【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様においては、液状の薬剤を投与するための機械式の注射装置が提供され、そのような注射装置は、前記液状の薬剤を収容しており、出口および可動壁を備えているリザーバ;前記液状の薬剤の1回分の投薬量を注射すべく動作することができ、力伝達手段(例えば、駆動部材)と、前記可動壁の変位を生じさせるように構成されたアクチュエータ部材と、前記力伝達手段および/または前記アクチュエータ部材を或る方向に付勢するための力をもたらすように構成された付勢手段とを備えている注射機構;着脱式のキャップ;および前記キャップが当該注射装置に取り付けられるときに前記キャップと整合する(例えば、当接または係合する)ように構成されたキャップ受け入れ部;を備えており、前記注射機構が、前記キャップ受け入れ部に作用可能に結合しており、前記キャップと前記キャップ受け入れ部との相対移動に応答して前記アクチュエータ部材を介して前記可動壁に付勢力を加えるように構成されている。
【0016】
上述の構成によれば、キャップとキャップ受け入れ部との相対移動が、リザーバの加圧をもたらす。リザーバが環境に対して開いている(例えば、針アセンブリが出口に取り付けられることで、出口の閉鎖要素が貫かれている理由で)場合、アクチュエータ部材からの付勢力によって可動壁が変位させられることで、或る量の薬剤が注射装置から吐き出される。リザーバが閉じられている場合、アクチュエータ部材からの付勢力がリザーバを加圧された状態に保ち(例えば針アセンブリが出口に取り付けられるまで)、その後可動壁が変位し、或る力の薬剤が吐き出される。いずれのやり方でも、このような構成は、注射装置の自動プライミングをもたらし、したがってユーザが投薬量の薬剤の注射に先立って別途のプライミング作業を手作業で実行する必要がない。
【0017】
注射装置は、注射機構の1つ以上の部品(例えば、力伝達手段および/またはアクチュエータ部材)の動きに影響を及ぼすための案内手段をさらに備える場合がある。例えば、注射装置が、キャップとキャップ受け入れ部との相対移動の結果として特定の注射機構の部品によって実行される運動について可能な最大範囲を定めるように構成された案内部材を備えることができる。そのような案内手段は、注射機構の動作に続いて吐き出される量よりも少ない量の薬剤の制御された送出を可能にすることで、大量の薬剤の喪失につながることがない注射装置のプライミングを提供する。
【0018】
本発明の一実施形態においては、キャップとキャップ受け入れ部との間の相対的平行移動により、アクチュエータ部材に可動壁へと付勢力を作用させる。
【0019】
本発明の一実施形態においては、キャップとキャップ受け入れ部との間の相対の回転運動により、アクチュエータ部材に可動壁へと付勢力を作用させる。
【0020】
本発明の一実施形態においては、キャップとキャップ受け入れ部との間の相対的平行移動および回転運動の組み合わせにより、アクチュエータ部材に可動壁へと付勢力を作用させる。
【0021】
一実施形態においては、キャップをキャップ受け入れ部から取り外すことにより、アクチュエータ部材に可動壁へと付勢力を作用させる。
【0022】
キャップをキャップ受け入れ部から取り外すことにより、アクチュエータ部材が変位を被り、可動壁に当接するように移動して、可動壁へと付勢力を作用するようにしてもよい。これに代え、あるいはこれに加えて、キャップをキャップ受け入れ部から取り外すことにより、アクチュエータ部材が可動壁を変位してもよい。
【0023】
注射装置は、例えば全体としての長手軸を定める円筒形の形態、箱状の形態、または他の関連形態のハウジングをさらに備えることができる。本発明の特定の実施形態においては、キャップをキャップ受け入れ部から取り外すことで、アクチュエータ部材が軸方向の変位を被る。
【0024】
付勢手段は、注射装置、ばねなどのエネルギー手段、あるいは実際に力伝達手段および/またはアクチュエータ部材を特定の方向(例えば、リザーバの出口へと向かう方向)に付勢するために適した任意の手段の幾何学的構成を備えることができる。
【0025】
