特許第5778257号(P5778257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778257
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】縮合チオフェンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/22 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   C07D495/22
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-511225(P2013-511225)
(86)(22)【出願日】2011年5月12日
(65)【公表番号】特表2013-533216(P2013-533216A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】US2011036180
(87)【国際公開番号】WO2011146308
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2014年4月23日
(31)【優先権主張番号】12/782,055
(32)【優先日】2010年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ハァ,ミンチエン
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,ジエユィ
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ,ジェームズ アール
(72)【発明者】
【氏名】ニウ,ウェイジュン
【審査官】 松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−513460(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/106019(WO,A1)
【文献】 特開2010−095469(JP,A)
【文献】 特開2009−256276(JP,A)
【文献】 特開2001−288182(JP,A)
【文献】 特開2009−298722(JP,A)
【文献】 J.Org.Chem.,2007年,Vol.72,p.442-451
【文献】 J.AM.CHEM.SOC.,2008年,Vol.130,p.13202-13203
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CA(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
β"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物を製造する方法であって、
式(I):
【化1】
のテトラブロモジチオフェンを、アルキルアシルハロゲン化物を用いてアシル化させる工程;
結果として得られた式(II):
【化2】
のα−ジ−アシル−β−ジ−ブロモ−ジチオフェン化合物を、2−メルカプトアセテートに接触させて、式(III):
【化3】
(式中、R1は、独立して、置換または未置換、分岐または未分岐のC1からC6ヒドロカルビである)
の環化したα"−カルボキシ−β"−ジ−R−置換縮合チオフェンを形成する工程;
前記α"−カルボキシ−β"−ジ−R−置換縮合チオフェン(III)を式(IV):
【化4】
の対応する二酸に転化させる工程;および
グリコールエーテル溶媒中、Cu(I)、Cu(II)またはその組合せとの混合物を加熱することにより、前記二酸(IV)を脱カルボキシル化して、式(V):
【化5】
(式中、Rは、独立して、置換または未置換の、分岐または未分岐のC4からC25ヒドロカルビである)
のβ"−ジ−R−置換縮合チオフェンを提供する工程;
を有してなる方法。
【請求項2】
各Rが、4から25の炭素原子を有する同じ置換または未置換のヒドロカルビであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記酸化銅がCuOであり、前記グリコールエーテルがテトラエチレングリコールジメチルエーテルであり、および前記加熱が220℃から240℃で行われることを特徴とする、請求項1または2記載の方法
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は、2010年5月18日に出願された米国特許出願第12/782055号の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、縮合チオフェン化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
追加の背景については、同一出願人による、「FUSED THIOPHENES, METHODS FOR MAKING FUSED THIOPHENES, AND USES THEREOF」と題する、He, M.等への特許文献1を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7705108号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、縮合チオフェン(FT)化合物を製造する改良方法、およびそのポリマーを提供する。
【0006】
本開示の様々な実施の形態を、もしあれば図面を参照して、詳しく説明する。様々な実施の形態への言及は、本発明の範囲を制限するものではなく、これは、ここに添付された特許請求の範囲によってしか制限されない。その上、本明細書に述べられた実施例は、制限の意味ではなく、請求項に記載された発明の多くの可能な実施の形態のいくつかを単に述べただけである。
定義
【0007】
「FTx」または類似の略語は、縮合チオフェン化合物、その重合性モノマー、およびその重合体を称し、式中、xは縮合チオフェン環または1つのコアユニットに縮合された環単位の数を表す整数である。例えば、FT2はコア単位中に2つの縮合環を有し、FT3はコア単位中に3つの縮合環を有し、FT4はコア単位中に4つの縮合環を有し、FT5はコア単位中に5つの縮合環を有し、以下同様である。
【0008】
「DCXFT4」または類似の略語は、対称のジ−ベータ−置換縮合チオフェン化合物の部類を表し、式中、Xはジ−(R)置換基を表す整数であり、これは、3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンのコアに結合した基または各R置換基における炭素原子の数を示す。
【0009】
「DC10FT4」または類似の略語は、具体的なDCXFT4化合物:3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(J.Org.Chem.,2007,72,442-451参照)、または(IUPAC)5,12−ジデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンを表し、式中、「10」は、コアに結合したC10ジ−デシル置換基を表す。
【0010】
