特許第5778347号(P5778347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5778347
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】膝掛け
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/06 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   A41D13/06 105
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-531430(P2014-531430)
(86)(22)【出願日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】JP2014054071
【審査請求日】2014年7月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392004945
【氏名又は名称】株式会社ナム
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸佳
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−271428(JP,A)
【文献】 特開平09−154670(JP,A)
【文献】 実開昭50−126513(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/06
A47C 3/16
A47C 7/62
A47C 27/00
A47G 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子に座った状態で膝部を包み込むことができるようにした布地を用いた膝掛けにおいて、椅子の座面の両側から立ち上がり、上縁が水平になって自立するようにした袖部と、前記布地を、袖部と一体化して、使用時に膝部を包み込むようにするとともに、不使用時に袖部の上縁から延設され、床面に接触することなく垂れ下がるようにした全体形状が矩形の膝掛け部とを備えてなることを特徴とする膝掛け。
【請求項2】
椅子の座面に敷設される座部を構成するクッション部を備え、該クッション部の両側縁から前記袖部が立ち上がるようにしたことを特徴とする請求項1記載の膝掛け。
【請求項3】
クッション部の後縁から立ち上がるようにした背当て部を備え、該背当て部と前記袖部とを接合することにより、前記袖部が自立するようにしてなることを特徴とする請求項2記載の膝掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に座った状態で膝部を包み込むことができる膝掛けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冬季の寒い時期に椅子に座って事務等の作業をする場合、保温のために、膝部を包み込むことができる膝掛けが使用されているが、膝掛けを単独で用いる場合、膝掛けがずり落ちやすいという問題があった。
【0003】
この問題に対処するため、膝掛けをクッションと一体化するようにした膝掛けが付いたクッションが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−77642号公報
【特許文献2】実用新案登録第3124358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の膝掛け付きクッションは、図5に示すように、座部を構成するクッション部1の周縁から膝掛け部4を延設するようにされているため、図5(b)に示すように、膝掛け部4を構成する布地を、膝部Bを十分に包み込むことができる大きさにすると、図5(a)に示すように、不使用時に膝掛け部4の垂れ下がった部分が床面に接触し、膝掛け部4が汚れたり、また、これを防止するためには、椅子Cから離れる際に膝掛け部4を折り畳む必要があり、取り扱いに手数を要するという問題があった。
一方、図6に示すように、膝掛け部4の垂れ下がった部分が床面に接触することを防止するために、図6(a)に示すように、膝掛け部4を構成する布地の大きさを小さくすると、図6(b)に示すように、膝部Bを十分に包み込むことができず、保温性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の膝掛け付きクッションの有する問題点に鑑み、椅子に座った状態で膝部を包み込むことができるようにした膝掛けにおいて、膝掛け部を構成する布地を、膝部を十分に包み込むことができる大きさにしても、不使用時に膝掛け部の垂れ下がった部分が床面に接触することのない膝掛けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の膝掛けは、椅子に座った状態で膝部を包み込むことができるようにした布地を用いた膝掛けにおいて、椅子の座面の両側から立ち上がり、上縁が水平になって自立するようにした袖部と、前記布地を、袖部と一体化して、使用時に膝部を包み込むようにするとともに、不使用時に袖部の上縁から延設され、床面に接触することなく垂れ下がるようにした全体形状が矩形の膝掛け部とを備えてなることを特徴とする。
【0008】
この場合において、椅子の座面に敷設される座部を構成するクッション部を備え、該クッション部の両側縁から前記袖部が立ち上がるようにすることができる。
【0009】
さらに、クッション部の後縁から立ち上がるようにした背当て部を備え、該背当て部と前記袖部とを接合することにより、前記袖部が自立するようにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の膝掛けによれば、椅子に座った状態で膝部を包み込むことができるようにした膝掛けにおいて、椅子の座面の両側から立ち上がるようにした自立した袖部と、該袖部の上縁から延設した布地からなる膝掛け部とを備えるようにしているため、椅子に座った状態で、袖部と膝掛け部とによって膝部を包み込んで十分に保温することができるとともに、膝掛け部を構成する布地を、膝部を十分に包み込むことができる大きさにしても、不使用時に袖部の上縁から延設された布地からなる膝掛け部の垂れ下がった部分が床面に接触することがなく、膝掛け部が汚れることを防止することができ、このため、椅子から離れる際に膝掛け部を丁寧に折り畳む必要がなく、取り扱いも容易となる。
【0011】
また、椅子の座面に敷設される座部を構成するクッション部を備え、該クッション部の両側縁から前記袖部が立ち上がるようにすることにより、膝掛けをクッションと一体化することができる。
