(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
屋外に敷設される金属製のワイヤの劣化度合いを判定するための判定装置と、前記判定装置と通信可能に接続される無線受信装置と、を備えて構成される判定システムであって、
前記判定装置は、
前記ワイヤ上の第1地点において、前記ワイヤの表面を加熱するワイヤ加熱部と、
前記第1地点から前記ワイヤの延伸方向に沿って所定間隔を隔てた第2地点において、前記ワイヤの温度変化を計測する温度変化計測部と、
前記温度変化の計測結果に基づいて、前記ワイヤの劣化度合いを判定する劣化度合い判定部と、
前記劣化度合いの判定結果を、前記無線受信装置に送信する判定結果出力部と、
を備え、
前記無線受信装置は、
前記判定装置から前記判定結果を受信する判定結果受信部と、
前記判定結果を出力する劣化度合い出力部と、
を備える
ことを特徴とする判定システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る判定装置100は、作業棒200と連結されて作業棒付判定装置300を構成する。また作業棒付判定装置300は、リモコン400と共に判定システム600を構成する。
【0017】
以下、
図1から
図18を参照しながら、電柱500に敷設される架空地線510の劣化度合いの検査を判定システム600を用いて行なう場合を例に、本実施形態に係る判定システム600、判定装置100、作業棒200、作業棒付判定装置300、リモコン400の構成、及び劣化度合いの判定方法について説明する。
【0018】
まず、
図1に示すように、作業者A701は作業棒付判定装置300の作業棒200を把持して、作業棒200の先端部に結合されている判定装置100を架空地線510と接触させる。この状態で、作業者B702は、
図8に示すリモコン400の判定開始ボタン432を操作する。
【0019】
そうすると、リモコン400から判定装置100に対して、架空地線510の劣化度合いの判定開始コマンドが送信される。
【0020】
判定装置100は、判定開始コマンドを受信すると、後述する手順により、判定装置100に装着されているヒータ(ワイヤ加熱部)131及び温度センサ(温度変化計測部)132を用いて、架空地線510を所定の加熱時間加熱すると共に架空地線510の温度変化を計測する。
【0021】
そして判定装置100は、架空地線510の温度変化の計測結果に基づいて、架空地線510の劣化度合いを判定し、その判定結果をリモコン400に送信する。
【0022】
リモコン400は、判定装置100から送信された判定結果を出力部420に出力する。
【0023】
このように本実施形態に係る判定システム600を用いることにより、架空地線510の劣化度合いの判定を、作業者A701や作業者B702の主観に頼らずに架空地線510の温度変化の計測結果に基づいて行なうことができるので、客観的に架空地線510の劣化度合いの判定を行うことが可能になる。
【0024】
なお
図1〜
図5、
図7において、x軸は架空地線510の延伸方向に沿う方向を示し、z軸は鉛直方向を示す。y軸は、x軸及びz軸に直行する方向を示す。
【0025】
また以下の説明において、作業者A701と作業者B702とを区別する必要がない場合には、単に作業者700とも記す。
【0026】
図2〜
図4は、判定装置100の外観構成を示す図である。
図2〜
図4に示すように、本実施形態に係る判定装置100は、ケース170、電源スイッチ133、表示ランプ121、スピーカ125、作業棒結合部180、ヒータ131及び温度センサ132を有して構成されている。また判定装置100は、
図9に示すように、通信部110、出力部120、機構部130、処理部140、記憶部150、電源部160の各機能を備えている。
【0027】
電源スイッチ133は、判定装置100への電力供給をオンオフすると共に、判定装置100の機能をオンオフするためのスイッチである。なお詳細は
図9を参照しながら説明するが、判定装置100への電力供給は、ケース170に内蔵されるバッテリ等の電源部160から行なわれる。
【0028】
通信部110は、リモコン400と無線データを授受する機能を有し、例えば、リモコン400から判定開始コマンドを受信し、架空地線510の劣化度合いの判定結果を示す無線データをリモコン400に対して送信する。
【0029】
また表示ランプ121は、架空地線510の劣化度合いの判定結果に応じて異なる態様で発光することにより、判定結果を出力する発光素子である。本実施形態に係る表示ランプ121は、緑色ないし青色に発光する緑色ランプ122、黄色ないしオレンジ色に発光する黄色ランプ123、赤色に発光する赤色ランプ124を有して構成されている。
【0030】
また詳しくは後述するが、本実施形態に係る判定装置100は、架空地線510の劣化度合いを3段階で判定し、3段階のうち、もっとも劣化が進んだ状態(劣化大)の場合には赤色ランプ124を点灯させ、劣化が中程度に進んだ状態(劣化中)の場合には黄色ランプ123を点灯させ、劣化がもっとも進んでいない状態(劣化小)の場合には緑色ランプ122を点灯させる。
【0031】