「DC17FT4」または類似の略語は、具体的なDCXFT4化合物:3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(前出のJ.Org.Chem.参照)、あるいは(FT4化合物は現在名付けられていないので、IUPAC命名法にしたがう)5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンを表し、式中、「17」は、コアに結合したC17ヘプタデシル置換基を表す。
【0011】
「DC21FT4」または類似の略語は、具体的なDCXFT4化合物:3,7−ジ−ヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(前出のJ.Org.Chem.参照)、または(IUPAC)5,12−ジヘンエイコシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンを表し、式中、「21」は、コアに結合したC21ジ−ヘンエイコシル置換基を表す。
【0012】
「炭化水素」、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビレン」、「ヒドロカルビルオキシ」および類似の用語は、−Rなどの一価の部分、または二価の−R−部分を一般に称し、例えば、アルキル炭化水素、芳香族またはアリール炭化水素、アルキル置換アリール炭化水素、アルコキシ置換アリール炭化水素、ヘテロアルキル炭化水素、ヘテロ芳香族またはヘテロアリール炭化水素、アルキル置換ヘテロアリール炭化水素、アルコキシ置換ヘテロアリール炭化水素、および類似の炭化水素部分、並びにここに例示されたものを含み得る。
【0013】
「アルキル」は、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、およびシクロアルキルを含む。「置換アルキル」または「必要に応じて置換されたアルキル」は、例えば、1から約10の炭素原子を有する一価アルキルまたは二価アルキレンなどの、例えば、Rがヒドロカルビル、アリール、Het、または類似の部分である、ヒドロキシル(−OH)、ハロゲン、アミノ(−NH2または−NR2)、ニトロ(−NO2)、アシル(−C(=O)R)、アルキルスルホニル(−S(=O)2R)、アルコキシ(−OR)、および類似の置換基から選択される1から4の随意的な置換基を有する、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、またはシクロアルキルを含み得る、アルキル置換基を称する。例えば、ヒドロキシ置換アルキルは、式−CH2−CH(OH)−CH2−の2−ヒドロキシ置換プロピレンであり得、アルコキシ置換アルキルは、式−CH2−CH2−O−CH3の2−メトキシ置換エチルであり得、アミノ置換アルキルは、式−CH(NR2)−CH3の1−ジアルキルアミノ置換エチルであり得、オリゴ−(オキシアルキレン)、ポリ−(オキシアルキレン)、またはポリ−(アルキレンオキシド)置換アルキルは、xが、例えば、1から約50まで、および1から約20までであり得る、部分的な式−(R−O)x−のもの、およびR5が水素またはアルキルなどの置換または未置換(C1-8)ヒドロカルビルであり、xが1から約50までの整数である、式−(CR5−CHR5−O)x−のものなどの類似の置換オキシアルキレン置換基であり得る。
【0014】
「アリール」は、一価または二価のフェニルラジカル、もしくは少なくとも1つの環が芳香族である、約9から12の環原子を有するオルト縮合二環式炭素環式ラジカルを含む。アリール(Ar)は、1から5の置換基、例えば、アルキル、アルコキシ、ハロ、および類似の置換基を有するフェニルラジカルなどの置換アリールを含む。
【0015】
「Het」は、オキシ、チオ、スルフィニル、スルホニル、セレン、テルル、および窒素からなる群より選択される1,2,3,または4のヘテロ原子を有する、必要に応じてベンゼン環に縮合した、4員、5員、6員または7員飽和または不飽和複素環式環を含む。Hetは「ヘテロアリール」も含み、これは、炭素と、各々が非過酸化物のオキシ、チオ、およびXが含まれないかH、O、(C1-4)アルキル、フェニル、またはベンジルであるN(X)から選択される1,2,3,または4のヘテロ原子とからなる5または6の環形成原子を含有する単環式芳香族環の環形成炭素を介して結合したラジカル、およびそこから誘導された約8から10の環形成原子のオルト縮合二環式複素環、特に、ベンゾ誘導体またはプロピレン、トリメチレン、またはテトラメチレンジラジカルをそこに縮合させることによって誘導されたものを包含する。
【0016】
実施の形態において、ハロまたはハロゲン化物は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを含む。アルキル、アルコキシなどは、直鎖基および分岐鎖基の両方を含むが、「プロピル」などの個々のラジカルの言及は、直鎖ラジカルのみを包含し、「イソプロピル」などの分岐鎖異性体は具体的に言及される。
【0017】
様々な炭化水素含有(すなわち、ヒドロカルビル)部分の炭素原子含有量は、もう一つの方法として、その部分における炭素原子の下限値と上限値を表す識別記号により表すこともできる、すなわち、識別記号Ci-jは、整数「i」から整数「j」までの炭素原子の部分を表す。それゆえ、例えば、(C1−C8)アルキルまたはC1-8アルキルは、1から8までの炭素原子のアルキルを称し、(C1−C8)アルコキシまたはC1-8アルコキシなどのヒドロカルビルオキシは、1から8までの炭素原子のアルキル基を有するアルコキシラジカル(−OR)を称する。
【0018】
具体的に、C1-8アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり得;(C3−C12)シクロアルキルは、二環式、三環式、または多環式を含む、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、および類似の置換基であり得る。
【0019】
具体的な「ヒドロカルビル」は、例えば、全ての中間鎖長および値を含む、(C1-24)ヒドロカルビルであり得る。
【0020】
1-8アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシ、ヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、および類似の置換基であり得る。
【0021】
−C(=O)(C3-7)アルキル−または−(C2-7)アルカノイルは、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、4−メチルペンタノイル、ヘキサノイル、またはヘプタノイルであり得る。アリール(Ar)は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、テトラヒドロナフチル、またはインダニルであり得る。Hetは、例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、またはヘテロアリールであり得る。ヘテロアールは、例えば、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(またはそのN−オキシド)、チエニル、ピリミジニル(またはそのN−オキシド)、インドリル、イソキノリル(またはそのN−オキシド)またはキノリル(またはそのN−オキシド)であり得る。
