(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778245
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】容器のためのクロージャ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20150827BHJP
B65D 41/34 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
B65D51/22
B65D41/34
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-501870(P2013-501870)
(86)(22)【出願日】2011年4月1日
(65)【公表番号】特表2013-523543(P2013-523543A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011055149
(87)【国際公開番号】WO2011121134
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2013年10月30日
(31)【優先権主張番号】10159039.6
(32)【優先日】2010年4月1日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591007424
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プッチ、ファブリツィオ
【審査官】
戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/148764(WO,A1)
【文献】
特開2005−145494(JP,A)
【文献】
特開2002−370765(JP,A)
【文献】
特開平09−002505(JP,A)
【文献】
特開平11−278522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/22
B65D 41/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器のためのクロージャ(1)であって、
注ぎ用開口部(3)を画定するネック部(5)、及び前記ネック部(5)の一方の端部(8)を封止するカバー部分(6)を有する注ぎ口(2)と、
前記注ぎ口(2)に装着されるように、及び、前記注ぎ口(2)から取り外されるように、長手方向軸線(A)の周りに回転させられることが可能なキャップ(4)と、
前記キャップ(4)に与えられた前記軸線(A)周りの回転を、前記キャップ(4)のストロークに変換するためのカム手段(16、17)であって、同一の前記軸線(A)周りの回転成分、及び前記軸線(A)に沿った並進成分を有し、前記注ぎ口(2)に/前記注ぎ口(2)から、前記キャップ(4)を接続/分離する、カム手段(16、17)と、
前記ネック部(5)の前記端部(8)に備えられた弱化線(9)と、
前記カバー部分(6)の外側環状周辺部に備えられた第1の開封促進手段(25)と、
前記キャップ(4)の内側環状周辺部に備えられた第2の開封促進手段(26)であって、前記キャップ(4)を前記注ぎ口(2)から取り外すときに、前記第1の開封促進手段(25)に係合するように配置されており、前記カバー部分(6)に対して持ち上げ推力を前記軸線(A)に沿って発生させ、前記弱化線(9)に沿って前記ネック部(5)から前記カバー部分(6)を少なくとも部分的に分離するようになっている、第2の開封促進手段(26)とを含むクロージャ(1)において、
前記第1又は第2の開封促進手段(25、26)は、少なくとも1つのさらなるカム部材(30)を含み、前記カム部材(30)は、前記キャップ(4)及び前記カバー部分(6)のうちの1つの前記環状周辺部の角度方向部分に沿って配置され、前記注ぎ口(2)から前記キャップ(4)を取り外す間の前記カム手段(16、17)の作用の結果として、前記キャップ(4)によって前記カバー部分(6)に発生させられる前記持ち上げ推力を高めるように構成されており、
