【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、縮合チオフェン(FT)化合物を製造する改良方法、およびそのポリマーを提供する。
【0006】
本開示の様々な実施の形態を、もしあれば図面を参照して、詳しく説明する。様々な実施の形態への言及は、本発明の範囲を制限するものではなく、これは、ここに添付された特許請求の範囲によってしか制限されない。その上、本明細書に述べられた実施例は、制限の意味ではなく、請求項に記載された発明の多くの可能な実施の形態のいくつかを単に述べただけである。
定義
【0007】
「FTx」または類似の略語は、縮合チオフェン化合物、その重合性モノマー、およびその重合体を称し、式中、xは縮合チオフェン環または1つのコアユニットに縮合された環単位の数を表す整数である。例えば、FT2はコア単位中に2つの縮合環を有し、FT3はコア単位中に3つの縮合環を有し、FT4はコア単位中に4つの縮合環を有し、FT5はコア単位中に5つの縮合環を有し、以下同様である。
【0008】
「DCXFT4」または類似の略語は、対称のジ−ベータ−置換縮合チオフェン化合物の部類を表し、式中、Xはジ−(R)置換基を表す整数であり、これは、3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.0
2,6.0
9,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンのコアに結合した基または各R置換基における炭素原子の数を示す。
【0009】
「DC10FT4」または類似の略語は、具体的なDCXFT4化合物:3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(J.Org.Chem.,2007,72,442-451参照)、または(IUPAC)5,12−ジデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.0
2,6.0
9,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンを表し、式中、「10」は、コアに結合したC
10ジ−デシル置換基を表す。
【0010】
「DC17FT4」または類似の略語は、具体的なDCXFT4化合物:3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(前出のJ.Org.Chem.参照)、あるいは(FT4化合物は現在名付けられていないので、IUPAC命名法にしたがう)5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.0
2,6.0
9,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンを表し、式中、「17」は、コアに結合したC
17ヘプタデシル置換基を表す。
【0011】
「DC21FT4」または類似の略語は、具体的なDCXFT4化合物:3,7−ジ−ヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(前出のJ.Org.Chem.参照)、または(IUPAC)5,12−ジヘンエイコシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.0
2,6.0
9,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンを表し、式中、「21」は、コアに結合したC
21ジ−ヘンエイコシル置換基を表す。
【0012】
「炭化水素」、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビレン」、「ヒドロカルビルオキシ」および類似の用語は、−Rなどの一価の部分、または二価の−R−部分を一般に称し、例えば、アルキル炭化水素、芳香族またはアリール炭化水素、アルキル置換アリール炭化水素、アルコキシ置換アリール炭化水素、ヘテロアルキル炭化水素、ヘテロ芳香族またはヘテロアリール炭化水素、アルキル置換ヘテロアリール炭化水素、アルコキシ置換ヘテロアリール炭化水素、および類似の炭化水素部分、並びにここに例示されたものを含み得る。
【0013】
「アルキル」は、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、およびシクロアルキルを含む。「置換アルキル」または「必要に応じて置換されたアルキル」は、例えば、1から約10の炭素原子を有する一価アルキルまたは二価アルキレンなどの、例えば、Rがヒドロカルビル、アリール、Het、または類似の部分である、ヒドロキシル(−OH)、ハロゲン、アミノ(−NH
2または−NR
2)、ニトロ(−NO
2)、アシル(−C(=O)R)、アルキルスルホニル(−S(=O)
2R)、アルコキシ(−OR)、および類似の置換基から選択される1から4の随意的な置換基を有する、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、またはシクロアルキルを含み得る、アルキル置換基を称する。例えば、ヒドロキシ置換アルキルは、式−CH
2−CH(OH)−CH
2−の2−ヒドロキシ置換プロピレンであり得、アルコキシ置換アルキルは、式−CH
2−CH
2−O−CH
3の2−メトキシ置換エチルであり得、アミノ置換アルキルは、式−CH(NR
2)−CH
3の1−ジアルキルアミノ置換エチルであり得、オリゴ−(オキシアルキレン)、ポリ−(オキシアルキレン)、またはポリ−(アルキレンオキシド)置換アルキルは、xが、例えば、1から約50まで、および1から約20までであり得る、部分的な式−(R−O)
