(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化又は模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0014】
[全体の構成]
図1は、本発明の一実施形態による熱処理装置1の概略構成を示す平面図である。
図2は、
図1のII−II線に沿った断面図である。熱処理装置1は、ヒータ20、トラフ30、40、炉壁50、及びチャンバ60、70を備えている。
【0015】
熱処理装置1は、ルツボ10を、円筒状のヒータ20の内部で軸方向に沿って移動させ、連続的に熱処理する。ヒータ20は、熱処理装置1の炉芯管の役割を兼ねている。
【0016】
ルツボ10は、有底筒状の容器11と、容器11の開口を覆うフタ12とを備えている。ルツボ10には、熱処理の対象となる被処理材が収納されている。被処理材は例えば、フェノール、フラン等の樹脂、コークス、メソカーボン等の粉体である。
【0017】
ヒータ20は、6本の黒鉛管21A、21B、・・・、21Fから構成されている。黒鉛管21A、21B、・・・、21Fは、それぞれの端面を付き合わせて同軸に配置されている。黒鉛管21A、21B、・・・、21Fの接続部分には、黒鉛製の接続リング22が嵌められ、径方向の位置が規制されている。
【0018】
ヒータ20の両端は、トラフ30、40にそれぞれ接続されている。トラフ30、40は、ヒータ20と同様に、黒鉛等の導電性耐熱部材で形成されている。トラフ30、40は、ヒータ20と同じ内径を有する円筒状の形状を有している。
【0019】
ヒータ20の全体、及びトラフ30、40の一部は、耐火ブロック等で構成された炉壁50に囲まれている。炉壁50に囲まれた空間には、断熱材51が充填されている。断熱材51は、例えば黒鉛粉等がある。
【0020】
トラフ30、40にはそれぞれ、炉壁50から露出した部分に、電極31、41が形成されている。電極31、41には、後述する電源装置85(
図5)から電力が供給される。電極31、41は、トラフ30、40を介してヒータ20と電気的に接続されている。熱処理装置1は、ヒータ20に電流を流すことによって、ヒータ20を加熱する。
【0021】
炉壁50の内側には、ヒータ20の周面に接するように、複数の測温筒52が配置されている。ヒータ20の温度は、複数の放射温度計53(
図2)によって測定されている。
【0022】
トラフ30、40にはそれぞれ、ガス導入口30a、40aが形成されている。炉壁50の内側には、トラフ30の内側に連通するように形成されたガス排気筒54が配置されている。ヒータ20の内部には、ガス導入口30a、40aから、窒素、アルゴン等の不活性ガスが導入される。導入された不活性ガスは、熱処理によって揮発する不純物とともに、ガス排気筒54から排出される。
【0023】
トラフ30、40はそれぞれ、チャンバ60、70に接続されている。
図1に示すように、チャンバ60は、シャッタ61を備えている。チャンバ70は、シャッタ71を備えている。熱処理装置1は、コンベア62、72、押込装置63、及び方向反転装置64をさらに備えている。また、チャンバ60、70にはそれぞれ、ガス導入口60a、70aが形成されている。ガス導入口60a、70aからも不活性ガスが導入される。
【0024】
ヒータ20の内部には複数のルツボ10が、互いに接しあった状態で装入されている。熱処理装置1は、チャンバ60側にあるルツボ10を押込装置63によって内部に押し込む。これによって、ヒータ20内の複数のルツボ10が、チャンバ70へ向かって移動する。
【0025】
熱処理装置1は、シャッタ61及びコンベア62を駆動して、熱処理前のルツボ10をチャンバ60に搬入する。熱処理装置1は、シャッタ71及びコンベア72を駆動して、熱処理されたルツボ10をチャンバ70から搬出する。熱処理装置1は、これらの動作を繰り返すことで、ルツボ10を連続的に熱処理することができる。
【0026】
