特許第5778374号(P5778374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778374
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   A63F5/04 512D
   A63F5/04 512A
   A63F5/04 516F
【請求項の数】5
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2008-167660(P2008-167660)
(22)【出願日】2008年6月26日
(65)【公開番号】特開2010-5120(P2010-5120A)
(43)【公開日】2010年1月14日
【審査請求日】2011年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100104916
【弁理士】
【氏名又は名称】古溝 聡
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】山中 隆司
【審査官】 古屋野 浩志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−020720(JP,A)
【文献】 特開2007−260100(JP,A)
【文献】 特開2008−023029(JP,A)
【文献】 特開2005−021574(JP,A)
【文献】 特開2001−314553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて、
ゲーム毎に前記可変表示装置に表示結果が導出されるよりも前に、遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果を含む複数種類の入賞表示結果の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
所定の変動開始条件が成立したときに、前記識別情報の変動表示を開始させる変動開始手段と、
前記事前決定手段の決定結果に応じて前記識別情報の変動表示を停止させて、前記可変表示装置に表示結果を導出させる導出制御手段と、
遊技者による所定の演出介入操作手段の操作に応じて演出結果が変化させられる介入演出を演出手段に実行させる演出実行手段とを備え、
前記演出実行手段は、
前記介入演出が実行されているときにおいて前記演出介入操作手段が最初に操作されたときから経過した時間を計時する計時手段と、
前記計時手段が所定の時間の経過を計時するまでに、前記演出介入操作手段の操作に応じて成立する所定の報知条件が成立したか否かを判定する報知条件判定手段と、
前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記報知条件判定手段が前記報知条件の成立を判定したときに、前記介入演出の演出結果として該特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報を報知する特別報知手段と、
前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記報知条件判定手段により前記報知条件の成立が判定されなかったときに、新たなゲームに移行するまで該特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報も該特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないことを示す情報も報知せず、該新たなゲームにおいて、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報を報知するゲーム移行後報知手段と、
前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されてないときにおいて前記報知条件判定手段が前記報知条件の成立を判定したときに、前記介入演出の演出結果として該特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないことを示す情報を報知する非特別報知手段とを含む
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記識別情報の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止操作手段をさらに備え、
前記導出制御手段は、前記停止操作手段が操作されるまで前記識別情報の変動表示を停止させず、該停止操作手段の操作を条件として前記可変表示装置に表示結果を導出させ、
前記演出実行手段は、少なくとも前記識別情報の変動表示が行われている間の所定の期間において前記介入演出を実行させ、
前記計時手段は、前記識別情報の変動表示が開始された後、前記演出介入操作手段が最初に操作されたときから経過した時間を計時する
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記特別報知手段は、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記報知条件判定手段が前記報知条件の成立を判定したときに、前記計時手段が前記所定の時間の経過を計時する前であっても、該報知条件の成立を判定した時点で前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報を報知する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスロットマシン。
【請求項4】
遊技の進行過程において互いに異なるタイミングで、該遊技を進行させるために遊技者により操作される複数の遊技操作手段をさらに備え、
前記演出介入操作手段は、前記複数の遊技操作手段のうちの前記計時手段が計時を開始した後から前記所定の時間の経過を計時するまでに遊技を進行させるために操作されることのない遊技操作手段である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記所定の報知条件は、前記演出介入操作手段が所定の回数だけ操作されたことによって成立し、
前記所定の回数は、前記所定の時間のうちに遊技者が前記演出介入操作手段を物理的に操作可能な回数に応じて定められている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関し、特に演出手段において実行されている演出に介入するために遊技者により操作される演出介入操作手段を備えるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示態様に従って入賞が発生する。
【0003】
入賞の表示態様のうちでビッグボーナスやチャレンジボーナスといったボーナス役の図柄が導出されたときには、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利なボーナスの遊技状態に制御されるものとなる。このボーナスのような通常の遊技状態とは異なる遊技状態に制御するものとすることで、遊技にメリハリを生じさせ、遊技の興趣を向上させている。ここで、ボーナス役を含めた各役の入賞が発生するためには、一般的には、事前(通常はスタートレバー操作時)に行われる内部抽選に当選して当選フラグが設定されていなければならない。
【0004】
内部抽選は、スロットマシンの制御部において内部的に行われるものであり、遊技者がその結果を直接的に見られるものではない。もっとも、内部抽選における役の当選、特にボーナス役の当選は、遊技者の得られる利益に非常に大きく影響するものであり、遊技者にとって最も知りたい情報となっている。そして、多くのスロットマシンでは、ボーナス役に当選しているかどうかという情報を演出により報知(告知及び予告)し、このような演出により遊技者の期待感を高めさせ、遊技の興趣の向上を図るものとしている。
【0005】
ところで、前述したように、スロットマシンにおける遊技の結果は、遊技者が介入しない内部抽選の結果によってだけ決まるのではなく、停止ボタンの操作という遊技者の介入によって決まるものとなっている。ここで、ボーナス役に当選しているかどうかという情報の報知などの演出に対しても遊技者が介入できるようにすれば、より遊技の興趣を高められることとなる。このため、例えば、遊技者がタッチパネルをタッチして演出に介入しなければ当選しているボーナスの種類を告知しないが、タッチパネルをタッチして演出に介入すれば当選しているボーナスの種類を告知するものとしたスロットマシンがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−275192号公報(段落0190、0191等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のスロットマシンでは、遊技者が演出に介入することができるようにするためのタッチ要求演出を実行し、タッチ要求演出が行われているときに遊技者がタッチパネルにタッチすることで演出に介入することができるものとなっている。つまり、遊技者が演出に介入することのできるタイミングまでを遊技者が任意に選ぶことができるものではなく、実行された演出に対して遊技者が介入する自由度は低いものであった。このため、遊技者が演出に介入することで生じる興趣の高まりは十分に高いものとは言えなかった。
【0008】
本発明は、実行中の演出に対して遊技者が介入し得るスロットマシンにおいて、遊技者による演出への介入操作の自由度を高め、これによって遊技の興趣を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかるスロットマシンは、
遊技用価値(メダル)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置(可変表示装置2)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシン(スロットマシン1)において、
