特許第5778285号(P5778285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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5778285低表面積カーボンブラックを有するゴム組成物
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  • 5778285-低表面積カーボンブラックを有するゴム組成物 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778285
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】低表面積カーボンブラックを有するゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20150827BHJP
   B60C 17/00 20060101ALI20150827BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20150827BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20150827BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   C08L9/00
   B60C17/00 B
   B60C1/00 Z
   C08K3/04
   C08K3/06
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-531567(P2013-531567)
(86)(22)【出願日】2011年4月7日
(65)【公表番号】特表2013-543531(P2013-543531A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】US2011031504
(87)【国際公開番号】WO2012044368
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2013年3月29日
(31)【優先権主張番号】61/388,576
(32)【優先日】2010年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512068547
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100170944
【弁理士】
【氏名又は名称】岩澤 朋之
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン ブライアン アール
【審査官】 新留 豊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−114937(JP,A)
【文献】 特表平09−512581(JP,A)
【文献】 特開2011−052035(JP,A)
【文献】 特開平11−071477(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0036993(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101942125(CN,A)
【文献】 特開2004−249873(JP,A)
【文献】 米国特許第03586087(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
B60C 1/00− 19/12
CA/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁支持部材を含むランフラットタイヤであって、前記側壁支持部材が架橋性ゴム組成物を基礎にした材料でできており、前記架橋性ゴム組成物が、ゴムの100重量部当たり(phr)
10phrおよび90phrの間のポリイソプレンゴムと、
10phrおよび90phrの間のポリブタジエンゴムと、
5m2/gおよび15m2/gの間の窒素表面積および30cm3/100gおよび55cm3/100gの間のDBP吸収率を有する60phrおよび100phrの間の熱カーボンブラックと、
イオウ硬化系と、
を含む、前記ランフラットタイヤ。
【請求項2】
前記ゴム組成物が65phrおよび85phrの間の前記カーボンブラックを含む請求項1記載のランフラットタイヤ。
【請求項3】
