特許第5778292号(P5778292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5778292レールを取付けるレールクランプおよびこの形式のレールクランプが設けられたシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778292
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】レールを取付けるレールクランプおよびこの形式のレールクランプが設けられたシステム
(51)【国際特許分類】
   E01B 9/48 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   E01B9/48
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-537059(P2013-537059)
(86)(22)【出願日】2011年10月17日
(65)【公表番号】特表2013-541655(P2013-541655A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】EP2011068134
(87)【国際公開番号】WO2012059318
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年7月8日
(31)【優先権主張番号】102010050200.6
(32)【優先日】2010年11月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508219173
【氏名又は名称】フォスロー−ベルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ クリーグ
【審査官】 富山 博喜
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−523274(JP,A)
【文献】 特開平02−054001(JP,A)
【文献】 特表2009−523931(JP,A)
【文献】 特表2010−539358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール(S)を取付けるレールクランプ(1)であって、中央部(3)と、該中央部(3)から横方向に分岐している少なくとも1つの捩り部(9、10)と、該捩り部(9、10)に隣接する少なくとも1つの移行部(1112)と、少なくとも1つの保持アーム(13、14)とを有し、該保持アーム(13、14)は移行部(1112)に連結され、保持アーム(13、14)の自由端には端部(19、20)が形成されており、レールクランプが、使用中に、端部(19、20)により、取付けるべきレール(S)の足(F)上に支持される構成のレールクランプ(1)において、保持アーム(13、14)は、この端部(19、20)の自由端まで延びている少なくとも湾曲部において連続的に湾曲しており、この湾曲は、レールクランプ(1)の平面図で見て、端部(19、20)が、中央部(3)の方向およびそれぞれの保持アーム(13、14)に関連する捩り部(9、10)の長手方向軸線の方向を向くようになされていることを特徴とするレールクランプ。
【請求項2】
前記保持アーム(13、14)およびその端部(19、20)の湾曲部は、3空間方向に湾曲していることを特徴とする請求項1記載のレールクランプ。
【請求項3】
前記保持アーム(13、14)および捩り部(9、10)は、平面図で見て80°〜110°の角度(α)を有していることを特徴とする請求項1または2記載のレールクランプ。
【請求項4】
前記保持アーム(13、14)と捩り部(9、10)とのなす角度(α)は、平面図で見て85°〜95°であることを特徴とする請求項3記載のレールクランプ。
【請求項5】
前記保持アーム(13、14)の湾曲部(15、16)は、捩り部(9、10)が80°〜100°の角度で通る平面内で延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のレールクランプ。
【請求項6】
前記中央部(3)と捩り部(9、10)とは、平面図で見て、80°〜110°の角度を形成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のレールクランプ。
【請求項7】
連続的に湾曲した線を形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のレールクランプ。
【請求項8】
前記端部(19、20)の自由端と中央部(3)との間の間隔(a)は、中央部(3)、捩り部(9、10)、移行部(11、12)、保持アーム(13、14)および端部(19、20)の最小太さ(D)より小さいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のレールクランプ。
【請求項9】
