特許第5778204号(P5778204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コヴィディエン リミテッド パートナーシップの特許一覧

<>
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000002
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000003
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000004
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000005
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000006
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000007
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000008
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000009
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000010
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000011
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000012
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000013
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000014
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000015
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000016
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000017
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000018
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000019
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000020
  • 特許5778204-動力付きの外科用機器 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778204
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】動力付きの外科用機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20150827BHJP
   A61B 17/115 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   A61B17/10 310
   A61B17/11 310
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-77422(P2013-77422)
(22)【出願日】2013年4月3日
(62)【分割の表示】特願2008-203447(P2008-203447)の分割
【原出願日】2008年8月6日
(65)【公開番号】特開2013-150853(P2013-150853A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2013年4月3日
(31)【優先権主張番号】11/894,959
(32)【優先日】2007年8月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ゼムロック
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド シー. レースネット
【審査官】 石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−514490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00−18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用機器であって、前記外科用機器は、
ハウジングであって、前記ハウジングは、第一のモーターと、第二のモーターと、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの歯車とを含み、前記第一のモーターは、前記少なくとも1つの歯車を第一の長手方向軸の周りで回転させるように構成されており、前記第二のモーターは、前記少なくとも1つの歯車を前記第一の長手方向軸に沿って複数の位置の間で選択的に移動させるように構成されており、前記複数の位置は、第一の軸位置と、前記第一の軸位置とは異なる第二の軸位置とを含む、ハウジングと、
前記ハウジングと機械的に係合するように配置された中間部分であって、前記中間部分は、その中に関節運動リンク仕掛けの少なくとも一部を含み、前記中間部分は、その中に作動栓の少なくとも一部を含む、中間部分と、
前記中間部分と機械的に協働するように配置されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、2つの顎部材を含み、前記エンドエフェクタは、第二の長手方向軸を規定し、前記エンドエフェクタは、前記第一の長手方向軸が前記第二の長手方向軸に整列されている整列された位置から前記第一の長手方向軸が前記第二の長手方向軸に対してある角度で配置されている傾けられた位置に移動可能である、エンドエフェクタと
を含み、
前記少なくとも1つの歯車が前記第一の軸位置にあるときにのみ、前記関節運動リンク仕掛けは、前記少なくとも1つの歯車の回転を関節運動棒の線形運動に変換することにより、前記エンドエフェクタを前記整列された位置から前記傾けられた位置に移動させるように構成されており、前記少なくとも1つの歯車が前記第二の軸位置にあるときにのみ、前記作動栓は、前記少なくとも1つの歯車の回転を発射棒の線形運動に変換することにより、一方の顎部材を他方の顎部材に対して移動させるように構成されている、外科用機器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの歯車の回転は、細長い関節運動部材の回転を生じさせ、前記細長い関節運動部材は、前記少なくとも1つの歯車と前記関節運動リンク仕掛けとの間に配置されている、請求項1に記載の外科用機器。
【請求項3】
前記関節運動リンク仕掛けは、前記関節運動棒に対して回転運動を防ぐように固定されている、請求項1に記載の外科用機器。
【請求項4】
前記関節運動リンク仕掛けは、前記第一の長手方向軸からオフセットされている、請求項1に記載の外科用機器。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、カートリッジアセンブリとアンビルアセンブリとを含み、前記カートリッジアセンブリと前記アンビルアセンブリとは、それらの間に組織を係合するように、互いに接近するように配置されている、請求項1に記載の外科用機器。
【請求項6】
ユーザインターフェースをさらに含み、前記ユーザインターフェースは、前記エンドエフェクタの状態を表示するスクリーンを含む、請求項1に記載の外科用機器。
【請求項7】
前記中間部分と前記エンドエフェクタとを相互接続するシャフトをさらに含む、請求項1に記載の外科用機器。
【請求項8】
前記エンドエフェクタは、前記シャフトの遠位部分に選択的に接続可能である、請求項に記載の外科用機器。
【請求項9】
前記シャフトの少なくとも一部分は、しなやかな材料から作製されている、請求項に記載の外科用機器。
【請求項10】
前記エンドエフェクタと通信するように配置された少なくとも1つのセンサをさらに含み、前記少なくとも1つのセンサは、前記シャフトに係合されるエンドエフェクタのタイプを決定することを助けるためのものである、請求項に記載の外科用機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2007年4月13日に出願された、Zemlokによる米国特許出願第11/786,934号(発明の名称「Powered Surgical Instrument」)の一部継続出願であり、この出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、身体の組織を留めるための外科用機器に関し、より具体的には、機器の回転、関節運動および作動を達成するよう可動に構成された駆動歯車を有する動力付きの外科用機器に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
