特許第5778369号(P5778369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5778369-高密度空気の製造方法及び利用方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5778369
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】高密度空気の製造方法及び利用方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/06 20060101AFI20150827BHJP
   F04C 29/04 20060101ALI20150827BHJP
   F02M 25/022 20060101ALI20150827BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   F04B39/06 L
   F04C29/04 N
   F02M25/02 F
   F04D29/58 M
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-98523(P2015-98523)
(22)【出願日】2015年5月13日
【審査請求日】2015年5月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508040739
【氏名又は名称】小林 隆逸
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(74)【代理人】
【識別番号】100070323
【弁理士】
【氏名又は名称】中畑 孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆逸
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−191635(JP,A)
【文献】 特開2014−125926(JP,A)
【文献】 特開2015−14207(JP,A)
【文献】 特開2015−90090(JP,A)
【文献】 特開2003−184768(JP,A)
【文献】 特開2000−34930(JP,A)
【文献】 特開平5−187359(JP,A)
【文献】 特開平10−77980(JP,A)
【文献】 特開2000−120596(JP,A)
【文献】 特表2014−512203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/06
F02M 25/022
F04C 29/04
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気に微細水粒を混合して該原料空気よりも低圧の水含有空気を生成し、該水含有空気に上記原料空気の気圧との差圧を補完することにより、該水含有空気内の微細水粒の気化を促しつつ同水含有空気の体積を縮小して高密度空気を製造することを特徴とする高密度空気の製造方法。
【請求項2】
上記水含有空気の気圧を補完する手段として、送風機を用いることを特徴とする請求項1記載の高密度空気の製造方法。
【請求項3】
上記水含有空気の気圧を補完する手段として、コンプレッサーを用いることを特徴とする請求項1記載の高密度空気の製造方法。
【請求項4】
上記請求項1乃至3の何れかにて製造した高密度空気を該高密度空気よりも高圧の蒸気と共に外燃機関の動作気体として利用することを特徴とする高密度空気の利用方法。
【請求項5】
上記高密度空気と上記蒸気とを同時に上記外燃機関に作用させることを特徴とする請求項4記載の高密度空気の利用方法。
【請求項6】
上記高密度空気と上記蒸気とを時間差を設けて上記外燃機関に作用させることを特徴とする請求項4記載の高密度空気の利用方法。
【請求項7】
上記請求項1乃至3の何れかにて製造した高密度空気を内燃機関の支燃気体として利用することを特徴とする高密度空気の利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高密度空気の製造方法及び該製造方法で製造した高密度空気の利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気をはじめとする気体を高密度化する方法として、コンプレッサー等の圧縮装置を用いて気体を強制的に圧縮する方法が既知であり、当該方法においては気体の圧縮に伴い熱が発生し、圧縮装置に多大な負荷がかかる。
【0003】
下記特許文献1は、圧縮装置を用いて空気を強制的に圧縮する方法に関するものであり、該圧縮装置として水循環式空気圧縮機を用い、循環水により圧縮装置自体を冷却することにより、圧縮装置にかかる負担を軽減する方法を開示している。
【0004】
また、下記特許文献2は、圧縮装置を用いて合成ガスを強制的に圧縮する方法に関するものであり、該圧縮装置として、合成ガスの圧縮と冷却とを同時に行うことができる熱動力学コンプレッサーを用い、該熱動力学コンプレッサーに冷却材として水を直接注入し合成ガスを冷却しながら圧縮することにより、圧縮装置にかかる負担を軽減する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−162485号公報