ゲーム毎に前記可変表示装置に表示結果が導出されるよりも前に、遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果を含む複数種類の入賞表示結果の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段(CPU111(内部抽選):図4(b))と、
所定の変動開始条件が成立したときに、前記識別情報の変動表示を開始させる変動開始手段(CPU111)と、
前記事前決定手段の決定結果に応じて前記識別情報の変動表示を停止させて、前記可変表示装置に表示結果を導出させる導出制御手段(CPU111(リール3L、3C、3Rの停止制御):図4(b))と、
遊技者による所定の演出介入操作手段(MAXBETボタン15)の操作に応じて演出結果が変化させられる介入演出(前兆演出及び当選告知)を演出手段(液晶表示器4)に実行させる演出実行手段(CPU121)とを備え、
前記演出実行手段は、
前記介入演出が実行されているときにおいて前記演出介入操作手段が最初に操作されたときから経過した時間を計時する計時手段(CPU121:スタートレバー11の操作後にMAXBETボタン15が最初に操作されると計時開始(図5))と、
前記計時手段が所定の時間の経過を計時するまでに、前記演出介入操作手段の操作に応じて成立する所定の報知条件が成立したか否かを判定する報知条件判定手段(CPU121:計時開始から3秒経過する前にMAXBETボタン15が15回操作されたか判定)と、
前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記報知条件判定手段が前記報知条件の成立を判定したときに、前記介入演出の演出結果として該特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報を報知する特別報知手段(CPU121:計時開始から3秒経過する前にMAXBETボタン15が15回操作されると、ボーナス当選していれば告知(図5(a)))と、
前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記報知条件判定手段により前記報知条件の成立が判定されなかったときに、新たなゲームに移行するまで該特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報も該特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないことを示す情報も報知せず(CPU121:計時開始から3秒経過した時点でMAXBETボタン15が15回操作されていないと、何も告知せずに前兆演出を終了)、該新たなゲームにおいて、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報を報知するゲーム移行後報知手段(CPU121:次のゲームでスタートレバー11が操作されたときにボーナス告知(図5(c)))と、
前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されてないときにおいて前記報知条件判定手段が前記報知条件の成立を判定したときに、前記介入演出の演出結果として該特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないことを示す情報を報知する非特別報知手段とを含む
ことを特徴とする。
【0010】
上記スロットマシンでは、演出結果が変化させられる介入演出を演出実行手段に実行させるものとなっているが、遊技者は、演出介入操作手段を操作することによって、この介入演出に介入して演出結果を変化させることが可能となっている。そして、計時手段が所定の時間の経過を計時するまでに所定の報知条件が成立すると、介入演出の演出結果として特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報が報知されるものとなっている。
【0011】
ところで、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報が報知される所定の報知条件が成立するまでの制限時間、すなわち計時手段の計時を開始する起算点は、演出介入操作手段が最初に操作されたときからとなっている。このため、遊技者は、介入演出が開始された後の自由なタイミングで当該介入演出に介入することができるようになる。そして、このような自由度の高い介入操作が可能となることから、遊技者が介入演出に介入しやすくなり、結果として遊技の興趣を向上させることができる。
また、遊技者が演出介入操作手段を操作しないと次のゲームになるまで何れにしても特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報が報知されることがないので、遊技者(一般的に、この情報を早く知りたいものと考えられる)に演出介入操作手段の操作を促すことができる。また、遊技者が演出介入操作手段を操作しなくても、或いは演出介入操作手段を操作したものの報知条件が成立しなくても、次のゲームになれば特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報が報知されるので、遊技者の不利益が大きくなりすぎない。
【0012】
なお、前記所定の報知条件は、遊技者による所定の操作手段(演出介入操作手段でも可)の操作(計時手段に計時させる操作を含む複数回の操作、計時手段に計時させてからも継続して操作)によって成立するものとしてもよい。この場合には、遊技者が自らの操作により自由なタイミングで介入演出に介入開始することができるだけではなく、介入を開始してからも介入演出への介入操作を続けることが必要になるので、演出への介入感が高まり、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0013】
また、前記所定の時間および/または前記所定の報知条件は、例えば、前記介入演出が実行される度に変化することがあってもよい。この場合には、演出介入操作手段の最初の操作という条件は同じでも、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報が報知されることとなる条件は異なるので、介入演出の面白みを増すことができる。さらに、この場合において、報知条件が遊技者による所定の操作手段(演出介入操作手段を含む)の操作によって成立するものである場合には、介入演出へ介入するのに必要な操作に変化が生じるので、介入演出への介入に対する面白みをさらに増すことができる。
さらに、上記スロットマシンが、前記賭数を設定させるために遊技者により操作される賭数設定操作手段をさらに備える場合には、
前記ゲーム移行後報知手段は、前記非特別報知手段により前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないことを示す情報が報知された後に新たなゲームを開始させるべく前記賭数設定操作手段が操作されたときに、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報を報知するものとしてもよい。
【0014】
上記スロットマシンは、
前記識別情報の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止操作手段(停止ボタン12L、12C、12R)をさらに備えていてもよい。この場合において、
前記導出制御手段は、前記停止操作手段が操作されるまで前記識別情報の変動表示を停止させず、該停止操作手段の操作を条件として前記可変表示装置に表示結果を導出させ(CPU111:停止ボタン12L、12C、12Rが操作されない限りリール3L、3C、3Rを停止させない)、
前記演出実行手段は、少なくとも前記識別情報の変動表示が行われている間の所定の期間において前記介入演出を実行させ(スタートレバー11の操作から前兆演出を開始)、
前記計時手段は、前記識別情報の変動表示が開始された後、前記演出介入操作手段が最初に操作されたときから経過した時間を計時するものとすることができる(CPU121:スタートレバー11の操作後にMAXBETボタン15が最初に操作されると計時開始(図5))。
【0015】
この場合、識別情報の変動表示が行われていても演出介入操作手段が操作されない限り報知条件の成立を判断する必要がないので、識別情報の変動表示が行われたまま放置されているときの制御負荷を増大させずに済むものとなる。
【0016】
なお、停止操作手段が操作されることなく(可変表示装置が複数の可変表示部から構成され、該複数の可変表示部に対応して複数の停止操作手段が設けられている場合には、全ての停止操作手段が操作されることなく)、演出介入操作手段が操作された後に識別情報の変動表示が続けられている状態で放置されるような場合も考えられる。もっとも、報知条件判定手段による判定は、演出介入操作手段が操作されてから所定の時間の経過を計時するまでの間だけ行えばよいので、制御負荷が大きくなりすぎることはない。
【0017】
上記スロットマシンにおいて、
前記特別報知手段は、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記報知条件判定手段が前記報知条件の成立を判定したときに、前記計時手段が前記所定の時間の経過を計時する前であっても、該報知条件の成立を判定した時点で前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報を報知するものとすることができる(CPU121:MAXBETボタン15が15回操作された時点でボーナス告知(図5(a))。
【0018】
この場合、報知条件の成立と特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報の報知がリンクするので、該情報が報知されたことが遊技者に分かり易いものとなる。報知条件が遊技者による所定の操作手段(演出介入操作手段を含む)の操作によって成立するものである場合には、遊技者の演出介入操作手段の操作と特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを示す情報の報知がリンクするので、介入演出への遊技者の介入感を高めさせることができ、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0019】
