特許第5778228号(P5778228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5778228ローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778228
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】ローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   A61J3/00 310F
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-184089(P2013-184089)
(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公開番号】特開2014-140614(P2014-140614A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2013年9月5日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0007610
(32)【優先日】2013年1月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513225246
【氏名又は名称】インフォピア カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INFOPIA CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ピョン−ウ ペ
(72)【発明者】
【氏名】クン‐ヨン キム
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/780883(WO,A2)
【文献】 特表2014−500773(JP,A)
【文献】 特開2003−104333(JP,A)
【文献】 特開2002−370702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容された薬剤が排出されるように、下側に開放された排出口が形成されたカートリッジケースと、
記カートリッジケースの内側に回転可能に設けられたドラムと、
前記カートリッジケースが搭載されるカートリッジベースと、
を備え、
当該カートリッジケースの内部底面には、前記ドラムの底面に向かって凸状の突起が突出した凹凸部が形成されており、
前記ドラムの底面には、当該カートリッジケースの内部底面に向かって突出した突出部と当該カートリッジケースの内部底面から遠ざかるように凹入された溝部とが、前記ドラムの回転方向に沿って繰り返し形成されており、
前記ドラムの側面には、前記ドラムの回転に応じて、前記排出口を選択的に開閉するように複数のセルが凹入形成されている
ことを特徴とするローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジ。
【請求項2】
前記凹凸部は、前記ドラムの底面から遠ざかるように凹入された収容溝が前記ドラムの回転方向に沿って複数配置されたリング部材と、前記収容溝に配されて空転するボール部材とを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジ。
【請求項3】
前記ドラムの底面には、前記突出部及び溝部として、前記ドラムの回転方向に沿って凹凸が繰り返される波状の曲面が形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジ。
【請求項4】
前記突出部及び溝部の個数は、前記ドラムに形成されたセル数の2倍である
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジケースの排出口を開閉するドラムが回転すると同時に、上下にローリングされるローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、薬師の手作業による薬剤包装による問題点を解消するために、薬剤包装装置が提案されている。薬剤包装装置は、医師がコンピュータ操作によって処方を入力すれば、その処方によって薬剤を1回服用分量ずつ自動で分配して包装する。このような薬剤包装装置は、各種の薬剤が種類別に分類されて収納される薬剤キャビネットと、薬剤キャビネットの下側で、薬剤キャビネットから供給される薬剤を包装する包装ユニットと、を含んで構成される。
【0003】
薬剤キャビネットは、多数の薬剤カートリッジを収容できるように構成される。薬剤カートリッジは、一種ずつ薬剤が分けられて収納され、該収納された薬剤を処方信号によって包装ユニットに排出する。薬剤カートリッジのケースは、内部に収容された薬剤が排出されるように、下側に開放された排出口を形成するカートリッジケースと、前記排出口を選択的に開閉するように、前記カートリッジケースの内部に設けられるドラムと、前記カートリッジケースが搭載されるカートリッジベースと、を含む。
【0004】
ところが、ドラムが水平の状態を保持し、単に回転動作のみ反復する場合、カートリッジケースの排出口を開閉することができるが、カートリッジケースの薬剤が一定にドラムのセルに入らず、ディスペンシング(dispensing)タイムが一定しなくなる問題があり、特に、薬剤が多い場合、薬剤の自重と圧力とによって、薬剤が各セルに効率的に供給されなくなる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、カートリッジの内部に収容された薬剤の自重などの原因で発生する集中負荷を均一に分散させることができて、薬剤をドラムの各セルにより迅速かつ安定して供給することができるローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジを提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を果たすための本発明の一実施形態によるローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジは、内部に収容された薬剤が排出されるように、下側に開放された排出口を形成するカートリッジケースと、前記排出口を選択的に開閉するように、前記カートリッジケースの内部に設けられるドラムと、前記カートリッジケースが搭載されるカートリッジベースと、を含むものであって、前記ドラムの底面には、下方に凸状の突出部と、上方に凹入された溝部と、が繰り返して形成され、前記ドラムの底面と接するカートリッジケースの底面には、前記突出部及び溝部と対応する突起が区間別に突出した凹凸部が形成される。