前記中央部(3)はループの形態をなしており、中央部(3)からは相互に反対方向に整合して配置された2つの捩り部(9、10)が分岐しており、捩り部(9、10)には、それぞれの移行部(11、12)を介して、それぞれの端部(19、20)を備えたそれぞれの保持アーム(13、14)が連結されており、これらは鏡像対称的に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のレールクランプ。
【請求項10】
足(F)と、この上に配置されたステムと、ヘッドとを備えたレール(S)を取付けるシステムであって、ガイドプレートと、該ガイドプレート上に保持されるレールクランプと、レールを支持するベースに対してレールクランプを締め付ける引っ張り手段とを有するシステムにおいて、レールクランプが請求項1〜9のいずれか1項の記載にしたがって構成されており、捩り部(9、10)と、これに関連する端部(19、20)との間の最短距離(w)が、捩り部(9、10)と、ガイドプレート(23)の接触面(21、22)に関連するレールの足(F)の縁部との間の最短距離(v)より小さいことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記捩り部(9、10)の長さ(Lt)は、組立て位置において、それぞれの保持アーム(13、14)の少なくとも一部がガイドプレート(23)の上方で案内されるように計算されていることを特徴とする請求項10記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールを取付けるレールクランプであって、中央部と、該中央部から横方向に分岐している少なくとも1つの捩り部と、該捩り部に隣接する少なくとも1つの移行部と、少なくとも1つの保持アームとを有し、該保持アームは移行部に連結され、保持アームの自由端には端部が形成されており、レールクランプが、使用中に、前記端部により、取付けるべきレールの足上に支持される構成のレールクランプに関する。この形式のレールクランプは、通常、ばね鋼を曲げてワンピースで形成されている。
【0002】
また本発明は、足と、この上に配置されたステムと、ヘッドとを備えたレールを取付けるシステムであって、ガイドプレートと、該ガイドプレート上に保持されるレールクランプと、レールを支持するベースに対してレールクランプを締め付ける引っ張り手段とを有するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
上記形式のレールシステムおよびレールクランプは、例えば下記特許文献1および2に開示されている。これらの特許から知られたω型レールクランプの保持アームは、平面図で見て、両端部を備えた湾曲経路を有しており、該両端部の端面は互いに向き合う方向を向いている。この点に関し、端部自体は、湾曲しているか、それぞれが関連しているレールクランプの捩り部分に平行な真直状をなしている。
【0004】
最終組立て位置において、保持アームの自由端は、取付けるべきレールの足上に載せられる。
【0005】
レールクランプの中央部は、固定ねじの軸の回りにループ掛けされる。レールが位置決めされると、レールクランプがレールの足に向かって移動されかつねじをねじ込むことにより最終組立て位置に押圧される。この押圧作用により、同時にレールクランプの締め付け(ブレーシング)が生じ、これにより、レールを保持するのに必要な保持力が発生し、この保持力は保持アームによりレールの足上に弾性的に伝達される。
【0006】
冒頭で述べた形式の他のレールクランプおよびシステムが、下記特許文献3から知られている。この既知のシステムでは、レールの保持に必要な弾性保持力を発生させる弾性要素としてレールクランプが使用されている。該レールクランプは、取付けるべきレールの長手方向に測定される支持プレートの長さを考慮に入れて、少なくとも一方の保持アームが最大ばね撓みをカバーできるように構成されている。保持アームの端部は、捩り部から離れる方向を向くように傾斜しており、これにより、組立て位置では、端部が、取付けるべきレールのステムの方向を向くようになっている。このため、それぞれの端部の自由端に形成された幅狭の支持領域(この支持領域では、使用中に保持アームがその端部によりレールの足上に必要な保持力を加える)が、取付けるべきレールの足の縁部から、レールのステムの方向に変位される。これにより、列車がレール上を走行するときに生じる横方向の力の結果としておよび支持プレート上での横方向支持が不確実になり得る結果として、レールの足がその長手方向に過度に横方向移動した場合でも、必要な保持力が常に効率よくそれぞれの保持アームからレールの足に確実に伝達される。また、レールのステム方向への支持領域の変位により、好ましくない捩り作用に対するより大きい抵抗が生じ、これにより、レールクランプの特に位置的に正しい組立体が得られる。
【0007】