またスピーカ125は、架空地線510の劣化度合いの判定結果に応じて異なる態様で音声を出力することにより、判定結果を出力する装置である。
【0032】
例えば判定装置100は、上記3段階の判定結果に応じて異なる音量でブザーを吹鳴する。例えば判定装置100は、3段階のうち、劣化大と判定した場合には劣化中と判定したときに吹鳴する音量よりも大きな音量でブザーを吹鳴し、劣化小と判定した場合には劣化中と判定したときに吹鳴する音量よりも小さな音量でブザーを吹鳴する。
【0033】
あるいは判定装置100は、判定結果に応じて異なる周期でブザーを断続的に吹鳴させても良い。例えば判定装置100は、3段階のうち、劣化大と判定した場合には劣化中と判定したときに吹鳴するブザーの周期よりも短い周期でブザーを断続的に吹鳴し、劣化小と判定した場合には劣化中と判定したときに吹鳴するブザーの周期よりも長い周期でブザーを断続的に吹鳴する。
【0034】
このようにして、地上にいる作業者700は、表示ランプ121の点灯パターンやスピーカ125からの音声の吹鳴パターンを確認することによって、架空地線510の劣化度合いの判定結果を知ることができる。
【0035】
あるいはさらに判定装置100は、表示ランプ121の点灯とスピーカ125からの音声の吹鳴とを組み合わせて、劣化度合いの判定結果を出力するようにしても良い。
【0036】
このようにすれば、判定装置100は、劣化度合いの判定結果をより確実に、地上の作業員700に通知することが可能となる。
【0037】
また
図2に示すように、本実施形態に係る判定装置100のケース170は絶縁性を有する例えば樹脂製であり、本体部171と、本体部171から架空地線510を跨ぐように架空地線510の両側に延伸する2本の脚部(第1脚部172、第2脚部173)とを有するように形成されている。
【0038】
このような構造により、作業員700が作業棒200の先端に装着された判定装置100を用いて架空地線510の検査を行なう際に、第1脚部172と第2脚部173との間に架空地線510を挟むようにして判定装置100を架空地線510上に載置することが容易に行なえるので、判定装置100を架空地線510の上に載置しやすくなる。
【0039】
また判定装置100を架空地線510上に一旦載置した後は、架空地線510を第1脚部172と第2脚部173とで挟んだ状態で安定させることができるので、作業員700の作業負担を軽減することが可能となる。
【0040】
また判定装置100を架空地線510上に安定して載置できるので、例えば判定装置100が架空地線510上を不意に移動して検査をやり直さなければならないような事態を防止でき、作業時間を短縮することも可能となる。さらにまた、架空地線510の加熱位置(第1位置511)や温度測定位置(第2位置512)が検査中に不意に移動しにくくなるので、架空地線510への加熱による温度変化の測定をより正確に行なえるため、より正確で客観的に劣化度合いの判定結果を得ることが可能になる。
【0041】
また判定装置100のケース170は絶縁性を有するため、電柱500に懸架されている配電線520に判定装置100を万が一接触させてしまったとしても、作業員700への感電を防止することができる。
【0042】
判定装置100のケース170には、
図3や
図4に示すように、作業棒200と連結するための作業棒結合部180が第2脚部173に装着されている。
【0043】
作業棒結合部180には、
図7に示すように作業棒200が結合される。作業棒200の構成を
図6に示す。
【0044】
判定装置100は、作業棒200の先端部に形成されている連結ピン211を作業棒結合部180に形成されている連結ピン固定部183にはめ込み、ロックナット220をロック方向に回転させることで、作業棒200と結合される。
【0045】
作業棒200は、
図6に示すように略円筒形状の棒であり、判定装置装着部210と、ロックナット220と、水切りつば230と、絶縁棒240と、グリップ250と、を有して構成されている。
【0046】
グリップ250は、作業者700により把持される部分である。
【0047】
また絶縁棒240は、表面に絶縁性を有する棒であり、例えば樹脂製の棒である。絶縁棒240は表面に絶縁性を有するため、架空地線510と共に電柱500に懸架されている配電線520に、絶縁棒240を万が一接触させてしまったとしても作業員700への感電を防止することができる。
【0048】
水切りつば230は、作業棒200の表面を水滴が流下してきた場合に、この水滴がグリップ250に到達するのを防止する。
【0049】
判定装置装着部210は、判定装置100が装着される部分である。判定装置装着部210は略円筒形状であり、判定装置装着部210の外側面には、半径方向に突出するように、判定装置100と結合するための連結ピン211が形成されている。
【0050】
ロックナット220は、作業棒200の中心軸の周りを回転可能に構成されている。ロックナット220を回転させると、作業棒200の延伸方向にロックナット220を移動させることができる。
【0051】
一方、判定装置100の作業棒結合部180は、
図3や
