特許第5778346号(P5778346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5778346物質を検出するためのデバイス及びそのようなデバイスを作る方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778346
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】物質を検出するためのデバイス及びそのようなデバイスを作る方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/65 20060101AFI20150827BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   G01N21/65
   G01N21/64 Z
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-530647(P2014-530647)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2014-527182(P2014-527182A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】US2011054283
(87)【国際公開番号】WO2013048446
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ツィヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,アンスーン
(72)【発明者】
【氏名】フ,ミン
(72)【発明者】
【氏名】ステューク,マイケル,ジョセフ
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0254377(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/014176(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/034533(WO,A1)
【文献】 特開2001−249073(JP,A)
【文献】 特開平04−232444(JP,A)
【文献】 特開平04−225145(JP,A)
【文献】 特開2007−110962(JP,A)
【文献】 特開2010−271217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/83
G01J 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を検出するためのデバイスであって、
外部からアクセス可能なチャンバを画定するハウジングと、
前記チャンバの少なくとも一部を密閉するためのシールと、
前記チャンバ内に配置され、前記物質に曝露された際に前記物質に反応するためのナノ粒子を含むナノ構造体を備える基体と、
前記ナノ粒子を早期の曝露から保護するための、前記チャンバ内の非分析溶液と、
前記シールにより前記非分析溶液から分離された吸収剤とを含む、デバイス。
【請求項2】
前記物質が被分析物を含み、前記非分析溶液が、前記被分析物に対する前記ナノ粒子の早期の曝露を低減するための液体からなる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記非分析溶液が、水、蒸留水、アルコール、エタノール、又は炭化水素溶液の少なくとも1つからなる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記基体が、表面増感ラマン分光法の基体、高感度蛍光分光法の基体、又は増強発光分光法の基体からなる、請求項1〜3の何れかに記載のデバイス。
【請求項5】
前記ナノ構造体が、柱状構造体、又は円錐構造体の少なくとも一方からなる、請求項1〜4の何れかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記ナノ構造体が、少なくとも部分的に透明である、請求項1〜5の何れかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記シールが前記ハウジングから少なくとも部分的に取り除かれた後に、前記吸収剤が前記非分析溶液を少なくとも部分的に吸収することができる、請求項1〜6の何れかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記基体が、前記非分析溶液に少なくとも部分的に沈められる、請求項1〜7の何れかに記載のデバイス
【請求項9】
物質を検出するためのデバイスを保護する方法であって、
