(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5778323
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】金属融解装置
(51)【国際特許分類】
B22D 41/005 20060101AFI20150827BHJP
F27B 14/10 20060101ALI20150827BHJP
A61C 13/20 20060101ALI20150827BHJP
H05B 6/24 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
B22D41/005
F27B14/10
A61C13/20 C
H05B6/24
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-150703(P2014-150703)
(22)【出願日】2014年7月24日
【審査請求日】2014年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(74)【代理人】
【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】黒原 久美子
(72)【発明者】
【氏名】金子 真幸
(72)【発明者】
【氏名】粂田 治庸
(72)【発明者】
【氏名】繁澤 麻紗子
(72)【発明者】
【氏名】門林 勇生
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−314956(JP,A)
【文献】
特開2003−185345(JP,A)
【文献】
特開2003−194471(JP,A)
【文献】
特開平04−028996(JP,A)
【文献】
特開平08−269695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 33/00−47/02
F27B 14/10
H05B 6/24
A61C 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に金属が収容される坩堝と、
前記坩堝の周縁に、これを包囲するように配置され、高周波信号が供給されて、前記坩堝内に磁束を発生させて、前記金属を誘導加熱するコイルとを、
有し、
前記坩堝の内壁が、傾斜面と、前記傾斜面に連続して形成され長尺状の平面を有する内面底部とからなり、
前記坩堝の内壁の傾斜面が、前記坩堝における前記金属の収容用の上部開口側に第1の傾斜面を有し、前記内面底部側に第2の傾斜面を有し、前記第2の傾斜面は、前記坩堝の上下方向に沿う直線に対して前記第1の傾斜面よりも急勾配であり、
前記坩堝は、上下方向に沿うと共に前記内面底部の長尺方向を通る分割面によって複数の坩堝形成部材に分割形成されている
金属融解装置。
【請求項2】
請求項1記載の金属融解装置において、前記坩堝の前記内面底部が、長方形である金属融解装置。
【請求項3】
請求項1記載の金属融解装置において、前記坩堝の前記内面底部が、楕円形である金属融解装置。
【請求項4】
請求項1記載の金属融解装置において、前記坩堝の分割面は、前記複数の坩堝形成部材の内面底部の長辺に沿って前記坩堝を分割する金属融解装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか記載の金属融解装置において、前記坩堝の内面底部は、前記坩堝の下縁よりも上方に位置し、前記コイルが発生する磁束が密な位置に前記金属が位置するように、前記底の厚さが決定されている金属融解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、例えば義歯製造用の金属を融解する金属融解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したような型の金属融解装置を備えた鋳造装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1の技術では、坩堝は、その上部にフランジを有し、下端が底になったもので、坩堝の中央を上下に通る中心面によって2つの坩堝形成部材に分割形成されている。