(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステアリングホイールの操舵操作を転舵輪に伝達する操舵機構へ電動モータの回転力を伝達すると共にウォームシャフトとウォームホイールとから構成されるウォームギアのバックラッシュ量を調整するバックラッシュ調整機構であって、
前記ウォームギアを収容するギアハウジングに設けられ、前記ウォームシャフトの長手方向に移動可能に設けられたスライダと、
前記スライダを前記ウォームシャフトの長手方向一方側に付勢する付勢部材と、
前記スライダの前記長手方向一方側への移動に伴い、前記ウォームシャフトが前記ウォームホイールの回転中心に近づく方向である噛合い方向に移動することにより前記ウォームシャフトを前記噛合い方向に付勢すると共に、前記ウォームシャフトの前記噛合い方向とは反対方向への動きを規制するガイド部材と、
を有することを特徴とするバックラッシュ調整機構。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施例1〕
[全体構成]
図1は実施例1のステアリング装置の全体構成を表す斜視図である。ステアリング装置は、ステアリングホイールSTと接続された操舵軸1と、操舵軸の動きを転舵輪に伝達する操舵機構としてのラック&ピニオンR/P1を有する。ステアリングホイールSTが操舵されると、操舵軸1の先端に形成されたピニオンに噛合したラック軸R1が車幅方向に移動することで操舵を行う。操舵軸1とピニオンとの間には、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサTSが設けられ、検出された操舵トルクは後述するパワーステアリングコントローラECUに送信される。
【0010】
ラック軸R1には、ラック&ピニオンR/P1に加えて、ラック軸R1の移動をアシストするパワーステアリングユニットが設けられている。パワーステアリングユニットは、電動モータMと、リダクションギアユニットRGUとを有する。ラック軸R1には、操舵軸1の先端のピニオンと噛合するラック歯に加え、リダクションギアユニットRGUのピニオンP2と噛合するラック歯を有する。電動モータMの一端には、トルクセンサTSや車速センサ等のセンサ信号に基づいて運転者の操舵トルクをアシストするためのアシストトルクを演算するパワーステアリングコントローラECUが設けられ、演算されたアシストトルクに応じたモータ駆動力が出力されることでラック軸R1にアシスト力を付与する。
【0011】
図2は実施例1のリダクションギアユニットを表す斜視図、
図3は実施例1のリダクションギアユニットのピニオン軸側から見た平面図、
図4は実施例1のリダクションギアユニットのウォームホイールの径方向から見た側面図、
図5は実施例1のリダクションギアユニットの部分断面図である。
【0012】
リダクションギアユニットRGUは、ピニオンP2と接続されたウォームホイール22と、ウォームホイール22と噛合するウォームシャフト21と、から構成されたウォームギアを有する。リダクションギアユニットRGUはギアハウジング3を有する。ギアハウジング3は、ウォームホイール22を収容するホイール収容部31と、ウォームシャフト21を収容するシャフト収容部32と、を有する。ギアハウジング3のシャフト収容部32のうち、ウォームシャフト21の電動モータMと連結される側と反対側(以下、長手方向他端側)には、ウォームシャフト21をウォームホイール22側に押し付けることでバックラッシュを調整するバックラッシュ調整機構4が設けられている。
【0013】
図6は実施例1のバックラッシュ調整機構の斜視図、
図7は実施例1のバックラッシュ調整機構の断面図、
図8は実施例1のバックラッシュ調整機構の分解斜視図である。バックラッシュ調整機構4は、ウォームシャフト21の長手方向に移動可能に設けられたスライダ41と、スライダ41をウォームシャフト21の電動モータMと連結される側(以下、長手方向一方側)に付勢する付勢部材42と、スライダ41の長手方向一方側への移動に伴い、ウォームシャフト21がウォームホイール22の回転中心に近づく方向である噛み合い方向に移動することによりウォームシャフト21を噛み合い方向に付勢すると共に、ウォームシャフト21の噛み合い方向とは反対方向への動きを規制するガイド部材43とを有する。
【0014】
