(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778272
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】対称に位置する側部キャビティーを含む紙巻きタバコパック
(51)【国際特許分類】
B65D 85/10 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
B65D85/10
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-519116(P2013-519116)
(86)(22)【出願日】2011年7月28日
(65)【公表番号】特表2013-534495(P2013-534495A)
(43)【公表日】2013年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2011062965
(87)【国際公開番号】WO2012028395
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2013年1月15日
(31)【優先権主張番号】102010035938.6
(32)【優先日】2010年8月31日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591059700
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ(ジャーマニー)ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】アギルバス、エルディンク
【審査官】
八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−500110(JP,A)
【文献】
特開2009−040505(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第00456438(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D85/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方領域(1)と、後方領域(2)と、2つの対向する側部領域(3、4)とを含む紙巻きタバコパケットなどの喫煙品パケットであって、中空のスペース(5)が前記領域によって境界が定められたパケットの内部スペースの少なくとも1つの側部領域(3、4)に形成され、側部領域(3、4)と喫煙品収容スペース(6)の間を延びており、中空のスペースの境界を定める領域(31、32、33、41、42、43)の少なくとも1つがパケットの側部領域(3、4)の外側に位置するブランク(34、44)の上縁部を越えて延びており、中空のスペース(5)の容積を中空のスペース(5)の境界を定める側部領域(3、4)を枢動させることによって変えることができることを特徴とするパケット。
【請求項2】
中空のスペース(5)が実質的に側部領域(3、4)の全長および/または幅に亘って延びていることを特徴とする請求項1記載のパケット。
【請求項3】
中空のスペース(5)が実質的に矩形の断面を呈することを特徴とする請求項1又は2記載のパケット。
【請求項4】
中空のスペース(5)が両側部領域(3、4)に形成され、それぞれの側部領域(3、4)と喫煙品収容スペース(6)の間を延びていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のパケット。
【請求項5】
中空のスペース(5)が互いに対称になるように形成され、対称な領域を呈することを特徴とする請求項4記載のパケット。
【請求項6】
中空のスペース(5)が単独のピースのパケットのブランクの一部である領域(31、32、33、41、42、43)によって境界が定められていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載のパケット。
【請求項7】
領域(31、32、33、41、42、43)が折り曲げられていないブランクの長手方向軸の方向に見てパケットの後方領域(2)に隣接して配置されていることを特徴とする請求項6記載のパケット。
【請求項8】
パケットの蓋(8)を閉じた位置に保持する突起(7)が領域(31、32、33、41、42、43)の間の折り曲げ縁部で中空のスペースの境界を定める領域(31、32、33、41、42、43)の少なくとも1つに形成されることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載のパケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙品、特に紙巻きタバコ用のパケットに関し、このパケットには、中空のスペースがパケットの内部スペースの少なくとも1つの側部領域に形成され、この側部領域と喫煙品収容スペースの間を延びている。