図4に示すように、作業棒200に装着される側の底面を開口させた中空の略円筒形状を有している。また作業棒結合部180の側面には、底面の開口から連続するように略T字型に開口するスリット(連結ピン用スリット181)が形成されている。
【0052】
連結ピン用スリット181は、連結ピン挿入部182と連結ピン固定部183とからなる。
【0053】
連結ピン挿入部182は、作業棒結合部180の底面から上面に向けて作業棒結合部180の側面を切り込むように開口すると共に、さらに左右に分岐して円筒の側面を円周方向に切り込むように開口する略T字型のスリットである。
【0054】
連結ピン固定部183は、連結ピン挿入部182の左右に分岐した開口の両端部において、作業棒結合部180の底面に向かう方向に開口を広げるように形成される。
【0055】
そして、作業棒200の連結ピン211を判定装置100の連結ピン固定部183に装着し、この状態でロックナット220をロック方向に回転させると、ロックナット220は判定装置100に近付く方向に移動し、判定装置100と作業棒200との結合を強化することができる。逆に、ロックナット220を解除方向に回転させると、ロックナット220は判定装置100から遠ざかる方向に移動し、判定装置100と作業棒200との結合は緩められる。
【0056】
次に、判定装置100が備えるヒータ131、温度センサ132について説明する。
【0057】
ヒータ131及び温度センサ132は、
図4や
図5に示すように、ケース170の第1脚部172及び第2脚部173に挟まれる本体部171の表面に、所定間隔(L)を隔てて固定されている。
【0058】
このため
図2に示すように、判定装置100を架空地線510上に載置した際に、ヒータ131と温度センサ132とが、所定間隔(L)を隔てて架空地線510の表面に接触する。ヒータ131と温度センサ132とが所定間隔(L)を隔てて架空地線510の表面に接触している様子を
図5に示す。
【0059】
なお本実施形態では、架空地線510の延伸方向(x軸方向)におけるヒータ131の中央部と温度センサ132の中央部との距離を上記所定間隔Lとしているが、例えば架空地線510の延伸方向(x軸方向)におけるヒータ131のいずれか一方の端部と温度センサ132のいずれか一方の端部との間の距離を所定間隔(L)としても良い。
【0060】
ヒータ131は、架空地線510上の第1地点511において、架空地線510の表面を加熱する。一方、温度センサ132は、第1地点511から架空地線510の延伸方向(x軸方向)に沿って所定間隔(L)を隔てた第2地点512において、架空地線510の温度変化を計測する。
【0061】
ここで、架空地線510は金属製であるので、風雨等の影響を受けて時間の経過と共に錆や亀裂等の劣化が進む。そして金属は、錆等の劣化が進むにつれて熱伝導度が低下する。このため、架空地線510の第1地点511にヒータ131を接触させて所定時間加熱したときに、第1地点511から所定間隔(L)だけ離れた第2地点512における温度変化の程度を測定することにより、架空地線510の劣化度合いを推定することが可能となる。
【0062】
例えば、第1地点511をヒータ131で所定時間(例えば3分間)加熱したときに、第2地点512における温度変化量(温度上昇幅)を測定することにより、架空地線510の劣化度合いを推定することが可能となる。
【0063】
あるいは、第1地点511をヒータ131で所定時間(例えば3分間)加熱したときに、第2地点512における温度変化速度(単位時間当たりの温度上昇幅)を測定することにより、架空地線510の劣化度合いを推定することが可能となる。
【0064】
ヒータ131による架空地線511の加熱及び温度センサ132による温度変化の計測については後述する。
【0065】
次に判定装置100が有する機能構成について
図9を参照しながら説明する。判定装置100は、
図9に示すように、通信部110、出力部120、機構部130、処理部140、記憶部150、電源部160を備えている。
【0066】
通信部(判定結果出力部)110は、リモコン400との無線通信を行う。出力部(判定結果出力部)120は、処理部140からの指示により各種出力を行う。出力部120は、例えば表示ランプ121やスピーカ125等を有して構成される。機構部130は、例えば電源スイッチ133やヒータ(ワイヤ加熱部)131、温度センサ(温度変化計測部)132等を有して構成される。
【0067】
記憶部150は、処理部140によって生成されたデータや処理部140によって利用されるデータを記憶する。記憶部150は例えばフラッシュメモリやハードディスク装置等の不揮発性記憶装置を有して構成される。記憶部150には、後述する温度記録テーブル151や劣化度合い判定テーブル152が記憶される。
【0068】
電源部160は、判定装置100の各部に必要な電力を供給する電源であり、例えば、電池を有して構成される。
【0069】
処理部(劣化度合い判定部)140は、判定装置100の全体の制御を行い、例えばCPU(Central Processing Unit)が記憶部150に格納されたプログラムを実行することによって実現される。
【0070】