スライダ41は、二面幅41cと、テーパ面であるスライダ側当接面41dと、後述するホルダ部材46と摺動接触するスライド面41eと、スライダ41を長手方向一方側に付勢するコイルスプリング42と、コイルスプリング42の倒れを抑制するピン部材41aと、を有する。スライダ41の二面幅41cは、後述するホルダ部材46に対してスライダ41のウォームシャフト21の長手方向への移動を許容すると共に、ウォームシャフト21の回転方向におけるスライダ41の動きを規制する。
【0015】
ガイド部材43は、ウォームシャフト21を軸支する転がり軸受44を保持する略円筒状に刳りぬかれた軸受収容部43dと、軸受44を軸受収容部43d内の噛み合い方向に付勢するコイルスプリング45を収装するスプリング収装部43bとを有する。また、ガイド部材43は二面幅43aと、テーパ面であるガイド部材側当接面43eと、貫通穴43cと、組み付け用シャフト挿入部43fと、を有する。
【0016】
ガイド部材43の二面幅43aは、後述するホルダ部材46に対してガイド部材43の噛み合い方向への移動を許容すると共に、ウォームシャフト21の回転方向におけるガイド部材43の動きを規制する。スライダ41のスライダ側当接面41dと、ガイド部材43のガイド部材側当接面43eとが当接することで、スライダ41のウォームシャフト長手方向の動きを、ガイド部材43の噛み合い方向の動きに変換する。このとき、両当接面のテーパ面の傾斜角は、ガイド部材43側からスライダ41側への入力によってスライダ41が長手方向他方側への移動が規制される角度に設定されている。このように、力の入力方向と移動方向に不可逆性を持たせることで、ガイド部材43とウォームシャフト21との相対的な位置関係を保持し、これにより適正なウォームギアの噛み合いを維持する。
【0017】
ホルダ部材46は、噛み合い方向と反対側(以下、上面と記載する。)に形成されたスライダ摺動面46eと、スライダ摺動面46eの両側に立設され二面幅41cをガイドするガイド壁46bとを有する。そして、スライダ41の二面幅41cとガイド壁46bとによりガイド機構を形成する。また、ホルダ部材46は、ウォームシャフト21の長手方向側(以下、側面と記載する。)に形成されたガイド部材摺動面46dと、ガイド部材摺動面46dの両側に立設され二面幅43aをガイドするガイド壁46aとを有する。そして、ガイド部材43の二面幅43aとガイド壁46aとによりスライド機構を形成する。
【0018】
また、ウォームシャフト21の長手方向に貫通した貫通孔46cと、噛み合い方向側においてウォームシャフト21の長手方向に形成された組み付け用シャフト挿入溝46fとを有する。更に、ホルダ部材46の外周面には、後述するケース47に対してホルダ部材46を固定する固定ボルト46iが挿入されるボルト固定孔46hが形成されている。
【0019】
スライダ41と、ガイド部材43と、ホルダ部材46は、互いに組み合わされて円筒状のケース47内に収容される。ケース47はウォームシャフト21の先端が挿入可能なシャフト貫通穴47aを有するケース底面47cを有し、ホルダ部材46の端面46gと当接することでホルダ部材46の位置決めを行う。また、ケース47の外周面には、固定ボルト46iが挿入されるボルト穴47dが形成されている。
【0020】
スライダ41,ガイド部材43及びホルダ部材46等がケース47内に収容されると、プレート部材48によりケース47が閉塞され、これによりバックラッシュ調整機構4が形成される。プレート部材48には、ホルダ部材46に対してプレート部材48を固定するためのボルト48dが貫通する貫通穴48bと、貫通孔46cと略同一径の開口48aと、組み付け用シャフト5を挿入可能な切り欠き48cとを有する。プレート部材48は、コイルスプリング42の座面となることでスライダ41への付勢力を確保する。
【0021】
(バックラッシュ調整機構の作用)
バックラッシュ調整機構4には、長手方向一方側から他方側に向けてウォームシャフト21の先端がシャフト貫通穴47aを通り、軸受44の内輪内周44b内に挿入される。これにより、ウォームシャフト21は、コイルスプリング45の弾性力により噛み合い方向に付勢される。ガイド部材43の噛み合い方向位置は、スライダ41の長手方向位置によって決定される。摩耗等が生じる前の初期状態では、スライダ41が長手方向他方側寄りに位置しているため、スライダ側当接面41dの先端部分とガイド部材側当接面43eの長手方向他方側部分とが当接することで、ガイド部材43は、噛み合い方向においてウォームホイール22とは比較的離れた位置となる。