方向反転装置64は、コンベア62の搬送経路上に設置されている。方向反転装置64は例えば、機械式のアームであり、コンベア62の上方からルツボ10を掴んで回転させる。方向反転装置64は、ルツボ10を、フタ12がチャンバ70側になるように回転させる。フタ12をチャンバ70側にすることによって、フタ12が押込装置63の押圧で破損するのを防止することができる。
【0027】
[ヒータ20の構成]
図3は、ヒータ20の概略構成を示す分解斜視図である。
図4は、
図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図3及び
図4では、黒鉛管21A、21B、・・・、21Fのそれぞれを区別せず、単に黒鉛管21と表記している。
【0028】
既述のように、黒鉛管21A、21B、・・・、21Fは、それぞれの端面を付き合わせて同軸に配置されている。より具体的には、黒鉛管21Aは一方の端面が黒鉛管21Bの一方の端面に接するように配置され、黒鉛管21Bは他方の端面が黒鉛管21Cの一方の端面に接するように配置され、・・・、黒鉛管21Eは他方の端面が黒鉛管21Fの一方の端面に接するように配置されている。
【0029】
すなわち、黒鉛管21Aと黒鉛管21Bと、黒鉛管21Bと黒鉛管21Cと、・・・、黒鉛管21Eと黒鉛管21Fとが、それぞれ互いの端面で接している。そのため、黒鉛管21A、21B、・・・、21Fは、電気的に直列に接続されている。
【0030】
本実施形態では、黒鉛管21A、21B、・・・、21Fの電気抵抗をρ
A、ρ
B、・・・、ρ
Fとして、次の関係を満たしている。
ρ
C>ρ
B>ρ
A
ρ
C>ρ
D>ρ
E>ρ
F
【0031】
すなわち、本実施形態では、ヒータ20の軸方向の中心側に配置された黒鉛管ほど、電気抵抗が高くなっている。換言すれば、電極31及び電極32からの距離が遠い位置に配置された黒鉛管ほど、電気抵抗が高くなっている。本実施形態では、黒鉛管21Cの電気抵抗が、最も高くなっている。
【0032】
本実施形態では、ρ
A、ρ
B、・・・、ρ
Fはさらに、次の関係を満たしている。
ρ
C>ρ
D>ρ
B>ρ
E>ρ
F>ρ
A
【0033】
既述のように、黒鉛管21A、21B、・・・、21Fの接続部分には、接続リング22が嵌められている。これによって、黒鉛管21A、21B、・・・、21Fが径方向(x方向と垂直な方向)にずれないように構成されている。
【0034】
黒鉛管21A、21B、・・・、21Fのそれぞれの両端には、ヒータ20の外径R1よりも小さい外径R2を有する溝部21aが形成されている。接続リング22は、
図4に示すように、2つの黒鉛管の溝部21aによって形成される窪みに嵌合している。これによって、接続リング22の、ヒータ20の軸方向(x方向)の移動が規制される。そのため、接続リング22が軸方向にずれることを防止でき、ひいては2つの黒鉛管の中心軸がずれることを防止することできる。
【0035】
黒鉛管21A、21B、・・・、21Fと接続リング22とは、同じ材料で形成されていることが好ましい。黒鉛管21A、21B、・・・、21Fの熱膨張率と接続リング22の熱膨張率とが同じになるため、接続部分での応力の発生が抑制されるからである。
【0036】
本実施形態では、ヒータ20の外径R1と接続リング22の外径とが等しい。換言すれば、溝部21aの深さは、接続リング22の肉厚に等しい。接続リング22がヒータ20から突出すると、表面積が増えるために放熱量が多くなる。接続リング22がヒータ20から突出しないようにすることで、放熱を抑制することができる。なお、ヒータ20の外径R1と接続リング22の外径とは厳密に等しい必要はなく、実質的に等しければ良い。
【0037】
[熱処理装置1の温度制御方法]
熱処理装置1の温度制御方法の一例を説明する。ただし、熱処理装置1の温度制御方法は、これに限定されない。
【0038】
図5は、熱処理装置1の機能的構成を示すブロック図である。熱処理装置1は、温度制御装置80と、電源装置85とをさらに備えている。
【0039】
温度制御装置80は、複数のアナログ/デジタル変換器(ADC)81と、演算装置82と、記憶装置83と、デジタル/アナログ変換器(DAC)84とを備えている。
【0040】