前記第1又は第2の開封促進手段(25、26)は、少なくとも1つの開封部材(29)を含み、前記開封部材(29)は、前記キャップ(4)及び前記カバー部分(6)のうちのもう1つの前記環状周辺部の角度方向部分に沿って備えられ、前記キャップ(4)が前記注ぎ口(2)から取り外されているときに、前記キャップ(4)の前記ストロークの一部分に沿って前記カム部材(30)と協動するように配置されており、
前記開封部材(29)が、前記キャップ(4)に担持されており、
前記開封部材(29)が、フラップ(35)を含み、前記フラップ(35)は、前記キャップ(4)の前記内側環状周辺部に取り付けられた1つの端部(36)と、前記カム部材(30)と相互作用するように配置された、反対方向の1つの自由端部(37)とを有することを特徴とする、クロージャ(1)。
【請求項2】
前記キャップ(4)が、前記注ぎ口(2)から初めて取り外される前に、前記カム部材(30)及び前記開封部材(29)が、前記軸線(A)の周りに、予め設定された角度方向の距離で離されている、請求項1に記載のクロージャ。
【請求項3】
前記カム部材(30)が、前記カバー部分(6)に担持される、請求項1又は2に記載のクロージャ。
【請求項4】
前記第1の開封促進手段(25)は、前記カバー部分(6)から外側に突出する環状リム(27)を含み、前記カム部材(30)は、前記環状リム(27)の一部分に沿って配置され、前記環状リム(27)から前記ネック部(5)に向かって延在する、請求項3に記載のクロージャ。
【請求項5】
前記開封部材(29)が、前記キャップ(4)の前記内側環状周辺部から前記キャップ(4)の内側に突出するフック(35’)を含む、請求項1に記載のクロージャ。
【請求項6】
前記カム手段は、第1のねじ部(17)及び第2のねじ部(16)を含み、前記第1のねじ部(17)は、前記キャップ(4)の前記第2のねじ部(16)に係合するように前記ネック部(5)の外側側面に配置されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載のクロージャ。
【請求項7】
前記カム部材(30)は、前記開封部材(29)と協動するためのカム縁部(31、32)によって画定されており、前記第1のねじ部(17)の隣接部分に対して反対方向に傾斜する少なくとも1つの斜面形状のカム縁部(31)を含んでいる、請求項1から6までのいずれか一項に記載のクロージャ。
【請求項8】
前記カム縁部(31、32)は、前記カム部材(30)との相互作用の間に前記開封部材(29)を保持するアンダー・カット(41)を画定する、請求項7に記載のクロージャ。
【請求項9】
前記軸線(A)の周りに互いに角度方向に離隔された2つ以上の前記カム部材(30)、及び/又は、前記軸線(A)の周りに互いに角度方向に離隔された2つ以上の前記開封部材(29)を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載のクロージャ。
【請求項10】
前記カム部材(30)同士は、互いに異なる角度方向の距離において配置されており、及び/又は、前記開封部材(29)同士は、互いに異なる角度方向の距離において配置されている、請求項9に記載のクロージャ。
【請求項11】
前記カム部材(30)は、軸線(A)の周りに互いに角度方向に均等に離隔されており、及び/又は、前記開封部材(29)は、軸線(A)の周りに互いに角度方向に均等に離隔されている、請求項9に記載のクロージャ。
【請求項12】
前記カム部材(30)は、前記軸線(A)の周りにおいて異なる角度方向の延在範囲を有しており、及び/又は、前記開封部材(29)は、前記軸線(A)の周りにおいて異なる角度方向の延在範囲を有している、請求項9から11までのいずれか一項に記載のクロージャ。
【請求項13】
前記カム部材(30)同士は、異なるプロファイルを有しており、及び/又は、前記開封部材(29)同士は、異なるプロファイルを有している、請求項9から12までのいずれか一項に記載のクロージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のためのクロージャに関し、とりわけ、注ぐことができる食品の容器のためのクロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、フルーツ・ジュース、ミルク、トマト・ソース、及び一般の飲料など、多くの注ぐことができる食品は、異なるタイプ及びサイズの幅広い範囲の容器で売られている。その容器には、プラスチック・ベースの及び/又は紙ベースの多層積層材料又はいわゆる多層のボール紙材料で作られた平行六面体形状のパッケージ、ビーカー形状のプラスチック・パッケージ、ブロー成形されたボトル、又は、ガラス、板金、若しくはアルミニウムの容器などがある。
