(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細長いシャフトは、該細長いシャフトの中の排出管腔の遠位端に洗浄剤を送達するための管腔を有し、該洗浄剤は、前記真空源からの吸引が該洗浄剤を該管腔を通して引き込むために存在しなければ、該管腔を通って流れない、請求項1に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0022】
デバイスの変化例は、添付図面と併せて熟読すると詳細な説明から最も良く理解される。一般的な実践によれば、図面の種々の特徴は、一定の縮尺ではない場合があることが強調される。それとは逆に、種々の特徴の寸法は、明確にするために、恣意的に拡大または縮小されてもよい。図面は、例示目的で解釈され、請求項の範囲を示されるものに定義または限定することを目的としない。
【0023】
組織を切断、切除、切開、または摘出するための種々の切断デバイスおよび方法が、本明細書において説明される。ある変化例では、切断デバイスは、種々の異なる動力源、例えば、真空源からの吸引、空気圧、流圧(例えば、油圧)、圧縮空気、バッテリ電力、または電力、またはガス電力、あるいはそれらの任意の組み合わせによって、駆動または動力供給される機構またはモータを含んでもよい。機構またはモータは、組織を切断するために、切断デバイスの上または中のカッターを作動させる、例えば、往復または回転させる、任意の方向への往復または回転運動出力を生成してもよい。切断デバイスは、患者の身体の種々の領域中に位置する、種々の種類の組織を切断、切除、切開、または摘出するために利用されてもよい。例えば、切断デバイスは、1つ以上のポリープの切除のために、患者でポリープ切除を行うために利用されてもよい。
【0024】
ある変化例では、真空源(外部または内部のいずれか一方)からの吸引を動力源とする切断デバイスが提供される。切断デバイスは、細長いシャフトを含んでもよい。細長いシャフトは、近位端、遠位端、および細長いシャフト内で、またはそれに沿って配置される管腔を有してもよい。細長いシャフトの遠位端は、組織を受容するための開口部または窓を含んでもよい。デバイスは、組織を切断するためのカッターを含んでもよい。カッターは、細長いシャフト内または上に配置されてもよい。カッターは、組織を切断するように、作動させられ、例えば、細長いシャフトの長手軸に沿って軸方向に往復させられ、または回転させられてもよい。チャンバが、細長いシャフトの近位端に連結されてもよい。例えば、細長いシャフトまたはカニューレの上または中のカッターが、往復運動させられている、または別様に動かされている間に、あるいはカッターの作動、往復運動、または回転中に、細長いシャフトまたはカニューレがチャンバに対して固定された、または不動のままであるように、細長いシャフトは、チャンバに連結されてもよい。
【0025】
機構またはモータが、チャンバ内に配置されてもよい。機構は、機構に往復運動を生じさせる、真空源によって生成される吸引を動力源としてもよい。ある変化例では、機構は、例えば、機構に動力供給するための電力または圧搾空気あるいは流体を使用せずに、真空源によって生成される吸引のみを動力源としてもよい。電気または空気/水力のための付加的な接続は、必要とされなくてもよい。機構は、真空源からの吸引によって往復または往復直線運動をさせられる、ピストンを含んでもよい。機構によって生じさせられる往復運動は、(機構に接続された)カッターを作動させる、例えば、往復させる、または回転させる。ある変化例では、カッターは、例えば、軸方向に、または細長いシャフトの長手軸に沿って、直線運動で前後に往復させられてもよい。他の変化例では、機構からの直線往復運動は、カッターの回転運動に変換されてもよい。切断デバイスは、吸引を切断デバイスに提供するように真空源を切断デバイスに接続するためのポートまたは弁を含んでもよい。
【0026】
真空源からの吸引は、細長いシャフトの中の開口部の中へ組織を引き込んでもよい。カッターは、細長いシャフトの中の開口部を越えて往復または回転させられ、それにより、細長いシャフトの中の開口部の中へ引き込まれる組織を切断してもよい。切断デバイスは、真空源によって生成される吸引を使用して、切断された組織を排出するための排出管腔を含んでもよい。ある変化例では、組織は、組織を除去するための排出を使用せずに、別様に除去されてもよい。
【0027】
ある変化例では、洗浄剤または流体を送達するための管腔が提供されてもよい。例えば、細長いシャフトは、洗浄剤を、細長いシャフトの中の排出管腔の遠位端に、または細長いシャフトの開口部に、またはカッターに送達するための管腔を含んでもよい。洗浄剤は、常に管腔を通って流れてもよく、または真空源からの吸引が洗浄剤管腔を通して洗浄剤を引き込むために存在するときにのみ、管腔を通って流れてもよい。切断デバイスは、切断デバイスとともに配置された水または他の洗浄剤で充填された貯留部を含んでもよく、または洗浄剤は、外部供給から提供されてもよい。例えば、洗浄剤、例えば、水で充填されたシリンジが、切断デバイスに接続されてもよく、あるいは上昇したコンテナまたはバッグが、洗浄剤を、切断デバイスに、または治療部位に供給してもよい。洗浄剤は、細長いシャフトの開口部付近でシャフト管腔内に位置し得る、洗浄剤ポートにおいて、細長いシャフト内の管腔の中に吸引が存在するときに、切断デバイスを通って流れ始めてもよい。洗浄剤は、細長いシャフトの中の排出管腔の遠位端へ、または細長いシャフトの開口部へ引かれてもよく、そこで、切断された組織の排出を促進するように、組織およびシャフト内の管腔、例えば、組織排出管腔を潤滑化する。
【0028】
切断デバイスは、切断デバイスが手持ち式であってもよいように、ハンドルを含んでもよい。例えば、切断デバイスのチャンバは、ハンドルの形態であってもよい。ハンドルは、細長いシャフトに対してある角度で配置され、または設定されてもよい。この細長いシャフトに対するハンドルまたはチャンバの配設は、細長いシャフトの上側および/または側面に明確または実質的に明確な部位の線を提供してもよい。角度付き配設は、組織切断手技中にユーザが利用してもよい、他の医療デバイスまたは機器、例えば、内視鏡および関連ケーブルへの干渉を低減してもよい。この角度付き配設はまた、最適なユーザ快適性を提供してもよい。ハンドルは、快適性および使い易さを提供するように、人間工学的設計を有してもよい。曲線状または角度付き頸部が、細長いシャフトを受容または保持するために、チャンバまたはハンドルから延在してもよい。
【0029】
組織収集チャンバが提供されてもよい。例えば、組織収集チャンバは、切断デバイスのチャンバまたはハンドルに統合されてもよく、あるいは切断デバイスに別様に接続され、または取り付けられてもよい。組織収集チャンバは、切断デバイスから取り外し可能であってもよい。可撤性組織収集チャンバは、その中に収集された組織が、生検され、調査されることを可能にしてもよく、または病理診断が収集された組織に行われてもよい。組織収集チャンバおよび/またはフィルタの除去は、例えば、組織収集チャンバがデバイスに組み立て直されなくてもよい場合に、デバイスを使用不能にさせてもよい。これは、1人の患者から別の患者へ病原体を伝染させる、または別の患者に感染させるという関連リスクを最小化または防止するように、1人よりも多くの患者でデバイスが再利用されることを防止してもよい。例えば、組織収集チャンバがハンドルから除去されたときに、内部真空ラインが急に向きを変えられた場合に、デバイスは、使用不能にされてもよい。結果として、組織収集チャンバをデバイスに組み立て直すことができず、それにより、デバイスを無用にする。デバイスは、完全または部分的に使い捨てであってもよい。
【0030】
他の変化例では、組織収集チャンバが再利用可能であってもよく、組織収集チャンバは、除去され、滅菌され、次いで、継続使用のために、切断デバイスに組み立て直され、または取り付け直されてもよい。
【0031】
細長いシャフトの種々の構成が検討される。ある変化例では、細長いシャフトの少なくとも一部分、または細長いシャフト全体が、順応性または別様に調整可能であってもよい。例えば、細長いシャフトの遠位端、または組織切断が行われる細長いシャフトのセクションは、細長いシャフトの一部分が、ユーザによって調整または操作されてもよい、例えば、手動で調整可能であってもよいように、順応性または可撓性であってもよい。細長いシャフトの順応性部分は、切断デバイス、例えば、カッターまたはカッター開口部が、種々の解剖学的場所にアクセスし、または配置され、組織を切断および/または除去してもよいように、種々の形状または曲線に操作されてもよい。細長いシャフトの順応性部分は、直線状から傾斜または曲線状に及ぶ、種々の位置または構成に、ユーザによる操作の前または間に調整または操作されてもよい。シャフトは、手動で、自動的に、またはロボット制御で調整されてもよい。単一のデバイスを使用して、切断の配置および切断が行われてもよいように、シャフトは、シャフトの形状または位置を変化させる、またはそれに影響を及ぼすための付加的なツールまたは付属品を必要とせずに、調整されてもよい。他の変化例では、切断のために細長いシャフトを調整または操作するために、ツールまたは付属品が、任意で利用されてもよい。
【0032】
カッターは、種々の形状および構成を有してもよく、例えば、カッターは、細長いシャフト内に配置された切断刃またはパイプまたは管の形態であってもよい。カッターが細長いシャフトの中の開口部または切断窓を越えて往復することができるように、カッターは、切断デバイスの中に配置されてもよい。ある変化例では、カッターは、切断刃が、細長いシャフトの開口部または窓の外側で、あるいは細長いシャフトの遠位先端を越えて露出されないように、細長いシャフト内または上に配置されてもよい。この配設は、患者に安全性を提供し、組織切断手技中に、または治療のための患者の中の標的部位への切断デバイスの前進中に、患者の組織を不注意に切断または穿刺するリスクを最小化または防止してもよい。ある変化例では、アンビルが、露出されないようにカッターを保護し、それにより、患者に安全性を提供してもよい。
【0033】
本明細書において説明される切断デバイスのうちのいずれかを動作させる、またはそれに動力供給するための十分な真空源は、ほとんどの標準手術室、医師の診療室、診療所、または外来手術センターで提供される真空源であってもよい。例えば、多くの医師の診療室は、10〜25水銀柱インチ(HG)の範囲内、例えば、約22水銀柱インチ(Hg)、および/または約28〜約40リットル/分(LPM)の流速で、真空を生成することが可能な真空ポンプを有する。本明細書において説明される種々の切断デバイスは、付加的な動力入力または供給要求が必要とされることなく、効果的に動作し、組織を切断するために、上記の性能範囲内で動作する真空源または真空ポンプを利用してもよい。例えば、そのような真空源によって供給される吸引は、約250〜約2500サイクル/分、または約500〜1200サイクル/分、または約1200サイクル/分未満に及ぶ速度または割合で、切断デバイスの機構および/またはカッターを移動させ、作動させ、往復させ、または別様に動作させてもよい。これらの速度は、典型的な電動式モータによって提供される速度よりも遅いが、患者の中の種々の領域中の組織を切断、切除、および/または摘出する、例えば、安全で制御された効果的な態様で、患者の鼻腔または副鼻腔の中に配置されたポリープを切断および除去するように、本明細書において説明される切断デバイスのカッターを効果的かつ安全に動作および往復運動させる制御および動力を提供する。
【0034】
ある変化例では、切断デバイスが、真空源のみに、および任意で、洗浄剤源に接続されてもよい。真空源によって供給される吸引が、切断デバイスの機構を駆動する、またはそれに動力供給する、細長いシャフトの中の開口部の中へ、または別様にカッターの経路の中へ組織を引き込む、切断デバイスを通して、または切断デバイスの中あるいは上の管腔を通して、または切断デバイスへ、貯留部または他の供給源から洗浄剤を引き出す、および/または患者から除去するために切断された組織を排出するように、真空源は、切断デバイスに接続されてもよい。
【0035】
カッターを駆動する、または作動させる、本明細書において説明される種々の切断デバイスで使用するための種々の真空動力供給式機構も、本明細書において説明される。ある変化例では、真空動力供給式または真空駆動機構は、1つ以上のピストンを含んでもよく、吸引は、ピストンを往復させるように、交互方式でピストンの両側に印加される。ピストンは、カッターに(直接または間接的に)連結または接続され、それにより、カッターを往復させる。別の変化例では、吸引は、ピストンの片側に印加されてもよく、ピストンを往復させるように、真空動力供給式機構の中のバネ力が、ピストンの反対側に印加されてもよい。往復運動ピストンは、カッターを往復させる。
【0036】
ある変化例では、人体内の組織を切除することが可能な手持ち式の完全使い捨て動力医療デバイスが提供される。デバイスは、外部真空源からの吸引を動力源とする、内部機構を動力源とする。機構は、シャフトの中の開口部を越えてカッターを前後に移動させるために使用されてもよい、往復運動を生じる。外部真空源からの吸引の一部分が、シャフトを通して送られ、組織がカッターによって摘出される、窓の中へ組織を引き込む。次いで、組織は、シャフトを通して、デバイスのハンドル上の組織収集チャンバの中に排出される。シャフトの中の吸引はまた、シャフトの管腔の中へ洗浄剤を引き込み、そこで、組織の排出を促進するように、組織およびシャフト管腔を潤滑化する。
【0037】
ある変化例では、本明細書において説明される切断デバイスまたは機構は、真空源を動力源としてもよく、デバイスは、例えば、供給された吸引のいずれも未使用にされず、デバイスに対する供給された真空吸引の効率的な使用を有する。ある変化例では、切断デバイスは、真空または吸引の一定の送達を動力源としてもよい。ある変化例では、切断デバイスは、全てまたは実質的に全て機械的構成要素で製造されてもよく、製造のためのコストを削減する。
【0038】
ある変化例では、カッターは、事前形成された、または所定の曲率を有する、可撓性シャフトの遠位端に、またはその付近に配置されてもよい。シャフトは、カニューレに挿入するために適合されてもよく、シャフトの遠位端は、カニューレから標的部位に向かって前進してもよく、シャフトは、その所定の曲率が、標的部位付近にシャフトの遠位端を位置付けることを可能にする。
【0039】
(例示的な切断デバイス)
図1Aは、真空動力供給式切断デバイスの1つの変化例を示す。
図1B−1Eを参照すると、切断デバイス10は、細長いシャフト12を含む。細長いシャフト12は、細長いシャフトに剛性を提供する剛性スリーブ14を含んでもよい。細長いシャフトは、細長いシャフトの遠位端に、またはその付近に配置される窓または切断窓または開口部16を含んでもよい。排出シャフト17は、細長いシャフト12内に配置されてもよい。カッター18は、開口部16を越えて往復させられ得るように、細長いシャフト12内に配置されてもよい。この特定の変化例では、カッター18は、排出シャフト17の遠位端に形成されるが、他の種類のカッターが企図され、例えば、カッター18は、細長いシャフト12の中に配置されたワイヤまたはブレードから延在してもよい。
【0040】
1つ以上の管腔が、細長いシャフト12(
図1F参照)内に配置されてもよい。細長いシャフト12は、洗浄剤管腔を含んでもよい。洗浄剤ライン(図示せず)は、内部もしくは外部貯留部または洗浄剤源から、細長いシャフト12の中の洗浄剤管腔を通して、細長いシャフトの中の排出管腔の遠位端へ、または細長いシャフト12の開口部16へ、洗浄剤を供給するように、細長いシャフト12の近位端13に接続してもよい。例えば、洗浄剤は、細長いシャフト12の開口部16へ引かれてもよく、そこにおいて、切断された組織の排出を促進するように、組織および排出管腔を潤滑化する。任意で、細長いシャフト12は、順応性部分を、例えば、その遠位端に含んでもよく、この順応性部分は、種々の形状および構成を細長いシャフト12に提供して、身体の種々の領域中にカッターを配置するために操作または調整されることができる。任意で、所望の位置にシャフトの順応性部分を保持する働きをし得る1本以上のワイヤ15が、細長いシャフト12の中に配置されてもよい。剛性スリーブ14は、剛性を提供するために、細長いシャフト12の他の部分を覆って配置されてもよい。
【0041】
細長いシャフト12は、チャンバ20から延在し得る。チャンバ20は、ユーザ用のハンドルまたはグリップを提供してもよい。チャンバ20は、組織収集チャンバ22を含んでもよい。排出シャフト17の1つ以上の管腔が、例えば、排出シャフト12を第1の真空チャンバポート21に接続する別の管またはパイプ(図示せず)を介して、直接または間接的に、組織収集チャンバ22に流れ込むように、排出シャフト17は、チャンバ20の中へと延在してもよい。組織収集チャンバ22は、その中に収集された組織を濾過するためのフィルタ25を含んでもよい。組織収集チャンバ22は、組織収集チャンバ22の除去が切断デバイス10を使用不能にするように、チャンバ20に統合されてもよい。ある変化例では、細長いシャフト12がチャンバ20に対して固定されたままであるように、細長いシャフト12は、チャンバ20に連結または接続されてもよい。例えば、細長いシャフト12は、以下で説明される機構30またはモータによって動かされない、または往復させられないように、固定されてもよい。
【0042】
真空動力供給式機構30が、チャンバ20内に配置される。
