(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778181
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】半導体材料薄片の製造装置および方法。
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20150827BHJP
C30B 15/06 20060101ALI20150827BHJP
C01B 33/02 20060101ALI20150827BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
C30B29/06 503
C30B15/06
C01B33/02 Z
H01L31/04 420
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-551936(P2012-551936)
(86)(22)【出願日】2011年2月8日
(65)【公表番号】特表2013-518794(P2013-518794A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】NL2011050087
(87)【国際公開番号】WO2011096815
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2014年1月14日
(31)【優先権主張番号】2004209
(32)【優先日】2010年2月8日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512206080
【氏名又は名称】エルヘーエス ディベロップメント ベースローテン フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】RGS DEVELOPMENT B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100178685
【弁理士】
【氏名又は名称】田浦 弘達
(72)【発明者】
【氏名】アクセル ゲオルク シェーネッカー
(72)【発明者】
【氏名】ピエーレ イヴィス ピクソン
(72)【発明者】
【氏名】エルコ ヘルベルト フェーク
(72)【発明者】
【氏名】エリック デ ジャガー
【審査官】
村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第10047929(DE,A1)
【文献】
特開2009−143795(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/132323(WO,A2)
【文献】
特開昭61−296940(JP,A)
【文献】
特表2007−534600(JP,A)
【文献】
特開2001−122696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
C01B 33/02
H01L 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型枠及び移動する担体バンドを具える半導体材料薄片製造用の成形装置であって、
前記成形型枠は、溶融半導体材料を保持するよう側壁を有する構成とし、前記側壁のうち出口側壁は、半導体材料薄片の産出位置に位置し、前記出口側壁には出口スリットを設け、
前記成形装置は、さらに、前記出口スリットの位置で、局部的に相対的に増大した外力を溶融半導体材料に加える局部的な力印加手段を備え、前記出口スリットで溶融半導体材料に対する外圧を局部的に増大させる構成とし、
前記成形装置は、力印加手段としての導電性コイルを備え、該導電性コイルは、前記成形型枠の周りに非対称に巻き回しし、また、交流電流を導通するよう構成し、前記導電性コイルは、前記溶融半導体材料に電磁力を生ぜしめるよう、前記溶融半導体材料内に電流を誘導して、前記成形型枠内での前記溶融半導体材料柱と前記出口スリットでの前記外圧との間の静圧を低減する力印加手段として構成したことを特徴とする、成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成形装置において、前記力印加手段は、前記出口スリットの位置での大気圧と比較して相対的に高い圧力を有するガスジェットを発生するガスジェット発生器であって、前記ガスジェットを前記出口スリットに指向させる、該ガスジェット発生器を有する構成とした、成形装置。
【請求項3】