【背景技術】
【0002】
喫煙品、特に紙巻きタバコを包装する場合、そのために使用される包装機械は、紙巻きタバコが詰められるパケット特定のフォーマットに合わせて設定される。各パケットに梱包される紙巻きタバコの数または紙巻きのタバコフォーマット例えば、個々の紙巻きタバコの直径を変更した場合、パケットのフォーマットをその変更された要件に合わせなければならない。そのようにしないと紙巻きタバコは、パケット内で固定した状態で包装されなくなり、パケット内で比較的ゆるい状態で配置されてしまう。これによって紙巻きタバコの質が、特にパケットが急激にゆさぶられたりすると損なわれてしまう。
【0003】
しかしながら、少ない数の紙巻きタバコまたは別のフォーマットの紙巻きタバコを固定した状態で包む紙巻きタバコパケットを製造する場合、その外部寸法も当然のことながら変わる。この場合、包装機械全体を新しいフォーマットに切り替えなければならず、これは時間も掛かり、費用もかさむことになる。本発明を以下に紙巻きタバコパケットに関連して説明するが、本発明を他の喫煙品用のパケットにも同じように適用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、標準的な数から外れる複数の紙巻きタバコおよび/または標準的なフォーマットから外れる紙巻きタバコを新しいパケットフォーマットに包装機械全体を切り替えることなく包装することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の主題によって解決され、それ以下の請求項は本発明の好ましい実施態様を定義している。
【0006】
本発明によるパケットは、前方領域と、後方領域と、2つの対向する側部領域とを含み、中空のスペースがこれらの領域によって境界が定められたパケットの内部スペース の少なくとも1つの側部領域に形成され、側部領域と喫煙品収容スペースの間で延びている。
【0007】
以下に使用する「側部」、「前方」、「後方」、「上部」および「底部」なる用語は、通常の紙巻きタバコパケットのものと同様であると理解されたい。パケットが起立して配置されている場合、蓋はパケットの上部に配され、パケットの後方にヒンジ式に接続されている。これに対応して、前方側は後方側の反対に位置する側であり、多くの場合にユーザーの方に向き、側部側は、パケットの前方および後方側の間で垂直方向に延びていることになる。
【0008】
言い換えれば、中空のスペースが少なくとも1つの側部領域の少なくとも一部の領域に形成されているので、喫煙品収容スペースは、前方領域、後方領域および2つの対向する領域によって境界が定められたパケットの内部スペース全体を占めることはなく、また側部領域の全域に亘って側部領域まで延びていない。
【0009】
このような中空のスペースは、「開口した」中空のスペース、即ちすべての側の領域によって閉じられていないスペースであり、特に1つの「欠落した」領域により少なくとも1つの位置で収容スペースから隔てられていないスペースである。しかしながら、好ましくは中空のスペースはすべての側の領域によって喫煙品収容スペースから離隔されない。
【0010】
パケットの内部スペースに少なくとも1つの中空のスペースを設けることによって収容スペースの容積を小さくし、少ない数の紙巻きタバコおよび/または別のフォーマットの紙巻きタバコを外部寸法が変えられていないパケットで固定した状態で梱包することができる。このようにして包装機械全体を新しいフォーマットに切り替える必要がなくなり、紙巻きタバコをアルミニウムまたは紙フィルムによって紙巻きタバコをブロック状に収める部材のみが必要になる。
【0011】
中空のスペースは、不変の領域によって境界を定めることができ、従って固定した容量を呈する。本発明の1つの好ましい実施態様は、しかしながら、中空のスペースの境界を定める紙巻きタバコパケットの少なくとも1つの領域は、紙巻きタバコパケット内で固定されず、その位置および/または配向の点で変えることができるという重要な利点を供する。特に中空のスペースを収容スペースから分離する領域は、枢動可能に構成することができ、従って、中空のスペースの容積は、所定の制限内で変えることができる。このことは、このように構成された紙巻きタバコパケットが異なる数の紙巻きタバコおよび/または異なるフォーマットの紙巻きタバコを特定の範囲内で紙巻きタバコパケットおよび/または中空のスペースのブランクを変える必要がなく収容することができることを意味する。というのは単純に中空のスペースが紙巻きタバコのブロックの異なるフォーマットに適合し、それでも紙巻きタバコのブロックがパケットによってすべての側から固定した状態で囲まれているからである。その位置および配向の点で可変であった領域を接着剤で固定することも可能である。このようにして同じパケットのブランクを使用して、固定された領域によって境界が定められた大きさの異なる収容スペースを有するパケットを製造する。
