特許第5778293号(P5778293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778293
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】送風機アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/16 20060101AFI20150827BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20150827BHJP
   F04F 5/46 20060101ALI20150827BHJP
   F04F 5/54 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   F04F5/16
   F04D25/08 302Z
   F04F5/46 C
   F04F5/54
【請求項の数】22
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-537201(P2013-537201)
(86)(22)【出願日】2011年10月7日
(65)【公表番号】特表2013-545921(P2013-545921A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】GB2011051928
(87)【国際公開番号】WO2012059730
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年7月2日
(31)【優先権主張番号】1018476.0
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1018474.5
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1018477.8
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1018475.2
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス アラン ハワード
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−167897(JP,A)
【文献】 特開平07−190443(JP,A)
【文献】 独国特許出願公告第1291090(DE,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 1/00−99/00
F04D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機アセンブリのための環状ノズルであって、
外壁、及び該外壁によって取り囲まれてボア軸線を有するボアを形成する内壁と、
前記内壁と前記外壁の間に位置付けられ、かつ空気流を受け入れるために前記ボア軸線の周りに延びる内部通路と、
前記空気流を前記ボア軸線から離れるように延びる方向に放出するためにノズルの前部に又はその近くに位置付けられた空気出口と、
を含み、
前記ボア軸線と前記空気流が前記空気出口から放出される方向との間に内在する角度は、該ボア軸線の周りで変化する、
ことを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記内壁は、前記ボア軸線を含む平面に、翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記内壁は、前部分及び後部分を含み、
前記内壁の前記前部分は、実質的に円錐の形状を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記ボア軸線に対する前記内壁の前記前部分の傾斜の角度が、0°と45°の間であることを特徴とする請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記翼は、NACA翼の形状を有することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項6】
前記翼は、前縁、後縁、及び該前縁と該後縁の間を延びる翼弦線を有し、
前記空気出口は、前記翼の前記後縁に又はその近くに位置付けられる、
ことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項7】
送風機アセンブリのための環状ノズルであって、
外壁、及び該外壁によって取り囲まれ、ボア軸線を有するボアを形成し、該ボア軸線を含む平面に、前縁とノズルの前部近くの後縁とを有する翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する内壁と、
前記内壁と前記外壁の間に位置付けられ、かつ空気流を受け入れるために前記ボア軸線の周りに延びる内部通路と、
前記空気流を前記ボア軸線に対して傾斜した方向に放出するために前記後縁に又はその近くに位置付けられた空気出口と、
を含み、
前記ボア軸線と前記空気流が前記空気出口から放出される方向との間に内在する角度は、該ボア軸線の周りで変化する、
ことを特徴とするノズル。
【請求項8】
前記ボア軸線と前記空気流が前記空気出口を通して放出される方向との間に内在する角度が、0°と45°の間であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項9】
前記空気出口は、前記ボア軸線の周りに延びることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項10】
前記空気出口は、形状がほぼ環状であることを特徴とする請求項9に記載のノズル。
【請求項11】
前記内部通路は、前記空気出口へ向けて延びる空気チャンネルを含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項12】
前記空気チャンネルは、前記ボア軸線に対して傾斜していることを特徴とする請求項11に記載のノズル。
【請求項13】
前記空気チャンネルは、収束する形状を有することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のノズル。
【請求項14】
前記空気チャンネルと前記ボア軸線の間に内在する角度が、0°から45°までの範囲にあることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項15】