請求項2に記載の成形装置において、前記ガスジェット発生器は、加圧ガス用の流入口、ダクト、及び前記ガスジェットを発生する流出口を有する構成とし、前記流入口を前記ダクトに接続し、前記ダクトを前記流出口に接続した、成形装置。
【請求項4】
請求項1に記載の成形装置において、前記力印加手段は、前記成形装置の前記出口側壁に配置した過圧力発生装置であって、前記出口スリットの位置で、前記外圧に対して過圧力を生成するよう構成した、該過圧力発生装置を有する、成形装置。
【請求項5】
請求項4に記載の成形装置において、前記過圧力発生装置は、加圧ガス用の流入口、圧力平準化チャンバ、及び過圧力チャンバを有する構成とし、前記流入口を前記圧力平準化チャンバの入口に接続し、前記圧力平準化チャンバの出口を前記過圧力チャンバに連通し、前記過圧力チャンバは前記成形型枠の前記出口スリットに位置する構成とした、成形装置。
【請求項6】
請求項5に記載の成形装置において、前記圧力平準化チャンバは、前記出口側壁の幅に沿って延在し、また、前記出口側壁の該幅に沿って前記ガスの圧力を平準化するよう構成し、前記過圧力チャンバは、前記出口スリットのほぼ全幅に沿って延在する構成とした、成形装置。
【請求項7】
請求項5に記載の成形装置において、前記過圧力発生装置は、前記圧力平準化チャンバと前記過圧力チャンバとの間に配置した第2圧力平準化チャンバを有し、前記圧力平準化チャンバは、該第2圧力平準化チャンバに接続し、また該第2圧力平準化チャンバは、前記過圧力チャンバに接続する、成形装置。
【請求項8】
半導体薄片を成形する方法であって、
成形型枠内に溶融半導体材料を注入する注入ステップであって、前記成形型枠は側壁を有する構成とし、これら側壁のうち出口側壁は半導体材料薄片の産出位置に位置し、前記出口側壁は出口スリットを有する構成とした、該注入ステップと、
前記成形型枠の下流側に前記半導体薄片を製造するよう、特定速度で成形型枠の下部を通過し移動する担体バンドを調整するステップと
を有する、該方法において、
力印加手段としての導電性コイルを用いて、前記溶融半導体材料に対して局部的な相対的に増大された外力を、前記出口スリットの位置で加えて、前記出口スリットでの溶融半導体材料に対する外圧を局部的に増大させるステップを有し、
前記導電性コイルは、前記成形型枠の周りに非対称に巻き回しし、また、交流電流を導通するよう構成し、前記導電性コイルは、前記溶融半導体材料に電磁力を生ぜしめるよう、前記溶融半導体材料内に電流を誘導して、前記成形型枠内での前記溶融半導体材料柱と前記出口スリットでの前記外圧との間の静圧を低減する力印加手段として構成した、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融した多量の液状半導体から半導体材料薄片を引き出すよう構成した、結晶半導体薄片の製造装置に関する。さらに、本発明は、半導体材料薄片の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、例えば、結晶シリコン薄片製造用の成形(キャスティング)装置を開示する特許文献1(国際特許公開第2005/122287号)により知られている。
【0003】
その成形装置は、液状シリコンを注入することができる成形型枠(フレーム)から成る。液状シリコンは、炉から供給装置の助力で、成形型枠の中に注入される。成形型枠の下方には、特定速度で成形型枠の下部を通過するよう配置した担体バンドがある。担体バンドは移動しているため、シリコン薄片または薄板成形型枠が成形型枠の下流側に製造される。シリコン薄片は、光起電装置の生産用に使用できるウエハとして切断される。担体バンドは、互いに(半)連結した複数の担体プレートとして存在でき、この結果、個別ウエハを生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/122287号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の成形装置の不利な点は、この方式で生産されたウエハが、しばしば粗い表面(すなわち、自由結晶表面)となることである。この粗い表面は、結晶化した薄片の頂部での溶融シリコンフィルムの引きずり(ドラッグアウト)に起因する。成形プロセス中、担体バンド(の一部)が溶融シリコンと接触する瞬間に、シリコン薄片が成長を開始する。溶融シリコンに接触して成形型枠下部で成長を開始したシリコン薄片が通過する間、シリコンウエハは所望の厚さに成長する。成形型枠の出口で、溶融シリコンは、成形型枠の出口壁により押し戻される。成形型枠の出口壁は垂直方向に移動して、薄片の厚さ変動に適応することができるので、少量の溶融シリコンが、固体シリコン薄片の頂部での成形型枠から抽出される。成形型枠から離れた後、この液体は、十分に制御されないで冷却される間に結晶化し、粗いウエハ表面が生じる。後続ステップで、この粗い表面は、例えば、研磨により除去しなければならない。
