(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の金網は、波形屈曲したクリンプ線材を縦線材92及び横線材93として用いた金網の場合に、波形屈曲した波線材における凹部94と凸部95との間隔hを、線材の線径dよりも大きくして間隙gが形成されることにより、線材の自由度を高め、金網全体として平行四辺形に変形可能にされ、自在性が高い金網とされたものであるが、金網面に対する面外方向の変形が大きくなり、形態安定性が低下するため、運搬しづらいという問題があった。
【0008】
また、従来の金網は、
図21(b)に示すように、縦線材92と横線材93との交差部で、縦線材92と横線材93とが1箇の線分sで線接触し、この線接触した1箇の線分sを支点として、縦線材92と横線材93とを互いに傾動自在とすることもできる。このときも、従来の金網は、金網全体として平行四辺形に変形可能にされたものとなるが、金網面に対する面外方向の変形に対して、1箇の線分sにおける線接触では十分に抵抗することができず、金網面の面外方向の変形が大きくなり、形態安定性が低下するため、運搬しづらいという問題があった。
【0009】
また、従来の金網は、線材の自由度を高め、金網全体として平行四辺形に変形可能にされ、自在性が高い金網であるが、自在性がある反面、運搬時に金網が面内方向で平行四辺形に変形するように自由に動き、形態安定性が低下するため、運搬しづらいという問題もあった。
【0010】
さらに、従来の金網は、個々の縦線材92又は横線材93自体に自由度が付与されて、金網面に対する面外方向及び面内方向等にガタつくことによって、縦線材92及び横線材93の向きが不揃いになって歪な外観となり、また、金網を胴縁に固定する際に、縦線材92の回転によってパネル面に垂直に固定することができなくなるという問題もあった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、メッシュパネルの面外方向の変形を抑制することで、メッシュパネルの形態安定性を向上させることのできるメッシュパネル及びフェンスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係るメッシュパネルは、縦線材と横線材とが編み合わされ
てフェンスの面材として用いられるメッシュパネルであって、縦線材と、前記縦線材と交差する横線材とを備え、前記縦線材及び前記横線材の何れか一方は、前記縦線材と前記横線材との交差部で、前記縦線材及び前記横線材の何れか他方と、
面外方向の変形に抵抗するものとして、接触側面の両側部で
2箇所の線分によって線接触されることを特徴とする。
【0013】
第2発明に係るメッシュパネルは、第1発明において、前記縦線材及び前記横線材は、前記交差部の前記接触側面が略平面状に形成されて、前記接触側面の両側部で互いに線接触されることを特徴とする。
【0014】
第3発明に係るメッシュパネルは、第1発明又は第2発明において、前記縦線材及び前記横線材の何れか一方又は両方は、凸部と凹部とが交互に設けられることによりクリンプ加工されたものであることを特徴とする。
【0015】
第4発明に係るメッシュパネルは、第3発明において、前記縦線材及び前記横線材は、前記縦線材と前記横線材との交差部で、各々に前記凸部又は前記凹部が設けられ、前記凸部及び前記凹部は、前記凸部の略平面状に形成された最深部と、前記凹部の略平面状に形成された最深部とが、互いに略平行となるように設けられることを特徴とする。
【0016】
第5発明に係るメッシュパネルは、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記縦線材及び前記横線材の何れか一方は、前記縦線材と前記横線材との交差部で、前記縦線材及び前記横線材の何れか他方と、前記接触側面の側方で離間されること
で、面内方向で傾動自在となるものとして、凸部又は凹部の略平面状に形成された最深部の幅方向の端部から離間させた間隙が形成されることを特徴とする。
【0017】