【0003】
これらの全ての容器は、クロージャが装着されており、クロージャは、開封されることが可能であり、消費者が食品にアクセスして、それを飲料用容器に注いだり、容器から直接飲んだりすることを可能にする。
【0004】
ねじ式キャップのクロージャは、一般に、ボトル・タイプの容器に使用されており、多層のボール紙材料で作られた容器には、単に、切り取りマーク、又は、容器に形成され、プル・タブに覆われた注ぎ口を備えているものが多い。
【0005】
また、多層のボール紙材料で作られた容器には、パッケージ材料を貫通して形成された開口部のあたりに、容器に直接射出成形されたプラスチックのクロージャが装着され、完全に開口部を封止及び密封するようになっているということも知られている。この種類のクロージャは、通常、例えばねじ式キャップ又はスナップ式キャップを装着することができる容器の注ぎ用開口部を画定する。
【0006】
また、多層のボール紙材料で作られた本体部分と、液体又は注ぐことができる食品を注ぐための、プラスチック材料で作られた上面部分とを備えており、プラスチックの環状の予備成形物をブロー成形することによって、又は、熱成形することによって、又は、圧縮成形若しくは射出成形などの他の適切な成形技術によって製造される別のタイプの容器も知られている。
【0007】
このタイプの容器のためのプラスチック上面部分の実例が、国際特許出願第WO2008/148764号に図示されている。
【0008】
この場合において、プラスチック上面部分は、基本的に、それによって容器から食品を注ぐための注ぎ用開口部を画定する注ぎ口と、取り外し可能な態様で注ぎ口に装着された円筒キャップとを含む。
【0009】
注ぎ口は、例えばEVOHなどの気体遮断性及び/又は光遮断性の材料でできた1つの層を有することが可能であり、閉じた構成で製造されて容器に取り付けられている。とりわけ、注ぎ口は、実質的に円筒管状のネック部を含んでおり、ネック部は、注ぎ用開口部、及びネック部と一体になっていて注ぎ用開口部を封止するカバー部分を画定している。
【0010】
より具体的には、ネック部は、容器に取り付けられるように適合された底部開口端部と、カバー部分によって封止され、弱化線を備えた上部端部とを有し、使用者によって初めて容器が開封されるときに、弱化線に沿って、カバー部分はネック部から分離されることが可能である。
【0011】
キャップは、ネック部の外側側面に備えられた対応するねじ部に係合するための雌ねじ部を有する環状の円筒側壁と、使用のときに注ぎ口の上部を覆うためのディスク形状の上部壁とによって形成されている。
【0012】
ネック部からカバー部分を分離するために、キャップの側壁には、注ぎ口からキャップを取り外して、弱化線に沿ってネック部からカバー部分を分離するときに、カバー部分のさらなる開封促進手段に係合するように配置された開封促進手段が備えられている。
【0013】
とりわけ、図示されている実施形態の1つによれば、開封促進手段は、タブ手段によって画定され、タブ手段は、キャップの側壁に取り付けられた1つの端部と、さらなる開封促進手段と相互作用するように配置された、反対方向の1つの端部とを有している。タブ手段は、複数の別個のタブ、又はネック部の全周にわたり延在する連続タブを含むことが可能である。
【0014】
別法として、開封促進手段は、キャップの内側に突出するフック手段を含むことが可能である。
【0015】
両方の場合において、タブ手段又はフック手段と協動するためのさらなる開封促進手段は、注ぎ口の軸線を横切る当接表面を形成するように半径方向外側に突出するカバー部分の環状リムを含む。
【0016】
容器の初めての開封は、キャップをその軸線の周りに回転させることによって達成される。ねじ部の相互作用によって、キャップは、その軸線周りの回転成分及び同じ軸線に沿った並進成分を含むストロークに沿って進められる。
【0017】
この動きの間、キャップのタブ手段又はフック手段は、カバー部分の突出するリムに接触し、それに沿って、ねじ部のピッチにしたがってスライドし、弱化線においてネック部からカバー部分を分離するために、そのようなリムに対して持ち上げ作用を発揮するようになっている。