上記スロットマシンにおいて、
前記所定の報知条件は、前記演出介入操作手段が所定の回数だけ操作されたことによって成立するものであってもよい。この場合において、
前記所定の回数は、前記所定の時間のうちに遊技者が前記演出介入操作手段を物理的に操作可能な回数に応じて定められていることが好ましい。
【0022】
上記スロットマシンは、
遊技の進行過程において互いに異なるタイミングで、該遊技を進行させるために遊技者により操作される複数の遊技操作手段(スタートレバー11、停止ボタン12L、12C、12R、メダル投入口13、1枚BETボタン14、MAXBETボタン15)をさらに備えるものであってもよい。この場合において、
前記演出介入操作手段は、前記複数の遊技操作手段のうちの前記計時手段が計時を開始した後から前記所定の時間の経過を計時するまでに遊技を進行させるために操作されることのない遊技操作手段とすることができる(MAXBETボタン15による賭け数の設定が有効となるのは、スタートレバー11の操作から第3停止ボタンの操作までのゲーム中以外)。
【0023】
なお、前記複数の遊技操作手段は、前記停止操作手段を含むものとすることができる。また、前記演出介入操作手段は、遊技を進行させるために操作されると同時に前記計時手段に計時を開始させるものとなる遊技操作手段とすることは可能である。例えば、前記停止操作手段が操作されることにより前記識別情報の変動表示が停止されるが、該停止操作手段は、該識別情報の変動表示が停止されていない状態で該変動表示を停止させるべく遊技者により操作されたときに、前記計時手段による計時を開始させる演出介入操作手段としてもよい。
【0024】
この場合、演出介入操作手段として専用の操作手段を設ける必要がないので、スロットマシンの製造コストを増大させることがない。また、介入演出の実行に関する部分については、ソフトウェアの変更だけで既存のスロットマシンを再利用することができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1の前面扉は、施錠装置19にキーを差し込み、時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。このスロットマシン1の上部前面側には、可変表示装置2が設けられている。可変表示装置2の内部には、3つのリール3L、3C、3Rから構成されるリールユニット3が設けられている。
【0027】
リール3L、3C、3Rは、それぞれステッピングモータから構成されるリールモータ3ML、3MC、3MR(図2参照)の駆動によって回転/停止させられる。リールモータ3ML、3MC、3MRを構成するステッピングモータの詳細については、後述する。リール3L、3C、3Rの外周部に描かれた図柄は、リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止したときにおいて、可変表示装置2において上中下三段に表示される。また、リール3L、3C、3Rの外周部には、互いに識別可能な複数種類の図柄が21個ずつ、所定の順序で描かれている。リール3L、3C、3Rにおける図柄の配列については、後述する。
【0028】
リールユニット3内には、リール3L、3C、3Rのそれぞれに対して、その基準位置を検出するリールセンサ3SL、3SC、3SR(図2参照)と、背面から光を照射するリールランプ3LP(図2参照)とが設けられている。可変表示装置2には、上中下段の3本及び対角線の2本の合計5本の入賞ラインが設定される。
【0029】
また、可変表示装置2の周囲には、各種表示部が設けられている。可変表示装置2の下側には、払出数表示部21と、クレジット表示部22と、ペイアウト表示部23とが設けられている。払出数表示部21は、7セグメント表示器による払出数表示器51(図2参照)によって構成され、後述するビッグボーナスにおいて払い出されたメダル数の合計を表示する。さらに、払出数表示部21は、エラーが発生したときに、発生したエラーの種類に対応したコード(エラーコード)を表示するためにも用いられる。
【0030】
クレジット表示部22は、7セグメント表示器によるクレジット表示器52(図2参照)によって構成され、後述するようにメダルの投入枚数及び払い出し枚数に応じてデータとして蓄積されたクレジットの数を表示する。ペイアウト表示部23は、7セグメント表示器によるペイアウト表示器53(図2参照)によって構成され、入賞が成立した場合に払い出されるメダルの枚数を表示する。
【0031】
可変表示装置2の左側には、1枚賭け表示部24、2枚賭け表示部25、及び3枚賭け表示部27が設けられている。1枚、2枚、3枚賭け表示部24、25、27は、それぞれ1枚、2枚、3枚賭けランプ54、55、57(図2参照)が点灯状態となることで、現時点で設定されている賭け数を遊技者に示す。
【0032】
可変表示装置2の右側には、投入指示表示部29と、スタート表示部30と、ウェイト表示部31と、リプレイ表示部32と、ゲームオーバー表示部33とが設けられている。投入指示表示部29は、投入指示ランプ59(図2参照)が点灯状態となることで、メダルが投入可能なことを示す。スタート表示部30は、スタートランプ60(図2参照)が点灯状態となることで、スタート可能、すなわちスタートレバー11の操作受付可能であることを示す。ウェイト表示部31は、ウェイトランプ61(図2参照)が点灯状態となることで、後述するウェイトがかかっていることを示す。リプレイ表示部32は、リプレイランプ62(図2参照)が点灯状態となることで、後述するリプレイ入賞をしたことを示す。ゲームオーバー表示部33は、ゲームオーバーランプ63(図2参照)が点灯状態となることで、スロットマシン1が打ち止めになったことを示す。
【0033】
可変表示装置2の上側には、演出手段としての液晶表示器4が設けられている。液晶表示器4は、遊技状態、当選フラグの設定状況、または可変表示装置2に導出された図柄の種類、もしくは遊技者の選択に応じて様々な演出用の画像を表示する。また、液晶表示器4には、遊技履歴などの遊技に直接的または間接的に関わる様々な情報を表示することが可能である。
【0034】
また、可変表示装置2の下方に設けられた台状部分の水平面には、メダル投入口13と、1枚BETボタン14と、MAXBETボタン15と、精算ボタン16とが設けられている。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15には、データとして蓄積されたクレジット(最大50)から賭け数の設定を可能としているときに点灯するBETボタンランプ70a、70b(図2参照)が内部に配されている。
【0035】
メダル投入口13は、遊技者がここからメダルを投入するものであり、投入指示表示部29が点灯しているときにメダルの投入が投入メダルセンサ44(図2参照)によって検出されると、賭け数が設定され、或いはクレジットがデータとして蓄積される。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15は、データとして蓄積されているクレジットから賭け数(それぞれ1、3)を設定する際に遊技者が操作するボタンであり、遊技者によって操作されたことが1枚BETスイッチ45(図2参照)またはMAXBETスイッチ46(図2参照)によって検出されると、クレジットからの賭け数の設定が行われる。
【0036】
精算ボタン16は、既に賭け数として設定されたメダル、或いは蓄積されたクレジットに対応したメダルの払い出しを指示するためのボタンである。精算ボタン16の操作が精算スイッチ47(図2参照)によって操作が検出されると、賭け数が設定されていれば、まず設定された賭け数に応じたメダルが払い出され、賭け数が設定されていなければ(精算ボタン16の操作で先に賭け数分のメダルが払い出された場合を含む)、データとして蓄積されたクレジットに応じたメダルが払い出される。
【0037】
その台状部分の垂直面には、スタートレバー11と、停止ボタン12L、12C、12Rとが設けられている。スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41(図2参照)によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRが駆動開始され、リール3L、3C、3Rが回転開始する。リール3L、3C、3Rが回転開始した後所定の条件が成立することにより停止ボタン12L、12C、12Rの操作が可能となると、その内部に備えられた操作有効ランプ63L、63C、63R(図2参照)が点灯状態となって、その旨が遊技者に示される。
【0038】
停止ボタン12L、12C、12Rは、それぞれ遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、その操作がストップスイッチ42L、42C、42R(図2参照)で検出されると、リール3L、3C、3Rの回転が停止される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作から対応するリール3L、3C、3Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ミリ秒である。
【0039】
リール3L、3C、3Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190ミリ秒の間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、後述する停止制御テーブルにより選択される停止図柄は、停止ボタン12L、12C、12Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
【0040】
さらに、停止ボタン12L、12C、12Rを覆うパネルが、ボーナス告知部36として適用されている。ボーナス告知部36は、ボーナス告知ランプ66(図2参照)が点灯状態となることで、後述する各種ボーナスの入賞が可能となっていることを遊技者に告知する。また、停止ボタン12Rの右側には、メダルが詰まったときなどにおいてスロットマシン1に機械的に振動を与えるメダル詰まり解消ボタン18が設けられている。
【0041】
