特許第5778169号(P5778169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778169
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】マイクロポンプ用の可撓性エレメント
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/02 20060101AFI20150827BHJP
   F04B 43/04 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   F04B43/02 A
   F04B43/04 B
【請求項の数】16
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-542648(P2012-542648)
(86)(22)【出願日】2010年11月19日
(65)【公表番号】特表2013-513066(P2013-513066A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】IB2010055310
(87)【国際公開番号】WO2011070468
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年11月8日
(31)【優先権主張番号】09178168.2
(32)【優先日】2009年12月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511280951
【氏名又は名称】デバイオテック・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ニクラウス・シュネーベルガー
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シャペル
【審査官】 尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−042457(JP,A)
【文献】 特開2007−278236(JP,A)
【文献】 特開昭60−035191(JP,A)
【文献】 特表2001−507425(JP,A)
【文献】 特表平09−507279(JP,A)
【文献】 特表平09−512075(JP,A)
【文献】 特開2005−084166(JP,A)
【文献】 特開2003−145751(JP,A)
【文献】 特開2009−108715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/02 − 45/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に可撓性膜(2)、ポンプ室(4)及び遮蔽板(3)を含み、該ポンプ室(4)が例えば可撓性膜(2)を介して外部と連通し;該膜(2)が更にポンプ室の外側に配列されるアクチュエータ(5)に固着され;スタックの形をとるマイクロポンプであって、該膜(2)が、その主軸に沿って剛性で、その主軸に対して垂直方向には可撓性のストリップ(6)の形をとる少なくとも1つのエレメントを介して、アクチュエータ(5)に固着されることを特徴とする、上記マイクロポンプ。
【請求項2】
アクチュエータ(5)が、圧電バイモルフアクチュエータ又はマルチモルフアクチュエータである、請求項1に記載のマイクロポンプ。
【請求項3】
アクチュエータ(5)が、熱バイモルフアクチュエータである、請求項1に記載のマイクロポンプ。
【請求項4】
アクチュエータ(5)が、形状記憶合金である、請求項1に記載のマイクロポンプ。
【請求項5】
マイクロポンプが、剛性支持板(11)に固定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロポンプ。
【請求項6】
アクチュエータ(5)が、固定端(8)及び自由端(9)を有し、後者は前記膜(2)から一定の距離のところに配列され、ストリップ(6)の一端(10)が該自由端(9)に固定される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロポンプ。
【請求項7】
ストリップ(6)が、アクチュエータ(5)に貼着される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロポンプ。
【請求項8】
ストリップ(6)が、膜(2)と直接接触している、請求項6又は7に記載のマイクロポンプ。
【請求項9】
ストリップ(6)が、膜(2)に貼着される、請求項8に記載のマイクロポンプ。
【請求項10】
膜(2)に固定されたストリップ(6)の端(14)が、貼着を補強するためのギザギザのある輪郭を有する、請求項9に記載のマイクロポンプ。
【請求項11】
