(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態として、血糖値を測定する生体試料測定装置について、図面を用いて説明する。
本実施形態の生体試料測定装置は、
図1に示すように、本体ケース1を備えている。そして、本体ケース1は、上面が開口したクレードル2上に着脱可能な状態で装着されている。
【0010】
本体ケース1は、
図2から
図5に示すように、横(幅)方向が短手方向、縦方向が長手方向となっている。また、本体ケース1の第1端側には、例えば、バーコードリーダ等のデータ読み取り部3が設けられている。さらに、本体ケース1における第1端とは反対側の第2端側には、センサ装着部4が設けられている。
本体ケース1の第1端側の表面には、
図2、
図3に示すように、長手方向に縦長の長方形の表示部5が設けられている。さらに、本体ケース1の裏面側における表示部5よりもセンサ装着部4寄りの位置には、
図4、
図5に示すように、本体ケース1の短手方向に沿って、本体ケース1側に向けて窪んだ指当て溝6が設けられている。
【0011】
本実施形態の生体試料測定装置では、指当て溝6から本体ケース1の第1端側(表示部5側)の重量よりも、指当て溝6から本体ケース1の第2端側(センサ装着部4側)の重量が軽くなるように設計されている。
本体ケース1の表面側における指当て溝6に対応する部分には、
図2、
図3に示すように、操作部7が配置されている。また、本体ケース1の表面側における操作部7とセンサ装着部4との間には、センサ8(
図13参照)をセンサ装着部4外に排出するためのセンサ排出レバー9が配置されている。
【0012】
また、
図4、
図5に示すように、本体ケース1の裏面側における本体ケース1の指当て溝6とデータ読み取り部3との間には、電池蓋10が配置されている。電池蓋10とデータ読み取り部3の間には、滑り止め用のゴム脚11が配置されている。さらに、指当て溝6とセンサ装着部4の間にも、滑り止め用のゴム脚12が配置されている。
以上の構成において、本実施形態の生体試料測定装置では、
図4に示すように、装置の重心位置1Aが、測定者に把持される指当て溝6よりもデータ読み取り部3寄りの位置に設定されている。
また、
図3に示すように、本体ケース1の横幅は、表示部5部分が最も大きい。そして、表示部5からセンサ装着部4側に向けて、徐々に小さくなる。つまり、センサ装着部4側の横幅が、最も小さくなるように設計されている。
【0013】
図6は、生体試料測定装置の電気的制御ブロック図を示している。
本実施形態の生体試料測定装置では、よく知られているように、制御部13にクレードル2との接続端子2a、データ読み取り部3、センサ装着部4、表示部5が接続されている。センサ装着部4と制御部13とは、測定部14を介して接続されている。
なお、
図6に示すように、電池蓋10の内面側の本体ケース1内には、電池15が配置されている。また、本体ケース1内には、血糖値などを記録する記録部16が配置されている。
【0014】
ここで、本実施形態の生体試料測定装置を用いて、例えば、病院で患者の血糖値を測定する手順を、
図7から
図14を用いて説明する。
本実施形態の生体試料測定装置では、
図7のフローチャートに示すように、まず、操作部7を操作することで、表示部5に検体測定時起動画面を表示させる(S1)。
次に、
図8に示すように、測定者(看護師)の名札17にバーコードで表示されたIDデータ18を、データ読み取り部3によって読み取らせる(S2)。そして、IDデータ18は、記録部16に記録される。
【0015】
次に、
図9に示すように、患者の手にはめたリストバンド19にバーコードで表示されたIDデータ20を、データ読み取り部3によって読み取らせる(S3)。そして、IDデータ20は、記録部16に記録される。
次に、
図10に示すように、測定者(看護師)は、センサ8(
図13参照)を複数枚収納したセンサボトル21にバーコードで表示されたIDデータ22を、データ読み取り部3によって読み取らせる(S4)。そして、IDデータ22は、記録部16に記録される。
【0016】
ここで、
図8から
図10に示すIDデータ18,20,22を読み取る時には、
図11および
図12に示すように、測定者(看護師)は、その中指23を指当て溝6内に入れ、本体ケース1のセンサ装着部4側を握った状態で、操作部7の操作を行なう。
上述のように、本体ケース1の重心位置1Aは、
図4に示すように、指当て溝6よりもデータ読み取り部3寄りの位置にある。このため、
図8から
図10に示す操作時には、測定者(看護師)の手に若干の負荷がかかることになる。
【0017】
本実施形態の生体試料測定装置では、測定者(看護師)の中指23を指当て溝6内に入れた状態で、本体ケース1のセンサ装着部4側を握り、この状態で操作部7を操作する。よって、
図8から
