管にも適用することができる。
【0062】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 基台
12 ゴムホース保持部材
14 ゴムホース保持溝
14A 溝端部
18 スライダ
24 下側ストッパ
26 上側ストッパ
28 先端位置決め片
30 第1の検出スイッチ
32 第2の検出スイッチ
42 空気圧シリンダ装置
52 マーカ
54 電磁切換弁
56 空気圧源
図1
図2
図3
図4
図5