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を低減又は克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、本発明による、成形型枠及び担体バンドを備える半導体材料薄片製造用の成形装置により達成でき、本発明成形装置における該成形型枠は、溶融半導体材料を保持するよう側壁を有する構成とし、該側壁のうちの出口側壁は、半導体材料薄片の産出位置に位置し、該出口側壁には、出口スリットを設け、前記成形装置は、さらに、該出口スリットの位置で、局部的に相対的に増大した外力を、溶融半導体材料に加える局部的な力印加手段を備え、前記出口スリットで溶融半導体材料に対する外圧を局部的に増大させる構成とする。
【0008】
有利には、本発明は液体溶融半導体材料の引きずりを低減することを可能にし、この低減を可能にするのは、出口スリットで相対的に増大した外力を局所的に付与して、出口スリットでの外圧を増大させ、成形型枠の周囲における作業圧力より出口スリットにおける外圧が相対的に大きくなるようにし、また、この結果として成形型枠内の液体半導体材料の静圧を低減させることよってである。その結果、出口スリットでの液体半導体材料の流出量が、より良好に制御され、引きずりが低減される。
【0009】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記力印加手段は、前記出口スリットの位置での大気圧と比較して相対的に高い圧力を有するガスジェットを発生するガスジェット発生器であって、該ガスジェットを前記出口スリットに指向させる、該ガスジェット発生器を有する構成とする。
【0010】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、ガスジェット発生器は、加圧ガス用の流入口、ダクト、及び前記ガスジェットを発生する流出口を有する構成とし、該流入口を該ダクトに接続し、該ダクトを該流出口に接続する。
【0011】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記力印加手段は、前記成形装置の前記出口側壁に配置した過圧力発生装置であって、前記出口スリットの位置で、前記外圧に対して過圧力を生成するよう構成した、該過圧力発生装置を有する。
【0012】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記過圧力発生装置は、加圧ガス用の流入口、圧力平準化チャンバ、過圧力チャンバを有する構成とし、該流入口は、該圧力平準化チャンバの入口に接続し、該圧力平準化チャンバの出口は、該過圧力チャンバに連通し、前記過圧力チャンバは前記成形型枠の前記出口スリットに位置する構成とする。
【0013】
さらなる一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記圧力平準化チャンバは、前記出口側壁の幅に沿って延在し、また、前記出口側壁の該幅に沿って前記ガスの圧力を平準化するよう構成し、前記過圧力チャンバは、前記出口スリットのほぼ全幅に沿って延在する構成とする。
【0014】
さらなる一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記圧力平準化チャンバは、前記側壁の全幅にわたり前記過圧力チャンバに接続し、前記出口スリットの全幅にわたり前記過圧力チャンバ内をほぼ一定な圧力にする。
【0015】
さらなる一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記過圧力発生装置は、前記圧力平準化チャンバと前記過圧力チャンバとの間に配置した第2圧力平準化チャンバを有し、前記圧力平準化チャンバは、該第2圧力平準化チャンバに接続し、また該第2圧力平準化チャンバは、前記過圧力チャンバに接続する。
【0016】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記成形装置は、さらに、力印加手段としての導電性コイルを備え、該導電性コイルは、前記成形型枠の周りに非対称に配置し、また、交流電流を導通するよう構成する。