組織が、まず、対向する顎構造の間に把持またはクランプ留めされ、次いで、外科用留め具によって接合される外科用デバイスは、当該分野で周知である。いくつかの機器において、留め具により接合された組織を切断するためにナイフが提供される。留め具としては、代表的に、外科用ステープルおよび2部品のポリマー製の留め具が挙げられる。
【0004】
この目的のための機器は、2つの細長の部材を備え得、このそれぞれが組織を捕捉またはクランプ留めするために使用される。代表的には、部材のうちの一方は、列に並べられた複数のステープルを収容するステープルカートリッジを持ち、一方、もう一方の部材は、ステープルがステープルカートリッジから駆動されたときに、ステープルの脚部を形成するための表面を規定するアンビルを有する。いくつかの機器が、エンドエフェクタの回転および関節運動と同時にエンドエフェクタの作動を達成するために、クランプ、ハンドルおよび/またはノブを備える。このような外科用機器は、ハンドル、ノブなどを操作する際に、ユーザがかなりの力を加えることを必要とし得、そして、機器を両手で操作することを必要とし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作にあまり力を必要としない、アクチュエーターを備える外科用機器が望ましい。さらに、片手の操作で複数の機能を行う外科用機器もまた望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ハウジング、内視鏡部分、シャフト部分およびエンドエフェクタを備える外科用機器が開示される。内視鏡部分は、ハウジングから遠位に延び、そして、長手方向軸を規定する。シャフト部分は、内視鏡部分の遠位端に選択的に接続可能である。エンドエフェクタは、シャフト部分の遠位端に選択的に接続可能である。
【0007】
(要旨)
本開示は、ハウジングと、内視鏡部分と、駆動歯車と、駆動モーターと、シフトモーターと、エンドエフェクタとを備える外科用機器に関する。内視鏡部分は、ハウジングから遠位に延び、そして、長手方向軸を規定する。駆動歯車は、少なくとも部分的にハウジング内に配置され、そして、駆動歯車の内部を通って延びる駆動歯車軸の周りで回転可能である。駆動歯車は、駆動歯車軸に沿って選択的に動くことが可能である。駆動モーターは、駆動歯車と機械的に協働するように配置され、そして、駆動歯車を回転するように構成される。シフトモーターは、駆動歯車と機械的に協働するように配置され、そして、駆動歯車軸に沿って駆動歯車を動かすように構成される。エンドエフェクタは、内視鏡部分の遠位部分に隣接して配置される。
【0008】
本開示はまた、組織に外科用留め具を適用する方法にも関する。この実施形態の方法は、動力付きの外科用機器を提供する工程を包含し、この外科用機器は、ハウジング、内視鏡部分、駆動歯車およびエンドエフェクタを備える。内視鏡部分は、ハウジングから遠位に延び、そして、長手方向軸を規定する。駆動歯車は、少なくとも部分的にハウジング内に配置され、そして、駆動歯車の内部を通って延びる駆動歯車軸の周りで回転可能である。駆動歯車は、駆動歯車軸に沿って選択的に動くことが可能である。エンドエフェクタは、内視鏡部分の遠位部分に隣接して配置される。この方法は、さらに、駆動歯車軸に沿って駆動歯車を動かす工程と、駆動歯車軸の周りで駆動歯車を回転させる工程とを包含する。
【0009】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)外科用機器であって、以下:
ハウジング;
該ハウジングから遠位に延び、第一の長手方向軸を規定する内視鏡部分;
該内視鏡部分の遠位端に選択的に接続可能なシャフト部分;および
該シャフト部分の遠位端に選択的に接続可能なエンドエフェクタ
を備える、外科用機器。
(項目2)項目1に記載の外科用機器であって、さらに、前記ハウジングと機械的に協働するように配置されたモーターを備え、該モーターは、前記エンドエフェクタの少なくとも1つの機能を駆動するように構成される、外科用機器。
(項目3)項目1に記載の外科用機器であって、前記エンドエフェクタが、第二の長手方向軸を規定し、該エンドエフェクタが、該第二の長手方向軸が前記第一の長手方向軸と実質的に整列する第一の位置から、該第二の長手方向軸が該第一の長手方向軸に対してある角度で配置される少なくとも第二の位置まで可動である、外科用機器。
(項目4)項目3に記載の外科用機器であって、さらに、前記ハウジングと機械的に協働するように配置されたモーターを備え、該モーターは、前記エンドエフェクタを、その第一の位置からその第二の位置へと向けて動かすように構成される、外科用機器。
(項目5)項目1に記載の外科用機器であって、前記エンドエフェクタが、カートリッジアセンブリおよびアンビルアセンブリを備え、該カートリッジアセンブリおよび該アンビルアセンブリが、該カートリッジアセンブリと該アンビルアセンブリとの間に組織を係合するように接近させるために配置される、外科用機器。
(項目6)項目1に記載の外科用機器であって、さらに、実質的に前記長手方向軸に沿った移動のため、そして、前記シャフト部分の部分および前記エンドエフェクタの部分の少なくとも一方を係合するために配置されたリンク仕掛け棒を備える、外科用機器。
(項目7)項目1に記載の外科用機器であって、さらに、ユーザインターフェースを備え、該ユーザインターフェースは、前記エンドエフェクタの状態を示すスクリーンを備える、外科用機器。
(項目8)前記シャフト部分の少なくとも一部分が可撓性である、項目1に記載の外科用機器。
(項目9)前記シャフト部分の少なくとも一部分が湾曲している、項目1に記載の外科用機器。
(項目10)前記シャフト部分の少なくとも一部分がしなやかな材料から作製される、項目1に記載の外科用機器。
(項目11)前記シャフト部分が、複数のタイプのエンドエフェクタを受容するように構成される、項目1に記載の外科用機器。
(項目12)項目11に記載の外科用機器であって、前記複数のタイプのエンドエフェクタが、旋回可能なカートリッジアセンブリ、実質的に円形のカートリッジアセンブリおよび並行した顎部材を有するエンドエフェクタを含む、外科用機器。
(項目13)項目11に記載の外科用機器であって、さらに、前記エンドエフェクタと通信するように配置された少なくとも1つのセンサを備え、該センサは、前記シャフト部分に係合されるエンドエフェクタのタイプの決定を助けるためのものである、外科用機器。(項目14)前記内視鏡部分が、複数のタイプのシャフト部分を受容するように構成される、項目1に記載の外科用機器。
(項目15)項目14に記載の外科用機器であって、さらに、前記シャフト部分と通信するように配置された少なくとも1つのセンサを備え、該センサは、前記内視鏡部分に係合されるシャフト部分のタイプの決定を助けるためのものである、外科用機器。
(項目16)外科用機器であって、以下:
ハウジング;
該ハウジングから遠位に延び、長手方向軸を規定する内視鏡部分;
少なくとも部分的に該ハウジング内に配置される駆動歯車であって、該駆動歯車は、該駆動歯車の内部を通って延びる駆動歯車軸の周りを回転可能であり、そして、該駆動歯車軸に沿って選択的に動くことが可能である、駆動歯車;
該駆動歯車と機械的に協働するように配置され、そして、該駆動歯車を回転するように構成された、駆動モーター;
該駆動歯車と機械的に協働するように配置され、そして、該駆動歯車軸に沿って該駆動歯車を動かすように構成された、シフトモーター;
該内視鏡部分の遠位端に選択的に接続可能なシャフト部分;および
該シャフト部分の遠位端に選択的に接続可能なエンドエフェクタ
を備える、外科用機器。
(項目17)前記シャフト部分の少なくとも一部分が、可撓性であるか、湾曲しているかの少なくとも一方である、項目16に記載の外科用機器。
(項目18)前記シャフト部分が、複数のタイプのエンドエフェクタを受容するように構成される、項目16に記載の外科用機器。
(項目19)組織に外科用留め具を適用する方法であって、以下:
動力付きの外科用機器を提供する工程であって、該動力付き外科用機器は、以下:
ハウジング;
該ハウジングから遠位に延び、長手方向軸を規定する内視鏡部分;
該内視鏡部分の遠位端に選択的に接続可能なシャフト部分;および
該シャフト部分の遠位端の選択的に接続可能なエンドエフェクタ
を備える、工程;
該シャフト部分を該内視鏡部分の遠位端に接続する工程;ならびに
該エンドエフェクタを該シャフト部分の遠位端に接続する工程
を包含する、方法。
(項目20)前記シャフト部分が、複数のタイプのエンドエフェクタを受容するように構成される、項目19に記載の方法。
(項目21)外科用ステープル留め機器であって、以下:
ハンドルアセンブリ;
該ハンドルアセンブリの遠位端に選択的に接続可能であり、長手方向軸を規定する第一の内視鏡部分であって、該第一の内視鏡部分は、その近位端にあるハウジングと、細長の作動部材とを有する、第一の内視鏡部分;
該第一の内視鏡部分の遠位端に選択的に接続可能なエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第一の顎と第二の顎とを有し、該顎の少なくとも一方は、互いに関して可動である、エンドエフェクタ;および
該第一の内視鏡部分の該ハウジング内に配置されるモーターであって、該モーターは、該細長の作動部材を、該長手方向軸に沿って動かすために、該細長の作動部材に作動可能に接続される、モーターを備える、外科用ステープル留め機器。
(項目22)前記エンドエフェクタが、前記長手方向軸から離れて旋回可能となるように、旋回可能に設置される、項目21に記載の外科用ステープル留め機器。
