特許第5778309号(P5778309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5778309水素製造触媒およびそれを用いた水素製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778309
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】水素製造触媒およびそれを用いた水素製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/83 20060101AFI20150827BHJP
   B01J 23/887 20060101ALI20150827BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20150827BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   B01J23/83 M
   B01J23/887 M
   B01J23/89 M
   C01B3/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-93633(P2014-93633)
(22)【出願日】2014年4月30日
(62)【分割の表示】特願2010-59897(P2010-59897)の分割
【原出願日】2010年3月16日
(65)【公開番号】特開2014-159031(P2014-159031A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2014年4月30日
(31)【優先権主張番号】特願2009-64879(P2009-64879)
(32)【優先日】2009年3月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(74)【代理人】
【識別番号】100149021
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 有佳理
(72)【発明者】
【氏名】岡村 淳志
(72)【発明者】
【氏名】吉宗 壮基
(72)【発明者】
【氏名】桐敷 賢
(72)【発明者】
【氏名】常木 英昭
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−330802(JP,A)
【文献】 特開昭52−018485(JP,A)
【文献】 特開平02−198639(JP,A)
【文献】 特開2004−195454(JP,A)
【文献】 特開2004−307326(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1506299(CN,A)
【文献】 特開2010−207783(JP,A)
【文献】 安部敏行ら,工業用アンモニア精製技術の開発,太陽日酸技報,2004年,No.23、86〜87ページ,インターネット(検索日:2015年2月17日)https://www.tn-sanso-giho.com/pdf/23/19.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C01B3/00−6/34
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアと酸素を含むガス中のアンモニアを分解して水素を製造するための水素製造用触媒であって、
当該触媒が、コバルト、ニッケル、鉄およびモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属とを触媒成分として含み、かつ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリアおよび酸化ランタンからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を含有し、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が触媒100質量部に対して0.1〜20質量部であることを特徴とする水素製造用触媒。
【請求項2】
請求項1記載の触媒を用いて、アンモニアと酸素を含むガス中のアンモニアを分解し、水素を製造することを特徴とする水素製造方法。
【請求項3】