これら坩堝形成部材は、坩堝台に上下方向に貫通して形成した孔に挿通され、坩堝台の上面に、坩堝形成部材のフランジが接触して支持されている。坩堝形成部材は、坩堝台によって支持されている状態では外方に坩堝形成部材の下部が回転しているように構成され、この回転を阻止して坩堝を閉じるように、先端に上方に突出した接触部を有する坩堝開閉爪によって坩堝形成部材の下方が内側に押圧され、坩堝内に金属が収容可能な状態とされている。この状態では、坩堝のフランジの下面が坩堝支持台の上面に接触している。坩堝の周囲に配置された高周波誘導加熱コイルに高周波電流が供給されたとき、金属が加熱され、融解され、坩堝開閉爪をソレノイドによって駆動して、坩堝の外方に移動させて、坩堝の下部を開いて、坩堝の下側に配置された鋳型に融解金属を鋳込む。
【0003】
特許文献1と同様に、坩堝の中央を上下に通る中心面によって2つの坩堝形成部材に分割形成し、坩堝形成部材の下部を開閉させる方式としては、他にも特許文献2〜5があげられる。特許文献2〜5も、2つに分割された坩堝形成部材がフランジを有し、坩堝台に形成された孔に坩堝が挿入され、フランジが坩堝台の平らな上面に載置されて保持されており、各坩堝形成部材が互いに接触された拘束状態にされている。金属が加熱され、融解されると、この拘束状態を開放し、坩堝の下部を開いて、坩堝の下側に配置された鋳型に融解金属を鋳込むようにしている。ここで、これら特許文献1〜5、及び特許文献6の坩堝は、
図6(a)、(b)に示すように、その内面底部形状100が、円錐形または、円錐形を途中で切断した形状をし、内面底部と坩堝の内側壁が、
図6(b)に示すように緩やかな傾斜面102で結ばれている。そしてこの内面底部100から融解した金属が排出され、坩堝の下に位置する鋳型に落下されて、鋳造が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4088066号公報
【特許文献2】特開2004−181499号公報
【特許文献3】特開2001−314956号公報
【特許文献4】特開平07−185779号公報
【特許文献5】特開平05−228606号公報
【特許文献6】特開平06−277236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜6の技術によれば、坩堝の内面底部100がほぼ円形であるため、内面底部100で融解した金属は、
図6(b)に斜線で示すように、坩堝の底部の排出部から近い所から遠い所に渡り、上から見て円形に広がって坩堝の底に溜まる。この状態で坩堝内の融解金属を鋳型に排出すると、排出箇所から近い場所と遠い場所とでは、鋳込み時間に差が生じ、特に金属が大量の場合には鋳造が良好に行えない可能性がある。また、坩堝の底の形状が円錐形だと、底の部分の容積が小さく、大量の金属を融解すると、溶けた金属の高さが坩堝の底から上部まで上がってしまい、坩堝を取り囲むコイルの中心高さから外れて、効率よく金属を融解できないことがある。
【0006】
本発明は、融解する金属が大量であっても、坩堝内の金属を効率的に融解することができる金属融解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1態様の金属融解装置は、例えば鋳造装置の一部として使用されるもので、坩堝を有している。坩堝は、内部に金属が収容されるもので、坩堝の周縁に、これを包囲するようにコイルが配置されている。コイルには、高周波信号が供給されて、前記坩堝内に磁束を発生させて、前記金属を誘導加熱する。
前記坩堝は、その内壁が、傾斜面と、前記傾斜面に連続して形成され長尺状の平面を有する内面底部とからなっている。前記傾斜面は、前記坩堝における前記金属の収容用の上部開口側に第1の傾斜面を有し、前記内面底部側に第2の傾斜面を有している。前記第2の傾斜面は、上下方向に沿う直線に対して前記第1の傾斜面よりも急勾配である。前記坩堝は、上下方向に沿い、かつ前記内面底部の長尺方向を通る分割面によって複数の坩堝形成部材に分割形成されている。
【0008】
このように構成された金属融解装置では、大量の金属を溶かす場合でも、内面底部の容積が大きいため、高周波誘導加熱によって効率的に融解される。また、溶けた金属は、容積の大きな坩堝の内面底部の長尺状の平面に沿って長尺状に広がるため、迅速かつ滑らかに融解金属を鋳型に落下することができ、鋳込み時間に生じるタイムラグを低減することができる。