スロットマシン1の下部前面側には、メダル払い出し口71と、メダル貯留皿72とが設けられている。メダル払い出し口71は、ホッパー80(図2参照)によって払い出しが行われたメダルを外部に排出するものである。メダル貯留皿72は、払い出されたメダルを貯めておくためのものである。メダル貯留皿72の上の前面パネルには、内部に設置された蛍光灯6(図2参照)が発した光が照射される。
【0042】
スロットマシン1の下部前面側と、上部前面側の左右とには、それぞれ演出手段としてのスピーカ7U、7L、7Rが設けられている。スピーカ7U、7L、7Rは、スタートレバー11や停止ボタン12L、12C、12Rの操作時、或いは入賞時において所定の効果音を出力する。さらにはエラーの発生時、前面扉の解放時、設定値の変更時、並びに賭け数及びクレジットの精算時における警報音の出力を行うと共に、遊技状態に応じた様々な演出音の出力を行う。
【0043】
さらに、スロットマシン1の前面側には、可変表示装置2及び液晶表示器4の周囲を取り囲むように、演出手段としての遊技効果ランプ75A〜75M(図2参照)の発光により光による演出を行う遊技効果表示部5A〜5Mが設けられている。遊技効果表示部5A〜5Mは、遊技の進行状況に応じた様々なパターンで光による演出を行うものである。なお、遊技効果表示部5A〜5Mの発光色は、単色からなるものであっても、複数色からなるものであっても構わない。
【0044】
図2は、このスロットマシン1の制御回路の構成を示す図である。図示するように、このスロットマシン1の制御回路は、電源基板100、遊技制御基板101、演出制御基板102、リール中継基板103、リールランプ中継基板104、外部出力基板105、演出中継基板106、及び操作部中継基板107に大きく分けて構成される。
【0045】
電源基板100は、AC100Vの外部電源電圧を変圧し、遊技制御基板101その他のスロットマシン1の各部に動作電力を供給する。図2では、遊技制御基板101、ホッパー80、各スイッチ91〜94にのみ接続されているように示しているが、電源基板100は、他の各部への電力の供給も行っている。電源基板100は、スロットマシン1の内部に設けられ、メダルの払い出し動作を行うホッパーモータ82と、メダルの払い出しを検知する払い出しセンサ81とから構成されるホッパー80に接続されている。
【0046】
電源基板100は、後述する内部抽選への当選確率を設定し、これに基づいて算出されるメダルの仮想払出率の設定値(設定1〜設定6)を変更するための設定スイッチ91、設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92、内部状態(RAM112)をリセットする第2リセットスイッチ93、及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94にもそれぞれ接続されており、これらのスイッチの検出信号を遊技制御基板101へと送る。これらのスイッチ91〜94は、スロットマシン1の内部に設けられている。
【0047】
遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116、電源監視回路117、リセット回路118その他の回路を搭載している。
【0048】
CPU111は、計時機能、タイマ割り込みなどの割り込み機能(割り込み禁止機能を含む)を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うと共に、スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。CPU111の処理ワードは、1バイトであり、RAM112やROM113のアドレスは、1バイト単位で付けられている。
【0049】
RAM112は、CPU111がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。RAM112は、バッテリバックアップされており、スロットマシン1がOFFされても、記憶内容を保持するものとなっている。RAM112には、リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数をカウントするカウンタのための領域が設けられている。クレジット数に関するデータは、RAM112に記憶されるものとなっている。ROM113は、CPU111が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート114は、遊技制御基板101に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0050】
乱数発生回路115は、パルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、サンプリング回路116は、乱数発生回路115がカウントしている数値を取得する。乱数発生回路115は、遊技の進行に使用される乱数の種類毎に設けられていて、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められている。CPU111は、その処理に応じてサンプリング回路116に指示を送ることで、乱数発生回路115が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。
【0051】
電源監視回路117は、電源基板100から供給される電源電圧を監視し、電圧の低下を検出したときに、電圧低下信号を制御部110に対して出力する。制御部110は、特に図示はしないが、電源監視回路117に接続された割込入力端子を備えており、割込入力端子に電圧低下信号が入力されることでCPU111に外部割り込みが発生し、CPU111は、電断割込処理を実行する。
【0052】
リセット回路118は、電源投入時において制御部110が起動可能なレベルまで電圧が上昇したきにリセット信号を出力して制御部110を起動させると共に、制御部110から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわち制御部110が一定時間動作を行わなかった場合に、制御部110に対してリセット信号を出力し、制御部110を再起動させる。
【0053】
CPU111は、また、タイマ割り込み処理により、RAM112の特定アドレスの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。CPU111は、I/Oポート114を介して演出制御基板102に、後述する各種のコマンドを送信する。なお、遊技制御基板101から演出制御基板102へ情報(コマンド)は一方向のみで送られ、演出制御基板102から遊技制御基板101へ向けて情報(コマンド)が送られることはない。
【0054】
遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドは、1つが2バイトで構成され、上位1バイトがコマンドの種類を示す制御情報、下位1バイトが制御状態の内容を示す情報である。遊技制御基板101から演出制御基板102にコマンドを送信する場合、CPU111は、送信すべきコマンドを、上位バイト、下位バイトの順でRAM112に設けられたコマンド送信バッファに設定する。
【0055】
CPU111は、場合によっては同時期に複数のコマンドを演出制御基板102に送信する必要があるので、RAM112のコマンド送信バッファには、所定数のコマンドを設定することのできるだけの容量がある。例えば、同時期に2つのコマンドを送信する場合には、1つめのコマンドの上位バイト、下位バイト、2つめのコマンドの上位バイト、下位バイトといった具合に、RAM112のコマンド送信バッファに設定される。コマンド送信バッファに設定された各コマンドの上位バイト、下位バイトは、I/Oポート114からバイト単位で演出制御基板102に送られる。
【0056】
遊技制御基板101には、操作部中継基板107を介して、1枚BETスイッチ45、MAXBETスイッチ46、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42L、42C、42R、精算スイッチ47、第1リセットスイッチ48、投入メダルセンサ44が接続されており、これらのスイッチ/センサ類の検出信号が入力される。また、リール中継基板103を介して、リールセンサ3SL、3SC、3SRの検出信号が入力される。I/Oポート114を介して入力されるこれらスイッチ/センサ類の検出信号、或いは前述したように電源基板100を介して入力される各種スイッチの検出信号に従って、遊技制御基板101上のCPU111は、処理を行っている。
【0057】
遊技制御基板101には、また、操作部中継基板107を介して、流路切り替えソレノイド49、払出数表示器51、クレジット表示器52、ペイアウト表示器53、投入指示ランプ59、1枚賭けランプ54、2枚賭けランプ55、3枚賭けランプ57、ゲームオーバーランプ63、スタートランプ60、リプレイランプ62、BETボタンランプ70a、70b、操作有効ランプ63L、63C、63Rが接続されており、CPU111は、遊技の進行状況に従ってこれらの動作を制御している。
【0058】
また、遊技制御基板101には、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRが接続されている。CPU111は、後述する内部抽選によりRAM112に設定される当選フラグに従って選択される停止制御テーブルを参照して、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRを制御して、リール3L、3C、3Rを停止させる。遊技制御基板101には、さらに演出中継基板106を介して演出制御基板102が接続されている。
【0059】
演出中継基板106は、遊技制御基板101から演出制御基板102へ送信される情報の一方向性を担保するために設けられた基板である。演出中継基板106は、この状態を調べることによって遊技制御基板101や演出制御基板102を調べなくても、遊技制御基板101の制御部110に不正な信号(特に演出制御基板102に外部から入力されるようになっている信号)が入力されるような改造がなされていないかどうかをチェックすることができるようにするものである。
【0060】