【0018】
この種の解決策には、ネック部を開封するために、タブ手段又はフック手段と突出するリムとの間の拡張されたスライド相互作用が必要とされる。接触する表面の相対的に高い摩擦、及び、プラスチック材料の中の張力を適切なレベルに到達させて割れを得るために使用者に要求される過大な労力が、結果的に生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際特許出願第WO2008/148764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の目的は、簡単で低コストの態様で前述の欠点を除去するように設計された、容器のためのクロージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、請求項1で特許請求されている、容器のためのクロージャによって実現される。
【0022】
多くの好適で非限定的な本発明の実施形態を、添付の図面を参照して実例によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による、注ぐことができる食品の密封された容器のためのクロージャの分解縦断面図である。
【
図2】クロージャの初めての開封のときの異なる操作ステップで表されており、明確化のために平面で切り開かれているように表されている、
図1のクロージャの拡大部分詳細断面図である。
【
図3】クロージャの初めての開封のときの異なる操作ステップで表されており、明確化のために平面で切り開かれているように表されている、
図1のクロージャの拡大部分詳細断面図である。
【
図4】クロージャの初めての開封のときの異なる操作ステップで表されており、明確化のために平面で切り開かれているように表されている、
図1のクロージャの拡大部分詳細断面図である。
【
図6】
図1のクロージャの可能な変形例を示す、
図5のものと同様の断面図である。
【
図7】
図1のクロージャの別の可能な変形例を示す、
図5のものと同様の断面図である。
【
図8】クロージャが明確化のために平面で切り開かれているように表されている
図1のクロージャのさらに2つの可能な変形例を示す、
図2から
図4までのものと同様の縮小断面図である。
【
図9】クロージャが明確化のために平面で切り開かれているように表されている
図1のクロージャのさらに2つの可能な変形例を示す、
図2から
図4までのものと同様の縮小断面図である。
【
図10】
図1のクロージャの追加の可能な変形例を示す拡大詳細図である。
【
図11】
図1のクロージャのさらに可能な変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1の中の番号1は、全体として、液体又は注ぐことができる食品の容器(図示せず)のためのクロージャを示している。それは、ボール紙−プラスチック複合容器のためのプラスチックのクロージャなどのようなものであり、次に続く明細書は、単に実例として、それを参照している。
【0025】
クロージャ1は、長手方向軸線Aを有し、基本的に、容器の外に食品を注ぐための注ぎ用開口部3を画定する注ぎ口2と、取り外し可能な態様で注ぎ口2に装着された円筒キャップ4とを含む。
【0026】
注ぎ口2は、容器の上部又は端面壁に適用されることが可能であり、又は容器の上部全体を完全に画定するようにも構成される。
【0027】
注ぎ口2は、ガス・バリア及び/又は光バリアを画定することが可能であり、容器に取り付けられて、閉じた構成で製造されている。
【0028】
とりわけ、注ぎ口2は、注ぎ用開口部3を画定する実質的に円筒形状の管状ネック部5と、ネック部5と一体になって注ぎ用開口部3を封止するカバー部分6とを含む。
【0029】
より具体的には、ネック部5は、容器に取り付けられるように適合された底部開口端部7と、カバー部分6によって封止され弱化線9を備えた上部端部8とを有し、クロージャ1が使用者によって初めて開封されるとき、カバー部分6は、弱化線9に沿ってネック部5から分離されることが可能である。
【0030】
弱化線9は、ネック部5の上部端部8の環状周辺領域の全体に沿って延在することが可能であり、又はそのうちの1つ又は複数の区域のみに沿って延在することが可能である。第1の場合では、弱化線9は、ネック部5の上部端部8の厚さ方向に備えられた、1つの連続する非貫通の環状切り込みからなることが可能であるが、第2の場合では、弱化線9は、互いに離隔された複数の前記切り込みからなることが可能である。