前記物質に曝露された場合に、前記物質に対する曝露を明白に示すナノ粒子を含むナノ構造体を備える基体をハウジングのチャンバ内に配置し、
前記チャンバに非分析溶液を追加し、
前記チャンバ内の非分析溶液に前記基体を少なくとも部分的に沈め、
吸収剤を前記ハウジング内に配置し、
前記チャンバの少なくとも一部をシールで密閉することを含み、
前記吸収剤が前記シールにより前記非分析溶液から分離されている、方法。
【請求項10】
前記物質が被分析物であり、前記非分析溶液を前記チャンバに追加することが、前記被分析物に対する前記基体の早期の曝露を低減する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記シールが前記ハウジングから少なくとも部分的に取り除かれた後に、前記吸収剤が前記非分析溶液を少なくとも部分的に吸収することができる、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
被分析物を検出するための試験デバイスであって、
溝を画定するハウジングと、
前記溝の少なくとも一部を密閉するために前記溝に密封係合する試験ストリップであって、前記試験ストリップが前記溝内に配置された基体を含み、前記基体は、前記被分析物に曝露された場合に前記被分析物に対する曝露を明白に示すナノ粒子を含むナノ構造体を備える、試験ストリップと、
前記ナノ粒子を早期の曝露から保護する、溝内の非分析溶液と
前記試験ストリップにより前記非分析溶液から分離された吸収剤とを含む、試験デバイス。
【請求項13】
前記基体が前記被分析物に曝露された場合に、前記基体が表面増感ラマン分光法、高感度蛍光分光法、又は増強発光分光法を受ける際に前記被分析物の存在を示すスペクトル成分を生じる、請求項12に記載の試験デバイス。
【請求項14】
前記非分析溶液が、前記被分析物に対する前記基体のナノ粒子の早期の曝露を低減するための液体からなる、請求項12又は13に記載の試験デバイス。
【請求項15】
前記試験ストリップが前記溝から取り除かれた後に、前記吸収剤が前記非分析溶液を少なくとも部分的に吸収することができる、請求項12〜14の何れかに記載の試験デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
表面増感ラマン分光法(Surface Enhanced Raman spectroscopy:SERS)が、被分析物の存在を検出するために、様々な産業で使用され得る。例えば、SERSは、爆発物を探知するために警備産業で使用され得る(例えば、空港で爆発物および/または他の危険物の手荷物を探知する)。或いは、SERSは、水および/またはミルク中の毒または汚染物質を検出するために食品産業で使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】本開示の教示に従って構成された例示的な試験デバイスを示す図である。
図2】シールがチャンバから部分的に取り除かれ、非分析溶液がチャンバから取り除かれた状態の図1の例示的な試験デバイスを示す図である。
図3】非分析溶液がチャンバから取り除かれ、分析溶液がチャンバに追加された状態の図1の例示的な試験デバイスを示す図である。
図4】本開示の教示に従って構成され、吸収剤を含む別の例示的な試験デバイスを示す図である。
図5】本開示の教示に従って構成された別の例示的な試験デバイスを示す図である。
図6】本開示の教示に従って構成された別の例示的な試験デバイスを示す図である。
図7図6の例示的な試験デバイスの断面図である。
図8】本開示の教示に従って構成された図1の例示的な試験デバイスおよび例示的な読み取り装置を示す図である。
図9】本開示の教示に従って構成された図6の例示的な試験デバイスおよび例示的な読み取り装置を示す図である。
図10】本明細書に開示された例を作成する例示的な方法を示す図である。
【0003】
特定の例が上記の図面に示され、詳細に後述される。図面は、必ずしも一律の縮尺に従っておらず、図面の特定の特徴要素および特定の表示は、明瞭化および/または簡潔さのために縮尺において又は略図において誇張されて示される場合がある。
【0004】
詳細な説明
多くの応用形態は、関心のある物質の存在を検出するために使用され得る信頼できるデバイスを必要とする。例えば、そのような試験デバイス又は検出デバイスは、空港、製造工場、食品加工工場、薬物製剤工場などにおいて爆発物、毒または有害物質の存在を探知(検出)するために有用である。幾つかの既知の試験デバイス及び/又は検出デバイスの基体は、基体が検出するように意図されている環境および/または物質(例えば、被分析物)に対する早期の曝露に対して十分に保護されていない。当該環境および/または物質(例えば、被分析物)に当該基体を早期に曝露することにより、基体が酸化する及び/又は意図的にそれに曝露された時点で当該物質の検出に有効でない可能性がある。
【0005】