酸素/アンモニアのモル比を0.05以上0.75未満とする請求項2記載の水素製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水素製造触媒およびその触媒を用いた水素製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素製造技術については、他の工業プロセス、例えば、鉄鋼製造プロセスからの副生水素や、石炭・石油の改質により製造される水素等がある。かかるプロセスから生じる水素は設備依存性が強く、適宜、簡便に水素を利用するという面では利便性が少ないものである。
【0003】
一方、簡便に水素を得る手段として、アンモニアの分解反応を利用する方法がある。反応式はNH → 0.5N + 1.5Hである。この反応は10.9kcal/molの大きな吸熱反応であることから、系外からの反応熱供給が必要となる。この反応熱の供給方法として、アンモニアやアンモニア分解反応で生成した水素の一部を燃焼し、その燃焼熱をアンモニア分解の反応熱として用いるオートサーマルリフォーマー(ATR)がある(特許文献1,非特許文献1)。燃焼反応はNH + 0.75O → 0.5N + 1.5HO;H + 0.5O → HOである。ATRに用いる触媒としては、Ruをアルミナに担持した触媒(特許文献1)、Pt、Rhをアルミナに担持した触媒(非特許文献1)がある。
【0004】
しかし、これらの触媒を用いるとき、触媒組成によっては反応制御が難しく、定常的に一定濃度の水素を得ることは容易ではないことがある。また、触媒層温度が変化することでアンモニア改質器が損傷したり、触媒の劣化を招くことがある。
【0005】
これらの要因からアンモニア分解反応が不安定となり、分解率が充分でないと、反応後のガスに多量のアンモニアが残存することとなり、水素燃料として質の良くない燃料を提供することになる。また、先に提案されている触媒は、いずれも希少金属で資源的制約のあるRu、Rh、Pt等の貴金属元素を触媒活性成分としたものであるため、高価なものとなりコスト面で実用上、問題が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/87770号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】室井高城著「工業貴金属触媒」幸書房、2003年5月26日、p297
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、アンモニアを分解し効率的にアンモニアを水素へ変換するための触媒およびこれを用いた水素製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の結果、下記触媒および当該触媒を用いることで、特殊な条件下でアンモニアから水素の製造方法を見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明にかかる触媒は、アンモニアと酸素を含むガス中のアンモニアを分解して水素を製造するための水素製造用触媒であって、コバルト、ニッケル、鉄およびモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を触媒成分として含むことを特徴とするものである。
【0011】
前記触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類元素を含有することが好ましい。また、前記触媒は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を含有することも好ましい。
【0012】
本発明にかかる水素製造方法は、上記触媒を用いて、アンモニアと酸素を含むガス中のアンモニアを分解し、水素を製造することを特徴とするものである。この製造方法において、酸素/アンモニアのモル比を0.05以上0.75未満とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、アンモニアを分解し水素を得る方法として、過大な加熱をすることなく、自立的な反応を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、アンモニア分解反応による水素製造にATRを用いるが、その際に上記の水素製造用触媒を用いるところに特徴を有する。詳しくは、アンモニア分解反応に必要な熱量を、アンモニア分解反応に先んじてアンモニア燃焼反応を行うことにより得て、この熱量を同一触媒上に供給するものである。酸素添加量の増加にともない燃焼熱が増加するため、分解反応の速度は向上するが、過剰な酸素添加により触媒層が分解反応に必要な温度より過度に高い温度になると、触媒の熱劣化が引き起こされるため、触媒の性能や寿命を損なうことになり好ましくない。加えて、過剰な酸素添加は、アンモニアからの水素収率を低下させることとなるため、効率的な水素製造の観点からも好ましくない。酸素/アンモニアのモル比は0.05以上0.75未満が好ましく、0.1以上0.5以下がより好ましい。