【0022】
Hetの具体的な値は、1,2,3,または4のヘテロ原子、例えば、非過酸化物オキシ、チオ、スルフィニル、スルホニル、セレン、テルル、および窒素を含有する5員、6員、または7員の飽和または不飽和環;およびそれから誘導された約8から12の環形成原子のオルト縮合二環式複素環のラジカル、特に、ベンゾ誘導体またはプロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、または別の単環式Hetジラジカルをそこに縮合させることにより誘導されたものを含む。
【0023】
ここに開示され、説明されたような、様々な出発材料または中間体からの、本開示の化合物、オリゴマー、ポリマー、複合体または類似の生成物の形成および修飾に適した他の条件が利用できる。例えば、Feiser and Feiser, "Reagents for Organic Synthesis", Vol. 1, et seq., 1967; March, J. "Advanced Organic Chemistry," John Wiley & Sons, 4th ed. 1992;House, H. O., "Modem Synthetic Reactions," 2nd ed., W. A. Benjamin, New York, 1972およびLarock, R. C., "Comprehensive Organic Transformations," 2nd ed., 1999, Wiley-VCH Publishers, New Yorkを参照のこと。ここに記載された調製方法に利用される出発材料は、例えば、市販されており、科学文献に報告されており、または当該技術分野で公知の手法を使用して、容易に利用できる出発材料から調製できる。上述したまたは代わりの調製手法の全てまたは一部の最中に、必要に応じて保護基を使用することが望ましいであろう。そのような保護基およびそれらの導入方法と除去方法が、当該技術分野において公知である。Greene, T. W.; Wutz, P. G. M. "Protecting Groups In Organic Synthesis," 2nd ed., 1991, New York, John Wiley & Sons, Incを参照のこと。
【0024】
「モノマー」、「マー」または類似の用語は、目的のポリマーの同質(ホモポリマー)または異質(例えば、コポリマー、ターポリマー、および類似のヘテロポリマー)鎖を形成するために、類似または異なる構造の他のモノマーと共有結合または連結され得る(またはすでにされた)化合物を称する。ここに開示され、説明された適切なモノマーは、例えば、不飽和オリゴマーまたは不飽和ポリマー化合物を含む、約50から約200ダルトンなどの低分子量重合性化合物、および約200から約10,000ダルトンなどのより高分子量の化合物を含む。
【0025】
「含む」または類似の用語は、包含するが限られないこと、すなわち、包括的であって排他的ではないことを意味する。
【0026】
実施の形態における「から実質的になる」は、例えば、化合物、そのモノマー化合物から導かれたポリマーまたはコポリマー組成物、その化合物、ポリマー、または配合物を製造または使用する方法、および本開示の物品、デバイス、または任意の装置を称し、請求項に列記された構成部材または工程に加え、特定の反応体、特定の添加剤または成分、特定の作用物質、特定の表面修飾剤または条件、もしくは類似の構造、材料、または選択されたプロセス変量などの、本開示の組成物、物品、装置、または製造および使用する方法の基本的性質および新規の性質に実質的に影響しない他の構成部材または工程を含み得る。本開示の構成部材または工程の基本的性質に実質的に影響を与えるであろう項目または本開示に望ましくない特徴を与えるであろう項目としては、例えば、モノマーの非常に低い溶解度または不溶解性、不十分な溶解度のための大々的なまたは長引く精製処理、結果として得られたポリマーの過度の高温への暴露、および類似の不利な工程が挙げられる。
【0027】
ここに使用される単数形は、別記しない限り、少なくとも1つ、すなわち1つ以上を意味する。
【0028】
当該技術分野によく知られた略語を使用してよい(例えば、時間について「h」または「hr」、グラムについて「g」または「gm」、ミリリットルについて「mL」、室温について「rt」、ナノメートルについて「nm」、および類似の略語)。
【0029】
構成要素、成分、添加剤、および類似の態様について開示された具体的な値と好ましい値、およびその範囲は、説明のためだけである;それらは、他の定義された値または定義された範囲内の他の値を排除するものではない。本開示の組成物、デバイス、装置、および方法は、ここに記載された任意の値、または値、特有の値、より特有の値、および好ましい値の任意の組合せを含み得る。
【0030】
本開示のモノマーまたはポリマー組成物などの高度に結合した(conjugated)有機材料が、導電材料として、二光子混合材料として、有機半導体として、および非線形光学(NLO)材料として、例えば、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、電気光学(EO)用途を含む様々な用途に使用するために開発されている。高度に結合した有機材料は、例えば、RFIDタグなどの素子、フラットパネルディスプレイ、光起電素子、センサ、および類似の素子に使用されるものなどのエレクトロルミネセント素子、またはそれらの組合せに使用することができる。
【0031】
実施の形態において、本開示は、β"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物を製造する方法を提供する。
【0032】
実施の形態において、1つの例示のプロセスが以下のスキーム2に示されている。
【0033】
実施の形態において、本開示は、対称または非対照のジ−β"−R−置換縮合チオフェン化合物を製造する方法であって、例えば、
【0034】
式(I):
【化1】
のテトラブロモジチオフェン(FT2化合物)をジアシル化させる工程;
【0035】
結果として得られた式(II):
【化2】
のα−ジ−アシル−β−ジ−ブロモ−ジチオフェン化合物を、例えば、2−メルカプトアセテート、または類似のシントンに接触させて、式(III):
【化3】
(式中、R1は、独立して、置換または未置換、分岐または未分岐のC1からC6ヒドロカルビであり、式(III)のα"−カルボキシ−β"−R−置換縮合チオフェンの具体的な例は、各R1が、−Me、−プロピル、−Bu、−i−Bu、−t−Bu、および類似の基などのエトキシまたは類似の保護基であるジカルボエトキシ化合物である)
の環化したα"−カルボキシ−β"−R−置換縮合チオフェン(FT4化合物)を形成する工程;
【0036】
例えば、加水分解または類似の脱プロトン化方法によって、α"−カルボキシ−β"−R−置換縮合チオフェン(III)を式(IV):
【化4】
【0037】
の対応する二酸に転化させる工程;および
この二酸(IV)を脱カルボキシル化して、式(V):
【化5】
【0038】