様々な物質の分析用の例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイスが本明細書で開示される。幾つかのそのような例において、試験デバイスは、試験デバイス又は検出デバイスにおいて関心のある物質の存在を検出するために使用され得る表面増感ラマン分光法、高感度蛍光分光法(Enhanced Fluorescence Spectroscopy)、又は増強発光分光法(Enhanced Luminescence Spectroscopy)と共に使用するためのものである。幾つかの既知のデバイスとは対照的に、本明細書に開示された試験デバイスは、使用する前に環境に対する曝露から試験デバイスの基体を保護する、及び/又は使用する前に当該基体および/または関連する表面構造体の酸化を低減または防止さえする非分析液体または非分析溶液を含む。より具体的には、非分析液体または非分析溶液は、ナノ粒子、金属ナノ粒子または微小粒子、ナノ構造体、SERSストリップなどの検出を目指している被分析物のような物質に対する基体の意図しないナノ粒子、金属ナノ粒子、ナノ構造体、SERSストリップなどの曝露を低減または防止さえする。
【0006】
本明細書に開示された幾つかの例において、試験デバイスは、外部からアクセス可能なチャンバ又はキャビティを画定するハウジングを含む。そのような例のハウジングは、互いに結合された複数の層を含む。ハウジング及び/又はその1つ又は複数の層は、ガラス、プラスチック、紙、ポリジメチルシロキサン、ゴム及び/又は薄膜から作成され得る。ナノ構造体および/またはナノ粒子が配置される基体は、チャンバ内に配置される。ナノ構造体は、複数の円錐構造体、複数の柱状構造体などとすることができ、及び/又は少なくとも部分的に透明とすることができる。ナノ粒子は、金、銀などとすることができる。ナノ構造体および/またはナノ粒子は、例えば、表面増感ラマン分光法、高感度蛍光分光法、及び/又は増強発光分光法のような1つ又は複数の検査技術および/または分析を受ける場合に、関心のある物質(例えば、被分析物)に反応する、当該物質を固定する又は当該物質に対する曝露を示す。そのような分析のために試験デバイスを準備するために、ナノ構造体および/またはナノ粒子は、関心のある物質(例えば、被分析物)を含む可能性がある環境にさらされる(曝露される)。
【0007】
環境および/または物質(例えば、試験されるべき環境または別の環境に存在する被分析物)に対する早期の(例えば、意図しない)曝露からナノ構造体および/またはナノ粒子を保護するために、幾つかの例において、非分析溶液が、チャンバの少なくとも一部を満たす。非分析溶液は、水、蒸留水、アルコール、エタノール、炭化水素溶液、純正液体などとすることができる。基体および関連するナノ構造体および/またはナノ粒子は、少なくとも部分的に沈められるか及び/又は非分析溶液中にあることができる。
【0008】
チャンバ内に基体および非分析溶液を密封(密閉)するために、本明細書で開示される例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイスは、チャンバの少なくとも一部を密封するためにハウジングに取り外し可能に結合されたシールを含む。当該シールは、プラスチック、プラスチックシート、金属薄片(foil:アルミ箔)、金属薄片シート、薄膜、ろう状物質(ワックス)及び/又はポリジメチルシロキサンから作成されたハーメチックシールとすることができる。幾つかの例において、当該シールは、環境および/または物質(例えば、被分析物)に曝露される前に基体、ナノ構造体および/またはナノ粒子の視認および/または分析を可能にするために少なくとも部分的に透明である。
【0009】
幾つかの例において、基体、ナノ構造体および/またはナノ粒子を曝露する前に、シール及び非分析溶液は少なくとも部分的にチャンバから取り除かれる。幾つかの例において、吸収剤は、チャンバに隣接して配置され、シールを取り除く前にシールにより非分析溶液から分離されている。そのような例において、シールが取り除かれた場合、吸収剤が非分析溶液の少なくとも一部を吸収する(例えば、それとの接触を通じて)。吸収剤は、多孔質材、ヒドロゲル等とすることができる。本明細書で開示された幾つかの例示的なデバイスのチャンバは、少量の非分析溶液(例えば、数マイクロリットル)を含む。他の例において、シールを少なくとも部分的に取り除いた後、人間がろ紙、紙、布などを用いて、チャンバから非分析溶液を取り除くことができる。非分析溶液が吸収および/または取り除かれた後、基体、ナノ構造体および/またはナノ粒子が、試験されるべき環境、化学物質、物質、ガス、被分析物などにさらされ得る。
【0010】