また、坩堝が分割形成されているので、下方を開くことによって融解された金属を、坩堝の下方に配置した鋳型に鋳込むことができ、融解金属が傾斜面に沿って流れるので、円滑に融解金属が流れ、迅速に鋳型に融解金属を鋳込むことができる。更に、坩堝の内面底部に近い第2の傾斜面が前記坩堝の上下方向に沿う直線に対して急勾配になっているので、融解金属をより迅速に鋳型に落下させることができる。
【0009】
坩堝の内面は、長方形状とすることができる。坩堝内で融解された金属は、底面側では長方形状に溜まり、上部に行くに従って、円錐状に溜まる。この状態で例えば坩堝を
開くと、長方形の長辺に沿って広がった金属が一気に鋳型に落下するため、迅速に、また長辺にそって滑らかに鋳込まれるので、鋳込み時間に
タイムラグが生じにくく、鋳型内に均一に金属を鋳込むことができる。
【0010】
坩堝の内面は、楕円形状とすることもできる。このように構成すると、内面底部に角部を無くすことができ、融解金属が角部に残ることを防止できる。同じ理由から、角部の面取りをした長方形としても、良好に融解金属を鋳込むことができる。
【0013】
前記坩堝の分割面は、前記複数の坩堝形成部材の内面底部の長辺に沿って前記坩堝を分割するものとすることができる。このように構成すると、長方形の長辺に沿って広がった金属が一気に鋳型に落下するため、鋳込み時間に生じるタイムラグを低減することができる。
【0014】
前記坩堝の内面底部は、前記坩堝の下縁よりも上方に位置し、前記コイルが発生する磁束が密な位置に
前記金属が位置するように、前記底の厚さが決定されている。このように構成すると、磁束密度が大きい場所に金属を配置することができ、金属を効率よく融解することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、坩堝内において金属を磁束の密な場所に位置させることができ、効率的に金属を融解することができ、溶けた金属を迅速に鋳型に落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の1実施形態の金属融解装置において坩堝形成部材を共に閉じた状態の縦断面図である。
【
図2】
図1の金属融解装置において坩堝形成部材の一方を開いた状態の縦断面図である。
【
図3】
図1の金属融解装置において坩堝形成部材の両方を開いた状態の縦断面図である。
【
図4】
図1の金属融解装置の主要部の部分省略斜視図である。
【
図5】本発明の1実施形態の坩堝形成部材の縦断面図及び平面図である。
【
図6】従来の坩堝形成部材の縦断面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の1実施形態の金属融解装置は、義歯鋳造装置の一部として使用されるもので、坩堝2を有している。坩堝2は、後述するように分割形成されており、その下方が開くように構成され、金属、例えば義歯製造用金属の融解後に、坩堝2を開いて、坩堝2の下方に配置された鋳型、例えば義歯製造用の鋳型(図示せず)に融解金属を落下させて、鋳込むものである。
【0018】
具体的には、坩堝2は、
図4に示すように、内部が空洞の細長い倒立した円錐台状に形成され、
図1に示すように、その内部に義歯製造用金属3を収容して、後述するように高周波誘導加熱によって、金属を融解する。この坩堝2の内面底部5は、その平面形状が長方形のもので、坩堝2の下端よりも上方に位置している。その坩堝2の上端の周縁には、例えば円環状のフランジ4が形成されている。
【0019】
この坩堝2は、その中心を上下方向に通る例えば1つの分割面によって複数、例えば2つの坩堝形成部材2a、2bに分割形成されている。坩堝形成部材2aにあるフランジ4をフランジ4a、坩堝形成部材2bにあるフランジ4をフランジ4bと称する。
図5(a)は、坩堝2を分割面と垂直に切断した断面図、同図(b)は同平面図である。
図5(a)に示すように、坩堝2の内側は、フランジ4a、4bから下端に向けて、第1の傾斜面5La、5Lbと、
第2の傾斜面5La’、5Lb’と、内面底部5a、5bが連続しており、内面底部5a、5bは平面状をなしている。