キャップは、キャップ受け入れ部を介した注射機構との結合のためのインターフェイスを備えることができる。インターフェイスは、注射機構に組み合わせられた部品(例えば、力伝達手段など、注射機構そのものの一部分)または注射機構に接続された部品(力伝達手段に接続された中間部品など)に当接または係合するように構成された接触点または接触面であってもよい。
【0026】
力伝達手段を、アクチュエータ部材に直接作用するように構成することができ、あるいは1つ以上の中間の要素を介してアクチュエータ部材に作用するように構成することができる。
【0027】
本発明の一実施形態においては、力伝達手段が、アクチュエータ部材を移動させるように構成された駆動部材を備えており、キャップを注射装置から取り外すことで、駆動部材がアクチュエータ部材を可動壁に当接させ、リザーバを加圧する。
【0028】
本発明の別の実施形態においては、力伝達手段が、アクチュエータ部材を移動させるように構成された駆動部材を備えており、キャップを注射装置から取り外すことで、駆動部材がアクチュエータ部材を押して可動壁を変位させる。
【0029】
力伝達手段は、アクチュエータ部材に当接または係合するように構成された堅固な駆動部材を備えることができる。これに代え、あるいはこれに加えて、力伝達手段は、ばねなどの可撓な駆動部材を備え、この可撓な駆動部材が、アクチュエータ部材に当接または係合するように構成され、あるいは力伝達手段が堅固な駆動部材および可撓な駆動部材の両方を備える場合には、堅固な駆動部材に当接または係合するように構成される。
【0030】
駆動部材は、ラチェットおよび爪のインターフェイスを介してアクチュエータ部材を移動させるように構成することができる。例えば、アクチュエータ部材に歯を設けることができ、駆動部材が、それぞれの歯と相互作用するための係合部材を備えることができる。この場合、アクチュエータ部材が駆動部材の平行移動に応答して平行移動を実行し、案内手段が、例えばキャップとキャップ受け入れ部との相対移動に応答して駆動部材によって実行される移動に対する平行移動ストッパを定めるなど、駆動部材について可能な最大の平行移動の範囲を定めるように構成される。
【0031】
あるいは、駆動部材を、アクチュエータ部材の移動をねじ山インターフェイス(例えば、前記2つの部材の部位間のねじ山接続を備えている)を介して生じさせるように構成することができる。アクチュエータ部材が、例えばハウジング部材またはハウジングに対して回転に関して固定された別途の要素にさらに螺合しているため、駆動部材の回転運動に応答して平行移動を実行するように構成することができる。この場合、案内手段が、例えばキャップとキャップ受け入れ部との相対移動に応答して駆動部材によって実行される移動に対する回転ストッパを定めるなど、駆動部材について可能な最大の回転の範囲を定めるように構成される。
【0032】
リザーバは、軸方向に変位可能なピストンを備えるカートリッジなど、可動壁を有する剛体容器であってもよい。あるいは、リザーバが、圧縮可能な袋などの可撓な容器であってもよく、あるいは一部分が剛体であって一部分が可撓である容器であってもよい。
【0033】
本発明の文脈においては、用語「機械式の注射装置」を、電気モータによって駆動される注射装置と反対に、機械的に動作する注射装置を意味するものと解釈すべきである。
【0034】
本文脈において、用語「アクチュエータ部材」は、駆動力をリザーバの可動壁へと伝達する機械的な要素を指して使用される。「アクチュエータ部材」は、ロッドおよびロッドの足を備えることができ、ロッドの足が、可動壁に物理的に接触する要素である。ロッドおよびロッドの足を、2つの別々の部品として製作することができ、あるいは1つの一体の構成要素として製作することができる。あるいは、「アクチュエータ部材」が、足を持たないロッドを備え、その場合には、ロッドそのものが可動壁に物理的に接触するように構成される。リザーバが軸方向に変位することができるピストンを備えているカートリッジ式のリザーバである場合には、「アクチュエータ部材」は、足を有しても有さなくてもよいピストンロッドであってもよい。用語「アクチュエータ部材」が、例えば板またはダイアフラムなど、駆動力を可動壁へと伝達するための他の適切な構造も包含することに、注意すべきである。
【0035】
本文脈においては、用語「液状の薬剤」を、例えば溶液または懸濁液などの液体の状態にある薬剤を意味するものと解釈すべきである。
【0036】