上述したように、記憶部150には、温度記録テーブル151及び劣化度合い判定テーブル152が記憶される。
【0071】
温度記録テーブル151の例を
図10に示す。温度記録テーブル151は、判定装置100がヒータ131により架空地線510への加熱を行なう際の架空地線510の温度の計測結果、及び温度変化の計測結果を記録するテーブルである。
【0072】
温度記録テーブル151には、ヒータ131が架空地線510を加熱する前の架空地線510の温度(第1温度)と、所定の加熱時間(例えば3分間)加熱した後の温度(第2温度)と、温度変化量(第1温度と第2温度との差分)と、が記録されている。
【0073】
具体的には、
図10に示すように、温度記録テーブル151は"No"欄、"計測開始時温度"欄、"計測終了時温度"欄、"温度上昇幅"欄を有する。
【0074】
"No"欄には、各計測結果の識別番号が記録される。"計測開始時温度"欄には、ヒータ131が架空地線510を加熱する前の架空地線510の温度(第1温度)の計測結果が記録される。"計測終了時温度"欄には、ヒータ131が架空地線510を所定の加熱時間(例えば3分間)加熱した後の架空地線510の温度(第2温度)の計測結果が記録される。"温度上昇幅"欄には、第1温度と第2温度との差分が記録される。
【0075】
また劣化度合い判定テーブル152の例を
図11に示す。劣化度合い判定テーブル152は、判定装置100が、架空地線510の劣化度合いを判定するための判定値を記録したテーブルである。
【0076】
図11に示すように、本実施形態の劣化度合い判定テーブル152には、3段階(劣化大、劣化中、劣化小)に区分された架空地線510の劣化度合い毎に、それぞれの劣化度合いであると判定されるための架空地線510の温度上昇幅(判定値)が記録されている。
【0077】
判定装置100は、温度記録テーブル151の”温度上昇幅”欄に記録されている架空地線510の温度変化の計測結果を、劣化度合い判定テーブル152の”温度上昇幅”欄に記載されている判定値と比較することで、架空地線510の劣化度合いを判定する。
【0078】
例えば本実施形態においては、架空地線510の第1地点511をヒータ131で3分間加熱した場合の第2地点512における温度上昇幅が16℃以上の場合は、架空地線511の劣化度合いは「大」「中」「小」の3段階のうちの「小」であると判定する。また温度上昇幅が13℃以上16℃未満の場合は、架空地線511の劣化度合いは「中」であると判定し、温度上昇幅が13℃未満の場合は、架空地線511の劣化度合いは「大」であると判定する。
【0079】
この劣化度合い判定テーブル152に記録される判定値の内容は、事前に実験等を行なっておくことにより求めることができる。
【0080】
なお劣化度合い判定テーブル152は、
図12に示すような形態とすることも可能である。
【0081】
図12に示す劣化度合い判定テーブル152には、3段階(劣化大、劣化中、劣化小)に区分された架空地線510の劣化度合い毎に、それぞれの劣化度合いであると判定されるための架空地線510の温度上昇速度(判定値)が記録されている。
【0082】
この温度上昇速度は、判定装置100が、温度記録テーブル151に記録されている”温度上昇幅”の値を、加熱時間(3分)で割ることにより算出される。判定装置100は、このようにして温度上昇速度を算出し、劣化度合い判定テーブル152の”温度上昇速度”欄に記載されている判定値と比較することで、架空地線510の劣化度合いを判定する。
【0083】
例えば、架空地線510の第1地点511をヒータ131で3分間加熱した場合の第2地点512における温度上昇速度が5℃/分以上の場合は、架空地線511の劣化度合いは「大」「中」「小」の3段階のうちの「小」であると判定する。また温度上昇速度が2℃/分以上5℃/分未満の場合は、架空地線511の劣化度合いは「中」であると判定し、温度上昇速度が2℃/分未満の場合は、架空地線511の劣化度合いは「大」であると判定する。
【0084】
このようにして判定された架空地線510の劣化度合いは、上述したように、判定装置100からリモコン400に送信される。リモコン400には、
図8に示したように、判定結果が表示される。
【0085】
リモコン400は、
図8に示すように、出力部420と、電源入切ボタン431と、判定開始ボタン432と、を有している。
【0086】
出力部420は、判定装置100から送信された架空地線510の判定結果が表示される。電源入切ボタン431は、リモコン400への電力供給をオンオフすると共に、リモコン400の機能をオンオフするためのスイッチである。なお詳細は
図13を参照しながら後述するが、リモコン400への電力供給は、リモコン400に内蔵されるバッテリ等の電源部460から行なわれる。
【0087】
判定開始ボタン432は、判定装置100に対して、ヒータ131の加熱や温度センサ132による架空地線510の温度計測を無線により指示し、架空地線510の劣化度合いの検査を開始させるためのスイッチである。
【0088】
次にリモコン400が有する機能構成について
図13を参照しながら説明する。リモコン400は、