第6発明に係るメッシュパネルは、第1発明〜第5発明の何れかにおいて、前記縦線材及び前記横線材は、全長に亘って略平面状に形成されることを特徴とする。
【0018】
第7発明に係るメッシュパネルは、第1発明〜第6発明の何れかにおいて、前記縦線材及び前記横線材の断面形状は、小判形又は四角形又は円弧部と弦部とで構成される欠円形状であることを特徴とする。
【0019】
第8発明に係るフェンスは、第1発明〜第7発明の何れかのメッシュパネルを面材とするフェンスであって、前記メッシュパネルと、前記メッシュパネルが取り付けられる支柱とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1発明〜第7発明によれば、縦線材と横線材との交差部で、縦線材及び横線材の何れか一方が、縦線材及び横線材の何れか他方と、軸方向に延びる2箇所の線分で線接触され、この2箇所の線分の間で接触面が形成されるため、この接触面によってメッシュパネルの面外方向の変形を抑制して形態安定性を向上させることができ、メッシュパネルの運搬、設置を容易にすることが可能となる。
【0021】
また、第1発明〜第7発明によれば、この接触面によって縦線材又は横線材そのものが回転することを抑止できるため、縦線材又は横線材そのものが回転することによる凹部と凸部との係合状態の解除を回避して、メッシュパネルが容易に分解することを防止することができ、メッシュパネルの製作から梱包、運搬、施工までの間の取り扱いによって、縦線材及び横線材が崩れることを防止することが可能となる。
【0022】
また、第1発明〜第7発明によれば、縦線材と横線材との交差部で、縦線材と横線材とが傾動するときに、軸方向に延びる2箇所の線分で適度に抵抗することになり、手で力を加えたとき等に限ってメッシュパネルの左右両側が上下方向に相対移動して平行四辺形に変形するように、メッシュパネルの平行四辺形の変形を適度に調整することが可能となる。
【0023】
さらに、第1発明〜第7発明によれば、この接触面によってメッシュパネルの面外方向及び面内方向のガタつきを防止することができ、縦線材及び横線材の向きを揃えて美観を向上させることが可能となり、また、縦線材の回転を防止して上部胴縁にメッシュパネルを垂直に固定することが可能となる。第1発明〜第7発明によれば、落石又は小動物がメッシュパネルに衝突したときの衝撃荷重を、衝突した部位から周囲の縦線材又は横線材に分散させることができ、この衝撃荷重をメッシュパネル全体にスムーズに分散することが可能となる。
【0024】
特に、第4発明〜第6発明によれば、側面視において、左右方向に隣り合う凹部の最深部と凸部の最深部とが離間しないように縦線材が設けられるとともに、平面視において、上下方向に隣り合う凹部の最深部と凸部の最深部とが離間しないように横線材が設けられるため、横線材がメッシュパネルの面内方向で傾動自在となると同時に、側部横線材、中間部横線材及び側部縦線材について、必ずしも2本1組として用いることを必要としないで、1本ずつの縦線材及び横線材を交差させて、縦線材及び横線材が崩れることを防止することが可能となる。
【0025】
また、第4発明〜第6発明によれば、従来の波状の線材を用いるときに比べて線材の使用量を低減させることができ、メッシュパネルの製造における歩留まりを著しく向上させることが可能となる。また、第4発明〜第6発明によれば、メッシュパネルの平行四辺形の変形を自在なものとすると同時に、メッシュパネルの面外方向及び面内方向の変形を抑制して、さらに、メッシュパネルの平行四辺形の変形を適度に調整して形態安定性を向上させることができ、メッシュパネルの運搬、設置を容易にすることが可能となる。
【0026】
特に、第7発明によれば、略扁平断面形状の縦線材又は横線材が用いられることにより、縦線材と横線材との交差部で、メッシュパネルの面外方向の厚みを薄くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係るメッシュパネルを示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るメッシュパネルを示す正面図である。