注射装置は、ただ1回分の投薬量の薬剤だけを送り出すことができる形式の注射装置であってもよい。あるいは、注射装置が、1回分の投薬量の薬剤を繰り返し設定および送出できる形式の注射装置であってもよい。その場合には、注射装置が、投薬量を設定すべく動作することができる投薬量設定手段をさらに備える。特定の実施形態においては、注射装置が、所定の投薬量を繰り返し設定および送出することができる。
【0037】
本文脈においては、用語「所定の投薬量」を、投薬量設定手段の作動時に特定の固定の投薬量が設定され、すなわち任意の投薬量を設定することはできないようなやり方で解釈すべきである。しかしながら、所定の投薬量は、最初に注射装置を選択された投薬量に設定することができ、その後に投薬量設定手段がこの選択された投薬量を投薬量設定手段が作動するたびに設定するという意味で、可変であってもよい。
【0038】
投薬量設定手段または投薬量準備手段は、投薬量が設定されるときに作動する注射装置の一部である。投薬量設定手段は、注射装置の構成要素を、注射機構の作動時に所与の量の薬剤が送り出されるような相対位置に位置させる機構を備えている。注射機構は、作動時に設定された投薬量の注射を生じさせる注射装置の一部である。注射機構は、注射機構の作動によってアクチュエータ部材が移動することで、ピストンがリザーバの内部をリザーバからの液状の薬剤の吐出(例えば、リザーバに取り付けられた針アセンブリの針を介する)を生じさせる方向に移動するようなやり方で、リザーバの可動壁(例えば、ピストン)と協働するように構成された力伝達要素(例えば、可動のアクチュエータ部材)を備えている。投薬量設定機構および注射機構は、1つ以上の構造および/または機能要素を共有してもよい。
【0039】
着脱式のキャップを、非使用時の注射装置の出口部分(針保持部またはジェット注射ノズルなど)を覆うように構成することができる。これにより、着脱式のキャップが、例えば針保持部に取り付けられた針を保護し、針の突き刺しを防止し、さらには/あるいは液状の薬剤が誤ってこぼれることを防止することができる。投薬量の薬剤の注射が望まれるときに、キャップを取り外し、出口部分を露出させることができる。
【0040】
キャップ受け入れ部は、着脱式のキャップが注射装置に取り付けられるときに着脱式のキャップを受け入れて保持するように構成された注射装置の一部分である。キャップ受け入れ部は、バヨネットジョイント、ねじ山付きの部位、スナップロック、など、キャップを保持するための手段を備えることができる。キャップ受け入れ部を、キャップが注射装置の遠位部または出口部分を覆うべく注射装置に取り付けられるときにキャップを受け入れるように構成することができる。あるいは、キャップ受け入れ部を、キャップが注射装置の近位部に取り付けられるときにキャップを受け入れるように構成することができる。キャップ受け入れ部が、キャップが注射装置および/またはリザーバの出口部分を覆うべく注射装置に取り付けられるときにキャップを受け入れるように構成される場合、医療用の注射装置が通常は注射の実行を可能にするためにユーザが注射装置の出口部分から保護キャップを取り外すことを必要とするため、上述の自動プライミング機能が、自然または周知の使用パターンの一部にもなる。換言すると、プライミングが、ユーザがいかなる追加の作業工程も学習および実行する必要なく、注射装置によって自動的に実行される。
【0041】
キャップとキャップ受け入れ部との間のインターフェイスは、キャップが実質的に直線的な移動、回転運動(例えば、純粋な回転またはらせん状の運動)、または直線運動と回転運動との組み合わせにてキャップ受け入れ部から取り外されるようなインターフェイスであってもよい。
【0042】
投薬量設定手段を、キャップ受け入れ部に作動可能に連結することができ、すなわちキャップ受け入れ部の特定の動作の実行が、投薬量設定手段に影響を及ぼす。具体的には、投薬量設定手段およびキャップ受け入れ部を、キャップを注射装置に取り付けることによって投薬量設定手段による投薬量の設定が生じるようなやり方で連結することができる。投薬量設定手段およびキャップ受け入れ部を、直接的または1つ以上の中間部品を介して機械的に連結することが可能であり、あるいはキャップ受け入れ部の特定の動作が投薬量が設定されるようなやり方で投薬量設定手段に影響を及ぼす限りにおいて、任意の他の適切なやり方で連結することができる。
【0043】