上記システムを用いた実際の経験によれば、レールクランプの保持アームの端部を傾斜形状にすることにより、比較的大きい横方向変位が生じた場合にもレールを確実に保持できることが証明されている。確かに、上記既知のシステムに使用されたレールクランプの特殊な形状により、ばねの最大弾性に関して長所が得られる。しかしながら、大きい保持力を加えることができるだけでなく、最適な耐久限度も得られるレールクランプが要望されている。このような要望は、例えば、極めて重い輸送列車が、高い繰返し数で走行する鉄道軌道の場合に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,690,551号明細書
【特許文献2】米国特許第3,439,874号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2007 046 543(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来技術の背景に対し、本発明の目的は、レールを取付けるレールクランプおよびシステムであって、高い耐久限度を有し、高い保持力を加えることができると同時に、レール取付け手段が徐々に摩耗しても充分に高い保持力が作用し続けることを確保できるレールクランプおよびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
レールクランプに関し、上記目的は、特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴を有する本発明のレールクランプにより達成される。
【0011】
レールを取付けるシステムに関し、上記目的は、本発明にしたがって構成されたレールクランプを備えた本発明のシステムにより達成される。
【0012】
本発明の有利な形態は特許請求の範囲の実施態様項に記載されており、広い独創的概念を以下に詳細に説明する。
【0013】
冒頭に述べた従来技術にしたがって、レールを取付けるための本発明によるレールクランプは、中央部と、該中央部から横方向に分岐している少なくとも1つの捩り部と、該捩り部に隣接する少なくとも1つの移行部と、該移行部に連結された少なくとも1つの保持アームとを有している。それぞれの保持アームの自由端には端部が形成されており、レールクランプは、使用中に、端部により、取付けるべきレールの足上に支持される。
【0014】
本発明によれば、保持アームは、この端部の自由端まで延びている少なくとも湾曲部において連続的に湾曲しており、この湾曲は、レールクランプの平面図で見て、端部が、中央部の方向およびそれぞれの保持アームに関連する捩り部の長手方向軸線の方向を向くようになされている。
【0015】
かくして、本発明によるレールクランプの場合には、それぞれの保持アームに存在する端部は、装着位置において、レールクランプのそれぞれの保持アームに関連する捩り部の長手方向軸線に向かって、取付けるべきレールのステムから離れる方向に湾曲されている。この点に関し、保持アームの端部を備えた湾曲部の湾曲は、一平面内での湾曲のみに限定されないことが好ましい。それどころか、湾曲は、3空間方向に構成するのが有利である。この態様で、それぞれの端部に、細く形成されたほぼ点のような支持面を形成でき、端部は、使用中に、取り付けるべきレールの足上に支持される。
【0016】
かくして、本発明によるレールクランプでは、本発明にしたがって湾曲された端部の領域内にある好ましくは細く形成された支持面(該支持面により本発明によるレールクランプが、使用中にレールの足の表面上に支持される)が、それぞれの保持アームに関連する捩り部から、レールの長手方向に対して横方向に測定した距離(この距離は、レールクランプの上方から見た平面図で見たときに、レールの長手方向に対して横方向に測定した最大距離より小さい)にある位置に変位される。したがって、自由端まで湾曲した、本発明によるレールクランプの保持アームは、使用時に、捩り部から保持アームの端部の支持面まで、取り付けるべきレールのステムの方向に、支持面に関して突出して湾曲していることにより、従来のレールクランプと比較して全体として大きい長さを有する。この大きい長さおよび湾曲形状により、保持アームは、破損する危険なく、大きい変動荷重を吸収できる。かくして、本発明のレールクランプによれば、レールクランプの最適耐久強度をもって高い保持力を加えることができる。
【0017】
レールクランプの本発明による形態によれば、摩耗の結果として、レールがその長手方向に対しておよびレールクランプが支持されるガイドプレートに対して横方向に変位されるような場合に、同様な有効な効果が達成される。本発明により設けられた、保持アームの端部に至る湾曲部の湾曲形状および端部自体の湾曲形状は、使用位置において、取付けるべきレールのステムから離れる方向を向いていて、摩耗によりガイドプレートとレールの足との間にギャップ(このギャップは、レールの足上に作用する端部がギャップを超えて突出する程の大きさである)が形成される場合でも、レールの足とレールクランプとを確実に接触させかつレールの足上に充分な保持力を付与することができる。この場合、もはやレールクランプのそれぞれの端部の支持面が、レールの足に押圧力を加えることはないが、レールクランプの捩り部の方向に湾曲している端部の形状またはその仮想延長部の形状または長手方向軸線が、この状況でもレールクランプがレール上に確実に作用することを確保する。かくして、レールが変位したとき、レールクランプは、レールの足上の湾曲端部が「ロール」し、このため、摩耗によるレールの変位にしたがって、端部がレールに作用する支持面も変位する。この効果は、特に、端部が3空間方向に湾曲している場合、すなわち、使用時に、端部が幅狭に形成された支持面すなわちほぼ点のような支持面によってのみレールの足上に支持される場合に生じる。