【
図3】(a)は、本発明に係るメッシュパネルの縦線材を示す側面図であり、(b)は、その横線材を示す側面図である。
【
図4】本発明に係るメッシュパネルの略扁平断面形状に形成された縦線材又は横線材を示す断面図である。
【
図5】(a)は、本発明に係るメッシュパネルの縦線材と横線材との交差部を示す平面断面図であり、(b)は、その交差部を示す正面図である。
【
図6】本発明に係るメッシュパネルの縦線材及び横線材の何れか一方の凹部及び凸部が、縦線材及び横線材の何れか他方の凹部及び凸部に納まって前後方向に挟まれた状態を示す側方断面図である。
【
図7】本発明に係るメッシュパネルの縦線材及び横線材の何れか一方の凹部及び凸部が、縦線材及び横線材の何れか他方の凹部及び凸部に納まって前後方向に挟まれた状態を示す平面断面図である。
【
図8】本発明に係るメッシュパネルの横線材を傾斜させた状態を示す正面図である。
【
図9】本発明に係るメッシュパネルの左下側を拡大した正面図である。
【
図10】(a)は、本発明に係るメッシュパネルの長方形の状態を示す正面図であり、(b)は、その平行四辺形の状態を示す正面図である。
【
図11】(a)は、本発明を適用したフェンスを示す正面図であり、(b)は、その側面図である。
【
図12】(a)は、本発明を適用したフェンスの上部胴縁を示す正面図であり、(b)は、その側面図であり、(c)、(d)は、その連結前の状態を示す正面図である。
【
図13】(a)は、本発明を適用したフェンスの支柱に上部胴縁が取り付けられた状態を示す正面図であり、(b)は、その側面図であり、(c)は、本発明を適用したフェンスの上部胴縁にメッシュパネルが取り付けられた状態を示す正面図である。
【
図14】(a)は、本発明を適用したフェンスの
図11に示すA部の金具を示す平面断面図であり、(b)は、その正面図である。(c)は、本発明を適用したフェンスの
図11に示すB部の金具を示す平面断面図であり、(d)は、その正面図である。
【
図15】本発明に係るメッシュパネルの接触面を示す斜視図である。
【
図16】本発明に係るメッシュパネルの略小判形の略扁平断面形状に形成された縦線材又は横線材を示す平面断面図である。
【
図17】本発明に係るメッシュパネルの縦線材及び横線材の何れか一方の凹部及び凸部が、縦線材及び横線材の何れか他方の凹部及び凸部に納まって前後方向に挟まれて傾斜していない状態を示す正面図である。
【
図18】本発明に係るメッシュパネルの縦線材及び横線材の何れか一方の凹部及び凸部が、縦線材及び横線材の何れか他方の凹部及び凸部に納まって前後方向に挟まれて傾斜した状態を示す正面図である。
【
図19】本発明に係るメッシュパネルの縦線材及び横線材の何れか一方の凹部及び凸部が、縦線材及び横線材の何れか他方の凹部及び凸部に納まって前後方向に挟まれて傾斜した状態を示す斜視図である。
【
図20】本発明に係るメッシュパネルを把持する状態を示す正面図である。
【
図21】従来の金網の縦線材と横線材とが互いに1箇の線分で線接触している状態を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を適用したメッシュパネル1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
本発明を適用したメッシュパネル1は、
図1に示すように、複数の縦線材2と、縦線材2と交差する複数の横線材3とを備え、複数の縦線材2と複数の横線材3とが格子状に前後方向で交互に組み合わされて、複数の縦線材2と複数の横線材3とが編み合わされる。本発明を適用したメッシュパネル1は、複数の縦線材2と複数の横線材3とを一定の目合に配列して編み合わされた長方形の金網として構成される。
【0030】
本発明を適用したメッシュパネル1は、例えば、
図2に示すように、上下両側の各々に2本1組の側部横線材3aが設けられ、左右両側の各々に2本1組の側部縦線材2aが設けられる。本発明を適用したメッシュパネル1は、左右両側の2本1組の側部縦線材2aと、上下両側の2本1組の側部横線材3aとで囲まれる長方形の枠の内側において、複数の中間部縦線材2bと複数の中間部横線材3bとが編み込まれる。本発明を適用したメッシュパネル1は、2本1組の中間部横線材3bが上下方向に間隔をあけて複数段に亘って配置される。