本発明の特定の実施形態においては、キャップを注射装置に取り付けることで、或る要素がアクチュエータ部材に対して軸方向に移動し、係合部材をアクチュエータ部材に沿ってさらに近位方向の位置へと移動させる。したがって、キャップが注射装置に取り付けられるたびに、係合部材がアクチュエータ部材に沿ってアクチュエータ部材の近位端に向かってさらに移動する。
【0044】
付勢手段は、蓄えたエネルギーを投薬量の薬剤の注射の際に放出するように機能するエネルギー手段を備えることができ、放出されるエネルギーが、投薬量の注射を生じさせる。エネルギー手段を、投薬量の設定の際にエネルギー手段にエネルギーが蓄えられるようなやり方で投薬量設定手段に接続することができる。
【0045】
エネルギー手段は、ばね部材を備えることができ、そのようなばね部材を、例えばばねの圧縮または引き伸ばしによって中心軸に沿って装てんされるように構成することができる。ばね部材は、圧縮ばねまたはねじりばねであってもよい。ばね部材が圧縮ばねである場合には、注射装置を、例えば以下のやり方で動作させることができる。キャップがキャップ受け入れ部に取り付けられるとき、ばね圧縮要素が例えば軸方向に動かされ、ばねを圧縮する。ばね圧縮要素は、この位置に係止され、ばね部材を圧縮された状態に保持する。キャップがキャップ受け入れ部から取り外されると、ばね圧縮要素の係止が解かれ、ばねがばね圧縮要素をわずかな距離だけ軸方向に変位させ、ばね圧縮要素をばね圧縮要素のさらなる軸方向の移動を抑止する保持構造に当接または係合させる。ばね圧縮要素のわずかな軸方向の変位は、ばね圧縮要素の移動によって達成されるばね圧縮要素とアクチュエータ部材との間の係合ゆえに、アクチュエータ部材の軸方向を移動させる。これにより、アクチュエータ部材が可動壁に当接し、リザーバが加圧される。結果として、リザーバの出口が開いている(例えば、注射針がリザーバの出口に取り付けられている)場合には、少量の薬剤がリザーバから吐き出される。次いで注射針が所望の注射部位に挿入されたときに、注射ボタンが押される。これにより、ばね圧縮要素が保持構造との係合から外れるように動かされ、ばねに蓄えられたエネルギーが、アクチュエータ部材が可動壁を変位させつつ移動して投薬量の薬剤をリザーバから注射針を介して注射するようなやり方で放出される。
【0046】
上述のような構成において、ユーザがキャップを注射装置から取り外すと、アクチュエータ部材が自動的に軸方向の変位を被り、可動壁との当接を確実にする。これにより、より以前の使用段階において導入される可能性がある注射装置における遊びが取り除かれる。さらに、リザーバの出口が開いている(例えば、注射針が注射装置に取り付けられている)場合には、少量の薬剤が注射針を通ってリザーバから吐き出される。したがって、ユーザは、残存しうる空気が薬剤の送出経路から取り除かれることを確実にするために、別途の動作を実行する必要がない。単にキャップを注射装置から取り外すことによって、ユーザは、正確な量の薬剤が注射されるように注射装置を自動的に準備することができる。とりわけ、注射装置のプライミングにおいて大量の薬剤が無駄にされることがない。
【0047】
典型的な実施形態においては、駆動部材が、投薬量の設定の際にアクチュエータ部材に対する相対移動を被るように構成され、投薬量の注射の際にアクチュエータ部材へと駆動力を伝えるように構成される。駆動部材を、駆動部材の移動によってエネルギー手段がエネルギーを貯蔵および/または放出し、反対にエネルギー手段からのエネルギーの放出によって駆動部材の移動が生じるようなやり方で、エネルギー手段に連結することができる。その点で、エネルギー手段は、駆動部材を特定の平行移動の方向および特定の回転の方向の両方に付勢すべく、回転による応力があらかじめ加えられた圧縮ばねを備えることができる。したがって、駆動部材が、ばね圧縮要素としても機能することができる。あるいは、エネルギー手段が、例えば各々が平行移動および回転運動に必要なエネルギー部分をもたらすことができる2つ以上のばね(例えば、平行移動のためのエネルギーをもたらすことができる圧縮ばねおよび回転運動のためのエネルギーをもたらすことができるねじりばね)、軸方向に圧縮できるねじり棒、あるいは回転によってあらかじめ応力が加えられた引張ばねを備える機構など、平行移動および回転運動のためにエネルギーを貯蔵および放出することができる他の構成を備えることができる。