前記ポリイソプレンゴムが、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴムまたはそれらの組合せから選択される請求項1記載のランフラットタイヤ。
【請求項4】
前記ゴム組成物が、20phrおよび40phrの間の天然ゴム、および60phrおよび80phrの間のポリブタジエンゴムを含む請求項1記載のランフラットタイヤ。
【請求項5】
前記ゴム組成物が、70phrおよび90phrの間の天然ゴム、および10phrおよび30phrの間のポリブタジエンゴムを含む請求項1記載のランフラットタイヤ。
【請求項6】
前記熱カーボンブラックの窒素表面積が7m2/gおよび12m2/gの間にある請求項1記載のランフラットタイヤ。
【請求項7】
前記熱カーボンブラックのDBP吸収率が35cm3/100gおよび50cm3/100gの間にある請求項1記載のランフラットタイヤ。
【請求項8】
前記熱カーボンブラックの平均粒子直径が180nmおよび450nmの間にある請求項1記載のランフラットタイヤ。
【請求項9】
前記熱カーボンブラックの平均粒子直径が250nmおよび350nmの間にある請求項1記載のランフラットタイヤ。
【請求項10】
複数のビード領域コンポーネントを含む空気タイヤであって、前記複数のビード領域コンポーネントのうちの1つ以上がビード先端またはトウガードから選択され、前記1つ以上の選択されたビード領域コンポーネントが架橋性ゴム組成物を基礎にした材料からできており、前記架橋性組成物が、ゴムの100重量部当たり(phr)
10phrおよび90phrの間のポリイソプレンゴムと、
10phrおよび90phrの間のポリブタジエンゴムと、
5m2/gおよび15m2/gの間の窒素表面積および30cm3/100gおよび55cm3/100gの間のDBP吸収率を有する60phrおよび100phrの間の熱カーボンブラックと、
イオウ硬化系と、
を含む、前記空気タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、空気タイヤに、さらに具体的には、タイヤの構築のために有用な材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ2〜30年の間に開発されてきたタイヤ技術の一領域は、低膨張または非膨張条件で操作可能である空気タイヤの概念である。産業界においてしばしば「ランフラット」タイヤとして言及されるこのような型の空気タイヤでは、一般的に、予定最小数の距離のための操作の間、予定最大操作速度までの速度で、低膨張または非膨張タイヤが乗り物を支持することが望ましい。安全性および便利性におけるこのようなタイヤの利点は、十分に実証されている。
【0003】
パンクなどのためにタイヤ圧が下がった場合でさえ、荷重に耐えるその能力を失うことなく一定距離に亘って安全に走行し得るランフラットタイヤの一型は、側面補強材を包含する。この型の側面補強材は、タイヤの側壁に埋め込まれ、しばしば、相対的に高い弾性係数を有するゴム組成物で作られており、典型的には、三日月形支持部材である。膨張圧が下がった場合にタイヤの側面部分の過度の可撓性変形を伴わずに側壁部分が荷重に耐え得るよう、側面補強材はタイヤの側面部分の剛性を増強する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ランフラットタイヤにおけるこれらの側面補強材の製造のための改良された材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特定の実施形態は、架橋性ゴム組成物を基礎にした材料でできている側壁支持部材を有するランフラットタイヤを包含する。前記架橋性ゴム組成物は、ゴムの100重量部当たり(phr)、10phr〜90phrのポリイソプレンゴムおよび10phr〜90phrのポリブタジエンゴムを包含する。ゴム組成物はさらに、5m2/g〜15m2/gの窒素表面積および30cm3/100g〜55cm3/100gのDBP吸収率を有する60phr〜100phrの熱カーボンブラックを含む。ゴム組成物は、イオウ硬化系で硬化される。
【0006】
他の実施形態は、複数のビード領域コンポーネント、例えばビード先端(bead apex)および/またはトウガードを有する空気タイヤであって、1つ以上の選択ビード領域コンポーネントが上記のような材料からできている空気タイヤを包含し得る。
【0007】