【0031】
示された実例では、カバー部分6は、ディスク形状の壁10を含む。壁10は、軸線Aに直交し、弱化線9を介してネック部5の上部端部8に一体的に接続される、軸線方向に突出する円筒環状縁部11を有する。
図1から分かるように、円筒縁部11は、ネック部5の上部端部8の直径よりも小さい直径を有し、軸線Aに直交して壁10に平行な、平坦な環状表面12を介して後者に接続されている。
【0032】
キャップ4は、単一の部品で製造され、環状の円筒側壁15及びディスク形状の上部壁18によって実質的に画定されている。側壁15は、1つ又は複数の起点を備えた雌ねじ部16を有し、雌ねじ部16は、ネック部5の外側側面に備えられた対応するねじ部17に係合するようになっている。上部壁18は、使用されるとき、注ぎ口2の上部、及び具体的にはカバー部分6の壁10を覆うようになっている。
【0033】
図示されていない別の実施形態では、キャップ4の側壁15は、1つ又は複数のカム突起部を内部に備えており、カム突起部は、1つ又は複数の対応するネック部5の突起部に係合するのに適している。
【0034】
換言すれば、軸線Aに平行な並進成分、及びその軸線周りの回転成分を有するストロークに沿って、キャップ4を注ぎ口2に装着し、及び注ぎ口2から取り外すために、カム機構が、キャップ4とネック部5との間に備えられている。このカム機構は、添付の図の実例に示されるように、ねじ部16、17によって画定されることが可能であり、又は適切なカム・デバイスによって画定されることも可能である。
【0035】
キャップ4は、通常の態様で、破壊されやすい接続手段22によって側壁15の底部縁部21に同軸に接続されたそれぞれの不正開封防止リング20と一体成形されている。接続手段22は、1つの破壊されやすい環状の橋部、又は複数の破壊されやすい半径方向の橋部などである。
【0036】
キャップ4は、最初、完全に封止又は密封された位置(
図1、点線)で、注ぎ口2に装着されている。ここで、キャップはネック部5に完全にねじ込まれており、底部縁部21及び不正開封防止リング20は、依然として互いに接続されており、軸線Aに対してねじ部17よりも低い位置においてネック部5の上に延在する環状リブ23の反対側に存在している。
【0037】
図示されていない可能な代替例によれば、底部縁部21及び不正開封防止リング20は、ネック部5のねじ部17の底部部分の反対側に存在することが可能である。
【0038】
クロージャ1は、カバー部分6の環状周辺部に備えられた第1の開封促進手段25と、第2の開封促進手段26とをさらに含む。第2の開封促進手段26は、キャップ4の側壁15の内側表面に備えられており、キャップ4を注ぎ口2から取り外して、カバー部分6を弱化線9に沿ってネック部5から分離するときに、第1の開封促進手段25に係合するように配置されている。
【0039】
とりわけ、第1の開封促進手段25は、環状縁部11に対して半径方向外側に突出する、カバー部分6の上部壁10の環状リム27を含み、軸線Aに直交する当接表面28を形成するようになっている。そして、第2の開封促進手段26は、少なくとも1つの開封部材29を含む。開封部材29は、キャップ4の側壁15の内側表面の角度方向部分に沿って備えられており、第1の開封促進手段25と協動するように配置されている。
【0040】
第1の開封促進手段25は、少なくとも1つのカム部材30をさらに含むことが有利である。カム部材30は、環状縁部11及び環状リム27の角度方向部分に沿って配置され、注ぎ口2からキャップ4を取り外すストロークの一部に沿って、開封部材29と協動するようになっており、そのような取り外しストロークの間、キャップ4のねじ部16の上のねじ部17によって作り出された並進成分を局部的に高めるように構成されている。
【0041】
このように、初めてクロージャ1を開封するために、キャップ4が、使用者によって軸線Aの周りに回転させられると、開封部材29とカム部材30との相互作用によって、ねじ部16、l7のピッチによって画定されたギア比の急変化が引き起こされ、結果的に、プラスチック材料の張力の対応する増加が引き起こされ、カム部材30が位置する区域又はその直ぐ近隣に対応する弱化線9の点において局部的な割れが実現されるようになる。