【0048】
アクチュエータ部材は、一式の軸方向に間隔を空けて位置する歯を、1つ以上の係合要素との係合のために備えることができ、駆動部材が、アクチュエータ部材の歯と係合するように構成された係合要素を備えることができる。そのような実施形態においては、投薬量設定手段が投薬量を設定すべく動作するときに、駆動部材がアクチュエータ部材に対する相対移動を被ることで、係合要素がアクチュエータ部材の歯との係合から外れるように動かされ、アクチュエータ部材に沿って動かされて、より近位側に位置する歯を過ぎる。その後に注射機構が設定された投薬量を注射すべく作動するとき、係合部材がたった今過ぎた歯に係合し、駆動部材が、アクチュエータ部材を伴いつつハウジング内を遠位方向に移動する。
【0049】
案内手段を、駆動部材および/またはアクチュエータ部材の移動を案内するために設けることができる。案内手段は、ハウジングの一部を形成することができ、あるいはハウジングに対して固定された位置を有する別個の要素を備えることができる。これに代え、あるいはこれに加えて、案内手段は、ハウジングに対して移動することができる要素を備えることができる。案内手段を、駆動部材およびアクチュエータ部材が一部の相対移動の際に純粋な平行移動の相対運動を実行でき、別の一部の相対移動の際平行移動と回転運動との組み合わせの相対運動を実行できるように、構成することができる。案内手段は、駆動部材を明確な軸方向の位置に支持するための第1の当接面または第1の保持用の台地と、駆動部材を別の明確な軸方向の位置に支持するための第2の当接面または第2の保持用の台地とを備えることができる。一特定の実施形態においては、第1の保持用の台地と第2の保持用の台地との間の軸方向の距離が、注射の際の駆動部材の軸方向の変位に相当する。
【0050】
本発明の一実施形態においては、アクチュエータ部材が、駆動部材が係合するように構成された2つ以上の間隔を空けて位置する歯を備えており、連続した2つの歯の間の距離が、第1および第2の保持用の台地の間の軸方向の距離よりも大きい。
【0051】
本発明の典型的な実施形態においては、案内手段が、ハウジングに固定に配置された第1の案内部材と、ハウジングに可動に配置された第2の案内部材とを備えている。第1の案内部材が、アクチュエータ部材に実質的に平行な縦長の第1の案内面を備えており、この第1の案内面が、駆動部材とアクチュエータ部材との間の相対の純粋な平行移動を可能にする。第2の案内部材が、駆動部材とアクチュエータ部材との間の相対的平行移動および回転運動の組み合わせを可能にする斜めの第2の案内面を備えている。
【0052】
本発明の他の実施形態においては、案内手段が、ハウジングに固定に配置された第1の案内部材と、着脱式のキャップに配置された第2の案内部材とを備えている。第1の案内部材が、アクチュエータ部材に実質的に平行な縦長の第1の案内面を備えており、この第1の案内面が、駆動部材とアクチュエータ部材との間の相対の純粋な平行移動を可能にする。第2の案内部材が、駆動部材とアクチュエータ部材との間の相対的平行移動および回転運動の組み合わせを可能にする斜めの第2の案内面を備えている。
【0053】
本発明の特定の実施形態においては、キャップが、駆動部材または駆動部材に組み合わせられた中間の要素へと力を伝達することができる環状の縁を備えており、キャップがキャップ受け入れ部において注射装置に取り付けられたときに、駆動部材がキャップ受け入れ部に対してアクチュエータ部材との係合から外れる特定の位置をとるように強制される。キャップが注射装置に取り付けられている限りにおいて、駆動部材は、付勢手段の付勢力に逆らってこの位置に保持される。キャップがキャップ受け入れ部から取り外されると、駆動部材が、付勢手段の付勢力ゆえに、可動壁に向かって変位を強いられる。この変位は、キャップがキャップ受け入れ部に取り付けられたときのキャップの縁と第1の保持用の台地との間の初期の距離によってあらかじめ定められる。
【0054】
変位の際に、駆動部材がアクチュエータ部材に係合し、アクチュエータ部材に可動壁へと向かう力を作用する。アクチュエータ部材と可動壁との間に遊びが存在する場合、アクチュエータ部材が可動壁に当接する。次いで、リザーバの出口が閉じられている場合には、アクチュエータ部材によってリザーバが加圧される。しかしながら、リザーバの出口が開いている場合には、アクチュエータ部材の移動によって可動壁がわずかな距離だけ変位し、リザーバの容積が減少する。