前記内壁の大部分には、前記ボア軸線に向けてテーパがついていることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項16】
前記ボア軸線と前記空気流が前記空気出口から放出される前記方向との間に内在する前記角度は、該ボア軸線の周りで少なくとも1つの最大値と少なくとも1つの最小値の間で変化することを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項17】
前記ボア軸線と前記空気流が前記空気出口から放出される前記方向との間に内在する前記角度は、該ボア軸線の周りで複数の最大値と複数の最小値の間で変化することを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項18】
前記最大値及び前記最小値は、前記ボア軸線の周りで規則的に離間することを特徴とする請求項17に記載のノズル。
【請求項19】
前記角度は、ノズルの上端及び下端のうちの少なくとも一方で又はその近くで最小値にあることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載のノズル。
【請求項20】
空気流を生成するための手段と、
前記空気流を放出するための請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の環状ノズルと、
を含むことを特徴とする送風機アセンブリ。
【請求項21】
送風機アセンブリであって、
1次空気流を生成するための手段と、
環状ノズルと、
を含み、
前記環状ノズルは、
外壁、及び該外壁によって取り囲まれ、ボア軸線を有するボアを形成する内壁と、
前記内壁と前記外壁の間に位置付けられ、かつ空気流を受け入れるために前記ボア軸線の周りに延びる内部通路と、
前記空気流を放出するために前記ノズルの前部に又はその近くに位置付けられた空気出口と、
を含み、
前記ノズルは、前記空気流を前記空気出口を通して前記ボア軸線から離れるように延びる方向に放出するように構成され、
前記ボア軸線と前記空気流が前記空気出口から放出される方向との間に内在する角度は、該ボア軸線の周りで変化する、
ことを特徴とする送風機アセンブリ。
【請求項22】
送風機アセンブリであって、
1次空気流を生成するための手段と、
環状ノズルと、
を含み、
前記環状ノズルは、
外壁、及び該外壁によって取り囲まれ、ボア軸線を有するボアを形成し、該ボア軸線を含む平面に、前縁と前記ノズルの前部近くの後縁とを有する翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する内壁と、
前記内壁と前記外壁の間に位置付けられ、かつ空気流を受け入れるために前記ボア軸線の周りに延びる内部通路と、
前記空気流を前記ボア軸線に対して傾斜した方向に放出するために前記後縁に又はその近くに位置付けられた空気出口と、
を含み、
前記ボア軸線と前記空気流が前記空気出口から放出される方向との間に内在する角度は、該ボア軸線の周りで変化する、
ことを特徴とする送風機アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機アセンブリに関する。特に、限定するものではないが、本発明は、机上、塔型、又は台座型送風機のような床上又は卓上送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用送風機は、通常、軸線の周りに回転するように取り付けた1組のブレード又はベーンと、1組のブレードを回転させて空気流を発生させる駆動装置とを含む。空気流の移動及び循環が「風冷」又は微風を生成し、その結果、ユーザは、熱が対流及び蒸発により消散する時に冷却効果を体感する。ブレードは、一般的に、送風機の使用中にユーザが回転ブレードに接触するのを防止しながら空気流がハウジングを通過することを可能にするケージ内に位置付けられる。
【0003】
US 2,488,467は、送風機アセンブリから空気を放出するケージ入りのブレードを使用しない送風機を説明している。代わりに、送風機アセンブリは基部を含み、基部は、空気流を基部内に引き込むモータ駆動式インペラと、各々がノズルの前部に位置して送風機から空気流を放出する環状出口を含む基部に結合された一連の同心状の環状ノズルとを収容する。各ノズルは、ボア軸線の周りに延びて、その周りにノズルが延びるボアを形成する。
【0004】
各ノズルは翼の形状にされる。翼は、ノズルの後部に配置された前縁、ノズルの前部に配置された後縁、及び前縁と後縁の間を延びる翼弦線を有すると考えることができる。US 2,488,467では、各ノズルの翼弦線は、ノズルのボア軸線と平行である。空気出口は、翼弦線上に位置付けられると共に、ノズルから離れるように延びる方向にかつ翼弦線に沿って空気流を放出するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2,488,467号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、送風機アセンブリのための環状ノズルを提供し、ノズルは、ボア軸線を有するボアを形成し、ボア軸線を含む平面内で前縁と、ノズルの前部の近くの後縁と、前縁と後縁の間を延びる翼弦線とを有する翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有し、翼弦線の少なくとも一部がボア軸線に対して傾斜した内壁と、空気流を受け入れるためにボア軸線の周りに延びる内部通路と、空気流を放出するためにノズルの前部に又はその近くに位置付けられた空気出口とを含む。
【0007】
環状ノズルから放出される空気流は、以下において1次空気流と呼び、ノズルを取り囲む空気を同伴し、それは、従って、空気増幅器として作用して、1次空気流及び同伴された空気流の両方をユーザに提供する。同伴空気は、以下において2次空気流と呼ぶことになる。2次空気流は、ノズルを取り囲む室内空間、領域、又は外部環境から引き込まれる。1次空気流は、同伴2次空気流と結合して、ノズルの前部から前方に放出される結合した又は全体的な空気流を形成する。
【0008】
好ましくは、翼は、全米航空諮問委員会(NACA)翼の形状を有する。この翼は、好ましくは、対称な4桁NACA翼の形状を有し、その場合に、翼弦線は、真っ直ぐとすることができ、翼弦線はボア軸線に対して傾斜する。しかし、翼は、上反りになった4桁NACA翼、5桁NACA翼、6桁NACA翼、又は他の対称な翼の形状を有することができ、その場合に、翼弦線は、湾曲することができ、翼弦線の一部のみがボア軸線に対して傾斜する。外壁及び内壁は、一緒になって翼の形状を有することができるが、外壁はいずれの望ましい形状でも取ることができる。ノズルは、好ましくは、1次空気流がノズルの内壁から離れるように放出されるように構成される。