第2の傾斜面5La’は、図5(a)から明らかなように上下方向に沿う直線、例えば分割面を通る直線に対して、第1の傾斜面5Laよりも急勾配である。坩堝2を上から見ると、同図(b)に示すように、その内面底部5a、5bは、長尺状の、本実施形態では一つの長方形をしており、分割面が長方形の長辺方向の中心線を通るようになっている。
【0020】
このようにすると、
図6(a)、(b)に示す従来の坩堝と比較しても明らかなように、従来の坩堝のように、坩堝の内面底部を円錐状にするよりも金属の収容部分の容積を大きくすることができる。したがって、大量の金属を融解するときも、溶けた金属の高さ位置を一定に保つことができ、コイルの磁束が密な高さに金属が位置するので、効率よく金属を融解することができる。
【0021】
坩堝内で融解された金属は、底面側では長方形状に溜まり、上部に行くに従って、円錐状に溜まる。この状態で後述するように坩堝2を開くと、
上下方向に沿う直線に対して比較的緩やかな第1の傾斜面5Laから、
上下方向に沿う直線に対してより急勾配の第2の傾斜面5La’に沿って鋳型に融解金属が移動し、且つ坩堝底面5a、5b付近では、長方形の長辺に沿って広がった金属が一気に鋳型に落下するため、迅速に、また長辺にそって滑らかに鋳込まれるので、鋳込み時間に
タイムラグが生じにくく、鋳型内に均一に金属を鋳込むことができる。
【0022】
尚、本実施形態では坩堝2の内面底部5の形状を長方形としたが、坩堝2の分割面に沿う長軸を有する長尺形状であればこれに限定されず、楕円形にすることもできる。内面底部5を楕円形にすることで、底部に角部を無くすようにして、融解金属が角部に残ることを防止できる。同じ理由から、内面底5の形状は、角部の面取りをした長方形としても、良好に融解金属を鋳込むことができる。尚、坩堝2の形状によっては一つの傾斜面と内面底部5で坩堝2の内側を構成することもできるが、本実施形態のように坩堝2内側の傾斜面を、第1と第2の2つの傾斜面から構成すれば、融解金属を鋳型に落下させる傾斜面を急勾配にしつつ、坩堝2内の体積を確保することができる。また坩堝2の内周を大きくできるため、大量の金属3が投入されるときでも、金属3の高さをほぼ同じ高さに調整でき、コイル26の中央に配置させることができるため、金属3を効率よく融解することができる。
【0023】
坩堝2は、支持台6に支持されている。即ち、支持台6は、
図4に概略的に示すように、その上面にフランジ4が嵌る円環状の凹所8を有し、その凹所8の上面中央に、上下方向に貫通した坩堝挿通孔10が形成されている。坩堝挿通孔10には、坩堝2のフランジ4が支持台6の凹所8に対向するように坩堝2が挿通されている。凹所8の上面には、所定の角度、例えば180度の角度を隔てて複数、例えば2つの突部12a、12bが上部に突出するように形成されている。これら突部12a、12は、例えば扁平な矩形状に形成され、フランジ4a、4bとほぼ同じ奥行きを有している。
【0024】
突部12aの上面に、坩堝形成部材12aのフランジ4aのほぼ中央の下面が接触し、突部12bの上面に坩堝形成部材2bのフランジ4bのほぼ中央の下面が接触している。これら突部12a、12bにフランジ4a、4bが接触することによって、坩堝形成部材2a、2bが支持されている。この状態では、フランジ4a、4bは、突部12a、12b以外の凹所8には接触していない。
【0025】
これら坩堝形成部材2a、2bが突部12a、12bに接触している状態では、坩堝形成部材2a、2bの下部にそれぞれ外方に回転する力が作用し、坩堝2は開いた状態となる。坩堝2が開いた状態では、フランジ4a、4bの付け根付近における、支持台の突部12a、12bの坩堝挿通孔10に面する内周端部に位置する部分が、回転中心部である軸線12ap、12bpに支持されて、坩堝2が開いた状態を維持している。
【0026】
この開いた状態の坩堝形成部材2a、2bを閉じるために、坩堝形成部材2a、2bの下部の外方には、内外方向に進退可能に例えば板状の拘束部材14a、14bが配置されている。これら拘束部材14a、14bが内側に移動して、それらの内方端が坩堝形成部材2a、2bの下部に形成した窪み16a、16bに接触している状態では、坩堝形成部材2a、2bは、開く方向に回転する力に抗して閉じた状態に維持され、分割面で一致し、完全に閉じられている。この状態で、拘束部材14a、14bは水平を維持している。