図12に示す操作も、測定者(看護師)にとって著しく大きな負荷とはならず、十分な操作性を確保することができる。
以上の操作が完了すると、測定者(看護師)は、操作部7を操作することで、記録部16から読み出したIDデータ18,20,22を表示部5に表示させ、これまでの操作が適切に行われているか否かの確認を行う(S5)。
【0018】
次に、測定者(看護師)は、センサボトル21からセンサ8(
図13参照)を1枚取り出して、
図13に示すように、センサ装着部4に装着する。具体的には、センサ8の第1端側に設けた電極側の部分が、センサ装着部4内に挿入される(S6)。
なお、センサ装着部4へのセンサ8の挿入、その後の作業についても、
図13に示すように、本体ケース1の第1端側(つまり、表示部5側)を把持した状態で行われる。
【0019】
具体的には、例えば、
図13に示すように、測定者(看護師)は、本体ケース1の第1端側における裏面側を手のひらに載せ、中指23を指当て溝6内に入れた状態で作業が行われる。
ここで、
図13は、例えば、患者の人差し指24の穿刺部25の血液26を採取して、患者の血糖値を測定しようとしている場面を示している。この血糖値測定に先立ち、測定者(看護師)は、患者の人差し指24の穿刺部25に対して、穿刺動作を行う。これにより、人差し指24の穿刺部25から血液26を流出させる。
【0020】
この状態になると、測定者(看護師)は、
図13のように、センサ8の先端部分(第2端側)に血液26を点着させる(S7)。
ここで注意すべきは、穿刺部25の血液26をすくうようにセンサ8を操作してしまったり、穿刺部25の血液26に押し付けるようにセンサ8を操作してしまったりしないことが重要である。つまり、ここでは、センサ8に血液26を点着し、センサ8の毛細管現象によって、血液26がセンサ8内に吸引されるようにすることが重要である。
【0021】
本実施形態では、穿刺部25の血液26に対してセンサ8を当接させる微妙な操作を簡単に行えるように、上述したような構成を採用している。
すなわち、本実施形態においては、本体ケース1の第2端側に、センサ装着部4が設けられている。そして、本体ケース1の裏面側における表示部5よりもセンサ装着部4寄りの位置に、本体ケース1の短手向に沿って形成された指当て溝6が設けられている。さらに、指当て溝6から本体ケース1の第1端側の重量よりも、指当て溝6から本体ケース1の第2端側の重量が軽くなるように設計されている。
【0022】
これにより、センサ装着部4に装着されたセンサに、患者の穿刺部25から滲出した血液26を点着する作業は、重量の重い本体ケース1の第1端側を保持した状態で、重量の軽い本体ケース1の第2端側を患者の穿刺部25に接近させて行う作業となる。
従って、センサ8を患者の穿刺部25に当接させる微妙な作業を容易に行うことができる。このような効果は、例えば、病院などのように、多くの患者から短時間で適切に生体試料を測定する必要のある部署においては、きわめて重要である。
【0023】
このようにして、センサ8に血液26が点着されると、測定部14において測定が開始され(S8)、約10秒後には、その測定結果が表示部5に表示される(S9)。
なお、この測定結果は、上述したIDデータ18,20,22に関連付けて、記録部16に記録される。
次に、測定者(看護師)は、センサ排出レバー9を、
図13の左側(本体ケース1の第2端側の外方)に操作し、センサ装着部4からセンサ8を本体ケース1外に取り外し、廃棄する(S10)。
【0024】
次に、測定者(看護師)は、操作部7を操作することで、記録部16に記録したIDデータ18,20,22と測定データを表示部5に一覧表示させる(S11)。これにより、血糖値の測定が完了する(S12)。
その後、本体ケース1を、
図1に示すように、クレードル2に装着すると、
図5に示した本体ケース1の裏面に設けられた通信窓27を介して、上述したIDデータ18,20,22と測定データとがクレードル2に転送される(S13)。
【0025】
次に、この転送されたIDデータ18,20,22と測定データとは、クレードル2から病院内のホストコンピュータに転送される(S14)。
図14、
図15は、データ読み取り部3の操作について説明したものである。
つまり、データ読み取り部3は、上述のように、
図7から
図14に示す測定動作時に活用される。
【0026】
再度この点を説明すると、例えば、病院で患者の血糖値を測定する時は、まず、操作部7が操作されて、表示部5に検体測定時起動画面が表示される(S1)。
具体的には、操作部7を構成する電源ボタン7aを操作すると、
図15(a)に示す画面が表示される。
図15(a)においては、上段に測定者IDを入力する画面である表示5aが表示され、その下方に入力をバーコードリーダで読み取る表示5b、直接入力により入力する表示5c、入力しない表示5dが表出されている。
【0027】
電源ボタン7aを操作した時には、このうちの表示5bが選択された状態となっている。