【0017】
さらなる一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、導電性コイルは、前記溶融半導体材料に電磁力を生ぜしめるよう前記溶融半導体材料内に電流を誘導することによる力印加手段として構成する。
【0018】
さらなる一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記導電性コイル及び前記成形型枠は、前記電磁力を生ずるよう構成し、前記電磁力が、前記出口スリットの前記位置で付加的圧力を生成して、前記外圧を増大させる。
【0019】
さらなる一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記導電性コイルは、1つ又はそれ以上の巻回部を有し、該巻回部は、斜めに方向付けし、前記出口側壁側の前記巻回部は、前記担体バンドからの距離が相対的により大きい位置にある前記逆側側壁での前記巻回部よりも、前記担体バンドに対して相対的により近い距離に位置決めする。
【0020】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記交流電流は、高周波数電流であり、また約2kHz〜約50kHzの間の周波数とする。
【0021】
さらなる一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記導電性コイルは、前記溶融半導体材料内に誘導された電流によって、溶融半導体材料を加熱するよう構成する。
【0022】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記成形装置は、さらに、前記溶融半導体材料を加熱するための第2加熱システムを備える。
【0023】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記第2加熱システムは、ふく射加熱用のシステムとする。
【0024】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記出口スリットの前記出口側壁は、この側壁の前記内面に傾斜形成したナイフエッジ端部を有する。
【0025】
本発明の一形態によれば、上述の成形装置を提供するが、この場合、前記成形装置は、さらに、流れ制限壁を備え、該流れ制限壁は、担体バンドの近傍で前記出口側壁の下端部に取り付け、前記流れ制限壁は、前記出口側壁の長さを前記担体バンドの移動方向に延長するよう構成する。
【0026】
本発明の一態様によれば、半導体薄片を成形する方法を提供し、成形型枠内に溶融半導体材料を注入する注入ステップであって、前記成形型枠は側壁を有する構成とし、これら側壁のうち出口側壁は半導体材料薄片の産出位置に位置し、前記出口側壁は出口スリット有する構成とした、該注入ステップと、前記成形型枠の下流側に前記半導体薄片を製造するよう、特定速度で成形型枠の下部を通過する担体バンドを調整するステップとを有する、該方法において、前記溶融半導体材料に対して局部的な相対的に増大した外力を、前記出口スリットの位置で加えて、前記出口スリットでの溶融半導体材料に対する外圧を局部的に増大させるステップを有する。
【0027】
本発明の一形態によれば、上述の方法により製造した半導体材料薄片を提供する。
【0028】
本発明の一形態によれば、上述の方法および成形装置により製造した半導体材料薄片を提供する。
【0029】
有利な実施形態は、従属の請求項によりさらに規定される。
【0030】
以下、例示の目的のみを意図し、添付の特許請求の範囲で規定される保護の範囲を限定することを意図しないいくつかの図面につき発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】本発明の第1実施形態による成形装置の断面図を示す。
【
図3】本発明の第2実施形態による成形装置の断面図を示す。
【
図4】本発明の第3実施形態による成形装置の断面図を示す。
【
図5】本発明の代替的な実施形態による成形装置の断面図を示す。
【
図6】本発明の第4実施形態による成形装置の断面図を示す。
【
図7】本発明の代替的な第5実施形態による成形装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、従来技術の成形装置の断面図を示す。