ストリップ(6)が、ステンレススチールの中にある、請求項1〜10のいずれか1項に記載のマイクロポンプ。
【請求項12】
アクチュエータ(5)が、前記固定端(8)の近傍に配列された電気接点(15)を含む、請求項2〜11のいずれか1項に記載のマイクロポンプ。
【請求項13】
アクチュエータ(5)が、マルチモルフアクチュエータ板である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のマイクロポンプ。
【請求項14】
アクチュエータ(5)が、前記剛性支持板(11)に固定された固定端(8)を有する、請求項5〜13のいずれか1項に記載のマイクロポンプ。
【請求項15】
ストリップ(6)が、それらの製作から生じる部材の寸法の変化にもかかわらず、そして組立中のそれらの相対的位置の変化にもかかわらず、膜(2)と直接接触する状態にならない、請求項9又は14に記載のマイクロポンプ。
【請求項16】
ストリップ(6)と膜(2)との空間が、接着剤で満たされる、請求項15に記載のマイクロポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロマシニングによって得られ、そして圧電素子などのアクチュエータを用いて起動するように適合されるマイクロポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなデバイスは、特許文献1に特に記載されている。これらのデバイスは一般に、スタック、即ち支持板、可撓性膜として機能する中間層、ポンプ室及び遮蔽板(closure plate)の形をとり、ポンプ室は、例えば支持板を介して外部と連通する。膜の一部は、デバイスの外側に配列された圧電素子に固着される(fastened)。これら2つのエレメント間の連結は、少なくとも1つのエレメント、例えばマイクロマシニングにより支持板で製作されるブロックを用いて提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2006/056967
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、膜と、それが起動する場合に変形するアクチュエータ間に有効な連結を提供する際の困難さにある。
【0005】
本発明の場合に、前述の課題の解決法は、支持板、可撓性膜となる中間層、ポンプ室及び遮蔽板を連続的に含むスタックの形をとっているマイクロポンプにあり、該ポンプ室は例えば支持板を介してマイクロポンプの外部と連通し、該膜はマイクロポンプの外側に配列されたアクチュエータに固着され、連結は支持板の通路を介してもたらされている。
【0006】
アクチュエータは、圧電バイモルフアクチュエータ、圧電マルチモルフアクチュエータ、熱バイモルフアクチュエータ及び形状記憶合金ビームから選択され得る。
【0007】
その小さい外形寸法にもかかわらず、このタイプのアクチュエータは、通常0.1N〜100Nのオーダーの強力な力を発揮することができる。その上、このタイプのアクチュエータは非直線軌跡に、例えば円弧に沿って小振幅の動きを与え得る。軌跡の長さは1mm未満であってよい。
【0008】
本発明は、前記膜が、その主軸に沿って剛性のそしてその主軸に垂直方向に可撓性のストリップの形をとっている少なくとも1つのエレメントを介して固着されることを特徴とする。その剛性はアクチュエータの力を膜の直線的動きへ伝送することを可能にし、一方で可撓性はその力の側方伝送をもたらす。
【0009】
アクチュエータは、好ましくは圧電バイモルフアクチュエータ板である。
【0010】
アクチュエータは、固定端及び自由端を有利に有し、後者は通路の出口でカンチレバー式に配列されている。ストリップの端の1つは該自由端に固定される。
【0011】
ストリップは、好ましくは圧電素子に貼着される。
【0012】
本発明の変形では、ストリップは膜と直接接触している。本形状では、ストリップは膜に貼着している。
【0013】
貼着を強化するために、膜に固定するストリップの端は、好ましくは穴を含み又は好ましくはギザギザのある輪郭を有する。
【0014】
ストリップは、標的目標が実現可能ないずれの材料から構成されてもよい。それはステンレススチールが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つの実施態様によれば、圧電素子は該固定端の近傍に配列される電気接点を含む。
【0016】
特に有利な形状は、圧電素子の該固定端もその部材に固定される、剛性部材にマイクロポンプを固定することにある。このように本組立体を構成しているエレメントは閉ループを形成する。これらのエレメントを組立中、合わせの形状又は欠陥の変化はそれにもかかわらず起こり、そして累積的にそのようになり得て、最終固定が達成される場合に、許容できない誤差又は超静的構造(hyperstatism)をもたらす。
【0017】