(項目23)前記エンドエフェクタが、前記細長の作動部材との係合のために配置された関節運動リンクを備え、該関節運動リンクが、前記エンドエフェクタを前記長手方向軸から離して旋回させるように、該長手方向軸に沿って可動である、項目22に記載の外科用ステープル留め機器。
(項目24)前記第一の内視鏡部分の前記ハウジングが、前記ハンドルアセンブリに回転可能に接続されるためのノブを備える、項目23に記載の外科用ステープル留め機器。
(項目25)前記第一の内視鏡部分の前記ハウジングが、前記細長の作動部材に作動可能に接続されたアクチュエーターを備える、項目23に記載の外科用ステープル留め機器。
(項目26)項目23に記載の外科用ステープル留め機器であって、さらに、前記ハンドルアセンブリの前記遠位端に選択的に接続可能な第二の内視鏡部分を備える、外科用ステープル留め機器。
(項目27)前記第二の内視鏡部分が、回転可能なシャフトを有する、項目26に記載の外科用ステープル留め機器。
(項目28)項目27に記載の外科用ステープル留め機器であって、さらに、前記第二の内視鏡部分の遠位端に選択的に接続可能な円形のステープル留めアセンブリを備える、外科用ステープル留め機器。
(項目29)前記第一の内視鏡部分の前記ハウジングが、前記ハンドルアセンブリからの電力を伝えるための接触を備える、項目21に記載の外科用ステープル留め機器。
(項目30)前記第一の内視鏡部分の前記ハウジングが、前記ハンドルアセンブリに回転可能に接続されるためのノブを備え、前記接触が、該第一の内視鏡部分が前記長手方向軸の周りで回転することを可能にするために環状である、項目29に記載の外科用ステープル留め機器。
(項目31)前記第一の顎がアンビルアセンブリを備え、前記第二の顎がステープルカートリッジアセンブリを備える、項目21に記載の外科用ステープル留め機器。
【0010】
ここに開示される動力付きの外科用機器の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に従う動力付きの外科用機器の斜視図である。
図2図2は、図1の動力付きの外科用機器の一部を拡大した斜視図である。
図3図3は、図1および2の動力付きの外科用機器の一部を拡大した斜視図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に従う、図1〜3の動力付きの外科用機器の内部の構成要素の、部分的な斜視断面図である。
図5図5および6は、第一の位置に配置された、図1〜4の動力付きの外科用機器の内部の構成要素を示す、部分的な斜視断面図である。
図6図5および6は、第一の位置に配置された、図1〜4の動力付きの外科用機器の内部の構成要素を示す、部分的な斜視断面図である。
図7図7は、第二の位置に配置された、図1〜5の動力付きの外科用機器の内部の構成要素の断面図である。
図8A図8Aは、本開示の一実施形態に従う、図1〜7の動力付きの外科用機器の内視鏡部分を含む、部分的な斜視図である。
図8B図8Bは、図8Aに示される動力付きの外科用機器の部分の拡大した斜視図である。
図9図9〜11は、第三の位置に配置された、図1〜8の動力付きの外科用機器の内部の構成要素の、部分的な斜視断面図である。
図10図9〜11は、第三の位置に配置された、図1〜8の動力付きの外科用機器の内部の構成要素の、部分的な斜視断面図である。
図11図9〜11は、第三の位置に配置された、図1〜8の動力付きの外科用機器の内部の構成要素の、部分的な斜視断面図である。
図12図12および13は、本開示の一実施形態に従う、図1〜11の動力付きの外科用機器の部分の拡大した斜視図である。
図13図12および13は、本開示の一実施形態に従う、図1〜11の動力付きの外科用機器の部分の拡大した斜視図である。
図14図14は、本開示の一実施形態に従うハンドル部分を備える動力付きの外科用機器の部分の断面図である。
図15図15A〜Bは、本開示の一実施形態に従う、図1の動力付きの外科用機器の遠位部分の関節運動シャフトの斜視図である。
図16図16は、本開示の一実施形態に従う、選択的に接続可能なシャフト部分を有する動力付きの外科用機器の斜視図である。
図17図17A〜17Cは、各々が、シャフト部分に係合された円形のステープルカートリッジを有するエンドエフェクタの斜視図であり、各シャフト部分が、図16の動力付きの外科用機器と接続可能である。
図18図18は、シャフト部分に係合された、並行した顎部材を有するエンドエフェクタの斜視図であり、シャフト部分が、図16の動力付きの外科用機器と接続可能である。
図19図19は、図16の動力付きの外科用機器の後ろから見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態の詳細な説明)
ここに開示される動力付きの外科用機器の実施形態は、ここで、図面を参照して詳細に記載される。図面においては、類似の参照番号は、いくつかの図面の各々において、同一であるかまたは対応する要素を示す。本明細書において使用される場合、用語「遠位」とは、ユーザから離れた側の、動力付きの外科用機器またはその構成要素の部分を指し、一方で、用語「近位」とは、ユーザに近い側の、動力付きの外科用機器またはその構成要素の部分を指す。
【0013】
本開示に従う動力付きの外科用機器(例えば、外科用ステープラー)は、図面において、参照番号100として言及される。まず、図1を参照すると、動力付きの外科用機器100は、ハウジング110、内部を通って延びる長手方向軸A−Aを規定する内視鏡部分140、および内部を通って延びる長手方向軸B−B(図1において、軸A−Aと実質的に整列した状態で示される)を規定するエンドエフェクタ160を備える。内視鏡部分140は、ハウジング110から遠位に延び、そして、エンドエフェクタ160は、内視鏡部分140の遠位部分142に隣接して配置される。
【0014】
図2および3を参照すると、本開示の一実施形態に従うハウジング110の拡大図が図示される。図示される実施形態において、ハウジング110は、上部に少なくとも1つのボタン114(2つのボタン114aおよび114bが示される)を有するハンドル部分112を備える。ハンドル軸H−Hを規定するハンドル部分112は、ユーザの指に対応する凹み116を有する状態で示される。ボタン114aおよび114bの各々は、ユーザの指による押し下げを容易にするために、凹み116に配置されるように示される。
【0015】
引き続き図2および3を参照すると、ハウジング110の近位領域118は、ユーザインターフェース120を備える。図示される実施形態において、ユーザインターフェース120は、スクリーン122と、少なくとも1つのスイッチ124(7つのスイッチ124a〜124gが示される)とを備える。スクリーン122は、スクリーン上に読み取り可能な情報(一実施形態においては、動力付きの外科用機器100の状態の情報を含む)を表示する。スイッチ124a〜124gは、以下に詳細に記載されるように、動力付きの外科用機器100の種々の動作を制御する。
【0016】
図4〜7、9〜11および14は、動力付きの外科用機器100の種々の内部構成要素を図示し、これらの構成要素としては、駆動歯車200または駆動部材、駆動モーター210およびシフトモーター220が挙げられる。例えば、三位式ソレノイド(three−position solenoid)が、シフトモーター220の代わりとして使用され得ることが想定される。駆動歯車200は、内部を通って延びる駆動歯車軸C−C(図4)の周りで回転可能であり、そして、駆動歯車軸C−Cに沿って選択的に動くことが可能である。駆動モーター210は、駆動歯車200と機械的に協働するように配置され、そして、駆動歯車200を駆動歯車軸C−Cの周りで回転させるように構成される。シフトモーター220は、駆動歯車200と機械的に協働するように配置され(開示される実施形態によれば、駆動モーター210は駆動歯車200とシフトモーター220との間に図示される)、そして、駆動歯車200を駆動歯車軸C−Cに沿って軸方向に移動させるように構成される。開示される実施形態において、駆動モーター210および/またはシフトモーター220は、モーターまたは歯車モーターであり得、そのハウジング内に組み込まれた伝動装置を備え得る。
【0017】
シフトモーター220は、駆動歯車200を複数の位置の間で選択的に動かすように構成され;図示される実施形態では、3つの位置が示される。図5および6に図示される第一の位置は、エンドエフェクタ160の回転を可能にし;図7に図示される第二の位置は、エンドエフェクタ160の関節運動を可能にし;そして、図9〜11および14に図示される第三の位置は、動力付きの外科用機器100の作動を可能にする。
【0018】
駆動モーター210を囲む駆動モーターケーシング212の外部を一部除いた図が、図4〜7、9〜10および14に図示される。駆動モーターケーシング212は、内部に複数のスロット214(3つのスロット214a、214bおよび214cが図示される)を備える。各スロット214は、駆動歯車210を所望の位置に維持するための位置ロック216と嵌合可能である。例えば、図5において、位置ロック216は、スロット214aと嵌合する状態(第一の位置にある駆動歯車200に対応する)で示される。図7において、位置ロック216は、スロット214bと嵌合する状態(第二の位置にある駆動歯車200に対応する)で示される。図9、10および14は、スロット214cと嵌合した位置ロック216(第三の位置にある駆動歯車200に対応する)を図示する。図示される実施形態において、位置ロック216は、駆動モーターケーシング212に向かってばねにより負荷がかけられており、駆動モーター210を所望の位置に据えて、維持するのを助ける。