【0009】
翼弦線の少なくとも一部、より好ましくは、翼弦線の前部部分の一部をボア軸線に対して傾斜させることにより、1次空気流が空気出口から放出される方向を調節することができる。例えば、前縁から後縁まで延びる方向に翼弦線の少なくとも一部をボア軸線に向けて傾斜させることにより、1次空気流は、内向きにテーパのついた円錐の形状でボア軸線に向けて放出することができる。他方、前縁から後縁まで延びる方向に翼弦線の少なくとも一部をボア軸線から離れるように傾斜させることにより、1次空気流は、外向きにテーパのついた円錐の形状でボア軸線から離れるように放出することができる。
【0010】
本発明者は、1次空気流がノズルから放出される方向のこの変動が、1次空気流による2次空気流の同伴の程度を変化させることができ、従って、送風機アセンブリにより発生される結合空気流の流量を変化させることを見出した。ここでは、結合空気流の流量又は最大速度の相対値又は絶対値は、ノズルの空気出口の直径の3倍の距離で記録された値を参照する。
【0011】
いずれの理論にも拘束されることを望まないが、本発明者は、1次空気流による2次空気流の同伴の割合は、ノズルから放出される1次空気流の外側プロフィールの表面積のマグニチュードに関係すると考えている。1次空気流に外向きにテーパがつけられ又は開く場合、外側プロフィールの表面積は、相対的に大きくなり、1次空気流とノズルを取り囲む空気との混合を促進し、従って、結合空気流の流量が増加し、これに対して、1次空気流に内向きにテーパがつけられる場合、外側プロフィールの表面積は、相対的に小さくなり、1次空気流による2次空気流の同伴を低減し、従って、結合空気流の流量が減少する。
【0012】
ノズルにより発生される結合空気流の流量の増加は、結合空気流の最大速度を低くする作用がある。それによって部屋又はオフィスを通る空気流を発生する送風機アセンブリとの使用にノズルを適するものにすることができる。他方、ノズルにより発生される結合空気流の流量の減少は、結合空気流の最大速度を高くする作用がある。それによってファンの前にいるユーザを急速に冷却するための空気流を発生させる机上ファン又は他の卓上ファンとの使用にノズルを適するものにすることができる。
【0013】
ボア軸線に対する翼弦線の少なくとも一部の傾斜は、いかかる望ましい値でも取ることができるが、好ましい傾斜の角度は、0°から45°までの範囲にある。
【0014】
好ましくは、内部通路は、ボア軸線の周りに延び、好ましくは形状が環状である。内部通路は、好ましくは、ノズルの内壁と外壁の間に位置付けられ、より好ましくは、これらにより境界付けられる。
【0015】
空気出口は、好ましくは、ボア軸線の周りに延びる。空気出口は、形状がほぼ環状とすることができる。例えば、空気出口は、形状がほぼ円形とすることができるが、空気出口は、いずれの望ましい形状でも取ることができる。代わりに、空気出口は、ボア軸線の周りに離間して各々が内部通路からの空気流のそれぞれの部分を受け入れる複数の部分を含むことができる。これらの部分は、直線、弧、角度付きとすることができ、又は他のどのような形状も有することができる。
【0016】
空気出口に隣接して配置された内部通路の一部分は、空気出口を通るように空気流を誘導するような形状にすることができる。内部通路のこの部分は、1次空気流が空気出口から翼の翼弦線に沿って延びる方向に放出されるような形状にすることができる。代わりに、内部通路のこの部分は、翼弦線の少なくとも一部に対して傾斜する方向に1次空気流が空気出口から放出されるような形状にすることができる。これは、ボア軸線に対する翼弦線の傾斜の代替案として提供することができる。例えば、前縁から後縁まで延びる方向に翼弦線をボア軸線から離れるように傾斜させることは、ノズルの大きさを増大させることがあるので望ましくない。翼弦線がボア軸線と平行になるように又は前縁から後縁まで延びる方向にそれがボア軸線に向けて傾斜するように翼弦線を構成しながら、1次空気流を翼弦線に対して傾斜した方向に空気出口から放出することにより、ノズルの大きさを不当に増加することなく、結合空気流の増加した流量が得られる。
【0017】
従って、第2の態様において、本発明は、送風機アセンブリのための環状ノズルを提供し、ノズルは、外壁と、外壁によって取り囲まれ、ボア軸線を有するボアを形成し、ボア軸線を含む平面内で前縁と、後縁と、前縁と後縁の間の翼弦線とを有する翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する内壁と、空気流を受け入れるために内壁と外壁の間に位置付けられてボア軸線の周りに延びる内部通路と、空気流を放出するために後縁に又はその近くに位置付けられた空気出口とを含み、ノズルは、翼弦線の少なくとも一部に対して傾斜した方向に空気流を放出するように構成される。翼弦線の少なくとも一部と空気流が空気出口から放出される方向との間に内在する角度は、いずれの値でも取り得るが、好ましくは、0°から45°までの範囲にある。上述したように、翼弦線は湾曲することができるので、翼弦線と空気流が空気出口から放出される方向との間に内在する角度は、翼弦線に沿って変わる場合がある。翼弦線の形状に応じて、翼弦線の一部のみを空気流が空気出口から放出される方向に対して傾斜させ、又は翼弦線の実質的に全ての部分を空気流が空気出口から放出される方向に対して傾斜させることができる。
【0018】
上述したように、翼弦線は、前縁から後縁まで延びる方向にボア軸線に向けて又はこれから離れるように傾斜することができる。ノズルが机上送風機の一部としての使用に適する実施形態において、翼弦線の少なくとも一部は、内壁の大部分がボア軸線に向けてテーパが付くようにボア軸線に対して傾斜する。
【0019】
ノズルの内壁が後に続く翼の形状は、好ましくは、内壁が、後縁に隣接する前部分と前縁に隣接する後部分とを含むようなものである。ボア軸線に対する内壁の前部分の傾斜の角度は、好ましくは、0°から45°までの範囲にある。ノズルの形状に応じて、ボア軸線に対する内壁の前部分の傾斜の角度は、比較的浅くすることができ、一実施形態において、この傾斜の角度は、0°と5°の間にある。内壁の前部分は、好ましくは、実質的に円錐の形状を有する。
【0020】
ノズルの内壁が後に続く翼の形状は、好ましくは、ボア軸線から離れるように延びる方向に前部分が後部分ら空気出口まで延びるようになっている。
【0021】