演算装置82は、供給された複数の値から最大の値を選択する比較部821と、電源装置85の出力を決定する出力決定部822とを含んでいる。比較部821及び出力決定部822は、専用回路等のハードウェアであっても良いし、記憶装置83に格納された情報を基にプログラムを実行することによって実現されるソフトウェアであっても良い。
【0041】
温度制御装置80には、複数の放射温度計53のそれぞれから、ADC81を介して温度の測定値が供給される。比較部821は、複数の放射温度計53が測定した温度の測定値のうち、最大の値を選択して測定温度とし、出力決定部822に供給する。
【0042】
記憶装置83には、図示しない入力装置によって入力された設定温度が格納されている。出力決定部822は、記憶装置83に格納されている設定温度と、比較部821から供給される測定温度との偏差を一定時間ごとに計算し、記憶装置83に格納する。出力決定部822は、偏差、偏差の時間積分、及び偏差の時間微分に基づいて、電源装置85の出力を決定する。
【0043】
なお、被処理材を熱処理する場合の設定温度は、例えば2000〜3200℃であり、好ましくは2200〜3000℃である。
【0044】
出力決定部822によって決定された出力は、DAC84を介して、電源装置85に供給される。電源装置85は、出力に比例した電力をヒータ20に供給する。
【0045】
以上のように、本実施形態では、ヒータ20の最高温度を測定温度とし、測定温度と設定温度とが一致するように電源装置85の出力を調整する。
【0046】
[熱処理装置1の効果]
図6は、熱処理装置1内の温度分布の一例である。
図6の横軸はヒータ20の軸方向に沿った位置を表し、A、B、・・・、Fはそれぞれ、黒鉛管21A、21B、・・・、21Fが配置された位置であることを表わしている。
【0047】
ヒータ20には、電極31、41を介してその両端から電力が供給される。黒鉛管21A、21B、・・・、21Fは電気的に直列に接続されているため、黒鉛管21A、21B、・・・、21Fのすべてに同じ大きさの電流が流れる。したがって、電気抵抗が大きい黒鉛管ほど、発熱量が大きくなる。
【0048】
本実施形態では、ヒータ20の軸方向の中心側ほど、黒鉛管の電気抵抗が高くなっている。そのため、ヒータ20の軸方向の中心側ほど、発熱量が大きくなる。そのため、熱処理装置1の温度分布は、
図6に示すように、ヒータ20の中心近傍にピークを有する上側に凸の形状になる。
【0049】
本実施形態によれば、熱処理装置1の温度制御が容易になる。この構成の効果を、仮想的な比較例を参照して説明する。
図7は、仮想的な比較例による熱処理装置の温度分布の一例である。この熱処理装置は、装置内の温度分布が平坦になるように設計されている。
【0050】
実際の熱処理では、設定温度、被処理材の熱容量、及びヒータ20や断熱材51の損耗等の要因によって、装置内の温度分布の形状が熱処理ごとに変動する。そのため、
図7のような温度分布の場合、熱処理ごとに最高温度位置が変動する可能性がある。
【0051】
このとき、ヒータ20の1箇所の温度を測定して電源装置85の出力を制御していると、装置内の最高温度が設定温度よりも高くなる可能性がある。熱処理材(物)の物性は、処理中の平均温度よりも、最高温度の影響をより強く受けると考えられる。そのため、装置内の最高温度が設定温度よりも高くなることは好ましくない。
【0052】
また、
図7のような温度分布の場合、ある熱処理では最高温度位置が黒鉛管21Bの位置になり、別の熱処理では最高温度位置が黒鉛管21Eの位置になる等、最高温度位置が変化することで、熱処理ごとにルツボ10の昇温速度が変化する可能性がある。
【0053】
本実施形態では、積極的に凸形状の温度分布にすることによって、最高温度位置を毎回ほぼ同じ位置にすることができる。そのため、その付近の温度を管理しておけば良いため、温度制御が比較的容易になる。また、最高温度位置がほぼ同じ位置になることで、被処理材に加わる熱履歴を一定にできる。そのため、再現性の高い熱処理ができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、ヒータ20の両端からの放熱を抑制できる。そのため、