【0018】
レールクランプの保持アームの湾曲部の比較的幅広の湾曲内で案内される形状により、本発明によるレールクランプの保持アームは大きい長さを有している。これにより、保持アームのより大きい弾性が得られ、したがって小さい負荷時ではその耐久性が高められる。この点に関し、本発明にしたがって構成された端部とこれに関連する捩り部との間の最短距離を、保持アームの最小長さの表示として使用できる。本発明による予め組立てられるシステムの新しい状態では、この距離は、捩り部と、ガイドプレートの接触面に関連するレールの足の縁部との間の最短距離より大きくすべきである。このようにして、レールの足とガイドプレートとの不正確な整合が生じた場合でも(これは、摩耗または組立て誤差の結果として生じる)、端部は、常に充分な長さに亘ってレールの足上に載っていて、必要な保持力を付与することが確保される。
【0019】
本発明によるレールクランプの端部の整合および形状の上記要約した長所は、保持アームの湾曲端部が捩り部の長さの少なくとも20%に等しい場合に特に明白である。
【0020】
本発明による保持アームの変更例によれば、それぞれの端部を備えた端面湾曲部は連続的に湾曲しており、一方、例えば大きい距離を架橋するため、保持アームは、少なくとも他の一部が真直である。
【0021】
他の変更例によれば、保持アーム全体が連続湾曲部として構成されており、保持アームに作用する応力が低減されて、最大耐久強度が得られる。同時に、この形状は、レールクランプの容易な製造を可能にする。
【0022】
保持アームは、ブレーシング中に最小の変形を行うだけで成形できる。これにより、スタート時から、保持アームの端部と、レールクランプが弛緩されたときにレールの足の表面上に既に載置されている保持アームの残部とを整合させることができる。この目的のため、保持アームの形状および整合は、保持アームが、専ら、小さい固有弾性を有するレバーとして作用し、締め付けられた状態のレールクランプにより加えられるばね力は、実質的に捩り部の捩れにより発生されるに過ぎない。これは、保持アームが捩り部に対して整合され、かつレールクランプの平面図で見て、捩り部および保持アームは80°〜110°、より詳しくは85°〜95°の角度を形成することにより達成され、ここで、製造可能な範囲内の約90°の開先角度が最適結果を得ることができる。
【0023】
保持アームの剛性は、保持アームの湾曲部が、捩り部が通る平面内を80°〜100°の角度で通ることにより最適化される。実際に、保持アームの湾曲部のこの方向は、保持アームと捩り部との間の移行部が、レールクランプが垂直平面上にあるときに上向きの曲線を描きかつ80°〜110°の角度範囲を有する場合に実現される。本発明によるレールクランプの保持アームのそれぞれの部分が湾曲している場合には、保持アームは、側面図で見て、この部分の領域内で湾曲またはドーム状を形成し、これにより、保持アームが高い弾性保持力を受ける場合またはレールが横方向に変位した場合でも、保持アームの形状は実質的に変化しない状態に維持される。したがって、締め付けられた状態では、その端部は、レールの足上で常に最適位置を維持する。
【0024】
捩り部上での保持力の集中的発生は、平面図で見て、中央部と捩り部とのなす角度が80°〜110°であれば一層促進される。この形態では、中央部はまた、それ自体が弾性的にフレキシブルではなく、専ら捩り部に捩りを生じさせるレバーとして実質的に作用する。
【0025】
本発明によるレールクランプは、従来技術から知られているレールクランプと同様に、ばね鋼ワイヤから連続的湾曲線を形成することによりワンピースとして製造できる。
【0026】
本発明によるレールクランプの保管およびハンドリングは、湾曲端部の自由端と中央部との間の間隔が、中央部、捩り部、移行部、保持アームおよび端部の最小太さより小さいという、それ自体は既知の態様で簡単化できる。これにより、粗雑に保管されたレールクランプが互いに絡み合ってしまうことが信頼性をもって防止される。
【0027】
もちろん、本発明によるレールクランプは、既知のレールクランプのように鏡像対称的に構成でき、中央部はループの形態をなしており、中央部からは相互に反対方向に整合して配置された2つの捩り部が分岐しており、該捩り部には、それぞれの移行部を介して、それぞれの端部を備えたそれぞれの保持アームが連結されている。この場合、本発明によるレールクランプはW型またはω型に形成される。
【0028】
本発明により求められる、捩り部上への弾性保持力の集中により、本発明によるレールクランプの特別な省スペース形態が可能になる。このため、本発明の有利な実施形態により、捩りアームの長さは、それぞれの保持アームの少なくとも一部がガイドプレート上で案内されるように、充分に短くなるように計算される。