【特許文献2】特表2011−504447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記各特許文献の方法では、強制的圧縮により気体が得た熱エネルギーを冷却によって一部失ってしまうこととなり非効率的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、原料空気を強制的に圧縮する工程を廃した、効率良く高密度空気を製造する方法を提供すると共に、該製造方法にて製造した高密度空気が有するエネルギーを有効に利用する方法を提供する。
【0008】
要述すると、本発明に係る高密度空気の製造方法は、原料空気に微細水粒を混合して該原料空気よりも低圧の水含有空気を生成し、該水含有空気に上記原料空気の圧力との差圧を補完することにより、該水含有空気内の微細水粒の気化を促しつつ同水含有空気の体積を縮小して高密度空気を製造する方法であり、徒に圧力及び温度を上げることなく効率的に高密度空気を製造することができる。
【0009】
好ましくは、上記水含有空気の圧力を補完する手段として、送風機又はコンプレッサーを用いる。
【0010】
また、上記本発明に係る高密度空気の製造方法にて製造した高密度空気の利用方法として、該高密度空気よりも高圧の蒸気と共に外燃機関の動作気体として利用し、該高密度空気と蒸気とを同時に外燃機関に作用させるか、又は該高密度空気と蒸気とを時間差を設けて外燃機関に作用させて、上記高圧蒸気の熱エネルギーを上記高密度空気が適切に譲り受けつつ有効に外燃機関を動作させることが可能となる。
【0011】
又は本発明に係る高密度空気の製造方法にて製造した高密度空気を内燃機関の支燃気体として利用し、高密度で酸素を多く含む上記高密度空気の有効利用を図る。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る高密度空気の製造方法によれば、効率良く空気を高密度化することができる。
【0013】
また、本発明に係る高密度空気の利用方法によれば、高密度空気を効果的に外燃機関又は内燃機関に作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る高密度空気の製造装置の基本構成例を示す概略図。
図2】原料空気、水含有空気及び高密度空気の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1図2に基づき説明する。
【0016】
本発明に係る高密度空気の製造方法にあっては、図1に示すように、まず所望量の原料空気Aを空気供給手段1aを介して、密閉空間を有する水含有空気生成手段1内に供給する。次いで、該供給した原料空気Aにノズル等の噴出口を有する微細水粒供給手段1bを介して多数の微細水粒Wを噴射し、該原料空気Aに微細水粒Wを混合する。
【0017】
本発明において、上記原料空気Aとして好ましくは大気をはじめとする常温常圧の空気を用いる。但し、本発明における原料空気Aの温度及び圧力は実施に応じ任意であり、適宜調整できる。また、上記微細水粒Wは表面積増大のために可及的に微細とした水粒(小滴)であり、その粒径や温度、供給量は原料空気Aの温度や圧力、供給量等により適宜調整できる。
【0018】
上記の如く、水含有空気生成手段1内で原料空気Aに微細水粒Wを混合することにより水含有空気A1を生成する。すなわち、原料空気A内に混合された多数の微細水粒Wは該原料空気Aと気液接触して同原料空気Aの熱を奪いつつ該原料空気A内に存し、本発明においては、この多数の微細水粒Wを含む空気を水含有空気A1と称している。
【0019】
換言すると、上記微細水粒Wは原料空気Aから奪った熱を蒸発潜熱として保持しつつ同原料空気A内に存する状態となる。なお、本発明にあっては、水含有空気A1内において微細水粒Wの一部が気化して、湿り蒸気となる場合を排除しない。
【0020】
上記のように水含有空気A1は原料空気Aよりも低温となり、これに伴い原料空気Aよりも低圧となる。また、図2に示すように、水含有空気A1は原料空気Aよりも体積も縮小する。
【0021】
すなわち、原料空気Aの温度、圧力及び体積をそれぞれT、P、V(以下同じ)とし、水含有空気A1の温度、圧力及び体積をそれぞれT1、P1、V1(以下同じ)とすると、温度においてはT>T1、圧力においてはP>P1、体積においてはV>V1の関係が成り立つ。
【0022】
次いで、図1に示すように、上記水含有空気A1は差圧補完手段2を介して原料空気Aとの圧力差、つまり原料空気Aの圧力Pと水含有空気A1の圧力P1の差圧(P1−P)を補完され、これにより高密度空気A2が製造される。この際には、原料空気Aが元来有していた圧力Pまで加圧することとなり、強制的圧縮、つまり原料空気Aを元来有していた圧力Pよりも高圧になるように加圧する場合に比して、発生する熱を抑止することができる。また、この際には水含有空気A1内の微細水粒Wが気化することによっても発生する熱を抑える。
【0023】
上記差圧補完手段2としては、有圧扇、ファン、ブロワ等の既知の送風機又は既知のコンプレッサーを用い、上記差圧を補完しつつタンク等の貯蔵手段3へと移送する。特に差圧補完手段2として送風機を用いる場合には、上記差圧の補完と上記移送とを効率的に行うことができる。
【0024】