成形装置100は、一般的に矩形フレームであり、液状シリコンが注入される成形型枠2を備える。成形型枠2は、一般的に矩形フレームであり、厚さtを有する4つの側壁で構成する。液状半導体材料4は、供給装置6の助力で、溶融半導体材料を保持する炉10から成形型枠2内に注入される。成形型枠2の下には、成形型枠2の下部を、特定成形速度Ucで通過するよう配置した担体バンド8が存在する。これに必要な駆動装置15を、模式的に示す。
【0033】
担体バンド8の温度は、溶融半導体材料4が、担体バンド8の表面で結晶化するように調整する。担体バンド8は、
図1では右方に移動するので、薄片16は、出口スリット3における成形型枠2の下流側に製造される。溶融半導体材料の下側の担体バンド上で固化している薄片の輪郭cを破線17で示す。固化した薄片16は、成形型枠2を下流側で若干上方に押し上げ、その結果、成形型枠が若干傾き、出口スリットを生ずる。半導体材料薄片はこのようにして引き出される。本明細書に記載した方法は、RGS(Ribbon Growth on Substrate)と称される。RGS技術の主な利点は、比較的大量の薄片を毎時生産できることである。従来技術の成形装置の欠点は、このようにして製造されるウエハがしばしば粗い頂面(すなわち、自由結晶表面)となることである。この粗い表面は、結晶化薄片の頂面に溶融半導体材料フィルムの引きずりの結果として生ずる。成形プロセス中、担体バンド(の一部)が液体半導体材料と接触する瞬間に、半導体材料薄片が成長を開始する。溶融半導体材料と接触する成形型枠の下部で成長を開始した半導体材料薄片が通過する間、半導体材料ウエハは、所望の厚さに成長する。成形型枠の出口スリット3で、溶融半導体材料は成形型枠出口側壁2bに押し戻される。
【0034】
成形装置の引きずりは、下記の方程式により説明される。
【0035】
【数1】
ここでΦは、成形型枠からの半導体材料の流束であり、〈U〉は、液体の観測した速度であり、Ucは成形速度であり、Hはスリットの高さであり、ηは液体の粘性であり、ΔPは液体の静圧であり、Δxは担体バンドの移動方向における出口壁の長さである。
【0036】
成形型枠内での溶融半導体材料は、薄片頂面上方でレベルzである。静圧ΔPは、液体シリコン柱(高さzを有する)と成形型枠の出口での外圧との間の圧力差に等しい。
【0037】
引きずりを低減するために、本発明は、静圧項であるΔPの低減をすることであり、この低減は、外力を加えて外圧を増大させる力印加手段を備える成形装置を設けることによって行うべきだと認識する。
【0038】
この目的を達成するために、本発明では、成形型枠及び担体バンドを具える半導体材料薄片製造用の成形装置を提供し、成形型枠は、溶融半導体材料を保持するよう側壁を有する構成とし、側壁のうちの出口側壁は、半導体材料薄片の産出位置に位置して、出口スリットを設け、成形装置は、さらに、出口スリットの位置で、外力を溶融半導体材料に加えることにより、出口スリットで溶融半導体材料に対する外圧を増大させる力印加手段を備える。
【0039】
一実施形態では、力印加手段は局部的力印加手段とし、出口スリットの位置で相対的に増大した局部的外力を溶融半導体材料に対して加え、それにより出口スリットでの局部的に溶融半導体材料に対する外圧を増大させる。
【0040】
図2は、本発明の第1実施形態による成形装置の断面図を示す。
【0041】
図1に示した方向と同一方向であるこの断面図において、第1実施形態による成形装置1は、力印加手段としてガスジェット発生器を備える。このようなガスジェット発生器は、加圧ガス用の流入口、ダクト、及び外圧または大気圧と比べて比較的に高い圧力のガスジェットを発生する流出口22を有する。ガスジェット発生器は、出口スリットに向けてガスジェットを発生及び指向させるよう構成する。
【0042】
外圧または大気圧、すなわち、成形型枠の外側の圧力は、成形型枠が位置する作業空間の静圧に関連すると理解されたい。一般的なプロセス圧は、すなわち、溶融半導体材料上方の成形型枠(プロセスチャンバー)内の圧力は、大気圧より低い。非限定的な例において、成形型枠での圧力は、0.1〜0.9bar、すなわち100hPa〜900hPa(絶対圧力)の範囲内で選択し、ガスジェットの圧力は、約2〜約4bar、すなわち約2000hPa〜4000hPa(絶対圧力)の範囲内で選択する。
【0043】
ガスジェット発生器内では、流入口はダクトに接続し、またダクトは流出口に接続する。
【0044】
ガスジェット発生器の流出口22は、ほぼ成形型枠の出口スリット3の幅に沿って延在するガスジェットを生ずる形状にする。このようにして、ガスジェットは、ほぼ出口スリットの全幅に沿って外圧を発生し得る。
【0045】
ガスジェット発生器20の流出口は、成形装置2の出口側壁2bに配置し、出口スリット3に指向するガスジェットを発生するよう構成する。