図13に示すように、通信部410、出力部420、入力部430、処理部440、記憶部450、電源部460を備えている。
【0089】
通信部(判定結果受信部)410は、処理装置100との無線通信を行う。出力部(劣化度合い出力部)420は、処理部440からの指示により各種出力を行う。出力部420は、例えば液晶ディスプレイ等を有して構成される。入力部430は、例えば電源入切ボタン431や判定開始ボタン432等を有して構成される。
【0090】
記憶部450は、処理部440によって生成されたデータや処理部440によって利用されるデータを記憶する。記憶部450は例えばフラッシュメモリやハードディスク装置等の不揮発性記憶装置を有して構成される。
【0091】
電源部460は、リモコン400の各部に必要な電力を供給する電源であり、例えば、電池を有して構成される。
【0092】
処理部440は、リモコン400の全体の制御を行うものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)が記憶部450に格納されたプログラムを実行することによって実現される。
【0093】
なおリモコン400は、本実施形態に係る判定システム600に専用の装置であっても良いし、例えばノート型PC(Personal Computer)やスマートフォン等の汎用の携帯型電子端末を用いて実現しても良い。
【0094】
次に、
図1、及び
図14から
図16を参照しながら、電柱500に敷設される架空地線510の劣化度合いの検査を判定システム600を用いて行なう場合の処理の流れを説明する。
【0095】
まず、判定装置100及びリモコン400の電源スイッチが、それぞれ作業者A701及び作業者B702によりオンにされる(S1000、S2000)。これにより判定装置100及びリモコン400が機能を開始する。
【0096】
次に作業者A701により、架空地線510上の劣化度合いを検査する位置に判定装置100が設置される(S2010)。このとき、架空地線510上でヒータ131が接触する位置を第1位置511とし、温度センサ132が接触する位置を第2位置512とする。
【0097】
この状態で作業者B702によりリモコン400の判定開始ボタン432が押下されると(S1010)、リモコン400は、判定装置100に対して架空地線510の劣化度合いの判定開始コマンドを送信する(S1020)。
【0098】
そして判定装置100は判定開始コマンドを受信すると、まず第2地点512における温度(第1温度)を計測する(S2020。
図15に示す(A))。そして判定装置100は、温度(第1温度)の計測値を温度記録テーブル151の”計測開始時温度”欄に記録する。
【0099】
続いて判定装置100は、ヒータ131の加熱を開始する(S2030。
図15に示す(B))。そして所定の加熱時間(例えば3分)が経過したら(S2040:YES)、判定装置100はヒータ131の加熱を停止する(S2050。
図15における(C))。
【0100】
そして判定装置100は、再び第2地点512における温度(第2温度)を計測する(S2060。
図15における(D))。そして判定装置100は、温度(第2温度)の計測値を温度記録テーブル151の”計測終了時温度”欄に記録する。
【0101】
そして判定装置100は、ヒータ131による加熱前に測定した架空地線510の第1温度と、ヒータ131による加熱後に測定した第2温度との差分を求め、温度記録テーブル151の”温度上昇幅”欄に記録すると共に、この差分を劣化度合い判定テーブル152に記載されている判定値と比較し、劣化度合いを判定する(S2070)。
【0102】
そして判定装置100は、この判定結果を示す無線データと、温度の計測結果と、をリモコン400に送信する(S2080)。
【0103】
そしてリモコン400は、劣化度合いの判定結果と温度の計測結果を出力部420に表示する(S1030)。
【0104】
これにより、架空地線510の劣化度合いの判定を、作業者700の主観に頼らずに架空地線510の温度変化の計測結果に基づいて行なうことができるようになり、客観的に架空地線510の劣化度合いの判定を行うことが可能になる。
【0105】
またヒータ131による架空地線510への加熱を所定時間行うと共に、加熱前後の架空地線510の温度変化に基づいて劣化度合いの判定を行うようにすることで、架空地線510の劣化に伴い熱伝導度が低下することを利用して、架空地線510の劣化度合いの判定を正確に行うことが可能になる。
【0106】
なお判定装置100は、上記S2080において架空地線510の劣化度合いの判定結果を無線データによりリモコン400に送信する際に、判定結果に応じた態様で表示ランプ121の点灯やスピーカ125からの音声の吹鳴を行うようにしても良い。これにより、リモコン400の出力部420を視認できない作業員A701も判定結果を知ることが可能となる。
【0107】
またヒータ131による架空地線510の加熱のタイミングと、温度センサ132による架空地線510の温度測定のタイミングは、
図15に示した他にも例えば
図16に示すようにすることもできる。
【0108】