【0022】
以後、ウォームシャフト21とウォームホイール22との噛み合いの摩耗等が進むと、コイルスプリング42の弾性力によりスライダ41がスライドし、ガイド部材43を噛み合い方向に押し込むことでバックラッシュが調整される。このとき、軸受44とガイド部材43との位置関係は変更されないため、ウォームシャフト21に付与される付勢力は、コイルスプリング45の弾性力によって安定的に維持される。尚、スライダ側当接面41dとガイド部材側当接面43eとの間のテーパ面が所定の傾斜角を有しているため、ガイド部材43側からスライダ41側への入力によってスライダ41が長手方向他方側に移動することはない。
【0023】
ここで、バックラッシュ調整機構4がリダクションギアユニットRGUに取り付けられる前のアッセンブリ状態における組み付け用シャフト5の作用について説明する。
図2〜
図7は、組み付け用シャフト5が取り付けられた状態のバックラッシュ調整機構4が描かれている。実施例1のバックラッシュ調整機構4は、上述したように、ガイド部材43がスライダ41の力によって噛み合い方向に押し下げられることでバックラッシュを調整する。このとき、ガイド部材43側から力を入力してもスライダ41はウォームシャフト21の長手方向他端側に動くことができない。仮に組み付け用シャフト5を用いることなくバックラッシュ調整機構4を組み付けてしまうと、スライダ41によりガイド部材43が移動してしまい、ウォームシャフト21を組み付ける際にガイド部材43を噛み合い方向の反対側に押し上げようとしても、不可逆性により押し上げることができない。
【0024】
そこで、バックラッシュ調整機構4をアッセンブリするにあたり、ガイド部材43に軸受44及びコイルスプリング45を組み付け、ホルダ部材46と一緒にケース47内に収装し、この時点で組み付け用シャフト5を組み付け用シャフト挿入溝46fを通して挿入し、ガイド部材43の組み付け用シャフト挿入部43fに組み付け用シャフト5の先端を挿入する。これにより、ガイド部材43の噛み合い方向における位置をウォームホイール22から離れた位置に規制する。この状態で、スライダ41にコイルスプリング42をはめ込んでホルダ部材46の上面に挿入し、長手方向他方側からプレート部材48で蓋をすることでアッセンブリ状態を得る。アッセンブリされたバックラッシュ調整機構4をリダクションギアユニットRGUに取り付け、ウォームシャフト21をバックラッシュ調整機構4に挿入した後、組み付け用シャフト5を引き抜くことで組み付けが完了する。
【0025】
以下、実施例1から把握される本発明のバックラッシュ調整機構4が適用されたパワーステアリング装置の効果を列挙する。
(1-1-(1))
ステアリングホイールSTに接続される操舵軸1を有し、ステアリングホイールSTの操舵操作を転舵輪に伝達するラックアンドピニオンR/P1(操舵機構)と、
ラックアンドピニオンR/P1に操舵力を付与する電動モータMと、
ラックアンドピニオンR/P1と電動モータMの間に設けられる減速機であって、一端側において電動モータMの回転力が伝達されるウォームシャフト21と、ウォームシャフト21と噛合い操舵軸1に電動モータMの回転力を伝達するウォームホイール22と、から構成されるウォームギアと、
ウォームホイール22を収容するホイール収容部31とウォームシャフト21を収容するシャフト収容部32と、を有するギアハウジング3と、
ギアハウジング3のシャフト収容部32のうち、ウォームシャフト21の他端側に配置され、ウォームシャフト21の長手方向に移動可能に設けられたスライダ41と、
スライダ41をウォームシャフト21の長手方向一方側に付勢する付勢部材42と、
スライダ41の前記長手方向一方側への移動に伴い、ウォームシャフト21がウォームホイール22の回転中心に近づく方向である噛合い方向に移動することによりウォームシャフト21を噛合い方向に付勢すると共に、ウォームシャフト21の噛合い方向とは反対方向への動きを規制するガイド部材43と、
を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