本発明の前記のならびにその他の目的、特徴および利点は、添付の図面(同様の参照番号は、本発明の同様の部分を表す)で例証されるように、本発明の特定実施形態についての以下のより詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】側壁支持構造を有するランフラット空気タイヤの半分の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の実施形態は、空気タイヤの特殊タイヤコンポーネント、ならびにこれらの特殊コンポーネントに加工されるゴム組成物を包含する。空気タイヤは、タイヤの予期される性能を提供するために組み合わされる多数の特殊コンポーネントを包含する。これらのコンポーネントのいくつか、例えば接地面および側壁は、一般大衆に既知である。他のコンポーネント、例えばランフラットタイヤのビード、ビード先端および内張りまたは側壁支持構造は、一般大衆にあまりよく知られてはいないが、しかしタイヤ設計および/または製造の当業者には周知である。
【0010】
図1は、側壁支持構造を有するランフラット空気タイヤの半分の横断面図である。図1に示したタイヤは例に過ぎず、本発明を、示された構造を有するタイヤに限定するものではない、ということに留意すべきである。空気ランフラットタイヤ10は、頂上区分11、ビード区分12、側壁区分13を包含する。頂上区分11は、道路と接触して静止摩擦を生じる接地面14、および接地面補強パッケージ15を包含する。接地面補強パッケージ15は、典型的には、スチールベルトからなる。側壁区分13は、タイヤを、ならびにビード芯材17間に伸びるカーカスプライ16を保護する。カーカスプライ16はビード芯材17周囲に現われて、ビード先端22を形成する。この例示的ランフラットタイヤ10では、側壁区分13は、三日月形支持構造18、ならびに保護複合体19を包含する。内張り20は、タイヤの内表面を形成し、タイヤ10を通る膨張気体の拡散を制限するためのバリアを提供する。ビード区分12は、一般的に、ビード芯材17ならびにトウガード21およびビード先端22を包含する。
【0011】
以下の開示において明らかになる理由のために、本発明の特定の実施形態は、より厚みのある空気タイヤのビードおよび側壁中のコンポーネント、例えば、空気タイヤのビード区分中に一般的に見出される先端およびトウガード、支持構造、例えばランフラット空気タイヤの側壁区分中に見出される、図1に示した三日月形支持構造18を包含する。
【0012】
本明細書中で用いる場合、「phr」は、‘百分率ゴム’であり、当該技術分野で共通の測定値であって、この場合、組成物の構成成分は、100重量部のエラストマー(単数または複数)またはゴム(単数または複数)を基礎にして、主エラストマー構成成分に比して測定される。
【0013】
本明細書中で用いる場合、「〜を基礎にして」は、本発明の実施形態が、それらの集合時に、硬化されなかった加硫化または硬化ゴム組成物から作られることを確認する用語である。したがって、硬化ゴム組成物は、非硬化ゴム組成物を「基礎にしている」。言い換えれば、架橋ゴム組成物は、架橋性ゴム組成物を基礎にしている。
【0014】
本発明の一実施形態は、ランフラットタイヤの側壁支持構造であって、架橋性ゴム組成物を基礎にした材料でできており、前記架橋性ゴム組成物が、ゴムの100重量部当たり(phr)、5m2/g〜15m2/gの窒素表面積および30cm3/100g〜55cm3/100gのDBP吸収率を有する60phr〜100phrの熱カーボンブラックを含む側壁支持構造を包含する。指示荷重で記載された熱カーボンブラックを有し、イオウ硬化系で硬化されるゴム組成物は、良好なヒステリシス特性、良好な熱伝導特性および良好な粘着特性を有する強固な組成物を提供する、ということが判明している。良好な粘着特性および良好な熱伝導性は、本発明の特定の実施形態における熱ブラックの使用からの意外な結果である。
【0015】
熱カーボンブラックは、それらが、典型的には空気タイヤを構築するためにゴム組成物中に用いられるファーネスカーボンブラックから製造されるという点で、異なっている。ファーネスブラックは、しばしば、厳重に保持される温度および圧力条件下で生産炉中に供給される重質芳香族供給原料から製造される。供給原料は、蒸気相で熱分解されて、ファーネスカーボンブラック生成物を形成する。
【0016】
代替的には、熱ブラックは、しばしば、高温に加熱されたそして空気を欠いている耐熱直列型反応器中に供給される天然ガスから作られる。耐熱性物質からの熱は、天然ガスをカーボンブラックと水素ガスに分解させる。熱ブラックは天然ガスから生成されるため、それらは、典型的には、重質芳香族供給原料から製造されるファーネスブラックより「純粋な」カーボンであると特性化される。
【0017】