(式中、Rは、独立して、置換または未置換の、分岐または未分岐のC4からC25ヒドロカルビである)
のβ"−ジ−R−置換縮合チオフェンを提供する工程;
を有してなる方法を提供する。
【0039】
Rは、例えば、中間値および中間範囲を含む、4から25の炭素原子を有する、8から22の炭素原子を有する、10から21の炭素原子を有する、置換または未置換のヒドロカルビ、および類似のR置換基であり得る。
【0040】
以下の実例は、Rが、例えば、−C1021、−C1735、または−C2143であり得る、対称なβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物を製造する本発明の調製方法の具体例を示す。ジ−アシル化は、例えば、わずかに過剰の反応体を含む、少なくとも2当量の(at least two equivalents of)アルキルアシルハロゲン化物、または類似のシントンで行うことができる。
【0041】
実施の形態において、アルキルアシルハロゲン化物は、例えば、C1735−(C=O)−Clであり得る。その場でのビス環形成のための接触は、例えば、少なくとも2当量の2−メルカプトエチルアセテートにより行うことができる。二酸(IV)の脱カルボキシル化は、例えば、適切なグリコールエーテル溶媒、または類似の溶媒中の亜酸化銅の加熱混合物により行うことができる。具体的な実例において、二酸(IV)の脱カルボキシル化は、テトラエチレングリコールジメチルエーテル中のCu2Oの混合物を約220から240℃で加熱することによって行った。
【0042】
具体的な実例において、調製したβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン(V)化合物は、3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(DC17FT4)であった。別の具体的な実例において、調製したβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン(V)化合物は、3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(DC10FT4)であった。別の具体的な実例において、調製したβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン(V)化合物は、3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(CD21FT4)であった。開示され、調製されたβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物は、その組合せ、およびその塩を含む、その全ての中間体および同等物を含む。
【0043】
本開示は、実験により示されたDC17FT4、DC10FT4、およびDC21FT4の調製に基づいて、DCXFT4および類似の化合物の調製に対する改良経路を提供する。
【0044】
開示されたプロセスでは、例えば、アルコールからアルデヒドへの酸化の排除を含む不要な工程を排除する。その代わりに、カルボニル官能基−(C=O)−を導入するために、市販の酸塩化物が選択される。開示されたプロセスでは、例えば、ジオールのケトンへの酸化も排除される。その代わりに、テトラブロモチエノチオフェンと酸塩化物の直接の反応により、ジケトン生成物が与えられる。開示されたプロセスは、最終工程においてDCXFT4を提供するための改善された脱カルボキシル化も含む(Shchekotikhin, A. E., et al., Chem Heterocycl Comp. 2007, 43, 439を参照)。
【0045】
実施の形態において、開示されたプロセスは、例えば、ジケトンの形成(例えば、44%の収率)、4つの縮合環を形成するための環化(例えば、84%の収率)、ジエステルの二酸への加水分解(96%の収率)、および脱カルボキシル化(例えば、85%の収率)の各工程によって、約30%の全収率で、DC17FT4生成物を提供する。特にジケトンの形成工程について、さらなる収率の改善が行われている。
【0046】
従来技術の方法と比べて、開示された方法の特に有用な特徴としては、例えば、より短い合成経路(少なくとも6以上の工程に対して4工程)、約18%に対する約30%のより高い全収率が挙げられる。各中間体(ジケトン、ジエステル、および二酸)は、従来技術と比べた場合、より高い粗収率で得られる。このことは転じて、精製がより簡単になり、工程所要時間とコストが減少する。開示された調製方法は、従来の方法で使用されたクロム酸化試薬およびキノリン溶媒の使用も回避する。
【0047】
DC17FT4は、形態PQDC17FT4(ここで、Q=任意のコモノマー)の半導体ポリマーを調製するための重要な前駆体である(He, M.; et al., J. Am. Chem. Soc. 2009, 131,11930;Fong, H., et al., J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 13202;He, M., et al., J. Org. Chem., 2007, 72, 442;国際公開第2008/106019号パンフレットを参照)。直鎖C18アルコールおよびテトラブロモチエノチオフェンからのDC17FT4の合成が以前に開示されており(「従来技術のプロセス」)(同一出願人の米国特許第7705108号明細書(前出)を参照)、スキーム1に示されている。
【化6】
【0048】
このプロセスは、6つの工程手順を使用したものであり、任意のDCXFT4(X=17が、最も一般は的な側鎖である)を形成するのに適用できると考えられている。アルコールのアルデヒドへの酸化に、PCC(80%)を使用した(Gaikwad, D. D., et al., India. Org. Chem., 2008, 4, 125を参照)。テトラブロモチエノチオフェンのリチウム−ハロゲン交換反応の後に、C18アルデヒドによるアルキル化が行われて、ジオールを得た(国際公開第2005/012326号パンフレットを参照)。ジョーンズ試薬を使用したジオールの酸化により、ジケトンを得た(62%)(Harding, K. E., et al., J. Org. Chem., 1975, 40, 1664を参照)。環化手法を使用して、外側に2つの縮合環を構築した(72%)(Frey, J., Chem. Comm. 2002, 2424;Frey, J, et al., Org. Synth. 2006, 83, 209を参照)。二酸への加水分解後に、脱カルボキシル化(61%)を行って、このプロセスを完了した(前出のFrey参照)。
【0049】