本明細書に開示された幾つかの例において、試験デバイスは、取り外し可能な試験ストリップ又は細長い本体が配置される1つ又は複数の溝を画定するハウジングを含む。幾つかの例示的なデバイスの試験ストリップは、溝へ、及びシールがハウジングに当接して係合する部分へ延在する基体を含む。そのような例の基体は、上述したように関心のある物質(例えば、被分析物)を検出するためのナノ構造体および/またはナノ粒子を含む。そのような例のハウジングは、ガラス、プラスチック、紙、ポリジメチルシロキサン、ゴム及び/又は薄膜から作成され得る。試験ストリップは、金属、プラスチック等から作成され得る。
【0011】
開示された例において、環境、物質、被分析物などに対する早期の(例えば、意図しない)曝露からナノ構造体および/またはナノ粒子を保護するために、非分析溶液は溝の少なくとも一部を満たし、及び基体を少なくとも部分的に沈める。試験されるべき環境、化学物質、物質、ガス、被分析物などに試験ストリップの基体を曝露するために、1つ又は複数の試験ストリップがハウジングから取り除かれる。試験ストリップを取り除くことは基体を曝露する。幾つかの例において、吸収剤は、溝に隣接して配置され、試験ストリップを取り除く前に試験ストリップにより非分析溶液から分離され得る。そのような例において、個々の試験ストリップがハウジングから取り除かれた場合、吸収剤が非分析溶液と接触し、少なくともその一部を吸収し、それによりデバイスが検出の働きをする(例えば、被分析物の検出)。
【0012】
幾つかの例において、基体、ナノ構造体および/またはナノ粒子が環境および/または物質(例えば、化学物質、ガス、被分析物など、その存在が検出および/または試験されるべきである)に曝露された後、試験デバイス又はストリップは、例示的な読み取り装置内に又は当該装置に隣接して配置される。読み取り装置は、基体、ナノ構造体および/またはナノ粒子に光を当てるための光源を含むことができる。幾つかの例において、基体、ナノ構造体および/またはナノ粒子により散乱された光(例えば、表面増感ラマン分光法のラマン散乱、高感度蛍光分光法の蛍光、又は増強発光分光法の発光)は、適切なガイド及び/又はフィルタリング構成要素を有する分光計、光検出器などを用いて監視される。幾つかの例において、読み取り装置により得られた結果は、モニタに表示され、及び/又は試験されている及び/又は捜されている物質の検出の有無を表す。
【0013】
図1は、本開示の教示に従って構成された例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイス100を示す。試験デバイス100は、基体106が配置されるチャンバ104を画定するハウジング102を含む。例示された例において、ハウジング102は、第2の層110に結合された第1の層108を含む。しかしながら、他の例において、ハウジング102は、任意の他の数の層(例えば、1、3など)を含むことができる。ハウジング102は、例えばガラス、プラスチック、紙、ポリジメチルシロキサン、透明材料、ゴム及び/又は薄膜のような任意の適切な材料から作成され得る。
【0014】
例示された例の基体106は、ナノ粒子(例えば、金属ナノ粒子)114が配置される円錐形ナノ構造体112を含む。ナノ粒子114は、被分析物のような関心のある物質と反応する、当該物質に応答する、当該物質を収集するなどすることができる金および/または銀および/または任意の他の元素または化学物質を含むことができる。例示された例のナノ構造体112及び/又はナノ粒子114は、曝露される被分析物の検出を容易にする。例えば、基体106は光を当てられ、結果としての後方散乱は、関心のある被分析物の存在を示すスペクトル成分が生成されたか否かを判定するために表面増感ラマン分光法、高感度蛍光分光法、及び/又は増強発光分光法を用いて読み出され得る。
【0015】
ナノ構造体112及び/又はナノ粒子114が応答することができる環境および/または物質(例えば、被分析物)に対する早期の及び/又は意図しない曝露からナノ構造体112及び/又はナノ粒子114を保護するために、例示された例のチャンバ104は、非分析液体および/または非分析溶液116で少なくとも部分的に満たされている。早期の曝露により、ナノ構造体112及び/又はナノ粒子114が、試験されるべきでない環境に現時点で存在するけれども、関心のある試験環境に実際には存在しない物質(例えば、被分析物)に反応または応答する可能性があり、それにより誤判定という結果になる。非分析溶液116はそのような誤判定を防止する。溶液116は、溶液および/または純正液体とすることができる。例えば、非分析溶液は、水、蒸留水、アルコール、エタノール、及び/又は炭化水素溶液により実現され得る。
【0016】
例示された例のチャンバ104を密封するために、シール118が取り外し可能にハウジング102に結合される。例示された例のシール118はハーメチックシールであり、プラスチック、透明材料、プラスチックシート、金属薄片材料、金属薄片シート、薄膜、ろう状物質(ワックス)及び/又はポリジメチルシロキサンから作成され得る。幾つかの例において、シール118は、読み取り装置の光子および/または光がチャンバ104及び/又は基体106に照射されて、試験環境において試験されている物質の存否を判定することを可能にするために透明である。