図2A−2Iは、真空動力供給式機構30の種々の図を示す。機構30は、シャトルピストン32と、駆動ピストン34とを含む。ピストンは、種々の構成で、例えば、相互に平行に配設され得る。双安定スイッチ36が、シャトルピストン32および駆動ピストン34に接続されてもよい。スイッチバネ37を有する双安定スイッチ36は、直接、またはスイッチバネ37あるいは双安定スイッチ36に接続されたピストンクランプ35を介して、駆動ピストン34およびシャトルピストン32に接続されてもよい。真空源によって生成される吸引によって動かされるか、または往復させられる駆動ピストン34による双安定スイッチ36の作動は、近位または遠位方向のいずれか一方に(すなわち、切断デバイスの遠位端に向かって、または切断デバイスの近位端に向かって)シャトルピストン32を後退または前進させてもよい。シャトルピストン32が、その移動限界の一端から、その移動限界の反対端まで移動するときに、駆動ピストンチャンバ42の排気側は、大気が駆動ピストンチャンバ42に流入することを可能にするように通気される一方で、駆動ピストンチャンバ42の反対側は、大気から遮断され、真空になる。結果として、駆動ピストン34は、双安定スイッチ36が作動させられ、シャトルピストン32が後退するまで、反対方向に前進するように動かされる。シャトルピストン32および駆動ピストン34は、マニホールド38の中に配置される。マニホールド38は、駆動ピストンチャンバ44と、シャトルピストンチャンバ42とを含む。双安定スイッチ36は、シャトルピストン32の不安定な動揺、および起こり得る機構30またはモータの失速を防止するために、シャトルチャンバ真空供給ポート47を越えるか、または完全に越えるシャトルピストン32またはシャトルピストンにおけるの弁の信頼できる移行を確保し得る。
【0043】
図2Bおよび
図2F−2Iの種々の断面図に示されるように、駆動ピストン34の少なくとも一部分が、駆動ピストンチャンバ44の中に配置され、シャトルピストン32の少なくとも一部分が、シャトルピストンチャンバ42の中に配置される。駆動ピストンチャンバ44およびシャトルピストンチャンバ42は、第1および第2の真空スロット45および46を介して相互に流体連通している。
【0044】
シャトルチャンバ真空供給ポート47が、管またはライン(図示せず)を介して、真空源を機構30に接続するように提供されることにより、吸引を機構30に提供する。
図1Hは、切断デバイス10の変化例に連結された真空源を示す。管またはラインは、第2の真空チャンバポート28(
図1B−1Dに示される)および/またはシャトルチャンバ真空供給ポート47に接続されてもよい。本明細書でさらに詳細に説明されるように、真空源が、シャトルピストンチャンバ42と流体連通し、シャトルピストンチャンバ42および/または駆動ピストンチャンバ44を空にし、駆動ピストン34および/またはシャトルピストン32に動力供給して動かすことができるように、シャトルチャンバ真空供給ポート47は、シャトルピストンチャンバ42の中への進入を提供する。真空動力供給式機構の詳細はまた、
図3A−3Bを参照して以下で提供される。
【0045】
真空源が切断デバイス10に接続され、真空源が起動されるとすぐに、機構30は、起動され得、駆動ピストン34は、真空源からの吸引によって往復させられ得る。
図1A−1Eを再び参照すると、切断デバイス10はまた、ユーザが切断デバイス10を保持すると、トリガ26をユーザの指によって都合よくまたは人間工学的に作動させることができるようなチャンバ20上の場所に配置されたトリガ26を含んでもよい。トリガ26が「オン」位置にあるときに、トリガ26は、シャトルピストン32から係脱され、シャトルピストン32が、双安定スイッチ36の刺激によって往復することを可能にし、双安定スイッチは次に、駆動ピストン34の移動によって動かされる。トリガ26が「オフ」位置にあるときに、トリガ26は、シャトルピストン32と相互作用し、またはそれに係合し得、それは、カッター18が開口部16より近位の位置に停止させられ、それにより、開口部16を開いたままにするように、シャトルピストン32および駆動ピストン34を失速または停止させる。これは、真空源が起動され、切断デバイス10に接続されたままであってもよく、排出シャフト17の管腔を通して吸引を供給するため、機構30およびカッター18が起動されないときでさえも、デバイス10が開口部16を通した吸引または排出に使用されることを可能にする。ある変化例では、吸引は、切断中に排出シャフトの管腔を通して供給されてもよい。
【0046】
真空源は、外部真空ポート29において切断デバイス10に接続され得る。外部真空ポート29は、組織収集チャンバ22および第1の真空チャンバポート21と流体連通し、排出シャフトの管腔を通して吸引を供給する。外部真空ポート29は、第2の真空チャンバポート28と流体連通し、直接または間接的に真空動力供給式機構30に接続される双安定スイッチ36およびカッター18を動かすか、または往復させる駆動ピストン34を動かすか、往復させるか、および/またはそれに動力供給するように、シャトルチャンバ真空供給ポート47を通して、シャトルピストンチャンバ42および駆動ピストンチャンバ44に吸引を供給している。
【0047】
使用中、切断デバイス10の細長いシャフト12は、患者の中の所望の場所または領域に挿入され得る。真空源は、切断デバイス10に接続され、吸引を機構30に供給し、駆動ピストン34を往復させる。駆動ピストン34は、双安定スイッチ36の片側を近位または遠位のいずれか一方に移動させ、それは、引張コイルバネ37への張力を増加させる。引張コイルバネ37への増加した張力は、双安定スイッチ36の隣接側およびシャトルピストンを近位または遠位に移動させ、引張コイルバネ37の長さを減少させる。シャトルピストン上のシールまたはシャトルピストン32が吸引ポート47を越えて移動すると、シャトルチャンバ42の中の真空または吸引が、駆動ピストン34の反対側へ逆転する一方で、大気は、真空になっていないシャトルチャンバ42の側へ流入することを許可され、それにより、排気側へ向かって移動するように駆動ピストン34を動かす(例えば、
図2Bに示されるように)。排出シャフト17は、駆動ピストン34に接続される。排出シャフト17は、駆動ピストン34に直接接続されてもよく、または排出シャフト17は、駆動ピストン34に接続されるスリーブ、管、または他のシャフトに接続されてもよい。例えば、ピストンクランプ35は、排出シャフト17を駆動ピストン34に接続してもよい。
【0048】
上記のように、カッター18は、排出シャフト17の遠位先端に形成される。いったん真空源が切断デバイス10に接続され、トリガ26がシャトルピストン32から係脱されるように「オン」位置に配置されると、機構30に印加された吸引は、駆動ピストン34(その結果として、上記で説明されるようなシャトルピストン32)を往復させ、それは、排出シャフト17およびカッター18を往復させ、例えば、細長いシャフト12の開口部16を越えて、細長いシャフトの長手軸に沿った直線または軸方向運動で、カッター18を前後に駆動する。切断窓の変化例の拡大図が、
図1Gに示されている。同時に、開口部16の中へ組織を引き込むように、吸引が排出シャフト17の管腔を通して真空源から供給されてもよく、そこで組織は、往復運動カッター18によって切断される。任意で、排出管腔の中への吸引はまた、切断された組織を排出し、それを組織収集チャンバ22に送達してもよい。
【0049】
機構30の駆動ピストン34の往復運動が、上記で説明される変化例において、排出シャフト17を介してカッター18に中継される一方で、そのような往復運動を中継するための他の構成要素も企図される。例えば、カッターが、例えば、駆動ピストン34またはピストンクランプ35を介して機構30に接続されるワイヤまたはブレードあるいは任意の他の延長部または部材から延在してもよい。ある変化例では、カッター18は、機構30または駆動ピストン34またはシャトルピストン32または双安定スイッチ36に、直接または間接的に接続されてもよい。
【0050】
ある変化例では、ループまたは延長部が、排出シャフト17の中、あるいは排出シャフト17を第1の真空チャンバポート21に接続する管またはパイプの中に提供されてもよく、排出シャフト17が、機構30によって往復させられているか、または動かされているときに、第1の真空チャンバポート21に接続される排出シャフト17または管またはパイプの少なくとも一部分が、移動または往復しないか、または抜去されないように、移動してもよい、または形状を変化させてもよい余分な長さを提供する。
【0051】
ある変化例では、被検体から組織を切断および除去する方法は、被検体の中の標的組織において、その隣で、その中で、またはその付近で切断デバイスを前進させるステップを含んでもよい。切断デバイスは、細長いシャフトと、細長いシャフトの中または上に配置されるカッターとを含んでもよい。細長いシャフトは、標的組織にアクセスするように、ならびに標的組織に、その隣に、またはその付近位にカッターを配置して組織を切断および/または除去するように、被検体の中へ前進させられてもよい。切断デバイスは、真空源によって生成される吸引によって動力供給または駆動される機構またはモータを含む。真空源からの吸引は、機構に動力供給し、組織を切断するようにカッターを往復または回転させる往復または回転運動を生じさせる。組織は、任意で、真空源によって生成される吸引を使用して排出されてもよい。切断された組織は、任意で、切断デバイスによって回収または収集されてもよい。ある変化例では、吸引または真空は、オフにされてもよく、または開口部に供給されなくてもよく、組織は、別様に除去されてもよい。ある変化例では、真空源からの吸引は、細長いシャフトの開口部の中に組織を引き込んでもよい。カッターは、細長いシャフトの開口部の中に引き込まれた組織を切断するために、開口部を越えて往復または回転させられてもよい。ある変化例では、真空源からの吸引は、細長いシャフトの中の排出管腔の遠位端へ、または細長いシャフトの開口部へ、洗浄剤を引いてもよく、そこで、切断された組織の排出を促進するために組織および/または排出管腔を潤滑化する。ある変化例では、切断デバイスは、機構が配置されるチャンバを含んでもよい。細長いシャフトは、機構が往復運動を生じさせ、細長いシャフト内に配置されたカッターシャフトまたは排出シャフトを往復させている間に、チャンバに対して固適所にとどまるようにチャンバに取り付けられてもよい。
【0052】
ある変化例では、患者の組織を切断、切除、または摘出する方法は、真空源(内部または外部)に、任意で、洗浄剤源に、切断デバイスを取り付けるステップを含んでもよい。真空源は、切断デバイスの機構またはモータに動力供給し、またはそれを動かし、カッターまたは切断刃の経路の中に組織を引き込み、洗浄剤源から切断または摘出部位へ、あるいはカッター付近に洗浄剤を引き出し、および/または患者から切断された組織を排出し得る吸引を供給する。
【0053】
ある変化例では、被検体内においてポリープ切除を行うための方法は、標的ポリープにおいて、そこまで、その隣に、その中で、またはその付近で切断デバイスを前進させるステップを含んでもよい。ポリープは、患者の種々の領域中に位置してもよい。例えば、切断デバイスを鼻腔の中へ前進させ、ポリープに、その隣に、その中に、またはその付近にカッターを配置することによって、鼻または副鼻腔ポリープが切断および/または除去されてもよい。切断デバイスは、細長いシャフトと、細長いシャフトの中または上に配置されるカッターとを含んでもよい。切断デバイスの細長いシャフトは、ポリープにアクセスし、ポリープ付近にカッターを配置するために、鼻腔または副鼻腔の中に前進させられてもよい。切断デバイスは、真空源によって生成される吸引を動力源とする機構またはモータを含む。真空源からの吸引は、機構に動力供給し、組織を切断するためにカッターを往復または回転させる往復または回転運動を生じさせる。組織は、任意で、真空源によって生成される吸引を使用して排出されてもよい。切断された組織は、任意で、切断デバイスによって回収または収集されてもよい。ある変化例では、吸引または真空は、オフにされてもよく、または開口部に供給されなくてもよく、組織は、別様に除去されてもよい。ある変化例では、真空源からの吸引は、細長いシャフトの開口部の中に組織を引き込んでもよい。カッターは、細長いシャフトの開口部の中に引き込まれたポリープ組織を切断するように、開口部を越えて往復させられてもよい。ある変化例では、機構は、電力を供給するために圧縮または圧搾空気あるいは電力の使用を必要とすることなく、真空源からの吸引のみを動力源としてもよい。
【0054】
ある変化例では、被検体内において椎間板切除を行うための方法は、脊椎の中の椎間板において、そこまで、その隣に、その中で、またはその付近で切断デバイスを前進させるステップを含んでもよい。例えば、椎間板の中へ、またはその隣に切断デバイスを前進させ、椎間板に、その隣に、その中に、またはその上にカッターを配置することによって、椎間板輪または髄核が切断されてもよい。切断デバイスは、細長いシャフトと、細長いシャフトの中または上に配置されるカッターとを含んでもよい。切断デバイスの細長いシャフトは、カッターを配置するために、椎間板の中に、またはその隣に前進させられてもよい。切断デバイスは、真空源によって生成される吸引を動力源とする機構またはモータを含む。真空源からの吸引は、機構に動力供給し、組織を切断するためにカッターを往復または回転させる往復または回転運動を生じさせる。組織は、任意で、真空源によって生成される吸引を使用して排出されてもよい。切断された組織は、任意で、切断デバイスによって回収または収集されてもよい。ある変化例では、吸引または真空は、オフにされてもよく、または開口部に供給されなくてもよく、組織は、別様に除去されてもよい。ある変化例では、真空源からの吸引は、細長いシャフトの開口部の中に組織を引き込んでもよい。カッターは、細長いシャフトの開口部の中に引き込まれた椎間板組織を切断するために、開口部を越えて往復させられてもよい。ある変化例では、機構は、電力を供給するために圧縮または圧搾空気あるいは電力の使用を必要とすることなく、真空源からの吸引のみを動力源としてもよい。
【0055】
ある変化例では、ユーザは、切除される組織に対して細長いシャフトの切断窓を配置することによって組織を切断し、機構が往復することを可能にするようにスイッチまたはトリガを作動させてもよい。これは、切断窓を越えて前後に切断刃を移動させる。組織が吸引によって切断窓の中に引き込まれると、刃は、切断刃の経路の中にある組織の一部分を削る。次いで、組織は、刃に接続されたシャフトの管腔を通して排出され、組織収集チャンバの中に堆積させられる。
【0056】
本明細書において説明される切断デバイスは、上記で説明されるように、種々の手技に利用されてもよい。切断デバイスは、既存の開口、空洞、または通路、例えば、鼻腔、気道、呼吸通路、生殖経路、腸管経路、または他の経路の中へ、またはそれを通して、前進させられ、または挿入されてもよい。切断デバイスは、被検体の中または上で手技を行うように、経皮的に、管腔内で、または任意の低侵襲方式で、患者の中に前進させられ、または挿入されてもよい。任意で、切断デバイスは、外科的切開または部位を通して利用されてもよい。
【0057】
本明細書において説明される種々の切断デバイス、例えば、手持ち式および/または携帯用切断デバイスは、安全、迅速、および安価である態様で、組織切断手技が行われることを可能にする低コストの使い捨てデバイスを提供することによって、組織、例えば、鼻ポリープの切断および/または除去を可能にする。切断デバイスは、有意な設定時間、または主要設備と関連付けられる不便性および経費を必要としない。切断デバイスを使用した診療室内での組織除去は、外来手術センターで使用される全身麻酔と比較して、局所麻酔を使用して行われてもよい。例えば、医師の診療室環境において鼻および副鼻腔ポリープ除去を行うために、切断デバイスが利用されてもよい。本明細書において説明される切断デバイスは、ポリープ切除を行うために使用され得る一方で、耳鼻咽喉科手術、婦人科手術、脊髄手術、一般外科手術、および眼科手術を含む、身体の他の場所での組織切除手技にも使用されてもよい。
【0058】
カッターに接続される作動もしくは往復運動機構またはモータに動力供給し、それにより、往復運動をカッターに中継してカッターを往復させる真空源、例えば、外部真空源を使用する切断デバイスは、いくつかの利点および効率性を提供する。切断デバイスは、電動コンソール等の主要設備に投資を必要とせず、したがって、大幅なコスト節約をユーザに提供する。主要設備は、使用していないときに貴重な格納空間を必要とし、ならびに使用される場合に施設の中でサービスおよびメンテナンスを必要とする。切断デバイスはまた、設置された主要設備によって制約されることなく、製造業者が継続的な改良を行うことを可能にする。
【0059】
本明細書において説明される切断デバイスは低コストの構成要素および組立技法を使用して製造されてもよく、デバイスのコストを、電気モータを利用する切断デバイスよりもはるかに低くする。細長いシャフトは、種々の材料から構築されてもよい。例えば、可動構成要素間の摩擦に起因する熱の蓄積の影響を受けにくい、金属およびプラスチック構成要素の組み合わせが利用されてもよい。
【0060】
組織排出および機械的運動の両方を提供して組織を切断するために、動力源として真空源を使用することは、そうでなければ、電力、あるいは圧搾または圧縮空気および排出等の他の空気動力を提供するために必要とされる付加的または別個の接続、ワイヤ、または管の数を排除または削減する。電力または他の空気動力を伝達する独立型コンソールは、切断デバイスを動作させることを必要とされなくてもよい。
【0061】
ある変化例では、組織切断、排出の機能を果たすために、および往復運動カッターを作動させる機構に動力供給するために、単一の管が、真空源を切断デバイスに接続する。単一の管は、デバイス動作に必要とされる接続を簡略化し、デバイスに取り付けられる管の数を削減し、それにより、デバイスから延在する複数の管およびワイヤ接続によって引き起こされる「混雑」および扱い難さを低減する。
【0062】
ある変化例では、真空を組織排出管および真空動力供給式機構の両方に接続する、ハンドル内の分割接続が提供されてもよい。分割接続は、真空源への単一の接続がフィルタチャンバ内で真空を生成する、組織収集チャンバへの複数の接続等の複数の形態で提供されてもよい。分割接続の別の形態は、2つの流体経路を単一の経路に継ぎ合わせる「Y」または「T」字形接合であってもよい。機構と排出管および切断窓または開口部との間で真空源を共有する結果として、真空は、デバイス内でいくつかの機能を果たし、カッターを往復させる機構に動力供給し、組織が摘出され得るように開口部または切断窓の中へ組織を引き込み、組織排出シャフトを通してフィルタまたは組織収集チャンバへ摘出された組織を排出する。
【0063】
吸引を提供して組織切断および排出を促進するために外部真空源がデバイスに接続される場合、電気、圧縮空気、または操作者による機械的入力等の付加的な動力源は、必要とされなくてもよい。