ウォームホイール22の磨耗に伴うウォームホイール22とウォームシャフト21間のバックラッシュの増加に対し、付勢部材42によってスライダ41を介してガイド部材43を移動させることによりウォームシャフト21をウォームホイール22との噛合い方向に近づけることができ、ウォームギアのバックラッシュを低減することができる。また、ガイド部材43はバックラッシュが増大する方向への移動が規制されているため、ガイド部材43によって一旦適正化されたバックラッシュ量がウォームシャフト21への入力により再度増加するのを抑制することができる。
【0026】
(1-2-(2))
上記(1-1-(1))に記載のパワーステアリング装置において、
ウォームシャフト21を軸支する転がり軸受44を有し、
ガイド部材43は、軸受44を介してウォームシャフト21を噛合い方向に付勢することを特徴とするパワーステアリング装置。
ガイド部材43とウォームシャフト21の間に転がり軸受44を介在させることにより、ガイド部材43の付勢力がウォームシャフト21の回転を阻害することが無く、スムーズなアシストトルク付与を実現できる。
【0027】
(1-3-(3))
上記(1-2-(2))に記載のパワーステアリング装置において、
転がり軸受44の径方向外側に設けられ、転がり軸受44の噛合い方向への動きを許容すると共に、ウォームホイール22の回転軸方向への動きを規制するスライド機構(二面幅43a,ガイド壁46a)を更に有することを特徴とするパワーステアリング装置。
ウォームシャフト21の付勢方向を噛合い方向に規制することができ、適切なウォームギアの噛合いを得ることができる。
【0028】
(1-4-(4))
上記(1-3-(3))に記載のパワーステアリング装置において、
スライダ41、ガイド部材43、およびスライド機構(二面幅43a,ガイド壁46a)を収容するケース47を更に有することを特徴とするパワーステアリング装置。
3部材をケース47に収容する構成としたことにより、ケース47内に3部材を収容した状態でリダクションギアユニットRGUに組付けることができ、組付け作業の簡素化を図ることができる。
【0029】
(1-5-(5))
上記(1-2-(2))に記載のパワーステアリング装置において、
ウォームシャフト21の回転方向におけるスライダ41の移動を規制するガイド機構(二面幅41c,ガイド壁46b)を更に有することを特徴とするパワーステアリング装置。
スライダ41の周方向の移動を規制することにより、スライダ41の移動に伴うガイド部材43の移動量の管理精度を向上させることができる。
【0030】
(1-6-(6))
上記(1-2-(2))に記載のパワーステアリング装置において、
噛合い方向へのスライダ41の移動を規制するガイド機構(スライド面41e,スライダ摺動面46e)を更に有することを特徴とするパワーステアリング装置。
バックラッシュ装置内でのスライダ41の変動を抑制することにより、ウォームホイール22に対するウォームシャフト21の噛合い力の変動を抑制することができる。
【0031】
(1-7-(7))
上記(1-2-(2))に記載のパワーステアリング装置において、
噛合い方向とは反対方向へのスライダ41の移動を規制するケース47を更に有することを特徴とするパワーステアリング装置。
バックラッシュ調整装置4内でのスライダ41の変動を抑制することにより、ウォームホイール22に対するウォームシャフト21の噛合い力の変動を抑制することができる。
【0032】
(1-8-(11))
上記(1-2-(2))に記載のパワーステアリング装置において、
付勢部材はコイルスプリング42で構成され、
ウォームシャフト21の回転方向におけるスライダ41の動きを規制すると共に、コイルスプリング42の倒れを抑制するピン部材41aを更に有することを特徴とするパワーステアリング装置。
コイルスプリング42の倒れを抑制することにより付勢力の安定化を図ると共に、スライダ41の周方向の移動を規制することにより、スライダ41の移動に伴うガイド部材43の移動量の管理精度を向上させることができる。
【0033】
(1-9-(12))
上記(1-1-(1))に記載のパワーステアリング装置において、
ガイド部材43は、ステアリングホイールSTの突き当て状態においてもウォームシャフト21の噛合い方向とは反対方向への動きが規制されるように設けられることを特徴とするパワーステアリング装置。
ステアリングホイールSTの突き当て状態においてもウォームギアの適正な噛合いを得ることができる。
【0034】
(1-10-(13))