この場合判定装置100は、リモコン400から判定開始コマンドを受信すると(S1020)、ヒータ131の加熱を開始し(
図16に示す(E))、その後、第2地点512における温度(第1温度)を計測する(
図16に示す(F))。判定装置100は、この温度(第1温度)の計測値を温度記録テーブル151の”計測開始時温度”欄に記録すると共に、さらにヒータ131の加熱を継続する。そして所定の加熱時間(例えば3分)が経過したら、判定装置100は第2地点512における温度(第2温度)を再び計測し(
図16における(G))、温度(第2温度)の計測値を温度記録テーブル151の”計測終了時温度”欄に記録する。そして判定装置100は、ヒータ131の加熱を停止する(
図16における(H))。
【0109】
このような態様によれば、判定装置100が第1温度を測定してから(
図16の(F)の時点)第2温度を測定するまで(
図16の(G)の時点)の間はヒータ131による加熱が継続しているので、架空地線510への加熱による架空地線510の温度変化をより正確に測定することができ、架空地線510の劣化度合いの判定をより正確に行うことが可能となる。
【0110】
また上記実施形態では、作業者A701が作業棒付判定装置300を把持しつつ、作業者B702がリモコン400を操作することで架空地線510の劣化度合いの検査を行なう場合を示したが、リモコン400を使用せずに、作業者A701が作業棒付判定装置300を用いて架空地線510の劣化度合いの検査を行なうようにすることも可能である。
【0111】
この場合は、例えば、判定装置100を架空地線510に載置した際に架空地線510との接触を検知するためのセンサ(例えば圧力センサ)を判定装置100に設けておき、作業者A701が判定装置100を架空地線510に載置したことを上記圧力センサが検知すると、処理部140がヒータ131及び温度センサ132を上述した手順で動作させて、架空地線510の劣化判定処理を行うようにする。
【0112】
そして判定装置100は、判定結果を表示ランプ121やスピーカ125から出力し、地上の作業員A701に通知するようにする。
【0113】
このような形態によれば、一人の作業者A701のみでも、架空地線510の劣化度合いの検査を行なうことが可能となる。
【0114】
あるいは、上記実施形態に係る判定装置100は、表示ランプ121やスピーカ125を備えていたが、表示ランプ121やスピーカ125を備えない構成とすることもできる。
【0115】
この場合、判定装置100は、架空地線510の劣化度合いの判定結果を無線によりリモコン400に送信するようにし、地上にいる作業員700は、リモコン400に表示されるこの判定結果を見ることにより、架空地線510の劣化度合いを知ることができる。
【0116】
さらに、判定装置100は、表示ランプ121やスピーカ125のみならず通信部110をも備えず、リモコン400との通信も行わない構成とすることもできる。この場合判定装置100は、架空地線510の劣化度合いの判定結果を記憶部150に記憶しておくようにする。そして作業終了後に作業員700が記憶部150に記憶されている判定結果を所定のデータ読み出し装置(不図示)を用いて読み出して、架空地線510の劣化度合いを取得する。
【0117】
また上記実施形態では、判定装置100は、ヒータ131の加熱を所定時間(例えば3分間)行なってから架空地線510の温度(第2温度)を計測し、加熱前に計測した温度(第1温度)との差分に基づいて温度上昇幅や温度上昇速度を求め、架空地線510の劣化度合いを判定している。
【0118】
しかしながら、例えば、ヒータ131の加熱時間が上記所定時間に達する前の時点(例えば加熱開始後1分後)で、一旦、架空地線510の温度(第3温度)を計測し、この第3温度と上記第1温度との差分に基づいて温度上昇幅や温度上昇速度を求め、架空地線510の劣化度合いを判定するようにしても良い。
【0119】
この場合、ヒータ131の加熱開始後1分後の時点で既に架空地線510の温度上昇幅あるいは温度上昇速度が所定の判定値以上であり、架空地線510の劣化が進んでいないと判定できる場合(例えば上記実施形態の「劣化小」と判定できる場合)には、判定装置100は、この時点で架空地線510の劣化度合いを判定し、ヒータ131の加熱を停止するようにしても良い。
【0120】
このような形態によれば、架空地線510の劣化度合いを判定する際の1回あたりの作業時間を短時間化することができるようになるので、作業効率が向上すると共に、ヒータ131の作動時間を短くできるので、判定装置100の消費電力を低減することも可能となる。
【0121】
なおこの場合、上記ヒータ131の加熱開始後1分後の時点において、架空地線510の温度上昇幅あるいは温度上昇速度が、架空地線510の劣化が進んでいない(「劣化小」)と判定するための判定値よりも大きくない場合には、当初の予定通りにヒータ131を所定の加熱時間(3分間)加熱した後に架空地線510の温度(第2温度)を測定し、第2温度と第1温度との差分に基づいて温度上昇幅や温度上昇速度を求め、架空地線510の劣化度合いを判定すれば良い。
【0122】