【0019】
図示される実施形態において、シフトモーター220は、駆動モーター210の近位に位置し、そして、駆動モーター210を、その第一の位置と、第二の位置と、第三の位置との間で、駆動歯車軸C−Cに沿って移動させるように構成される。図10を参照すると、シフトモーター220は、開示される実施形態に従う、内部にねじ切りされるネジハウジング223(図10を参照のこと)と連係したシフトネジ222を駆動するように図示される。さらに、位置ロック216に隣接して配置されるシフトセンサ224(図4を参照のこと)(例えば、位置ロック216により作動される、マイクロスイッチまたは光学的/強磁性の近接センサ)が、少なくとも1つのスイッチ124と電気的に通信して、シフトモーター220を開始または停止し、そして/または、駆動モーター210の位置に関するフィードバックを提供する(例えば、動力付きの外科用機器100についての操作様式が、望ましくはスクリーン122上に表示される)ことも開示される。例えば、駆動モーター210の位置が、ユーザインターフェース120のスクリーン122上に示され得る。
【0020】
図5および6を参照すると、駆動歯車200の第一の位置が図示される。ここで、環状歯車230または回転部材は、ハウジング110内に配置され、そして、環状歯車230の回転が、動力付きの外科用機器100の内視鏡部分140、エンドエフェクタ160および遠位ハウジング部分110aの回転をもたらす。環状歯車230の内面は、駆動歯車200を係合するためのネジ山および/または歯を備え、そして、近位ハウジング部分110bの遠位に配置される遠位ハウジング部分110aに取り付けられることが想定される。さらに、遠位ハウジング部分110aは、遠位ハウジング部分110a内に配置される、外縁を構成するように配置されたチャネル232と、近位ハウジング部分110b内に配置される、対応する外縁を構成するように配置されたフランジ234とにより、近位ハウジング部分110bに関して回転可能である。
【0021】
一実施形態において、環状歯車230は、遠位ハウジング部分110a内にしっかりと固定され、そして、駆動歯車200と嵌合様式で係合可能である。従って、駆動歯車200の回転は、環状歯車230を、そして従って、遠位ハウジング部分110aを回転させる。図2において、回転可能な遠位ハウジング部分110aからユーザの手を隔てるリップ235が示される。遠位ハウジング部分110aと近位ハウジング部分110bとの間の回転による摩擦を減らすために、複数の座金または玉軸受(TeflonTMの下で販売される、合成樹脂性のフッ素含有ポリマーから作製される可能性がある)が、遠位ハウジング部分110aと近位ハウジング部分110bとの間に配置されることが想定される。
【0022】
引き続き図6に図示される実施形態を参照すると、複数の移動止め231が、遠位ハウジング部分110aの表面233の周りに配置される。タブ237は、近位ハウジング部分110bに配置された状態で示され、そして、つめまたはばねにより付勢される部材を備え得る。開示される実施形態において、タブ237は、遠位に付勢され、そして、複数の移動止め231のうち少なくとも1つと機械的に協働している。移動止め231およびタブ237の組み合わせは、遠位ハウジング部分110aを、近位ハウジング部分110bに関する回転位置に固定するのに役立つ。さらに、移動止め231およびタブ237は、内視鏡部分140が回転されたときに、ユーザに、可聴および/または触知可能なフィードバックを与えるために提供され得る。開示される実施形態において、いったん所望の回転位置が選択されると、エンドエフェクタ160の回転位置をロックするために、三位式ソレノイドが使用され得る。
【0023】
図7において、駆動歯車200は、位置ロック216がスロット214bと整列される、その第二の位置において図示される。ここで、駆動歯車200は、少なくとも部分的にハウジング110の内部に配置された関節運動歯車240と嵌合様式で係合している。関節運動歯車240の回転は、エンドエフェクタ160を、長手方向軸B−Bが実質的に長手方向軸A−Aと整列するその第一の位置から、長手方向軸B−Bが、長手方向軸A−Aに対してある角度で配置される位置へと向けて動かす。好ましくは、複数の関節運動位置が達成される。
【0024】
図示される実施形態において、そして、特に図7および8を参照すると、エンドエフェクタ160の関節運動は、関節運動歯車240、関節運動ねじ242、関節運動リンク仕掛け244および少なくとも1つの関節運動棒260によって達成される。より具体的には、関節運動歯車240は、関節運動ねじ242にしっかりと設置され、その結果、その第二の位置にある間に、駆動歯車200の回転によって関節運動歯車240が回転されるとき、関節運動ねじ242もまた回転する。複数の軸受262は、関節運動ねじ242上の種々の位置において図示され、例えば、関節運動ねじ242の保持および整列、ならびに、関節運動ねじ242とハウジング110との間の摩擦の減少を容易にする。
【0025】
引き続き図7を参照すると、関節運動ねじ242は、関節運動リンク仕掛け244の内部にねじ切りされた部分248を通って延びる、ねじ切りされた部分246を備える。この関節運動ねじ242と関節運動リンク仕掛け244との間の関係性は、関節運動ねじ242を回転させたときに、関節運動リンク仕掛け244を、関節運動ねじ242のねじ切りされた部分246に沿って遠位に、そして/または、近位に(矢印DおよびEの方向に)動かす。例えば、関節運動ねじ242が第一の方向に(例えば、時計回りに)回転するとき、関節運動リンク仕掛け244は近位に動き、そして、関節運動ねじ242が第二の方向に(例えば、反時計回りに)回転するとき、関節運動リンク仕掛け244は遠位に動く。
【0026】
少なくとも1つの関節運動アーム250が、関節運動リンク仕掛け244から延びた状態で示される。一実施形態において、関節運動アーム250は、関節運動棒260に固定した状態で接続され、そして、1以上の関節運動アーム250が、1以上の関節運動棒260に接続可能であることが想定される。関節運動リンク仕掛け244が、関節運動歯車240の回転に応じて遠位に、そして/または近位に移動するとき、関節運動棒260もまた、これに応じて遠位に、そして/または近位に(長手方向軸A−Aに沿って、矢印FおよびGの方向に)移動する。(例えば、ハウジング110内に配置される)リミットスイッチ、近接センサ(例えば、光学的および/または強磁性のもの)、線形可変変位変換器およびシャフトエンコーダーのあらゆる組み合わせが、関節運動リンク仕掛け244の位置、および/または、エンドエフェクタ160の関節運動角度、および/または、(図9および11を参照して以下に考察されるような)発射棒306の位置を制御および/または記録するために利用され得る。
【0027】
図8Aおよび8Bを参照すると、関節運動棒260は、内視鏡部分140の少なくとも一部分を通って延び、そして、リンク仕掛け棒264と機械的に協働する状態で示される。従って、リンク仕掛け棒264は、同様に、関節運動歯車240が回転する際に、長手方向軸A−Aに沿って動く。リンク仕掛け棒264の遠位部分266は、エンドエフェクタ160と機械的に協働しており、その結果、リンク仕掛け棒264の近位および遠位への動きは、旋回軸Pの周りで、エンドエフェクタ160を、その第一の位置から第二の位置へと向けて動かす。例えば、リンク仕掛け棒264は、旋回軸Pから側方にずれた位置において、エンドエフェクタ160に接続される。より具体的に、かつ、例示の目的のために、リンク仕掛け棒264が遠位に動くとき、エンドエフェクタ160は、矢印Hの方向に関節運動し、そして、リンク仕掛け棒264が近位に移動するとき、エンドエフェクタ160は、矢印Iの方向に関節運動する。また、関節運動棒260の一部が、その関節運動を達成するために、エンドエフェクタ160と機械的に協働することも想定される。エンドエフェクタ160に関節運動を提供することについてのさらなる詳細は、共有に係る、Millimanらに対する米国特許第6,953,139号に詳細に記載され、この特許の内容は、その全体が本明細書により参考として援用される。
【0028】
本開示の一実施形態によれば、エンドエフェクタ160は、身体組織内に外科用留め具を配置するため、そして外科用留め具を形成するために、カートリッジアセンブリ(例えば、顎部材164)と、アンビル部分を備えるアンビルアセンブリ(例えば、顎部材162)とを備える。エンドエフェクタ160は、内視鏡部分140の長手方向軸に対して実質的に垂直な軸の周りに、旋回可能に設置される。カートリッジアセンブリ164は、複数のステープルを収容する。アンビルアセンブリ162は、カートリッジアセンブリ164から間隔を空けた開いた位置と、カートリッジアセンブリ164と近接して整列された、隣接する位置またはクランプ留めされた位置との間でカートリッジアセンブリ164に関して動くことが可能である。好ましくは、ステープルはカートリッジアセンブリ164内に収容され、身体組織にステープルの直線状の列を適用する。エンドエフェクタ160は、本体部分に旋回可能に取り付けられる設置部分へと取り付けられる。本体部分は、動力付きの外科用機器100の内視鏡部分140と一体になっていても、交換可能または使い捨てのローディングユニットを提供するために、動力付きの外科用機器100の内視鏡部分140に取り外し可能に取り付けられてもよい。ローディングユニットは、差込み接続によって内視鏡部分140に接続可能であり得る。ローディングユニットが、ローディングユニットの設置部分に接続された関節運動リンクを有し、そして、この関節運動リンクが、リンク仕掛け棒に接続され、その結果、リンク仕掛け棒が長手方向軸に沿って遠位方向−近位方向に移動されるとき、エンドエフェクタ160が関節運動することが想定される。関節運動を可能にするために、エンドエフェクタ160を内視鏡部分140に接続する他の手段が使用され得る。例えば、可撓性の管または複数の旋回可能な部材が使用され得る。
