特許第5778217号(P5778217)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東和電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許5778217-集魚灯 図000002
  • 特許5778217-集魚灯 図000003
  • 特許5778217-集魚灯 図000004
  • 特許5778217-集魚灯 図000005
  • 特許5778217-集魚灯 図000006
  • 特許5778217-集魚灯 図000007
  • 特許5778217-集魚灯 図000008
  • 特許5778217-集魚灯 図000009
  • 特許5778217-集魚灯 図000010
  • 特許5778217-集魚灯 図000011
  • 特許5778217-集魚灯 図000012
  • 特許5778217-集魚灯 図000013
  • 特許5778217-集魚灯 図000014
  • 特許5778217-集魚灯 図000015
  • 特許5778217-集魚灯 図000016
  • 特許5778217-集魚灯 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778217
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】集魚灯
(51)【国際特許分類】
   A01K 79/00 20060101AFI20150827BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20150827BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150827BHJP
【FI】
   A01K79/00 H
   F21S2/00 642
   F21Y101:02
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-138826(P2013-138826)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-8715(P2015-8715A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2014年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151944
【氏名又は名称】株式会社東和電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(74)【代理人】
【識別番号】100162189
【弁理士】
【氏名又は名称】堀越 真弓
(72)【発明者】
【氏名】浜出 雄一
(72)【発明者】
【氏名】笠松 大祐
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−60807(JP,U)
【文献】 特表2013−503651(JP,A)
【文献】 特開2002−304903(JP,A)
【文献】 特開2011−244762(JP,A)
【文献】 特公昭26−6422(JP,B1)
【文献】 特開2002−84925(JP,A)
【文献】 特開平2−182129(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/123449(WO,A1)
【文献】 特開2003−134967(JP,A)
【文献】 実開昭54−1985(JP,U)
【文献】 米国特許第6203170(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0230667(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0045601(US,A1)
【文献】 特開2007−60989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 79/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漁船に取付けられ、船上からの光で魚類を集める集魚灯であって、
青色発光ダイオードに蛍光体を組み合わせて形成された擬似白色発光ダイオードと、該擬似白色発光ダイオードの光照射面側に配置され魚類の視感度が高い470〜500nmの波長領域において放射照度のスペクトル分布がほぼゼロとなるような高い光減衰度を有する赤色透過フィルタとを備えたことを特徴とする集魚灯。