【0042】
好適な実施形態によれば、第1の開封促進手段25は、軸線Aの周りに互いに角度方向に離隔された2つ以上(示された実例では3つ)のカム部材30を含む。同様に、第2の開封促進手段26は、カム部材30の数に対応する数の開封部材29を含む。
【0043】
図1及び
図5に示された解決策によれば、カム部材30は、軸線Aの周りに互いに角度方向に均等に離隔されており、開封部材29も同様である。
【0044】
図1から分かるように、カム部材30は、環状縁部11から外側に突出し、ネック部5及び弱化線9に向かって環状リム27から外側にも突出している。
【0045】
示された実例では、カム部材30は、互いに同一であり、直角台形形状のプロファイルを有する。
【0046】
とりわけ、キャップ4を注ぎ口2から取り外すときの回転方向に進めると、それぞれのカム部材30は、ネック部5の方へ向かって、軸線Aに対して斜めに延在する斜面形状の第1の縁部31、リム27に平行で軸線Aに直交する第2の縁部32、及び、軸線Aに対して平行の第3の縁部33によって境界を定められている。
図1から
図5に示された実例では、全ての縁部31、32、及び33は、平坦な構成を有している。
【0047】
より具体的には、斜面形状の縁部31は、軸線Aに平行の方向に、ネック部5の上部端部8から距離があり、その距離は、キャップ4を注ぎ口2から取り外すときの回転方向に減少している。
【0048】
それぞれのカム部材30の斜面形状の縁部31は、ねじ部17の隣接部分、すなわち、前記カム部材30の下に配置されたねじ部17の部分に対して反対方向に傾斜していることが有利である。
【0049】
また、斜面形状の縁部31は、異なる傾斜を有する複数の部分を含むことも可能であり、又は、曲線のある形状を有することも可能であるということが指摘されている。
【0050】
さらに、カム部材30は、例えば
図8及び
図9に示されているように、二等辺の台形形状又は三角形形状などの異なるプロファイルを有することが可能である。
【0051】
図1から
図5に示された実例では、それぞれの開封部材29は、フラップ35を含む。フラップ35は、軸線Aに対してねじ部16よりも高い位置において、キャップ4の側壁15の内側表面に取り付けられた1つの端部36と、関連するカム部材30と相互作用するように配置された、反対方向の1つの自由端部37とを有する。
【0052】
図1に図示されているように、それぞれのフラップ35は、変化する高さを有し、その高さは、その中間セクションから開始して、その反対側の角度方向の両端部に向かって進むにつれて減少している。
【0053】
カバー部分6が、ネック部5から取り外された後、キャップ4によって保持されるように、フラップ35は構成されている。とりわけ、カバー部分6は、上部壁18、フラップ35、及び、それらの間の範囲にある側壁15の一部によって画定された、キャップ4の収容区域38の中に保持される。
【0054】
クロージャ1を得るためにキャップ4を注ぎ口2に装着する間、フラップ35が弾性的に変形し、カバー部分6が、収容区域38の内側に受け入れられ、そこから不意に外れることができないように、すなわち、使用者によって故意に抜き取られることがないようになっている。
【0055】
キャップ4が注ぎ口2に接続されるときに、カバー部分6をキャップ4の収容区域38に係合させやすくするために、環状リム27は、当接表面28の反対側において、丸い形状又は凸状の表面40によって境界を定められている。
【0056】
図5に示されているように、キャップ4が注ぎ口2から初めて取り外される前、それぞれのカム部材30及び対応する開封部材29は、軸線Aの周りに予め設定された角度方向の距離で離されている。この距離は、初めてクロージャ1を開封するとき、それぞれの開封部材29がそれぞれのカム部材30と相互作用し始める前に、又は、そのようなカム部材30の作用の結果として、キャップ4からカバー部分6へ伝達される力が急上昇する前に、破壊されやすい接続手段22に沿って不正開封防止リング20を側壁15の底部縁部21から分離することができるように、画定されることが可能である。
【0057】
さらに、キャップ4が注ぎ口2から初めて取り外される前、それぞれの開封部材29の自由端部37は、
図1から