【0029】
ローディングユニットは、血管封鎖デバイス、直線状のステープル留めデバイス、円形のステープル留めデバイス、カッターなどのような種々のエンドエフェクタを組み込み得る(または、組み込むように構成され得る)。このようなエンドエフェクタは、動力付きの外科用機器100の内視鏡部分140に連結され得る。中間にある可撓性シャフト500は、ハンドル部分112とローディングユニットとの間に備えられ得る。例えば、図15A〜Bに示されるように、内視鏡部分140および遠位部分142は、可撓性シャフト500として示される。可撓性シャフト500は、複数の相互連結された角度のついた外側の管501および502を備える。図15Aは、関節運動していない構成の可撓性シャフトを示し、そして、図15Bは、関節運動した構成の可撓性シャフト500を示す。図15Aに示されるように、可撓性シャフト500が真っ直ぐであるとき、管501の幅の狭い部分が、管502の幅の広い部分と交互に並ぶ。図15Bに示されるように、可撓性シャフト500が完全に関節運動するとき、管501および502の狭い側と広い側とが向きを合わせる。このような可撓性シャフト500は、身体の特定の領域におけるアクセスを容易にし得る。
【0030】
さらに、種々のローディングユニットが使用され得る場合、デジタル制御モジュール(DCM)130(図4)が、棒306が、そのときに使用中のローディングユニット上にある特定のエンドエフェクタを駆動し得るように、棒306にかかる力を制御し得る。明瞭性のために、図面において、DCM 130を動力付きの外科用機器100の種々の構成要素に接続する電線は示されないが、このような電線は、本開示により企図される。ローディングユニットはまた、DCM 130に、どのエンドエフェクタがローディングユニット上にあるかを示す、機械的または電子的なセンサを備え得る。一実施形態において、DCM 130はまた、棒306にかかる力に関する情報を記憶し得る。さらに、駆動モーター210からの電圧および電流は、動力付きの外科用機器100の状態に関する情報および/またはフィードバックを提供するために測定され得る。例えば、ユーザが、厚過ぎる組織を締め付けることを試みる場合、電圧および/または電流は高くなる。この情報は、ユーザに提供され得、そして/または、電源が、遮断され得るか、もしくは、切られ得る。このような特徴は、機器内の機構に対する損傷を防止することに役立つと想定される。
【0031】
図9〜11および14を参照すると、駆動歯車200は、位置ロック216がスロット214cと整列したその第三の位置において図示される。ここで、駆動歯車200は、少なくとも部分的にハウジング110内に配置されたアクチュエーター歯車300と嵌合様式で係合している。より具体的には、駆動歯車200の前面204(図4)上に配置された一式の歯202は、アクチュエーター歯車300上の歯と嵌合様式で係合し、組織の把持、組織のクランプ留め、およびエンドエフェクタ160の発射(例えば、ステープル留めおよび切断)ならびに、その元の位置へと構成要素を引っ込めることのうち少なくとも1つを提供する。
【0032】
引き続き図9および11を参照すると、駆動管302、栓304および発射棒306もまた備えられる。駆動管302は、その全長の少なくとも一部分に沿って、内部のねじ山(明白には示されない)を備え、そして、アクチュエーター歯車300に固定して取り付けられる。栓304は、駆動管302の内部のねじ山とねじ切り可能に係合され、そして、駆動管302内をアクチュエーター歯車300に関して移動可能である。図9は、その最も近位の位置付近にある栓304を示し、そして、図11は、その最も遠位の位置付近にある栓304を図示する。発射棒306は、栓304に固定して接続され、そして、そこから遠位に延びる。開示の一実施形態において、発射棒306は、少なくとも、内視鏡部分140の遠位部分142まで延びる。
【0033】
駆動歯車200の回転に応じて、アクチュエーター歯車300および駆動管302もまた回転する。駆動管302が回転するとき、栓304および発射棒306は、駆動管302の領域で近位に、そして/または遠位に移動する。(例えば、駆動歯車200の時計回りの回転に対応する)発射棒306の遠位への移動は、エンドエフェクタ160の顎部材162、164(図1を参照のこと)に、これらの間に保持される組織を把持またはクランプ留めさせ得る。発射棒306のさらに遠位への移動は、(例えば、カム棒および/または作動スレッド(いずれも、この実施形態において明白には示されない)によって)エンドエフェクタ160から駆出される外科用留め具に組織を留めさせ得、そしてまた、ナイフ(この実施形態においては明白に示されない)に組織を切断させ得る。(例えば、駆動歯車200の反時計回りの回転に対応する)発射棒306の近位への移動は、顎部材162、164および/またはナイフを、その発射前の位置に戻し得る。エンドエフェクタ160を発射、および、他の方法で作動させることについてのさらなる詳細は、共有に係る、Millimanらに対する米国特許第6,953,139号において詳細に記載され、この特許の全内容は、本明細書において、本明細書により参考として援用される。
【0034】
開示の一実施形態において、エンドエフェクタ160のアンビル部分は、エンドエフェクタ160の駆動アセンブリによって係合されるためのカム表面を備える。駆動アセンブリは、駆動梁を備え、この駆動梁は、望ましくは、組織を切断するためのナイフを有する。駆動梁は、カム表面を係合するように位置決めされたカムローラーと、カートリッジアセンブリを係合するように位置決めされたフランジとを有し、駆動梁が遠位に進められるとき、アンビルアセンブリ162およびカートリッジアセンブリ164の互いに関する接近をもたらす。加えて、Millimanの米国特許第6,953,139号に開示されるように、さらに遠位方向に進められるとき、駆動梁は、カートリッジアセンブリから外科用留め具を配備するために作動部材を係合する。
【0035】
あらゆる組み合わせのセンサが、種々の構成要素の位置および/またはその操作段階(例えば、関節運動、回転、クランプ留め、エンドエフェクタ160の発射)を決定するために、動力付きの外科用機器100内に位置決めされ得る。例えば、上述のように、リミットスイッチ、近接センサ(例えば、線形および/または強磁性のもの)、電位差計、線形可変変位変換器(LVDT)、シャフトエンコーダーなどが、関節運動リンク仕掛け244、発射棒306および/または環状歯車230の位置を制御および/または記録することを助けるために使用され得る。
【0036】
ここで、図9、11および12を参照すると、内視鏡部分140は、ハウジング110に隣接する領域からエンドエフェクタ160へと向かって延びる管状ハウジング144を備える。駆動管302が回転するとき、エンドエフェクタ160は、その直接的な結果としては回転しない。図13を参照すると、管状ハウジング144は、その上部にある平坦な部分148を備え、この平坦な部分148は、発射棒306の平坦な部分310に対応する。一対の平坦な部分148および310は、発射棒306の軸方向の動きを制限するのに役立つことによって、発射棒306の回転を防止することに役立つ。
【0037】
図9を参照すると、駆動モーターシャフト218が、駆動モーター210から延び、そして、駆動歯車200に接続された状態で示される。留め具(この実施形態においては、明白には示されない)は、駆動モーターシャフト218上に駆動歯車220を保持するために使用され得る。駆動モーターシャフト218は、駆動モーター210によって回転され、従って、駆動歯車220の回転をもたらす。駆動モーターシャフト218は、平坦な部分219(1以上の平坦な部分219が備えられ得る)を有する状態で示され、この平坦な部分219は、駆動歯車220と駆動モーターシャフト218との間に「遊び」または「回転フロート(rotational float)」を可能にして、歯車の歯の整列を容易にし、さらに、駆動歯車220が位置間でシフトすることを可能にするのに役立つ。図9はまた、ハウジング110内に配置され、そして、部分的に、駆動管302を囲む軸受308を図示する。軸受308は、駆動管302の回転を容易にし、そして、内視鏡部分140を通して駆動管302を整列させることを助け、そして、駆動歯車200とアクチュエーター歯車300との間の全ての推力荷重を支える。
【0038】
図10において、変換器420は、駆動モーター210およびシフトモーター220に隣接した状態で示される。変換器420(例えば、力変換器または圧力変換器)は、アクチュエーター歯車300上に所望の圧力をかけるために必要とされる力を測定および/または制御し得る。変換器420は、ユーザにフィードバックを提供し得るユーザインターフェース120の一部と通信し得る。さらに、駆動モーター210とシフトモーター220との間にばね継手430が図示される。具体的には、開示される実施形態において、ばね継手430は、入れ子の保持器434内に設置されたばね432を備える。シフトねじ222は、ばね432を通って延びる状態で示され、そして、ばね432に圧縮負荷をかけるように構成され得る。保持器434は、ばね432が圧縮されるときに、縮むことが可能であることが想定される。駆動モーター210にかかる力は、ばね432および/または保持器434を用いて調節され得る。