また上記実施形態に係る判定装置100は、ヒータ131からの加熱による架空地線510の温度変化の程度に基づいて架空地線510の劣化度合いを判定するが、例えば架空地線510の温度変化量や温度変化速度が外気温の影響を受けて変化する場合には、外気温を加味して劣化度合いを判定するようにしても良い。
【0123】
この場合は、例えば判定装置100に外気温を測定するセンサを設けると共に、
図11や
図12に示した劣化度合い判定テーブル152の「温度上昇幅」欄や「温度上昇速度」欄に記載されている判定値を外気温に応じて補正するための補正テーブル(不図示)、あるいは補正のための換算式を別途記憶しておき、判定装置100は、架空地線510の劣化度合いを判定する際にこの補正テーブル(不図示)や換算式を用いて、外気温に応じて劣化度合い判定テーブル152の判定値を補正するようにすればよい。
【0124】
これにより、外気温によって架空地線510の温度変化量や温度変化速度が変わる場合であっても、正確に架空地線510の劣化度合いを判定することができる。
【0125】
あるいは、劣化度合い判定テーブル152を、複数の外気温の下で事前に複数作成しておき、判定装置100は、架空地線510の劣化度合いを判定する際に、外気温に対応した劣化度合い判定テーブル152を選び出して劣化度合いの判定を行うようにしても良い。
【0126】
このような形態によっても、外気温によって架空地線510の温度変化量や温度変化速度が変わる場合であっても、正確に架空地線510の劣化度合いを判定することができる。
【0127】
なお、本実施形態に係る判定装置100は、例えば
図2や
図5に示したように、判定装置100を架空地線510に載置した場合に、ヒータ131や温度センサ132の周囲が、架空地線510や、本体部171、第1脚部172、第2脚部173により覆われる形態である。このような形態とすることによって、ヒータ131からの熱が外気に発散しにくく、外気温の影響を受けにくくすることができる。
【0128】
また、架空地線510は、1本の金属線により構成される場合もある一方で、複数の金属製の素線を撚って構成される場合もある。
【0129】
図17に、架空地線510が複数の素線を撚って構成される場合の架空地線510の断面図を示す。
図17に示す架空地線510は、7本の金属の素線510A〜510Gを所定のピッチで撚って構成されている。またこの架空地線510の側面図を
図18に示す。
【0130】
複数の素線を撚って構成される架空地線510の場合には、架空地線510の劣化はそれぞれの素線ごとに進む。例えば
図17に示す架空地線510の場合は、それぞれの素線510A〜510Gごとに劣化が進む。そしてこの場合、架空地線510の劣化は、目視可能な表面のみならず、目視不可能な内部においても進行する。
【0131】
また複数の素線を撚って構成される架空地線510の場合には、架空地線510をヒータ131で加熱した場合の温度上昇幅は、ヒータ131で加熱する素線(第1素線)と温度変化を測定する素線(第2素線)とが同一か否かで異なる。さらにヒータ131で加熱する素線(第1素線)と温度変化を測定する素線(第2素線)とが異なる場合には、これらの素線同士の位置関係(例えば隣接しているか否か)によって温度上昇幅が異なることになる。
【0132】
このため、本実施形態に係る判定装置100は、劣化判定を行う架空地線510の各素線の撚りピッチを考慮して、ヒータ131と温度センサ132との間の距離(L)が定められている。
【0133】
例えば
図18に示すように、本実施形態に係る判定装置100は、ヒータ131で加熱する素線(第1素線)と温度変化を測定する素線(第2素線)とが同一にならないように、ヒータ131と温度センサ132との間の距離(L)が定められている。
図18に示す例では、ヒータ131で加熱する素線(第1素線)が素線510Aとなる場合には、温度変化を測定する素線(第2素線)は素線510Dになるように定められている。従って同様に、ヒータ131で加熱する素線(第1素線)が素線510Bとなる場合には、温度変化を測定する素線(第2素線)は素線510Eになり、ヒータ131で加熱する素線(第1素線)が素線510Cとなる場合には、温度変化を測定する素線(第2素線)は素線510Fになる。
【0134】
このように、ヒータ131で加熱する素線(第1素線)と温度変化を測定する素線(第2素線)とが同一にならないように、ヒータ131と温度センサ132との間の距離(L)を定めておくことにより、素線間をまたがる熱伝導率の低下を検出できるようになるため、たとえ架空地線510の表面は劣化していない場合であっても、架空地線510の内部の劣化を検出することが可能となる。これにより、外部からは見えない架空地線510の劣化をも検出することが可能となる。
【0135】
以上本実施形態に係る判定システム600、判定装置100及び判定方法について説明したが、本実施形態によれば、架空地線510の劣化度合いの判定を、作業者700の主観に頼らずに架空地線510の温度変化の計測結果に基づいて行なうことが可能となり、客観的に架空地線510の劣化度合いの判定を行うことが可能になる。
【0136】