【0055】
アクチュエータ部材がピストンロッドおよびピストンロッド足を備える場合には、これらは製造者によって物理的に接合(例えば、溶接または接着)されてもよい。特に、ピストンロッド足とピストンロッドとが接合される場合、ピストンロッド足が可動壁に接触でき、駆動部材を第1の保持用の台地のすぐ近位側の位置(例えば、0.5〜1mm上方)へと持ち上げることができることで、接合が完了し、駆動部材が解放されるとき、付勢手段が駆動部材に遠位方向への力を加え、結果として駆動部材がピストンロッドに遠位方向への力を加え、リザーバの加圧をもたらす。これは、例えば注射針アセンブリが注射装置の第1の使用に関連して出口へと取り付けられるときに、リザーバ内の余分な圧力が逃がされ、駆動部材がわずかな距離だけピストンロッドを従属させつつ付勢手段によって第1の保持用の台地へと動かされ、プライミングの量の薬剤が針を通って吐き出されることを意味する。重要なことには、ピストンロッドおよびピストンロッド足の接合の際に、駆動部材が、注射装置へのキャップの取り付け時にキャップによって動かされるよりもさらに持ち上げられることがない。これは、注射装置の長期保管の際にリザーバが負圧になる状況を回避するためである。
【0056】
或る程度の時間保管されるとき、変位可能なゴム製ピストンを備えるカートリッジ式のガラス製リザーバを採用する注射装置は、ピストンがカートリッジの壁に貼り付くという問題に直面する可能性がある。これは、投薬量の送出の際に制御されないピストンの動きにつながる可能性がある。注射システムが上述のようにあらかじめ圧縮される場合、ひとたび注射装置が初めて使用されたならば、充分な圧力をカートリッジにおいてピストンの動きを開始させるために利用でき、投薬量の正確さが保証される。
【0057】
本発明の別の態様においては、注射装置のプライミングのための方法が提供され、その方法は、
・或る量の薬剤を収容しており、出口および可動壁を備えている容積可変のリザーバと、前記可動壁を移動させるべく動作することができるアクチュエータ機構と、注射装置への装着時にキャップ受け入れ部を介して前記アクチュエータ機構に結合するように構成された着脱式のキャップとを備える注射装置を用意すること、および
・前記キャップと前記キャップ受け入れ部との間に相対運動を導入すること
を含んでいる。
【0058】
その一実施形態において、本方法は、
・或る量の薬剤を収容しており、出口および可動壁を備えている容積可変のリザーバと、前記可動壁を移動させるべく動作することができるアクチュエータ機構と、着脱式のキャップと、前記キャップが注射装置に装着されるときに前記キャップと当接または係合するように構成されたキャップ受け入れ部とを備えており、前記キャップ受け入れ部および前記アクチュエータ機構が、前記キャップの前記キャップ受け入れ部への着脱によって前記アクチュエータ機構の位置に影響が及ぶように接続される注射装置を用意すること、および
・前記注射装置から前記キャップを取り外すこと
を含んでいる。
【0059】
リザーバは、非使用の期間の間に注射装置から薬剤が漏れることを防止するように構成された出口閉鎖具(例えば、穿孔可能な膜など)をさらに備えることができる。その場合、本方法は、リザーバの出口と外部との間の流体連通を確立するために出口閉鎖具を尖った物体で貫くことをさらに含む。特定の実施形態においては、本方法が、両側が尖った注射針を備える注射針アセンブリを注射装置へと取り付けて出口閉鎖具を貫くことをさらに含む。
【0060】
他の実施形態においては、医療用の注射装置のプライミングのための方法が提供され、その方法は、
・或る量の薬剤を収容しており、出口および可動壁を備えている容積可変のリザーバと、前記可動壁を移動させるべく動作することができるアクチュエータ機構と、着脱式のキャップと、前記キャップが注射装置に取り付けられるときに前記キャップに当接または係合し、前記キャップおよび前記アクチュエータ機構の結合のための結合領域をもたらすように構成されたキャップ受け入れ部とを備える注射装置を用意すること、および
・前記キャップと前記キャップ受け入れ部との間に相対運動を導入すること
を含んでいる。
【0061】