【0039】
開示の一実施形態において、駆動歯車200およびアクチュエーター歯車300は、クラッチ面を形成する。歯車の歯は、シフトモーター200、および、シフトモーター200と駆動モーター210との間に配置されるばね継手430(図10に関して以下に考察されるようなもの)によって、閾値の力が駆動モーター210にかけられるまで、滑るように整列される。さらに、シフトモーター200およびばね継手430が、駆動歯車200とアクチュエーター歯車300とが滑ることなく係合するために必要とされる閾値の力をかけるとき、棒306は、遠位に駆動される。入れ子の保持器434は、一緒に組み込まれた停止部材を備え得、その結果、保持器434は、ばね継手430にかかる圧を減らすのではなく、棒306を引っ込める。
【0040】
図3を参照すると、スクリーン122と7つのスイッチ124a〜124gとを備えるユーザインターフェース120が示される。図示される実施形態において、ユーザインターフェースは、シフトセンサ224(図4)によってユーザインターフェース120に通信され得る「モード(MODE)」(例えば、回転、関節運動、または作動)、「状態(STATUS)」(例えば、関節運動の角度、回転速度、または作動のタイプ)、および「フィードバック(FEEDBACK)」(例えば、ステープルが発射されたかどうか)を表示する。スイッチ124aは、モードを表す「M」を有するように示され、このスイッチ124aは、回転、関節運動、把持、クランプ留めおよび発射を選択するために、シフトモーター220によって駆動歯車200を位置決めするために使用され得る。また、スイッチ124aは、ユーザに異なる組織のタイプと、ステープルカートリッジの種々のサイズおよび長さとを入力させるために使用され得ることも想定される。
【0041】
ユーザインターフェース120上のスイッチ124b〜124eの上には、矢印が示され、そして、これらのスイッチは、駆動歯車200が駆動モーター210によって回転される、方向、速度および/またはトルクを選択するために使用され得る。また、少なくとも1つのスイッチ124は、例えば、種々の設定を解除する緊急モードを選択するために使用され得ることも想定される。さらに、スイッチ124fおよび124gは、その上に「N」および「Y」を有する状態で図示される。スイッチ124fおよび124gは、ユーザが、動力付きの外科用機器100の種々の設定を操縦および選択することを補助するために使用され得ることが想定される。添付の図面からの逸脱が企図され、そして、本開示の範囲内であるので、スイッチ124a〜124g上の印およびそのそれぞれの機能は、添付の図面に示されるものに限定されない。さらに、そして図1および2を参照して、ボタン114aおよび114bは、駆動モーター210および/またはシフトモーター220の動きを開始および/または停止するために使用され得る。ボタン114aおよび114bについての他の機能も、より多いかまたはより少ない数のボタン114を有することもまた、予想される。特定の実施形態において、スイッチ124a〜124gは、例えば、1以上のマイクロエレクトロニクスメンブランスイッチを備え得る。このようなマイクロエレクトロニクスメンブランスイッチは、比較的低い作動力と、小さなパッケージサイズと、人間工学的なサイズおよび形状と、小さな輪郭と、スイッチ、記号、描写および/または示度についての成型文字を含める能力と、低い材料コストとを伴う。さらに、スイッチ124a〜124g(例えば、マイクロエレクトロニクスメンブランスイッチ)は、動力付きの外科用機器100の殺菌消毒を容易にするのを補助し、同様に、粒子および/または流体での汚染の防止を補助するために密閉され得る。
【0042】
スイッチ124またはボタン114の代替として、または、これに加えて、他の入力デバイスとしては、デジタル制御モジュール(DCM)130(図4)、または、DCM 130に接続された別個のデジタルモジュール内に組み込まれたハードウェアおよび/もしくはソフトウェアを備え得る、音声入力技術が挙げられ得る。音声入力技術としては、音声認識、音声作動、音声修正および/または埋め込み型の音声が挙げられ得る。ユーザは、全体的または部分的に、音声コマンドにより機器の操作を制御し得、したがって、他の機器を操作するためにユーザの片手または両手を自由にする。音声または他の可聴型出力もまた、ユーザにフィードバックを提供するために使用され得る。
【0043】
一実施形態において、ばね継手430は、動力付きの外科用機器100のフィードバックおよび制御において使用される。上述のように、DCM 130は、ユーザにフィードバックを提供するため、そして、動力付きの外科用機器100の操作の制御を補助するために、1以上のボタン114またはスイッチ124および1以上のディスプレイスクリーン122に接続され得る。DCM 130は、動力付きの外科用機器100のハウジング110内に組み込まれたデジタル基板であり得る。ばね継手430は、DCM 130と相互作用して、棒306にかかる力を制御し得る、圧力変換器を備え得る。
【0044】
また、ユーザインターフェース120は、表示される項目間をさらに区別するために、スクリーン122および/またはスイッチ124a〜124g上に、種々の色および/または明暗の文字を備えることも想定される。ユーザへのフィードバックはまた、例えば、パルスパターンの光、音によるフィードバック(例えば、選択された時間間隔で聞こえ得るブザー、ベルまたは発信音)、言葉によるフィードバック、および/または、触覚に基づく振動性のフィードバック(例えば、非同期モーターまたはソレノイド)の形態で備えられ得る。視覚、聴覚または触覚に基づくフィードバックは、その強度が増減され得る。例えば、フィードバックの強度は、機器に対する力が過大になりつつあることを示すために使用され得る。さらに、スイッチ124a〜124gは、ユーザが、ユーザインターフェース120を見る必要なしに、適切なスイッチ124を押すことを可能にするために、互いに異なる高さに位置決めされても、そして/または、隆起した印または他の表面の感じの特徴(例えば、凹部または凸部)を備えていてもよい。さらに、近位ハウジング部分110bは、ジョイスティックタイプの制御システムとして使用され得る。
【0045】
さらに、ユーザインターフェース120は、別個のディスプレイスクリーン122と、入力デバイス(例えば、スイッチ124またはボタン114)を備えていても、入力デバイスが、スクリーン122の全体または一部に組み込まれていてもよい。例えば、タッチスクリーン液晶ディスプレイ(LCD)は、ユーザが、操作上のフィードバックを見ながら、入力を提供することを可能にするために使用され得る。タッチスクリーンLCDは、抵抗性、容量性、または音波による制御を備え得る。このアプローチは、スクリーン122の構成要素の密閉を容易にして、動力付きの外科用機器100の殺菌消毒を補助し得、同様に、粒子および/または流体での汚染の防止を補助し得る。特定の実施形態において、スクリーン122は、使用中または準備中に、スクリーン122を見る際の柔軟性のために、動力付きの外科用機器100に対し、旋回可能または回転可能に設置される。例えば、スクリーン122は、動力付きの外科用機器100に、ヒンジ付けされても、玉継手により設置されてもよい。
【0046】
開示される実施形態において、動力付きの外科用機器100における種々のセンサによりモニターされる情報の少なくともいくつかは、手術室において、ビデオスクリーンまたはモニタリングシステムに提供され得る。例えば、データは、技術(Blue Tooth、ANT3、KNX、Z Wave、X10、無線USB、WiFi、IrDa、Nanonet、Tiny OS、ZigBee、無線通信、UHFおよびVHFを含む)により、動力付きの外科用機器100に組み込まれたか、または、動力付きの外科用機器100に関連付けられた、通信送信機から、手術室のモニタリングシステムのために、受信機へと送信され得る。このような特徴は、動力付きの外科用機器100のユーザ、または、他の手術室もしくは病院の職員、または遠隔地にいる人物によるモニタリングを容易にし得る。
【0047】
図4を参照すると、バッテリーパック400、燃料電池および/または高エネルギーコンデンサーの任意の組み合わせが、動力付きの外科用機器100に動力を供給するために使用され得る。例えば、コンデンサーは、バッテリーパック400と連係して使用され得る。ここで、コンデンサーは、バッテリー自体により提供され得るよりも早くエネルギーが所望/要求される場合に(例えば、厚みのある組織をクランプ留めする際、迅速に発射する際、クランプ留めする際など)、動力の瞬間的な増加のために使用され得る。というのも、バッテリーは、代表的には、低速ドレインのデバイスであり、ここから、電流は、早く流出できないからである。バッテリーは、コンデンサーを充電するためにコンデンサーに接続され得ることが想定される。
【0048】
また、バッテリーパック400は、少なくとも1つの使い捨てバッテリーを含むことが想定される。使い捨てバッテリーは、約9ボルトと約30ボルトとの間であり得、使い捨ての外科用機器において有用であり得る。電気的電源を含む他の動力供給手段もまた企図される。代替的な実施形態において、機器100を発電機に接続するためにコードが提供される。