【0007】
また、前記凹凸部は、前記ドラムの下方に配され、上面に下方に凹入された収容溝が区間別に形成されたリング部材と、前記リング部材の収容溝に配されて空転するボール部材と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カートリッジの内部に収容された薬剤の自重などの原因で発生する集中負荷を均一に分散させることができて、薬剤をドラムの各セルにより迅速かつ安定して供給することができる。
【0009】
また、カートリッジの内部に収容された薬剤の排出停滞が発生しても、即座に対処して薬剤の円滑な排出がなされて、薬剤包装作業の生産性を向上させ、薬剤包装の正確度を高めうる。
【0010】
また、ドラムの回転負荷を減らし、ドラムのセルに薬剤を均一に分散させて、錠剤排出時間を短縮させ、かつ省エネ効果も期待し、カートリッジケースをカートリッジベースから分離する時に、ドラムの任意の回転を防ぐことができて、錠剤が漏れない。
【0011】
さらに、ジャム(jam)現象を防止して、薬剤が引っ掛って排出されなくなる問題を解決し、錠剤が静電気によってドラムなどに張り付いているか、最後の1錠が引っ掛っている場合、振動によって迅速に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジの上昇状態を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態によるローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジの下降状態を示す断面図である。
図3図1において、ドラムを抜粋して示した底面斜視図である。
図4図1において、ドラムと凹凸部とを抜粋して示した分解斜視図である。
図5図1のドラムが回転する過程での変位を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を添付図面を参照して詳しく説明すれば、次の通りである。ここで、同じ構成に対しては同じ符号を使い、反復される説明、本発明の要旨を不明にする恐れがある公知機能及び構成についての詳細な説明は省略する。本発明の実施形態は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面での要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されうる。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態によるローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジの上昇状態を示す断面図であり、図2は、本発明の一実施形態によるローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジの下降状態を示す断面図である。
【0015】
本発明の一実施形態によるローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジは、内部に収容された薬剤が排出されるように、下側に開放された排出口110を形成するカートリッジケース100と、前記排出口110を選択的に開閉するように、前記カートリッジケース100の内部に設けられるドラム200と、前記カートリッジケース100が搭載されるカートリッジベース(図示せず)を含むものであって、前記ドラム200の底面には、下方に凸状の突出部220と、上方に凹入された溝部230と、が繰り返して形成され、前記ドラム200の底面と接するカートリッジケース100の底面101には、上部に凸状の突起501が区間別に突出した凹凸部500が形成される。
【0016】
前記カートリッジケース100は、内部空間を有し、上部が開口された構造からなりうる。これにより、カートリッジケース100の上部開口部を通じて内部空間に薬剤が収納されうる。ここで、カートリッジケース100に収納される薬剤は、錠剤や散剤のような多様な形態の薬剤であり得る。前記カートリッジケース100の下側には、内部に収容された薬剤が排出されるように開放された排出口110を形成する。
【0017】
ドラム200は、前記排出口110を選択的に開閉するように、前記カートリッジケース100の内部に設けられる。前記ドラム200は、前記カートリッジケース100が搭載されるカートリッジベース(図示せず)に固定された駆動手段400と連結されて、処方信号によって排出口110を開閉するように回転する。前記ドラム200と駆動手段400は、ドラム200の下端に延設されたシリンダー210を通じて連結される。具体的には、前記駆動手段400の回転軸410が、前記シリンダー210に係止される方式で連結されて、前記駆動手段400が回転する時、ドラム200が回転することができる。前記駆動手段400は、薬剤包装装置の全般的な作動を制御する制御部によって制御される。
【0018】
従来、前記ドラム200が、前記カートリッジケース100の底面101に載置されて水平の状態を保持し、回転しながらカートリッジケース100の排出口110を開閉した。しかし、この際、ドラム200に多量の薬剤が供給されれば、薬剤の自重とその圧力とによって、薬剤が各セル240に均一に分配されなくなる問題点があった。これを解決するために、本発明は、前記ドラム200の底面に下方に凸状の突出部220と、上方に凹入された溝部230と、を繰り返して形成し、前記ドラム200の底面と接するカートリッジケース100の底面101には、上部に凸状の突起501が区間別に突出した凹凸部500を形成した。前記凹凸部500は、前記カートリッジケース100の底面101を区間別に突出加工させて突起501を形成する一体型であり、前記カートリッジケース100の底面101と別途に形成されて結合される分離型であり得る。
【0019】
図5は、図1のドラムが回転する過程での変位を示したグラフである。前記のように、ドラム200の底面に凹凸が形成される場合、前記カートリッジケース100の底面101に形成された凹凸部500の作用で、前記ドラム200が回転すると同時に、ドラム200が上下方向にガタガタとローリング(rolling)されるために、薬剤の集中負荷を防止し、結果的には、ドラム200の各セル240に薬剤が均一に分配されうる。一方、前記凹凸部500は、区間別に介在されたボールが前記ドラム200の底面と接するように上部に露出されたリング状のボール軸受に代替されうる。