【請求項2】
複数の前記擬似白色発光ダイオードを配置した発光ダイオード基板と、少なくとも前記複数の擬似白色発光ダイオード及び前記発光ダイオード基板を内部に収容する筐体と、該筐体の前面に密封的に取付けられた透明なカバー部材とを備えており、前記赤色透過フィルタは前記カバー部材とは別個に前記複数の擬似白色発光ダイオードの光照射面側に配置された赤色透過平板状フィルタであることを特徴とする請求項1に記載の集魚灯。
【請求項3】
複数の前記擬似白色発光ダイオードを配置した発光ダイオード基板と、少なくとも前記複数の擬似白色発光ダイオード及び前記発光ダイオード基板を内部に収容する筐体と、該筐体の前面に密封的に取付けられたカバー部材とを備えており、前記赤色透過フィルタは赤色透過平板状フィルタを兼用する前記カバー部材であることを特徴とする請求項1に記載の集魚灯。
【請求項4】
前記赤色透過平板状フィルタが、赤色の透明アクリル板であることを特徴とする請求項2又は3に記載の集魚灯。
【請求項5】
前記赤色透過平板状フィルタが、赤色の塩化ビニル板であることを特徴とする請求項2又は3に記載の集魚灯。
【請求項6】
前記赤色透過平板状フィルタが、透明板上に赤色透過フィルタ層を被着して構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の集魚灯。
【請求項7】
複数の前記擬似白色発光ダイオードを配置した発光ダイオード基板と、少なくとも前記複数の擬似白色発光ダイオード及び前記発光ダイオード基板を内部に収容する筐体と、該筐体の前面に密封的に取付けられた透明なカバー部材とを備えており、前記赤色透過フィルタは前記擬似白色発光ダイオードの各々の前面に被着された赤色透過フィルタ層であることを特徴とする請求項1に記載の集魚灯。
【請求項8】
前記赤色透過フィルタ層が、赤色塗料を塗布して構成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の集魚灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁船に取付けられ、船上からの光でサンマ等の魚類を集め、効率良く漁を行うための、発光ダイオード(LED)を用いた集魚灯に関する。
【背景技術】
【0002】
漁船に設けられる集魚灯は、多数の光源(白熱電球、メタルハライド灯)を船体の周囲位置に並設し、船上から海面を照射して魚類を集め、かつ留まらせるために使用される。サンマ漁やイカ漁などの漁船においては、集魚灯を夜間に点灯させて船体両側の水面を照らし、魚類が船体の近くに集まりかつ留まる習性を利用して捕獲を行っている。
【0003】
近年、消費電力を削減するために、メタルハライドランプや白熱電球に代えて、青色光を出射する青色LEDや赤色光を出射する赤色LEDを光源とする集魚灯が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
白熱電球に赤色塗料を塗布してなる赤色電球に代えて、例えば、赤色LEDを用いれば、同じ光強度をはるかに低い電力で提供することができるため、大幅な省電力化が可能となり、その結果、操業コストを大幅に低減化することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−84925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、赤色電球に代えて赤色LEDを用いたLED集魚灯により、実際にサンマ漁を行ってみると、サンマはこの種のLED集魚灯に対して、従来の赤色電球を用いた集魚灯に対するものと同様には反応せず、従来と同様の手法で漁を行った場合に、逆に漁獲量が大幅に低減する結果となっている。
【0007】
従って本発明の目的は、サンマ等の魚類に対して従来の赤色電球の場合と同じ手法で集魚灯を操作した場合にも同等の反応を得ることが可能なLEDを用いた集魚灯を提供することにある。
【0008】
本発明の目的は、より具体的には、サンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量の低減することがないLEDを用いた集魚灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、漁船に取付けられ、船上からの光で魚類を集める集魚灯であって、青色LEDに蛍光体を組み合わせて形成された擬似白色LEDと、この擬似白色LEDの光照射面側に配置され魚類の視感度が高い470〜500nmの波長領域において放射照度のスペクトル分布がほぼゼロとなるような高い光減衰度を有する赤色透過フィルタとを備えた集魚灯が提供される。