【0017】
図2は、入口202及び出口204を画定するためにシール118が部分的に取り除かれた後の図1の例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイス100を示す。ナノ構造体112及び/又はナノ粒子114が試験環境に曝露される及び/又は被分析物のような関心のある物質に曝露されるかもしれないことを可能にするために、例示された例の非分析溶液116は、出口204を通じて非分析溶液116内へ、吸収特性を備える紙片または他の物体206を挿入することにより取り除かれる。非分析溶液116が紙206により吸収されている際、試験デバイス100が配置された試験環境(例えば、部屋)内の空気および/または他のガスが、入口202を通じてチャンバ104内へ流入してナノ構造体112及び/又はナノ粒子114にさらされる。試験環境内の空気、他のガス、及び/又は他のガスは、ナノ構造体112及び/又はナノ粒子114が検出するように意図されている被分析物を含む又は含まない可能性がある。
【0018】
図3は、シール118がハウジング102から部分的に取り除かれ、非分析溶液116がチャンバ104から取り除かれ、分析されるべき溶液または化学物質302がチャンバ104に追加された状態の例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイス100を示す。溶液または化学物質302は、ナノ構造体112及び/又はナノ粒子114が検出するように意図されている被分析物を含むことができる。幾つかの例において、ナノ構造体112及び/又はナノ粒子114が溶液または化学物質にさらされた後、チャンバ104はシール118及び/又は別のシールにより再び覆われて、ナノ構造体112及び/又はナノ粒子114が、試験した後に非試験環境に対する曝露で汚染されないことを確実にする。
【0019】
図4は、別の例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイス400を示す。図4の例示的な試験デバイス400は、ハウジング406、及びシール404により非分析溶液116から分離された吸収剤402を含む。実際には、シール404が試験デバイス400のハウジング406から取り除かれた場合、吸収剤402が非分析溶液116に曝露される。この結果、吸収剤402が非分析溶液の少なくとも一部を吸収する。吸収剤402は、例えば多孔質材、又はヒドロゲルのような任意の所望の吸収剤により実現され得る。
【0020】
図5は、本開示の教示に従って構成された別の例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイス500を示す。図5の例示的な試験デバイス500は、ハウジング502、シール118、非分析溶液116及び柱状ナノ構造体504を含む。
【0021】
図6は、別の例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイス600を示す。図6の例示的な試験デバイス600は、複数の取り外し可能な試験ストリップ602を含む。例示的な試験ストリップ602は、針、ピン又は細長い本体として実現され得る。例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイス600のハウジング604は、個々の試験ストリップ602が使用前に配置される複数の溝、チャンバ又はキャビティ606を画定する。試験ストリップ602はハウジング604に密封係合し、個々の溝606の少なくとも一部を密閉する。他の例において、試験デバイス600は、試験ストリップ602が取り外し可能に取り付けられる(例えば、接着強さが低い取り外し可能な接着剤で固定される)平面を有する材料片である。この例において、ハウジング604は、溝606を備えていない。
【0022】
図7は、図6の例示的な試験デバイス及び/又は検出デバイス600の断面図である。図7に示されるように、試験ストリップ602は、溝606内に配置された基体702を含む。この例の基体702は、ナノ構造体112及びナノ粒子114を含む。
【0023】
試験されるべき環境および/または検出されるべき物質に対する早期の及び/又は意図しない曝露からナノ構造体112及び/又はナノ粒子114を保護するために、例示された例の溝606は、非分析溶液116で満たされる。例示された例において、試験ストリップ602は、ハウジング604に対して密封係合し、ナノ構造体112、ナノ粒子114及び/又は非分析溶液116を溝606内に密閉する。
【0024】