従来のプロセスにより、約17.6%の全収率でDC17FT4が得られた。しかしながら、従来のプロセスの欠点としては、例えば、このプロセスの2工程に、環境に悪いクロム試薬が使用されたことが挙げられる(Gavin, I. M., et al., Environ Mol Mutagen. 2007, 48, 650を参照)。キノリンが脱カルボキシル化反応に使用されが、この物質は、除去するのが難しく、生成物を分解生成物で潜在的に汚染し得る(Shindo, H., et al., Heterocycles,1989, 29, 899;Frey, J., et al., Org. Synth., 2006, 83, 209を参照)。脱カルボキシル化工程では高温(270〜300℃)も使用した。この従来の手法では、例えば、約15から約20パーセントのより低い全収率となった。ここに開示された改良手法では、上述した欠点が回避または緩和されたプロセスが提供される。実施の形態において、本開示は、スキーム2に示されるようなDCXFT4を調製する改良プロセスを提供する。
【化7】
【0050】
開示されたプロセスでは、スキーム1の従来のプロセスの工程1,2および3を、工程Aで置き換える(スキーム2)。スキーム1の従来のプロセスの工程4と5は、変わらないままであり、スキーム2に工程BとCにより表される。スキーム2の最後の脱カルボキシル化工程Dも、より良い結果を与える異なる試薬を使用することによって、従来のプロセスの工程6と比べて改善されている。
【0051】
調製された具体的なCDXFT4化合物としては、例えば、式(V):
【化8】
【0052】
のDC10FT4、DC17FT4、およびDC21FT4が挙げられ、式中、同一かつC2対称(すなわち、FT4のコアの周りで)のR置換基は、それぞれ、−C1021、−C1735、および−C2143である。R置換基が−C1021である場合、この化合物は、3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、または5,12−ジデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンと命名することができる。R置換基が−C1735である場合、この化合物は、3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、または5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンと命名することができる。R置換基が−C2143である場合、この化合物は、3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、または5,12−ジヘンエイコシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.02,6.09,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンと命名することができる。
【0053】
実施の形態において、本開示は、開示されたモノマー化合物の内の少なくとも1つ、またはそのポリマーを含むデバイスを提供する。そのデバイスの例としては、光起電素子、エレクトロルミネセントディスプレイ、センサ、トランジスタ、半導体、RFIDタグ、発光ダイオード、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0054】
実施の形態において、本開示は、FT(x+2)環系伸長およびベータ二置換基合成に対するFTx化合物、例えば、FT4環系伸長およびベータ二置換基合成に対するFT2化合物の調製プロセスを提供する。開示の調製プロセスは、例えば、FT5環系伸長およびベータ二置換基合成に対するFT3化合物、FT6環系伸長およびベータ二置換基合成に対するFT4化合物、および類似の伸長用途などの類似の系に容易に適用できる。この類似の環系伸長化合物は、さらに別の置換基誘導または重合のために選択することもできる。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、上述した開示を使用する様式をより十分に説明し、かつ本開示の様々な態様を実施するために考えられる最良の形態をさらに述べる働きをする。これらの実施例は、本開示の範囲を制限するものではなく、むしろ、説明の目的で提示されていることが理解されよう。これらの実施例は、本開示の化合物をどのような調製するかをさらに説明する。
【0056】
実施例1
ジアシル化(工程A) 無水THF(500mL)中の2,3,5,6−テトラブロモチエノ[3,2,b]チオフェン(9.1g、0.2モル)の懸濁液を−78℃に冷却した。n−ブチルエーテル中のフェニルリチウム溶液(1.8モル/L、24mL、2.16当量)を滴下し、反応混合物を−78℃で撹拌した。1時間後、アリコートを取りだし、反応停止させ、GC−MSによって試験した。この試験により、ジアニオンが100%の収率で形成されたことが判明した。塩化ステアロイル(13.6g、0.045モル)をテトラヒドロフラン(THF)中に溶解させ、反応温度をできるだけ−78℃に近く維持しながら、できるだけ迅速に加えた。この反応を、数時間で室温まで暖まらせ、次いで、室温で一晩撹拌した。次いで、反応混合物を水(2.5から3当量)で急冷した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残留した固体を水(2×300mL)とメタノール(2×300mL)で洗浄し、濾過し、次いで、乾燥させた。粗製生成物を高温から低温のヘキサンより再結晶化させて、オフホワイト色の固体として、所望の生成物1−{3,6−ジブロモ−5−オクタデカノイルチエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}オクタデカン−1−オン(7.3g、収率44%)を得た。1H NMR (CD2Cl2) δ 0.88 (6 H, t, J = 6.6 Hz), 1.20-1.48 (56 H, m), 1.69 - 1.82 (4 H, m), および3.07 (4 H, t, J = 7.2 Hz)。
【0057】
実施例2
ビス−環化付加(工程B) 実施例1の生成物1−{3,6−ジブロモ−5−オクタデカノイルチエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}オクタデカン−1−オン(30.0g、36ミリモル)をK2CO3(50g、360ミリモル)およびN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)と混合した。この混合物を60℃に加熱し、2−メルカプト酢酸エチル(8.8mL、79ミリモル)を滴下した。反応混合物を窒素雰囲気下において60℃で48時間に亘り撹拌し、次いで、氷水(500mL)中に注ぎ入れた。この溶液から粗製生成物を濾過し、水、MeOH、次いで、アセトンで2回洗浄して、生成物2,6−ジカルボエトキシ−3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(26g、収率84%)を得た。1H NMR (CD2Cl2) δ 0.90 (6 H, t, J = 6.6 Hz), 1.27-1.38 (56 H, m), 1.42 (6 H, t, J = 7.2 Hz), 1.73 - 1.87 (4 H, m), 3.20 (4 H, t, J = 7.5 Hz), および4.39 (4 H, q, J = 7.2 Hz)。
【0058】
実施例3