【0010】
擬似白色LEDとこの特殊な赤色透過フィルタとの組合せにより、従来の赤色電球と同様に、魚類の視感度の高い波長領域において放射照度がほぼゼロとなり、また、赤色領域においては、赤色LEDのように赤色の領域において急激に増大することなくなだらかに変化するスペクトル分布となっている。このため、サンマ等の魚類に対して従来の赤色電球に代えてかつその手法と同じ手法で集魚灯を操作した場合にも魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0011】
複数の擬似白色LEDを配置したLED基板と、少なくとも複数の擬似白色LED及びLED基板を内部に収容する筐体と、筐体の前面に密封的に取付けられた透明なカバー部材とを備えており、赤色透過フィルタはカバー部材とは別個に複数の擬似白色LEDの光照射面側に配置された赤色透過平板状フィルタであることが好ましい。
【0012】
複数の擬似白色LEDを配置したLED基板と、少なくとも複数の擬似白色LED及びLED基板を内部に収容する筐体と、筐体の前面に密封的に取付けられたカバー部材とを備えており、赤色透過フィルタは赤色透過平板状フィルタを兼用する上述のカバー部材であることも好ましい。
【0013】
赤色透過平板状フィルタが、赤色の透明アクリル板であることも好ましい。
【0014】
赤色透過平板状フィルタが、赤色の塩化ビニル板であることも好ましい。
【0015】
赤色透過平板状フィルタが、透明板上に赤色透過フィルタ層を被着して構成されていることも好ましい。
【0016】
複数の擬似白色LEDを配置したLED基板と、少なくとも複数の擬似白色LED及びLED基板を内部に収容する筐体と、筐体の前面に密封的に取付けられた透明なカバー部材とを備えており、赤色透過フィルタは擬似白色LEDの各々の前面に被着された赤色透過フィルタ層であることも好ましい。
【0017】
赤色透過フィルタ層が、赤色塗料を塗布して構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、サンマ等の魚類に対して従来の赤色電球に代えてかつその手法と同じ手法で集魚灯を操作した場合にも魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態としての集魚灯の構成例を概略的に示しており、(A)は立面図、(B)は一部破断平面図、及び(C)は(B)におけるC−C線断面図である。
図2】第1の実施形態における集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
図3】第1の実施形態におけるLEDの配置例を概略的に示す図である。
図4】第1の実施形態における白色LEDの発光強度のスペクトル分布特性図である。
図5】第1の実施形態における赤色透過フィルタを透過した白色LEDの放射照度のスペクトル分布特性図である。
図6】集魚灯に用いる種々の光源による放射照度のスペクトル分布を示す特性図である。
図7】第1の実施形態における集魚灯の漁船への取付け例を説明する図である。
図8】海水の光透過率のスペクトル分布を0.5m、1m、5m及び10mの各深度別に表す特性図である。
図9】深度0.5mにおける種々の光源による放射照度のスペクトル分布を示す特性図である。
図10】深度1mにおける種々の光源による放射照度のスペクトル分布を示す特性図である。
図11】深度5mにおける種々の光源による放射照度のスペクトル分布を示す特性図である。
図12】深度10mにおける種々の光源による放射照度のスペクトル分布を示す特性図である。
図13】本発明の第2の実施形態における赤色透過フィルタを透過した白色LEDの放射照度のスペクトル分布特性図である。
図14】本発明の第3の実施形態における赤色透過フィルタを透過した白色LEDの放射照度のスペクトル分布特性図である。
図15】本発明の第4の実施形態としての集魚灯の構成例を概略的に示しており、(A)は立面図、(B)は一部破断平面図、及び(C)は(B)におけるC−C線断面図である。
図16】第4の実施形態における集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態としての集魚灯の構成例を概略的に示している。
【0021】