上述したように、ノズルにより発生される結合空気流の流量を増加させるために、1次空気流は、ボア軸線から離れるように外向きにテーパのついた円錐の形状で放出することができる。従って、第3の態様において、本発明は、送風機アセンブリのための環状ノズルを提供し、ノズルは、外壁と、外壁によって取り囲まれ、ボア軸線を有するボアを形成する内壁と、空気流を受け入れるために内壁と外壁の間に位置付けられてボア軸線の周りに延びる内部通路と、空気流を放出するためにノズルの前部に又はその近くに位置付けられた空気出口とを含み、ノズルは、ボア軸線から離れるように延びる方向に空気流を放出するように構成される。
【0022】
ボア軸線と空気流が空気出口から放出される方向との間に内在する角度は、いずれの値でも取り得るが、好ましくは、0°から45°までの範囲にある。ボア軸線と空気流が空気出口から放出される方向との間に内在する角度は、ボア軸線の周りで実質的に一定にすることができる。代わりに、ボア軸線と空気流が空気出口から放出される方向との間に内在する角度は、ボア軸線の周りで変えることができる。ボア軸線と空気流が空気出口から放出される方向との間に内在する角度を変化させることにより、ノズルにより発生される空気流は、ノズルの外面の大きさ又は形状を大幅に変更することなく、非円筒形又は非円錐台プロフィールを有することができる。例えば、角度は、ボア軸線の周りで少なくとも1つの最大値と少なくとも1つの最小値との間で変えることができる。角度は、ボア軸線の周りで複数の最大値と複数の最小値との間で変えることができる。最大値及び最小値は、ボア軸線の周りで規則的に又は不規則的に離間することができる。
【0023】
角度は、ノズルの上端及び下端の少なくとも一方で又はその近くで最小値とすることができる。最小値をこれらの端の一方又は両方に位置付けることにより、空気流が円形プロフィールよりもむしろ長円形プロフィールを有するように、ノズルにより発生される空気流のプロフィールの上端及び下端を「平ら」にすることができる。空気流のプロフィールはまた、最大値をノズルの各側端又はその近くに位置付けることにより、好ましくは広がる。空気流のプロフィールをこのように平らにすること又は広げることにより、部屋、オフィス、又は他の環境で送風機の近くにいる幾人かのユーザを同時に冷却する空気流を送出する机上送風機の一部としての使用にノズルを特に適するものにすることができる。角度は、ボア軸線の周りで連続的に変えることができる。
【0024】
上述したように、空気出口に隣接して配置された内部通路の一部分は、1次空気流が空気出口から上述の方向に放出されるように空気流を空気出口まで運ぶような形状とすることができる。製造の容易化のために、内部通路は、空気出口を通るように1次空気流を誘導する空気チャンネルを含むことができる。ボア軸線と平行な方向に空気流が放出される場合、空気チャンネルは、実質的に管状又は円筒形とすることができ、かつボア軸線上に中心を有することができる。代わりに、ボア軸線に対して傾斜する方向に空気流が放出される場合、空気チャンネルは、発散するか又は収束する形状を有することができる。換言すれば、空気チャンネルは、ボア軸線と直交する平面内で断面積を有することができ、この断面積は、ボア軸線に沿って変えることができる。例えば、この断面積は、空気出口の近くで増加させることができる。空気チャンネルは、空気出口の近くでボア軸線から離れるか又はこれに向う方向に延びることができる。
【0025】
空気出口は、翼の後縁に又はその近くに位置付けることができる。空気出口は、翼の翼弦線上に位置付けることができる。代わりに、空気出口は、翼の翼弦線から離間することができる。それによって空気流が空気出口から放出される方向をボア軸線から更に離れるように傾斜させることが可能になる。第5の態様において、本発明は、送風機アセンブリのための環状ノズルを提供し、ノズルは、ボア軸線を有するボアを形成し、ボア軸線を含む平面内で前縁と、ノズルの前部の近くの後縁と、前縁と後縁の間の翼弦線とを有する翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する内壁と、空気流を受け入れるためにボア軸線の周りに延びる内部通路と、ノズルの内壁から離れるように空気流を放出するために後縁に又はその近くに位置付けられて翼弦線から離間された空気出口とを含む。翼弦線は、好ましくは、空気出口とボア軸線の間に位置付けられるが、空気出口は、翼弦線とボア軸線の間に位置付けることができる。
【0026】
第6の態様において、本発明は、送風機アセンブリのための環状ノズルを提供し、ノズルは、外壁と外壁によって取り囲まれ、ボア軸線を有するボアを形成し、ボア軸線を含む平面内で前縁とノズルの前部の近くの後縁とを有する翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する内壁と、空気流を受け入れるために内壁と外壁の間に位置付けられてボア軸線の周りに延びる内部通路と、ボア軸線に対して傾斜した方向へ空気流を放出するために後縁に又はその近くに位置付けられた空気出口とを含む。
【0027】
第7の態様において、本発明は、空気流を生成するための手段と空気流を放出するための上述のノズルとを含む送風機アセンブリを提供する。
【0028】
空気流を生成するための手段は、好ましくは、モータにより駆動されるインペラを含む。モータは、好ましくは、可変速度モータであり、より好ましくは、速度がユーザにより最小値と最大値の間で選択可能なDCモータである。これは、ユーザが、送風機アセンブリにより発生される結合空気流の流量を必要に応じて変更することを可能にし、従って、第8の態様において、本発明は、可変速度モータにより駆動されて空気流を発生させるインペラと空気流を放出するノズルとを含む送風機アセンブリを提供し、ノズルは、ボア軸線を有するボアを形成し、ボア軸線を含む平面内で前縁と、後縁と、前縁と後縁の間の翼弦線とを有する翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する内壁と、空気流を受け入れるためにボア軸線の周りに延びる内部通路と、空気流を放出するために後縁に又はその近くに位置付けられた空気出口とを含む。
【0029】
本発明の第1の態様に関連して上述した特徴は、本発明の第2の態様から第8の態様のいずれにも同様に適用可能であり、逆も同じである。
【0030】
次に、本発明の好ましい特徴を添付の図面を参照して単に一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】送風機アセンブリの第1の実施形態の正面斜視図である。
図2図1の送風機アセンブリの正面図である。