エステル脱プロトン化(工程C) 実施例2の生成物2,6−ジカルボエトキシ−3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(26.0g、30ミリモル)、LiOH(2.9g、29mLの水中で121ミリモル)、THF(100mL)、MeOH(20mL)および触媒量(約35mg)の臭化テトラブチルアンモニウムを、冷却器を備えた丸底フラスコで混ぜ合わせ、還流しながら一晩加熱した。溶媒の約90%を蒸発させ、残留物を濃塩酸でpH1に酸性化させて、固体を形成し、これを濾過により収集し、水とメタノールで完全に洗浄し、真空下で乾燥させて、3,7−ジヘプタデカニルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン−2,6−ジカルボン酸(23.5g、収率96%)を生成した。1H NMR (D8-THF) δ 0.88 (6H, m), 1.20 - 1.50 (72H, m), 1.70 - 1.87 (4H, m), および3.23 (4H, m)。
【0059】
実施例4
脱カルボキシル化(工程D) 実施例3の生成物3,7−ジヘプタデカニルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン−2,6−ジカルボン酸(29g、35.5ミリモル)、Cu2O(1.16g、0.2当量)およびグリシン(1.16g、0.3当量)のテトラエチレングリコールジメチルエーテル(600mL)中の混合物を、ガスの放出をモニタするためにアウトレットバブラー(outlet bubbler)を備えたフラスコ内で約220から230℃に加熱した。脱カルボキシル化が進行したときに、放出されたガスを定期的にモニタした。2.5時間後、ガスが放出されなくなり、合計で3時間後に反応を停止させた。高温の反応混合物を迅速に濾過して、酸化銅および他の固体残留物を除去した。次いで、濾過された溶液を室温まで冷却して、薄黄色の沈殿物(24g、96%)を得た。これを溶液から濾過し、高温から低温でトルエンから再結晶化して、オフホワイト色の固体として所望の生成物3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(DC17FT4)(22g、収率85%)を得た。1H NMR (CD2Cl2) δ 0.91 (6H, t, J = 6.6 Hz), 1.29 - 1.46 (56H, m), 1.74 - 1.88 (4 H, m), 2.78 (4H, t, J = 7.5 Hz), および7.02 (2H, s)。
【0060】
実施例5〜8
DC10FT4の調製 以下に記載するようにDC10FT4を製造するために、先の実施例1〜4をわずかに変更して繰り返した。
【0061】
実施例5
ジアシル化(工程A) 無水THF(200mL)中の2,3,5,6−テトラブロモチエノ[3,2,b]チオフェン(10g、21.9ミリモル)の懸濁液を−78℃に冷却した。n−ブチルエーテル中のフェニルリチウム溶液(1.8モル/L、25mL、45ミリモル)を滴下し、反応混合物を4時間に亘り−78℃で撹拌した。塩化ウンデカノイル(9.2g、44.9ミリモル)を、混合物の温度をできるだけ−78℃に近く維持しながら、注射器で反応混合物に加えた。この反応を、約3時間で室温まで暖まらせ、次いで、室温で一晩撹拌した。次いで、反応混合物をクラッシュ・アイス(200g)を加えることにより急冷した。氷を溶かしながら、反応混合物を撹拌した。次いで、THFのほとんど(約90%超)を減圧下で除去し、残留溶液から固体を濾過した。この固体を水(100mL)中に懸濁させ、1時間に亘り撹拌し、次いで、濾過した。固体をメタノール(100mL)中に再度懸濁させ、1時間に亘り撹拌し、次いで、濾過して、白色の固体として、生成物1−{3,6−ジブロモ−5−ウンデカノイルチエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}ウンデカン−1−オン(5.75g、収率41.3%)を得た。1H NMR (CD2Cl2) δ 0.90 (6H, t, J = 6.3 Hz), 1.20 - 1.48 (28H, m), 1.68 - 1.73 (4H, m), および 3.11 (4H, t, J = 7.2 Hz)。
【0062】
実施例6
ビス−環化付加(工程B) 実施例5の生成物1−{3,6−ジブロモ−5−ウンデカノイルチエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}ウンデカン−1−オン(6g、9.46ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(150mL)中に溶解させ、撹拌を開始した。撹拌が妨げられないような速度で炭酸カリウム(13.06g、94.6ミリモル)を加え、その後、18−クラウン−6(10mg)を添加した。この混合物を80℃に加熱し、チオグリコール酸エチル(2.27g、18.91ミリモル)を滴下した。反応混合物を窒素雰囲気下において80℃で72時間に亘り撹拌した。クラッシュ・アイス(170g)を加え、反応混合物を1時間に亘り撹拌させた。この溶液から固体を濾過し、次いで、水(200mL)中に再度懸濁させ、1時間に亘り撹拌した。この懸濁液を再度濾過し、固体をメタノール(200mL)中に再度懸濁させ、さらに1時間に亘り撹拌した。メタノール溶液から固体を濾過し、真空下で乾燥させて、生成物2,6−ジカルボエトキシ−3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(5.00g、収率78.2%)を得た。1H NMR (CD2Cl2) δ0.87 (6H, t, J = 6.3 Hz), 1.15 - 1.35 (28H, m), 1.40 (6H, t, J = 7.2 Hz), 1.68 - 1.82 (4H, m), 3.17 (4H, t, J = 7.2 Hz), および4.36 (4H, q, J = 7.2 Hz)。
【0063】
実施例7
エステル脱プロトン化(工程C) 実施例6の生成物2,6−ジカルボエトキシ−3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(5.00g、7.39ミリモル)をテトラヒドロフラン(THF)(280mL)中に溶解させ、次いで、メタノール(40mL)を加えた。水酸化リチウムを水(7mL)中に溶解させ、撹拌しているメタノールおよびTHF溶液に加えた。冷却器を備え付け、反応混合物を16時間に亘り90℃で油浴中において加熱した。減圧下でTHFとメタノールを除去した。60mLのメタノールおよび10mLの濃塩酸を加え、次いで、4時間に亘り撹拌した。次に、50mLの水を加え、固体を濾過により除去した。生成物を真空下で乾燥させて、3,7−ジデカニルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン−2,6−ジカルボン酸(4.50g、収率98%)を生成した。1H NMR (D8-THF)(二リチウム塩の) δ 0.88 (6H, t, J = 6.9 Hz), 1.20 - 1.47 (28H, m), 1.70 - 1.86 (4H, m), および3.24 (4H, t, J = 7.5 Hz)。
【0064】
実施例8