演出制御基板102は、スロットマシン1における演出の実行を制御するサブ側の制御基板であり、CPU121、RAM122、ROM123及びI/Oポート124を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部120を搭載している。また、乱数発生回路125及びサンプリング回路126を搭載しており、CPU121は、サンプリング回路126により乱数発生回路125がカウントしている値を取得することにより、遊技制御基板101と同様のハードウェア乱数機能を形成している。割り込み処理によるソフトウェア乱数機能も有している。
【0061】
CPU121は、ROM123に記憶されたプログラム(後述)を実行して、演出の実行に関する処理を行うと共に、演出制御基板102内の各回路及びこれに接続された各回路を制御する。RAM122は、CPU121がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。RAM122も、バッテリバックアップされており、スロットマシン1がOFFされても、記憶内容を保持するものとなっている。ROM123は、CPU121が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート124は、演出制御基板102に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0062】
CPU121による演出の実行は、I/Oポート124を介して遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて行われる。遊技制御基板101から送信されたコマンドがI/Oポート124に届くと、CPU121に対してコマンド受信割り込みが発生し、このコマンド受信割り込み処理によって、当該受信したコマンドをRAM122のコマンド受信バッファに順次入れていく。CPU121は、コマンド受信バッファに入れられたコマンドを2バイト単位で取り出し、その上位バイトでコマンドの種類を、下位バイトでコマンドの示す内容を判断して処理を行う。
【0063】
遊技制御基板101から同時期に複数のコマンドが送信されている場合などは、CPU121は、当然のことながら複数のコマンドを同時に処理することができない。このため、RAM122のコマンド受信バッファも、複数のコマンドを入れておけるだけの容量があり、CPU121は、コマンド受信バッファから取り出した1つのコマンドに基づく処理が終了した時点で未だ別のコマンドがコマンド受信バッファに入れられていれば、次のコマンドに基づく処理を行うものとする。なお、RAM122のコマンド受信バッファの容量は、RAM112のコマンド送信バッファの容量よりも大きくなっている。
【0064】
演出制御基板102には、遊技効果ランプ75A〜75M、液晶表示器4、スピーカ7L、7R、7U、蛍光灯6、ウェイトランプ61、ボーナス告知ランプ66が接続されている。また、リールランプ中継基板104を介してリールランプ3LPが接続されている。演出制御基板102の制御部120は、これら各部をそれぞれ制御して、演出を行っている。
【0065】
リール中継基板103は、遊技制御基板101と外部出力基板105及びリールユニット3との間を中継している。リールランプ中継基板104は、演出制御基板102とリールユニット3との間を中継している。リール中継基板103には、また、満タンセンサ90が接続されており、その検出信号が入力される。満タンセンサ90は、スロットマシン1の内部に設けられ、ホッパー80からオーバーフローしたメダルを貯留するオーバーフロータンク内のメダルが満タンになったことを検知するものである。
【0066】
満タンセンサ90により満タンが検知されると、満タンエラーとなる。なお、満タンセンサ90により満タンが検出されているかどうかは、1ゲームに1回、例えば、賭け数の確定したタイミングでチェックするものとすることができる。もっとも、前回のゲームでリプレイに入賞していたときには、満タンセンサ90により満タンが検出されているかどうかをチェックしないものとなっている。
【0067】
外部出力基板105は、後述する情報提供端子板を介してホールの管理コンピュータなどの外部装置に接続されており、遊技制御基板101からリール中継基板103を介して入力された各種のボーナス中信号、メダルIN信号、メダルOUT信号、及びセキュリティ信号を、当該外部装置に出力する。セキュリティ信号には、後述するようにドア開放信号、設定値変更信号、投入エラー信号、払い出しエラー信号、他のエラー信号、及び精算中信号が含まれる。
【0068】
外部出力基板105には、前面扉が開放状態にあることを検出する扉開放センサ95が搭載されており、扉開放センサ95の検出信号に基づいてセキュリティ信号のうちのドア開放信号が出力される。外部出力基板105は、スロットマシン1への電力の供給が行われているとき(すなわち、スロットマシン1がONのとき)に蓄電するとともに、電力の供給が遮断されているとき(すなわち、スロットマシン1がOFFのとき)に、該蓄電した電力を外部出力基板105に供給する蓄電池から構成されるバックアップ電源を搭載している。
【0069】
スロットマシン1の電源がONされているときには、外部出力基板105は、電源基板100からの電力供給で、扉開放センサ95により前面扉が開放状態にあることを検出し、前面扉が開放状態にあることを示すドア開放信号を含むセキュリティ信号を外部装置に出力する。一方、スロットマシン1の電源がOFFされているときには、外部出力基板105は、このバックアップ電源から電力供給で、扉開放センサ95により前面扉が開放状態にあることを検出し、前面扉が開放状態にあることを示すドア開放信号を含むセキュリティ信号を外部装置に出力する。
【0070】
外部出力基板105は、メダル投入口13からメダルが投入される度、或いは1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15が操作される度にメダルIN信号を出力するのではなく、スタートレバー11の操作時にまとめてメダルIN信号を出力するものとしている。図3(a)は、メダルIN信号の出力状況を示すタイミングチャートである。図示するように、CPU111は、スタートレバー11の操作が検出された時点、すなわち当該ゲームにおける賭け数が確定した時点で、設定された賭け数分のメダルIN信号をまとめて出力する。詳しくは、メダルの投入が許可された状態においてメダルの投入が1枚検出される毎に、賭け数が1ずつ加算される。
【0071】
その後、スタートレバー11の操作が検出された時点、すなわち当該ゲームに用いられる賭け数が確定した時点で、設定された賭け数分のメダルIN信号をまとめて出力する。図3(a)では、3枚のメダルが投入された場合を示しており、スタートレバー11の操作時にメダルIN信号が続けて3回出力される様子を示している。また、賭け数の全部または一部がクレジットを用いて設定された場合も、スタートレバー11の操作が検出された時点で、設定された賭け数分のメダルIN信号をまとめて出力するものとなっている。
【0072】
一方、メダルOUT信号は、メダルの払い出しを伴う小役の入賞により、ホッパー80からメダルを1枚払い出す度に出力するものとしている。ホッパー80からメダルを払い出すのではなく、クレジットを加算する場合も、クレジットを1加算する毎に、メダルOUT信号を出力するものとしている。図3(b)は、ホッパー80からメダルが払い出される場合を例としたメダルOUT信号の出力状況を示すタイミングチャートである。
【0073】
図示するように、メダルOUT信号は、1枚ずつのメダルの払い出しが払い出しセンサ81によって検出される度に、1パルスのメダルOUT信号を出力する。このため、図3(b)に示すように、メダルの払い出し中に最後のメダルの払い出しが検出されてから予め定められた払い出しメダルなし時間が経過してメダル切れと判定されたり、メダルの連続検出時間が予め定められたメダル詰まりと判定され、払い出しエラー状態となって払い出し動作が停止した場合には、払い出し動作の停止までに実際に払い出された枚数分のメダルOUT信号のみが出力される。
【0074】
払い出しエラーが解除され、残りの払い出しが再開すると、残りのメダルの払い出しが1枚ずつ払い出しセンサ81によって検出される度に、残りのメダルの払い出しに伴うメダルOUT信号が出力されることとなる。そして、最後のメダルの払い出しが検出され、メダルOUT信号の出力が完了した時点で1ゲームの制御が終了し、この時点でメダルの投入が許可される。
【0075】
ところで、遊技制御基板101や演出制御基板102等は、機種変更の際には交換が必要となるため、その際には本体から取り外される。遊技制御基板101を取り外す際には各種遊技用電子部品(1枚BETスイッチ45、MAXBETスイッチ46、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42L、42C、42R、投入メダルセンサ44、リールセンサ3SL、3SC、3SR、リールモータ3ML、3MC、3MR、ホッパーモータ82、払い出しセンサ81など)との接続を解除する必要があるため、故障等が発生しない限り本体から取り外して交換する必要がないのでスロットマシンの本体所定箇所に固設されている各種遊技用電子部品と遊技制御基板101とは、中継基板103、106、107を経由して接続されているとともに、これら基板同士及び基板と遊技用電子部品とは中継ケーブルを介して接続されている。また中継ケーブルと基板とは、中継ケーブルの端部に設けられたケーブル側コネクタと基板の配線パターンと電気的に接続された基板側コネクタとの接続により電気的に接続されている。
【0076】