【0064】
カッターを作動させるために真空動力を使用することは、往復運動機構を手動で作動させることを操作者に要求するシステムと比較して、操作者の疲労を低減する。カッターが作動する速度は、手動作動に対して、有意に増加させられてもよく、それにより、組織切除または摘出手技を完了するために必要とされる時間を短縮する。また、機構またはモータの作動の速度のための制御は、トリガまたはボタン等の「一次」位置から、例えば、デバイスハンドル上の「二次」位置へ移動させられてもよい。結果として、「一次制御」は、他のパラメータ、例えば、カッターが作動する速度、細長いシャフトの曲率半径を制御するために、あるいはデバイスの中または上に含まれ得る電気焼灼器システムを制御するために、利用されてもよい。真空駆動機構またはモータが作動または往復する速度を制御するために、ノブ、トリガ、ローラクランプ、または他の制御インターフェースが使用されてもよい。これらのオプションは、デバイスが、種々の外科的特殊性または個人的選好に合うように種々の構成で設計されることを可能にする。
【0065】
本明細書において説明される切断デバイスは、比較的小さい質量を有し、短いまたは長い手技中にも使い易さおよび快適性を提供してもよい。切断デバイスは、電子ビーム放射、ガンマ線、またはエチレンオキサイドガス等の一般的に使用されている滅菌技法を使用して、容易に滅菌されてもよい。
【0066】
ある変化例では、決して真空源を大気に放出しないことによって、機構、モータ、またはエンジンサイクルの全体を通して高い真空を維持する、空気圧ロジックシーケンスが提供されてもよい。結果として、機構またはモータが往復している間、切断および排出を促進する真空吸引または圧力が減少しない。
【0067】
ある変化例では、切断デバイスは、単極または双極の無線周波数を介して、あるいは抵抗加熱によって加熱される焼灼器、例えば、電気焼灼器システム、またはワイヤを含んでもよい。焼灼器は、組織を焼灼して、組織が切断または摘出された部位における出血を制御するためにデバイスの遠位先端に、またはその付近に位置してもよい。焼灼器を有することは、手術部位からデバイスを除去し、それを別個の電気焼灼器デバイスと交換する必要性を未然に防ぎ、それにより、患者の失血を低減しながら、速度および操作者にとっての使い易さを向上させる。電気焼灼器システムは、細長いシャフト内の内部管腔を通って細長いシャフトの長さに及ぶワイヤを動力源としてもよい。ワイヤは、電力コンソールに接続されてもよく、あるいは任意で、動力源は、切断デバイスのハンドルまたはチャンバの中に位置してもよい。
【0068】
ある変化例では、抵抗加熱電気焼灼器システムが、細長いシャフトの遠位先端上に提供されてもよい。電気焼灼器システム用の動力源は、切断デバイスのハンドルの中に位置してもよく、シャフトの長さに及ぶワイヤによって、シャフトの遠位先端に接続されてもよい。動力源は、電気エネルギーをデバイスの遠位端に提供する1つ以上のバッテリを含んでもよい。電気エネルギーは、タングステンワイヤ等の発熱体を通過させられたときに、熱エネルギーに変換され得る。
【0069】
上記で説明されるように、ある変化例では、切断デバイスは、手動で調整可能となり得る、順応性の細長いシャフトまたは少なくとも部分的に順応性の細長いシャフトを含んでもよい。可撓性または順応性シャフトは、単一のデバイスを使用して、複数の解剖学的場所へのアクセスを提供し、それにより、コスト効率または操作者にとっての便宜性を向上させる。シャフトが、手術中にユーザによって手動で成形されることを可能にするように、1つ以上の焼鈍ワイヤが、細長いシャフトまたは可撓性シャフトの中に配置されてもよい。代替として、シャフトの手動成形を可能にするように、細長いシャフトを構成するために、順応性管類が使用されてもよい。加えて、細長いシャフトの遠位端が切断窓に向かって湾曲されたときに、切断窓場所の可視性が向上させられる。
【0070】
ある変化例では、細長いシャフトは、可撓性であってもよく、または、半剛性または剛性外側カニューレまたはシースが、シャフト上に提供されることにより、実質的に直線から、約180度の弧の曲線までの範囲内で、シャフトの曲率半径を変化させる。カニューレは、患者の生体構造に基づいて、操作者がシャフトの曲率を最適化することを可能にする。操作者はまた、細長いシャフトの本来の曲率半径を増加または減少させるように、カニューレを延長または後退させることによって、細長いシャフトまたはカッターと切断されている標的組織との間の力を増加または減少させてもよい。
【0071】
ある変化例では、可撓性で曲線状の細長いシャフトを覆って配置される半剛性または剛性の外側シースまたはカニューレが、曲線状シャフトの曲率半径を変化させるために使用されてもよい。曲率半径は、直線状の剛性シースがシャフトの曲線状部分を覆って延長させられたときに、増加し得る一方で、曲率半径は、シャフトの曲線状部分から後退させられたときに、その湾曲前または所定の形状に戻る。
【0072】
可撓性で曲線状の細長いシャフトの曲率半径は、細長いシャフトを覆うカニューレを利用するか、または前進もしくは後退させることによって、体内で改変されてもよい。これは、曲率半径を変化させるために手術部位からデバイスまたは細長いシャフトを除去することなく、種々の解剖学的場所へのアクセスを獲得するために、操作者が細長いシャフトの曲率半径を変化させることを可能にする。
【0073】
ある変化例では、細長いシャフトの遠位先端は、丸みを帯びてもよく、標的組織への前進中に、または切断が行われている間に、敏感な構造または他の組織を穿孔する可能性が低い。これは、患者への意図しない損傷をもたらし得る、組織との不慮の接触に対する脆弱性を低減する。
【0074】
前後運動でカッターを往復させることは、特定の回転カッターあるいは回転機構またはモータの場合のように、組織を把持して引き裂くよりもむしろ、シザリングで切ることによって組織を削って切断し得る。前後切断動作は、組織のより少ない移動を伴って組織を削り得、それは、組織への張力および組織への結果として生じる外傷を低減し、それにより、出血の可能性を低減する。次いで、摘出された組織は、排出シャフトを通して組織収集チャンバの中へ排出され得る。
【0075】
カッターシャフトを含むか、または細長いシャフトの長手軸に沿った前後運動で往復させられてもよい、その遠位端にカッターを有する排出シャフトを伴う細長いシャフトは、真空駆動機構またはモータ、および機構またはモータが配置されるハンドルまたはチャンバに対して一列で、またはある角度を成して配置されてもよい。ある角度を成して配置することは、デバイスハンドルが、組織切断手技中に使用されてもよい内視鏡および/またはカメラ用の制御面、光コード、および任意の電力ケーブルから離れて配置されることを可能にする。内視鏡および切断デバイスが相互に干渉していないため、操作者の使い易さが向上させられる。
【0076】
細長いシャフトに一致して、または細長いシャフトの長手軸に対してある角度を成して配置され得るハンドルまたはハンドピースを有する切断デバイスは、操作者用の改良型人間工学的特徴を提供し得る。例えば、操作者が、切断デバイスの細長いシャフトが進入した同じ開口またはポートを通して第2のデバイス(例えば、上記で説明されるような内視鏡)を使用しているときに、2つのデバイスが相互に干渉する場合がある。しかしながら、シャフトの長手軸に対してある角度を成してハンドルまたはハンドピースを配置することによって、シャフトの周囲の切断デバイスの最上部および側面、ならびにハンドルとシャフトとの間の接続は、非常に薄い。したがって、干渉の可能性が低減される。ある変化例では、細長いシャフトが、ハンドルと一列に並んでいる位置と、ハンドルに対してある角度を成している位置との間で移動させられ得るように、細長いシャフトは作動可能であってもよい。
【0077】
カッターシャフト、またはその遠位端にカッター刃を有する排出シャフトの前後の往復運動は、非線形経路に沿って変換させられてもよい。したがって、デバイスの細長いシャフトに対してある角度を成して、真空駆動機構またはモータを配置することが可能である。さらに、カッターシャフトまたは排出シャフトの前後の往復運動は、切断デバイスの細長いシャフトが、(例えば、シャフトが順応性である場合)シャフトの遠位部分において屈曲させられることを可能にし、それにより生体構造内の種々の場所にアクセスするような形状にされることを可能にする。
【0078】
ある変化例では、組織を排出するための真空が機構の機能によって妨げられないように、別個の導管が機構と排出管腔との間に提供されてもよい。
【0079】
アンビル構成要素が、細長いシャフトの遠位端に位置してもよい。アンビルの延長部(例えば、「後尾部」)が、切断窓の近位に提供されてもよい。延長部は、シャフトの可撓性を向上させてもよく、シャフトがシャフトの遠位端のより近くで順応性になることを可能にする。アンビルおよび/または延長部は、軸方向に並進または往復するとき、排出シャフトまたはカッターシャフトのガイドを維持または提供してもよい。延長部がない場合、その全長またはその長さの一部分にわたって剛性であり得る、より長いアンビル構成要素が提供されてもよい。
【0080】
ある変化例では、切断開口部または窓が、細長いシャフトの側面上に配置されてもよい。側面配置は、操作者が、開口部または窓および開口部または窓と接触する組織の位置に視覚的接触または可視化を維持することを可能にする。この視覚的接触は、非意図的に組織に損傷を引き起こす可能性を低減する。
【0081】
カッターが、切断窓を通って細長いシャフトまたはアンビル構成要素の管腔から退出することを防止するように、切断窓が成形されてもよい。カッターと組み合わせた切断窓は、直線状側面切断窓におけるギロチン切断作用と比較して、組織シザリング切断作用を提供し得る。
【0082】
ある変化例では、細長いシャフトの遠位部分は、プラスチックであってもよく、留置アンビル構成要素は、金属であってもよく、カッターは、金属であってもよく、排出管は、プラスチックであってもよい。この配設は、切断デバイスの可動および/または静止構成要素の間の摩擦から蓄積される熱の可能性を低減する。この配設は、シザリング切断作用を生成し、および/または細長いシャフトの遠位端が可撓性および順応性となることを可能にし得る。加えて、プラスチック構成要素の使用は、電気エネルギーが非意図的にシャフトを通して伝達され、それにより、患者を損傷し得る可能性を低減または排除する。
【0083】
任意で、細長いシャフトは、デバイスハンドルまたはチャンバに対して、シャフトの軸の周りを回転可能であり得、それは、デバイスハンドルを回転させることなく操作者がシャフトを回転させることを可能にする。
【0084】
ある変化例では、1つ以上の管腔51、例えば、非同心管腔が、細長いシャフトの中に配置されてもよい(
図1Fに示されるように)。非同心管腔は、単一管腔シャフト、および同心管腔を有するシャフトと比較して、利点を提供し得る。例えば、管腔のうちの1つ以上が、洗浄剤用の流体導管を提供すること、操作者によって成形されたときのシャフト曲率を維持するための1本以上の順応性ワイヤを保持または含有すること、排出シャフトまたはカッターシャフトおよび排出管腔を含有すること、および/または出血を治療するために流体を伝送することといった目的で、使用されてもよい。
【0085】
ある変化例では、排出管腔は、排出管腔がねじれる可能性を低減しながら、可撓性を向上させるために、排出シャフトの一部分または全長に沿ってその円周付近で不連続であってもよい。
【0086】
排出シャフトと細長いシャフトの主要管腔の内側との間の小さい間隙または密閉Oリングが、細長いシャフトの近位端を通した吸引の漏出の可能性を低減し得、それは、窓に存在する吸引を低減する。
【0087】
任意で、管状の材料が、不連続排出管腔の外径と、多重管腔排出シャフトまたは管類の内径との間に提供され得、管状の材料は、2つの構造の間の空隙を密閉し、それにより、デバイスハンドルから、切断窓または開口部の近位に位置する排出シャフトまたは管腔の開口部への遠位方向の空気流の漏出を低減する。
【0088】
任意で、種々の流体が、カッターおよび窓が配置される細長いシャフトの遠位端に、適用または送達されてもよい。流体は、出血療法として流体を使用することができるように十分に低い温度で、細長いシャフトの中の管腔を経由して細長いシャフトの遠位端から放出されてもよい。コラーゲン発泡体が、出血療法として細長いシャフトの遠位端から放出されてもよい。これらは、組織が切断されている出血部位に、出血療法または抗凝固剤を適用する安価で迅速かつ容易な方法である。出血療法として細長いシャフトの遠位端から放出される抗凝固物質は、例えば、切断デバイスを交換または除去して、抗凝固療法の適用を目的とする別個のデバイスと交換することなく、組織に直接かつ都合よく適用され得る。
【0089】
ある変化例では、真空源への別個の流体導管経路が提供されることにより、真空動力供給式機構およびカッターが組織排出から独立して動作させられることを可能にする。独立流体経路、ならびに真空動力供給式機構および排出の動作能力は、真空動力供給式機構が動作していないか、あるいは失速または停止させられたときでさえも、例えば、トリガがシャトルピストンに係合および保持して、その往復を防止するように作動させられたときでさえも、切断デバイスの細長いシャフトの遠位端の開口部が、組織および血液を排出する吸引ポートとして動作することを可能にし得る。
【0090】
任意で、排出シャフトおよび真空機構を含む、切断窓と真空源との間の単一の流体導管経路が利用されることにより、真空機構および組織の排出の両方に動力供給するための、真空によって生成される空気流を使用することによって、デバイスの空気流要件を低減させる。
【0091】
以下では、本明細書において説明される種々の切断デバイスとともに利用されるか、または含まれ得る付加的な特徴または機能が記載される。
【0092】
操作者がリアルタイムで切除された組織を手術中に可視化することを可能にするために、透明な組織収集チャンバが利用されてもよい。加えて、操作者および患者は、組織収集チャンバを点検することによって、デバイスが以前に使用されているか否かを確認することができる。
【0093】
体内の2つの異なる場所からの組織に生検を行うことが所望される場合に、異なる場所から切除された組織を分離するために、二重チャンバ組織収集システムが提供されてもよい。
【0094】
真空供給ポートを越えるシャトルピストンの信頼できる移行を確保して、シャトルの不安定な動揺、および結果として起こる機構またはモータの失速を防止するために、プラスチック、金属、または他の材料から製造された双安定スイッチ、および弾性バネが、機構において利用されてもよい。任意で、それらの自然な状態において、一端で接続されているが反対端で分離されている、2つの脚部を有する金属薄板を使用して製造される双安定スイッチが提供されてもよい。次いで、別個の金属薄板脚部は、圧力を加えられ、双安定性である湾曲金属薄板構成要素を作成するためにリベットで留められるか、または別様に接続される。任意で、分離された端部は、2つの位置で安定している3次元曲線をもたらすように、折り畳まれ、接合されてもよい。これらの変化例は、双安定となるように別個の弾性バネに要求しなくてもよい。
【0095】
任意で、真空動力供給式機構からの前後の往復運動は、機構によって出力される回転または回転振動機構を提供するために、回転運動または回転振動に機械的に変換されてもよい。
【0096】
窓において機構の機械的出力をカッターに伝達する効率的な方法を提供するために、組織排出シャフトが駆動ピストンの中心を通して送られてもよい。
【0097】
モータにおける真空漏出を防止するために、薄いプラスチックシールを金型に押し込むことによって、薄いプラスチックシールが構成要素と一体化して成形され、塑性的に変形されて、その可撓性および適合性を増加させ得る。これは、構成要素のコストおよび組立作業を低減し得、機構の全体的な信頼性を向上させ得る。任意で、金型の分割線において形成されるフラッシュが、非常に薄くて可撓性であり、噛合構成要素の幾何学形状に一致しつつ構成要素間において最小の摩擦を維持するので、シールとして使用され得る。成形された構成要素の間にシールを作成するために、Oリングが任意で使用されてもよい。
【0098】
ある変化例では、機構が、駆動ピストンに隣接して、および/または並列にに配置された、または配設されたシャトルピストンを含むことにより、全体的な機構および/またはデバイスサイズが縮小され、ピストン間の機械的運動の伝達がより容易で効率的であり、デバイスを通る空気流がより効率的であり得る。この配設は、より小型で、保持および使用しやすいデバイスを可能にし得る。シャトルおよび駆動ピストンは、双安定スイッチによって連結されてもよい。
【0099】
バネ荷重トリガは、機構を「オン」および「オフ」にするために、シャトルピストンまたは弁と直接的または間接的に相互作用してもよい。これは、機構機能を確実に一貫して制御する。トリガは、開口または切断窓の近位のカッターシャフトによってモータを常に停止させるように設計されてもよく、それにより、デバイスが窓を通した「吸引のみ」モードで使用されてもよいように、切断窓を開いたままにする。加えて、組織排出経路の中の障害物を取り除くか、または除去するために、デクロッガ等のデバイス清掃ツールが、切断窓を通して螺合され、組織排出経路を通して、および/またはそれに沿って近位に前進させられてもよい。
【0100】
排出シャフトを真空ポート等のデバイス上の固定接続部に接続するループ状の可撓性管類は、チャンバまたはハンドルの中の他の管類または構成要素の動揺、振動、または外部運動を引き起こすことなく、および組織収集チャンバへの排出経路接続を抜去することなく、排出シャフトおよび機構の前後運動を可能にする低コストの方法を提供する。ループ状の管類は、排出シャフトの前後運動に適応するように形状を変化させてもよい。
【0101】