【0046】
ガスジェットにより加えられる圧力は、成形型枠内の半導体材料浴からの薄片で引きずられる溶融半導体材料を押し戻す。
【0047】
さらに、成形型枠の出口側壁2bはガスジェットの効果を最適化するよう形成し、また側壁部2bの内側に傾斜したナイフエッジ端部を設けることができる。
【0048】
ガスジェットは、出口側壁2bにおけるナイフエッジ端部との兼ね合いで、さらに引きずりの減少をより一層向上させることが観察される。その結果、成形した半導体材料薄片の粗さが減少する。
【0049】
ガスジェットは、半導体材料と反応しないガス種で構成することができる。例えば、ガス流は、アルゴンのような希ガス又は窒素のような不活性ガスで構成することができる。
【0050】
図3は、本発明の第2実施形態による成形装置の断面図を示す。
【0051】
図3に示すように、代替的な実施形態は、成形型枠の出口側壁2bが、流れ制限壁2eを有する。流れ制限壁2eは、担体バンド8の近傍における出口側壁の下端部に取り付ける。流れ制限壁2eは、担体バンドにほぼ平行であり、担体バンド8の移動方向に、出口壁の長さをΔxにわたり延長するよう構成する。流れ制限壁は、担体バンドに対し比較的に接近させて配置し、出口スリットに向かって狭いチャネルを形成する。チャネルの小さい寸法により、成形プロセス中の溶融材料の流れは、担体バンドの速度Ucと比較して減少する。有利には、流れの減少は、出口スリットでの静圧ΔPを減少させる負圧を生ずる。
【0052】
さらに、ガスジェットは、出口側壁2bで終端する流れ制限壁2eとの兼ね合いで、引きずり低減を向上するのが観察された。
【0053】
図4は、本発明の第3実施形態による成形装置の断面図を示す。
【0054】
図1に示すのと同一方向のこの断面図において、第3実施形態による成形装置1は、力印加手段としての過圧力発生装置30及び流れ制限壁2eを備える。
【0055】
過圧力発生装置30は、成形装置の出口側壁2bに配置し、出口スリットの位置で、外圧に対して過圧力を生成するよう構成する。
【0056】
過圧力発生装置30は、加圧ガス用の流入口31、圧力平準化チャンバ32、過圧力チャンバ33を有する。過圧力発生装置において、流入口を圧力平準化チャンバの入口に接続する。圧力平準化チャンバの出口は、過圧力チャンバに連通する。過圧力チャンバ33は、成形型枠の出口スリットに位置する。
【0057】
圧力平準化チャンバは、出口側壁2bの幅に沿って延在させ、また、出口側壁2bの幅に沿ってガスの圧力を平準化するよう構成する。同様に、過圧力チャンバは、ほぼ出口スリットの全幅に沿って延在させる。好ましくは、圧力平準化チャンバは、側壁の全幅にわたり過圧力チャンバに連通させ、出口スリットの全幅にわたり過圧力チャンバ内に、ほぼ一定の圧力を生ずるようにする。
【0058】
さらに、流れ制限壁2eを、担体バンド8の近傍において出口側壁の下端部に取り付ける。流れ制限壁2eは、担体バンド8の移動方向に、長さΔxにわたり出口壁を延長するよう構成する。
【0059】
加圧ガスは、半導体材料と反応しないガス種で構成することができる。例えば、ガス流は、アルゴンのような希ガス、または窒素のような不活性ガスで構成することができる。
【0060】
図5は、本発明の代替的な実施形態による成形装置の断面図を示す。
【0061】
第3実施形態の代替案として、過圧力発生装置40は、加圧ガス用の流入口41、第1圧力平準化チャンバ42a、第2圧力平準化チャンバ42b、及び過圧力チャンバ43を有する。
【0062】
過圧力発生装置において、流入口は、第1圧力平準化チャンバの入口に接続する。第2圧力平準化チャンバは、過圧力チャンバに接続する。第2圧力平準化チャンバは、過圧力チャンバに接続する。過圧力チャンバは、成形型枠の出口スリットに位置する。
【0063】
第1圧力平準化チャンバは、出口側壁2bの幅に沿って延在させ、また出口側壁2bの幅に沿って、ガスの圧力を平準化するよう構成する。同様に、第2圧力平準化チャンバは出口スリットのほぼ全幅に沿って延在させる。好ましくは、第1圧力平準化チャンバは、出口側壁の全幅にわたり第2圧力平準化チャンバに接続する。
【0064】
図6は、本発明の第4実施形態による成形装置の断面図を示す。
【0065】
図1に示すものと同一方向のこの断面図において、第4実施形態による成形装置1は、成形装置の周りに位置する導電性コイル50を備え、高周波交流電流を通電するよう構成する。導電性コイル50は、成形装置の周縁の周りに巻回した1つ以上の巻回部51を有する。
【0066】