【0049】
開示される実施形態において、DCMは、シフトモーター220および駆動モーター210に接続され、そして、バッテリー400のインピーダンス、電圧、温度および/または電流をモニターするため、そして、動力付きの外科用機器100の操作を制御するために、構成および配置される。バッテリー400上の負荷が、損傷の限界に到達するかまたは限界に近づいていることを示す場合、バッテリー400上の負荷、送信、モーター220、210および動力付きの外科用機器100の駆動構成要素は、モーターの速度を制御するように決定される。例えば、バッテリー400に残るエネルギー、残りの発射回数、バッテリー400が交換または充電されなければならないかどうか、そして/または、動力付きの外科用機器100の電位負荷制限が近いこと、が決定され得る。
【0050】
DCMは、モニターされる情報に応じてシフトモーター220および/または駆動モーター210の操作を制御するか、または制御を補助するように構成および配置され得る。電子クラッチを含み得るパルスの変調が、出力の制御において使用され得る。例えば、DCMは、電圧を調節するか、または、電圧をパルス変調して、動力および/またはトルク出力を調節し、システムの損傷を防ぐか、または、エネルギーの使用を最適化し得る。駆動モーター210および/またはシフトモーター220を制御するために、電気制動回路が使用され得る。この電気制動回路は、回転する駆動モーター210の既存の逆起電力(EMF)を用いて、反対に作用し、駆動歯車200の運動量を実質的に減らす。電気制動回路は、動力付きの外科用機器100の停止の精度および/またはシフトの位置についての駆動モーター210および/またはシフトモーター220の制御を改善し得る。動力付きの外科用機器100の構成要素をモニタリングするため、そして、動力付きの外科用機器100の過負荷の防止を補助するためのセンサとしては、熱センサ、サーミスター、サーモパイル、熱電対、および/または熱赤外線映像装置のような熱によるタイプのセンサが挙げられ得、これらは、DCMに対してフィードバックを提供し得る。DCMは、限界に到達するか、または限界が近い事象において、動力付きの外科用機器100の構成要素を制御し得、そして、このような制御としては、バッテリーパック400からの動力の切断、一過的な動力の遮断、または、停止モードへの移行、使用されるエネルギーを制限するためのパルス変調が挙げられ得、そして、DCMは、いつ操作が再開され得るかを決定するために、構成要素の温度をモニターし得る。DCMの上記使用は、電流、電圧、温度および/またはインピーダンスの測定と独立して使用されても、これらを要素の1つとして含めてもよい。
【0051】
図5に図示される実施形態において、2部品からなるハウジング226を備えるシフトモーター220が示される。2部品からなるハウジング226の各部品226aおよび226bは、互いにスライド可能に係合される。部品226aは、駆動モーターケーシング212にしっかりと固定され、一方で、部品226bは、シフトモーター220に付着され、そして、ハウジング110内を移動可能であることが想定される。さらに、例えば、変換器420からユーザインターフェース120に向けて電線(この実施形態において明白には示されない)を通過させるために、配線用スロット228が、備えられ得る(図10もまた参照のこと)。
【0052】
図14を参照すると、動力付きの外科用機器100が、ピストル−グリップ型のハンドル部分112を有する状態で図示される。ここで、ハンドル部分112は、長手方向軸A−Aからある角度(例えば、実質的に90°)で配置される。この実施形態において、少なくとも1つのボタン114がこの上に配置されることが想定される。さらに、ユーザインターフェース120は、図14に示される位置の近くに位置決めされ得る。さらに、動力付きの外科用機器100の種々の機能を制御するために、可動ハンドル(この実施形態において明白には示されない)が用いられ得る。
【0053】
エンドエフェクタ160は、再利用可能であり、ステープルカートリッジを受容し得、そして/または、使い捨てのローディングユニットの一部であることが想定される。使い捨てのローディングユニットのさらなる詳細は、共有に係る、Bolanosらに対する米国特許第5,752,644号に詳細に記載され、この特許の全内容は、本明細書中に、本明細書により参考として援用される。使い捨ておよび/または交換可能なローディングユニットは、Millimanらに対する米国特許第6,953,139号(先に参考として援用した)に開示されるように、関節運動のないエンドエフェクタを備え得る。シフトモーター220の第二の位置を電子的に不活発にするために、スイッチがハンドル部分112に隣接して提供され得る。機械的手段のような他の手段もまた使用され得る。
【0054】
外科用エンドエフェクタ160を組み込む使い捨てまたは交換可能なローディングユニットは、本開示の特定の実施形態において、エンドエフェクタ160の種々の構成要素の位置および/または操作(例えば、エンドエフェクタ160の関節運動、回転、クランプ留めおよび発射)を決定するためにローディングユニット内に位置決めされたセンサを備える。例えば、電気的接触、近接センサ、光学センサ、フォトダイオード、および/または、機械的もしくは金属的なセンサが、エンドエフェクタ160に関する情報を制御および/または記録するために使用される。アンビルアセンブリ162およびカートリッジアセンブリ164の互いに関する位置、エンドエフェクタ160の関節運動された位置または関節運動されていない位置、エンドエフェクタ160の回転、ならびに/または、ローディングユニット、ステープルカートリッジおよび/もしくはステープルカートリッジの構成要素の正確な搭載もまた決定され得る。
【0055】
速度、動力、トルク、クランプ留め、移動距離、および、特定のエンドエフェクタ160を操作するための強度の限界を含む、DCMの種々の情報を、決定および通信するために、識別システムも備えられ得る。DCMはまた、操作モードを決定し得、そして、電圧、クラッチのばねの負荷、および構成要素の移動のための停止点を調節し得る。より具体的には、識別システムは、内部に、DCMと(例えば、無線で、赤外線信号によるなどで)通信するエンドエフェクタ160内の構成要素(例えば、マイクロチップ、エミッターまたは送信機)、または受信機を備え得る。また、信号が発射棒306を介して送信され得、その結果、発射棒306が、DCMとエンドエフェクタ160との間を通信するための電線路として機能することも想定される。
【0056】
本開示に従う特定の実施形態において、ローディングユニットは、発射棒306と協働して、エンドエフェクタ160のアンビルアセンブリ162とカートリッジアセンブリ164とを接近させ、そして、ステープルカートリッジからステープルを発射する、軸方向の駆動アセンブリを備える。軸方向の駆動アセンブリは、Millimanらに対する米国特許第6,953,139号(この開示は、本明細書中で、本明細書により参考として援用される)の特定の実施形態において開示されるように、ステープルカートリッジを通って遠位に移動する梁を備え得、そして、ステープルが発射された後に引っ込められ得る。一例として、上述のセンサは、ステープルがステープルカートリッジから発射されたかどうか、ステープルが完全に発射されたかどうか、梁がステープルカートリッジを通って近位に引っ込められたかどうかとその度合い、および、ローディングユニットの操作に関する他の情報を決定するために使用され得る。本開示の特定の実施形態において、ローディングユニットは、機器100に搭載されるローディングユニットおよび/またはステープルカートリッジのタイプを識別するための構成要素(赤外線、セルラー(cellular)または無線周波数による識別チップ(例えば、Sensormaticまたは類似の技術)を含む)を組み込む。ローディングユニットおよび/またはステープルカートリッジのタイプは、フィードバック、制御および/または在庫の分析を提供するために、DCM内の関連する受信機、または、手術室内の外部デバイスによって受信され得る。電力またはバッテリーパック400は、動力付きの外科用機器100に搭載されたバッテリーパック400のタイプを識別するため、または、バッテリーパック400の状態に関するフィードバックを送信するための構成要素と協働し得る。
【0057】
本開示の特定の実施形態において、動力付きの外科用機器100は、外科用エンドエフェクタ160を組み込む、使い捨てまたは交換可能なローディングユニットと再利用可能な部分とを備える。この再利用可能な部分としては、ローディングユニットに取り外し可能に取り付けられるハウジング110および内視鏡部分140が挙げられる。再利用可能な部分は、その後の外科処置において、殺菌消毒および再使用するために構成され得る。一実施形態において、ハウジング110の構成要素は、粒子および/または流体での汚染の浸入に対して密閉され、そして、殺菌消毒プロセスによる構成要素の損傷を防止するのに役立つ。バッテリーパック400は、本開示に従う特定の実施形態において、再充電可能なバッテリーを含む。再充電可能なバッテリーは、例えば、機器100のハウジング110においてアクセス可能な接触に接続され得るか、または、再充電可能なバッテリーは、ハウジング110内に密閉される誘導性充電インターフェースを通じて再充電可能であり得る。誘導性充電インターフェースは、接触の短絡を排除し得、そして、気密または液体に抵抗性であるように密閉され得る内在バッテリーを提供し得る。
【0058】