切断デバイスは、洗浄剤を引き出すために、例えば、洗浄剤の自己調節供給を提供するために、吸引が開口部または切断窓に存在しない限り、洗浄剤が流れないように設計されてもよい。これは、大気に対して加圧されない洗浄剤の貯留部を供給することによって可能であり得るが、吸引が貯留部に印加されたときに、洗浄剤が貯留部から真空源に向かって流れる。これの実施例は、管類に接続される、洗浄剤で充填されたシリンジであり、吸引が管類に印加されたときに、洗浄剤は、シリンジから管類を通って真空源に向かって流れる。これは、洗浄剤がデバイスから非意図的に流出して患者の中に漏出しないことを確実にし、例えば、患者が全身麻酔下にあり、意思伝達できない場合に、患者によって吸引されたとき(例えば、デバイスが呼吸通路で使用されたとき)等に、これが問題となる場合がある。洗浄剤貯留部は、必要に応じて操作者によって充填されてもよいように、デバイスのハンドル内に位置してもよく、それにより、切断デバイスに繋留される管および接続の数を削減する。
【0102】
往復または前後の切断運動を有する切断デバイスまたはマイクロデブリッダは、任意で、CO2カートリッジ等の圧縮空気の統合供給によって、またはバッテリ、例えば、カッターを作動させるDCモータに電気を供給するバッテリによって動力供給されてもよい。これは、切断窓の中に組織を引き込むために、および摘出された組織を排出し、それにより、切除速度を増加または向上させるために、真空供給が全体的に使用されることを可能にする。別個の電力コンソールが、電力をデバイスに提供するために必要ではない。
【0103】
(例示的な真空動力供給式機構またはモータ)
本明細書において説明される種々の切断デバイスで使用される真空動力または駆動機構またはモータは、運動を生じさせるために、内部または外部真空源からの吸引を使用するので、そのように呼ばれ得る。真空機構またはモータは、吸引を生成せず、真空ポンプと混同されるべきものではない。真空は、組織を切断および排除する医療デバイスに動力供給する機構に動力供給するために使用される。真空動力供給式機構は、デバイスの中のカッターの往復または回転運動を生成する。機構は、ピストンが配置されるチャンバまたはシリンダの中で、ピストンの一端における周囲空気圧およびピストンの反対端における真空(または部分真空)の差を動力源とし得る。
【0104】
本明細書において説明される1つの真空機構またはモータは、両方向にピストンを移動させるために吸引を使用するので、複動真空動力供給式機構または複動機構と呼ばれてもよい。真空または吸引は、ピストンを真空(または部分真空)の方向へ前後に交互に移動させるために、ピストンの両側に交互に印加される。それらの開始位置に戻すためにバネを使用する真空機構またはモータは、バネ作用またはバネ復帰機構と呼ばれてもよい。単動機構またはモータは、真空が放出され、ピストンがバネによってその開始位置に戻されるまで、単一の方向にピストンを駆動するために真空を使用し得る。
【0105】
その開始位置にピストンを戻すためにバネを使用することと比較すると、両方向にピストンを移動させるために真空を使用することの1つの利点は、モータの効率がほぼ倍になることである。バネ復帰機構は、モータの必要作業出力を果たすとともに、戻りバネを圧縮するために十分な力を生成するほど十分大きいピストンサイズおよびシリンダ容積を持たなければならない。複動機構のより小さいピストンサイズは、機構が手持ち式デバイスに組み込まれることを可能にする。バネ復帰モータにおけるバネは、機構に作用する摩擦力および外力を確実に克服することに十分な安全幅を伴ってピストンをその開始位置に確実に戻すように適切にサイズ決定されなければならない。
【0106】
真空駆動機構の例示的な変化例が本明細書において説明される。
図3A−5Bは、遠位および近位位置にある種々の機構を示す。遠位位置とは、機構の中のピストンが、機構が位置する切断デバイスの遠位端に向かう方向に動かされている状態を指す。以下で説明される図に関して、観察者の視点から、図の左側が近位側であり、図の右側が遠位側である。近位位置とは、機構の中のピストンが、機構が位置する切断デバイスの近位端に向かう方向へ動かされている状態を指す。
【0107】
図3Aは、上記で参照される機構30と同様である複動真空動力供給式機構310またはモータの変化例の断面図を示す。機構310は、双安定スイッチを含む。
図3Aが、近位位置にある機構10を示す一方で、
図3Bは、遠位位置にある複動真空動力供給式機構を示す。
【0108】
図3A−3Bを参照すると、真空動力供給式機構310は、ピストンシャフト302を有する駆動ピストン301を含む。ピストンシャフト302の少なくとも一部分を含む駆動ピストン301は、駆動ピストンチャンバ307内に配置される。駆動ピストン301は、駆動ピストンチャンバを、近位駆動ピストンチャンバ307aおよび遠位駆動ピストンチャンバ307bに分割または分離する。駆動ピストン301は、真空および周囲空気が、駆動ピストンチャンバ307aおよび/または307bの中の駆動ピストン1の反対側に交互に印加されたときに、駆動ピストンチャンバ307内で近位および遠位に往復し得る。ピストンシャフト302は、駆動ピストン301とともに往復し得、往復運動するピストンシャフト302は、往復運動出力を伝導し得る。
【0109】
双安定スイッチ303は、シャトルピストン314およびスイッチバネ305に接続または連結される。スイッチバネ305は、双安定スイッチ303を、遠位位置から近位位置へ、および逆も同様に、迅速に移行させ得る。双安定スイッチは、近位位置(
図3A)または遠位位置(
図3B)のいずれか一方にあるときに安定しているが、これら2つの位置の間にあるときには安定せず、したがって、スイッチは中間の状態においてドウェルに抵抗する。結果として、機構は「動揺」しないか、または機構は、状態間を移行しているときに「動揺」を最小化する。例えば、シャトルチャンバ真空供給ポート308を越えて近位または遠位方向に、双安定スイッチがシャトルピストン314およびシャトル弁313を移行または並進させるとき、シャトル弁313は、動揺し得ないか、または近位から遠位位置に、または逆も同様に、必ず移行し得る。
【0110】
双安定スイッチ303は、駆動ピストン1、したがって、ピストンシャフト302が近位または遠位方向のいずれか一方に移動するときに、駆動ピストンシャフト302によって作動させられ得る。双安定スイッチ303の作動は、近位または遠位方向のいずれか一方へのシャトルピストン314の移動をもたらす。近位方向への駆動ピストンの移動が、双安定スイッチを介して近位方向へのシャトルピストンの移動をもたらす一方で、遠位方向への駆動ピストンの移動は、双安定スイッチを介して遠位方向へのシャトルピストンの移動をもたらす。
【0111】
シャトルピストン314は、シャトルピストンチャンバ内に配置される。シャトルピストン314は、シャトル弁313または、そこから半径方向に延在し得るフランジを含み、それは、シャトルピストンチャンバを近位シャトルピストンチャンバ315および遠位シャトルピストンチャンバ316に分離または分割する。近位シャトルピストンチャンバ315は、近位真空スロット304を介して近位駆動ピストンチャンバ307aと流体連通し得る。遠位シャトルピストンチャンバ316は、遠位真空スロット306を介して遠位駆動ピストンチャンバ307bと流体連通し得る。
【0112】
シャトルピストン(314)はまた、近位周囲空気シール(309)、近位十字(310)、遠位周囲空気シール(311)、遠位十字(312)、および上記の構成要素を接続する中心シャフトを含んでもよい。
【0113】
シャトルピストンチャンバ真空供給ポート(308)は、近位シャトルピストンチャンバ315および/または遠位シャトルピストンチャンバ316を排気するように、外部または内部真空源または供給に接続され得る。真空ポート308は、近位真空スロット304および近位シャトルピストンチャンバ315を介した近位駆動ピストンチャンバ307aの真空による排気を可能にし得る。真空ポート308は、遠位真空スロット306および遠位シャトルピストンチャンバ316を介した遠位駆動ピストンチャンバ307bの真空による排気を可能にし得る。
【0114】
例えば、近位駆動ピストンチャンバ(307a)は、真空ポート(308)、近位シャトルピストンチャンバ(315)、および近位真空スロット304を介して、外部真空源と流体連通しているときに、真空によって排気され得る。遠位駆動ピストンチャンバ(307b)は、真空ポート(308)、遠位シャトルピストンチャンバ(316)、および遠位真空スロット306を介して、外部真空源と流体連通しているときに、真空によって排気され得る。近位駆動ピストンチャンバ307aの中の真空の存在は、周囲空気が遠位駆動ピストンチャンバ(307b)の中にあるときに、ピストン(301)を近位に移動させる動作力をもたらす、ピストン(301)の近位側と遠位側との間の圧力差をもたらす。あるいは、近位駆動ピストンチャンバ307aの中の周囲空気(322)は、遠位駆動ピストンチャンバ(307b)が排気されたときに、ピストン(301)を遠位に移動させる動作力を印加する。
【0115】
シャトルピストン314が、シャトルピストンチャンバの中で並進させられるか、または配置されることにより、シャトルピストン弁313は、真空ポート(308)の遠位側のシャトルブロック(321)に対して密閉して、外部真空供給と連通することによって近位シャトルピストンチャンバ(315)および/または近位駆動ピストンチャンバ(307a)が排気されることを可能にする。あるいは、シャトルピストン314が、シャトルピストンチャンバの中で並進させられるか、または配置されることにより、シャトルピストン弁313は、真空ポート(308)の近位側のシャトルブロック(321)に対して密閉して、外部真空供給と連通することによって遠位シャトルピストンチャンバ(316)および/または遠位駆動ピストンチャンバ(307b)が排気されることを可能にする。
【0116】
近位シャトルピストンチャンバ(315)は、近位真空スロット(304)を通して、真空ポート(308)と近位駆動ピストンチャンバ(307a)との間の流体連通を可能にし得る。近位シャトルピストンチャンバ(315)はまた、近位シャトルシール(309)が、近位位置、すなわち、開放または非密閉位置にあるときに、近位駆動ピストンチャンバ307aと周囲空気との間の流体連通を可能にし得る。
【0117】
遠位シャトルピストンチャンバ(316)は、遠位真空スロット(306)を通して、真空ポート(308)と遠位駆動ピストンチャンバ(307b)との間の流体連通を可能にし得る。遠位シャトルピストンチャンバ(316)はまた、遠位シャトルシール311が、遠位位置、すなわち、開放または非密閉位置にあるときに、遠位駆動ピストンチャンバ307bと周囲空気との間の流体連通を可能にし得る。
【0118】
シャトルピストン314の近位周囲空気シール(309)は、近位シャトルピストンチャンバ(315)が排気されたときに、近位シャトルピストンチャンバ315の中への周囲空気の漏出を防止するために、シャトルブロック(321)に対して密閉し得る。また、近位十字(310)は、例えば、シャトルピストン(314)が近位位置まで移動し、周囲空気を近位シャトルピストンチャンバ(315)に放出するときに、近位シャトルピストンチャンバ(315)に対するシャトルピストン(314)の位置同心性を維持することができる。
【0119】
シャトルピストン314の遠位周囲空気シール(311)は、遠位シャトルピストンチャンバ(316)が排気されたときに、遠位シャトルピストンチャンバ316の中への周囲空気の漏出を防止するために、シャトルブロック(321)に対して密閉し得る。また、遠位十字(312)は、例えば、シャトルピストン(314)が遠位位置まで移動し、周囲空気を遠位シャトルピストンチャンバ(316)に放出するときに、遠位シャトルピストンチャンバ(316)に対するシャトルピストン(314)の位置同心性を維持することができる。
【0120】
真空動力供給式機構310はまた、駆動ピストンシャフト(302)とともに密閉および荷担面を提供することに加えて、周囲空気と遠位駆動ピストンチャンバ(307b)との間の流体連通を防止または最小化し得る遠位駆動ピストンチャンバ端部キャップ(317)を含んでもよい。真空動力供給式機構310はまた、例えば、遠位駆動ピストンチャンバ(307b)が排気されるときに、遠位駆動ピストンチャンバ端部キャップ(317)と駆動ピストンシャフト(302)との間の周囲空気の漏出を防止または最小化し得る遠位駆動ピストンチャンバ端部キャップシール(318)を含んでもよい。
【0121】
真空動力供給式機構310はまた、駆動ピストンシャフト(302)とともに密閉および荷担面を提供することに加えて、周囲空気と遠位駆動ピストンチャンバ(37a)との間の流体連通を防止または最小化し得る、近位駆動ピストンチャンバ端部キャップ(319)を含んでもよい。真空動力供給式機構またはモータ310はまた、例えば、近位駆動ピストンチャンバ(307a)が排気されるときに、近位駆動ピストンチャンバ端部キャップ(319)と駆動ピストンシャフト(302)との間の周囲空気漏出を防止または最小化し得る、近位駆動ピストンチャンバ端部キャップシール(320)を含んでもよい。
【0122】
駆動ピストンシャフト302は、周囲空気322への真空の損失を防止または最小化するために、端部プレートもしくは端部キャップ317、319、またはシャトルブロック321に対して密閉してもよい。また、当業者に公知である種々のシールが、端部プレートまたは端部キャップ317、319、あるいはシャトルブロック321に対してピストンシャフトを密閉するために利用されてもよい。
【0123】
シャトルブロック321、あるいは他のフレーム、構造、またはケーシングが、真空動力供給式機構310用の外側構造を提供してもよい。周囲空気322とは、真空機構の外側に位置する大気圧の空気を指す。周囲空気322はまた、本明細書において説明されるような機構の使用中に、真空動力供給式機構の種々のチャンバの内側を流れることを可能にされてもよい。
【0124】
使用中または動作中に、真空動力供給式機構310は、近位および遠位方向の両方に駆動ピストン301の往復運動を引き起こす力を提供するために、外部または内部真空源を利用する空気圧機構、方法、または論理によって動作する。双安定スイッチは、機構が方向を逆転または変更する際に、機構を移行させるために利用されてもよい。
【0125】
例えば、真空ポート308は、遠位駆動ピストンチャンバ307bを排気するために、遠位駆動ピストンチャンバ307bに開かれ得、周囲空気が遠位駆動ピストンチャンバ307bに対して閉鎖される一方で、周囲空気は、近位駆動ピストンチャンバ307aに開かれ、真空ポートは、近位駆動ピストンチャンバ307bに対して閉鎖される。駆動ピストンは、駆動ピストン301の遠位側においては遠位駆動ピストンチャンバ307bの内側の真空、および駆動ピストン301の近位側においては近位シリンダチャンバの中の周囲空気圧に起因して、遠位位置に向かって前進する。
【0126】
駆動ピストン301の反対側で生成される圧力差の結果として、駆動ピストンロッドまたはシャフト302は、双安定スイッチ303に接触するまで、そのドウェルを通って移動し、双安定スイッチ303が近位位置から遠位位置へ迅速に状態を変化するようにさせ、遠位方向に移動する。双安定スイッチは、シャトルピストン314に取り付けられ、シャトル314をシャトルチャンバの中で近位位置から遠位位置へ迅速に移動させる。結果として、シャトルピストン314上の真空シール313は、真空ポート308の近位側から真空ポート308の遠位側へ移動し、近位駆動ピストンチャンバ307aを排気するために、真空ポート308を近位駆動ピストンチャンバ307aに開き、真空ポート308を遠位駆動ピストンチャンバ307bに対して閉じる。また、シャトルピストン314上の遠位シール311は、周囲空気322を開いて遠位駆動ピストンチャンバ307bを周囲圧力に放出し、シャトルピストン314上の近位シール309は、近位駆動ピストンチャンバ307aに対して周囲空気孔を閉じる。
【0127】
次いで、駆動ピストン301は、方向を逆転させ、駆動ピストンの近位側における近位駆動ピストンチャンバ307aの内側の真空、および駆動ピストン301の遠位側における遠位駆動ピストンチャンバの中の周囲空気圧に起因して、近位方向に移動する。
【0128】
駆動ピストン301の反対側で生成された圧力差の結果として、駆動ピストンロッドまたはシャフト302は、双安定スイッチに接触するまで、そのドウェルを通って移動し、双安定スイッチが遠位位置から近位位置へ迅速に状態を変化するようにさせる。双安定スイッチは、シャトルピストン314に取り付けられ、シャトル314をシャトルチャンバの中で遠位位置から近位位置へ迅速に移動させる。結果として、シャトルピストン314上の真空シール313は、真空ポート308の遠位側から真空ポート308の近位側に移動し、遠位駆動ピストンチャンバ307bを排気するために、真空ポート308を遠位駆動ピストンチャンバ307bに開き、真空ポート308を近位駆動ピストンチャンバ307aに対して閉じる。また、シャトルピストン314上の近位シール309は、周囲空気322を開いて近位駆動ピストンチャンバ307aを周囲圧力に放出し、シャトルピストン314上の遠位シール311は、遠位駆動ピストンチャンバ307bに対して周囲空気孔を閉じる。
【0129】
その結果として、機構は、1回のサイクルを完了し、十分な真空が機構に利用可能である限り、ピストンの反対側において吸引または空気圧を交番させることによって、上記で説明されるように自由に往復し続けることができる。実際に、上記のステップが必要に応じて繰り返されることにより、真空源が切断されるまで、オフにされるまで、または真空が駆動ピストン301を移動させるために必要な力を克服するのに不十分である場合まで、または機構310が失速あるいは停止させられた場合まで、真空動力供給式機構が往復運動を生成し得る。
【0130】
機構の往復運動は、切断デバイスを作動させるために、または別のデバイス、例えば、別の医療デバイスを動作あるいは作動させるために利用されてもよい。ある変化例では、切断デバイスは、例えば、手動で、または自動的に、デバイスの可撓性または順応性シャフトを操縦することによって配置されてもよい。シャフトは、シャフトの形状を変化させることによって、人体内の敏感な組織または構造の周囲で操縦され、または配置されてもよい。例えば、シャフト上の外側シースまたはカニューレを延長または後退させること、または外側シースに対してシャフトを前進または後退させ、それにより、構造の周囲または限定空間内のシャフトの向上した操縦可能性を可能にすることが行われてもよく、例えば、シャフトの所定の曲率が、標的部位付近にシャフトの遠位端を配置することを可能にする。そのような機構、技法、およびデバイスは、米国特許出願第11/848,565号、第11/848,564号、および第11/848,562号で説明されるものを含み、そのそれぞれは、あらゆる目的で、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0131】