【0015】
空間速度(SV)は、100〜700,000h−1、好ましくは1,000〜100,000h−1の範囲にあるのがよい。100h−1未満である場合は、反応器が大きすぎ非効率的であり、700,000h−1を超える場合は、反応率が低下して水素収率が低下する。
【0016】
反応温度は、150〜1,000℃、好ましくは200〜800℃である。
【0017】
当該アンモニアと酸素とのガスに、窒素などの反応に不活性なガスを添加することもできる。不活性ガスの添加量は、アンモニアに対して5〜50容量%、好ましくは20〜30容量%である。
【0018】
本発明にかかる触媒成分は、コバルト、鉄、ニッケルおよびモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含むものであり、好ましくは、コバルト、ニッケルおよびモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含むものである。各元素は単独酸化物として用いることもできるが、各々複合化した複合酸化物、固溶体酸化物として用いることもできる。例えば、コバルト−ランタン、ニッケル−ランタン、コバルト−モリブデンなどの複合酸化物として用いてもよい。複合酸化物としては、X線回折による分析において、独特の結晶ピークを有するもの、不定形を示すものの何れであっても良い。また、上記各元素は、金属、窒化物、炭化物の状態として反応に適した状態とした後に用いることもできる。
【0019】
また、当該触媒に、アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類元素(以下、これらを「添加成分」と称する)を含有することもできる。添加成分は触媒100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部含有することができる。
【0020】
更に、当該触媒は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウム(以下、これらを「酸化物成分」と称する)からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を含有することもできる。当該酸化物成分は、触媒成分が、例えば、複合酸化物、固溶体酸化物のような酸化物系触媒成分であれば、酸化物系触媒成分100質量部に対して5〜90質量部、好ましくは10〜80質量部含有させることができる。また、非酸化物系の金属系触媒成分に対しては3〜60質量部、好ましくは5〜30質量部含有させることができる。これらの酸化物成分は担体として機能する。
【0021】
触媒調製方法としては、触媒を調製する通常の方法を用いることができる。例えば、酸化物系触媒成分であれば、(1)各成分の酸化物を所定の形状に成型して触媒とする方法、(2)担体となる酸化物成分を、酸化物系触媒成分の前駆体である元素の溶液に浸し、乾燥・焼成し、酸化物系触媒成分を担体となる酸化物成分に担持し、触媒とする方法、(3)複数の酸化物系触媒成分を混合するときに各々の成分を別個の担体となる酸化物成分に含浸し、乾燥・焼成後、粉体とし、粉体同士を混合する方法、(4)各酸化物系触媒成分同士を混合し所定の形状に成型し、触媒とする方法、(5)複合酸化物、固溶体酸化物などの金属酸化物を構成する元素の水溶性金属塩を所定量含む金属塩含有水溶液を調製し、当該水溶液をアンモニア、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの塩基性物質を溶解させた強塩基性水溶液中に加え、金属水酸化物を析出させ、当該金属水酸化物をろ過、水洗、回収して乾燥後、熱処理して目的とする複合酸化物、固溶体酸化物を調製する方法(6)所定量の金属酸化物や金属炭酸塩などを粉末状態で乳鉢等を用いて混合し、当該混合粉体を熱処理して目的とする複合酸化物、固溶体酸化物を調製する方法などの方法をとることができる。
【0022】
また、非酸化物系の金属系触媒成分についても通常の方法を用いることができる。例えば、(1)当該金属系触媒成分の元素を含む水溶液に担体となる酸化物成分を浸し、乾燥・焼成した後に還元処理して触媒とする方法、(2)触媒構成元素の水溶性金属塩を所定量含む金属塩含有水溶液を調製し、当該水溶液をアンモニア、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、TMAHなどの塩基性物質を溶解させた強塩基性水溶液中に加え、金属水酸化物を析出させ、当該金属水酸化物をろ過、水洗、回収して乾燥後、還元処理する方法などを採用することができる。また、当該触媒は一定の形に成型して使用することができ、リング状、馬蹄形、ハニカム、球状、円柱状等に成型し、使用することができる。また触媒を、ハニカムやコルゲートなどのモノリス、球状、サドル状の不活性の構造体に被覆して用いることもできる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例と比較例を用いて更に詳細に本発明の効果等を示すが、本発明の趣旨に反さない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0024】