導電性コイル50は、溶融半導体材料に電磁力(ローレンツ力)を生じさせるよう溶融半導体材料に電流を誘導する力印加手段として構成する。
【0067】
成形型枠壁2bの形状および厚さは、成形型枠内で誘導された電磁電流が、導電性コイルで発生する交流磁場を部分的にのみ補償するよう設計する。そして、補償されない部分が溶融半導体材料内に電流を誘導し、その結果、溶融誘導半導体材料に作用する電磁力を生ずる。
【0068】
導電性コイルおよび成形型枠の配置は、出口スリットの位置で、電磁力が、静圧ΔPを低減する、局所的に増大した外圧を生ずるよう構成する。
【0069】
電磁力は、コイル51及び成形型枠2のジオメトリ(構成配置)によって、電流及び周波数のような電気的パラメータとの兼ね合いで、制御することができる。
【0070】
同時に、導電性成形型枠及び溶融半導体材料内で誘導された電流は、型枠及び溶融半導体材料の加熱を生じさせる。有利なことに、このことは成形型枠内の溶融半導体材料の温度をより良く制御することができる。
【0071】
他の実施形態において、成形装置は、さらに加熱するための第2加熱システムを設ける。第2加熱システムは、誘導された電流以外の加熱、例えば、ふく射加熱に基づくものとする。
【0072】
図6において、巻回部51は、傾くよう指向させる。出口側壁の側面での巻回部は、担体バンド8に対して相対的により大きい距離に位置した逆側側壁2aでの巻回部よりも、担体バンド8に対して相対的により近い距離に位置している。巻回部の傾斜配置により、出口スリットの位置で、溶融半導体材料に加わる電磁力は、成形型枠の内部の溶融半導体材料4に加わる電磁力よりも相対的に大きい。その結果、出口スリットでの、正味静圧ΔPは、電磁力由来の圧力によって補償される。
【0073】
担体バンド8に対する、出口側壁2bの側面での巻回部の距離x2は、担体バンド8に対する、逆側壁2aの側面での距離x1よりも、例えば、少なくとも5%小さい。
【0074】
当業者は、成形型枠の位置に対するコイルの非対称配置により、成形型枠周辺の位置の関数として、変化する電磁力を発生することは理解できるであろう。
【0075】
図7は、本発明の代替的な第5実施形態による成形装置の断面図を示す。
【0076】
第5実施形態において、出口スリットで局所的に増大された外圧は、コイルにより包囲される成形型枠に対する、コイルの水平で非対称な配置により得られる。この実施形態では、出口側壁2bの側面での巻回部は、逆側側壁2aからの相対的により大きい水平距離に位置した逆側側壁での巻回部よりも、担体バンドに沿った出口側壁までの相対的により近い水平距離に位置している。垂直方向において、出口側壁2bおよび逆側側壁2aでの巻回部は、担体バンド8に対して、同じ垂直高さであり、あるいは、担体バンド8から相対的に大きい距離に位置する逆側側壁2aでの巻回部よりも、出口側壁2bの側面での巻回部は、担体バンド8に対して相対的に近い距離に位置している。
【0077】
出口側壁2bの側面に対する巻回部の距離x3は、逆側側壁2aの側面に対する巻回部の距離x4よりも、例えば、少なくとも5%小さい。
【0078】
随意的に、成形装置は、側壁2bの内面上に傾斜したナイフエッジ端部5を有する。出口側壁2bでのナイフエッジ端部5は、出口スリットでの電磁力に関するより高い透過性、及び、したがって、溶融半導体の低減した遮蔽をもたらす。ナイフエッジ端部5は、電磁力と相対的に高い電磁力値を有する液体シリコンとの、局部的に高められた結合を可能にする。
【0079】
代案として、第4実施形態による成形型枠は、担体バンド8の近傍における出口側壁の下端部に取り付けた流れ制限壁2eを具えることができる。流れ制限壁2eは、担体バンド8の移動方向に出口側壁を長さΔxにわたり延長するよう構成する。流れ制限壁の厚さは、溶融半導体材料に電流を誘導して、その結果、電磁力が溶融体に作用できるよう構成する。
【0080】
従来技術での成形型枠は、出口側壁が傾動するよう構成し、出口スリットが、成形される固化した薄片に起因して生じる成形型枠のわずかな傾動によって生ずることに留意されたい。本明細書に記載した実施形態では、成形型枠は、傾動可能に構成して、成形プロセスにおける成形型枠の傾動により成形中に、出口スリットを一時的に生ずる構成にする、又は、成形型枠は出口側壁に加工した恒久的な出口スリットを設けた構成とすることができる。
【0081】
その他の代替および等価な、本発明の実施形態は、当業者に明らかなように、本発明の思想の範囲内であると考えられる。発明の思想は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。