遊技制御基板101には、電源基板100の電圧生成回路により生成された直流電圧が供給される。電源基板100から供給される直流電圧は、コンデンサからなるバックアップ電源に蓄電され、これによってRAM112の記憶状態が保持されるようになっている。バックアップ電源の供給ラインは、バックアップ電源に蓄積された電圧は、遊技制御基板101、操作部中継基板107、投入メダルセンサ44、操作部中継基板107を経由した後、遊技制御部110に供給され、遊技制御部110におけるRAM112の記憶状態が保持されるようになっている。このため、スロットマシン1に対する電力供給が遮断されている状態で、遊技制御基板101の基板側コネクタと中継ケーブルのケーブル側コネクタとの接続、中継ケーブルのケーブル側コネクタと操作部中継基板107の基板側コネクタとの接続、操作部中継基板107の基板側コネクタと中継ケーブルのケーブル側コネクタとの接続、のいずれかの接続を解除することで、バックアップ電源の供給ラインが切断され、遊技制御部110のRAM112のデータを保持できず、消失することとなる。
【0077】
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、遊技制御基板101と遊技用電子部品との間のコネクタ接続の解除を規制することで、各種電子部品から不正に信号を取り出し、また、各種電子部品に不正に信号を入力する打ち込み器具の接続を困難としている。具体的には、遊技制御基板101の基板側コネクタと中継ケーブルのケーブル側コネクタとの接続、中継ケーブルのケーブル側コネクタと操作部中継基板107の基板側コネクタとの接続、操作部中継基板107の基板側コネクタと中継ケーブルのケーブル側コネクタとの接続についてこれらコネクタ同士の接続の解除を、コネクタ規制部材によって規制するようになっている。コネクタ規制部材は、規制解除部位を破壊しない限り取り外し不能とされており、遊技制御基板101と投入メダルセンサ44との間のコネクタ接続を解除するためには、解除規制部位を破壊しなければならず、これにより、遊技制御基板101と投入メダルセンサ44との間のコネクタ接続が1つでも解除されると、その痕跡が残るとともに、その痕跡を消すことが極めて困難となっている。
【0078】
また、遊技制御基板101は基板ケースに収容され、該基板ケースに収容された状態にスロットマシン1の本体に取り付けられるとともに、基板ケースを構成する上部ケースの封止片と下部ケースの封止片とを固着することにより、封止片を破壊しなければ、基板ケースを解放し、収容された遊技制御基板101へのアクセスを不能とすることで遊技制御基板101への不正を困難なものとする。もっとも、このままでは、封止片が外部に露呈するため、封止片を破壊して基板ケースを開放することが比較的容易になる。そこで、基板ケースの封止片を覆う被覆部材を取り付け、これにより基板ケースの封止片が被覆部材に被覆され、封止片に直接アクセスすることが不可能となり、封止片を破壊し、上部ケースと下部ケースとを開放して遊技制御基板101を取り出すのに非常に困難な作業を要することとなるため、遊技制御基板101を不正な基板に交換するという不正行為がされるのを防止している。
【0079】
次に、リールモータ3ML、3MC、3MRを構成するステッピングモータについて説明する。リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータは、例えば、ハイブリッド型ステッピングモータであり、ステータと、これに対向するロータとで構成される。ロータは、多数の歯車状突起を有し、これに回転軸と同方向に磁化された永久磁石が組み込まれている。
【0080】
ステッピングモータは、遊技制御基板101のCPU111からパルス信号(励磁パルス)を受け、ステータの各励磁相φ1〜φ4に順次励磁電流が流れて、これらの励磁相φ1〜φ4が所定の順序に従って励磁されることによりロータを回転駆動させ、回転軸の回転によりリール3L、3C、3Rを回転させる。ステッピングモータを回転駆動するための制御方法としては、例えば、1−2相励磁方式が適用される。1−2相励磁方式は、励磁相φ1〜φ4のうちでパルス信号を入力する励磁相を(φ1,φ2)、(φ1)、(φ4,φ1)、(φ4)、(φ3,φ4)、(φ3)、(φ2,φ3)、(φ2)、(φ1,φ2)…と順次切り替えており、パルス信号を入力する励磁相を1相または2相とすることを交互に繰り返すものとなっている。
【0081】
このように励磁相φ1〜φ4に励磁電流を与えるためのパルス信号を入力する度に、ステッピングモータの回転軸は、1ステップずつ回転することとなる。ステッピングモータの回転ステップは、リールモータ3ML、3MC、3MRのそれぞれについてRAM112に設けられたカウンタによりカウントされるものとなる。そして、カウントされているステッピングモータの回転ステップに応じて入力するパルス信号の励磁相をどのように切り替えればよいかが分かるものとなる。
【0082】
また、リール3L、3C、3Rの回転に伴ってリールセンサ3SL、3SC、3SRにより基準位置が検出されると、カウンタの値がクリアされるものとなる。従って、リールモータ3ML、3MC、3MRの回転角度、すなわちリール3L、3C、3Rの図柄位置は、その回転ステップによりカウントされるカウンタの値(ステップ数)を参照すれば分かることとなる。
【0083】
ステッピングモータの回転を停止させる場合には、目標停止位置に合わせて詳細を後述する2相励磁制御によりロータの回転を急制動させた後、後述する3相励磁制御によりロータを停止させる。これにより、リールモータ3ML、3MC、3MRのロータと一体的に結合されているリール3L、3C、3Rの回転を停止させるものである。
【0084】
次に、設定値の変更について説明する。設定キースイッチ92をON状態としてスロットマシン1を起動すると、設定変更モードに移行し、ここでRAM112の格納領域のうち、リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数をカウントするカウンタと使用中スタック領域を除く全ての格納領域を初期化する。設定変更モードにおいて、設定スイッチ91により新たな設定値を設定し、スタートレバー11の操作により新たな設定値を確定させてから設定キースイッチ92をOFF状態とすると、ゲームを実行するための処理を開始させることができる。
【0085】
一方、設定キースイッチ92をOFF状態としてスロットマシン1を起動した場合は、RAM112のデータが壊れているかどうかを診断し、RAM112のデータが壊れていなかった場合、すなわち前回のスロットマシン1の電源をOFFしたときのデータが正常なままで残っている場合には、RAM112に記憶されているデータはそのままとして、前回にスロットマシン1の電源をOFFしたときの状態から、ゲームを実行するための処理を開始させることができる。ゲームを実行するための処理は、1ゲーム毎に繰り返して行われるものとなる。
【0086】
次に、可変表示装置2を構成するリール3L、3C、3Rにおける図柄配列について説明する。リール3L、3C、3Rの外周部には、それぞれ「赤7」、「青7」、「BAR」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」、「JAC」、「★」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が、それぞれに21個ずつ所定の順序で描かれている。ここで、「赤7」、「青7」、「BAR」は、リール3L、3C、3Rの何れかについて、配置間隔が5コマよりも大きくなっている箇所がある。「JAC」は、リール3L、3C、3Rの何れについても、配置間隔が5コマ以内となっている。
【0087】
上記スロットマシン1においては、可変表示装置2の何れかの入賞ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められている。遊技状態としては、通常遊技状態の他に、特別遊技状態としてのビッグボーナス、レギュラーボーナスと、通常遊技状態よりもリプレイ当選確率が高くなるRTとしての内部中RTがある。ビッグボーナス中でレギュラーボーナスが提供される場合を除いて、複数種類の遊技状態に同時に制御されることはなく、新たな遊技状態が開始されれば、これまで制御されていた遊技状態は終了となる。
【0088】
また、入賞となる役の種類には、大きく分けて、特別遊技状態への移行を伴う特別役(ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)、レギュラーボーナス)と、メダルの払い出しを伴う小役(スイカ、ベル、チェリー)と、賭け数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役(リプレイ)とがある。図4(a)は、このスロットマシン1において入賞となる役の種類と可変表示装置2における図柄の組み合わせを説明する図である。
【0089】
ビッグボーナス(A)は、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナス以外の遊技状態において何れかの入賞ラインに「赤7−赤7−赤7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(B)は、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナス以外の遊技状態において「青7−青7−青7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(A)またはビッグボーナス(B)に入賞すると、遊技状態がビッグボーナスに移行する。
【0090】
レギュラーボーナスは、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナス以外の遊技状態において何れかの入賞ラインに「BAR−BAR−BAR」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。レギュラーボーナス入賞すると、遊技状態がレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスでは、小役(特にベル)の当選確率が他の遊技状態に比べて高くなる。
【0091】
レギュラーボーナスは、12ゲームを消化したとき、または8ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したときの何れか早いほうで終了する。ビッグボーナスにおいては、メダルの払い出し枚数が465枚を越えるまで、レギュラーボーナスが繰り返して提供される(ビッグボーナス中の各ゲームの開始時(内部抽選を行う前)にレギュラーボーナスに制御されているかどうかをチェックし、レギュラーボーナスに制御されていなければ、レギュラーボーナスに制御する)。