【0031】
縦線材2及び横線材3は、
図3に示すように、鋼材を塑性変形させることによって、凹部4と凸部5とが連続して交互に設けられてクリンプ加工された波状のものが用いられる。縦線材2及び横線材3は、縦線材2及び横線材3の各々において、隣り合う凹部4と凸部5との頂部の間隔が所定の1ピッチPとなるように、凹部4と凸部5とが連続して交互に設けられる。
【0032】
縦線材2及び横線材3は、これに限らず、縦線材2及び横線材3について、鋼材等を弾性変形させて編み合わせたものが用いられてもよい。また、縦線材2及び横線材3は、これに限らず、縦線材2及び横線材3の各々において、直線状の鋼材等に複数の凹部4及び凸部5の何れか一方又は両方を断続的に設けて、凹部4又は凸部5と直線部とが交互に配置されたものであってもよい。
【0033】
縦線材2及び横線材3の何れか一方又は両方は、全長に亘って略平面状に形成され、
図4(a)に示すように、長辺側で直線状となる長尺部71と、短辺側で円弧状となる短尺部72とを有する略小判形の略扁平断面形状に形成される。また、縦線材2及び横線材3の何れか一方又は両方は、
図4(b)に示すように、長辺側で直線状となる長尺部71と、短辺側で直線状となる短尺部72とを有する略四角形の略扁平断面形状に形成されてもよい。さらに、縦線材2及び横線材3の何れか一方又は両方は、
図4(c)に示すように、円弧部74と弦部75とで構成される欠円形状の略扁平断面形状に形成されてもよい。
【0034】
縦線材2及び横線材3は、
図5に示すように、縦線材2の凹部4と横線材3の凸部5とが配置される交差部7、及び、縦線材2の凸部5と横線材3の凹部4とが配置される交差部7が形成され、略平面状に形成された接触側面73で互いに接触する。縦線材2及び横線材3の何れか一方は、
図5(a)、(b)に示すように、縦線材2及び横線材3の何れか他方と、長尺部71における接触側面73の幅方向Xの両側部73aで、軸方向Yに延びる2箇所の線分Sで線接触される。
【0035】
縦線材2及び横線材3の何れか一方は、これに限らず、縦線材2及び横線材3の何れか他方と、短尺部72における接触側面73の幅方向Xの両側部73aで、軸方向Yに延びる2箇所の線分Sで線接触されてもよい。また、縦線材2及び横線材3の何れか一方又は両方は、略正方形断面形状に形成されるものとして、接触側面73の幅方向Xの両側部73aで、軸方向Yに延びる2箇所の線分Sで線接触されるものとしてもよい。なお、縦線材2及び横線材3は、縦線材2と横線材3との交差部7においてのみ、略平面状に形成されていてもよく、あるいは略扁平断面形状に形成されてもよい。
【0036】
縦線材2は、
図6に示すように、左右方向に隣り合う2本の縦線材2が1ピッチPずらして配置され、側面視において、左右方向に隣り合う凹部4の最深部4aと凸部5の最深部5aとが離間しないように設けられる。縦線材2は、これに限らず、側面視において、凹部4の最深部4aの一部と凸部5の最深部5aの一部とが重なり合うようにして、縦線材2と横線材3とを互いに弾性変形させて絡み合うようにして編み込まれてもよい。
【0037】
縦線材2は、縦線材2と横線材3との交差部7で、凹部4の最深部4aと凸部5の最深部5aとが互いに略平行となるように、凹部4の最深部4a及び凸部5の最深部5aが略平面状で略直線状に形成される。横線材3は、縦線材2と横線材3との交差部7で、接触側面73の幅方向Xの両側方で縦線材2と離間されて、間隙Gが形成される。
【0038】
横線材3は、
図7に示すように、上下方向に隣り合う2本の横線材3が1ピッチPずらして配置され、平面視において、上下方向に隣り合う凹部4の最深部4aと凸部5の最深部5aとが離間しないように設けられる。横線材3は、これに限らず、平面視において、凹部4の最深部4aの一部と凸部5の最深部5aの一部とが重なり合うようにして、縦線材2と横線材3とを互いに弾性変形させて絡み合うようにして編み込まれてもよい。