図4に示されているように、環状リム27の表面28から予め設定された軸線方向の距離にある、又は、表面28と接触していることが可能である。
【0058】
使用するとき、容器の初めて開封は、注ぎ口2からキャップ4を回して外すことによって、単一のステップで得られる。
【0059】
図1において、キャップ4が、軸線Aの周りに反時計回りに回されると、結合しているねじ部16及び17が、接続手段22を破壊するように、同時に、キャップ4を注ぎ口2から軸線方向に離して動かす。この作用の結果、不正開封防止リング20は、ネック部5の環状リブ23に対して軸線方向に停止して保持される。
【0060】
さらにキャップ4を回転させると、それぞれの開封部材29が、それぞれのカム部材30と接触するようになる。この状態において、それぞれのフラップ35の前縁部が、関連するカム部材30の斜面形状の縁部31に沿って、キャップ4の回転方向にスライドする。その結果、カバー部分6のキャップ4によって、持ち上げる推力、力、又は作用の急上昇が、軸線Aに沿って生じる。
【0061】
実際、各開封部材29が、それぞれのカム部材30の斜面形状の縁部31と接触する結果、開封部材29は環状リム27から離れる。
【0062】
図3及び
図4において、参照記号V1は、ねじ部16及び17のみの作用によって生じるようなキャップ4の変位ベクトルを示しており、参照記号V2は、ねじ部16、17とカム部材30及びフラップ35との複合作用によって生じるような、カバー部分6についての誘起変位ベクトルを示している。明確に分かるように、カム部材30の効果によって、キャップ4による持ち上げ作用又は推力の急上昇が、カバー部分6に対して軸線Aに沿って発生し、その結果として、プラスチック材料の張力の急上昇が伴う。
【0063】
キャップ4を回転させ続けることによって、それぞれのフラップ35は、関連するカム部材30の縁部32に到達し、そこで最大レベルの材料張力が発生し、少なくとも弱化線9の破壊の開始、したがって、少なくともカバー部分6のネック部5からの分離の開始を決定するようになる。
【0064】
実際、各開封部材29と関連するカム部材30との相互作用は、キャップ4の動きに基づくねじ部16、17によって発生した垂直方向の作用を局部的に増大させる効果を有する。
【0065】
さらに、カム部材30によって、開封部材29によって引き起こされた力の作用点が、弱化線9に次第に近づくように移動することが可能となり、したがって、破壊にとってより効果的になるようになっている(ネック部5及びカバー部分6の材料が、ある程度の変形性を有するとき、この効果は特に明らかである)。
【0066】
また、カム部材30は、「質量集中」として作用し、それによって、有用な注ぎ口2の局部的な変形を増大させて破壊力を低減することが可能となる。
【0067】
カバー部分6にカム部材30が存在することによって、キャップ4によって発生させられる持ち上げ推力又は作用を、ねじ部16、17のピッチを増加させることを必要とせずに、増加させることが可能となる。
【0068】
最終的に、容器を初めて開封するときに使用者に要求される関連の労力が低減されるという結果になるということが明らかである。
【0069】
開封部材29が依然としてそれぞれのカム部材30と接触しているちょうどそのとき、又は、そのような接触の終了後にも(これは、注ぎ口2のプラスチック材料の変形性による)、カバー部分6のネック部5からの分離が完了することが可能である。
【0070】
キャップ4が注ぎ口2から完全に取り外されると、カバー部分6はキャップ4の収容区域38の中に保持され、そこから不意に外れることがないようになっている。
【0071】
単に、キャップ4を注ぎ口2にねじ込むことによって、再び容器を封止することが可能である。
【0072】
図6の変形例は、カム部材30の異なる構成に関するものであり、カム部材30は、環状の円筒縁部11及び環状リム27に沿って、互いに異なる角度方向の距離において配置されている。さらに、カム部材30は、軸線Aの周りにおいて異なる角度方向の延在範囲も有している。
【0073】
このように、キャップ4が軸線Aの周りに角度方向に動いている間、異なった開封部材29とそれぞれのカム部材30との相互作用を調整し、使用者に要求される開封トルクはとりわけ小さい状態で、プラスチック材料が弱化線9に沿って次第に破壊される作用を得ることが可能である。
【0074】
また、この効果は、