図3図2の線A−Aに沿って取り出した側面断面図である。
図4(a)】図3の一部の拡大図である。
図4(b)】図4(a)で識別された領域Zの拡大図である。
図5】送風機アセンブリの第2の実施形態の正面斜視図である。
図6図5の送風機アセンブリの正面図である。
図7図6の線A−Aに沿って取り出した側面断面図である。
図8(a)】図7の一部の拡大図である。
図8(b)】図8(a)で識別された領域Zの拡大図である。
図9】送風機アセンブリの第3の実施形態の正面斜視図である。
図10図9の送風機アセンブリの正面図である。
図11図10の線A−Aに沿って取り出した側面断面図である。
図12(a)】図11の一部の拡大図である。
図12(b)】図12(a)で識別された領域Zの拡大図である。
図13】送風機アセンブリの第4の実施形態の正面斜視図である。
図14図13の送風機アセンブリの正面図である。
図15図14の線A−Aに沿って取り出した側面断面図である。
図16(a)】図15の一部の拡大図である。
図16(b)】図16(a)で識別された領域Zの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1及び図2は、送風機アセンブリ10の第1の実施形態の外観図である。送風機アセンブリ10は、1次空気流がそこを通って送風機アセンブリ10に入る空気入口14を含む本体12と、この本体12に取り付けた環状ノズル16とを含み、ノズル16は、送風機アセンブリ10から1次空気流を放出する空気出口18を含む。
【0033】
本体12は、実質的に円筒形の下側本体部分22に取り付けた実質的に円筒形の主本体部分20を含む。主本体部分20及び下側本体部分22は、好ましくは、上側本体部分20の外面が下側本体部分22の外面と実質的に同一平面にあるように実質的に同じ外径を有する。この実施形態において、本体12は、100mmから300mmの範囲の高さ、及び100mmから200mmの範囲の直径を有する。
【0034】
主本体部分20は、1次空気流がそこを通って送風機アセンブリ10に入る空気入口14を含む。この実施形態において、空気入口14は、主本体部分20に形成された開口のアレイを含む。代わりに、空気入口14は、主本体部分20に形成した窓内に取り付けた1つ又はそれよりも多くのグリル又はメッシュを含むことができる。主本体部分20は、その上端で開放して(図示のように)1次空気流がそこを通って本体12から排出される空気出口23(図3に示す)を提供する。
【0035】
主本体部分20は、下側本体部分22に対して傾くことができ、1次空気流が送風機アセンブリ10から放出される方向を調節する。例えば、下側本体部分22の上面及び主本体部分20の下面は、主本体部分20の下側本体部分22からの持上げを防止しながら、主本体部分20の下側本体部分22に対する移動を許す相互接続特徴部を含むことができる。例えば、下側本体部分22及び主本体部分20は、相互接続L字形部材を含むことができる。
【0036】
下側本体部分22は、送風機アセンブリ10のユーザインタフェースを含む。ユーザインタフェースは、複数のユーザ作動可能ボタン24、26と、ユーザの送風機アセンブリ10の様々な機能の制御を可能にするダイヤル28と、ボタン24、26及びダイヤル28に接続したユーザインタフェース制御回路30とを含む。下側本体部分22は、送風機アセンブリ10がその上に位置付けられた表面と係合するための基部32上に取り付けられる。
【0037】
図3は、送風機アセンブリ10を通る断面図である。下側本体部分22は、全体を符号34で示され、ユーザインタフェース制御回路30に接続した主制御回路を収容する。ボタン24、26及びダイヤル28の操作に応答して、ユーザインタフェース制御回路30は、適切な信号を主制御回路34へ伝達して送風機アセンブリ10の様々な作動を制御するように構成される。
【0038】
下側本体部分22はまた、全体が符号36で示され、基部32に対して下側本体部分22を首振りさせる機構を収容する。首振り機構36の作動は、ボタン26のユーザ操作に応答して主制御回路34により制御される。基部32に対する下側本体部分22の各首振りサイクルの範囲は、好ましくは60°と120°の間、この実施形態では約80°である。この実施形態において、首振り機構36は、1分間当たり約3回から5回の首振りサイクルを行うように構成される。送風機アセンブリ10に電力を供給するための主電力ケーブル38が、基部32に形成された開口を貫通して延びる。ケーブル38は、主電源へ接続するためにプラグ(図示せず)へ接続される。
【0039】
主本体部分20は、1次空気流を空気入口14から本体12内へ引き込むインペラ48を収容する。好ましくは、インペラ40は、混流インペラの形態とされる。インペラ40は、モータ44から外向きに延びる回転軸42に結合される。この実施形態において、モータ44は、ダイヤル28のユーザ操作に応答して主制御回路34により速度が可変とされるDCブラシレスモータである。モータ44の最大速度は、好ましくは5,000rpmから10,000rpmの範囲にある。モータ44は、下側部分48に結合された上側部分46を含むモータバケットに収容される。モータバケットの上側部分46は、螺旋ブレードを有する静止ディスクの形態とされたディフューザ50を含む。
【0040】
モータバケットは、ほぼ円錐台のインペラハウジング52内に位置付けられ、かつこれに取り付けられる。インペラハウジング52は、次に、基部12の主本体部分20内に位置付けられかつこれに結合された複数の角度的に離間した支持体54、この実施形態では3つの支持体上に取り付けられる。インペラ40及びインペラハウジング52は、インペラ40がインペラハウジング52の内面に近接するがこれと接触しないような形状にされる。実質的に環状の入口部材56がインペラハウジング52の底部に結合され、1次空気流をインペラハウジング52の中に案内する。電気ケーブル58は、主制御回路34から本体12の主本体部分20及び本体部分22に形成された開口、並びにインペラハウジング52及びモータバケットに形成された開口を通ってモータ44に至る。
【0041】
好ましくは、本体12は、本体12からのノイズ放出を低減する消音発泡体を含む。この実施形態において、本体12の主本体部分20は、空気入口14の下に配置された第1の発泡部材60と、モータバケット内に位置付けられた第2の環状発泡部材62とを含む。
【0042】
可撓性の密封部材64が、インペラハウジング52上に取り付けられる。可撓性密封部材は、空気がインペラハウジング52の外面の周りを通って入口部材56へ流れるのを防止する。密封部材64は、好ましくは、好ましくはゴムから形成された環状リップシールを含む。密封部材64は、グロメットの形態とされ電気ケーブル58をモータ44へと案内する案内部分を更に含む。