上記(1-1-(1))に記載のパワーステアリング装置において、
スライダ41とガイド部材43の当接面は、スライダ41の移動方向に対し傾斜したテーパ面によって構成され、
テーパ面の傾斜角は、ガイド部材43側からスライダ41側への入力によってスライダ41が長手方向他方側への移動が規制される角度に設定されることを特徴とするパワーステアリング装置。
両部材の当接面をテーパ面で構成することにより、スライダ41とガイド部材43の滑らかな相対移動を得ることができる。また、テーパ面の傾斜角に不可逆特性を持たせることにより、適正なウォームギアの噛合いを維持することができる。
【0035】
(1-11-(15))
ステアリングホイールSTの操舵操作を転舵輪に伝達する操舵機構へ電動モータMの回転力を伝達すると共にウォームシャフト21とウォームホイール22とから構成されるウォームギアのバックラッシュ量を調整するバックラッシュ調整機構4であって、
ウォームギア22を収容するギアハウジング3に設けられ、ウォームシャフト21の長手方向に移動可能に設けられたスライダ41と、
スライダ41をウォームシャフト21の長手方向一方側に付勢する付勢部材42と、
スライダ41の長手方向一方側への移動に伴い、ウォームシャフト21がウォームホイール22の回転中心に近づく方向である噛合い方向に移動することによりウォームシャフト21を噛合い方向に付勢すると共に、ウォームシャフト21の噛合い方向とは反対方向への動きを規制するガイド部材43と、
を有することを特徴とするバックラッシュ調整機構。
ウォームホイール22の磨耗に伴うウォームホイール22とウォームシャフト21間のバックラッシュの増加に対し、付勢部材42によってスライダ41を介してガイド部材43を移動させることによりウォームシャフト21をウォームホイール22との噛合い方向に近づけることができ、ウォームギアのバックラッシュを低減することができる。また、ガイド部材43はバックラッシュが増大する方向への移動が規制されているため、ガイド部材43によって一旦適正化されたバックラッシュ量がウォームシャフト21への入力により再度増加するのを抑制することができる。
【0036】
(1-12-(16))
上記(1-11-(15))に記載のバックラッシュ調整機構において、
ウォームシャフト21を軸支する転がり軸受44を有し、
ガイド部材43は、軸受44を介してウォームシャフト21を噛合い方向に付勢することを特徴とするバックラッシュ調整機構。
ガイド部材43とウォームシャフト21の間に転がり軸受44を介在させることにより、ガイド部材43の付勢力がウォームシャフト21の回転を阻害することが無い。
【0037】
(1-13-(17))
上記(1-12-(16))に記載のバックラッシュ調整機構において、
転がり軸受44の径方向外側に設けられ、転がり軸受44の噛合い方向への動きを許容すると共に、ウォームホイール22の回転軸方向への動きを規制するスライド機構(二面幅43a,ガイド壁46a)を更に有することを特徴とするバックラッシュ調整機構。
ウォームシャフト21の付勢方向を噛合い方向に規制することができ、適切なウォームギアの噛合いを得ることができる。
【0038】
(1-14-(18))
上記(1-13-(17))に記載のバックラッシュ調整機構において、
スライダ41、ガイド部材43、およびスライド機構(二面幅43a,ガイド壁46a)を収容するケース47を更に有することを特徴とするバックラッシュ調整機構。
3部材をケース47に収容する構成としたことにより、ケース47内に3部材を収容した状態でギアハウジング3に組付けることができ、組付け作業の簡素化を図ることができる。
【0039】
(1-15-(20))
上記(1-11-(15))に記載のバックラッシュ調整機構において、
ガイド部材43は、ステアリングホイールSTの突き当て状態においてもウォームシャフト21の噛合い方向とは反対方向への動きが規制されるように設けられることを特徴とするバックラッシュ調整機構。
ステアリングホイールSTの突き当て状態においてもウォームギアの適正な噛合いを得ることができる。
【0040】
〔実施例2〕
次に実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
図9は実施例2のバックラッシュ調整機構の分解斜視図である。