図4Aが、近位位置にある複動真空動力供給式機構またはモータの別の変化例の断面図を示す一方で、
図4Bは、遠位位置にある複動真空動力供給式機構またはモータを示す。
【0132】
図4A−4Bを参照すると、真空動力供給式機構430は、ピストンシャフト432を有するピストン431を含む。ピストンシャフト432の少なくとも一部分を含む、ピストン431は、シリンダチャンバ437内に配置される。ピストン431は、シリンダチャンバ437を、近位シリンダチャンバ437aおよび遠位シリンダチャンバ437bに分割または分離する。ピストン431は、真空および周囲空気が、シリンダチャンバ437aおよび/または437bの中のピストン431の反対側に交互に印加されたときに、シリンダチャンバ437内で近位および遠位に往復してもよい。ピストン431およびピストンシャフト432は往復し得、往復運動ピストンシャフト432は、往復運動出力を実行し得る。
【0133】
近位シャトルピン433が、シャトル444に接続されている。シャトルピン433は、ピストン431が近位方向に移動し、近位シャトルピン433に接触すると、ピストン431によって作動させられ得る。ピストンによる近位シャトルピン433の作動は、近位方向へのシャトル444の移動をもたらす。
【0134】
遠位シャトルピン435もまた、シャトル444に接続されている。遠位シャトルピン435は、ピストン431が遠位方向に移動し、遠位シャトルピン435に接触すると、ピストン431によって作動させられ得る。ピストンによる遠位シャトルピン435の作動は、遠位方向へのシャトル444の移動をもたらす。実際に、近位方向へのピストンの移動が、近位シャトルピン433との接触を介して近位方向へのシャトルの移動をもたらす一方で、遠位方向へのピストンの移動が、遠位シャトルピン435との接触を介して遠位方向へのシャトルの移動をもたらす。
【0135】
シャトル444は、シャトルチャンバ内に配置されている。シャトル444は、シャトル弁443または、そこから半径方向に延在し得るフランジを含み、これは、シャトルピストンチャンバを近位シャトルチャンバ445および遠位シャトルチャンバ446に分離または分割する。
【0136】
近位シャトルチャンバ445は、近位シャトルピンスロット434を介して近位シリンダチャンバ437aと流体連通し得る。近位シャトルピンスロット434はまた、近位シャトルピン433が近位および遠位位置の間で並進し得る開口部を提供する。遠位シャトルチャンバ446は、遠位シャトルピンスロット436を介して遠位シリンダチャンバ437bと流体連通し得る。遠位シャトルピンスロット436はまた、遠位シャトルピン435が近位および遠位位置の間で並進し得る開口部を提供する。
【0137】
シャトル(444)はまた、近位周囲空気シール(439)、近位十字(440)、遠位周囲空気シール(441)、遠位十字(442)、および上記の構成要素を接続する中心シャフトを含んでもよい。
【0138】
真空ポート(438)は、近位シャトルチャンバ445および遠位シャトルチャンバ446を排気するために、外部または内部真空源または供給に接続されてもよい。真空ポート438は、近位シャトルピンスロット434および近位シャトルチャンバ445を介して、近位シリンダチャンバ437aの真空によって排気を可能にし得る。真空ポートは、遠位シャトルピンスロット436および遠位シャトルチャンバ446を介して、遠位シリンダチャンバ437bの真空によって排気を可能にし得る。
【0139】
例えば、近位シリンダチャンバ(437a)は、真空ポート(438)、近位シャトルチャンバ(445)、および近位シャトルピンスロット434を介して、外部真空源と流体連通しているときに、真空によって排気され得る。遠位シリンダチャンバ(437b)は、真空ポート(438)、遠位シャトルチャンバ(446)、および遠位シャトルピンスロット(436)を介して、外部真空源と流体連通しているときに、真空によって排気され得る。近位シリンダチャンバ437aの中の真空の存在は、周囲空気が遠位シリンダチャンバ(437b)の中にあるときに、ピストン(431)を近位に移動させる動作力をもたらす、ピストン(431)の近位および遠位側の間の圧力差をもたらす。代替として、近位シリンダチャンバ437aの中の周囲空気(422)は、遠位シリンダチャンバ(437b)が排気されたときに、ピストン(431)を遠位に移動させる動作力を印加する。
【0140】
シャトル444が、シャトルチャンバの中で並進させられ、または配置されることにより、シャトル弁443は、真空ポート(438)の遠位側のシャトルブロック(451)に対して密閉して、外部真空供給と連通することによって近位シャトルチャンバ(445)および近位シリンダチャンバ(437a)が排気されることを可能にし得る。あるいは、シャトル444が、シャトルチャンバの中で並進させられ、または配置されることにより、シャトル弁443は、真空ポート(438)の近位側のシャトルブロック(451)に対して密閉して、外部真空供給と連通することによって遠位シャトルチャンバ(446)および遠位シリンダチャンバ(437b)が排気されることを可能にし得る。
【0141】
近位シャトルチャンバ(445)は、近位シャトルピンスロット(434)を通して、真空ポート(438)と近位シリンダチャンバ(437a)との間の流体連通を可能にし得る。近位シャトルチャンバ(445)はまた、近位シャトルシール(439)が、近位位置、すなわち、開放または非密閉位置にあるときに、近位シリンダチャンバ437aと周囲空気との間の流体連通を可能にし得る。
【0142】
遠位シャトルチャンバ(446)は、遠位シャトルピンスロット(436)を通して、真空ポート(438)と遠位シリンダチャンバ(437b)との間の流体連通を可能にし得る。遠位シャトルチャンバ(446)はまた、遠位シャトルシール41が、遠位位置、すなわち、開放または非密閉位置にあるときに、遠位シリンダチャンバ437bと周囲空気との間の流体連通を可能にし得る。
【0143】
シャトル44の近位周囲空気シール(439)は、近位シャトルチャンバ(445)が排気されたときに、近位シャトルチャンバ445の中への周囲空気の漏出を防止するために、シャトルブロック(421)に対して密閉し得る。また、近位十字(440)は、例えば、シャトル(444)が近位位置まで移動し、周囲空気を近位シャトルチャンバ(445)に放出するときに、近位シャトルチャンバ(445)に対するシャトル(444)の位置同心性を維持することができる。
【0144】
シャトル444の遠位周囲空気シール(441)は、遠位シャトルチャンバ(446)が排気されたときに、遠位シャトルチャンバ446の中への周囲空気の漏出を防止するために、シャトルブロック(51)に対して密閉し得る。また、遠位十字(442)は、例えば、シャトル(444)が遠位位置まで移動し、周囲空気を遠位シャトルチャンバ(446)に放出するときに、遠位シャトルチャンバ(446)に対するシャトル(444)の位置同心性を維持することができる。
【0145】
真空動力供給式機構430はまた、ピストンシャフト(432)とともに密閉および荷担面を提供することに加えて、周囲空気と遠位シリンダチャンバ(437b)との間の流体連通を防止または最小化し得る、遠位シリンダ端部キャップ(447)を含んでもよい。真空動力供給式機構430はまた、例えば、遠位シリンダチャンバ(437b)が排気されるときに、遠位シリンダ端部キャップ(447)とピストンシャフト(432)との間の周囲空気の漏出を防止または最小化し得る、遠位シリンダ端部キャップシール(448)を含んでもよい。
【0146】
真空動力供給式機構430はまた、ピストンシャフト(432)とともに密閉および荷担面を提供することに加えて、周囲空気と近位シリンダチャンバ(437a)との間の流体連通を防止または最小化し得る、近位シリンダ端部キャップ(449)を含んでもよい。真空動力供給式機構430はまた、例えば、近位シリンダチャンバ(437a)が排気されるときに、近位シリンダ端部キャップ(449)とピストンシャフト(432)との間の周囲空気の漏出を防止または最小化し得る、近位シリンダ端部キャップシール(450)を含んでもよい。
【0147】
ピストンシャフト432は、周囲空気422への真空の損失を防止または最小化するために、端部プレートもしくは端部キャップ447、449、またはシャトルブロック451に対して密閉し得る。また、当業者に公知である種々のシールが、端部プレートもしくは端部キャップ447、449、またはシャトルブロック451に対してピストンシャフトを密閉するために利用されてもよい。
【0148】
シャトルブロック451、あるいは他のフレーム、構造、またはケーシングが、真空動力供給式機構430用の外側構造を提供してもよい。周囲空気422は、真空動力供給式機構の外側に位置する大気圧の空気を指す。周囲空気422はまた、本明細書において説明されるような機構の使用中に、真空動力供給式機構の種々のチャンバの内側を流れることを可能にされてもよい。
【0149】
使用中または動作中に、真空動力供給式機構430は、空気圧機構、方法、または論理によって動作し、空気圧機構、方法、または論理は、(フライホイール等の)移行を通して機構を移動させるために慣性質量を必要とせず、近位および遠位方向の両方にピストン31の往復運動を引き起こす力を提供するために外部または内部真空源を利用する。
【0150】
例えば、真空ポート438は、遠位シリンダチャンバ437bを排気するために、遠位シリンダチャンバ437bに開かれ得、周囲空気が遠位シリンダチャンバ37bに対して閉鎖されている一方で、周囲空気は近位シリンダチャンバ437aに開かれ、真空ポートは、近位シリンダチャンバ437bに対して閉鎖される。ピストンは、ピストン431の遠位側における遠位シリンダチャンバ437bの内側の真空、およびピストン431の近位側における近位シリンダチャンバの中の周囲空気圧に起因して、遠位位置に向かって前進する。
【0151】
ピストン431の反対側で生成される圧力差の結果として、ピストン431は、チャンバを通って移動し、遠位シャトルピン435に接触し、シャトル444をシャトルチャンバの中で近位位置から遠位位置に移動させる。結果として、シャトル444上の真空シール443は、真空ポート438の近位側から真空ポート38の遠位側まで移動し、近位シリンダチャンバ437aを排気するために、真空ポート438を近位シリンダチャンバ437aに開き、真空ポート438を遠位シリンダチャンバ437bに対して閉じる。また、シャトル444上の遠位シール441は、周囲空気422を開いて遠位シリンダチャンバ437bを周囲圧力に放出し、シャトル444上の近位シール439は、近近シリンダチャンバ437aに対して周囲空気孔を閉じる。
【0152】
シャトル弁(443)が真空ポート438から遠位シリンダチャンバ437bまでの真空を遮断した後に、ピストン(431)を遠位に並進し続けさせるためには、遠位シリンダチャンバ437bの中に十分な排気容積を有することが必要であり得る。これは、可動ピストンが遠位シャトルピンに接触し、シャトル444を移動させることの結果として、シャトル444が遠位方向に並進し続けることを確実にし得、それにより、シャトル弁443が真空ポート438を完全に通過し、シャトルチャンバの中の近位位置と遠位位置との間での弁の動揺または弁443の不要な変動を回避または最小化する態様で、遠位シリンダチャンバ437bへの真空を遮断する。
【0153】
次いで、ピストン431は、ピストンの近位側における近位シリンダチャンバ437aの内側の真空、およびピストン431の遠位側における遠位シリンダチャンバ437bの中の周囲空気圧に起因して、方向を逆転させ、近位方向に移動する。
【0154】
ピストン431の反対側で生成された圧力差の結果として、ピストン431は、そのドウェルまたはシリンダチャンバを通って移動し、近位シャトルピン433に接触し、シャトル444がシャトルチャンバの中でその遠位位置から近位位置に移動するようにさせる。結果として、シャトル444上の真空シール443は、真空ポート438の遠位側から真空ポート38の近位側まで移動し、遠位シリンダチャンバ437bを排気するために、真空ポート438を遠位シリンダチャンバ37bに開き、真空ポート38を近位シリンダチャンバ437bに対して閉じる。また、シャトル444上の近位シール439は、周囲空気422を開いて近位シリンダチャンバ437aを周囲圧力に放出し、シャトル444上の遠位シール441は、遠位シリンダチャンバ437bに対して周囲空気孔を閉じる。
【0155】
再度、シャトル弁(443)が真空ポート438から近位シリンダチャンバ437aまでの真空を遮断した後に、ピストン(431)を近位に並進し続けさせるためには、近位シリンダチャンバ437aの中に十分な排気容積を有することが必要であり得る。これは、可動ピストンが近位シャトルピンに接触し、シャトル444を移動させることの結果として、シャトル444が近位方向に並進し続けることを確実にし得、それにより、シャトル弁443が真空ポート438を完全に通過し、シャトルチャンバの中の近位位置と遠位位置との間での弁の動揺または弁443の不要な変動を回避または最小化する態様で、近位シリンダチャンバ437bへの真空を遮断する。
【0156】
その結果として、機構は、十分な真空が機構に利用可能である限り、ピストンの反対側において空気圧を交番させることによって、上記で説明されるように、1回のサイクルを完了し、自由に往復し続けることができる。実際に、上記のステップが必要に応じて繰り返すことにより、真空源が切断されるまで、オフにされるまで、または真空がピストン431を移動させるために必要な力を克服することに不十分である場合まで、真空動力供給式機構は往復運動を生成し得る。
【0157】
真空動力供給式機構のある変化例では、外部真空源がシリンダから遮断された後に、ピストンを遠位または近位に移動し続けさせることに十分である真空が、シリンダの遠位または近位端の「デッドスペース」の中に生成され得る。シリンダの近位または遠位端の中の「デッドスペース」の容積は、遠位または近位に移動し続けるようにピストンを促し、それにより、1つの状態から別の状態までの移行を介して弁を移動させる慣性を質量が生成する必要性を排除する「アキュムレータ」としての機能を果たす。
【0158】
別の変化例では、状態の間で前後に移動しようとする弁またはシャトルによって引き起こされる、空気弁の不安定性または動揺を低減する方法は、シャトル弁の一端を真空源に、シャトル弁の反対端を周囲空気に暴露することを含む。これは、シャトル弁を真空の方向に移動させ得、周囲空気をシリンダに接続するポートをさらに十分に開かせる。
【0159】
機構の往復運動は、切断デバイスを作動させるために、または別のデバイス、例えば、別の医療デバイスを動作あるいは作動させるために利用され得る。ある変化例では、切断デバイスは、例えば、手動で、または自動的に、デバイスの可撓性または順応性シャフトを操縦することによって配置されてもよい。シャフトは、シャフトの形状を変化させることによって、人体内の敏感な組織または構造の周囲において操縦され、または配置されてもよい。例えば、シャフト上の外側シースまたはカニューレを延長または後退させること、または外側シースに対してシャフトを前進または後退させ、それにより、構造の周囲または限定空間内のシャフトの向上した操縦性を可能にすることが行われてもよく、例えば、シャフトの所定の曲率が、標的部位付近にシャフトの遠位端を配置することを可能にする。そのような機構、技法、およびデバイスは、米国特許出願第11/848,565号、第11/848,564号、および第11/848,562号で説明されるものを含み、そのそれぞれは、あらゆる目的でそれらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0160】
図4A−4Bに図示されるような機構の変化例の動作をさらに説明すると、シャトル444は、近位または遠位位置で開始してもよい。ある変化例では、特定の開始位置にピストンおよび/またはシャトル構成要素を配置するために、小型バネ(図示せず)が使用されてもよい。
【0161】
図4Aは、近位位置から開始するシャトル444を示す。外部真空が真空ポート(438)を通して機構に印加されたときに、シャトル弁(443)は、真空ポート(448)の近位側にあり、それは、遠位シリンダチャンバ(437b)、遠位シャトルピンスロット(436)、および遠位シャトルチャンバ(446)の中の空気の排気をもたらす。その結果として、ピストン(431)の近位側と遠位側との圧力差が、ピストンを遠位に移動させる。
【0162】
真空は、作業を行うために機構によって必要とされる力に加えて、ピストンに作用する摩擦力よりも大きい力を印加し得る。
【0163】
ピストン(431)は、遠位に移動するにつれて、遠位シャトルピン(435)に接触し、シャトル(444)を遠位に移動させる。結果として、シャトル弁(443)は、機構の遠位側に対して真空ポート(438)を閉鎖する。
【0164】
シャトル弁(443)が、機構の遠位側へ、または遠位シリンダチャンバ437bへの真空を遮断した後に、ピストン(431)を遠位に並進し続けさせるために、チャンバの遠位側に、または遠位シリンダチャンバ437bの中に十分な排気容積を有することが必要であり得る。
【0165】
シャトル(444)が遠位に移動するにつれて、遠位周囲空気シール(441)が開き、機構の外側からの周囲空気が機構の遠位側に流入し、遠位シリンダチャンバ(437b)、遠位シャトルピンスロット(436)、および遠位シャトルチャンバ(446)を含む排気容積を充填することを可能にする。加えて、近位周囲空気シール(439)が閉じ、シャトル弁(443)が、真空ポート438を、機構の近位側に、および/または近位シリンダチャンバ437aに開かせる。
【0166】