【0043】
図1及び図2へ戻って、ノズル16は環状形状を有する。ノズル16は、外壁70と、ノズル16の後部で外壁70へ結合された内壁72とを含む。外壁72は、内壁70と一体化することができる。代替例として、外壁70と内壁72は、ノズル16の後部で例えば接着剤を使用して結合された別々の壁とすることができる。別の代替例として、ノズル16は、互いに結合された複数の環状部分を含み、各部分は、外壁70及び内壁72の少なくとも一方の一部を含むことができる。内壁72は、中心のボア軸線Xの周りに延びてノズル16のボア74を形成する。ボア74は、ほぼ円形の断面形状を有し、その直径がボア軸線Xに沿ってノズル16の後端76からノズル16の前端78にかけて変動する。
【0044】
特に図3及び図4(a)を参照すると、少なくとも内壁72は、ボア軸線Xを含む平面内で、翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する。この例では、外壁70及び内壁72は、翼の形状にされ、この例では、対称な4桁NACA翼とされる。翼は、ノズル16の後端76における前縁80、ノズル16の前端78における後縁82、及び前縁80と後縁82の間を延びる翼弦線C1を有する。この実施形態において、翼弦線C1は、ボア軸線Xと平行であり、従って、ノズル16の内壁72の大部分は、ボア軸線Xから離れるようにテーパが付いている。この実施形態において、内壁72は、ボア軸線Xから離れるようにテーパのついた前部分84、86と、ボア軸線Xへ向けてテーパのついた後部分88とを有する。前部分は、断面がほぼ円錐形の前部分84と、断面が湾曲して前部分84と後部分88の間を延びる後部分86とを有する。
【0045】
ノズル16は、本体12の主本体部分20の開放上端に結合されて本体12から1次空気流を受け入れる開放下端を有する基部90を含む。基部90は、1次空気流をノズル16の環状内部通路92内まで運ぶような形状にされる。ノズル16の外壁70及び内壁72は、一緒にボア軸線Xの周りに延びる内部通路92を形成する。ノズル16の空気出口18は、ノズル16の前端78に位置付けられ、かつ翼の翼弦線C1上に位置付けられる。空気出口18は、好ましくは、環状スロットの形態とされる。スロットは、好ましくは、形状がほぼ円形であり、ボア軸線Xと直交する平面内に位置付けられる。スロットは、好ましくは、0.5mmから5mmの範囲で比較的一定の幅を有する。この例では、空気出口18の幅は、約1mmである。
【0046】
図4(b)に示すように、内部通路92は、空気出口18を通るように1次空気流を誘導する狭い空気チャンネル94を含む。空気チャンネル94は、形状が管状であり、かつ翼の翼弦線C1上に位置する。空気チャンネル94の幅は、空気出口18の幅と同じである。ノズル16のボア軸線Xを含む平面で見た場合、空気チャンネル94は、1次空気流が空気出口18を通って方向D1に放出されるように、翼の翼弦線C1と平行でかつこれとほぼ共線にある図4(b)に示す方向D1に延びる。
【0047】
送風機アセンブリ10を作動させるために、ユーザは、ユーザインタフェースのボタン24を押圧する。ユーザインタフェース制御回路30は、この操作を主制御回路34に伝達し、これに応答して、主制御回路34は、モータ44を起動してインペラ40を回転させる。インペラ40の回転は、1次空気流を空気入口14から本体12内へ引き込む。ユーザは、ユーザインタフェースのダイヤル28を操作することにより、モータ44の速度、従って、空気が空気入口14を通って本体12内へ引き込まれる割合を制御することができる。モータ44の速度に応じて、インペラ40が発生する1次空気流は、10リットル/秒から30リットル/秒とすることができる。1次空気流は、順に、インペラハウジング52と主本体部分20の開放上端における空気出口23とを通ってノズル16の内部通路92へ入る。
【0048】
内部通路92内で、1次空気流は、2つの空気ストリームに分けられ、それらは、ノズル16のボア74の周りで反対方向に通る。空気ストリームが内部通路88を通る時に、空気は、空気出口18を通って放出される。ボア軸線Xを含みかつこれを通る平面で見た場合、1次空気流は、空気出口18を通って方向D1へ放出される。空気出口18からの1次空気流の放出は、外部環境から、具体的にはノズル16の周りの領域から空気を同伴して2次空気流を発生させる。この2次空気流は、1次空気流と結合し、ノズル16から前方に放出される結合空気流又は全体空気流を生成する。
【0049】
図5から図8を参照して、送風機アセンブリ100の第2の実施形態を以下に説明する。第1の実施形態と同様に、送風機アセンブリ100は、1次空気流がそこを通って送風機アセンブリ10に入る空気入口14を含む本体12と、本体12上に取り付けた環状ノズル102とを含み、ノズル102は、送風機アセンブリ10から1次空気流を放出する空気出口104を含む。送風機アセンブリ100の基部12は、送風機アセンブリ10の基部12と同じであるので、ここでは説明しない。
【0050】
ノズル102は、送風機アセンブリ10のノズル16とほぼ同じ形状を有する。詳述すると、ノズル102は、外壁106と、ノズル102の後部で外壁106へ結合された内壁108とを含む。内壁108は、中心のボア軸線Xの周りに延びてノズル102のボア110を形成する。ボア110は、ほぼ円形の断面形状を有し、その直径は、ボア軸線Xに沿ってノズル102の後端112からノズル102の前端114にかけて変動する。
【0051】
特に図7及び図8(a)を参照すると、少なくとも内壁108は、ボア軸線Xを含む平面内で、翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する。この例では、外壁106及び内壁108は、翼の形状、この例では、ノズル12の翼のそれと同じ対称な4桁NACA翼とされる。翼は、ノズル102の後端112の前縁116、ノズル102の前端114の後縁118、及び前縁116と後縁118の間を延びる翼弦線C2を有する。この実施形態において、翼弦線C2は、ボア軸線Xと平行であり、従って、ノズル102の内壁108の大部分は、ボア軸線Xから離れるようにテーパが付いている。この実施形態において、内壁102は、ボア軸線Xから離れるようにテーパのついた前部分120、122と、ボア軸線Xへ向けてテーパのついた後部分124とを有する。前部分は、断面がほぼ円錐形の前部分120と、断面が湾曲して前部分120と後部分124の間を延びる後部分122とを有する。この実施形態において、内壁108の前部分120とボア軸線Xとの間に内在する角度は、約16°である。