実施例1のスライダ41の表面は平滑面とされていた。これに対し、実施例2では突起部60を設けた点が異なる。突起部60とケース47とを当接させることで、スライダ41とケース47の内面との摺動抵抗を低減できる。また、スライダ41及び突起部60は樹脂材料により一体成形されている。これにより、容易に成形できると共に、金属材料であるケース47との摺動を重ねることで突起部60が適宜摩耗し、スライダ41とケース47との摺動クリアランスの適正化を図ることができる。
【0041】
ここで、突起部60を設けるにあたり、スライダ41の長手方向一方側にのみ二つ配置している理由について説明する。単に摺動接触を低減することを考えるならば、スライダ41の表面に突起部60を均等に配置することも考えられる。しかしながら、スライダ41の長手方向一方側におけるスライダ41とガイド部材43との当接箇所が安定的に維持されることが重要である。言い換えると、それ以外の部分に突起部60を設けると、スライダ41とガイド部材43との当接箇所以外の部分でのみ当接することで、スライダ41とガイド部材43との適切な接触が妨げられる恐れ(突起部60に当接せず浮いた状態等)があり、却って不安定な接触状態を招くおそれがあるからである。
【0042】
以上説明したように、実施例2にあっては下記に列挙する作用効果が得られる。
(2-1-(8))
ステアリングホイールSTに接続される操舵軸1を有し、ステアリングホイールSTの操舵操作を転舵輪に伝達するラックアンドピニオンR/P1(操舵機構)と、
ラックアンドピニオンR/P1に操舵力を付与する電動モータMと、
ラックアンドピニオンR/P1と電動モータMの間に設けられる減速機であって、一端側において電動モータMの回転力が伝達されるウォームシャフト21と、ウォームシャフト21と噛合い操舵軸1に電動モータMの回転力を伝達するウォームホイール22と、から構成されるウォームギアと、
ウォームホイール22を収容するホイール収容部31とウォームシャフト21を収容するシャフト収容部32と、を有するギアハウジング3と、
ギアハウジング3のシャフト収容部32のうち、ウォームシャフト21の他端側に配置され、ウォームシャフト21の長手方向に移動可能に設けられたスライダ41と、
スライダ41をウォームシャフト21の長手方向一方側に付勢する付勢部材42と、
スライダ41の前記長手方向一方側への移動に伴い、ウォームシャフト21がウォームホイール22の回転中心に近づく方向である噛合い方向に移動することによりウォームシャフト21を噛合い方向に付勢すると共に、ウォームシャフト21の噛合い方向とは反対方向への動きを規制するガイド部材43と、
を有し、
ウォームシャフト21を軸支する転がり軸受44を有し、
ガイド部材43は、軸受44を介してウォームシャフト21を噛合い方向に付勢すると共に噛合い方向とは反対方向へのスライダ41の移動を規制するケース47を更に有し、
スライダ41は、ウォームシャフト21の回転軸を基準としたときの径方向外側の面であってケース47との対向面にケース47と当接する突起部60を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
突起部60とケース47を当接させ、スライダ41全体をケース47と摺動させないことにより、スライダ41の摺動抵抗を低減することができる。
【0043】
(2-2-(9))
上記(2-1-(8))に記載のパワーステアリング装置において、
スライダ41および突起部60は樹脂材料によって一体成形されることを特徴とするパワーステアリング装置。
使用により突起部60のケース47との摺動に伴い磨耗し、突起部60とケース47との摺動クリアランスの適正化を図ることができる。
【0044】
(2-3-(10))
上記(2-1-(8))に記載のパワーステアリング装置において、
突起部60は、スライダ41の長手方向一方側に配置されることを特徴とするパワーステアリング装置。
スライダ41のスライド量に対するガイド部材43の移動量の管理においては、スライダ41の長手方向一方側におけるスライダ41とガイド部材43の当接箇所が重要となる。そこで、突起部60をスライダ41の長手方向一方側に設け、長手方向一方側におけるスライダ41とガイド部材43の密着度を向上させることにより、スライダ41のスライド量に対するガイド部材43の移動量の管理を容易とすることができる。
【0045】
(2-4-(19))