【0020】
本発明によれば、前記凹凸部500が、カートリッジケース100と分離型に形成される場合、前記カートリッジケース100の底面101の上部に配され、前記カートリッジケース100の下部に配置される。まず、前記凹凸部500が、前記カートリッジケース100の底面101の上端に配される場合、前記ドラム200の真下に凹凸部500が配され、凹凸部500の下端にカートリッジケース100の底面101が位置する。一方、前記凹凸部500が、カートリッジケース100の下部に配される場合、カートリッジケース100の底面101には、前記凹凸部500の突起501がドラム200の底面に向けて露出されるように露出用溝102を打孔することができる。すなわち、前記凹凸部500の本体は、前記カートリッジケース100の下部に配されるが、凹凸部500の突起501は、前記ドラム200の底面と接するように、前記露出用溝102を通じて前記カートリッジケース100の底面101に突出する。
【0021】
図1は、ドラム200の突出部220が凹凸部500の突起501と当接してドラム200が上昇した状態を示し、図2は、ドラム200の溝部230が凹凸部500の突起501と当接してドラム200が下降した状態を示した。前記のように、ドラム200が回転しながら、ドラム200の突出部220、溝部230及び前記凹凸部500の突起501によってドラム200が上昇と下降とを持続的に反復できるために、カートリッジケース100から供給された薬剤が分散されて、ドラム200の各セル240に供給される。
【0022】
一方、図3は、図1において、ドラムを抜粋して示した底面斜視図であり、図4は、図1において、ドラムと凹凸部とを抜粋して示した分解斜視図である。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記凹凸部500は、前記ドラム200の下方に配され、上面に下方に凹入された収容溝511が区間別に形成されたリング部材510と、前記リング部材510の収容溝511に配されて空転するボール部材520と、を含む。前述したように、前記凹凸部500は、ボール軸受の形態を取ることができる。前記のように、リング部材510の収容溝511に載置して空転するボール部材520が、前記カートリッジケース100の底面101に突出して凹凸部500の突起501として作用する場合、前記凹凸部500は、単に前記ドラム200の突出部220及び溝部230と交互に接しながら、ドラム200を昇降させうるというここはもとより、前記ドラム200の回転が容易に摩擦力を減らす軸受としての役割を並行することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記突出部220及び溝部230は、前記凹凸部500と接するように、前記ドラム200の底面の周りにのみ形成される。前記突出部220及び溝部230は、前記ドラム200の底面全体に形成されうるが、前記凹凸部500の突起501と接する底面の周り部分にのみ形成されうる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記突出部220及び溝部230は、曲線の波縞で形成される。前記突出部220及び溝部230は、前記ドラム200の底面に凹凸を形成する範囲で多様な形態に形成されうる。しかし、前記突出部220及び溝部230が、それぞれ曲線で突出及び凹入形成され、突出部220及び溝部230が曲線で連結される場合、全体的に波縞を取り、前記突出部220及び溝部230が、前記凹凸部500の突起501の作用で上昇と下降とを反復するが、前記突起501に引っ掛からず、滑らかに突起501に沿って昇降しながら回転することができる。すなわち、前記ドラム200が平面で回転する場合に比べて、作動性が低下せずとも、前記ドラム200が突起501の作用で上昇と下降とを反復することによって、ドラム200の各セル240に均一に薬剤を供給させうる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、ドラム200の底面に形成された突出部220及び溝部230の個数TROLLは、ドラム200のセル240の個数TDRUMと同じか、多くなければならない。より詳細には、次の数式のように、ドラム200の底面に形成された突出部220及び溝部230の個数TROLLが、ドラム200のセル240の個数の2倍以上である場合、ドラム200は、各セル240当たり少なくとも一回以上の昇降を反復するために、薬剤をさらに効果的に分散させることができる。
【0027】
【数1】
前記のような本発明によれば、カートリッジの内部に収容された薬剤の自重などの原因で発生する集中負荷を均一に分散させることができて、薬剤をドラム200の各セルにより迅速かつ安定して供給し、カートリッジの内部に収容された薬剤の排出停滞が発生しても、即座に対処して薬剤の円滑な排出がなされて、薬剤包装作業の生産性を向上させることができる。
【0028】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、当業者ならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲内で多様な修正、変更及び置き換えが可能であろう。したがって、本発明に開示された実施形態及び添付図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態及び添付図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記の請求範囲によって解析しなければならず、それと同等な範囲内にあるあらゆる技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解析しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ローリングドラムが内蔵された薬剤包装装置用カートリッジ関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
100 カートリッジケース
110 排出口
200 ドラム
210 シリンダー
220 突出部
230 溝部
240 セル
400 駆動手段
410 回転軸
500 凹凸部
510 リング部材
511 収容溝
520 ボール部材
図1
図2
図3
図4
図5