【0039】
横線材3は、縦線材2と横線材3との交差部7で、凹部4の最深部4aと凸部5の最深部5aとが互いに略平行となるように、凹部4の最深部4a及び凸部5の最深部5aが略平面状で略直線状に形成される。縦線材2は、縦線材2と横線材3との交差部7で、接触側面73の幅方向Xの両側方で横線材3と離間されて、間隙Gが形成される。
【0040】
縦線材2及び横線材3の何れか一方の凹部4及び凸部5は、
図6、
図7に示すように、縦線材2と横線材3との交差部7において、縦線材2及び横線材3の何れか他方の凹部4及び凸部5に納まって前後方向に挟まれるため、縦線材2と横線材3とが離間しにくく安定した編成となると同時に、メッシュパネル1の美観も向上することになる。凹部4は、凹部4の最深部4aと略平行となるように凹部4の最高部4bが形成され、凸部5は、凸部5の最深部5aと略平行となるように凸部5の最高部5bが形成される。
【0041】
本発明を適用したメッシュパネル1は、
図6、
図7、
図8に示すように、縦線材2と横線材3との交差部7で、接触側面73の幅方向Xの両側方に間隙Gが形成されるため、軸方向Yに延びる2箇所の線分Sで線接触した部位を支点として、横線材3を間隙Gで上下方向に傾斜させることができ、横線材3がメッシュパネル1の面内方向で傾動自在となる。この間隙Gは、凹部4の最深部4a及び凸部5の最深部5aの長さを長く設定することによって大きくすることができ、このとき、本発明を適用したメッシュパネル1は、メッシュパネル1の面内方向で横線材3の傾動角度を大きくすることができる。
【0042】
本発明を適用したメッシュパネル1は、
図2、
図6、
図7に示すように、側部横線材3a及び中間部横線材3bと、側部縦線材2a及び中間部縦線材2bとが、互いに絡み合うようにして編み込まれる。本発明を適用したメッシュパネル1は、
図6、
図7、
図9に示すように、左側の2本1組の側部縦線材2aと、下側の2本1組の側部横線材3aとが直交して、凹部4と凸部5とが互いに前後方向に挟まれて係合されるものとなる。このとき、本発明を適用したメッシュパネル1は、2本1組の側部縦線材2aと2本1組の側部横線材3aとが互いに絡み合って四方枠6を形成することになり、互いに絡み合ってずれないように編み込まれる。
【0043】
本発明を適用したメッシュパネル1は、
図2に示すように、メッシュパネル1の4隅に四方枠6が形成されることにより、メッシュパネル1の長方形の4辺が安定して組み合わされることになる。本発明を適用したメッシュパネル1は、側部縦線材2a及び側部横線材3aが、少なくとも2本以上を1組として隣り合うように配置されていれば、3本以上を1組として配置されても構わないが、2本1組乃至4本1組とされることが望ましい。
【0044】
本発明を適用したメッシュパネル1は、2本1組の中間部横線材3bと2本1組の側部縦線材2aとが中間部四方枠6aを形成することにより、側部縦線材2aに対して中間部横線材3bが安定して組み込まれ、2本1組の中間部横線材3bと2本1組の側部縦線材2aとが互いに絡み合ってずれないように編み込まれる。本発明を適用したメッシュパネル1は、中間部横線材3bが、少なくとも2本以上を1組として隣り合うように配置されていれば、3本以上を1組として配置されても構わないが、2本1組乃至4本1組とされることが望ましい。
【0045】
本発明を適用したメッシュパネル1は、
図6、
図7に示すように、縦線材2と横線材3との交差部7で、接触側面73の幅方向Xの両側方に間隙Gが形成されるため、
図8に示すように、軸方向Yに延びる2箇所の線分Sで線接触した部位を支点として、横線材3を間隙Gで上下方向に傾斜させることができ、
図10に示すように、メッシュパネル1の全体を長方形の状態から平行四辺形の状態にスムーズに変形させることが可能となる。
【0046】
本発明を適用したメッシュパネル1は、平地に設置するときに、
図10(a)に示すように、縦線材2と横線材3とが直角に交わる長方形の状態で配置することができる。また、本発明を適用したメッシュパネル1は、