図1に示すように、この第1の実施形態における集魚灯は、裏面に冷却用フィン10aが形成された本体部材10と、この本体部材10の前面に配置された透明な平板状のカバー部材11と、カバー部材11を本体部材10との間に挟み、複数のボルト13及びシール部材14等を用いて密封的に取付ける枠部材12とを備えている。本体部材10及び枠部材12はアルミニウム材料をダイキャストで形成されており、カバー部材11は光透過性の透明な樹脂材料、例えばポリカーボネートによって形成されている。本体部材10及び枠部材12は筐体を構成しており、この筐体とカバー部材11とが密封的に取付けられることによって内部が水密に保たれている。
【0022】
図1及び図2に示すように、この筐体の内部には、LED基板15がボルト16等によって本体部材10に固定されて設けられている。LED基板15の表面上には多数(図1の例では105個)のチップ型LED17が図3に示すような配列で固着されている。LED基板15には、これらチップ型LED17に電気的に接続されたプリント配線部が形成されており、さらに、このプリント配線部に電気的に接続された駆動抵抗及び定電流IC等の電源回路が搭載されている。これら電源回路は、本体部材10に設けられた防水ソケット18を介して電源ケーブル19に接続されている。
【0023】
筐体の内部において、チップ型LED17の前面には、赤色透過フィルタ20として1枚の平板状フィルタが設けられており、チップ型LED17から出射された光がこの平板状フィルタを通過し、さらにカバー部材11を通過して外部に放射されるように構成されている。
【0024】
チップ型LED17は、青色LEDに蛍光体を組み合わせて形成された擬似白色LEDであり、本実施形態においては、例えば日亜化学工業株式会社製のNS6W183Aを使用している。図4はこの擬似白色LEDの発光強度のスペクトル分布を示している。ただし、横軸は波長(nm)、縦軸は相対発光強度である。
【0025】
赤色透過フィルタ20である平板状フィルタは、魚類(例えばサンマ)の視感度が高い波長領域において高い光減衰度を有するフィルタである。なお、サンマは波長が470〜500nm付近の光に対して最大の視感度を有している。本実施形態における赤色透過フィルタ20は、例えばアクリルサンデー株式会社の赤透明アクリルサンデー板のごとき赤色の透明アクリル平板で厚さ2.0mmのものを用いている。図5は赤色透過フィルタ20として、この赤色透明アクリル平板を用いた際の放射照度のスペクトル分布を示している。ただし、横軸は波長(nm)、縦軸は相対放射照度である。光源としては、上述の擬似白色LEDを用いている。
【0026】
図6は集魚灯に用いる種々の光源の放射照度のスペクトル分布特性を示しており、Aは光源である擬似白色LEDから放射される光(赤色透過フィルタ無し)による放射照度スペクトル分布、Bは光源として擬似白色LEDを用い、赤色透過フィルタ20として第1の実施形態における赤色透明アクリル板を用いた場合の放射照度スペクトル分布、Cは光源として従来の白色電球(500W)から放射される光(赤色透過フィルタ無し)による放射照度スペクトル分布、Dは光源として白色電球に赤色塗料を塗布した従来の赤色電球(500W)から放射される光による放射照度スペクトル分布をそれぞれ示している。ただし、図6において、横軸は波長(nm)、縦軸は放射照度(μm/cm/nm)である。
【0027】
図6のB及びDを比較して分かるように、本実施形態のごとく(擬似白色LED)+(赤色透明アクリル板)の組合せによる放射照度のスペクトル分布Bは、従来の赤色電球による放射照度のスペクトル分布Dと同様に、サンマの視感度が高い波長領域(470〜500nm)においてはほぼゼロであり、また、赤色LEDのように赤色の領域において急激に増大することなくなだらかに変化するスペクトル分布を有している。
【0028】
図7は本実施形態のような集魚灯を実際に漁船に取付けて使用する例を説明している。
【0029】
同図において、70はサンマ棒受網漁の漁船、71〜73は漁船70から伸長するポール74に取付けられた集魚灯、75は海中76内のサンマ、77は棒受網をそれぞれ示している。漁船70には、その周囲に向けて多数のポール74が設置されており、各ポール74に単数又は複数の集魚灯が海面に向けて設置されている。集魚灯としては、サンマ棒受網漁の漁船70の場合、メタルハライドランプ、青色LED、白色LED、ハロゲンランプ及び白熱ランプをそれぞれ光源とする集魚灯の他に、本実施形態のようにLEDを用いた赤色の集魚灯が設けられる。サンマ漁の手法によっては、大部分の集魚灯を赤色集魚灯とする場合もある。