シャトル弁(443)は、真空ポート(438)の遠位側に移動し、それは、近位シリンダチャンバ(437a)、近位シャトルピンスロット(434)、および近位シャトルチャンバ(445)の中の排気をもたらす。その結果として、ピストン(431)の近位側と遠位側との圧力差が、ピストンを近位に移動させる。
【0167】
ピストン(431)は、近位に移動するにつれて、近位シャトルピン(433)に接触し、シャトル(444)を近位に移動させる。結果として、シャトル弁(443)は、機構の近位側に対して、または近位シリンダチャンバ437aに対して真空ポート(438)を閉鎖する。
【0168】
シャトル弁(443)が、機構の近位側への、または近位シリンダチャンバ437aへの真空を遮断した後に、ピストン(431)を近位に並進し続けさせるように、チャンバの近位側に、または近位シリンダチャンバ437aの中に十分な排気容積を有することが必要であり得る。
【0169】
シャトル(444)が近位に移動するにつれて、近位周囲空気シール(439)が開き、機構の外側からの周囲空気が機構の近位側に流入し、近位シリンダチャンバ(437a)、近位シャトルピンスロット(434)、および近位シャトルチャンバ(445)を含む排気容積を充填することを可能にする。加えて遠位周囲空気シール(441)が閉じ、シャトル弁(443)が、真空ポート8を、機構の遠位側に、および/または遠位シリンダチャンバ437bに開かせる。
【0170】
シャトル弁(443)は、真空ポート(438)の近位側にあり、それは、機構を上記で説明された開始位置に戻らせる。その結果として、機構は、1回のサイクルを完了し、十分な真空が機構に利用可能である限り、上記で説明されるように自由に往復し続けることができる。
【0171】
図5A−5Bは、バネ復帰機構を含む、真空動力供給式機構560またはモータの別の変化例を示す。
図5Aが、開始または近位位置にあるピストン561を伴う機構を示す一方で、
図5Bは、遠位位置にあるピストン561を伴う機構を示す。
【0172】
図5A−5Bを参照すると、真空動力供給式機構560は、ピストンシャフト62を有するピストン561を含む。ピストンシャフト562の少なくとも一部分を含むピストン561は、シリンダチャンバ581内に配置される。ピストン561は、シリンダチャンバ581を、近位シリンダチャンバ581aおよび遠位シリンダチャンバ581bに分割または分離する。ピストン561は、ピストン561の遠位側が排気されたときに、または遠位シリンダチャンバ581bが排気されたときに、シリンダチャンバ581内で遠位に往復してもよい。周囲空気は、ピストン561の近位側で、または近位シリンダチャンバ581aの中に、常に存在してもしなくてもよい。シリンダチャンバ581aは、周囲空気に開いていてもよく、または周囲空気に常に開いていてもよい。ピストンシャフト565は、ピストン561に沿って往復してもよく、往復運動ピストンシャフト565は、往復運動出力を伝導してもよい。ピストンシャフトは、機構出力としてピストンから運動を伝達する働きをしてもよい。
【0173】
シャトル562が、ピストン(561)に接続され得、シャトル562は、ピストン561とともに往復し得る。シャトル562は、シャトルチャンバの中に配置されてもよい。シャトルは、シャトル562と一体であってもよく、および/またはそこから半径方向に延在し得る近位シールフランジ563を含む。シールフランジ563は、遠位シリンダチャンバ(581b)が排気されたときに、周囲空気導管(574)と遠位シリンダチャンバ(581b)との間にシールを提供する。近位シールフランジ563はまた、シャトル(562)の近位移動を停止させるために、近位停止ピン(580)に接触し得る。
【0174】
シャトルはまた、シャトルと一体であってもよく、および/またはそこから半径方向に延在してもよいシャトル弁564を含んでもよい。シャトル弁564は、シャトルチャンバを、弁564の近位側の近位シャトルチャンバ588、および弁564の遠位側の真空シャトルチャンバ583に分離または分割し得る。シャトル弁564は、例えば、シャトルブロック578に対して遠位導管572の遠位または近位側に密閉し得るシールを提供する。シャトル弁564は、遠位導管572の近位側にシールを提供し、遠位導管572および遠位シリンダチャンバ581bを真空ポート575に開き、外部真空供給と連通することによって、遠位シリンダチャンバ581bが排気されることを可能にし得る。
【0175】
シャトル弁564はまた、遠位導管572の遠位側にシールを提供し、遠位導管572および遠位シリンダチャンバ581bを周囲空気導管574に開き、遠位シリンダチャンバ581bが周囲空気に開くことを可能にし得る。
【0176】
ピストンシャフト565は、ピストンシャフト565の近位端においてピストン61と一体であり、かつ遠位ピストンシャフト570(すなわち、ピストンシャフト565の遠位端に位置するピストンシャフト565の外部部分)と一体であってもよい。シャトル復帰表面(566)は、ピストンシャフト(565)と一体であり、ピストン561およびピストンシャフト565が近位方向に並進しているときに、シャトル(562)の遠位端に接触して、それを近位に動かす働きをする。
【0177】
ピストンシャフト565はまた、そこから半径方向に延在し得る遠位シールフランジ(567)を含んでもよい。遠位シールフランジ567は、戻りバネチャンバ584の中に周囲空気を密閉し、シャトル真空チャンバ583から戻りバネチャンバ584を密閉してもよい。遠位シールフランジはまた、復帰ストローク中に、近位に、または近位方向に、ピストンシャフト(565)を動かすか、または並進させるために、戻りバネ(568)が作用するための表面を提供してもよい。
【0178】
戻りバネ(568)は、戻りバネチャンバ584の中に配置され、すなわち、ピストンおよびピストンシャフトが遠位方向に移動させられたときに、機構の遠位ストローク中に圧縮することによって機械エネルギーを貯蔵する。機械エネルギーは、機構の復帰ストローク中に、戻りバネ568がピストンシャフト565を近位に動かすときに、解放される。
【0179】
機構560は、戻りバネ(568)に対する遠位停止部としての機能を果たす遠位端部プレート(569)を含んでもよい。
【0180】
機構560はまた、種々の導管を含んでもよい。近位導管(571)は、遠位シリンダチャンバ(581b)および平行導管(573)との間の流体連通のための接続または導管を提供してもよい。上記で識別されるような遠位導管(572)は、近位シャトルチャンバ(588)と平行導管(573)との間の流体連通のための接続または導管を提供し得る。平行導管(573)は、近位導管(571)と遠位導管(572)との間の流体連通のための接続または導管を提供してもよい。周囲空気導管(574)は、遠位導管572に対するシャトル弁564の位置付けに応じて周囲空気が近位シャトルチャンバ588および遠位シリンダチャンバ(581b)に通気することを可能にするように、導管を提供してもよい。
【0181】
真空ポート(575)は、機構を外部真空源に接続し、シャトル真空チャンバ583を排気し、遠位導管572に対するシャトル弁564の位置付けに応じて、遠位シリンダチャンバ581bを排気してもよい。
【0182】
機構560はまた、戻りバネ(568)の圧縮および拡張により、チャンバが容積を変化させるにつれて、戻りバネチャンバ(584)を周囲空気に放出して、戻りバネチャンバ(584)の中の周囲空気圧を維持する戻りバネ通気孔(576)を含んでもよい。戻りバネチャンバ84は、戻りバネ68を含有する。戻りバネチャンバ84は、戻りバネ通気孔76を介して、常に周囲圧力であり得る。
【0183】
遠位平行導管(77)もまた、提供されてもよい。遠位平行導管77は、機構ブロック(78)の機械加工によるアーチファクトであってもよく、遠位平行導管77は、使用前に遠位端で差し込まれてもよい。
【0184】
機構ブロック578、あるいは他のフレーム、構造、またはケーシングが、真空動力供給式機構560のための外側構造を提供してもよい。周囲空気522は、真空動力供給式機構の外側に位置する大気圧の空気を指す。周囲空気522はまた、本明細書において説明されるような機構の使用中に、真空動力供給式機構の種々のチャンバの内側で流れることを許可されてもよい。
【0185】
遠位停止ピン(579)は、遠位停止ピン579の場所を越えたシャトル(562)の遠位並進を防止することによって、シャトル(562)のための遠位停止部を提供する。
【0186】
近位停止ピンおよびボールプランジャ(580)は、近位シールフランジ(563)と接触しているときに、シャトル(562)のための近位停止部を提供してもよい。ボールプランジャは、横方向にシャトルを並進させるために必要とされる力を増加させるためにシャトルに垂直力を提供し、それにより、遠位導管572に対するシャトルチャンバの中の近位位置と遠位位置との間で、弁の「動揺」または弁564の不要な変動の可能性を低減または排除する。
【0187】
遠位シリンダチャンバ(581b)は、遠位シリンダチャンバ(581b)が真空状態であるときにピストン(561)を遠位に動かすために、および遠位シリンダチャンバ581bが周囲圧力にあるときに戻りバネ(568)がピストンシャフト(562)および/またはピストン61を近位に動かすことを可能にするために、真空と周囲圧力とを交互にする。
【0188】
近位シャトルチャンバ(588)は、周囲圧力であってもよく、または常に周囲圧力にあってもよい。シャトル真空チャンバ(583)は、外部真空源が真空ポート(575)に接続されたときに、排気されてもよく、または常に排気されてもよい。
【0189】
使用中または動作中に、真空動力供給式機構560は、空気圧機構、方法、または論理によって動作し、それにより、真空機構弁シーケンスは、真空源を周囲圧力に放出することなく、ピストンがその適所に戻ることを可能にするために、遠位シリンダチャンバ81bまたは機構から真空源を遮断することを含む。結果として、真空圧がデバイスの切断および排出システムの中で一貫した状態のままとなる。(フライホイール等の)移行を介して機構を移動させるために慣性質量を必要とせず、1つの方向に往復運動を引き起こす力を提供するために外部または内部空源を使用し、逆方向に往復運動を引き起こす力を提供するために戻りバネを使用する空気圧機構、方法、または論理は、以下のステップを含んでもよい。
【0190】
例えば、真空が、遠位シリンダチャンバ581bに開いていてもよい一方で、周囲空気は、そのチャンバに対して閉鎖されている。ピストン561は、遠位シリンダチャンバ521bの内側の真空、およびピストン561の近位側の近位シリンダチャンバ581aの中の周囲圧力によって、遠位位置に向かって遠位方向に前進する。ピストン561の遠位前進は、圧縮バネ568を圧縮し、真空力は、圧縮バネ568を圧縮するために、摩擦を克服するほど十分に大きくあるべきであり、または大きくてもよい。
【0191】
ピストン561が移動するときに、シャトル弁564が遠位シリンダチャンバ581bへの真空を遮断し、ピストン561が遠位方向に移動するにつれて、圧縮バネ568が圧縮するように、ピストン561は、シャトル562に接触し、シャトル562を前進させる。摩擦を克服するほど、および圧縮バネ568を圧縮し、シャトル562を前進させ続けて、遠位導管572および遠位シリンダチャンバ581bを周囲空気導管574へ開くことによって周囲空気が遠位シリンダチャンバ581bに流入することを可能にするほど大きくあるべきであり、または大きくてもよい遠位シリンダチャンバ581bの中のシリンダの遠位側の排気容積により、ピストン561は、(真空が遠位シリンダチャンバ581bに対して遮断された後でさえも)遠位に前進し続け得る。
【0192】
ピストン561は、圧縮バネ568の力、および遠位シリンダチャンバ581bに流入する周囲空気に起因する遠位シリンダチャンバ581bの中の真空の損失によって、近位方向に近位位置まで後退し得る。ピストンシャフト562は、シャトルに接触し、近位方向にシャトルを移動させ、したがって、遠位シリンダチャンバ581bへの周囲空気導管574および周囲空気流を遮断する。ピストンシャフト562は、シャトル562を近位に移動させ続け、真空接続が遠位シリンダチャンバ581bに開いているように、最終的に遠位導管572および遠位シリンダチャンバ581bを真空ポート575に開く。
【0193】
機構は、十分な真空が機構に利用可能である限り、ピストンの両側に圧力差を生成することによって、上記で説明されるように自由に往復し続けることができる。真空源が切断されない限り、または切断されるまで、オフにされない限り、またはオフにされるまで、あるいは真空が圧縮バネを圧縮するために必要な力を克服することに不十分である場合まで、あるいは機構が失速または停止させられる場合まで、真空動力供給式モータが往復運動を生成するように、上記のステップは必要に応じて繰り返しされ得る。
【0194】
ある変化例では、状態と状態との間で、または遠位導管572に対する近位位置と遠位位置との間で前後に移動しようとするシャトルまたはシャトル弁によって引き起こされる空気弁の不安定性または動揺は、シャトル弁564の片側を真空源に、シャトル弁564の反対側を周囲空気に暴露させることによって、低減または排除され得る。これは、シャトルまたはシャトル弁を真空の方向に移動させ、遠位導管572を周囲空気導管574にさらに十分に開き、それにより、周囲空気を遠位シリンダチャンバ581bに接続する。
【0195】
ある変化例では、シャトルを適所に保持し、ピストンシャフト565に対する摩擦によって引き起こされる意図しない移動、または弁の不安定性によって引き起こされる弁の動揺を克服するために、わずかな垂直力がシャトル562に付加されてもよい。このわずかな垂直力は、ボールプランジャの形式で付加されてもよい。
【0196】
真空動力供給式機構のある変化例では、外部真空源が遠位シリンダチャンバから遮断された後に、ピストンを遠位に移動し続けさせるために十分な容積が、シリンダの遠位端において、または遠位シリンダチャンバから排気される。遠位シリンダチャンバの中の排気容積は、外部真空源が遠位シリンダチャンバの容積から遮断された後に、遠位に移動し続けるようにピストンを促す働きをし、それにより、1つの状態から別の状態への移行を介して弁を移動させる慣性質量の必要性を排除する。
【0197】
機構の往復運動は、切断デバイスを作動させるために、または別のデバイス、例えば、別の医療デバイスを動作あるいは作動させるために、利用されてもよい。ある変化例では、切断デバイスは、例えば、手動で、または自動的に、デバイスの可撓性または順応性シャフトを操縦することによって配置されてもよい。シャフトは、シャフトの形状を変化させることによって、人体内の敏感な組織または構造の周囲で操縦され、または配置されてもよい。例えば、シャフト上の外側シースまたはカニューレを延長または後退させること、または外側シースに対してシャフトを前進または後退させ、それにより、構造の周囲または限定空間内のシャフトの向上した操縦可能性を可能にすることが行われてもよく、例えば、シャフトの所定の曲率が、標的部位付近にシャフトの遠位端を配置することを可能にする。そのような機構、技法、およびデバイスは、米国特許出願第11/848,565号、第11/848,564号、および第11/848,562号で説明されるものを含み、そのそれぞれは、あらゆる目的で、それらの全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0198】
図5A−5Bに図示されるような機構の変化例の動作をさらに説明すると、
図5Aは、戻りバネ(568)の延長に起因した近位位置にピストンを伴う機構の開始位置を示す。
【0199】
外部真空が真空ポート(575)を介して機構に印加されたときに、シャトル弁(564)は、真空ポート(75)の近位側および遠位導管(572)の近位側にある。結果として、真空は、遠位シリンダチャンバ(581b)と流体連通することができ、それは、遠位シリンダチャンバ(581b)の中の空気の排気をもたらす。その結果として、ピストン(561)の近位側と遠位側との圧力差が、ピストンを遠位に移動させる。
【0200】
ピストン(561)は、遠位に移動するにつれて、戻りバネ(568)を圧縮し、それにより、機械エネルギーを貯蔵する。近位シャトルシール(563)は、遠位シリンダチャンバ(581b)の中への周囲空気の漏出を防止する。シャトル(562)は、ピストン(561)がシャトル(562)に接触し、それを遠位方向に動かすまで、適所に「ドウェル」する。次いで、シャトル弁(564)は、遠位導管(572)に対して真空ポート(575)を閉鎖し、それにより、遠位シリンダチャンバ(581b)への真空を遮断する。
【0201】
シャトル弁(564)が遠位導管572および遠位シリンダチャンバ581bへの真空を遮断した後に、一次ピストン(561)を遠位に並進し続けさせるために、遠位シリンダチャンバ581bの中のチャンバの遠位側に十分な排気容量を有することが必要であり得る。
【0202】
遠位シリンダチャンバ(581)が、遠位導管572(
図5bに示されるように周囲空気導管514に開いている)を介して周囲空気導管574から周囲空気を補給するにつれて、戻りバネ(568)は、ピストンシャフト(565)を近位に動かす。シャトルは、ピストンシャフト(565)上のシャトル復帰表面(566)がシャトル(562)に接触し、シャトル(562)を近位方向に動かすまで、適所に「ドウェル」する。
【0203】
シャトル弁(564)は、遠位導管(572)の遠位側から近位側まで移動し、それにより、遠位シリンダチャンバ581bを排気するために、真空ポート(575)に遠位導管572を開く。
【0204】
シャトル(562)およびピストン561は、それらの近位(開始)位置に戻り、機構は、十分な真空が機構に利用可能である限り、上記で説明されるように自由に往復し続けることができる。
【0205】
本明細書において説明される真空動力供給式機構の変化例のうちのいずれかでは、表面と表面との間にシールを作成するために、Oリングまたは他の密閉構成要素が使用されてもよいが、シールの周囲の漏出が許容できる場合には必要ではない。また、シールの周囲での漏出は、シールと、それが動作する孔との間の間隙を充填するために十分な粘度の潤滑剤を使用することによって低減されてもよい。
【0206】