図10(b)に示すように、メッシュパネル1の左右両側を上下方向に相対移動させることで、縦線材2が上下方向に配向されたまま横線材3を傾斜させることができる。このとき、本発明を適用したメッシュパネル1は、傾斜地に設置するときに、縦線材2と横線材3とが傾斜して交わる平行四辺形の状態で配置することができる。
【0047】
本発明を適用したメッシュパネル1は、例えば、
図11に示すように、所定の間隔で地盤9に立設された支柱8に取り付けられて、本発明を適用したフェンス10の面材として用いられる。側部縦線材2a及び中間部縦線材2bの下端部は、下側の側部横線材3aより下方に延長されて、下側の側部横線材3aとともに地盤9に埋設される。支柱8は、地盤9に構築されたコンクリート基礎11に支柱8の下端が埋設される。
【0048】
本発明を適用したフェンス10は、メッシュパネル1の上端が、左右方向に隣り合う支柱8の間に架設された上部胴縁12に固定されるとともに、メッシュパネル1の左右両端が、断面ハット型の支柱8に固定される。上部胴縁12は、
図12に示すように、例えば、アングル材が用いられる。本発明を適用したフェンス10は、これに限らず、如何なる形状の上部胴縁12が用いられてもよく、また、上部胴縁12が用いられなくてもよい。
【0049】
上部胴縁12は、
図12(a)、
図12(b)に示すように、
図12(c)に示す段差部のある一方の上部胴縁12の端部に、
図12(d)に示す段差部のない他方の上部胴縁12の端部を重ね合わせて固定ボルト18で固定され、所定の長さに連続して連結される。
【0050】
上部胴縁12は、
図13(a)に示すように、アングル材の垂直部が、支柱8に上向きに切り起こされた爪13に係止される。上部胴縁12は、
図13(b)に示すように、アングル材の水平部が、支柱8の上端を貫通する取り付けボルト14の先端に設けられた胴縁取付金具15で係止される。上部胴縁12は、
図13(c)に示すように、左右方向に隣り合う中間部縦線材2bの間で、2本1組の側部横線材3aが、金網取付金具16によって上部胴縁12の垂直部の内側に押さえつけられ、金網取付金具16を貫通するボルト17を介して固定される。
【0051】
支柱8は、
図11に示すA部、B部の金具を適宜に組み合わせることによって、メッシュパネル1の左右両側が固定されるものである。支柱8は、平地又は傾斜地の何れに本発明を適用したメッシュパネル1が設置されるときも、
図11に示すA部、B部の金具を用いた固定手段を共通に適用することができる。
【0052】
A部の金具は、
図14(a)、(b)に示すように、断面ハット型の支柱8の両側の鍔部25に、隣り合うメッシュパネル1の中間部横線材3bの端部と側部縦線材2aとを重ね合わせて、押さえ金具19で同時に押さえつけるものである。押さえ金具19は、支柱8を抱持したUボルト20の両端を挿通させてナット21で締結することで、メッシュパネル1の左右両側を支柱8に固定するものである。
【0053】
B部の金具は、
図14(c)、(d)に示すように、断面ハット型の支柱8の両側の鍔部25に、隣り合うメッシュパネル1の中間部横線材3bの端部と側部縦線材2aとを重ね合わせて、押さえ金具22で同時に押さえつけるものである。押さえ金具22は、断面ハット型の支柱8の頂部を貫通する固定ボルト23を挿通させてナット24で締結することで、メッシュパネル1の左右両側を支柱8に固定するものである。
【0054】
本発明を適用したメッシュパネル1は、
図5に示すように、縦線材2及び横線材3の何れか一方が、縦線材2及び横線材3の何れか他方と、略平面状に形成された接触側面73の幅方向Xの両側部73aで、軸方向Yに延びる2箇所の線分Sで線接触される。このとき、本発明を適用したメッシュパネル1は、
図15に示すように、縦線材2と横線材3との交差部7で、軸方向Yに延びる2箇所の線接触された線分Sの間で接触面Cが形成される。これにより、本発明を適用したメッシュパネル1は、軸方向Yに延びる2箇所の線分Sにおける線接触によってメッシュパネル1の面外方向の変形に抵抗することができるため、この接触面Cによってメッシュパネル1の面外方向の変形を抑制して、メッシュパネル1の形態安定性を向上させることができ、メッシュパネル1の運搬、設置を容易にすることが可能となる。