【0092】
なお、後述する内部抽選においてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していても、リール3L、3C、3Rについて「赤7」、「青7」、「BAR」が必ずしも5コマ以内の間隔で配置されている訳ではないので、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順によってはこれらの役に入賞しない場合がある。もっとも、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選は、入賞するまで持ち越される。
【0093】
スイカは、何れの遊技状態においても何れかの入賞ラインに「スイカ−スイカ−スイカ」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、12枚のメダルが払い出される。ベルは、何れの遊技状態においても何れかの入賞ラインに「ベル−ベル−ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、レギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)では15枚のメダル、それ以外の遊技状態では9枚が払い出される。チェリーは、何れの遊技状態においても右のリール3Rについて何れかの入賞ラインに「チェリー」の図柄が導出されたときに入賞となり、1入賞ラインについて2枚のメダルが払い出される。小役であるスイカ、ベル、チェリーの当選は、入賞しなくても持ち越されない(入賞しないことがないということもあり得る)。
【0094】
リプレイは、何れかの入賞ラインに「JAC−JAC−JAC」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。リプレイに入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭け数を設定することなく開始できる。レギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)では、リプレイに入賞することはない。
【0095】
リール3L、3C、3Rについての「JAC」は、5コマ以内の間隔で配置されているため、内部抽選においてリプレイに当選しているときには、必ずこれに入賞する。また、リプレイは、当選時において他の如何なる役よりも優先して入賞するようにリール制御が行われるため、リプレイに当選しているときには、さらに他の役に当選(ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の持ち越しを含む)していても、必ずこれらの役に入賞する。
【0096】
以下、内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するかどうかを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートレバー11の操作時)、決定するものである。内部抽選では、乱数発生回路115から内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)が取得される。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技者が設定した賭け数と、設定スイッチ91により設定された設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。内部抽選における当選は、排他的なものである。
【0097】
内部抽選では、各役について遊技状態及び設定値毎に登録されている判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、その対象となっている役に当選したものと判定される。当選と判定されると、当該役の当選フラグがRAM112に設定される。判定値数は、ROM113に遊技状態別当選役テーブルに登録されている。内部抽選の結果に応じて設定された当選フラグのうち、特別役の当選フラグは、入賞するまで次のゲーム以降に持ち越される。また、各種小役、再遊技役の当選フラグは、入賞したか否かに関わらずに、当該ゲーム限りで消去される。
【0098】
図4(b)は、遊技状態別当選役テーブルを示す図である。遊技状態別当選役テーブルは、ROM113に予め格納され、内部抽選において遊技状態毎に各抽選対象となる役の判定値数を登録したテーブルである。ここでは、所定の設定値のものだけを示しているが、設定値の違いに応じて微妙に異なる値が登録されている(設定値1〜6のうちでは、設定値1が最も判定値数が小さく、設定値6が最も判定値数が大きい(但し、設定値に関わらずに同じ判定値数となっている役もある))。内部抽選においては、複数の役が同時に抽選対象となる場合もある。
【0099】
この遊技状態別当選役テーブルに従って、内部抽選では、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(A)+スイカ、ビッグボーナス(B)、ビッグボーナス(B)+スイカ、レギュラーボーナス、レギュラーボーナス+スイカ、スイカ、ベル、チェリー、リプレイの判定値数が順番に遊技状態に応じて取得される。
【0100】
もっとも、レギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供されるものを含む)に対しては、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(A)+スイカ、ビッグボーナス(B)、ビッグボーナス(B)+スイカ、レギュラーボーナス、レギュラーボーナス+スイカの判定値数として0が登録されているため、これらの役に当選することはない。
【0101】
また、通常遊技状態において、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの判定値数を加算したときにオーバーフローが発生すると、これらの役の当選となり、それぞれビッグボーナス(A)当選フラグ、ビッグボーナス(B)当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグが設定される。また、ビッグボーナス(A)+スイカ、ビッグボーナス(B)+スイカ、レギュラーボーナス+スイカの判定値数を加算したときにオーバーフローが発生すると、スイカとの同時当選となって、それぞれビッグボーナス(A)当選フラグ及びスイカ当選フラグ、ビッグボーナス(B)当選フラグ及びスイカ当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ及びスイカ当選フラグが設定される。
【0102】
ビッグボーナス(A)当選フラグ、ビッグボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグが設定されると、内部中RTに遊技状態が制御されるものとなる。ビッグボーナス(A)当選フラグ、ビッグボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグは、それぞれビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞するまで持ち越されるので、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選してから入賞するまで、内部中RTに遊技状態が制御されるものとなる。
【0103】
内部中RTでは、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの判定値として通常遊技状態と同じ値が登録されているものの、これらの判定値数を加算したときにオーバーフローが発生しても、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに重ねて当選となることはない。ビッグボーナス(A)+スイカ、ビッグボーナス(B)+スイカ、レギュラーボーナス+スイカの判定値数を加算したときにオーバーフローしたときは、スイカのみの当選となる(ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選は、そのまま持ち越し)。
【0104】
ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が持ち越されている内部中RTにおいて、スイカ(同時に抽選対象となるビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスについては当選と判定されなかった場合を含む)、ベル、チェリー、またはリプレイに当選したときには、これらの役の当選フラグが、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選フラグに重ねて設定されるものとなる。
【0105】
各種小役の判定値数について説明すると、レギュラーボーナスにおいてベルの判定値数が63736と他の遊技状態の10254よりも極めて高い値となっているのを除いて、何れの遊技状態においても変わりがない。一方、リプレイについては、通常遊技状態における判定値数として、8992が登録されている。従って、通常遊技状態においてリプレイに当選する確率は、8992/65536≒1/7.29となる。一方、内部中RTでは、リプレイの判定値数として33428が登録されており、リプレイに当選する確率は、33428/65536≒1/1.96となる。
【0106】
このようにリプレイの当選確率が設定されることで、通常遊技状態ではメダルの払出率が1よりもかなり小さい(すなわち、賭け数の設定のために投入するメダルの数に対して内部抽選で当選する小役に対して払い出されることとなるメダルの数の方が小さい)が、内部中RTのメダルの払出率は、ほぼ1となる。ビッグボーナスやレギュラーボーナスにおけるメダルの払出率は、1よりもかなり大きい。この遊技状態毎のメダルの払出率の関係は、何れの設定値でも同じである。
【0107】