脱カルボキシル化(工程D) 実施例7の生成物3,7−ジデカニルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン−2,6−ジカルボン酸(0.50g、0.8ミリモル)、Cu2O(10mg、0.07ミリモル)およびグリシン(10mg、0.13ミリモル)のテトラエチレングリコールジメチルエーテル(40mL)中の混合物を、ガスの放出をモニタするためにアウトレットバブラーを備えたフラスコ内で約240℃に加熱した。脱カルボキシル化が進行したときに、放出されたガスを定期的にモニタした。1.5時間後、ガスが放出されなくなり、合計で2時間後に反応を停止させた。高温の反応混合物を迅速に濾過して、酸化銅および他の固体残留物を除去した。次いで、濾過された溶液を室温まで冷却して、薄黄色の沈殿物(4.1g、96%)を得た。これを溶液から濾過し、その後、高温から低温でトルエンから再結晶化して、オフホワイト色の固体として所望の生成物3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(DC10FT4)(3.9g、収率91%)を得た。1H NMR (CD2Cl2) δ0.88 (6H, t, J = 6.9 Hz), 1.20 - 1.45 (28H, m), 1.68 - 1.80 (4H, m), 2.75 (4H, t, J = 7.5 Hz), および 7.00 (2H, s)。
【0065】
実施例9〜12
DC21FT4の調製 以下に記載するようにDC21FT4を製造するために、先の実施例1〜4をわずかに変更して繰り返すことができる。
【0066】
実施例9
ジアシル化(工程A) 無水THF(200mL)中の2,3,5,6−テトラブロモチエノ[3,2,b]チオフェン(20ミリモル)の懸濁液を−78℃に冷却する。n−ブチルエーテル中のフェニルリチウム溶液(41ミリモル)を滴下し、反応混合物を4時間に亘り−78℃で撹拌する。塩化ドコサノイル(41ミリモル)を、混合物の温度をできるだけ−78℃に近く維持しながら、注射器で反応混合物に加える。この反応を、約3時間で室温まで暖まらせ、次いで、室温で一晩撹拌する。次いで、反応混合物をクラッシュ・アイス(200g)を加えることにより急冷する。氷を溶かしながら、反応混合物を撹拌する。次いで、THFのほとんど(>90%)を減圧下で除去し、残留溶液から固体を濾過する。この固体を水(100mL)中に懸濁させ、1時間に亘り撹拌し、次いで、濾過する。固体をメタノール(100mL)中に再度懸濁させ、1時間に亘り撹拌し、次いで、濾過して、生成物1−{3,6−ジブロモ−5−ドコサノイルチエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}ドコサン−1−オンを得る。1H NMR (CD2Cl2) δ 0.95 - 1.15 (6H, m), 1.30 - 1.82 (76H, m) および3.17 - 3.32 (4H, m)。
【0067】
実施例10
ビス−環化付加(工程B) 実施例9の生成物1−{3,6−ジブロモ−5−ドコサノイルチエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}ドコサン−1−オン(10ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(150mL)中に溶解させ、撹拌を開始する。撹拌が妨げられないような速度で炭酸カリウム(100ミリモル)を加え、その後、18−クラウン−6(10mg)を添加する。この混合物を80℃に加熱し、チオグリコール酸エチル(20ミリモル)を滴下する。反応混合物を窒素雰囲気下において80℃で72時間に亘り撹拌する。クラッシュ・アイス(170g)を加え、反応混合物を1時間に亘り撹拌させる。この溶液から固体を濾過し、次いで、水(200mL)中に再度懸濁させ、1時間に亘り撹拌する。この懸濁液を再度濾過し、固体をメタノール(200mL)中に再度懸濁させ、さらに1時間に亘り撹拌する。メタノール溶液から固体を濾過し、真空下で乾燥させて、生成物2,6−ジカルボエトキシ−3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェンを得る。1H NMR (D8-THF) δ0.89 (6H, t, J = 6.3 Hz), 1.02 - 1.60 (78H, m) 1.60 - 1.84 (4H, m), 3.10 - 3.30 (4H, m), および4.24 - 4.42 (4H, m)。
【0068】
実施例11
エステル脱プロトン化(工程C) 実施例10の生成物2,6−ジカルボエトキシ−3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(10ミリモル)をテトラヒドロフラン(THF)(280mL)中に溶解させ、次いで、メタノール(40mL)を加える。水酸化リチウム(40ミリモル)を水(10mL)中に溶解させ、撹拌しているメタノールおよびTHF溶液に加える。冷却器を備え付け、反応混合物を16時間に亘り90℃で油浴中において加熱する。減圧下でTHFとメタノールを除去する。60mLのメタノールおよび10mLの濃塩酸を加え、次いで、4時間に亘り撹拌する。次に、50mLの水を加え、固体を濾過により除去する。生成物を真空下で乾燥させて、3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン−2,6−ジカルボン酸を生成する。1H NMR (D8-THF) δ 0.89 (6H, t, J = 6.9 Hz), 1.17 - 1.45 (72H, m), 1.68 - 1.85 (4H, m), および3.18 - 3.28 (4H, m)。
【0069】
実施例12
脱カルボキシル化(工程D) 実施例11の生成物3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン−2,6−ジカルボン酸(1.0ミリモル)、Cu2O(0.10ミリモル)およびグリシン(0.16ミリモル)のテトラエチレングリコールジメチルエーテル中の混合物を、ガスの放出をモニタするためにアウトレットバブラーを備えたフラスコ内で約240℃に加熱する。脱カルボキシル化が進行したときに、放出されたガスを定期的にモニタする。約1.5時間後、ガスが放出されなくなり、合計で2時間後に反応を停止させる。高温の反応混合物を迅速に濾過して、酸化銅および他の固体残留物を除去する。次いで、濾過された溶液を室温まで冷却して、薄黄色の沈殿物を得る。これを溶液から濾過し、その後、高温から低温でトルエンから再結晶化して、所望の生成物3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(DC21FT4)を得る。1H NMR (CD2Cl2) δ0.91 (6H, t, J = 6.8 Hz), 1.15 - 1.50 (76H, m), 1.74 - 1.90 (4H, m), 2.78 (4H, m), および7.02 (2H, s)。
【0070】
実施例13
ポリマーの調製−ポリ(3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン) 以下に記載する一般手法を使用して、3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェンの縮合チオフェンポリマーを製造する。この手法は、ここに引用する、Anderson, et al., Macromolecules 1994, 27, 6506から適合したものである。