熱ブラックは、より純粋なカーボン構造を有するほかに、非常に低レベルの集合または構造を有する非常に大きい粒子サイズを有して製造されたものとしてさらに特性化され得る。ASTM D 1765、カーボンブラックに関するASTM標準分類系(ASTM Standard Classification System for Carbon Blacks)によれば、より大きな窒素表面積を有するより小さいN群で、通常硬化速度ブラックに関して、N100シリーズブラックからN900シリーズブラックまでの範囲である系に従って、カーボンブラックは分類される。熱ブラックは、しばしば、N800シリーズのブラックおよびN900シリーズのブラック中に存在する。したがって、例えばN990およびN991ブラックは中等度の熱ブラックであるが、一方、N800およびN880は高純度熱ブラックである。
【0018】
熱ブラックは典型的には天然ガスから製造され、ファーネスブラックの芳香族重質供給材料からではないため、熱ブラックの表面活性は低い。表面活性は、カーボンブラックの化学反応性、ならびにそれが混合されるゴム組成物とのその表面相互作用を説明するものである。重質供給原料から製造されるカーボンブラックより大きい表面積およびより多数の反応性表面基を有し、それによりゴム組成物のための高レベルの補強を提供する。したがって熱ブラックは、補強性ファーネスブラックの反応性表面基ならびに高表面積を欠くため、しばしば不活性または非補強ブラックと呼ばれる。
【0019】
上記のように、熱ブラックの使用からの別の意外な結果は、結果的に生じるゴム組成物の熱伝導度増大であった。典型的には、熱伝導度増大は、構造増大を有するカーボンブラックの結果である。例えばこの領域における研究に関する報告である、Donnet, Jean-Baptiste (ed.)(1993), Carbon Black, Science and Technology, Marcel Dekker, Inc., p. 157は、カーボンブラック構造増大に伴う多少高い熱伝導度の一パターンが示され、中等度の熱ブラックが最も低く、N472は最も高い、ということを報告している。
【0020】
開示ゴム組成物の意外にも高い熱伝導度の利益は、タイヤの硬化時間が低減され得るということである。ランフラットタイヤの側壁支持体および空気タイヤのビード先端を含めてタイヤのより厚い部分は、タイヤが鋳型中でどれだけ長く硬化されなければならないかを決定する。タイヤが硬化される時間が長いほど、その後、特定の鋳型で製造されるタイヤは少なく、そして鋳型が長時間、硬化温度/圧力で保持されると、エネルギー消費は増大される。したがって、タイヤの硬化時間を低減することは、一利点である。
【0021】
本発明の一実施形態は、中等度熱ブラック、高純度熱ブラックまたはその組合せである熱カーボンブラックを包含する。ゴム組成物の所望の物理学的特性、例えばヒステリシス、熱伝導度および粘着性が保持されることを確証するために、特定実施形態は、1つ以上の熱ブラック(単独で、または組合せて)以外の付加的充填剤を有さないことに限定され得る。
【0022】
一実施形態は、ASTM D 6556に従って測定した場合に、5m2/g〜15m2/gの、代替的には7m2/g〜12m2/g、5m2/g〜20m2/g、または8m2/g〜11m2/gの窒素表面積を有するような熱カーボンブラックを包含する。熱ブラックはさらに、ASTM D 2414に従って測定した場合に、30m3/100g〜155m3/100gの、代替的には35m3/100g〜50m3/100gのDBP吸収率を有すると特性化され得る。
【0023】
一実施形態はさらに、ASTM D 3849、分散手法D(CAB)に従って測定した場合に、200nm〜400nmの、代替的には225nm〜350nm、250nm〜300nmまたは180nm〜450nmの平均粒子直径を有する熱カーボンブラックを包含する。
【0024】
本発明の一実施形態は、50phr〜150phrの、代替的には60phr〜125phr、65phr〜85phrまたは60phr〜100phrの負荷で、上記のような熱カーボンブラックを包含し得る。
【0025】
ゴム組成物の一実施形態は、上記のような熱カーボンブラック以外の付加的充填剤を含まない。代替的には、ゴム組成物の一実施形態は、硬化ゴム組成物の所望の物理学的特性を達成することを所望される場合、付加的充填剤を包含し得る。しかしながら、このような付加的充填剤は、総充填剤の10重量%以下でゴム組成物中に含まれ得る。代替的には、付加的充填剤は、8重量%以下、5重量%以下または3重量%以下であり得る。代替的には、付加的充填剤は、0.5重量%〜10重量%、0.5重量%〜8重量%、0.5重量%〜5重量%または0.5重量%〜3重量%の範囲であり得る。
【0026】