x−のもの、およびR
5が水素またはアルキルなどの置換または未置換(C
1-8)ヒドロカルビルであり、xが1から約50までの整数である、式−(CR
5−CHR
5−O)
x−のものなどの類似の置換オキシアルキレン置換基であり得る。
【0014】
「アリール」は、一価または二価のフェニルラジカル、もしくは少なくとも1つの環が芳香族である、約9から12の環原子を有するオルト縮合二環式炭素環式ラジカルを含む。アリール(Ar)は、1から5の置換基、例えば、アルキル、アルコキシ、ハロ、および類似の置換基を有するフェニルラジカルなどの置換アリールを含む。
【0015】
「Het」は、オキシ、チオ、スルフィニル、スルホニル、セレン、テルル、および窒素からなる群より選択される1,2,3,または4のヘテロ原子を有する、必要に応じてベンゼン環に縮合した、4員、5員、6員または7員飽和または不飽和複素環式環を含む。Hetは「ヘテロアリール」も含み、これは、炭素と、各々が非過酸化物のオキシ、チオ、およびXが含まれないかH、O、(C
1-4)アルキル、フェニル、またはベンジルであるN(X)から選択される1,2,3,または4のヘテロ原子とからなる5または6の環形成原子を含有する単環式芳香族環の環形成炭素を介して結合したラジカル、およびそこから誘導された約8から10の環形成原子のオルト縮合二環式複素環、特に、ベンゾ誘導体またはプロピレン、トリメチレン、またはテトラメチレンジラジカルをそこに縮合させることによって誘導されたものを包含する。
【0016】
実施の形態において、ハロまたはハロゲン化物は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを含む。アルキル、アルコキシなどは、直鎖基および分岐鎖基の両方を含むが、「プロピル」などの個々のラジカルの言及は、直鎖ラジカルのみを包含し、「イソプロピル」などの分岐鎖異性体は具体的に言及される。
【0017】
様々な炭化水素含有(すなわち、ヒドロカルビル)部分の炭素原子含有量は、もう一つの方法として、その部分における炭素原子の下限値と上限値を表す識別記号により表すこともできる、すなわち、識別記号C
i-jは、整数「i」から整数「j」までの炭素原子の部分を表す。それゆえ、例えば、(C
1−C
8)アルキルまたはC
1-8アルキルは、1から8までの炭素原子のアルキルを称し、(C
1−C
8)アルコキシまたはC
1-8アルコキシなどのヒドロカルビルオキシは、1から8までの炭素原子のアルキル基を有するアルコキシラジカル(−OR)を称する。
【0018】
具体的に、C
1-8アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり得;(C
3−C
12)シクロアルキルは、二環式、三環式、または多環式を含む、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、および類似の置換基であり得る。
【0019】
具体的な「ヒドロカルビル」は、例えば、全ての中間鎖長および値を含む、(C
1-24)ヒドロカルビルであり得る。
【0020】
C
1-8アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシ、ヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、および類似の置換基であり得る。
【0021】
−C(=O)(C
3-7)アルキル−または−(C
2-7)アルカノイルは、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、4−メチルペンタノイル、ヘキサノイル、またはヘプタノイルであり得る。アリール(Ar)は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、テトラヒドロナフチル、またはインダニルであり得る。Hetは、例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、またはヘテロアリールであり得る。ヘテロアールは、例えば、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(またはそのN−オキシド)、チエニル、ピリミジニル(またはそのN−オキシド)、インドリル、イソキノリル(またはそのN−オキシド)またはキノリル(またはそのN−オキシド)であり得る。
【0022】
Hetの具体的な値は、1,2,3,または4のヘテロ原子、例えば、非過酸化物オキシ、チオ、スルフィニル、スルホニル、セレン、テルル、および窒素を含有する5員、6員、または7員の飽和または不飽和環;およびそれから誘導された約8から12の環形成原子のオルト縮合二環式複素環のラジカル、特に、ベンゾ誘導体またはプロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、または別の単環式Hetジラジカルをそこに縮合させることにより誘導されたものを含む。
【0023】
ここに開示され、説明されたような、様々な出発材料または中間体からの、本開示の化合物、オリゴマー、ポリマー、複合体または類似の生成物の形成および修飾に適した他の条件が利用できる。例えば、Feiser and Feiser, "Reagents for Organic Synthesis", Vol. 1, et seq., 1967; March, J. "Advanced Organic Chemistry," John Wiley & Sons, 4
th ed. 1992;House, H. O., "Modem Synthetic Reactions," 2