【0055】
本発明を適用したメッシュパネル1は、この接触面Cによって縦線材2又は横線材3そのものが回転することを抑止できるため、縦線材2又は横線材3そのものが回転することによって凹部4と凸部5との係合状態が解除されることを回避することができ、凹部4と凸部5との係合状態が解除されることによってメッシュパネル1が容易に分解することを防止して、メッシュパネル1の製作から梱包、運搬、施工までの間の取り扱いによって、縦線材2及び横線材3が崩れることを防止することが可能となる。
【0056】
本発明を適用したメッシュパネル1は、側面視において、
図6に示すように、縦線材2が左右方向に隣り合う凹部4の最深部4aと凸部5の最深部5aとが離間しないように設けられ、平面視において、
図7に示すように、横線材3が上下方向に隣り合う凹部4の最深部4aと凸部5の最深部5aとが離間しないように設けられる。これにより、本発明を適用したメッシュパネル1は、間隙Gによって横線材3がメッシュパネル1の面内方向で傾動自在となると同時に、
図2に示すような四方枠6や中間部四方枠6aが形成されない場合であっても、1本ずつの縦線材2及び横線材3を交差させて、縦線材2及び横線材3が崩れることを防止することができ、側部横線材3a、中間部横線材3b及び側部縦線材2aについて、必ずしも2本1組として用いることを必要としないものとなる。
【0057】
本発明を適用したメッシュパネル1は、
図16に示すように、略平面状に形成された接触側面73の幅方向Xの両側部73aで線接触するとともに、幅方向Xの中間部73bが離間されていないものとすることができる。このとき、本発明を適用したメッシュパネル1は、
図15に示す接触面Cが形成されて、メッシュパネル1の面外方向及び面内方向のガタつきを防止することができる。本発明を適用したメッシュパネル1は、これに限らず、幅方向Xの中間部73bが多少離間されてもよい。
【0058】
これにより、本発明を適用したメッシュパネル1は、縦線材2及び横線材3の向きを揃えて美観を向上させることが可能となり、また、縦線材2の回転を防止して上部胴縁12にメッシュパネル1を垂直に固定することが可能となる。また、本発明を適用したメッシュパネル1は、落石又は小動物がメッシュパネル1に衝突したときの衝撃荷重を、衝突した部位から周囲の縦線材2又は横線材3に分散させることができ、この衝撃荷重をメッシュパネル1全体にスムーズに分散することが可能となる。
【0059】
本発明を適用したメッシュパネル1は、縦線材2及び横線材3の各々について、凹部4の最深部4aと凸部5の最高部5bとが互いに略平行となるように、凹部4の最深部4a及び凸部5の最高部5bが略平面状で略直線状に形成される。このとき、縦線材2及び横線材3は、断面略円形状の線材をプレス成形することにより製造されるため、凸部5と凹部4とが傾斜した線材により連続し、
図17、
図18に示すように、波状の最も高くなっていた部位で最高部5bの幅が最大となるとともに、この最も高くなっていた部位から離間するごとに最高部5bの幅が漸減して、正面視で凸部5が略楕円形状となる。また、縦線材2及び横線材3は、波状の最も低くなっていた部位で最深部4aの幅が最小となるとともに、この最も低くなっていた部位から離間するごとに最深部4aの幅が漸増し、正面視で凹部4が略くびれ形状となる。なお、縦線材2及び横線材3は、断面略円形状の線材をプレス成形することにより製造されるため、従来の波状の線材のように歯車等で1本ずつ成形する場合に比べて、一度に多数の線材を製造することが可能となる。なお、縦線材2及び横線材3は、直径が約4mmの直線状の略断面円形状の線材を、1ピッチPが約10mmとなるようにプレス成形して製造される。
【0060】
これにより、本発明を適用したメッシュパネル1は、
図19に示すように、縦線材2及び横線材3の各々について、略楕円形状の凸部5と略くびれ形状の凹部4とが交互に形成されることになり、