このような付加的充填剤としては、例えばファーネスカーボンブラックまたはシリカが挙げられ得る。一実施形態では、シリカは高分散性沈降シリカであるが、しかし本発明はそのように限定されない。有用なカーボンブラックの非限定例としては、N550、N650、N660、N683、N762、N772およびN990が挙げられる。有用なシリカの非限定例としては、Perkasil KS 430(Akzo)、シリカ BV3380(Degussa)、シリカ Zeosil 1165MPおよび1115MP(Rhodia)、シリカ Hi−Sil 2000(PPG)およびシリカZeopol 8741または8745(Huber)が挙げられる。
【0027】
特定の実施形態は、少なくとも1つの高不飽和ジエンゴムを有するゴム組成物を包含する。さらに説明するために、概して、ジエンエラストマーまたはゴムは、ジエンモノマー(共役されてもそうでなくても、2つの二重炭素−炭素結合を保有するモノマー)に少なくとも一部(すなわちホモポリマーまたはコポリマー)が起因するエラストマーである。本質的不飽和ジエンエラストマーは、15モル%より大きいジエン起源(共役化ジエン)の要素または単位の含量を有する共役化ジエンモノマーに少なくとも一部が起因するジエンエラストマーを意味する、と理解される。
【0028】
したがって、例えばジエンエラストマー、例えばブチルゴム、ニトリルゴム、あるいはエチレン−プロピレンジエンターポリマー(EPDM)型またはエチレン−ビニルアセテートコポリマー型のジエンのおよびアルファ−オレフィンのコポリマーは、本質的不飽和ジエンエラストマーの前記定義の範疇でなく、特に、「本質的飽和」ジエンエラストマー(ジエン起源の単位の低または極低含量、すなわち15mol%未満)と記載され得る。本発明の一実施形態は、具体的には、任意の本質的飽和ジエンエラストマーの含入を除外する。
【0029】
本質的不飽和ジエンエラストマーの範疇内にあるのは、高不飽和ジエンエラストマーであって、これは、50mol%より大きいジエン起源(共役化ジエン)の単位の含量を有するジエンエラストマーを特に意味する。高不飽和エラストマーの例としては、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物が挙げられる。ポリイソプレンとしては、例えば合成シス−1,4ポリイソプレンが挙げられるが、これは、90mol%より大きい、代替的には98mol%より上のシス−1,4結合を保有するとして特性化され得る。本発明の一実施形態は、具体的には、高不飽和ジエンエラストマーのみを包含する。
【0030】
高不飽和ジエンの他の例としては、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)、ブタジエン−イソプレンコポリマー(BIR)、イソプレン−スチレンコポリマー(SIR)およびイソプレン−ブタジエン−スチレンコポリマー(SBIR)ならびにその混合物が挙げられる。
【0031】
一実施形態では、ジエンエラストマーのいずれかは官能基化されていることがある、ということに留意すべきである。これらのエラストマーは、エラストマーを終止する前またはその代わりに、それらを適切な官能基化剤と反応させることにより官能基化され得る。例示的官能基化剤としては、金属ハロゲン化物、非金属ハロゲン化物、アルコキシシラン、イミン含有化合物、エステル、エステル−カルボキシレート金属錯体、アルキルエステルカルボキシレート金属錯体、アルデヒドまたはケトン、アミド、イソシアネート、イソチオシアネート、イミンおよびエポキシドが挙げられるが、これらに限定されない。これらの種類の官能基化エラストマーは、当業者に既知である。ゴム組成物の特定実施形態は、すべてが官能基化された1つ以上の二次ジエンエラストマーを含み得るが、他の実施形態は、非官能基化二次ジエンエラストマーのうちの1つ以上と混合されるこれらの官能基化エラストマーのうちの1つ以上を含み得る。
【0032】
一実施形態では、ゴム組成物は、10phr〜90phrのポリイソプレンゴムを含む。ポリイソプレンゴムは、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴムまたは両方の組合せであり得る。代替的には、ゴム組成物は、50phr〜90phr、20phr〜40phr、10phr〜50phrまたは70phr〜90phrのポリイソプレンゴムを含み得る。
【0033】
一実施形態では、ゴム組成物は、10phr〜90phrのポリブタジエンゴムを含む。代替的には、ゴム組成物は、10phr〜50phr、60phr〜80phr、50phr〜90phrまたは10phr〜30phrのポリブタジエンゴムを含み得る。一実施形態では、ゴム組成物中に存在するエラストマーは、ポリイソプレン(天然ゴムまたは上記のような合成ゴム)、ポリブタジエンまたはその組合せのみに限定される。
【0034】