【0027】
また、拘束部材14a、14bが後退した状態では、坩堝形成部材2a、2bに拘束部材14a、14bの先端は非接触であり、上述したように坩堝形成部材2a、2bの下方が外方に開かれている。坩堝2が開閉するときには、フランジ4a、4bの付け根付近が、支持台の突部12a、12bの内周端部を軸線12ap、12bpとして回転する。
【0028】
このように、幅の狭い線を中心にフランジ4a、4bが回転するため、摩擦も小さくでき、滑らかに回転することができ、回転する際にフランジ4a、4bが支持台の凹所8や突部12a、12bに乗り上げる恐れがない。また、突部12a、12bの面積が小さいため、フランジ4a、4bと突部12a、12b間の摩擦が小さく抑えられていることから、坩堝形成部材2a、2bが拘束状態から非拘束状態に移行する際に、即座に坩堝2を開くことができる。
【0029】
これら拘束部材14a、14bを進退させるために、拘束部材14a、14bの外方端には、駆動手段の一部をなすレバー18a、18bの下端が結合されている。レバー18a、18bは、坩堝形成部材2a、2bの外方に上下方向に配置され、中途が軸20a、20bによって回転自在に支持され、上端が下端よりも外方側に位置している。従って、レバー14a、14bを軸20a、20bの回りに回転させることによって、拘束部材14a、14bが軸20a、20bの回りに回転し、進退する。
【0030】
これらレバー18a、18bを回転させるために、金属融解装置の外壁22a、22bには、レバー18a、18bの上端と対向するように駆動手段の他の部分をなすシリンダ、例えばガスシリンダ24a、24bが、そのピストンをレバー18a、18bの上端に対して進退可能に取り付けられている。また、図示していないが、例えば軸20a、20bとレバー18a、18bとの間には、例えばスプリングバネのような付勢手段が設けられており、その付勢手段によってレバー18a、18bは、坩堝形成部材2a、2bが閉じられる方向に付勢されているので、拘束部材14a、14bが坩堝形成部材2a、2bの下部の窪み16a、16bと接触し、坩堝形成部材2a、2bが閉じられている。
【0031】
そして、ガスシリンダ24a、24bのピストンが進出して、レバー18a、18bの上端を押すことによって、付勢手段の付勢力に抗してレバー18a、18bが回転し、拘束部材14a、14bが坩堝形成部材2a、2bから離れる方向に移動する。坩堝形成部材2a、2bは、前述のように突部12a、12bによって開く方向に回転する力が与えられているため、拘束部材14a、14bの拘束力がなくなると坩堝形成部材2a、2bを開く方向に回転する。なお符号25で示すのは、レバー18a、18bに対するストッパーである。
【0032】
この金属融解装置では、内部を真空に排気した後に、不活性ガスを供給した状態で金属を融解するので、ガス源(図示せず)や真空源(図示せず)が配置されている。これらを利用して、ガスシリンダ24a、24bのピストンを進退させる。例えば、ピストンを後退させて、レバー18a、18bを外向きに回転させると、拘束部材14a、14bが坩堝形成部材2a、2bに接触してこれを閉じ、ピストンを前進させて、レバー18a、18bを内向きに回転させると、拘束部材14a、14bが坩堝形成部材2a、2bから離間する方向に回転してこれを開くことができる。例えば、ガスシリンダ24a、24bにはガス源が接続され、ピストンを前進させて坩堝形成部材2a、2bを開く場合は、ガスシリンダにガスを供給し、ピストンを後退させて坩堝形成部材2a、2bを閉じる場合には、ガスシリンダ24a、24bを真空源に接続する。この接続の切換は、切換弁によって行える。
【0033】
これらレバー18a、18bの間に、坩堝形成部材2a、2bの外周を包囲するように高周波誘導加熱コイル26が配置されている。坩堝形成部材2a、2bを拘束部材14a、14bによって閉じた状態で、内部に金属を収容し、高周波誘導加熱コイル26に高周波電流を供給することによって、高周波誘導加熱によって金属が融解される。
【0034】