この場合に、マイクロポンプの膜及び可撓性エレメントの固着は好ましくは最後にもたらされる。このように、これらの2つのエレメントは他のエレメント及びループの固定によりそれらの相対的位置に固定される。
【0018】
このように最後にそれらの固定(例えば接着)は形状の変化を吸収できるようにし、そしてこの相対位置を固定することにより超静的構造を防止する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、下記の図によって示す実例を用いて以後更に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明との関連で使用され得るマイクロポンプのタイプを示す。
図2】本発明の変形実施態様を表す。
図3】ストリップを膜に固定する1つの方法を表す。
【0021】
本特許出願では下記の番号参照が使用される。
1.支持板
2.可撓性膜
3.遮蔽板
4.ポンプ室
5.圧電素子
6.ストリップ
7.通路
8.圧電素子の固定端
9.圧電素子の自由端
10.ストリップの上端
11.剛性部材
12.基板
13.伝送ブロック
14.ストリップの下端
15.電気接点
【0022】
図1に示されるマイクロポンプは好ましくはシリコン及びガラスのエレメントで形成される。それは本来公知のマイクロマシニング技術を用いて製作される。それは、とりわけガラスの基板12、シリコンの支持板1、シリコンの可撓性膜2、ガラスのポンプ室4及び遮蔽板3を含み、ポンプ室4は膜2と遮蔽板3の間に画成される。当該ポンプの構造と動作のより詳細な説明はUS5,758,014で与えられる。圧電素子5(図1に示さず)は支持板3において機械加工された伝送ブロック13に固定される。
【0023】
図2は本発明の変形のダイアグラム断面図である。
【0024】
圧電素子5の固定端8に印加された電界はその収縮を誘導し、その収縮はその自由端9の円運動に反映される。圧電素子5の最大変位はこのようにしてその自由端9で生じる。電圧をそれらの各々に印加することにより1つの方向か又は他の方向に動きが生じ及び/又は動きを増加させるように、複数の電気接点15が置かれる。
【0025】
圧電素子の自由端9は、円筒形状の通路7の内側で垂直方向に配列されたストリップ6の上端10に取り付けられる。ステンレススチールから構成されるストリップ6は、例えば水平方向の可撓性を有する。それ故水平力がそれに作用する場合にはそれはこの方向に動いてよく、この例では圧電素子5を用いてなされる。
【0026】
なおこの点では、先行技術のシステムは、回転運動で部材を統合することにより水平負荷を回転軸で吸収する。
【0027】
本発明は主として、連結エレメント6として水平方向に容易に変形可能なストリップ6を用いることにある。その上、ストリップ6は圧電素子の動きを膜2に伝えるためにその主軸に沿って十分剛性で強固である。
【0028】
図2に示される変形は下記の特徴を有する:
a)マイクロポンプは剛性部材11に固定される。
b)流体はストリップ6の動きの機能として吸引され又は排出される。
c)電気接点15は圧電素子5の固定点8の近傍に配列される。
d)可撓性ストリップ6は圧電素子5の端9にそして膜2に固定される。電界が圧電素子5の接点の1つに印加される場合には、その電圧は角運動に収縮をもたらし、最大の動きが圧電素子5の自由端9に生じる。
e)圧電素子5によって誘導される動きは垂直軸に沿ってストリップ6を引っ張り又は押す;非垂直運動はストリップ6の変形によって吸収される。
f)ストリップ6の端14は膜2(図3参照)に貼着され、他端10は圧電素子5に貼着されている。
g)ストリップ6の材料は好ましくは0.05mm厚である。それは切断しそして曲げて成形する。
h)ストリップ6と膜2との間で十分な貼着を得るために、空洞(ギザギザを形成)がストリップにかかわる端から切り離される(他の図の平面に垂直な面においてストリップ6の下端を表示する図4参照)。
i)圧電素子5は、好ましくは3つの電気接点を有するバイモルフアクチュエータ板である。
j)剛性部材11は圧電素子5の変形によって伝えられる力を受ける。ポンプの正しい動作に対して十分な剛性を保証するために、剛性部材11は好ましくはセラミックで製作される。
k)膜2は精巧なものである;ストリップ6との連結は好ましくは1滴の接着剤でなされ、そして部材間の安全距離は膜2の損傷を防止する。剛性部材の厚み又はストリップの長さの変化は、多かれ少なかれ接着剤の液滴への深い浸透によって補正される。
l)ストリップ6は大きさを合わせて形成され、そして膜2を押しそして引っ張るのに十分剛性であるが、ただし閉塞によりもたらされる過度の圧力が大きな力を発生する場合、弾性限度内のバックリング(buckling)により十分変形可能である;これがポンプへの損傷を防止する。
【0029】
言うまでもなく本発明は上記の実例に限定されるものではない。
図1
図2
図3