【0052】
ノズル102は、本体12の主本体部分20の開放上端に結合されて本体12から1次空気流を受け入れる開放下端を有する基部126を含む。基部126は、1次空気流をノズル102の環状内部通路128内まで運ぶ形状にされる。ノズル102の外壁106及び内壁108は、一緒にボア軸線Xの周りに延びる内部通路128を形成する。内部通路128の形状及び容積は、ノズル16の内部通路92の形状及び容積と実質的に同じである。
【0053】
ノズル16の空気出口104は、ノズル102の前端114にかつ翼の後縁118に位置付けられる。空気出口104は、好ましくは、環状スロットの形態とされる。スロットは、好ましくは、形状がほぼ円形であり、ボア軸線Xと直交する平面内に位置付けられる。スロットは、好ましくは、0.5mmから5mmの範囲で比較的一定の幅を有する。この例では、空気出口104の幅は、約1mmである。空気出口104の直径は、空気出口18の直径と実質的に同じである。
【0054】
図8(b)に示すように、内部通路128は、空気出口104を通るように1次空気流を誘導する空気チャンネル130を含む。空気チャンネル130の幅は、空気出口104の幅と実質的に同じである。この実施形態において、空気チャンネル130は、空気チャンネル130が翼の翼弦線C2に対して及びノズル102のボア軸線Xに対して傾斜するように、空気出口104の近くでボア軸線Xから離れる方向D2に延びる。空気チャンネル130の形状は、空気チャンネル130の断面積が、ボア軸線Xと直交する平面内で見た時に空気出口104の近くで増加するようになっている。
【0055】
方向D2に対するボア軸線X又は翼弦線C2の傾斜の角度θ2は、いずれの値でも取ることができる。角度は、好ましくは、0°と45°の間にある。この実施形態において、傾斜の角度θ2は、ボア軸線Xの周りで実質的に一定であり、約16°である。空気チャンネル130のボア軸線Xに対する傾斜は、従って、内壁108の前部部分120のボア軸線Xに対する傾斜と実質的に同じである。
【0056】
1次空気流は、従って、翼の翼弦線C2に対して及びノズル104のボア軸線Xに対して傾斜した方向D2へノズル102から放出される。1次空気流はまた、ノズル104の内壁108から離れるように放出される。空気チャンネル130がボア軸Xから離れるように延びるように空気チャンネル130の形状を調節することにより、送風機アセンブリ100により発生される合計空気流の流量は、送風機アセンブリ10により発生される合計空気量のそれと比べて1次空気流の所定の流量に関して増加する。いずれの理論にも拘束されることを望まないが、本発明者は、これは、送風機アセンブリ100から放出される1次空気流の外側プロフィールの表面積が増加したことによると考えている。この第2の実施形態において、1次空気流は、ノズル102から外向きにテーパのついたほぼ円錐の形状で放出される。この表面積の増加は、1次空気流とノズル102を取り囲む空気との混合を促進し、1次空気流による2次空気流の同伴を増加させ、それによって合計空気流の流量が増加する。
【0057】
図9から図12を参照して、送風機アセンブリ200の第3の実施形態を以下に説明する。第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、送風機アセンブリ200は、1次空気流がそこを通って送風機アセンブリ10に入る空気入口14を含む本体12と、本体12上に取り付けた環状ノズル202とを含み、ノズル202は、送風機アセンブリ10から1次空気流を放出する空気出口204を含む。送風機アセンブリ200の基部12は、送風機アセンブリ10の基部12と同じであるので、ここでは説明しない。
【0058】
ノズル202は、上述のノズル16、102の形状とは少し異なる形状を有する。ノズル16、102と同様に、ノズル202は、外壁206と、ノズル202の後部で外壁206へ結合された内壁208とを含む。内壁208は、中心のボア軸線Xの周りに延び、ノズル202のボア210を形成する。ボア210はほぼ円形の断面形状を有し、その直径は、ボア軸線Xに沿ってノズル202の後端212からノズル202の前端214にかけて変動する。
【0059】
特に図11及び図12(a)を参照すると、少なくとも内壁208は、ボア軸線Xを含む平面内で、翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する。この例では、外壁206及び内壁208は、翼の形状、この例では、対称な4桁NACA翼とされる。翼は、ノズル202の後端212の前縁216、ノズル202の前端214の後縁218、及び前縁216と後縁218の間を延びる翼弦線C3を有する。
【0060】
翼弦線C3は、ボア軸線Xに対して傾斜する。翼弦線C3とボア軸線Xの間に内在する角度は、いずれの値でも取ることができる。この値は、好ましくは、0°から45°までの範囲にある。この実施形態において、翼弦線C3は、前縁216から後縁218まで延びる方向にボア軸線Xに向けて約16°だけ傾斜する。その結果、ノズル202の内壁208の大部分は、ボア軸線Xに向けてテーパが付く。この実施形態において、内壁202は、ボア軸線Xから離れるようにテーパのついた前部分220と、ボア軸線Xへ向けてテーパのついた後部分222、224とを有する。前部分220は、断面がほぼ円錐形であり、内壁208の前部分220とボア軸線Xとの間に内在する角度は、0°から5°の範囲にある。
【0061】
上述したように、ノズル202は、本体12の主本体部分20の開放上端に結合されて本体12から1次空気流を受け入れる開放下端を有する基部226を含む。基部226は、1次空気流をノズル202の環状内部通路228内まで運ぶ形状にされる。ノズル202の外壁206及び内壁208は、一緒にボア軸線Xの周りに延びる内部通路228を形成する。内部通路228の容積は、第1の実施形態及び第2の実施形態におけるノズル16、102の内部通路92、128の容積と実質的に同じである。
【0062】
ノズル202の空気出口204は、ノズル202の前端214にかつ翼の後縁218に位置付けられる。空気出口204は、好ましくは、環状スロットの形態とされる。スロットは、好ましくは、形状がほぼ円形であり、ボア軸線Xと直交する平面内に位置付けられる。スロットは、好ましくは、0.5mmから5mmの範囲で比較的一定の幅を有する。この例では、空気出口204の幅は、約1mmである。空気出口204の直径は、第1の実施形態及び第2の実施形態における空気出口18、104の直径と実質的に同じである。