(実施例1)
硝酸コバルト六水和物34.92g、硝酸セリウム六水和物5.21gおよびジルコゾール(登録商標)ZN(第一稀元素化学工業株式会社製のオキシ硝酸ジルコニウム水溶液:酸化ジルコニウムとして25質量%含有)5.91gを蒸留水500mLに添加、混合し、均一水溶液を調製した。当該溶液を、攪拌している500mLの蒸留水に水酸化カリウム88.6gを溶解させた溶液に、滴下して沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を、ブフナー漏斗を用いてろ過し、純水で水洗後、120℃で一晩乾燥させた。その後、乾燥固体を粉砕し、管状炉に充填して10容量%水素ガス(窒素希釈)を用いて450℃で1時間還元し、コバルト含有セリア−ジルコニア触媒を得た。次いで、硝酸セシウムを用いて、乾燥した触媒の吸水量と同じ体積の含浸液がセシウム換算で1質量%になるように水溶液を調製し、触媒に対して均一になるように含浸した。600℃の水素処理を1時間実施し、セシウム修飾コバルト含有セリア−ジルコニア触媒を得た(触媒1)。
【0025】
(実施例2)
硝酸コバルト六水和物14.6g、硝酸ランタン六水和物21.7gを純水400mLに投入し、コバルト−ランタン混合水溶液を調製した。7.7質量%TMAH水溶液589.1gを用い純水を追加して液量約2Lにした希釈TMAH水溶液を激しく撹拌した中に、コバルト−ランタン混合水溶液を1時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、30分程度撹拌を継続することで熟成を行った。ブフナー漏斗を用いてろ過し、純水で水洗後、110℃で乾燥し、乾燥物を粉砕後、空気雰囲気中、400℃で1時間、更に昇温して650℃で2時間焼成して、ペロブスカイト構造を有するランタン−コバルト複合酸化物を得た(触媒2)。
【0026】
(実施例3)
硝酸ニッケル六水和物11.6g、硝酸ランタン六水和物17.3gを純水400mLに投入し、ニッケル−ランタン混合水溶液を調製した。7.7質量%TMAH水溶液471.2gを用い純水を追加して液量約2Lにした希釈TMAH水溶液を激しく撹拌した中に、ニッケル−ランタン混合水溶液を1時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、30分程度撹拌を継続することで熟成を行った。ブフナー漏斗を用いてろ過し、純水で水洗後、110℃で乾燥し、乾燥物を粉砕後、空気雰囲気中、400℃で1時間、更に昇温して650℃で2時間焼成して、ペロブスカイト構造を有するニッケル−ランタン複合酸化物を得た(触媒3)。
【0027】
(実施例4)
硝酸コバルト六水和物80.00gを蒸留水400.00gに溶解させた。別に、モリブデン酸アンモニウム48.53gを沸騰させた蒸留水250gに徐々に添加し、溶解させた。両液を混合した後、加熱攪拌して蒸発乾固させた。固形物を120℃で10時間乾燥させた後、窒素気流下350℃で5時間焼成、空気気流下500℃で3時間焼成した。これをX線回折測定により確認したところ、α−CoMoOであった。
【0028】
次に、硝酸セシウム0.089gを蒸留水3.23gに溶解し、これを当該α−CoMoO6.00gに滴下し、均一に浸透させた。90℃で10時間乾燥させ、更に、SUS316製反応管に上記セシウムを含むα−CoMoOを0.5〜1.0mL充填し、窒素を30〜50mL/minで流しながら400℃まで昇温した後、アンモニアを50〜100mL/minで流しながら700℃まで昇温し、700℃で5時間保持する処理(窒化処理)を行い、触媒を得た(触媒4)。
【0029】
(実施例5)