図21に示すような従来の波状の線材のように曲線が単調に連続するものに比べて、異なる正面形状の凸部5と凹部4とが交互に連続するとともに、略直線状に形成された凸部5の最高部5bと凹部4の最深部4aとが傾斜した線材により連続することで、縦線材2及び横線材3の各々を変化に富んだ形状にすることができ、メッシュパネル1の全体の美感を向上させることが可能となる。
【0061】
本発明を適用したメッシュパネル1は、縦線材2及び横線材3の各々について、凹部4の最深部4aと凸部5の最深部5aとが互いに略平行となるように、凹部4の最深部4a及び凸部5の最深部5aが略平面状で略直線状に形成されるため、従来の波状の線材を用いる場合に比べて、線材の使用量を低減させることが可能となる。具体的には、平面視において所定の長さとなる縦線材2又は横線材3を得るために、
図21に示すような従来の波状の線材を用いる場合に比べて、約6.6%の線材の使用量を低減させるものとなる。例えば、幅約2.0m、高さ約1.6mのメッシュパネル1において、41本の縦線材2及び10本の横線材3が用いられた場合で、直線状の略断面円形状の線材を用いるときは、約86mの加工された線材が必要となる。このとき、従来の波状の線材を用いる場合は、合計で93.40m分の直線状の線材を加工することが必要となるのに対して、凹部4の最深部4a及び凸部5の最深部5aが略直線状に形成された線材を用いる場合は、合計で87.29m分の直線状の線材を加工することで足りるものとなる。
【0062】
これにより、本発明を適用したメッシュパネル1は、例えば、幅約2.0m、高さ約1.6mのメッシュパネル1において、41本の縦線材2及び10本の横線材3が用いられた場合で、従来の波状の線材を用いるときに比べて、約6.11mもの線材の使用量を低減させることができるため、約6.6%もの線材の使用量を低減させて、メッシュパネル1の製造における歩留まりを著しく向上させることが可能となる。
【0063】
本発明を適用したメッシュパネル1は、
図20に示すように、隣り合う縦線材2を把持して運搬、設置されるものである。このとき、本発明を適用したメッシュパネル1は、
図5に示すように、縦線材2が略扁平断面形状に形成されるため、隣り合う縦線材2が把持されて互いに引き寄せられる面内方向に長尺部71が配置されることになり、この面内方向の縦線材2の変形を抑制することができる。これにより、従来の波状の線材は、線材の太さを太くすることにより面内方向の変形に対する剛性を向上させることが必要であったが、本発明を適用したメッシュパネル1は、線材が面内方向に延びるように略扁平断面形状に形成されるため、線材の太さを太くすることなく、面内方向の変形に対する剛性を向上させることが可能となる。
【0064】
また、本発明を適用したメッシュパネル1は、縦線材2と横線材3との交差部7で、縦線材2と横線材3とが傾動するときに、軸方向Yに延びる2箇所の線分Sで適度に抵抗することになり、手で力を加えたとき等に限ってメッシュパネル1の左右両側が上下方向に相対移動して平行四辺形に変形するように、メッシュパネル1の平行四辺形の変形を適度に調整することが可能となる。
【0065】
これにより、本発明を適用したメッシュパネル1は、メッシュパネル1の平行四辺形の変形を自在なものとすると同時に、メッシュパネル1の面外方向及び面内方向の変形を抑制して、さらに、メッシュパネル1の平行四辺形の変形を適度に調整して形態安定性を向上させることができ、メッシュパネル1の運搬、設置を容易にすることが可能となる。
【0066】
本発明を適用したメッシュパネル1は、略扁平断面形状の縦線材2又は横線材3が用いられることにより、縦線材2と横線材3との交差部7で、メッシュパネル1の面外方向の厚みを薄くすることができる。特に、本発明を適用したメッシュパネル1は、縦線材2及び横線材3の両方が略扁平断面形状である場合に、メッシュパネル1の面内方向の変形に対する抵抗をさらに適度に調整することができ、メッシュパネル1の形態安定性を向上させることが可能となるとともに、メッシュパネル1の面外方向の厚みをさらに薄くすることが可能となる。