図7の温度分布と比較して、効率良く加熱することができる。
【0055】
なお、本実施形態ではヒータ20を構成する黒鉛管の中で最も電気抵抗の大きい黒鉛管は黒鉛管21Cであるが、
図6の例では、黒鉛管21Dの位置が最高温度位置になっている。これは、チャンバ60側から温度の低いルツボ10が搬送されるため、チャンバ60側の温度が低くなるためである。このように、最も電気抵抗の大きい黒鉛管が配置された位置と、最高温度位置とは、一致していなくても良い。
【0056】
本実施形態では、ρ
A、ρ
B、・・・、ρ
Fは、ρ
C>ρ
D>ρ
B>ρ
E>ρ
F>ρ
Aの関係を満たしている。すなわち、ヒータ20の軸方向の中心よりもチャンバ60側の黒鉛管(21B、21C)の電気抵抗を、チャンバ70側(21D、21E)よりも高くしている。上述のように、ヒータ20は、チャンバ60側から温度の低いルツボ10が搬送されるため、チャンバ60側の温度が低くなる。チャンバ60側の黒鉛管の電気抵抗を相対的に高くすることで、チャンバ60側の黒鉛管の発熱量を大きくしている。これによって、ヒータ20の中心に対してより対称な温度分布が得られる。ただし、黒鉛管21Aの電気抵抗ρ
Aは、黒鉛管21Fの電気抵抗ρ
Fよりも低くしている。これによって、黒鉛管21Aの位置の発熱量を比較的少なめにし、被処理材の加熱開始時の温度変化を緩やかにしている。
【0057】
熱処理装置1は、複数の放射温度計53を備えている。また、温度制御装置80(
図5)は、複数の温度の測定値から最大の値を選択する比較部821を含んでいる。この構成によれば、最高温度位置が変動しても、装置内の最高温度が設定温度よりも高くなることを防止できる。
【0058】
本実施形態の構成によればさらに、以下に説明するように、被処理材の純化を促進することができる。
【0059】
被処理材よりも融点の低い不純物は、熱処理によって揮発し、被処理材から排出される。このとき温度が高いほど、不純物の平衡蒸気圧が高くなり、より多くの不純物が揮発する。ただし、不純物の分圧が平衡蒸気圧に達すると、不純物は揮発しなくなる。
【0060】
本実施形態によれば、熱処理装置1内の温度分布は、ヒータ20の中心近傍にピークを有する上側に凸の形状になる。揮発した不純物の濃度分布も同様に、上側に凸の形状になる。揮発した不純物は、濃度の高い位置から濃度の低い位置に向かって拡散する。これによって、ピーク位置の不純物の濃度が低下する。ピーク位置での不純物の分圧が平衡蒸気圧より低くなり、不純物がさらに揮発する。これが繰り返されることによって、不純物が被処理材から連続的に排出される。
【0061】
図7に示すような平坦な温度分布の場合、揮発する不純物の濃度分布も平坦になり、拡散が起こらない。そのため、不純物の分圧が平衡蒸気圧に達すると、不純物は揮発しなくなる。これに対し、本実施形態によれば、装置内の温度分布によって不純物の濃度勾配を形成し、拡散を利用して被処理材の純化を促進することができる。
【0062】
図8は、熱処理装置1内の不活性ガスの流れを示す図である。
図8では、不活性ガスの流れを白抜きの矢印で模式的に示している。本実施形態では、ヒータ20よりもチャンバ70側に配置されたトラフ40に、ガス導入口40aが形成されている。また、ヒータ20よりもチャンバ60側に配置されたトラフ30に連通するように、ガス排気筒54が形成されている。この構成によれば、ヒータ20内では、チャンバ70側からチャンバ60側に向かって不活性ガスが流れる。
【0063】
一方、ルツボ10は、押込装置63によって、チャンバ60側からチャンバ70側に向かって移動する。すなわち、本実施形態では、ルツボ10の移動方向と反対方向に不活性ガスが流れている。
【0064】
この構成によれば、あるルツボ10に収納された被処理材から排出された不純物は、不活性ガスによって、ルツボ10の移動方向と反対方向に移動する。そのため、そのルツボ10に再び不純物が付着することがない。そのルツボ10よりもガス流通方向の下流側にあるルツボ10に不純物が付着する可能性はあるが、下流側にあるルツボ10が最高温度位置を通る際に、付着した不純物が再び揮発して除去されることが期待できる。そのため、熱処理材(物)の純度を向上できる。