従って、測定者(看護師)は、操作部7を構成する実行キー7bを押下することで、バーコードリーダによって測定者IDが入力される。
具体的には、バーコードリーダはデータ読み取り部3を構成するものであるので、次に、
図8に示すように、測定者(看護師)の名札17にバーコードで表示されたIDデータ18を、データ読み取り部3によって読み取る(S2)。読み取られた測定者(看護師)のIDデータ18は、
図15(b)に示すように、表示部5にIDデータ5eとして表示される。IDデータ5eを確認した後、測定者(看護師)は、操作部7を構成する十字キー7cによって、測定者(看護師)ID入力を完了する表示5fを選択し、その後、実行キー7bを押下すると、IDデータ18は記録部16に記録される。
なお、
図15(b)の表示5gは、IDデータ18の読み直しを指示するためのものである。
【0028】
次に、
図9に示すように、測定者(看護師)は、患者の手にはめたリストバンド19にバーコードで表示されたIDデータ20を、データ読み取り部3によって読み取る(S3)。
ここで、
図15(b)において、完了を示す表示5fを選択すれば、
図15(c)に示すように、バーコード読取りを示す表示5bが選択されている。よって、この時も、再度、実行キー7bを押下することで、バーコードリーダによって患者IDが入力される。
【0029】
なお、
図15(c)に示すように、患者IDを入力する画面である表示5hは、最も上段に表示される。
読み取られた患者のIDデータ20は、
図15(d)に示すように、表示部5にIDデータ5iとして表示される。測定者(看護師)は、IDデータ5iを確認した後、操作部7を構成する十字キー7cによって、患者ID入力を完了する表示5fを選択した後、実行キー7bを押下する。これにより、IDデータ20は、記録部16に記録される。
【0030】
次に、
図10に示すように、測定者(看護師)は、センサ8(
図13参照)を複数枚収納したセンサボトル21にバーコードで表示されたIDデータ22を、データ読み取り部3によって読み取る(S4)。このとき、
図15(d)において、完了を示す表示5fを選択すれば、
図15(e)において、バーコード読取りを示す表示5bが選択されている。よって、この場合も、再度、実行キー7bを押下することで、バーコードリーダによってセンサボトル21のIDデータ22が入力される。
なお、
図15(e)において、センサボトル21のIDデータ22を入力する画面である表示5kは、最も上段に表示されている。
【0031】
さて、読み取られたセンサボトル21のIDデータ22は、
図15(f)に示すように、表示部5にIDデータ5jとして表示される。測定者(看護師)は、IDデータ5jを確認した後、操作部7を構成する十字キー7cによって、センサボトル21のIDデータ22の入力を完了する表示5fを選択し、実行キー7bを押下する。これにより、記録部16にIDデータ22が記録される。
【0032】
以上のように、本実施形態の生体試料測定装置では、測定者(看護師)のIDデータ18、患者のIDデータ20、センサボトル21のIDデータ22を、バーコードリーダ(データ読み取り部3)によって簡単に読み取ることができる。しかも、これらの操作は、表示部5に表示された内容を指当て溝6の直上に位置する実行キー7bを操作するだけで行うことができるため、きわめて簡単かつ安定感を持って操作することができる。
【0033】
図16から
図19は、本実施形態の生体試料測定装置における強制リセットの動作について説明したものである。
すなわち、本実施形態の生体試料測定装置には、リセット機能が付加されている。
具体的には、
図16に示すように、十字キー7cは、電源ボタン7a側から順に、十字キー7ca、十字キー7cb、十字キー7cc、十字キー7cdを有している。
【0034】
ここで、電源ボタン7aと対向側には、メニューボタン7dが設けられている。以下、これらの各部品の相対位置関係などについて説明する。
まず、実行キー7bは、
図16に示すように、生体試料測定装置のほぼ中央部分に配置されている。そして、その周りには、90度の等間隔で十字キー7ca、十字キー7cb、十字キー7cc、十字キー7cdが配置されている。
【0035】
なお、十字キー7caと十字キー7ccとは、実行キー7bを中心として互いに対向する位置に配置されている。同様に、十字キー7cbと十字キー7cdとは、実行キー7bを中心として互いに対向する位置に配置されている。さらに、電源ボタン7aとメニューボタン7dとは、十字キー7cdを中心として互いに対向した位置に配置されている。
ここで、上述した電源ボタン7a、実行キー7b、十字キー7ca、十字キー7cb、十字キー7cc、十字キー7cd、メニューボタン7dの中で、実行キー7bが、
図17に示すように、本体ケース1の表面から最も突出した状態となっている。
【0036】