金属の融解を効率的に行うためには、高周波誘導加熱コイル26が発生する磁束が、集中的に金属を通ることが望ましい。即ち、高周波誘導加熱コイル26による磁束が密である場所、即ち、高周波誘導加熱コイル26の上下方向の中央に、金属3、例えば義歯製造の際に使用される標準的な大きさの金属が位置することが望ましい。金属3は、
図1に示すように、坩堝2の下端よりも上方にある傾斜面5L’に支持されて坩堝2内に収容されるので、坩堝2の下端から底5の反対側の面までの距離と、この面から底5までの距離と、傾斜面5L’において金属3が接触している位置から底5までの距離とが、高周波誘導加熱コイル26の上下方向の中央に金属3が位置するように定められている。この場合、金属3は、この金属融解装置において融解される標準的な大きさのものである。
【0035】
このとき、板状の拘束部材14a、14bの内方端が坩堝2の下部に接触する構成であるので、即ち、高周波誘導加熱コイル26が磁束を発生している部分付近に拘束部材14a、14bが不存在であるので、金属の収容位置を、高周波誘導コイル26が磁束を発生している高周波誘導コイル26の内部の位置、特に、磁束が密な位置に金属を配置することが可能である。更に、傾斜面5L’が形成されているので、傾斜面5L’付近の厚さが最も厚い。従って、比較的脆い材料で形成される坩堝形成部材2a、2bの加工が容易になるし、高温である融解金属に接触していても、破損しにくくなる。
【0036】
金属が融解されると、
図2に示すように坩堝形成部材2a、2bの一方のみを開くか、または
図3に示すように両方を同時に開いて、融解された金属が鋳型に鋳込まれる。なお、
図1乃至
図3に符号27で示すのは、支持台6上に設けられた蓋である。
【0037】
このように構成された金属融解装置では、坩堝形成部材2a、2bは、突部12a、12bがフランジ4a、4bの一部に接触することによって支持されているので、フランジ4a、4bの接触面積は、支持台6に直接に接触している場合よりも少なく、接触抵抗が少ないので、拘束部材14a、14bによる拘束が外れたとき、坩堝形成部材2a、2bが円滑に回転する。
【0038】
但し、突部12a、12bによる支持だけでは、拘束部材14a、14bによる拘束が外されたとき、坩堝形成部材2a、2bがバランスを崩し、不要な回転をする可能性がある。そこで、坩堝形成部材2a、2bのフランジ4a、4bにおいて分割面に跨るようにフランジ4a、4bの外面が切り欠かれ、切欠面28、28が形成されている。
図1に示すように、これら切欠面28、28が接触するように支持台6の凹所8にはガイド30、30が形成されている。これらガイド30、30は、切り欠かれたフランジ4a、4bの部分と対応する形状で、凹所8とその周面とに接した状態で、突部12a、12bと約90度の角度をなすように形成されている。即ち、坩堝形成部材2a、2bが開かれる方向と直交する方向にガイド30、30は設けられている。従って、坩堝4を坩堝挿通孔10に挿通する際に、フランジ4a、4bの切欠面28、28をガイド30、30の内面と一致させると、坩堝形成部材2a、2bの移動が拘束されるので、坩堝形成部材2a、2bが開かれる際に、坩堝形成部材2a、2bが不要な回転をすることはない。
【0039】
また、レバー18a、18bやガスシリンダ24a、24bは、坩堝形成部材2a、2bの外側にそれぞれ位置しているので、坩堝形成部材2a、2bが開いて、融解金属を鋳型に鋳込む際に、跳ね返った融解金属がこれらに付着しにくい。
【0040】
上記の実施形態では、金属融解装置は、歯科用義歯製造装置に使用したが、これに限ったものではなく、融解された金属を使用する機器であれば、他のものにも使用することができる。
【符号の説明】
【0042】
2 坩堝
3 金属
5 底
5L 傾斜面(第1の傾斜面)
5L’ 傾斜面(第2の傾斜面)
26 高周波誘導加熱コイル(コイル)
【要約】 (修正有)
【課題】融解する金属が大量であっても、坩堝内の金属を効率的に融解する。
【解決手段】内部に金属3が収容される坩堝2の周縁に、これを包囲するように高周波誘導加熱コイル26が配置されている。坩堝2の内壁が傾斜面5L、5L’と、傾斜面5L’に連続して形成される、長尺状の平面を有する内面底部5とからなる。
【選択図】
図1