【0012】
本発明の別の好ましい実施態様では中空のスペースは、側部領域の全長に亘って延びている。従来の紙巻きタバコパケットは、紙巻きタバコを収容するパケット胴体および反転可能でパケット胴体の頂部に配された蓋を含むので、「側部領域」という表現は、パケット胴体の側部領域を意味し、即ち「側部領域の全長に亘る」は、中空のスペースがパケット胴体の側部領域の高さ全体に亘って延びることを意味し、従来の紙巻きタバコパケットにおいてパケット胴体の底部から蓋が位置するパケット胴体の上縁部までを意味する。これにより完全な小さい内部ポケットが形成され、紙巻きタバコのブロックは、すべての側からそして高さ全体に亘って固定した状態で包まれる。中空のスペースおよび/または中空のスペースの境界を定める領域パケット胴体を越えて、例えば蓋の中に延びることも想定される。
【0013】
別の好ましい実施態様では、中空のスペースが実質的に側部領域全幅に亘って延びている。中空のスペースが同時に側部領域全体に亘って延びる場合、収容スペースはあらゆる場所においてパケットの対応する側部領域まで到達せず、パケットの対応する側部領域のパケットの前方および後方領域の間でパケットの深さに亘って2つの壁が存在すると言える。
【0014】
1つの特定の状況において、中空のスペースは矩形の断面を有するが、紙巻きタバコパケットの側部領域に形成し得るあらゆる利用可能な形状を中空のスペースに想定可能である。特に三角形および四辺形断面がこの点について挙げられ、中空のスペースの断面は5つ以上の角を有してもよい。湾曲した領域を中空のスペースを制限するために使用してもよい。
【0015】
本発明の1つの好ましい実施態様では、中空のスペースは両方の側部領域に形成され、対応する側部領域と収容スペースの間を延びる。両側部領域の中空のスペースは、互いに対称であってもよい。パケットの断面において対称または軸方向に対称な領域が、特にこの点に関し好ましい。
【0016】
特に好ましい実施態様では中空のスペースは、単一のパケットブランクの一部である領域によって境界が定められる。言い換えれば、中空のスペースはパケット胴体自体の一部であるパケットブランクの領域によって形成される。このようなパケット胴体は、通常、平坦な材料で作成され、特に厚紙を折り曲げ、所定の位置でのり付けしてパケットが形成される。
【0017】
このパケットブランクにおいて中空のスペースの境界を定める領域は、パケットの後方領域の横に隣接して配置されている。このことはブランク長手方向軸の方向に見てパケットの後方領域に隣接しておよび/またはこれと同じレベルにその領域が配置されていることを意味すると理解されたい。両側部の側部領域に対称に形成された中空のスペースを有するパケットを提供するブランクの長手方向軸は、折り曲げられ、のり付けされ完成したパケットの垂直軸の対応し、パケットブランクの対称軸になる。しかしながら、1つの中空のスペースおよび/または複数のスペースの境界を定める領域は、折り曲げられ、糊付けされて完成したパケットの内部スペース内の側部領域に配置される限り、あらゆる箇所に位置してもよい。
【0018】
本発明の別の好ましい実施態様では中空のスペースの境界を定める少なくとも1つ、好ましくはすべての領域は、パケットの側部領域の外側となるブランクの領域の上縁部を越えて延びている。つまり少なくとも中空のスペースの境界を定める少なくとも1つ、好ましくはすべての領域は、パケットの側部領域の外部領域を形成するブランクの領域より長い。パケットの蓋の側部領域の下方縁部は、外方側部領域の上縁部の上に位置するので、中空のスペースの境界を定める長い領域は、パケットの側部領域の上縁部を越えてパケットの蓋の方向にパケットの胴体から出るように延びている印象を与える。このようにこれらの領域は、さらに開閉時にパケットの蓋を案内するためおよび蓋を閉じた位置に保持する従来の紙巻きタバコパケットのパケットフレームに対応した機能を有する。
【0019】
このことに関し1つの好ましい実施態様では中空のスペースの境界を定める少なくとも1つの領域に突起を形成することが可能であり、この突起は対応する領域から僅かに突出し、従って、蓋が閉じた時に蓋の対応する内部領域に位置し、摩擦によって蓋を閉じた位置に保持する。好ましくはこの突起は、従来のパケットフレームで既に知られているように2つの領域の間の折り曲げ縁部に形成される。
【0020】
本発明好ましい実施態様を
図1から5を基に以下により詳しく説明する。本発明は、ここで開示するあらゆる特徴を個別におよび有利な組み合わせで含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2a】折り曲げ工程中の本発明によるパケットの状態を連続的に示す。
【
図2b】折り曲げ工程中の本発明によるパケットの状態を連続的に示す。
【