本明細書中に開示されるゴム組成物は、典型的にはイオウおよび促進剤を含むイオウ硬化系を用いて硬化され得る。適切な遊離イオウとしては、例えば微粉イオウ、ゴムメーカーのイオウ、市販のイオウおよび不溶性イオウが挙げられる。ゴム組成物中に含まれる遊離イオウの量は、所望の物理学的特性、例えば弾性係数を提供するために十分であり、0.5〜5phr、代替的には1phr〜4phrまたは2phr〜4.5phrの範囲であり得る。
【0035】
イオウの存在下で硬化促進剤として作用し得る任意の化合物、特に、2−2’−ジチオビス(ベンゾチアゾール)(MTBS)、ジフェニルグアニジン(DPG)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)、N−tert‐ブチル−2−ベンゾ−チアゾール−スルフェンアミド(TBBS)、N−tert‐ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェン−イミド(TBSI)およびこれらの化合物の混合物からなる群から選択されるものが、用いられ得る。
【0036】
当該技術分野で既知であるように、他の添加物が本明細書中に開示されるゴム組成物に付加され得る。このような添加物としては、例えば、分解防止剤、酸化防止剤、反転防止剤(antireversion)、脂肪酸、顔料、蝋、ステアリン酸、酸化亜鉛およびその他の促進剤のうちのいくつかまたは全部が挙げられる。分解防止剤、酸化防止剤および反転防止剤(antireversion)の例としては、6PPD、77PD、IPPD、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンおよびTMQが挙げられ、0.5phrおよび5phrからの量でゴム組成物に付加され得る。酸化亜鉛は、1phr〜6phr、1phr〜5phr、1phr〜4phrまたは1phr〜3phrの量で付加され得る。粘着付与樹脂(例えばオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂)も、ゴム組成物中に含まれ得る。
【0037】
ゴム組成物の一実施形態は、付加的な可塑性油または樹脂を包含しない。しかしながらゴム組成物の一実施形態は、当該産業で既知の可塑性油または樹脂;例えば、MES、TDAEおよびナフサ油またはポリリモネン樹脂、テルペン樹脂またはC5〜C9樹脂のうちの1つ以上を含み得る。このような可塑性構成成分は、混合中に加工助剤として付加されて、ゴム組成物を生成するか、および/または硬化ゴム組成物の所望の物理学的特性を達成する手助けをするために付加される。
【0038】
一実施形態では、1つ以上の可塑性油または樹脂は、0.5phr〜30phr、代替的には0.5phr〜20phr、0.5phr〜10phr、0.5phr〜6phrまたは0.5phr〜4phrの総量で付加され得る。
【0039】
本発明の一実施形態は、上記のように、より厚い構築物を有するとして特性化され得るタイヤのコンポーネントも包含する。一実施形態は、高曲げ応力に付されるタイヤコンポーネントも包含する。このようなコンポーネントは、典型的には、空気タイヤ(ランフラットタイヤを含む)のビード領域、特にビード先端およびトウガード、ならびに空気ランフラットタイヤの側壁支持構造物を包含し得る。
【0040】
ランフラットタイヤは、乗り物に支持を提供しながら、非膨張状態で有意の距離に亘って操作しなければならないため、側壁支持構造を構成する材料の剛性、ヒステリシスおよび粘着特性は重要である。当業者に既知であるように、ランフラットタイヤは、通常膨張圧の損失後に適切な距離を操作するよう設計される。剛性は、タイヤ上の車または荷重に必要な支持を提供することが所望されるし、低ヒステリシスは、ランフラット操作中のタイヤにおける発熱を最小限にするために所望される。側壁支持体は高曲げ応力に付されるため、側壁支持体は良好な粘着性も有さなければならない。開示ゴム組成物から形成される側壁支持体は、剛性、ヒステリシスおよび粘着特性の意外に良好な組合せを提供する。
【0041】
開示ゴム組成物は、当該産業で周知である技法を用いて混合され得る。ゴム組成物は、構成成分を均一に分散させるのに十分な剪断条件下で、BANBURYミキサーのような適切な混合装置で、加工処理され得る。2段階工程において、エラストマーは、先ずパルプ状にされて、その温度を増大し、次いで、カーボンブラックおよび任意の他の構成成分(硬化パッケージ以外)が付加される。ゴム組成物は、140℃〜180℃の温度が達成されるまで、混合され続ける。次いで、混合物は下げられ、冷却される。
【0042】
第二ステップでは、混合物は粉砕器で加工処理されて、硬化パッケージをゴム組成物に混合する。
【0043】