【0030】
サンマ漁は、まず、メタルハライドランプによる集魚灯やサーチライト、青色LEDや白色LEDによる集魚灯、ハロゲンランプや白熱ランプによる集魚灯を点灯させ、白色光系の強い光でサンマの群れを集める。次いで、漁船の回りの集魚灯を順次消灯及び点灯させるなどの操作により、集まったサンマの群れが漁船の周囲を回るように誘導し、最終的に棒受網内に誘導して漁獲する。その漁獲の際、最後に赤色の集魚灯を点灯させ照射して、サンマの群れを上方に上げる操作が行われる。また、白色光系の強い光を照射し続けると、サンマは散ってしまうため、赤色の集魚灯を点灯させてサンマを漁船の周囲の上層に長く留まらせることも行われる。
【0031】
サンマの視感度は、前述したように、波長が470〜500nmの青色領域について高く、波長が580nm以上の赤色領域においてはかなり低くなっている。また、赤色領域の光は、海水中では深い部分まで届かず、上層のみを照射する傾向にある。
【0032】
図8は海水の光透過率のスペクトル分布を0.5m、1m、5m及び10mの各深度別に示している。図9図12はこの光透過率のスペクトル分布を用いて求めた種々の光源による放射照度のスペクトル分布を示している。ここで、図9は深度が0.5mの場合、図10は深度が1mの場合、図11は深度が5mの場合、図12は深度が10mの場合である。ただし、図9図12において、横軸は波長(nm)、縦軸は放射照度(μm/cm/nm)である。
【0033】
図9図12において、aは光源として赤色LEDを用いた場合、bは光源として従来の白色電球(500W)を用いた場合、cは光源として白色電球に赤色塗料を塗布した従来の赤色電球(500W)を用いた場合、dは光源として擬似白色LEDを用い、その前面に赤色透過フィルタ20として(ポリカーボネート板)+(赤色塗料)を用いた場合(第3の実施形態)をそれぞれ示している。
【0034】
aの赤色LEDの場合は、いずれの深度においても放射照度値が大きすぎるため、サンマは漁船の近傍に留まらず逃げてしまう。また、bの従来の白色電球(500W)の場合は、深度5m及び深度10mにおいてもサンマの視感度の高い領域で放射照度値が大きく、サンマは上方に浮いてはこず、逃げてしまう。一方、cの従来の赤色電球(500W)の場合、サンマの視感度の高い波長470〜500nmの領域での放射照度値がいずれの深度でも比較的低いため、サンマは上方に集まり、かつ、漁船の周囲に長い間留まる。dの第3の実施形態の場合、cの従来の赤色電球(500W)と同様にサンマの視感度の高い波長470〜500nmの領域での放射照度値がいずれの深度でも比較的低くなっている。深度10mにおいて、波長480nm以下の領域での放射照度値が高くなっているが、この領域においてはサンマの視感度が低いため、問題とはならない。
【0035】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、従来の赤色電球と同様にサンマの視感度の高い波長470〜500nmの領域においてほぼゼロとなり、赤色LEDのように赤色の領域において急激に増大することなくなだらかに変化するスペクトル分布の放射照度が得られる。このため、サンマ等の魚類に対して従来の赤色電球に代えてかつその手法と同じ手法で集魚灯を操作した場合にもサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0036】
図13は、本発明の第2の実施形態における赤色透過フィルタを透過した白色LEDの放射照度のスペクトル分布特性を示している。
【0037】
本実施形態では、赤色透過フィルタ20である平板状フィルタの構成が第1の実施形態の場合と相違するのみであり、その他の構成は第1の実施形態の場合と全く同様である。従って、以下の説明は、両者の相違する部分についてのみ行う。また、両実施形態において同様の構成要素には同じ参照符号を用いることとする。
【0038】
本実施形態における赤色透過フィルタ20も、魚類(例えばサンマ)の視感度が高い波長領域において高い光減衰度を有するフィルタである。本実施形態における赤色透過フィルタ20は、例えば株式会社光栄堂の赤色塩化ビニル板のごとき赤色塩ビ平板で厚さ0.4mmのものを用いている。図13は赤色透過フィルタ20として、この赤色塩ビ平板を用いた際の放射照度のスペクトル分布を示している。ただし、横軸は波長(nm)、縦軸は相対放射照度である。光源としては、上述の擬似白色LEDを用いている。
【0039】