また本実施形態に係る判定装置100は、少なくとも、ヒータ131が架空地線510への加熱を開始する前の温度である第1温度と、架空地線510への加熱を所定の加熱時間行なった後の温度である第2温度と、を計測するように構成することができる。これにより、架空地線510の劣化に伴う熱伝導度の低下を正確に検出することができ、架空地線510の劣化度合いの判定を正確に行うことが可能になる。
【0137】
また本実施形態に係る判定装置100は、少なくとも、ヒータ131が架空地線510への加熱を開始した後の温度である第1温度と、架空地線510への加熱をさらに所定の加熱時間継続した後の温度である第2温度と、を計測するように構成することもできる。これにより、判定装置100が第1温度を測定してから第2温度を測定するまでの間はヒータ131による加熱が継続されるようになるため、架空地線510への加熱による温度変化をより正確に測定することができる。そして、架空地線510の劣化度合いの判定をより正確に行うことが可能となる。
【0138】
また本実施形態に係る判定装置100は、第1温度と第2温度との差分を、劣化度合い判定テーブル152に記載されている所定の判定値と比較することにより、架空地線510の劣化度合いを判定するようにすることができる。このような構成により、劣化度合いの判定基準を明確にできると共に、速やかに判定を行うことが可能になる。この判定値は、架空地線510の特性に応じて事前に実験等により求めておいたものを判定装置100に記憶しておけば良い。
【0139】
また本実施形態に係る判定装置100は、第1温度と第2温度とヒータ131の加熱時間とから、単位時間あたりの温度上昇速度を求め、この温度上昇速度を所定の判定値と比較することにより架空地線510の劣化度合いを判定するようにすることもできる。このような構成によっても、劣化度合いの判定基準を明確にできると共に、速やかに判定を行うことが可能になる。この場合の判定値も、架空地線510の特性に応じて事前に実験等により求めておいたものを判定装置100に記憶しておけば良い。
【0140】
また本実施形態に係る判定装置100は、劣化度合いを判定した場合には、判定結果を出力するようにすることもできる。これにより、作業員700は、劣化度合いの検査作業を行ないながら、直ちに検査結果を知ることが可能となる。
【0141】
またこの場合、判定装置100は、判定結果に応じて異なる態様で発光することにより、判定結果を出力するようにしても良い。これにより、地上で作業を行っている作業員700は、この発光パターンを視認することにより容易に判定結果を知ることが可能となる。
【0142】
また判定装置100は、判定結果に応じて異なる態様で音声を出力することにより、判定結果を出力するようにしても良い。これにより、地上で作業を行っている作業員700は、この音声の吹鳴パターンを聞き分けることにより容易に判定結果を知ることが可能となる。
【0143】
また判定装置100は、判定結果に応じて異なる態様の無線データを、通信可能に接続されたリモコン400に対して出力することにより、判定結果を出力するようにしても良い。これにより、地上で作業を行っている作業員700は、リモコン400に送信された判定結果を閲覧することにより容易に判定結果を知ることが可能となる。
【0144】
また判定装置100は、ヒータ131と温度センサ132とが所定間隔(L)を隔てて架空地線510の表面に接触するように、ヒータ131と温度センサ132とを固定する本体部171と、本体部171を架空地線510上に載置して、ヒータ131と温度センサ132とを架空地線510の表面に接触させた際に、本体部171から架空地線510を跨ぐように架空地線510の両側に延伸する第1脚部172及び第2脚部173と、をさらに備え、架空地線510の一方の側に延伸する第2脚部173に、作業員700により把持される作業棒200の先端部を結合するための作業棒結合部180が形成されるようにしても良い。
【0145】
これにより、判定装置100を作業棒200に結合することが可能になるので、作業員700は、地上にいながら電柱500上の高所に懸架される架空地線510の劣化度合いの検査を行なうことが可能になる。
【0146】
また架空地線510が複数の金属製の素線を撚って構成される撚り線である場合に、ヒータ131と温度センサ132とを隔てる所定間隔(L)を、ヒータ131が接触する第1素線が、温度センサ132が接触する第2素線とは異なるように定めるようにしても良い。これにより、素線間をまたがる熱伝導率の低下を検出できるようになるため、たとえ架空地線510の表面は劣化していない場合であっても、架空地線510の内部の劣化を検出することが可能となる。これにより、外部からは見えない架空地線510の劣化をも検出することが可能となる。
【0147】
なお上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0148】
例えば、上記実施形態では電柱500に懸架される架空地線510の劣化度合いを判定する場合を例に説明したが、本願発明は、例えばメッセンジャーワイヤや水平支線の劣化度合いの判定に用いることもできるし、さらに屋外に敷設される一般の金属製のワイヤの劣化度合いを判定する際に用いることも可能である。