本開示はまた、組織に外科用留め具を適用する方法に関する。この方法は、上記のような動力付きの外科用機器100の使用を包含する。
【0059】
ここで、図16〜19を参照すると、本開示の他の実施形態に従う動力付きの外科用機器(例えば、外科用ステープラー)は、参照番号1000として言及される。動力付きの外科用機器1000は、ハウジング1100、内部を通って延びる第一の長手方向軸D−Dを規定する内視鏡部分1400、シャフト部分1500、および、内部を通って延びる第二の長手方向軸E−Eを規定するエンドエフェクタ1600を備える。動力付きの外科用機器1000のさらなる詳細は、米国特許出願第11/786,933号(この全内容は、本明細書中で、本明細書により参考として援用される)に含まれる。図16〜19に図示される実施形態の特徴が、特定のタイプの外科用機器1000に関連して示されるが、図16〜19に関して記載される特徴は、図1〜15の動力付きの外科用機器100のような他の外科用機器とも作動可能であることが想定される。
【0060】
引き続き図16を参照すると、内視鏡部分1400はハウジング1100から遠位に延び、シャフト部分1500は、内視鏡部分1400の遠位端1402に選択的に接続可能であり、そして、エンドエフェクタ1600は、シャフト部分1500の遠位端1502に選択的に接続可能である。図16〜18に示されるように、複数の異なるシャフト部分1500が外科用機器1000と共に使用され得、そして、複数の異なるエンドエフェクタ1600もまた外科用機器1000と共に使用され得る。
【0061】
より具体的には、複数の異なるシャフト部分1500は、例えば、特定の目的のために、内視鏡部分1400に取り外し可能に接続できる。シャフト部分1500の少なくとも一部分が、関節運動可能であっても(図17A)、湾曲していても(図17B)、(例えば、図17に図示されるように)しなやかな材料から作製されていてもよいことが想定される。
【0062】
図16〜18に示されるように、複数の異なる種類のエンドエフェクタ1600が、外科用機器1000のシャフト部分1500に取り外し可能に接続できる。シャフト部分1500の遠位部分1502に選択的に接続可能なエンドエフェクタ1600の種類としては、旋回可能なカートリッジアセンブリを有するもの(図16および19)、実質的に円形のカートリッジアセンブリ(図17A、17Bおよび17C)、および並行した顎部材(図18)が挙げられることが想定される。さらに、エンドエフェクタ1600の各種類の種々の下位の種類が、シャフト部分1500に接続可能であり得ることが想定される。
【0063】
例えば、実質的に円形のカートリッジアセンブリを含むエンドエフェクタ1600の種類には、胃腸管吻合タイプのデバイス、横断吻合タイプのデバイス(例えば、米国特許第4,383,634号、同第5,782,396号、同第5,865,361号および同第5,318,221号を参照のこと)、および円形吻合タイプのデバイス(例えば、米国特許第4,304,236号を参照のこと)が含まれる。胃腸管吻合タイプのデバイスは、連続的に整列されたステープルを次から次に迅速に駆動および屈曲するように構成される一方で、横断吻合タイプのデバイスは、全てのステープルを同時に駆動および屈曲する。円形吻合タイプのデバイスは、組織にステープルの環状の列を同時に適用するように構成される。
【0064】
さらに、旋回可能なカートリッジアセンブリを有するエンドエフェクタ1600の種類では、下位の種類としては、ステープルを連続的に駆動するように構成されたエンドエフェクタ1600、および、ステープルを同時に駆動するように構成されたエンドエフェクタ1600が挙げられ得る。
【0065】
従って、特定のシャフト部分1500が、特定の種類のエンドエフェクタ1600(例えば、実質的に円形のカートリッジアセンブリを備えるエンドエフェクタ1600)と共に使用するために構成され得ることが想定される。このような一実施形態において、別のシャフト部分1500は、別の特定の種類のエンドエフェクタ1600(例えば、旋回可能なカートリッジアセンブリを備えるエンドエフェクタ1600、または、実質的に並行なままで互いに接近する顎部材を有するエンドエフェクタ1600)と共に使用するために構成され得る。
【0066】
さらに、特定のシャフト部分1500は、特定のタイプのエンドエフェクタ1600(例えば、実質的に円形のカートリッジアセンブリを備えるエンドエフェクタ1600、旋回可能なカートリッジアセンブリを備えるエンドエフェクタ1600、または、並行して接近する顎部材を有するエンドエフェクタ1600を含め、ステープルを連続的に発射するために構成されたエンドエフェクタ1600、または、ステープルを同時に発射するように構成されたエンドエフェクタ1600)と共に使用するために構成され得ることが想定される。
【0067】
さらに、特定のシャフト部分1500は、ステープルを連続的に発射するために構成されたか、そして/または、ステープルを同時に発射するために構成された、いくつかのタイプのエンドエフェクタ1600(実質的に円形のカートリッジアセンブリ、旋回可能なカートリッジアセンブリ、並行して接近する顎部材を備えるエンドエフェクタ1600を含む)と共に使用するために構成され得ることが想定される。ここで、医師は、例えば、関節運動されるか、屈曲しているか、または、しなやかなシャフト部分1500のような、他の特徴に基づいて、特定のシャフト部分1500を選択し得る。
【0068】
少なくとも1つの電子的な構成要素1700もまた、外科用機器1000の一部に備えられ得る。第一のセンサ1700aが内視鏡部分1400の上に備えられ、第二のセンサ1700bがシャフト部分1500の上に備えられ、そして、第三のセンサ1700cがエンドエフェクタ1600の上に備えられることが想定される。センサ1700は、種々の目的のために、ハウジング1100内、機器1000上の他の場所にある受信機/コントローラ、または、機器1000から離れたデバイスと協働することが想定される。例えば、第一のセンサ1700aは、内視鏡部分1400に係合されるシャフト部分1500のタイプを検出するために構成され得る。さらに、第二のセンサ1700bは、シャフト部分1500に係合されるエンドエフェクタ1600のタイプを検出するために構成され得る。
【0069】
さらに、ハウジング1100上にユーザインターフェース1800が備えられることが想定される。開示される実施形態において、ユーザインターフェース1800は、外科用機器1000内のセンサ1700により検出される少なくともいくつかの情報(例えば、内視鏡部分1400に接続されるシャフト部分1500のタイプ、シャフト部分1500に接続されるエンドエフェクタ1600のタイプ、など)を表示するスクリーンを備える。ユーザインターフェース1800はまた、エンドエフェクタ1600の状態(例えば、関節運動または回転の角度、ステープルがそこから発射されたかどうか、組織が顎部材の間にあるかどうかなど)を表示し得る。この情報はまた、手術室内のビデオスクリーンまたはモニタリングシステムに提供され得る。例えば、データは、Blue Tooth、ANT3、KNX、Z Wave、X10、無線USB、WiFi、IrDa、Nanonet、Tiny OS、ZigBee、無線通信、UHFおよびVHFを含む技術により、動力付きの外科用機器1000に組み込まれたか、または、動力付きの外科用機器1000に関連付けられた、通信送信機から、手術室のモニタリングシステムのために、受信機へと送信され得る。
【0070】
本開示はまた、組織に外科用留め具を適用する方法にも関する。この方法は、上記のように、動力付きの外科用機器100、1000を提供する工程を包含する。この方法はまた、シャフト部分1500を内視鏡部分1400の遠位端1402に接続する工程、および、エンドエフェクタ1600をシャフト部分1500の遠位端1502に接続する工程も包含する。
【0071】
種々の改変が、本明細書中に開示される実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、駆動モーター210および/または駆動歯車200についての長手方向軸に沿った位置は、示される位置とは異なり得る。駆動、回転、関節運動、および/または作動のために、異なるタイプの歯車が使用され得る。従って、上記の記載は、限定的なものとしてみなされるべきではなく、単に種々の実施形態を例示するものとしてみなされるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内で、他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0072】
100、1000:外科用機器
110、1100:ハウジング
112:ハンドル部分
114:ボタン
120、1800:ユーザインターフェース
122:スクリーン
124:スイッチ
130:デジタル制御モジュール(DCM)
140、1400:内視鏡部分
150、1500:シャフト部分
160、1600:エンドエフェクタ
164:カートリッジアセンブリ
162:アンビルアセンブリ
200:駆動歯車
210:駆動モーター
220:シフトモーター
224:シフトセンサ
240:関節運動歯車
242:関節運動ねじ
244:関節運動リンク仕掛け
250:関節運動アーム
260:関節運動棒
264:リンク仕掛け棒
1700:センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19