図6において、Eは光源として擬似白色LEDを用い、赤色透過フィルタ20として第2の実施形態における赤色塩化ビニル板を用いた場合の放射照度スペクトル分布を示している。
【0040】
図6のE及びDを比較して分かるように、本実施形態のごとく(擬似白色LED)+(赤色塩化ビニル板)の組合せによる放射照度のスペクトル分布Eは、従来の赤色電球による放射照度のスペクトル分布Dと同様に、サンマの視感度が高い波長領域(470〜500nm)においてはほぼゼロであり、また、赤色LEDのように赤色の領域において急激に増大することなくなだらかに変化するスペクトル分布を有している。なお、波長450nm近傍の領域での放射照度値が多少高くなっているが、この領域においてはサンマの視感度が低いため、問題とはならない。
【0041】
従って、本実施形態によれば、従来の赤色電球と同様にサンマの視感度の高い波長470〜500nmの領域においてほぼゼロとなり、赤色LEDのように赤色の領域において急激に増大することなくなだらかに変化するスペクトル分布の放射照度が得られる。このため、サンマ等の魚類に対して従来の赤色電球に代えてかつその手法と同じ手法で集魚灯を操作した場合にもサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0042】
図14は、本発明の第3の実施形態における赤色透過フィルタを透過した白色LEDの放射照度のスペクトル分布特性を示している。
【0043】
本実施形態では、赤色透過フィルタ20である平板状フィルタの構成が第1の実施形態の場合と相違するのみであり、その他の構成は第1の実施形態の場合と全く同様である。従って、以下の説明は、両者の相違する部分についてのみ行う。また、両実施形態において同様の構成要素には同じ参照符号を用いることとする。
【0044】
本実施形態における赤色透過フィルタ20も、魚類(例えばサンマ)の視感度が高い波長領域において高い光減衰度を有するフィルタである。本実施形態における赤色透過フィルタ20は、例えば旭硝子株式会社のカーボグラスSG-AHのごとき透明のポリカーボネート板で厚さ3.0mmのものからなる透明平板上に赤色透過フィルタ層を被着したものである。赤色透過フィルタ層は第1及び第2の実施形態の赤色透過フィルタ20と同様のスペクトル分布を有しているものであれば、例えば塗料層、フィルム層等どのようなものであっても良いが、ここでは、赤色の印刷用インキを塗布している。赤色の印刷用インキとしては、例えば、DICグラフィックス株式会社の14版155マゼンタを用いている。図14は赤色透過フィルタ20として、この透明のポリカーボネート板に赤色塗料を塗布したものを用いた際の放射照度のスペクトル分布を示している。ただし、横軸は波長(nm)、縦軸は放射照度(μm/cm/nm)である。光源としては、上述の擬似白色LEDを用いている。
【0045】
図6において、F〜Hは光源として擬似白色LEDを用い、赤色透過フィルタ20として第3の実施形態における透明ポリカーボネート板に赤色塗料を塗布したものを用いた場合の放射照度スペクトル分布を示している。ただし、Fは赤色塗料の塗布厚が比較的薄い場合、Gは赤色塗料の塗布厚が中間の場合、Hは赤色塗料の塗布厚が比較的厚い場合である。
【0046】
図6のF〜HとDとを比較して分かるように、本実施形態のごとく(擬似白色LED)+(ポリカーボネート板)+(赤色塗料)の組合せによる放射照度のスペクトル分布F〜Hは、従来の赤色電球による放射照度のスペクトル分布Dと同様に、サンマの視感度が高い波長領域(470〜500nm)においてはほぼゼロであり、また、赤色LEDのように赤色の領域において急激に増大することなくなだらかに変化するスペクトル分布を有している。なお、波長450nm近傍の領域での放射照度値が多少高くなっているが、この領域においてはサンマの視感度が低いため、問題とはならない。
【0047】
従って、本実施形態によれば、従来の赤色電球と同様にサンマの視感度の高い波長470〜500nmの領域においてほぼゼロとなり、赤色LEDのように赤色の領域において急激に増大することなくなだらかに変化するスペクトル分布の放射照度が得られる。このため、サンマ等の魚類に対して従来の赤色電球に代えてかつその手法と同じ手法で集魚灯を操作した場合にもサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0048】
図15及び図16は、本発明の第4の実施形態としての集魚灯の構成例を概略的に示している。
【0049】