図6に示されているように、それぞれの開封部材29と異なる角度方向の距離に、最初にカム部材30を位置付けることによって、得られる又は高められることが可能である。
【0075】
初めて容器を開封する間、プラスチック材料の弱化線9に沿った割れが、開封部材29とカム部材30との相互作用の結果によって、異なる態様で発生することが可能である。例えば、プラスチック材料の最初の局部的な割れが、角度方向に近い開封部材29とカム部材30との間の最初の相互作用の間に、前記カム部材30に面する弱化線9の区域において発生することが可能である。相互作用する開封部材29とカム部材30の第2の組については、弱化線9の局部的な割れが、前記相互作用の完了後に発生することも可能であり、弱化線9の完全な破壊が結果的に生じることも可能である。
【0076】
図7の変形例は、開封部材29の異なる構成に関するものであり、開封部材29は、キャップ4の側壁15の内側表面に沿って、互いに異なる角度方向の距離において配置されている。さらに、この場合において、開封部材29は、軸線Aの周りにおいて異なる角度方向の延在範囲も有している。
【0077】
この解決策の効果は、
図6の解決策のものと同様である。
【0078】
図8及び
図9の変形例に示されているように、カム部材30及び/又は開封部材29は、プラスチック材料の破壊作用の制御を増加させるために、そして結果的に、使用者に十分受け入れられる開封トルクを得るために、異なるプロファイルを有することも可能である。
【0079】
図示されない別の可能な変形例によると、第1及び第2の開封促進手段25、26は、2つ以上の連続するカム部材30と相互作用するように配置された1つの開封部材29を含むことも可能である。
【0080】
図示されないさらなる可能な変形例によると、開封部材29が、カバー部分6に担持されることが可能であり、カム部材30が、キャップ4の側壁15に備えられることが可能である。
【0081】
図10を参照すると、そこに図示された変形例は、カム部材30の異なる構成に関するものであり、それぞれのフラップ35と協動するその縁部31、32は、凹状の形状を有している。とりわけ、この場合において、それぞれのカム部材30の縁部31及び32は、相互作用の間にそれぞれのフラップ35をより良く保持するために、それぞれのアンダー・カット41を画定している。
【0082】
図11の変形例は、開封部材29の異なる構成に関するものであり、この場合において、開封部材29は、キャップ4の内側に突出する剛体フック35’によって画定されている。
【0083】
クロージャ1の利点は、上述の明細書によって明確になったであろう。
【0084】
とりわけ、1つ又は複数のカム部材30が、カバー部分6の周囲に沿って、互いから所定の角度方向の距離において加えられているという事実によって、初めて容器を開封する間、それぞれの開封部材29と対応するカム部材30との相互作用によって、キャップ4を軸線Aに沿って持ち上げる作用の急上昇が生じる。
【0085】
このように、開封力は、ネック部5の周囲の特定の限定された区域に集中し、それによって、ネック部5からカバー部分6を分離するために使用者に要求される開封トルクを低減することが可能となる。
【0086】
上述の通り、カバー部分6及び/又はキャップ4の周囲に沿って、カム部材30及び/又は開封部材29の数及びプロファイル、並びに軸線A周りのそれらの角度方向の位置を調整することによって、容器の初めての開封をさらに容易にし、開封トルクを最小化するようにすることが可能である。
【0087】
さらに、開封部材29の作用縁部は、それぞれのカム部材30の作用縁部と最良に作用するような形状にされている。
【0088】
添付の特許請求の範囲に規定された範囲から離れることなく、本明細書で説明及び図示されるようにクロージャ1に変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 クロージャ
2 注ぎ口
3 注ぎ用開口部
4 キャップ
5 ネック部
6 カバー部分
8 端部
9 弱化線
16 カム手段、第2のねじ部
17 カム手段、第1のねじ部
25 第1の開封促進手段
26 第2の開封促進手段
27 環状リム
29 開封部材
30 カム部材
31 カム縁部
32 カム縁部
35 フラップ
35’ フック
36 端部
37 自由端部
41 アンダー・カット