nd ed., W. A. Benjamin, New York, 1972およびLarock, R. C., "Comprehensive Organic Transformations," 2
nd ed., 1999, Wiley-VCH Publishers, New Yorkを参照のこと。ここに記載された調製方法に利用される出発材料は、例えば、市販されており、科学文献に報告されており、または当該技術分野で公知の手法を使用して、容易に利用できる出発材料から調製できる。上述したまたは代わりの調製手法の全てまたは一部の最中に、必要に応じて保護基を使用することが望ましいであろう。そのような保護基およびそれらの導入方法と除去方法が、当該技術分野において公知である。Greene, T. W.; Wutz, P. G. M. "Protecting Groups In Organic Synthesis," 2
nd ed., 1991, New York, John Wiley & Sons, Incを参照のこと。
【0024】
「モノマー」、「マー」または類似の用語は、目的のポリマーの同質(ホモポリマー)または異質(例えば、コポリマー、ターポリマー、および類似のヘテロポリマー)鎖を形成するために、類似または異なる構造の他のモノマーと共有結合または連結され得る(またはすでにされた)化合物を称する。ここに開示され、説明された適切なモノマーは、例えば、不飽和オリゴマーまたは不飽和ポリマー化合物を含む、約50から約200ダルトンなどの低分子量重合性化合物、および約200から約10,000ダルトンなどのより高分子量の化合物を含む。
【0025】
「含む」または類似の用語は、包含するが限られないこと、すなわち、包括的であって排他的ではないことを意味する。
【0026】
実施の形態における「から実質的になる」は、例えば、化合物、そのモノマー化合物から導かれたポリマーまたはコポリマー組成物、その化合物、ポリマー、または配合物を製造または使用する方法、および本開示の物品、デバイス、または任意の装置を称し、請求項に列記された構成部材または工程に加え、特定の反応体、特定の添加剤または成分、特定の作用物質、特定の表面修飾剤または条件、もしくは類似の構造、材料、または選択されたプロセス変量などの、本開示の組成物、物品、装置、または製造および使用する方法の基本的性質および新規の性質に実質的に影響しない他の構成部材または工程を含み得る。本開示の構成部材または工程の基本的性質に実質的に影響を与えるであろう項目または本開示に望ましくない特徴を与えるであろう項目としては、例えば、モノマーの非常に低い溶解度または不溶解性、不十分な溶解度のための大々的なまたは長引く精製処理、結果として得られたポリマーの過度の高温への暴露、および類似の不利な工程が挙げられる。
【0027】
ここに使用される単数形は、別記しない限り、少なくとも1つ、すなわち1つ以上を意味する。
【0028】
当該技術分野によく知られた略語を使用してよい(例えば、時間について「h」または「hr」、グラムについて「g」または「gm」、ミリリットルについて「mL」、室温について「rt」、ナノメートルについて「nm」、および類似の略語)。
【0029】
構成要素、成分、添加剤、および類似の態様について開示された具体的な値と好ましい値、およびその範囲は、説明のためだけである;それらは、他の定義された値または定義された範囲内の他の値を排除するものではない。本開示の組成物、デバイス、装置、および方法は、ここに記載された任意の値、または値、特有の値、より特有の値、および好ましい値の任意の組合せを含み得る。
【0030】
本開示のモノマーまたはポリマー組成物などの高度に結合した(conjugated)有機材料が、導電材料として、二光子混合材料として、有機半導体として、および非線形光学(NLO)材料として、例えば、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、電気光学(EO)用途を含む様々な用途に使用するために開発されている。高度に結合した有機材料は、例えば、RFIDタグなどの素子、フラットパネルディスプレイ、光起電素子、センサ、および類似の素子に使用されるものなどのエレクトロルミネセント素子、またはそれらの組合せに使用することができる。
【0031】
実施の形態において、本開示は、β"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物を製造する方法を提供する。
【0032】
実施の形態において、1つの例示のプロセスが以下のスキーム2に示されている。
【0033】
実施の形態において、本開示は、対称または非対照のジ−β"−R−置換縮合チオフェン化合物を製造する方法であって、例えば、
【0034】
式(I):
【化1】
のテトラブロモジチオフェン(FT2化合物)をジア
シル化させる工程;
【0035】
結果として得られた式(II):
【化2】
のα−ジ−アシル−β−ジ−ブロモ−ジチオフェン化合物を、例えば、2−メルカプトアセテート、または類似のシントンに接触させて、式(III):
【化3】
(式中、R
1は、独立して、置換または未置換、分岐または未分岐のC
1からC
6ヒドロカルビ
ルであり、式(III)のα"−カルボキシ−β"−R−置換縮合チオフェンの具体的な例は、各R
1が、−Me、−プロピル、−Bu、−i−Bu、−t−Bu、および類似の基などのエトキシまたは類似の保護基であるジカルボエトキシ化合物である)
の環化したα"−カルボキシ−β"−R−置換縮合チオフェン(FT4化合物)を形成する工程;
【0036】