図2c】折り曲げ工程中の本発明によるパケットの状態を連続的に示す。
【
図3】第1の実施態様による完成したパケットを示す。
【
図5】第2の実施態様による完成したパケットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明第1の実施態様のブランクを示す。フリップ式蓋のついたパック用のこの一枚のピースからなるブランクは、パケット前部1とパケット後部2とを含み、蓋8がパケット後部2につなぎ目で接合されている。パケットの側部領域3、4は、完成したパケットにおいて互いに重なる領域31および34並びに領域41および44によってそれぞれ形成され、領域31および41は、後方領域2にその両側で隣接し、ブランクの長手方向に見て同じ高さに位置する。同じ高さで領域32および33並びに領域42および43がその後それぞれ領域31および41に隣接し、領域31および41と後方領域2の一部の領域と共にパケットの中空のスペース5の境界を定める。ここでは詳しく示していないフラップも、領域33の左そして領域43の右に形成され、完成したパケットの後方領域2の内側に糊付けされ、これにより安定した中空のスペース5が形成される。また突起7が領域31および32並びに領域41および42それぞれの折り曲げ縁部に形成され、閉じた位置において蓋8をパケット胴体上に保持する役割を果たす。
【0023】
前記ブランクは対称形であり、その後形成されるパケットも対称形になり、領域3および4の両方に中空のスペース5を含む。
【0024】
さらに詳しく見ると、領域31、32、33、41、42および43は、ブランクの長手方向において完成したパケットの側部領域3および4の外側に位置する領域34および44より長くなっていることが判る。領域31、32、33、41、42および43並びに領域34および44は、パケットの底部から離れるように延びているので、前者の領域は後者の後ろで突出し、蓋8の方向にさらに延びている。このようにしてこれらの領域は、突起7が形成されていることによって、パケットフレームの機能を満たす。
【0025】
図2aから2cは、折り曲げの際のパケットの異なる状態を連続的に示している。最初に領域31、32および33並びに領域41、42および43が、それぞれ互いに対して直角に折り曲げられ、領域33および43に隣接する上述のフラップが、後方領域2の内側に糊付けされる。これに応じて中空のスペース5が
図2bにおいて形成され、その後これに隣接する
図2cに示す収容スペース6が領域33および43それぞれによって形成される。収容スペース6は、パケットの全長および全幅に亘って中空のスペース5によって境界が定められ、これにより本発明によるパケットは、従来の紙巻きタバコパケットの収容スペースより小さい長方形の収容スペース6を含む。その後の
図2cの工程では、パケットの前方領域1がまだ開いた状態で収容スペース6上に位置し、領域33および43と共にパケットの底部および蓋8が収容スペース6の境界を定める6番目の側部を形成する。領域34および44の内側は、領域31および41の外側に位置し、これらに糊付けされる。突起7は、完成したパケットの蓋の側部領域の内側に当接する両側部領域31および41の間の距離を越えて突出し、僅かに蓋8に引っかかり、ある程度の力で蓋を開閉することができる。これにより蓋8が意図せずに開くことを防ぐことができる。
【0026】
図3は完全に折り曲げられ、糊付けされたパケットを示し、これはその両側に対称に位置し、矩形の断面を有する中空のスペース5を含み、境界を定める領域31、32および33並びに境界を定める領域41、42および43はそれぞれ蓋の方向に領域34および44を越えて突出し、ある種のパケットフレームを形成する。
【0027】
図4は本発明の別の実施態様のブランクを示し、これは1つの側部領域に中空のスペースを1つだけ含む非対称の紙巻きタバコパケットブランクである。このブランクは右側の中空のスペースの境界を定める領域41から43を含んでいないことのほかは、第1の実施態様との違いはない。
【0028】
図5から判るように右側の中空のスペース5が設けられていないので、蓋8の右側部領域のための右側の案内領域および蓋8を閉じた状態に保持する突起を供するパケットフレーム(図示せず)が必要になる。
【0029】
ここで注目すべきことは後方領域2の内側に糊付けされる中空のスペースを形成する領域のフラップを特定の範囲内で後方領域2に異なる位置で糊付けされ、これにより僅かに不等辺四辺形形状になった中空のスペース5が形成され、異なる数の紙巻きタバコおよび/または異なるフォーマット紙巻きタバコを同じブランクから作成された紙巻きタバコパケットに収容できるということである。中空のスペース5の境界を定める領域は、フラップを後方領域2にのり付けするのではなく、例えばフラップを中空のスペース5の方向に折りたたんで、それらが領域31および41と「当接」縁部によって当接するようにして固定することも可能である。