本実施形態の生体試料測定装置では、以上の構成および配置において、
図19に示すように、電気的接続状態を構成している。
つまり、十字キー7ca、十字キー7cb、メニューボタン7dは、アンド回路28に並列的に接続されている。また、実行キー7bは、入力反転回路29を介してアンド回路28に接続されている。つまり、十字キー7ca、十字キー7cb、メニューボタン7dが、同時に押された時には、アンド回路28から制御部13にリセット信号が出力される。
【0037】
なお、制御部13にリセット信号が入力された場合には、S1で示した初期起動画面に強制的に戻される。
ここで、このようなリセット動作は、プログラムが動作不良を発生させた時に、正常状態に戻すために行う動作である。従来の生体試料測定装置では、本体ケースの裏面に設けた小さなリセット孔に、ピンを差し込むことで行っていたが、この作業は小さなリセット孔に対する操作であったので、測定者にとって煩雑な作業となっていた。
【0038】
そこで、本実施形態の生体試料測定装置では、
図18に示すように、リセット動作を行う時には、例えば、左手で本体ケース1を支え、この状態で右手も使って簡単にリセット動作を行うことができる。
具体的には、左手の人差し指が、指当て溝6内に装着された状態で、左手の親指でメニューボタン7dを押し、右手の人差し指で十字キー7cb、中指で十字キー7caを押下することで、リセット動作が行われる。
【0039】
また、このように作業性の良いものである反面、不用意なリセット動作が行われないようにするために、本実施形態の生体試料測定装置では、十字キー7ca、十字キー7cb、メニューボタン7dを、実行キー7bの外周に配置するとともに、リセット動作には関係しない実行キー7bを、十字キー7ca、十字キー7cb、メニューボタン7dよりも本体ケース1の表面から突出させている。
【0040】
このため、無意識かつ不用意に、十字キー7ca、十字キー7cb、メニューボタン7dが押下された場合には、最も突出している実行キー7bも必ず押下されることになる。よって、その時には、
図19に示す、入力反転回路29を介して、アンド回路28に反転入力が入力される。その結果、制御部13には、リセット信号は入力されない。
よって、本実施形態の生体試料測定装置では、リセット動作を容易に行うことができ、かつ不用意なリセット動作も回避することができる。よって、信頼性の高い生体試料測定装置を提供することができる。
【0041】
なお、本実施形態の生体試料測定装置では、上述のように、リセット動作時に、3つの十字キー7ca、十字キー7cb、メニューボタン7dを操作する構成としたが、他の十字キー、例えば、十字キー7ccをさらに押すことで、リセット動作が行なわれるようにしてもよい。
ここで重要なことは、リセット動作は、片手で本体ケース1を保持し、そのとき、例えば、人差し指を指当て溝6内に当てて安定した状態で、両手で操作を行うこと、しかも操作する操作箇所は、本体ケース1の表面から最も突出した実行キー7bを挟んで両側に存在することである。
これにより、測定者(看護師)が意図的にリセット動作を実行しない限り、例えば、本体ケース1の表面にモノが載せられた場合等において、誤ってリセット動作されることを回避することができる。
【0042】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、制御部13に対して、アンド回路28を介して十字キー7ca、十字キー7cb、メニューボタン7d、実行キー7bが接続されており、十字キー7ca、十字キー7cb、メニューボタン7dが同時に押下された場合にリセット動作を行なうとともに、上記キー等に加えて実行キー7bが押下されるとアンド回路28に反転入力が送られてリセット動作を実行しないように制御を行なう例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
例えば、
図20に示すように、リセット回路に、センサ装着部4から送られるセンサ挿入信号を入力するような構成であってもよい。
この場合には、センサ装着部4にセンサ8が装着されている状態で、上記リセット動作が行なわれると、入力反転回路129からアンド回路28に対して反転入力が送られる。
【0044】
これにより、センサ8がセンサ装着部4に装着された状態でリセット動作が実行されることを回避することができる。よって、センサ挿入信号を受信していないという条件、つまりセンサ未装着状態でのみ、リセット動作を可能とすることができる。このため、測定中等のようにセンサ8がセンサ装着部4に装着された状態でリセット動作が実行された結果、測定結果が破壊されてしまうことを確実に防止することができる。
つまり、通常、血糖値等の測定が完了した際に測定結果がメモリ等に保存されるため、センサ装着状態におけるリセット動作を禁止することで、確実に測定結果等のデータ破壊を防止することができる。