特定の実施形態においては、上述の方法が、キャップとキャップ受け入れ部との間に相対的平行移動を導入するための動作を実行することを含む。
【0062】
リザーバと対象ユーザの体内の対象の区画との間に流体連通が確立される前に実行される上述の方法のいずれによっても、注射装置が、アクチュエータ機構における遊びの可能性を取り除くことが保証され、したがって後の正確な薬剤の送出に備えて用意される。
【0063】
リザーバからの薬剤の自動的な排出を生じさせるためにばねなどのエネルギー手段を採用しない注射装置においては、ユーザ自身が、アクチュエータ部材を駆動するために必要な力を加える。これは、注射が何らかの理由(例えば、詰まり)で妨げられた場合に、それをユーザがすぐに知ることを示唆する。なぜならば、系における抵抗に打ち勝つために、注射ボタンへと加える押しの力を急に増加させる必要があるからである。
【0064】
しかしながら、自動的な注射を提供する注射装置においては、ユーザがピストンの動作に直接には関与しないため、送出の妨げがユーザに検知されないという危険が存在する。例えば、ユーザが、ばねを解放すべく注射ボタンを押すことができ、次にピストンを押してリザーバ内で移動させる。送出経路が何らかのかたちで妨げられている場合、ばねが、系における抵抗に打ち勝つために充分に強力でなく、投薬量の送出が不完全になる可能性がある。ユーザが妨げを検知できない可能性があり、投薬量の全体を摂取したと考える。そのような状況は、危険な結果につながりうる。
【0065】
したがって、注射の完了をユーザに知らせることができる自動注射装置を提供することが望ましい。
【0066】
したがって、本発明のさらに別の態様においては、窓を備えるハウジングと、薬剤を収容する容積可変のリザーバと、投薬量の薬剤を注射すべく動作することができる注射機構とを備えており、前記注射機構が、アクチュエータ部材と、投薬量が設定される第1の位置から設定された投薬量がリザーバから送り出された後の第2の位置へと前記アクチュエータ部材の変位を生じさせるための付勢手段とを備えており、前記窓が、前記アクチュエータ部材が前記第1の位置にあるときには第1の色の組み合わせを表示し、前記アクチュエータ部材が前記第2の位置にあるときには第2の色の組み合わせを表示する自動注射装置が提供される。
【0067】
本文脈において、色の組み合わせは、2つ以上の色の組み合わせであっても、あるいは単純に単色であってもよい。本発明の典型的な実施形態においては、第1の色が、アクチュエータ部材が第1の位置にあるときに窓に表示され、第2の色が、アクチュエータ部材が第2の位置にあるときに表示され、第2の色は、視覚的に第1の色とは異なり、すなわち可視光線に対して、アクチュエータ部材が第1の位置にあるときに窓に表示される材料部分の反射率と、アクチュエータ部材が第2の位置にあるときに窓に表示される材料部分の反射率とが異なる。
【0068】
このような構成によって、ユーザが、第2の色が窓に現れたか否かを確認することによって、注射が完了したか否かを確認することができる。本発明の特定の実施形態においては、第2の色が窓全体を満たしたとき、注射が完了している。
【0069】
本明細書において、特定の態様または特定の実施形態への言及(例えば、「一態様」、「第1の態様」、「一実施形態」、「典型的な一実施形態」、など)は、それぞれの態様または実施形態に関して説明される個々の特徴、構造、または特性が、少なくとも本発明のその1つの態様または実施形態に含まれるが、必ずしも本発明のすべての態様または実施形態に含まれるわけではないことを意味する。しかしながら、本発明の種々の態様および実施形態に関して説明される特徴、構造、および/または特性の任意の組み合わせが、本明細書においてそのようではないと示されず、あるいは明らかに文脈から矛盾しない限り、本発明に包含されることが強調される。
【0070】
本明細書におけるあらゆるすべての例または例示の言葉(例えば、「・・・など」など)の使用は、本発明を分かりやすく例示することを意図するにすぎず、特にそのようでないと請求項に記載されない限り、本発明の技術的範囲を限定するものではない。さらに、明細書における言葉または表現は、いかなる非請求の要素も本発明の実施に必須のものとして示していると解釈されてはならない。
【0071】
以下で、本発明を、図面を参照してさらに説明する。