その結果生じるゴム組成物は、種々の造形製品、例えばランフラットタイヤの側壁支持構造物または空気タイヤのビード領域中のコンポーネントに押出成形され、圧縮成形され、吹込み成形され、または注入成形され得る。
【0044】
以下の実施例により本発明をさらに例証するが、実施例は、例証に過ぎず、如何なる点でも本発明を限定するものではない。実施例に開示される組成物の特性は、下記のように評価された。
【0045】
ムーニー可塑度 ML(1+4):ASTM標準D1646−04に従って、ムーニー可塑度を測定した。概して、非硬化状態の組成物は、円筒形の囲いの中で成形され、100℃に加熱される。1分間予熱後、ローターが2rpmで試験試料内で回転し、この動きを保持するために用いられるトルクが、4分間回転後に測定される。ムーニー可塑度は、「ムーニー単位」(MU、1MU=0.83ニュートンメートル)で表される。
【0046】
ダンベル状試験片に関してASTM標準D412に基づいて、23℃の温度で、10%(MA10)および100%(MA100)で、伸び弾性率(MPa)を測定した。二次伸長で、すなわち、対応サイクル後に、測定を実施した。これらの測定値は、試験片の元の横断面を基礎にしたMPaのセカント係数である。
【0047】
以下の方程式に従って、第六インパクトで60℃でのリバウンドによりパーセントで、ヒステリシス損失(HL)を測定した:
HL(%)=100(W0−W1)/W1
(式中、W0は供給されたエネルギーであり、W1は回収されたエネルギーである)。
【0048】
伸長特性を破断時伸長(%)として測定し、対応する伸び応力(MPa)を、ASTMC試験片に関してASTM標準D412に従って、23℃の温度で測定した。
実施例1
【0049】
この実施例は、熱カーボンブラックで強化されている本明細書中に開示されるような例示的ゴム組成物を実証する。表1に示した構成成分を用いて、ゴム組成物を調製した。ゴム組成物F1〜F6を構成する各構成成分の量を、ゴムの百重量部当たりの部(phr)で、表1に示す。試験プラークを、処方物の各々から切り出して、150℃で60分間硬化した。
【0050】
証拠処方物W1は、ファーネスカーボンブラックN683を含む。他の処方物F1〜F6は、熱カーボンブラックのみを含む。これらの処方物中に利用したN990カーボンブラックは、THERMAX中等度カーボンブラックN990としてカナダのCancarb Limitedから入手した。このカーボンブラックは、7〜12m2/gの窒素表面積、40+/−5cm3/100gのDBP吸収率および250nmの平均粒子直径を有した。
【表1】
【0051】
硬化試験プラークを上記のように試験して、それらの物理学的特性を測定した。測定された物理学的特性を、表1に示す。熱カーボンブラックを含有する処方物の熱伝導度は、意外にも、ファーネスブラックを含有する処方物を上回って増大した。ファーネスブラックを含有する証拠処方物を上回る熱ブラックを含有する処方物の破断時の伸長増大で示されるような組成物の粘着性の改良も、さらに注目され得る。
【0052】
「〜を含む」、「〜を包含する」および「〜を有する」という用語は、特許請求の範囲および本明細書中で用いる場合、明記されない他の要素を含み得るオープングループを示しているとみなされる。「本質的に〜からなる」という用語は、特許請求の範囲および本明細書中で用いる場合、他の要素が特許請求の範囲される本発明の基本的なおよび新規の特質を物質的に変更しない限り、明記されない他の要素を包含し得る部分的オープングループを示しているとみなされる。「1つの(a)」、「1つの(an)」および単数形の単語は、同一単語の複数形を包含すると解釈され、したがって、当該用語は、1つ以上のものが提供されることを意味する。「少なくとも1つの」および「1つ以上の」という用語は、互換的に用いられる。「1つ」または「単数」という用語は、何かのうちの1つおよび1つだけが意図される、ということを示すために用いられる。同様に、他の具体的整数値、例えば「2」は、特定数のものが意図される場合に用いられる。「好ましくは」、「好ましい」、「選択する」、「任意に」、「〜かもしれない」および同様の用語は、言及されている項目、条件または段階が本発明の任意の(必要とされるわけではない)特徴である、ということを示すために用いられる。「aおよびbの間」であると記載される範囲は、「a」および「b」に関する値を含む。
【0053】
前記の説明から、その真の精神を逸脱しない限り、本発明の実施形態に対して種々の修正および変更がなされ得る、と理解されるべきである。前記の説明は例示の目的のために提供されただけであり、本発明を限定するものではない。以下の特許請求の範囲の言語のみが、本発明の範囲を限定するものである。
図1