試験および/または検出のためにナノ構造体112及び/又はナノ粒子114を曝露するために、試験ストリップ602が溝606から取り除かれる。例示された例の試験デバイス600は、試験ストリップ602又は関連するシールの一部706により非分析溶液116から分離された吸収剤704を含む。試験ストリップ602が溝606から取り除かれた後、吸収剤704が非分析溶液116にさらされて、少なくともその一部を吸収する。次いで、環境は、誤検出を生じるような試験ストリップ602が物質に以前に曝露されたことを心配せずに、関心のある物質に関して試験される。
【0025】
図8は、被分析物(単数または複数)を含む可能性がある環境に曝露された後の図1の例示的な試験デバイス100を示す。また、図8は、本開示の教示に従って構成された例示的な読み取り装置800も示す。この例において、読み取り装置800は、シール118を貫いてチャンバ104内へ光子804を放出する光源802を含み、この場合、光子はナノ構造体112及び/又はナノ粒子114により散乱され得る。幾つかの例において、散乱された光子806の一部は、読み取り装置800の分光計および/または光検出器808により検出および/または監視される。幾つかの例において、読み取り装置800は、モニタ810に表示される結果(例えば、検出されるべき被分析物の存否に関する情報)を生成ために、適切なガイド及び/又はフィルタリング構成要素と共に、検出および/または監視される光子806を使用する。図8は、関心のある環境が試験された後にシール118が元へ戻された例においてシール118を介して行われる試験を示すが、代案として読み取りは、シール118が取り除かれた状態で行われ得る(例えば、シール118を取り除くことにより、実験場で、試験されている環境で、及び/又は読み取り場所で)。
【0026】
図9は、被分析物または関心のある他の物質を含む可能性がある環境に曝露された後の試験ストリップ602を示す。また、図9は、本開示の教示に従って構成された例示的な読み取り装置900も示す。図9の読み取り装置900は、図8の読み取り装置800に類似することができる。しかしながら、図8の読み取り装置800は、図1の試験デバイス100を読み取るように構成され、図9の読み取り装置900は図6の試験デバイス600を読み取るように構成される。この例において、読み取り装置900は、ナノ構造体112及び/又はナノ粒子114上に光子904を放出する光源902を含む。幾つかの例において、ナノ構造体112及び/又はナノ粒子114は、光子906の少なくとも一部を散乱し、次いでそれらは、読み取り装置900の分光計および/または光検出器908により検出および/または監視される。幾つかの例において、読み取り装置900は、モニタ910に表示される結果(例えば、試験される被分析物に関する情報)を生成ために、適切なガイド及び/又はフィルタリング構成要素と共に、検出および/または監視される光子906を使用する。
【0027】
図10は、本明細書に開示された図1図7の試験デバイスを作成する例示的な方法1000を示す。図1図7の試験デバイスを作成する例示的な方法1000が図10の流れ図に関連して説明されるが、図1図7の試験デバイスを作成する方法1000を実現する他の方法も利用され得る。例えば、ブロックを実行する順序は変更されることができ、及び/又は説明されたブロックの一部は変更、削除、更に分割、又は結合され得る。
【0028】
方法1000は、ハウジング102、604のチャンバ104、606内に基体106、702を配置することにより始めることができる(ブロック1002)。幾つかの例において、基体106、702は、試験されるべき物質に曝露された場合に関してそれに対する曝露を明白に示すことができる。幾つかの例において、吸収剤402、704はハウジング102、604内に配置される(ブロック1004)。幾つかの例において、吸収剤402、704は、チャンバ104、606に追加されることになる非分析溶液から、取り外し可能なシール404、706により分離される。次いで、基体106、702がチャンバ104、606内の非分析溶液116により少なくとも部分的に沈められるように、非分析溶液116がチャンバ104、606に追加され得る(ブロック1006及び1008)。非分析溶液116は、基体106、702が試験されるべき物質に時期尚早に曝露される可能性を低減する。幾つかの例において、次いで、チャンバ104がシール118とハウジング102との間の相互作用、及び/又は試験ストリップ602とハウジング604との間の相互作用により密閉される(ブロック1010)。ブロック1010において、方法1000は、ブロック1002に戻るか否かを判断する(ブロック1010)。
【0029】
特定の例示的な方法、装置および製品が本明細書で説明されたが、本発明の有効範囲はそれに限定されない。それどころか、本発明は、本発明の特許請求の範囲内に公正に入る全ての方法、装置、及び製品を網羅する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10