【0029】
以下、例示の実施形態を示す概略図を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図4に示す取付け箇所を示す、図4の切断線X−Xに沿う断面図である。
図2図4および図5に示すシステムに使用されるレールクランプを示す正面図である。
図3図2によるレールクランプを上から見た平面図である。
図4】レールを取付ける2つのシステムにより形成された取付け箇所を示す平面図である。
図5図4による取付け箇所を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ベースU(この実施形態では、例えばコンクリートの枕木により形成されている)上に支持されるレールSを取付けるための、ばね鋼ワイヤから連続湾曲線としてワンピースに形成されたレールクランプ1は、ベースUの接触面2に対し垂直に整合した平面N1に関して鏡像対称的に構成されている。レールクランプ1は、平面図(図4)で見てU型をなしているループ型中央部3を有し、該中央部3は、互いに平行に間隔を隔てた2つの肢部4、5と、これらの両肢部4、5を一体に結合しかつ取付けるべきレールSの足Fに関連する半円形の連結部6とを備えている。
【0032】
横方向に分岐しているそれぞれの捩り部9、10が、90°だけ曲げられたそれぞれの移行部7、8により中央部3の各肢部4、5に連結されている。この点に関し詳述すると、捩り部9、10は、中央部3から互いに離れる方向に延びており、平面図で見て、中央部3の肢部4、5に対して約90°の角度αを形成している。
【0033】
捩り部9、10の、中央部3から離れた側の端部には、それぞれの他の移行部11、12が連結されており、該移行部11、12は、レールクランプ1がその下面上に配置されるとき、約90°の角度を有する円弧をなして上方を向く(図1および図2)。
【0034】
各移行部11、12は、それぞれの捩り部9、10から遠い側の端部が、連続的に湾曲した保持アーム13、14に滑らかに連続している。保持アーム13、14は、3空間方向X、Y、Zに連続的に湾曲した個々の湾曲部分からなる。平面図で見て、それぞれの移行部11、12に連結された保持アーム13、14の部分15、16は、関連する捩り部9、10に対し、平面図で見て中央部3の肢部4、5に対し実質的に整合するように約90°の角度βを有している。
【0035】
これにより、保持アーム13、14のそれぞれの部分15、16の中心軸線Mが、平面N2内を通り、かつ該平面N2を捩り部9、10の共通長手方向軸線Lが約90°±5°の角度をなして通る。より詳しくは、保持アーム13、14の部分15、16は、キューポラストラットの態様をなして湾曲しておりかつ約180°の角度範囲に亘って延びている。
【0036】
捩り部9、10から遠い側の端部で、保持アーム13、14の部分15、16は、それぞれの移行部17、18に滑らかに連続しており、これらの移行部17、18の端部19、20は、部分15、16に対して約90°の角度をなしかつ下向きに、中央部3に向かって延びている。平面図(図3)から明らかなように、これらの端部19、20は、移行部17、18の連続体として3空間方向X、Y、Zに湾曲し、更に捩り部9、10の長手方向軸線Lの方向および中央部3の方向に延びており、これにより、端部19、20が平らな面上に置かれると、両端部19、20は、細く形成されたほぼ点のような支持面21、22上に支持される。端部19、20の長さおよび湾曲は、中央部3の肢部4、5に対して実質的に平行に延びている保持アーム13、14の部分15、16の長さを考慮に入れて、中央部3の連結部6に対して間隔を隔てて終端するように選択される。この間隔「a」は、レールクランプ1を曲げて作るばね鋼の最小太さ「d」より小さい。したがって、中央部3と端部19、20との間の間隙は非常に小さく、他のいかなるレールクランプ1もこの間隙を通ることはできない。
【0037】
レールSをベースUに取付けるため、同じ構成の2つのシステムS1、S2が使用され、これらのシステムS1、S2はレールSの両側で組立てられる。各システムS1、S2は、レールクランプ1と、ガイドプレート23と、レールクランプ1を引っ張る手段として必要な引っ張りねじ24とからなる。
【0038】
本願で説明する例示実施形態では、ガイドプレート23は、慣用の傾斜ガイドプレートの形式に構成されておりかつベースUと関連するその下面には肩部が設けられている。この肩部は、レールSの長手方向に測定したその幅Bに亘って延び、かつガイドプレート23が組立て位置にあるときに、ベースUに対応して形成された溝内に着座する。また、組立て位置では、ガイドプレート23は、レールSから遠い側の後部により、肩部(この肩部もベースUに形成されている)上に支持される。ガイドプレート23は、その前部(前部は、後部に比べて幅広でありかつレールSの足Fに関連している)に接触面を有し、この接触面には、レールSの足Fがその長手方向縁部により支持される。かくして、列車(図示せず)がレールS上を走行するとき、レールSから生じる横方向の力は、ガイドプレート23により吸収されかつベースUにそらされる。