【0063】
図12(b)に示すように、内部通路228は、空気出口204を通るように1次空気流を誘導する空気チャンネル230を含む。空気チャンネル230の幅は、空気出口204の幅と実質的に同じである。しかし、この実施形態において、空気チャンネル230は、形状が全体的に管状であり、ボア軸線Xとほぼ平行に延びる方向D3に空気出口204まで延びる。空気チャンネル230は、従って、翼の翼弦線C3に対して傾斜する。この実施形態において、1次空気流が空気出口204から放出される方向D3に対する翼弦線C3の傾斜の角度θ3は、ボア軸線Xの周りで実質的に一定であり、約16°である。
【0064】
従って、空気チャンネル230が翼の翼弦線C3から離れるように傾斜していることにより、空気流は、ノズル202の前端214からほぼ円筒形の形状で、しかし、ここでもまたノズル202の内壁208から離れるように放出される。一方、空気チャンネル230がノズル16の空気チャンネル94と同様に構成されると、すなわち、翼の翼弦線C3に沿う方向に延びると、空気流は、ノズル202の前端214からほぼ内向きにテーパのついた円錐の形状で放出される。空気チャンネル230が翼の翼弦線C3から離れるように傾斜し、それによって発生する1次空気流の外側プロフィールの表面積が増加する結果、送風機アセンブリ200により発生される合計空気流の流量が増加可能である。
【0065】
図13から16を参照して、送風機アセンブリ300の第4の実施形態を以下に説明する。第1の実施形態から第3の実施形態と同様に、送風機アセンブリ300は、1次空気流がそこを通って送風機アセンブリ10に入る空気入口14を含む本体12と、本体12上に取り付けた環状ノズル302とを含み、ノズル302は、送風機アセンブリ10から1次空気流を放出する空気出口304を含む。送風機アセンブリ300の本体12は、送風機アセンブリ10の本体12と同じであるので、ここでは説明しない。
【0066】
ノズル302は、送風機アセンブリ200のノズル202の形状と同じ形状を有する。ノズル302は、外壁306と、ノズル302の後部で外壁306へ結合された内壁308とを含む。内壁308は、中心のボア軸線Xの周りに延びて、ノズル302のボア310を形成する。ボア310はほぼ円形の断面形状を有し、その直径は、ボア軸線Xに沿ってノズル302の後端312からノズル302の前端314にかけて変動する。
【0067】
特に図15及び図16(a)を参照すると、少なくとも内壁308は、ボア軸線Xを含む平面内で、翼の表面の一部の形状にされた断面プロフィールを有する。この例では、外壁306及び内壁308は、翼の形状、この例では、対称な4桁NACA翼とされる。
【0068】
翼は、ノズル302の後端312の前縁316、ノズル302の前端314の後縁318、及び前縁316と後縁318の間を延びる翼弦線C4を有する。第3の実施形態と同様に、翼弦線C4は、ボア軸線Xに対して傾斜する。この実施形態でも、前縁316から後縁318まで延びる方向において、翼弦線C4は、ボア軸線Xに向けて約16°だけ傾斜する。その結果、ここでもまた、ノズル302の内壁308の大部分は、ボア軸線Xに向けてテーパが付く。この実施形態において、内壁302は、ボア軸線Xから離れるようにテーパのついた前部分320と、ボア軸線Xへ向けてテーパのついた後部分322、324とを有する。前部分320は、断面がほぼ円錐形であり、内壁308の前部分320とボア軸線Xとの間に内在する角度は、0°から5°の範囲にある。
【0069】
上述したように、ノズル302は、本体12の主本体部分20の開放上端に結合されて本体12から1次空気流を受け入れる開放下端を有する基部326を含む。基部326は、1次空気流をノズル302の環状内部通路328内まで運ぶ形状にされる。ノズル302の外壁306及び内壁308は、一緒にボア軸線Xの周りに延びる内部通路328を形成する。内部通路328の大きさ及び容積は、ノズル200の内部通路228の容積と実質的に同じである。
【0070】
ノズル302の空気出口304は、ノズル302の前端314にかつ翼の後縁318に位置付けられる。空気出口304は、好ましくは、環状スロットの形態とされる。スロットは、好ましくは、形状がほぼ円形であり、ボア軸線Xと直交する平面内に位置付けられる。スロットは、好ましくは、0.5mmから5mmの範囲で比較的一定の幅を有する。この例では、空気出口304の幅は、約1mmである。空気出口304の直径は、第1の実施形態から第3の実施形態における空気出口18、104、204の直径と実質的に同じである。
【0071】
図16(b)に示すように、内部通路328は、空気出口304を通るように1次空気流を誘導する空気チャンネル330を含む。空気チャンネル330の幅は、空気出口304の幅と実質的に同じである。しかし、この第4の実施形態において、第2の実施形態と同様に、空気チャンネル330は、空気出口304までボア軸線X及び翼弦線C4の両方から離れるように延びる方向D4に延びる。この実施形態において、1次空気流が空気出口304から放出される方向D4に対するボア軸線Xの傾斜の角度は、方向D4に対する翼弦線C4の傾斜の角度とは異なる。この実施形態において、1次空気流が空気出口304から放出される方向D4に対する翼弦線C4の傾斜の角度θ4は、ボア軸線の周りで実質的に一定であり、かつ約32°であり、一方、ボア軸線Xに対する翼弦線C4の傾斜により、方向D4に対するボア軸線Xの傾斜の角度は、約16°である。更に、空気チャンネル330が空気出口304まで延びる方向D4に対する翼弦線C4の傾斜の角度θ4の比較的大きな値によって、空気出口304は、翼弦線C4から離間する。ここでもまた、1次空気流は、ノズル304の内壁308から離れるように放出される。
【0072】
従って、第3の実施形態と比較して、翼弦線から離れる空気チャンネル330の傾斜が増加したために、第2の実施形態と同様に、空気流は、ノズル302の前端314からほぼ外向きに広がる円錐の形状で放出される。空気チャンネル330がボア軸線Xから離れるように傾斜し、それによって発生する1次空気流の外側プロフィールの表面積が増加する結果、送風機アセンブリ300により発生される合計空気流の流量は、送風機アセンブリ200により発生される合計空気流のそれと比較して増加する。
【符号の説明】
【0073】
102 ノズル
104 空気出口
106 外壁
108 内壁
128 内部通路
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10
図11
図12(a)】
図12(b)】
図13
図14
図15
図16(a)】
図16(b)】