例えば、加水分解または類似の脱プロトン化方法によって、α"−カルボキシ−β"−R−置換縮合チオフェン(III)を式(IV):
【化4】
【0037】
の対応する二酸に転化させる工程;および
この二酸(IV)を脱カルボキシル化して、式(V):
【化5】
【0038】
(式中、Rは、独立して、置換または未置換の、分岐または未分岐のC
4からC
25ヒドロカルビ
ルである)
のβ"−ジ−R−置換縮合チオフェンを提供する工程;
を有してなる方法を提供する。
【0039】
Rは、例えば、中間値および中間範囲を含む、4から25の炭素原子を有する、8から22の炭素原子を有する、10から21の炭素原子を有する、置換または未置換のヒドロカルビ
ル、および類似のR置換基であり得る。
【0040】
以下の実例は、Rが、例えば、−C
10H
21、−C
17H
35、または−C
21H
43であり得る、対称なβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物を製造する本発明の調製方法の具体例を示す。ジ−アシル化は、例えば、わずかに過剰の反応体を含む、
少なくとも2当量の(at least two equivalents of)アルキルアシルハロゲン化物、または類似のシントンで行うことができる。
【0041】
実施の形態において、アルキルアシルハロゲン化物は、例えば、C
17H
35−(C=O)−Clであり得る。その場でのビス環形成のための接触は、例えば、
少なくとも2当量の2−メルカプトエチルアセテートにより行うことができる。二酸(IV)の脱カルボキシル化は、例えば、適切なグリコールエーテル溶媒、または類似の溶媒中の亜酸化銅の加熱混合物により行うことができる。具体的な実例において、二酸(IV)の脱カルボキシル化は、テトラエチレングリコールジメチルエーテル中のCu
2Oの混合物を約220から240℃で加熱することによって行った。
【0042】
具体的な実例において、調製したβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン(V)化合物は、3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(DC17FT4)であった。別の具体的な実例において、調製したβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン(V)化合物は、3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(DC10FT4)であった。別の具体的な実例において、調製したβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン(V)化合物は、3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン(CD21FT4)であった。開示され、調製されたβ"−ジ−R−置換縮合チオフェン化合物は、その組合せ、およびその塩を含む、その全ての中間体および同等物を含む。
【0043】
本開示は、実験により示されたDC17FT4、DC10FT4、およびDC21FT4の調製に基づいて、DCXFT4および類似の化合物の調製に対する改良経路を提供する。
【0044】
開示されたプロセスでは、例えば、アルコールからアルデヒドへの酸化の排除を含む不要な工程を排除する。その代わりに、カルボニル官能基−(C=O)−を導入するために、市販の酸塩化物が選択される。開示されたプロセスでは、例えば、ジオールのケトンへの酸化も排除される。その代わりに、テトラブロモチエノチオフェンと酸塩化物の直接の反応により、ジケトン生成物が与えられる。開示されたプロセスは、最終工程においてDCXFT4を提供するための改善された脱カルボキシル化も含む(Shchekotikhin, A. E., et al., Chem Heterocycl Comp. 2007, 43, 439を参照)。
【0045】
実施の形態において、開示されたプロセスは、例えば、ジケトンの形成(例えば、44%の収率)、4つの縮合環を形成するための環化(例えば、84%の収率)、ジエステルの二酸への加水分解(96%の収率)、および脱カルボキシル化(例えば、85%の収率)の各工程によって、約30%の全収率で、DC17FT4生成物を提供する。特にジケトンの形成工程について、さらなる収率の改善が行われている。
【0046】
従来技術の方法と比べて、開示された方法の特に有用な特徴としては、例えば、より短い合成経路(少なくとも6以上の工程に対して4工程)、約18%に対する約30%のより高い全収率が挙げられる。各中間体(ジケトン、ジエステル、および二酸)は、従来技術と比べた場合、より高い粗収率で得られる。このことは転じて、精製がより簡単になり、工程所要時間とコストが減少する。開示された調製方法は、従来の方法で使用されたクロム酸化試薬およびキノリン溶媒の使用も回避する。
【0047】
DC17FT4は、形態PQDC17FT4(ここで、Q=任意のコモノマー)の半導体ポリマーを調製するための重要な前駆体である(He, M.; et al., J. Am. Chem. Soc. 2009, 131,11930;Fong, H., et al., J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 13202;He, M., et al., J. Org. Chem., 2007, 72, 442;国際公開第2008/106019号パンフレットを参照)。直鎖C
18アルコールおよびテトラブロモチエノチオフェンからのDC17FT4の合成が以前に開示されており(「従来技術のプロセス」)(同一出願人の米国特許第7705108号明細書(前出)を参照)、スキーム1に示されている。