ステアリングホイールSTの操舵操作を転舵輪に伝達する操舵機構へ電動モータMの回転力を伝達すると共にウォームシャフト21とウォームホイール22とから構成されるウォームギアのバックラッシュ量を調整するバックラッシュ調整機構4であって、
ウォームギア22を収容するギアハウジング3に設けられ、ウォームシャフト21の長手方向に移動可能に設けられたスライダ41と、
スライダ41をウォームシャフト21の長手方向一方側に付勢する付勢部材42と、
スライダ41の長手方向一方側への移動に伴い、ウォームシャフト21がウォームホイール22の回転中心に近づく方向である噛合い方向に移動することによりウォームシャフト21を噛合い方向に付勢すると共に、ウォームシャフト21の噛合い方向とは反対方向への動きを規制するガイド部材43と、
ウォームシャフト21を軸支する転がり軸受44を有し、
ガイド部材43は、軸受44を介してウォームシャフト21を噛合い方向に付勢することを特徴とするバックラッシュ調整機構。
突起部60とケース47を当接させ、スライダ41全体をケース47と摺動させないことにより、スライダ41の摺動抵抗を低減することができる。
【0046】
〔実施例3〕
次に実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
図10は実施例3のバックラッシュ調整機構の分解斜視図である。
実施例1のスライダ41の表面は平滑面とされ、テーパ面の傾斜角を調整することで不可逆性を確保していた。これに対し、実施例3では当接面にラチェット構造を設けた点が異なる。ラチェット構造は、スライダ41のテーパ形状のスライダ側当接面41d1にスライド方向(長手方向一方側)に対して直交する複数の段部が形成され、同様にガイド部材43のテーパ形状のガイド部材側当接面43e1にスライド方向(長手方向一方側)に対して直交する複数の段部が形成されている。そして、スライダ41が長手方向一方側に押された場合は段部を乗り越えて移動可能であるが、長手方向他方側に押された場合は段部同士が噛み合うことで移動が制限される。これにより、摩擦力とテーパ面の傾斜角との関係に比べて確実な不可逆性が得られる。これにより、ガイド部材43とウォームシャフト21との相対的な位置関係を保持し、これにより適正なウォームギアの噛み合いを維持する。
【0047】
(3-1-(14))
ステアリングホイールSTに接続される操舵軸1を有し、ステアリングホイールSTの操舵操作を転舵輪に伝達するラックアンドピニオンR/P1(操舵機構)と、
ラックアンドピニオンR/P1に操舵力を付与する電動モータMと、
ラックアンドピニオンR/P1と電動モータMの間に設けられる減速機であって、一端側において電動モータMの回転力が伝達されるウォームシャフト21と、ウォームシャフト21と噛合い操舵軸1に電動モータMの回転力を伝達するウォームホイール22と、から構成されるウォームギアと、
ウォームホイール22を収容するホイール収容部31とウォームシャフト21を収容するシャフト収容部32と、を有するギアハウジング3と、
ギアハウジング3のシャフト収容部32のうち、ウォームシャフト21の他端側に配置され、ウォームシャフト21の長手方向に移動可能に設けられたスライダ41と、
スライダ41をウォームシャフト21の長手方向一方側に付勢する付勢部材42と、
スライダ41の前記長手方向一方側への移動に伴い、ウォームシャフト21がウォームホイール22の回転中心に近づく方向である噛合い方向に移動することによりウォームシャフト21を噛合い方向に付勢すると共に、ウォームシャフト21の噛合い方向とは反対方向への動きを規制するガイド部材43と、
を備え、
前記スライダと前記ガイド部材の当接面は、ラチェット構造を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
当接面をラチェット構造とすることで、ガイド部材43の不可逆性をより確実に得ることができる。
【0048】
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施例に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、ラチェット構造と突起部の構造の両方を備えた実施例としてもよい。また、付勢部材としてコイルスプリングを採用した例を示したが、コイルスプリングに限らず、弾性変形可能なゴムブッシュや、皿バネ等を採用してもよい。