【0012】
さらに、クッション部の後縁から立ち上がるようにした背当て部を備え、該背当て部と前記袖部とを接合することにより、前記袖部が自立するようにすることができ、これによって、簡易な構造で袖部を自立させることができるとともに、背当て部によって、背中側の保温性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の膝掛けの一実施例を示し、(a)は不使用時の状態を示す概略図、(b)は使用時の状態を示す概略図、(c)は展開図、(d)及び(e)は(c)のX−Xの断面図である。
図2】本発明の膝掛けの他の実施例を示す展開図である。
図3】本発明の膝掛けの他の実施例を示す説明図である。
図4】本発明の膝掛けの他の実施例を示す説明図である。
図5】従来の膝掛け付きクッションを示し、(a)は不使用時の状態を示す概略図、(b)は使用時の状態を示す概略図、(c)は展開図である。
図6】従来の膝掛け付きクッションを示し、(a)は不使用時の状態を示す概略図、(b)は使用時の状態を示す概略図、(c)は展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の膝掛けの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に、本発明の膝掛けの一実施例を示す。
この膝掛けは、座部を構成するクッション部1と、このクッション部1の両側縁から立ち上がるようにした袖部2と、クッション部1の後縁から立ち上げた背当て部3と、袖部2の上縁から延設した布地からなる膝掛け部4とからなり、袖部2と背当て部3とを接合することにより、袖部2が自立するようにしている。
【0016】
この場合において、クッション部1、袖部2及び背当て部3は、特に限定されるものではないが、例えば、綿状の繊維素材や発泡ポリウレタン樹脂等の発泡樹脂素材を、織布、編布、毛布等の布地からなる外包材で覆ったクッション性を備えたブロック状の構造体を好適に用いることができる。
【0017】
膝掛け部4は、特に限定されるものではないが、厚手の織布、編布、毛布等の保温性を有する布地を好適に用いることができる。
膝掛け部4を構成する布地は、図1(d)に示すように、矩形の布地を用いて、クッション部1、袖部2及び背当て部3と一体化するようにしたり、図1(e)に示すように、クッション部1、袖部2及び背当て部3の周縁に縫製することにより一体化するようにしたり、図2の変形実施例に示すように、矩形の布地を用いて、クッション部1及び袖部2と一体化するようにしている。
【0018】
クッション部1、袖部2、背当て部3及び膝掛け部4の大きさは、適用する椅子Cの大きさや使用者に合わせて適宜設定することができるが、それぞれ40×40cm、10×40cm、40×20cm、140×100cmを標準的な大きさとして、それぞれ±10cm程度(なお、膝掛け部4の大きさは、+30〜40cm程度まで大きくすることができる。)の大きさに設定することが好ましい。
【0019】
袖部2と背当て部3との接合は、図1(c)に示すように、特に限定されるものではないが、例えば、袖部2及び背当て部3の端面にそれぞれ面ファスナー、ホック等の接合部材5を設けることにより、接合、分離可能にすることが好ましい。
【0020】
この場合において、袖部2と背当て部3との接合は、両者が接する端縁同士を縫製することにより一体化するようにしたり、図3(a1)及び(a2)に示すように、L字状の成形部材6を袖部2と背当て部3の端部に差し込むことに行うようにすることができる。
【0021】
また、袖部2が自立するようにする手段としては、上記の手段のほか、図3(b)に示すように、背当て部3を省略し、袖部2及び膝掛け部4を構成する布地にそれぞれ面ファスナー、ホック等の接合部材5を設けることにより、膝掛け部4を構成する布地の力(テンション)で袖部2が自立するようにすることができる。
【0022】
この膝掛けは、椅子Cに座った状態で、袖部2と膝掛け部4とによって膝部Bを包み込んで十分に保温することができるとともに、図1(b)に示すように、膝掛け部4を構成する布地を、膝部Bを十分に包み込むことができる大きさにしても、不使用時に袖部2の上縁から延設された布地からなる膝掛け部4の垂れ下がった部分が床面に接触することがなく、膝掛け部4が汚れることを防止することができ、このため、椅子Cから離れる際に膝掛け部4を丁寧に折り畳む必要がなく、取り扱いも容易となる。
さらに、この膝掛けは、クッション部1の後縁から立ち上がるようにした背当て部3を備え、この背当て部3と袖部2とを接合することにより、袖部2が自立するようにしているので、簡易な構造で袖部2を自立させることができるとともに、背当て部3によって、背中側の保温性を高めることができる。
【0023】
ところで、上記の膝掛けは、クッション部1を備えるようにしたが、クッション部1を省略して、膝掛けを構成することもできる。
より具体的には、図4に示すように、袖部2及び背当て部3を一体とした2重構造の樹脂成形体A1、A2の間に、布地からなる膝掛け部4を挟み込み、樹脂成形体A1、A2及び膝掛け部4を構成する布地にそれぞれ設けた面ファスナー、ホック等の接合部材5により、樹脂成形体A1、A2及び膝掛け部4を一体化するようにすることができる。
【0024】
以上、本発明の膝掛けについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の膝掛けは、椅子に座った状態で膝部を包み込むことができるようにした膝掛けにおいて、膝掛け部を構成する布地を、膝部を十分に包み込むことができる大きさにしても、不使用時に膝掛け部の垂れ下がった部分が床面に接触することがないことから、冬季の寒い時期に椅子に座って事務等の作業をする場合の保温のための用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 クッション部
2 袖部
3 背当て部
4 膝掛け部
5 接合部材
6 成形部材
C 椅子
【要約】
椅子に座った状態で膝部を包み込むことができるようにした膝掛けにおいて、膝掛け部を構成する布地を、膝部を十分に包み込むことができる大きさにしても、不使用時に膝掛け部の垂れ下がった部分が床面に接触することのない膝掛けを提供するため、座部を構成するクッション部(1)と、このクッション部(1)の両側縁から立ち上がるようにした袖部(2)と、クッション部(1)の後縁から立ち上げた背当て部(3)と、袖部(2)の上縁から延設した布地からなる膝掛け部(4)とからなり、袖部(2)と背当て部(3)とを接合することにより、袖部(2)が自立するようにする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6