【化6】
【0048】
このプロセスは、6つの工程手順を使用したものであり、任意のDCXFT4(X=17が、最も一般は的な側鎖である)を形成するのに適用できると考えられている。アルコールのアルデヒドへの酸化に、PCC(80%)を使用した(Gaikwad, D. D., et al., India. Org. Chem., 2008, 4, 125を参照)。テトラブロモチエノチオフェンのリチウム−ハロゲン交換反応の後に、C
18アルデヒドによるアルキル化が行われて、ジオールを得た(国際公開第2005/012326号パンフレットを参照)。ジョーンズ試薬を使用したジオールの酸化により、ジケトンを得た(62%)(Harding, K. E., et al., J. Org. Chem., 1975, 40, 1664を参照)。環化手法を使用して、外側に2つの縮合環を構築した(72%)(Frey, J., Chem. Comm. 2002, 2424;Frey, J, et al., Org. Synth. 2006, 83, 209を参照)。二酸への加水分解後に、脱カルボキシル化(61%)を行って、このプロセスを完了した(前出のFrey参照)。
【0049】
従来のプロセスにより、約17.6%の全収率でDC17FT4が得られた。しかしながら、従来のプロセスの欠点としては、例えば、このプロセスの2工程に、環境に悪いクロム試薬が使用されたことが挙げられる(Gavin, I. M., et al., Environ Mol Mutagen. 2007, 48, 650を参照)。キノリンが脱カルボキシル化反応に使用されが、この物質は、除去するのが難しく、生成物を分解生成物で潜在的に汚染し得る(Shindo, H., et al., Heterocycles,1989, 29, 899;Frey, J., et al., Org. Synth., 2006, 83, 209を参照)。脱カルボキシル化工程では高温(270〜300℃)も使用した。この従来の手法では、例えば、約15から約20パーセントのより低い全収率となった。ここに開示された改良手法では、上述した欠点が回避または緩和されたプロセスが提供される。実施の形態において、本開示は、スキーム2に示されるようなDCXFT4を調製する改良プロセスを提供する。
【化7】
【0050】
開示されたプロセスでは、スキーム1の従来のプロセスの工程1,2および3を、工程Aで置き換える(スキーム2)。スキーム1の従来のプロセスの工程4と5は、変わらないままであり、スキーム2に工程BとCにより表される。スキーム2の最後の脱カルボキシル化工程Dも、より良い結果を与える異なる試薬を使用することによって、従来のプロセスの工程6と比べて改善されている。
【0051】
調製された具体的なCDXFT4化合物としては、例えば、式(V):
【化8】
【0052】
のDC10FT4、DC17FT4、およびDC21FT4が挙げられ、式中、同一かつC
2対称(すなわち、FT4のコアの周りで)のR置換基は、それぞれ、−C
10H
21、−C
17H
35、および−C
21H
43である。R置換基が−C
10H
21である場合、この化合物は、3,7−ジデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、または5,12−ジデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.0
2,6.0
9,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンと命名することができる。R置換基が−C
17H
35である場合、この化合物は、3,7−ジヘプタデシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、または5,12−ジヘプタデシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.0
2,6.0
9,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンと命名することができる。R置換基が−C
21H
43である場合、この化合物は、3,7−ジヘンエイコシルチエノ[3,2−b]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン、または5,12−ジヘンエイコシル−3,7,10,14−テトラチアテトラシクロ[6.6.0.0
2,6.0
9,13]テトラデカ−1(8),2(6),4,9(13),11−ペンタエンと命名することができる。
【0053】
実施の形態において、本開示は、開示されたモノマー化合物の内の少なくとも1つ、またはそのポリマーを含むデバイスを提供する。そのデバイスの例としては、光起電素子、エレクトロルミネセントディスプレイ、センサ、トランジスタ、半導体、RFIDタグ、発光ダイオード、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0054】
実施の形態において、本開示は、FT(x+2)環系伸長およびベータ二置換基合成に対するFTx化合物、例えば、FT4環系伸長およびベータ二置換基合成に対するFT2化合物の調製プロセスを提供する。開示の調製プロセスは、例えば、FT5環系伸長およびベータ二置換基合成に対するFT3化合物、FT6環系伸長およびベータ二置換基合成に対するFT4化合物、および類似の伸長用途などの類似の系に容易に適用できる。この類似の環系伸長化合物は、さらに別の置換基誘導または重合のために選択することもできる。