【0071】
実施例8の生成物3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(10ミリモル)を30mLのクロロベンゼン中に溶解させる。20mLのクロロベンゼン中の塩化第2鉄(2.5ミリモル)の懸濁液を30分間でモノマー溶液に加える。混合物を室温で数時間(例えば、約6から約24時間まで)に亘り撹拌させる。縮合環系の環の数が多い(例えば、4以上)縮合チオフェンモノマー化合物について、数時間に亘り約80から約90℃で反応混合物を加熱することが望ましいであろう。次いで、反応混合物を、95:5のメタノール:水の500mLの混合物から沈殿させる。沈殿物を濾過により収集し、トルエン中に溶解させ、濃アンモニア(3×60mL)と共に沸騰させ、エチレンジアミン四酢酸(水中で0.05M、2×50mL)と共に沸騰させる。有機層をメタノール(500mL)から沈殿させる。濾過と真空乾燥(70〜80℃)により、高分子材料が得られる。
【0072】
実施例14
2,6−ジブロモ−3,7−ジデカニルテトラチエノアセンの臭素化 実施例8の生成物3,7−ジデカニルテトラチエノアセン(1ミリモル)を塩化メチレン(60mL)中に溶解させる。N−ブロモスクシンイミド(NBS)(2.02ミリモル)をDMF(20mL)中に溶解させ、暗所でフラスコに滴下する。得られた混合物を暗所で一晩撹拌する。塩化メチレンを蒸発させ、残りの固体残留物を水(3×100mL)とメタノール(50mL)で洗浄する。固体を乾燥させ、ヘキサンから再結晶化させて、2,6−ジブロモ−3,7−ジデカニルテトラチエノアセンを得る。1H NMR (CD2Cl2) δ0.88 (6H, t, J = 6.9 Hz), 1.18 - 1.43 (28H, m), 1.64 - 1.82 (4H, m) および2.78 (4H, t, J = 7.5 Hz)。
【0073】
実施例15
ポリマーの調製−ポリ(2,5−ビス(チオフェン−2−イル)−(3,7−ジデカニルテトラチエノアセン)(P2TDC10FT4) 実施例14の生成物2,6−ジブロモ−3,7−ジデカニルテトラチエノアセン(1ミリモル)および1,1’−[2,2’−ビチオフェン]−5,5’−ジイルビス[1,1,1−トリメチルスタナン](1ミリモル)をフラスコ内でトルエン(30mL)中に溶解させる。数分間に亘りフラスコの内容物を窒素で泡立てる。この混合物にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.09g、0.785ミリモル)を加える。この混合物を16時間に亘り窒素雰囲気下で125〜130℃に加熱する。混合物をメタノール(400mL)と濃塩酸(20mL)の溶液中に注ぎ入れ、室温で一晩撹拌する。沈殿物を濾過し、それぞれ24時間に亘りアセトンとヘキサンでソックスレー抽出する。次いで、得られたポリマーをクロロベンゼン中に溶解させ、濾過し、メタノール中に沈殿させる。収集したポリマーを真空中で乾燥させる。
【0074】
本開示を、様々な具体的な実施の形態および技法を参照して説明してきた。しかしながら、本開示の範囲内にありながら、多くの変更および改変が可能であることを理解すべきである。
【0075】
他の実施態様
1.β"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物を製造する方法であって、
式(I):
【化9】
のテトラブロモジチオフェンをジアシル化させる工程;
結果として得られた式(II):
【化10】
のα−ジ−アシル−β−ジ−ブロモ−ジチオフェン化合物を、2−メルカプトアセテートに接触させて、式(III):
【化11】
(式中、R1は、独立して、置換または未置換、分岐または未分岐のC1からC6ヒドロカルビルである)
の環化したα"−カルボキシ−β"−ジ−R−置換縮合チオフェンを形成する工程;
前記α"−カルボキシ−β"−ジ−R−置換縮合チオフェン(III)を式(IV):
【化12】
の対応する二酸に転化させる工程;および
前記二酸(IV)を脱カルボキシル化して、式(V):
【化13】
(式中、Rは、独立して、置換または未置換の、分岐または未分岐のC4からC25ヒドロカルビルである)
のβ"−ジ−R−置換縮合チオフェンを提供する工程;
を有してなる方法。
2. 各Rが、4から25の炭素原子を有する同じ置換または未置換のヒドロカルビルである実施態様1記載の方法。
3. Rが、同じ、−C1021、−C1735または−C2143である、実施態様1記載の方法。
4. ジ−アシル化は、少なくとも2当量のアルキルアシルハロゲン化物を用いて行われる、実施態様1記載の方法。
5. アルキルアシルハロゲン化物は、C1735−(C=O)−Clである、実施態様4記載の方法。
6. 前記接触は、少なくとも2当量の2−メルカプトエチルアセテートを用いて行われる、実施態様1記載の方法。
7. 前記二酸(IV)の脱カルボキシル化が、グリコールエーテル溶媒中、Cu(I)、Cu(II)またはその組合せの銅酸化物との混合物を加熱することにより行われる、実施態様1記載の方法。
8. 前記酸化銅がCuOであり、前記グリコールエーテルがテトラエチレングリコールジメチルエーテルであり、および前記加熱が約220から約240℃で行われる、実施態様7記載の方法。
9. 両性化合物をさらに含む、実施態様7記載の方法。
10. 前記両性化合物がアミノ酸である、実施態様9記載の方法。
11. 前記アミノ酸がグリシンである、実施態様10記載の方法。
12. 前記β"−ジ−R−置換縮合チオフェン(V)が、3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、または3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェンである、実施態様1記載の方法。
13. 3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、およびそれらの塩、並びにそれらの組合せからなる群より選択される、β"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物。
14. 3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、およびそれらの塩、並びにそれらの組合せからなる群より選択される、β"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物を含むデバイス。
15.光起電素子、エレクトロルミネセントディスプレイ、センサ、トランジスタ、半導体、RFIDタグ、発光ダイオード、またはそれらの組合せを含む、実施態様14記載のデバイス。
16. 実施態様1の方法により調製された、式(V)の化合物:
【化14】
(式中、Rは、独立して、置換または未置換の、分岐または未分岐のC4からC25ヒドロカルビルである)
17. 各Rは、C対象を有する化合物を提供する同じヒドロカルビルである、実施態様16記載の化合物。
18. 各Rは、異なるヒドロカルビルである、実施態様16記載の化合物。