シャトルは、回転弁として等、中心シャフトと同心状である中心シャフトに平行であることを含む、いくつかの位置で構成されてもよい。
【0207】
本明細書において説明される真空動力供給式機構は、種々の医療デバイスとともに利用されてもよく、またはそれに組み込まれてもよい。例えば、真空動力供給式機構は、そのそれぞれが、あらゆる目的で、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/848,565号、第11/848,564号、および第11/848,562号で図示および説明されるように、手動で、または自動的に操縦または調整され得る順応性シャフト、あるいはカニューレまたは他のシースを通した前進または後退を介して操縦される所定の曲率を有する可撓性シャフトの遠位端上のカッターを往復させるために利用されてもよい。米国特許出願第61/360,429号もまた、あらゆる目的で、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0208】
曲線状の可撓性シャフトを有するデバイスのある変化例では、シースが曲線状部上を前進させられるにつれて、シャフトの曲線状の可撓性部分を真っ直ぐにさせるために、またはシースが後退させられるにつれて、シャフトの曲線状の可撓性部分をその曲線形状に戻らせるために、剛性または半剛性の直線状シースがデバイスに組み立てられるか、または接続されてもよい。
【0209】
他の変化例では、曲線状シースを通して前進させられるにつれてシャフトを方向付けるために、剛性または半剛性の曲線状シースが、曲線状の可撓性部分を伴うシャフトを有するデバイスまたはエンドエフェクタに組み立てられるか、または接続されてもよい。
【0210】
他の変化例では、曲線状シースを通して前進させられるにつれてシャフトを方向付けるために、剛性または半剛性の曲線状シースが、直線状の可撓性部分を伴うシャフトを有するデバイスまたはエンドエフェクタに組み立てられるか、または接続されてもよい。剛性または半剛性の曲線状または直線状シースは、接続デバイスと組み立てられ、接続され、取り付けられ、または別様に利用されてもよい。種々のシースは、デバイスまたはエンドエフェクタから着脱可能であってもよく、あるいはデバイスおよび/またはエンドエフェクタに付加されるか、または取り付けられてもよい。
【0211】
ある変化例では、本明細書において説明される真空動力供給式機構はまた、デバイスまたはエンドエフェクタの往復運動カッターを往復または作動させるためか、あるいは半剛性または剛性の曲線状エンドエフェクタ、あるいは剛性または堅いシャフトを動作させるために利用されてもよい。カッター、エンドエフェクタ、および/またはデバイスは、真空動力供給式機構または他の電動機構によって、あるいは手動で動作させられてもよい。
【0212】
図6は、デバイスの剛性の曲線状エンドエフェクタ4.0または遠位端の一変化例を示す。エンドエフェクタ4.0は、掻爬縁4.1、窓4.6、往復運動カッター4.2、および/または鈍的遠位先端4.5を含んでもよい。エンドエフェクタ4.0はまた、剛性シャフト4.7を含んでもよい。剛性シャフト4.7は、シャフト湾曲部4.3および/またはシャフト直線部4.4を有してもよい。ある変化例では、流体ライン4.8、例えば、生理食塩水ラインが、エンドエフェクタ4.0に取り付けられるか、あるいはエンドエフェクタ4.0に沿って、またはその内側に延在してもよい。ある変化例では、エンドエフェクタ、デバイスの遠位端、および/またはシャフトは、剛性、靭性、実質的に剛性、または半剛性であってもよい。
【0213】
エンドエフェクタ4.0は、デバイス、例えば、切断デバイスまたは医療デバイスの構成要素であってもよい。エンドエフェクタ4.0は、切断デバイスの遠位端に配置され、あるいは切断デバイス、医療デバイス、または他のデバイスへの使用または取付のために設計されてもよい。エンドエフェクタ4.0は、軟組織または硬組織を含む、種々の組織の切断および/または掻爬を必要とする種々の手技に有用であってもよい。
【0214】
掻爬縁4.1は、典型的には、掻爬縁4.1を大幅に屈曲または偏向させることなく、切断力に耐え得る剛性材料、例えば、ステンレス鋼でできている。所望の臨床用途によって保証されるように他の材料が使用されてもよい。ある変化例では、半剛性材料が使用されてもよい。掻爬縁4.1は、椎間板内髄核組織、椎体終板、軟骨、靱帯、骨、ならびに他の軟および硬組織等の種々の軟および硬組織を切断または掻爬するために使用されてもよい。掻爬縁4.1は、窓4.6を通した、および剛性シャフト4.7の管腔を通した排出のために、組織を切り離すため、および/または組織を動かすために使用されてもよい。組織は、フィルタまたは収集容器に排出されてもよい。
【0215】
掻爬縁4.1は、剛性シャフト4.7の長手軸に対して任意の角度を成して、剛性シャフト4.7に付加され、または取り付けられてもよい。例えば、掻爬縁4.1は、剛性シャフト4.7の軸に対して0から180度までまたは0から90度までに及ぶか、またはその間にある角度を成して剛性シャフト4.7に付加されるか、または取り付けられてもよい。
図6に示されるように、ある変化例では、掻爬縁4.1は、剛性シャフト4.7の軸に垂直であるか、または実質的に垂直である位置に剛性シャフト4.7に付加されるか、または別様に取り付けられてもよい。
【0216】
掻爬縁4.1が、
図6に示されるように、剛性シャフト4.7に強固に付加される場合、掻爬縁4.1の切断および掻爬作用は、剛性シャフト4.7またはエンドエフェクタ4.0またはその構成要素の手動の移動を通して、操作者が掻爬縁4.1を手動で移動させることによって達成されてもよい。任意で、掻爬縁4.1の切断および掻爬作用は、自動的に、あるいは剛性シャフト4.7またはエンドエフェクタ4.0またはその構成要素の電動移動または動作によって、達成されてもよい。
【0217】
ある変化例では、掻爬縁4.1は、掻爬縁4.1がカッター(図示せず)と連携して往復することができるように、例えば、剛性シャフト4.7の外部で、往復運動カッター4.2に付加され、または取り付けられてもよい。掻爬縁4.1は、往復運動カッター4.2の長手軸に対して任意の角度を成して、往復運動カッター4.2に付加され、または取り付けられてもよい。例えば、掻爬縁4.1は、往復運動カッター4.2の軸に対して0から180度または0から90度までに及ぶ、またはその間である角度を成して、往復運動カッター4.2に付加され、または取り付けられてもよい。ある変化例では、掻爬縁4.1は、往復運動カッター4.2の軸に垂直である、または実質的に垂直である位置で、往復運動カッター4.2に付加され、または別様に取り付けられてもよい。
【0218】
掻爬縁4.1は、窓4.6より遠位の位置で配置されてもよく、および/または掻爬縁4.1は、主に窓4.6と整合させられ、および/または窓4.6と同じ剛性シャフト4.7の側面上に配置されてもよい。掻爬縁4.1は、窓4.6より遠位または近位に配置されてもよい。任意で、掻爬縁4.1は、剛性シャフト4.7または往復運動カッター4.2の周囲の任意の位置に、露出した掻爬表面を有してもよい。
【0219】
ある変化例では、エンドエフェクタ4.0は、掻爬縁4.1なしで構築されてもよい。実際に、エンドエフェクタ4.0は、所望の臨床用途に応じて、掻爬縁4.1を含んでも含まなくてもよい。ある変化例では、1つ以上の掻爬縁が、エンドエフェクタ上に配置されてもよく、例えば、複数の掻爬縁が、エンドエフェクタ上に配置されてもよい。
【0220】
依然として
図6を参照すると、往復運動カッター4.2が、窓4.6を越えて軸方向に前進および/または後退し、組織または動員組織を摘出して排出するように、往復運動カッター4.2は、エンドエフェクタ4.0上に配置されてもよい。往復運動カッター4.2は、組織を摘出するために、窓4.5に対して、または剛性シャフト4.7の一部に対して、「シザリング」を使用してもよい。
【0221】
窓4.6は、組織を切断および/または排出することができるように、窓4.6の中へ、および往復運動カッター4.2の経路の中への組織の通過を可能にする剛性シャフト4.7の開口部である。窓4.6、あるいは窓4.6の周囲または縁の少なくとも一部分は、組織を「削り」、組織を摘出する切断刃としての機能を果たしてもよい。加えて、窓4.6の縁は、往復運動カッター4.2が窓4.6を通り過ぎるにつれて、往復運動カッター4.2が組織をシザリングで切断し得る、表面を提供してもよい。
【0222】
往復運動カッター4.2は、本明細書において説明される真空動力供給式機構のうちのいずれかを動力源とし、またはそれによって作動させられ得る。代替として、往復運動カッター4.2またはエンドエフェクタは、手または他の電動機構を動力源とする機構を介して作動させられてもよい。ある変化例では、回転カッターが利用されてもよく、本明細書において説明される真空動力供給式機構のうちのいずれか、手、または他の電動機構を動力源としてもよい。
【0223】
剛性シャフト4.7は、エンドエフェクタが取り付けられるデバイスまたは切断デバイスのシャフトの一次構造および/または外側エンベロープとしての機能を果たし得る。剛性シャフト4.7は、曲線状または直線状であってもよく、あるいは剛性シャフト4.7は、曲線状および/または直線状部または部分を含んでもよい。ある変化例では、剛性シャフト4.7は、用途または使用に応じて、操作者またはユーザがシャフト4.7の曲率を調整または改正することを可能にするように順応性であってもよい。例えば、剛性シャフト4.7は、屈曲可能であってもよく、あるいは剛性シャフト4.7は、手または機械によって剛性シャフト4.7の形状または曲線を改変するために焼鈍または軟化されてもよい。剛性シャフトは、切断窓付近でシャフトを屈曲または損傷する可能性を低減するために、その長さの屈曲可能部分にわたって焼鈍され、遠位先端付近において硬質であってもよい。
【0224】
図6に示されるように、シャフト湾曲部4.3が、剛性シャフト4.7の中に提供され得る。剛性シャフトは、1つ以上のシャフト湾曲部を含んでもよい。シャフト湾曲部4.3は、操作者が、ユーザの視線の外側の生体構造の領域中に、エンドエフェクタ4.0、またはエンドエフェクタ4.0の遠位端、または切断デバイスあるいは他のデバイスの遠位端を配置することを可能にする。例えば、シャフト湾曲部4.3は、エンドエフェクタ4.0が、椎間板内の空間内に配置されることを可能にしてもよい。剛性シャフト4.7またはシャフト湾曲部4.3の曲率半径は、製造中に決定されてもよく、または操作者によって調整可能であってもよい。
【0225】
剛性シャフト4.7はまた、シャフト湾曲部4.3の近位に位置し得るシャフト直線部4.4を含んでもよい。剛性シャフトは、1つ以上のシャフト直線部を含んでもよい。
【0226】
鈍的な遠位先端4.5が、エンドエフェクタ4.0上に提供されてもよい。鈍的遠位先端4.5は、意図した標的ではない組織を通して、またはその中に、デバイスのエンドエフェクタ4.0または遠位端が偶発的に前進させられる可能性を有意に低減し、最小化し、または排除してもよい。例えば、鈍的遠位先端4.5は、デバイスのエンドエフェクタ4.0が椎間板内の髄核を切断するため、あるいは椎体終板物質を掻爬および/または排出するために使用されているときに、エンドエフェクタ4.0またはデバイスの遠位端が輪を通して前進させられる可能性を低減し、またはリスクを最小化してもよい。鈍的遠位先端4.5は、掻爬縁4.1の遠位表面の全体または一部分を覆ってもよい。掻爬縁4.1の遠位表面全体または実質的に表面全体が、鈍的な遠位先端4.5で覆われる変化例では、掻爬縁4.1は、近位方向または横方向に移動させられたときのみ切断および/または掻爬してもよく、遠位方向に移動させられたときには切断および/または掻爬しなくてもよい。掻爬縁4.1の遠位表面全体または遠位表面の実質的に全体が、鈍的遠位先端4.5で覆われる変化例では、掻爬縁4.1は、遠位方向に切断および/または掻爬してもよく、あるいは限定的に遠位方向に切断および/または掻爬してもよい。
【0227】
ある変化例では、流体ライン4.8は、
図6に示されるように、剛性シャフト4.7の外部または外側表面に付加され、または取り付けられてもよい。任意で、流体ライン4.8は、剛性シャフト4.7内の別個の管腔によって、または流体が主要シャフト管腔を通って流れることを可能にすることによって、剛性シャフト4.7の内側に含有されてもよい。流体ライン4.8は、流体、例えば、生理食塩水、水、空気等が、デバイス外部または内部の流体源から、エンドエフェクタの遠位端、あるいはデバイスまたは切断デバイスの遠位端へ流れることを可能にする。
【0228】
掻爬縁4.1は、剛性シャフト4.7を有するエンドエフェクタ4.0上に提供され、または位置してもよく、剛性シャフト4.7および掻爬縁4.1は、エンドエフェクタ、シャフト、または掻爬縁の偏向または屈曲を最小化または防止しながら、椎間板の中の組織または生体構造の別の領域中の組織の掻爬または切断を達成するように、横または軸力が、剛性シャフト、掻爬縁、エンドエフェクタ、および/またはエンドエフェクタに取り付けられたデバイスに印加されることを可能にする。剛性シャフトおよび/または掻爬縁を有する剛性エンドエフェクタは、標的組織の効果的な掻爬および/または切断を許可または提供してもよい。任意で、掻爬縁は、可撓性、半剛性、または低剛性シャフトの遠位端、あるいはエンドエフェクタ上に配置されてもよく、横力が、掻爬を達成するように掻爬縁およびシャフトに印加されてもよい。上記の変化例のうちのいずれかでは、掻爬デバイスおよび/またはエンドエフェクタの軸方向の前進および後退が、椎間板組織等の組織の掻爬または崩壊をもたらしてもよい。任意で、1つ以上の掻爬縁は、曲線状シャフトが使用されるときに、運動の方向とほぼ垂直に掻爬縁を配置するように、切断窓に隣接して配置されてもよい。
【0229】
ある変化例では、被検体の中の組織を掻爬するための装置が提供される。装置は、エンドエフェクタを含む。エンドエフェクタが、組織を掻爬または回収するよう、掻爬縁とほぼ垂直な前後運動で作動させられ、および/または組織を掻爬または回収するよう、掻爬ウィングとほぼ垂直な前後運動で作動させられてもよいように、エンドエフェクタは、エンドエフェクタの遠位端上に配置される掻爬縁と、掻爬縁に対してある角度を成して配置される、1つ以上の掻爬ウィング、縁、または突起部とを含む。掻爬ウィングは、切除を向上させるように、切断窓開口部で組織を収集する働きをしてもよい。
【0230】
ある変化例では、エンドエフェクタは、掻爬縁および掻爬ウィングが異なる方向に掻爬運動を提供することができるように、エンドエフェクタの遠位端上に配置される掻爬縁と、掻爬縁に対してある角度を成して配置される1つ以上の掻爬ウィングとを含んでもよい。
【0231】
図7は、切断または掻爬デバイスのエンドエフェクタ704または遠位端の別の変化例を示す。エンドエフェクタ704は、掻爬縁701、窓706、往復運動カッター702、および/または鈍的遠位先端705を含んでもよい。往復運動カッターは、エンドエフェクタ内に配置されてもよい。エンドエフェクタ704は、剛性または可撓性シャフト707を含んでもよい。エンドエフェクタは、例えば、窓706の隣等であるが、必ずしもそうではない掻爬縁701に対してある角度を成して配置される1つ以上のウィング708を含んでもよい。ウィング708は、組織を掻爬、回収、および/または切断するために使用されてもよい。
【0232】
ウィング708は、掻爬縁701に対してある角度を成してエンドエフェクタ上に配置されてもよい。例えば、ウィング708は、掻爬縁701に対して、0から90度までに及ぶ角度で、例えば、約90度で配置されてもよい。ウィング708は、使用中に、掻爬縁701とウィング708とが異なる方向に稼働し、または組織を掻爬し得るように、掻爬縁701に対してある角度を成して配置される。エンドエフェクタ704は、身体の種々の領域中の種々の組織を切断または掻爬するために使用されてもよい。例えば、エンドエフェクタは、脊椎または脊椎円板の中の組織を切断、掻爬、および/または回収するため、例えば、椎間板切除を行うために利用されてもよい。
【0233】
本明細書において説明される変化例では、エンドエフェクタ、シャフト、デバイス、および/またはエンドエフェクタ、シャフト、あるいはデバイスの種々の構成要素の寸法は、本質的に例示的にすぎず、限定的となることを目的としない。また、ある変化例では、エンドエフェクタまたはデバイスの種々の構成要素のうちの1つ以上、あるいはエンドエフェクタまたはデバイスのうちの1つ以上が、提供または利用されてもよいことも検討される。
【0234】
ある変化例では、シャフトまたはエンドエフェクタを誘導するための本明細書において説明される種々のシースが、曲線状または直線状の可撓性または剛性シャフトを有する、デバイスまたはエンドエフェクタとともに使用されてもよい。
【0235】
本明細書において説明される切断デバイスまたは掻爬器は、椎間板切除または他の脊髄手術を行うために利用されてもよい。加えて、本明細書において説明されるデバイスは、患者または被検体の体内の種々の領域から、組織または軟組織を切除、摘出、および/または除去するために利用され、またはそのための方法を提供してもよい。例えば、本明細書において説明されるデバイスは、鼻孔組織、例えば、鼻ポリープ、眼組織、種々の婦人科手技における組織、腫瘍、例えば、肺、肝臓、および他の重要臓器の中の癌性腫瘍、および患者または被検体の中の他の領域からの組織または細胞を含むが、それらに限定されない、種々の組織または細胞を摘出および/または除去あるいは排除するために利用されてもよい。
【0236】
(
図6に示されるような)往復運動または「固定」掻爬器縁4.1、往復運動カッター4.2、および/または剛性シャフト4.7を伴うエンドエフェクタ、あるいは
図7のエンドエフェクタが、種々の組織を摘出および/または排除するために有用であってもよい。そのような組織は、椎間板内髄核等の軟組織から、終板軟骨および靱帯等の丈夫な組織、骨等の硬組織に及ぶ、堅さの全範囲内の組織を含む。例えば、エンドエフェクタは、椎体固定術のために椎間板内空間を準備するために使用されてもよく、例えば、椎間板内髄核および終板軟骨を除去し、下層の骨を掻爬して、骨の出血を引き起こし、椎体とインプラントとの間の治癒および融合を推進することが望ましくてもよい。
【0237】