【0039】
ガイドプレート23は、その後部に隣接して、その上面に、ガイドプレート23の接触面に対して平行に延びているそれぞれの溝と、ガイドプレート23に取付けられるレールクランプ1を案内する付加成形要素(詳細には図示せず)と、引っ張りねじ24を通すための、上面からベースUに至る貫通孔(ここでは見えない)とを有している。引っ張りねじ24は、ベースU内に導入されるドエル(ここでは見えない)にねじ込まれる。
【0040】
それぞれのガイドプレート23上に配置されたレールクランプ1は、その捩り部9、10がガイドプレート23の溝内に着座する。捩り部9、10の長さLtは、保持アーム13、14の各々がガイドプレート23の上方で、かつレールの足Fと関連する少なくともガイドプレートの幅広前方領域上で案内されるように計算される。かくして、レールクランプ1によりそれぞれ占拠される幅は、ガイドプレート23の幅Bより極く僅かに大きい。
【0041】
同時に、中央部3の肢部4、5の長さは、引っ張りねじがねじ込まれてはいるが完全にはねじ込まれていないときに、レールクランプ1が組立て前位置に着座できるように計算される。この組立て前位置では、捩り部9、10が、関連するガイドプレート23の溝の外側に位置する程度にガイドプレート23の後部の方向にオフセットして配置され、これにより、レールクランプ1の湾曲端部19、20は、もはやレールSのために設けた領域内に突入しなくなる。レールSが、このためにシステムS1、S2のガイドプレート23同士の間に設けられたスペース内に配置されたならば、レールクランプ1を、組立て前位置から最終組立て位置内に押出すことができる。最終組立て位置では、レールクランプ1は、レールの足Fの上面O上に載置され、レールクランプ1の端部19、20はレールSのステムGから離れる方向に湾曲した状態にある。次に、それぞれの引っ張りねじ24が締め付けられる。その間に、レールクランプ1の中央部3が、ベースUの方向に移動される。両保持アーム13、14が、実質的に剛態様でレールの足F上に同時に支持されるので、レールクランプ1が締め付けられるとき、実質的に捩り部9、10のみが捩られる。この結果、レールSを弾性的に押圧するための高い弾性力が得られる。これらの弾性力は、比較的大きい接触面に亘ってレールの足F上に加えられるので、レールクランプ1とレールの足Fとの間の接触領域に生じる摩擦摩耗の危険性が最小になる。ベースUの方向にもレールSの必要な支持が確実に得られるようにするため、レールの足FとベースUとの間には弾性層Eが既知の態様で設けられる。
【0042】
レールSの長手方向および長手方向軸線Lに対して横方向に測定した保持アーム13、14の横方向長さLhは、組立て準備が整えられた新しい状態のシステムS1、S2において、長手方向軸線Lに対して軸方向に平行なそれぞれの捩り部9、10と、それぞれの関連する端部19、20との間の最短距離wが、それぞれのガイドプレート23に関連するレールの足Fの縁部と、それぞれの捩り部9、10との間の距離vより大きくなるように計算される。保持アーム13、14のこの形態により、端部19、20が常に信頼性をもってレールの足F上に支持されることが確保される。摩耗により、もしもレールSがガイドプレート23に対して変位されるようなことがあると、その結果として、端部の最初に荷重を支持している支持面21、22が、ガイドプレート23とレールの足Fとの間のギャップ内に突出するが、端部19、20は、該端部19、20の自由端面から等距離にある支持部を介してレールの足F上に載り続ける。
【符号の説明】
【0043】
1 レールクランプ
2 ベースUの接触面
3 それぞれのレールクランプ1の中央部
4、5 それぞれのレールクランプ1の肢部
6 中央部3の連結部
7、8 それぞれのレールクランプ1の移行部
9、10 それぞれのレールクランプ1の捩り部
11、12 それぞれのレールクランプ1の移行部
13、14 それぞれのレールクランプ1の保持アーム
15、16 それぞれのレールクランプ1の保持アームの部分
17、18 それぞれのレールクランプ1の移行部
19、20 それぞれのレールクランプ1の端部
21、22 それぞれのレールクランプ1の支持面
23 ガイドプレート
24 引っ張りねじ
a 間隔
B ガイドプレート23の幅
d それぞれのレールクランプ1のばね鋼の厚さ
E 弾性層
F レールSの足
G レールSのステム
L 捩り部9、10の長手方向軸線
Le 端部19、20の長さ
Lt 捩り部9、10の長さ
Lh 保持アーム13、14の長さ
M 部分15、16の中心軸線
N1 平面
N2 平面
O レールの足Fの上面
S レール
S1、S2 レールSを取付けるシステム
U ベース
w レールクランプ1の捩りアーム9、10と、これと関連する端部19、20の端との間の最短距離
v レールクランプ1の捩りアーム9、10と、これと関連するレールの足Fの縁部との間の距離
α 角度
β 角度
X、Y、Z 3空間方向
図1
図2
図3
図4
図5