図15に示すように、この第4の実施形態における集魚灯は、裏面に冷却用フィン150aが形成された本体部材150と、この本体部材150の前面に配置された平板状のカバー部材151と、カバー部材151を本体部材150との間に挟み、複数のボルト153及びシール部材154等を用いて密封的に取付ける枠部材152とを備えている。本体部材150及び枠部材152はアルミニウム材料をダイキャストで形成されており、本実施形態ではカバー部材151が後述する赤色透過フィルタを兼用している。本体部材150及び枠部材152は筐体を構成しており、この筐体とカバー部材151とが密封的に取付けられることによって内部が水密に保たれている。
【0050】
図15及び図16に示すように、この筐体の内部には、LED基板155がボルト156等によって本体部材150に固定されて設けられている。LED基板155の表面上には多数(図15の例では105個)のチップ型LED157が前述の図3に示すような配列で固着されている。LED基板155には、これらチップ型LED157に電気的に接続されたプリント配線部が形成されており、さらに、このプリント配線部に電気的に接続された駆動抵抗及び定電流IC等の電源回路が搭載されている。これら電源回路は、本体部材150に設けられた防水ソケット158を介して電源ケーブル159に接続されている。
【0051】
筐体の内部において、チップ型LED157の前面には、赤色透過フィルタを兼用するカバー部材151が設けられているのみであり、チップ型LED157から出射された光がこのカバー部材151を通過して外部に放射されるように構成されている。
【0052】
チップ型LED157は、青色LEDに蛍光体を組み合わせて形成された擬似白色LEDであり、本実施形態においては、例えば日亜化学工業株式会社製のNS6W183Aを使用している。この擬似白色LEDの発光強度のスペクトル分布は図4に示した通りである。
【0053】
赤色透過フィルタを兼用するカバー部材151は、魚類(例えばサンマ)の視感度が高い波長領域において高い光減衰度を有するフィルタである。なお、サンマは波長が470〜500nm付近の光に対して最大の視感度を有している。本実施形態における赤色透過フィルタ兼用カバー部材151は、例えばアクリルサンデー株式会社の赤透明アクリルサンデー板のごとき赤色の透明アクリル平板で厚さ2.0mmのものを用いている。この赤色透明アクリル平板を用いた際の放射照度のスペクトル分布は図5に示した通りである。光源としては、上述の擬似白色LEDを用いている。
【0054】
本実施形態の作用効果は、前述の第1の実施形態の場合と全く同様であるため、説明を省略する。
【0055】
第4の実施形態の変更態様として、赤色透過フィルタを兼用するカバー部材151に、第2の実施形態で用いた例えば株式会社光栄堂の赤色塩化ビニル板のごとき赤色塩ビ平板で厚さ0.4mmのものを用いても良い。
【0056】
また、第4の実施形態の他の変更態様として、赤色透過フィルタを兼用するカバー部材151に、第3の実施形態で用いた例えば旭硝子株式会社のカーボグラスSG-AHのごとき透明のポリカーボネート板で厚さ3.0mmのものからなる透明平板上に赤色透過フィルタ層を被着したものを用いても良い。赤色透過フィルタ層として、例えば、DICグラフィックス株式会社の14版155マゼンタである赤色の印刷用インキからなる赤色塗料を用いても良い。
【0057】
さらに、本発明の第5の実施形態として、図示されていないが、各擬似白色LEDの前面に上述した赤色塗料を塗布したものを用いても良い。
【0058】
さらにまた、擬似白色LEDに代えて赤色LED、緑色LED及び青色LEDを組み合せて擬似白色光源としても良い。
【0059】
また、上述した実施形態では、擬似白色LEDとしてチップ型LEDを用いているが、砲弾型LED又はその他の種類のLEDを用いても良いことはもちろんである。
【0060】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0061】
10、150 本体部材
10a、150a 冷却用フィン
11、151 カバー部材
12、152 枠部材
13、16、153、156 ボルト
14、154 シール部材
15、155 LED基板
17、157 チップ型LED
18、158 防水ソケット
19、159 電源ケーブル
20 赤色透過フィルタ
70 漁船
71、72、73 集魚灯
74 ポール
75 サンマ
76 海中
77 棒受網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16