ある変化例では、剛性シャフト、往復運動カッター4.2を有する、および/または掻爬縁を伴う、あるいは伴わないエンドエフェクタは、狭窄孔を通過する発生神経の圧力を減らすことが望ましい、椎間孔拡大術等の手技で組織を摘出および/または排除するために利用可能であってもよい。掻爬縁(4.1)を伴う、または伴わない曲線状の剛性シャフトを有する、エンドエフェクタは、往復運動カッター4.2および/または掻爬縁4.1が組織を摘出してもよいように、孔の中へ到達し、孔の内面に窓(4.6)を暴露することが可能であってもよい。エンドエフェクタは、「切開」および経皮的外科的手技の両方で利用されてもよい。
【0238】
任意で、可撓性シャフトを有するエンドエフェクタまたはデバイスが、上記で説明される組織摘出、掻爬、または排出手技で使用されてもよい。
【0239】
ある変化例では、デバイスは、事前形成されたか、または所定の曲率を有する可撓性シャフトの遠位端に配置されるカッターを含んでもよく、または方法は、それを利用してもよい。シャフトは、シャフトの遠位端が(相互に対してカニューレおよび/またはシャフトを前進または後退させることによって)カニューレから標的部位に向かって前進し得るカニューレまたはシースの中への挿入のために適合されてもよく、シャフトは、例えば、カニューレまたはシースから退出すると、その所定の曲率に戻るか、または戻り始めることによって、その所定の曲率が、標的部位付近にシャフトの遠位端を配置することを可能にするように構成されてもよい。
【0240】
本明細書において説明されるデバイスは、真空源を動力源とする機構を含む。デバイスは、真空源が存在する用途に使用されてもよい。例えば、真空源は、医療処置が行われるときに、頻繁に利用可能である。多くの医療デバイスは、それらの機能を果たすために往復運動機構を利用する。本明細書において説明されるデバイスは、排出または吸引が必要である手技で有用であってもよく、デバイスは、真空動力供給式往復運動機構と組み合わせて、排出または吸引特徴を含んでもよい。
【0241】
ある変化例では、カッターに接続される往復運動機構に動力供給するために外部または内部真空源を使用し、それにより、カッターを往復させるデバイスは、真空源をカッター排出管および真空動力供給式機構の両方に接続するハンドル内の「Y」字形接続を含んでもよい。結果として、真空は、いくつかの機能をデバイス内で果たし、その機能とは、例えば、カッターを往復させる機構に動力供給する機能、組織が摘出され得るように切断窓の中に組織を引き込む機能、および/または往復運動中に真空源が機構に対して遮断されたときでさえも一貫した真空圧を維持しながらデバイス外部の場所へ摘出された組織を排出する機能等である。
【0242】
ある変化例では、切断デバイスは、空気圧論理を実装し、あるいは方法は、切断または他の往復運動デバイスを動作させるために空気圧論理を利用し、それにより、真空機構弁シーケンスが機構から真空源を遮断して、真空源を周囲圧力に放出することなく、ピストンがその適所に戻ることを可能にする。結果として、真空圧は、デバイスの切断および排出システムの中で一貫した状態のままである。
【0243】
ある変化例では、方法は、シャフト上の外側シースを延長または後退させ、それにより、構造の周囲または限定空間内のシャフトの向上した操縦可能性を可能にすることによって、シャフトの形状を変化させることにより、敏感な組織または構造の周囲で可撓性シャフトを操縦するステップを含む。そのようなシャフトおよびシースは、本明細書において説明されるデバイスまたは真空動力供給式デバイスのうちのいずれかに組み込まれてもよい。
【0244】
ある変化例では、曲線状シャフトの曲率半径を変化させるために使用される、可撓性の曲線状シャフトを覆って配置される半剛性または剛性外側シースが提供されてもよい。シャフトの曲率半径は、直線状の剛性シースがシャフトの曲線状部分の上に延長させられたときに増加する一方で、シャフトの曲率半径は、シースがシャフトの曲線状部分から後退させられたときにその湾曲前の形状に戻る。
【0245】
ある変化例では、手術部位における出血を制御するために、医師が組織を焼灼することを可能にする電気抵抗、あるいは双極または単極電気焼灼器システムが、シャフトの遠位先端上に含まれる。電気焼灼器システムは、シャフト内の内部管腔を通ってシャフトの長さに及ぶワイヤを動力源としてもよい。
【0246】
ある変化例では、本明細書において説明される真空動力供給式機構の変化例のうちのいずれかを利用する切断デバイスは、可撓性または剛性シャフト上に配置されるカッターの自動作動をもたらし、それにより、真空動力供給式カッターを提供する。カッターを作動させるための真空機構は、制御が他の機能または機構を動作させる以外の機能に利用されることを可能にしてもよく、それにより、デバイス上のレバーまたは制御ボタンの数を削減する。例えば、デバイス上に配置される他の制御が、シャフトを真っ直ぐにするか、または湾曲させるため、あるいは焼灼用の双極システムを動作させるか、または制御するために利用されてもよい。
【0247】
一変化例では、デバイスは、トリガを有するハンドルを含んでもよい。トリガの作動は、トリガが押されるか、または放されるか否かに応じて、ハンドルから延在する可撓性シャフトの上に配置されたカニューレまたはシースを延長または後退させてもよい。カニューレの延長または後退は、可撓性シャフトを真っ直ぐにさせるか、または湾曲させてもよい。デバイスは、真空流または周囲流を調整し、またはオン/オフにし、それにより、切断速度を調節するためのローラボール、ノブ、または他の制御機構を含んでもよい。例えば、ノブまたはローラボールが、デバイスのハンドルを握る手またはユーザの空いている手の親指または他の指によって操作されてもよいように、そのようなノブまたはローラボールは、切断デバイス上に配置されてもよい。したがって、切断デバイスは、片手で使用することができ、ユーザまたは医師の他方の手を他の使用のために解放する。摘出された組織を排出するとともに、機構に動力供給する単一の真空ラインが、デバイスに付着してもよい。例えば、デバイスのハンドル内の「Y」字形接続は、真空源をカッター排出管および真空動力供給式機構の両方に接続し得、デバイスは、機構の動作中に摘出された組織を排出するために、切断窓に一貫した真空圧または力を維持する。
【0248】
本明細書において説明される変化例による機構は、外部真空源を動力源とする機構を使用することによって、自動的にカッターを作動させてもよい。外部真空源は、吸引を提供して組織切断および排出を促進するために、デバイスに接続されてもよく、したがって、電気、圧縮空気、または操作者による機械的入力等の付加的な動力源を必要とすることなく、カッターに動力供給するための外部真空源の使用が完了する。
【0249】
真空動力がカッターを作動させるように使用されるため、ボタンまたはトリガ機構等を介して往復運動機構を自動的に作動させるように操作者に要求するシステムと比較して、操作者の疲労が低減され得る。また、カッター作動に動力供給するための真空の使用は、カッターが作動する速度を有意に増加させてもよく、それにより、組織切除を完了するために必要とされる時間を短縮する。
【0250】
カッターを作動させるための真空動力の使用は、作動速度に対する制御が、トリガまたはボタン等の「一次」位置から、デバイスハンドル上の「二次」位置まで移動させられることを可能にし得る。結果として、一次制御は、カッター機構が作動する速度を制御するために、またはシャフトの曲率半径用の制御として、または電気焼灼器システム用の制御として利用され得る。
【0251】
真空機構が往復する速度を制御するために、ノブ、トリガ、ローラクランプ、または他の制御インターフェースが使用されてもよい。これらのオプションは、デバイスが、種々の外科的特殊性または個人的選好に合うように種々の構成で設計されることを可能にする。
【0252】
本明細書において説明されるシステムによって利用される種々の空気圧ロジックシーケンスは、任意で、決して真空源を大気に放出しないことによって、エンジンサイクルの全体を通して高い真空を維持してもよい。結果として、機構またはモータが往復している間に、切断および排出を促進する真空圧が減少し得ない。
【0253】
組織切断、排出の機能を果たし、往復運動カッターを作動させる機構に動力供給する、真空源からデバイスまでの単一の管が利用されてもよい。真空源からの単一の管は、デバイス動作に必要とされる接続を簡略化し、デバイスに取り付けられる管の数を削減し、それにより、デバイスへの複数の管およびワイヤ接続によって引き起こされる「混雑」および扱い難さを低減する。
【0254】
ある変化例では、別個の真空源が機構に動力供給し、組織を摘出および/または排除するために切断デバイスまたはエンドエフェクタの遠位端に吸引を提供するために、第2の真空源が提供されてもよい。ある変化例では、吸引をデバイスに供給するため、および/またはデバイスに動力供給するための1つ以上の真空源および/または真空源をデバイスに接続する1つ以上の管あるいは導管が、利用または提供されてもよい。
【0255】
ほぼ直線から、180度の弧の曲線までの範囲内で、シャフト上の曲率半径を変化させるために、カニューレが可撓性シャフト上で使用されてもよい。これは、患者の生体構造に基づいて、操作者がシャフトの曲率を最適化することを可能にする。操作者はまた、シャフトの本来の曲率半径を増加または減少させるためにカニューレを延長または後退させることによって、シャフトと摘出されている標的組織との間の力を増加または減少させることもできる。
【0256】
任意で、操作者が組織を焼灼することを可能にして、組織が摘出された手術部位における出血を制御するために、電気抵抗、あるいは双極または単極焼灼器が、本明細書において説明されるデバイスの遠位先端上で使用されてもよい。この特徴は、手術部位からデバイスを除去して、それを電気焼灼器デバイスと交換する必要性を未然に防ぐ。これは、患者の失血を低減しながら、速度および操作者にとっての使い易さを向上させる。
【0257】
明細書において説明されるデバイスは、低コストの構成要素および組立技術を使用して製造されてもよく、結果として、デバイスのコストは、電気モータを利用する同様のデバイスよりもはるかに低い。
【0258】
本明細書において説明されるデバイスは、比較的低い質量を有してもよく、例えば、電子ビーム放射、ガンマ線、またはエチレンオキサイドガス等の一般的に使用されている滅菌技法を使用して容易に滅菌され得る。
【0259】
真空動力供給式デバイスおよび方法の他の変化例が以下に提供される。例えば、医療デバイスは、機構によって出力される往復運動を介して1つ以上の機能を果たすために、外部真空源を動力源とする機構を利用してもよい。デバイスは、組織を摘出および排除し得る。デバイスは、外部真空源への単一の取付けを有してもよく、真空は、動力を機構に提供し、組織を摘出することを支援する。デバイスは、外部真空源への単一の取付けを有してもよく、真空は、動力を機構に提供し、組織を排除することを支援する。デバイスは、弁を越えて移行して状態を変化させるために質量の慣性を利用しない機構を利用してもよい。デバイスは、そのサイクル中においていつでも、外部真空源を周囲空気に放出してはならず、それにより、デバイス内で真空の降下を引き起こす。デバイスは、遠位部分上に事前形成された湾曲、およびシャフトの外径の周囲に直線状の剛性または半剛性カニューレを有する可撓性シャフトを含んでもよく、シャフトの曲率半径は、遠位湾曲上においてカニューレを摺動することによって変化させられ得、それにより、カニューレが遠位湾曲上にいて延長させられたときに、曲率半径が増加させられ、カニューレが遠位湾曲から後退させられたときに、遠位湾曲がその事前形成された湾曲に戻る。デバイスは、遠位先端上または付近に、単極電極または双極電極を含んでもよい。デバイスは、真空動力供給式機構に動力供給し、摘出された組織を排出する、外部真空源への単一の接続を有してもよい。外部真空源への単一の接続はまた、該組織を摘出する目的で、切断窓の中に組織を引き込んで組織を提示するために真空を使用してもよい。
【0260】
医療デバイスは、外部真空源を動力源とする機構を含んでもよく、該機構は、ピストンの両側に圧力差を生成することによって動き出すピストンから成り、ピストンの片側は周囲空気を有し、ピストンの反対側の空気は少なくとも部分的に排気される。機構は、ピストンの隣の容積を周囲空気または真空に交互に開く弁構成要素を含んでもよい。弁構成要素は、ピストンの並進の結果として作動させられ得、ピストンは、弁に作用して、それに周囲空気または外部真空源への流体接続を開かせるか、または閉じさせる。
【0261】
弁が完全に移行して真空源を異なる容積まで開くように、機構が排気容積の中を移動し続けるように、弁を越えて真空によって動力供給される往復運動機構を移行させ、外部真空源への弁を閉じる前に、空気の十分な容量が排気されている状態を変化させるための方法が、また提供されてもよい。
【0262】
方法は、次のロジックシーケンスを含み得る:すなわち、真空がシリンダの遠位側に開いていること、周囲が遠位に対して閉じられていること、周囲がシリンダの近位側に開いていること、真空が近位に対して閉じられていること、シリンダの遠位側の内側の真空およびピストンの近位側の周囲圧力により、ピストンが遠位位置に向かって前進すること、ピストンがシャトルに接触し、それを遠位位置に向かって前進させること、シャトル上の真空シールが真空ポートの近位側から真空ポートの遠位側まで移動する一方で、シャトル上の遠位シールが周囲空気を開いてシリンダの遠位側を周囲圧力に放出すること、シャトル上の近位シールがシリンダの近位側に対する周囲空気孔を閉じること、ピストンより近位のシリンダの内側の真空およびピストンの遠位側の周囲空気により、ピストンが方向を逆転させて近位方向に移動すること、ピストンがシャトルに接触し、近位位置に向かって前進すること、シャトル上の真空シールが、真空ポートの遠位側から真空ポートの近位側まで移動する一方で、シャトル上の近位シールが周囲空気を開いてシリンダの近位端を周囲圧力に放出すること、シャトル上の遠位シールがシリンダの遠位側に対する周囲空気孔を閉じることである。前記のステップは、真空源が切断され、オフにされない限り、または真空がピストンを移動させるために必要とされる力を克服することに不十分である場合に繰り返し得る。
【0263】
任意で、方法は、次のロジックシーケンスを含み得る:すなわち、真空がシリンダの遠位側に開いていること、周囲が遠位に対して閉じられること、周囲がシリンダの近位側に開いていること、ピストンがシリンダの遠位側の内側の真空およびピストンの近位側の周囲圧力により遠位位置に向かって前進すること、ピストンがシャトルに接触し、それを遠位位置に向かって前進させること、シャトル上の真空シールがピストンの遠位側への真空を遮断し、遠位に移動し続け、それにより、ピストンの遠位側へ周囲空気供給を開くこと、ピストンの両側の空気圧の均等化により、戻りバネが近位方向にピストンを動かすこと、ピストンシャフトがシャトルに接触し、それを近位方向に動かすこと、シャトル上のシャトルシールがピストンの遠位側への周囲空気供給を遮断し、ピストンの遠位側へ真空を開くことである。前記のステップは、真空源が切断され、オフにされない限り、または真空がピストンを移動させるために必要とされる力を克服することに不十分である場合に繰り返し得る。
【0264】
別の変化例では、医療デバイスは、組織を摘出および排出するために使用されるような往復運動切断刃を含み、この医療デバイスは、真空源が存在する医療処置に使用されてもよい、外部真空源を動力源とする往復運動機構を使用する。
【0265】
本明細書において説明される真空動力供給式機構の上記の配設、材料、および寸法は、例示的であり、限定的となることを目的としない。
【0266】
本明細書において説明および図示される個々の変化例のうちのそれぞれは、他の変化例のうちのいずれかの特徴から容易に分離され、またはそれらと組み合わせられ得る離散構成要素および特徴を有する。特定の状況、材料、組成物、過程、過程の行為、またはステップを本発明の目的、精神、または範囲に適合させるように修正が行われてもよい。
【0267】
本明細書に記載される方法は、論理的に可能である記載された事象の任意の順序、ならびに事象の記載された順序で実行されてもよい。さらに、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の全ての介在値、およびその規定範囲内の任意の他の規定値または介在値は、本発明内に包含される。また、本明細書において説明される本発明の変化例の任意の任意的な特徴は、独立して、または本明細書において説明される特徴のうちのいずれか1つ以上と組み合わせて記載または請求され得る。
【0268】
本明細書で記述される全ての既存の主題(例えば、出版物、特許、特許出願、およびハードウェア)は、主題が本発明の主題と対立し得る場合を除いて(その場合、本明細書に存在するものが優先するものとする)、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。参照された項目は、本願の出願日より以前のそれらの開示のためだけに提供される。本発明が、先行発明により、そのような資料に先行する資格があるという承認として本明細書では何も解釈されるものではない。
【0269】
単数形の項目への言及は、複数の同じ項目が存在するという可能性を含む。より具体的には、本明細書および添付の請求項で使用されるように、「1つ」、「前記」、および「該」という単数形は、文脈が特に明確に決定付けない限り、複数の指示対象を含む。さらに、請求項は、いずれの任意的な要素も除外するように起草されてもよいことが留意される。そのようなものとして、この記述は、請求項の要素の記載との関連で、「単に」、「のみ」、および同等物等の排他的用語の使用、または「消極的」限定の使用の根拠としての機能を果たすことを目的としている。別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0270】
本開示は、記載される特定の形態の範囲に限定されることを目的としないが、本明細書において説明される変化例の代替案、修正、および同等物を対象とすることを目的としている。さらに、本開示の範囲は、本開示を考慮して当業者に明白であり得る他の変化例を完全に包含する。本発明の範囲は、添付の請求項のみによって限定される。