硝酸ニッケル六水和物34.89g、硝酸セリウム六水和物5.21gおよびジルコゾール(登録商標)ZN(第一稀元素化学工業株式会社製のオキシ硝酸ジルコニウム水溶液:酸化ジルコニウムとして25質量%含有)5.91gを蒸留水500mLに添加、混合し、均一水溶液を調製した。当該溶液を、500mLの蒸留水に水酸化カリウム88.6gを溶解させた溶液中に、攪拌しながら滴下して沈殿物を生成させた。得られた沈殿物をブフナー漏斗を用いてろ過し、純水で水洗後、120℃で一晩乾燥させた。その後、乾燥固体を粉砕し、管状炉に充填して10容量%水素ガス(窒素希釈)を用いて450℃で1時間還元し、ニッケル含有セリア−ジルコニア触媒を得た。次いで、硝酸セシウムを用いて、乾燥した触媒の吸水量と同じ体積の含浸液がセシウム換算で1質量%になるように水溶液を調製し、触媒に対して均一になるように含浸した。600℃の水素処理を1時間実施し、セシウム修飾ニッケル含有セリア−ジルコニア触媒を得た(触媒5)。
【0030】
(実施例6)
和光純薬工業株式会社製の三酸化モリブデンを加圧成型・破砕・分級した。0.71〜1.18mmの粒子0.995gをSUS製反応管に充填、管状炉に設置し、メタン4mL/minおよび水素3mL/min流通下で室温から毎分20℃の昇温速度で550℃まで昇温、引き続いて毎分1℃で720℃まで昇温し、流通ガスを窒素30mL/minに切り替え、降温して炭化モリブデン触媒を得た(触媒6)。
【0031】
(実施例7)
実施例2で調製した触媒2に、硝酸セシウムを用いて乾燥した触媒の吸水量と同じ体積の含浸液がセシウム換算で5質量%になるように水溶液を調製し、触媒に対して均一になるように含浸した。含浸後、十分に乾燥し、次いで、600℃の水素処理を1時間実施し、セシウム修飾ランタン−コバルト複合酸化物を得た(触媒7)。
【0032】
(実施例8)
硝酸マンガン六水和物6.6g、硝酸コバルト六水和物25.34gおよび硝酸銀1.47gを蒸留水に溶解させ、当該水溶液中に炭酸セリウム粉末19.55gを添加した。次いで、ホットスターラーで撹拌しながら昇温して乾固物を得た。当該乾固物を150℃で一晩乾燥させた。その後、乾燥固体を粉砕し、空気雰囲気下、500℃で2時間焼成して触媒を得た(触媒8)。
【0033】
(実施例9)
実施例8で調製した触媒8に、水酸化セシウムを用いて乾燥した触媒の吸水量と同じ体積の含浸液がセシウム換算で1質量%になるように水溶液を調製し、触媒に対して均一になるように含浸した。含浸後、十分に乾燥し、触媒9を得た(触媒9)。
【0034】
(実施例10)
実施例8における硝酸銀1.47gを硝酸銅三水和物3.04gに変更した以外は、実施例8と同様にして触媒を得た(触媒10)。
【0035】
(実施例11)
実施例8における硝酸コバルト六水和物25.34gを硝酸ニッケル六水和物27.25gに変更した以外は、実施例8と同様にして触媒を得た(触媒11)。
【0036】
(比較例1)
白金含有率8.19質量%のジニトロジアンミン白金硝酸溶液4.37gとパラジウム含有率14.03質量%のジニトロジアンミンパラジウム硝酸溶液1.20gを混合し、10gのγ−アルミナ(BET比表面積58.5m/g)粉体に均一になるように含浸
し、白金換算で3.4質量%、パラジウム換算で1.6質量%になるように調製後、90〜120℃で乾燥を行った。その後、500℃で1時間焼成、その後450℃で2時間の水素還元を行い、3.4質量%白金−1.6質量%パラジウム担持γ−アルミナを得た(触媒12)。
【0037】
(比較例2)
パラジウム含有率14.03質量%のジニトロジアンミンパラジウム硝酸溶液3.75gを、10gのγ−アルミナ(BET比表面積58.5m/g)粉体に均一になるように含浸し、パラジウム換算で5質量%になるように調製後、90〜120℃で乾燥を行った。その後、500℃で1時間焼成、その後450℃で2時間の水素還元を行い、5質量%パラジウム担持γ−アルミナを得た(触媒13)。
【0038】
(水素製造反応)
実施例1から7で得られた触媒および比較例で得られた触媒12、13を、99.9容量%以上の純度のアンモニアと空気を用いて、酸素/アンモニアのモル比0.15でアンモニア分解による水素製造反応を行った(常圧下、SV=6,000h−1)。反応温度を変更して水素収率を測定した。結果は表1に示した。
【0039】
実施例1および8から11で得られた触媒を、99.9容量%以上の純度のアンモニアと空気を用いて、酸素/アンモニアのモル比0.15でアンモニア分解による水素製造反応を行った(常圧下、SV=18,000h−1)。反応温度を変更して水素収率を測定した。結果は表2に示した。
【0040】
なお、水素収率(%)は以下の式で求めた。
【0041】
【数1】
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、アンモニアを酸素存在下に触媒により燃焼し、当該発生熱量をアンモニア分解反応に直接利用することで効率的に水素を製造することが可能な触媒および水素製造方法であり、新規な水素製造プロセスを提供するものである。得られた水素は燃料電池、水素を燃焼してエネルギーを得る装置の燃料として用いることができる。