【0065】
本実施形態では、ガス排気筒54は、断熱材51で覆われた部分に配置されている。すなわち、ガス排気筒54は、高温領域に配置されている。この構成によれば、揮発した不純物が再び凝固する前に、ガス排気筒54から排出される。そのため、装置内に不純物が析出するのを防止でき、ひいては熱処理材(物)の純度を向上できる。
【0066】
なお本実施形態では、ガス導入口40aがトラフ40に形成され、ガス排気筒54がトラフ30に連通するように形成されている。しかし、ガス導入口及びガス排気筒の位置はこれに限定されない。ガス導入口及びガス排気筒は、ヒータ20内の不活性ガスの流通方向がルツボ10の移動方向と反対方向になるような位置にあれば良い。例えば、ガス導入口40aに代えて、ヒータ21Fに連通するようなガス導入筒を形成しても良い。また、ガス排気筒54に代えて、ヒータ21Aに連通するようなガス排気筒を形成しても良い。
【0067】
ガス導入口は、ヒータ20の最高温度位置よりも、ルツボ10の移動方向の下流側、すなわちチャンバ70側にあることが好ましい。ガス排気筒は、ヒータ20の最高温度位置よりも、ルツボ10の移動方向の上流側、すなわちチャンバ60側にあることが好ましい。また、ガス排気等は、ヒータ20内の温度が、被処理材の不純物の融点よりも高くなる位置に形成することが好ましい。
【0068】
[その他の実施形態]
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0069】
上記の実施形態では、ヒータ20が円筒状の場合を説明した。しかし、ヒータ20は筒状であれば良く、ヒータ20及び黒鉛管21A、21B、・・・、21Fの断面形状は任意である。
【0070】
上記の実施形態では、複数の黒鉛管が同じ長さであるように図示しているが、複数の黒鉛管の長さは、それぞれ異なっていても良い。
【0071】
上記の実施形態では、ρ
A、ρ
B、・・・、ρ
Fが次の関係を満たす場合を説明した。
ρ
C>ρ
B>ρ
A
ρ
C>ρ
D>ρ
E>ρ
F
しかし、ρ
A、ρ
B、・・・、ρ
Fは、次のような関係であっても良い。
ρ
C=ρ
D
ρ
C>ρ
B>ρ
A
ρ
D>ρ
E>ρ
F
【0072】
上記の関係であっても、上部に凸の温度分布が得られるからである。この場合、黒鉛管21Cと黒鉛管21Dとを、実質的に一つの黒鉛管とみなすことができる。
【0073】
上記の実施形態では、ヒータ20が、6本の黒鉛管から構成されている場合を説明した。しかし、ヒータを構成する黒鉛管の数は、3本以上であれば任意である。
【0074】
すなわち、ヒータは、直列に接続された3本の黒鉛管を含み、真ん中の黒鉛管の電気抵抗が最も高くなるように配置されていれば良い。換言すれば、ヒータは、第1黒鉛管と、一方の端面が第1黒鉛管の一方の端面に接するように配置され、第1黒鉛管の電気抵抗よりも高い電気抵抗を有する第2黒鉛管と、一方の端面が第2黒鉛管の他方の端面に接するように配置され、第2黒鉛管の電気抵抗よりも低い電気抵抗を有する第3黒鉛管とを含んでいれば良い。
【0075】
上記の実施形態では、ヒータ20が、炉芯管の役割を兼ねている場合を説明した。しかし熱処理装置1は、ヒータ20とは別に炉芯管を備えていても良い。
【0076】
上記の実施形態では、熱処理装置1が、チャンバ60、70を備えている場合を説明した。しかし、熱処理装置1は、チャンバ60、70のいずれか又は両方を備えず、トラフ30の入口側、又はトラフ40の出口側にシャッタを備える構成としても良い。また、コンベア62、72はなくても良い。あるいは、コンベア62、72に代えて、スロープ等が形成されていても良い。
【解決手段】熱処理装置1は、筒状のヒータ20と、ヒータ20の両端に電気的に接続された電極31、41とを備る。ヒータ20は、第1黒鉛管21Bと、一方の端面が第1黒鉛管21Bの一方の端面に接するように配置され、第1黒鉛管21Bの電気抵抗よりも高い電気抵抗を有する第2黒鉛管21Cと、一方の端面が第2黒鉛管21Cの他方の端面に接するように配置され、第2黒鉛管21Cの電気抵抗よりも低い電気抵抗を有する第3黒鉛管21Dとを含む。