上記製造された高密度空気A2は水含有空気A1よりも高温高圧となって微細水粒Wの気化を促しつつ、図2に示すように、水含有空気A1よりも体積が縮小することとなるが、圧力においては原料空気Aの圧力と同じである。
【0025】
すなわち、高密度空気A2の温度、圧力及び体積をそれぞれT2、P2、V2(以下同じ)とすると、温度においてはT2>T1、圧力においてはP=P2>P1、体積においてはV>V1>V2の関係が成り立つ。なお、原料空気Aの温度Tと高密度空気A2の温度T2との関係は含有する微細水粒Wの量や気化する微細水粒Wの量等により両者同一か一方が高くなる。
【0026】
而して製造された高密度空気A2は、後記するように、上記貯蔵手段3から熱機関4たる外燃機関又は内燃機関へと供給して利用する。
【0027】
次に本発明に係る高密度空気の利用方法について説明する。
【0028】
まず、既述のように製造した高密度空気A2を熱機関4たる外燃機関、例えば既知の蒸気タービン等の外燃構造のタービン、既知のフリーピストン、既知のロータリー等の動作気体として利用する場合について説明する。
【0029】
この場合、高密度空気A2をそのまま動作気体として利用してもよいが、好ましくは、該高密度空気A2よりも高圧の蒸気Sと共に利用する。
【0030】
すなわち、図1に示すように、熱機関4が外燃機関の場合には、高密度空気A2を当該外燃機関4に供給する際に蒸気供給手段5を介して蒸気Sを一緒に供給する。
【0031】
高密度空気A2と蒸気Sとは、同時に外燃機関4に作用させる。
【0032】
又は高密度空気A2と蒸気Sとを時間差を設けて外燃機関4に作用させる。詳述すると、高密度空気A2と蒸気Sの一方の気体により外燃機関4の動作を開始した後に他方の気体を供給して同外燃機関4の動作を継続することにより、後から供給する気体(上記他方の気体)を比較的低い供給圧力でスムーズに供給できる。
【0033】
具体例として、上記一方の気体の供給時には上記他方の気体の供給を停止し、上記他方の気体の供給時には上記一方の気体の供給を停止する。又は上記一方の気体の供給終了と上記他方の気体の供給開始をシンクロナイズする。
【0034】
高密度空気A2は蒸気Sの凝縮点で不凝縮の気体又は蒸気Sの凝固点で不凝縮の気体であることにより、高密度空気A2が蒸気Sが放出する凝縮熱又は凝固熱を回収し、該熱回収により自身を膨張させてその気体圧を外燃機関4へ作用させる。よって、高密度空気A2は蒸気Sの熱エネルギーを適切に譲り受けつつ有効に外燃機関4を動作させることができる。
【0035】
なお、本発明においては、高密度空気A2を外燃機関4の動作気体として利用する場合に、必要に応じて高密度空気A2の温度、湿度、圧力を調整して利用することを排除しない。
【0036】
次いで、上記製造した高密度空気A2を熱機関4たる内燃機関、例えば既知のガス蒸気タービン等の内燃構造のタービン、既知の水素エンジン、ガソリンエンジン、ジェットエンジン等のエンジン、既知のボイラー等の支燃気体として利用する場合について説明する。
【0037】
この場合には、高密度空気A2を内燃機関4に供給し、該内燃機関4のシリンダー等により圧縮し燃料の燃焼効率を高めるために利用する。高密度空気A2は高密度で酸素を多く含み、燃焼効率を有効に向上する。また、高密度空気A2は、蒸気と共に微細水粒Wを多く含み、該微細水粒Wも気化して蒸気となり、内燃機関に作用する。
【0038】
なお、本発明においては、高密度空気A2を内燃機関4の支燃気体として利用する場合も、必要に応じて高密度空気A2の温度、湿度、圧力を調整して利用することを排除しない。
【0039】
以上説明したように、本発明に係る高密度空気の製造方法は、原料空気Aを強制的に圧縮せずに、微細水粒Wを混合して水含有空気A1にし、該水含有空気A1の圧力P1と上記原料空気Aの圧力Pとの差圧(P−P1)を補完することにより、徒に温度や圧力を上げることなく、したがって一度上がった温度を下げて熱エネルギーを損失する等のエネルギーロスをなくし、効率良く高密度空気A2を製造することができる。
【0040】
また、上記製造方法により製造した高密度空気A2を該高密度空気A2よりも高圧の蒸気Sと共に外燃機関の動作気体として利用すれば、効果的に外燃機関を動作させることができる。
【0041】
さらに、上記製造方法により製造した高密度空気A2を内燃機関の支燃気体として利用すれば、内燃機関における燃焼効率を有効に向上することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…水含有空気生成手段、1a…空気供給手段、1b…微細水粒供給手段、2…差圧補完手段(送風機又はコンプレッサー)、3…貯蔵手段、4…熱機関(外燃機関又は内燃機関)、5…蒸気供給手段、A…原料空気、A1…水含有空気、A2…高密度空気、W…微細水粒、S…蒸気。
【要約】
【課題】 徒に圧力及び温度を上げることなく効率的に高密度空気を製造することができる方法の提供。
【解決手段】 本発明に係る高密度空気の製造方法は、原料空気Aに微細水粒Wを混合して該原料空気Aよりも低圧の水含有空気A1を生成し、該水含有空気A1に上記原料空気Aの気圧との差圧を補完することにより、該水含有空気A1内の微細水粒Wの気化を促しつつ同水含有空気A1の体積を縮小して高密度空気A2を製造することを特徴とする。

【選択図】 図1
図1
図2