次に、リール3L、3C、3Rの停止制御について説明する。可変表示装置2を構成するリール3L、3C、3Rは、スタートレバー11が操作され、且つ前回のゲームにおけるリール3L、3C、3Rの回転開始から所定時間を経過していることを条件に、回転開始される。そして、遊技者によって停止ボタン12L、12C、12Rが操作されると、対応するリール3L、3C、3Rの回転が停止されるものとなる。停止ボタン12L、12C、12Rが操作されない限り、リール3L、3C、3Rの回転が停止されることはなく、一旦回転を開始すると回転し続けることとなる。
【0108】
リール3L、3C、3Rの回転停止は、対応する停止ボタン12L、12C、12Rの操作から190ミリ秒の最大停止遅延時間の範囲内で当選フラグの設定されている役の図柄を入賞ライン上に揃えるように、また、190ミリ秒の最大停止遅延時間の範囲内で当選フラグの設定されていない役の図柄を入賞ライン上に揃えないように制御される。
【0109】
ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスにおいては、ビッグボーナス(A)当選フラグ、ビッグボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグが持ち越された状態でリプレイに当選することによってリプレイ当選フラグも重複して設定されているときには、リプレイの図柄を優先して入賞ライン上に揃えるように制御される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に関わらずに、リプレイに入賞するので、この場合においてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞することはない。
【0110】
ここで、リプレイに必ず入賞してビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞することがないのは、リプレイに優先して入賞させる停止制御を行うと、リール3L、3C、3Rにおける「JAC」の配列ではリプレイを取りこぼすことがないからそうなっているのであって、リプレイを優先して入賞させる停止制御がリプレイを取りこぼさない停止制御ということを意味するのではない。「JAC」の図柄間隔が5コマよりも大きくなっている配列であれば、リプレイを優先して入賞させる停止制御でもリプレイを取りこぼすことは生じ得る。
【0111】
ビッグボーナス(A)当選フラグ、ビッグボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグとスイカ当選フラグまたはベル当選フラグが重複して設定されている場合には、「スイカ」または「ベル」を優先して入賞ライン上に揃えるように制御される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順により「スイカ」または「ベル」を何れの入賞ライン上にも揃えることができない場合であっても、「赤7」、「青7」または「BAR」を入賞ライン上に揃えられる場合には、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞させるためのリール3L、3C、3Rの停止制御を行えるものとなる。
【0112】
ビッグボーナス(A)当選フラグ、ビッグボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグとチェリー当選フラグが重複して設定されている場合には、チェリーに入賞させること、すなわち右のリール3Rに「チェリー」を停止させることが優先される。右のリール3Rに「チェリー」を停止させることができない場合であって、「赤7」、「青7」または「BAR」を入賞ライン上に揃えられる場合には、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞させるためのリール3L、3C、3Rの停止制御を行えるものとなる。
【0113】
なお、上記のリール3L、3C、3Rの停止制御は、当選フラグの設定状況(及び既に停止しているリールに導出された図柄)に応じて未だ停止していないリールの停止操作位置と停止位置との関係を定めた停止制御テーブルを未停止のリールについて予め作成し、停止ボタン12L、12C、12Rがそれぞれ操作されたときに、予め作成された停止制御テーブルを参照して、対応するリールの回転を停止させるものとしている。なお、停止制御テーブルでは、停止操作位置に対して停止位置が一意に定められている。
【0114】
次に、遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドについて説明する。遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドには、少なくとも当選状況通知コマンド、入賞情報コマンド、遊技状態コマンド、BET操作コマンドが含まれている。遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドには、これ以外のコマンドも含まれているが、本発明に直接関わるものではないため、詳細な説明を省略している。
【0115】
当選状況通知コマンドは、RAM112における当選フラグの設定状況を示すもので、スタートレバー11が操作されて内部抽選が行われたときに送信される。入賞情報コマンドは、可変表示装置2の表示結果に応じて発生した入賞の種別を示すもので、可変表示装置2に表示結果が導出されて入賞判定が行われたときに送信される。遊技状態コマンドは、次のゲームで適用される遊技状態を示すものであり、1ゲームの終了時において送信される。
【0116】
BET操作コマンドは、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15が操作されたときに送信され、その何れが操作されたか示すものである。なお、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15を操作は、スタートレバー11の操作によりゲームが開始した後は、第3停止ボタン(停止ボタン12L、12C、12Rのうちで3番目に操作されるもの)の操作により可変表示装置2に表示結果が導出されてゲームが終了するまでや、既に賭け数として3が設定されているときには、有効化されない(賭け数の設定を行えない)が、BET操作コマンドは、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15を操作が有効化されているかどうかに関わらず、これらのBETボタン14、15に対して物理的な操作がされれば、遊技制御基板101から演出制御基板102へ送信されるものとなっている。
【0117】
次に、この実施の形態にかかるスロットマシン1において、演出制御基板102のCPU121により実行される演出の処理について説明する。演出制御基板102のCPU121により実行される演出としては、液晶表示器4への画像の表示による演出、スピーカ7L、7R、7Uからの音声出力による演出、リールランプ3LPや遊技効果ランプ75A〜75Mといったランプ類の点灯態様の制御による演出がある。
【0118】
また、液晶表示器4への画像の表示による演出として、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに遊技状態が制御されているときには、それぞれビッグボーナス中演出及びレギュラーボーナス中演出が実行される。これらの演出は、本発明に特有のものではないので、詳細な説明を省略する。
【0119】
ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに制御されていないときには、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かを示すボーナス当選報知演出が実行されるものとなっている。ボーナス当選報知演出は、前兆演出の部分(この部分だけを取り出せば、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の予告となる)とボーナス当選の有無を告知する部分とからなる。
【0120】
前述したとおり、遊技者がゲームを開始させるべくスタートレバー11を操作すると内部抽選が行われるが、このときに遊技制御基板101から送られてきた当選状況通知コマンドがビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに新たに当選したか、これらの役との同時当選役となっているスイカに当選したことを示していると、ボーナス当選報知演出の前兆演出が液晶表示器4にて開始されるものとなる。
【0121】
ボーナス当選報知演出の前兆演出が開始された後、ゲームが終了するまで(第3停止ボタンが操作されるまで)の間にMAXBETボタン15が操作されなければ、ゲームの終了時点で前兆演出は終了する。この場合には、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が前兆演出に続けて告知されることはない。
【0122】
その後、新たなゲームが開始された(スタートレバー11の操作により当選状況通知コマンドが演出制御基板102に受信された)時点で、前回のゲームまでにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していたのであれば、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が液晶表示器4にて告知される。ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の告知は、これらの役に入賞するまで継続される(以下に示すような他の条件で行われた告知も同じ)。
【0123】
前回のゲームまでにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していなければ、新たなゲームが開始された時点では前回のゲームでの前兆演出に関連した告知は行われない。但し、新たに開始されたゲームでビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナス、若しくはスイカに当選していれば、改めて新たなボーナス当選報知演出の前兆演出は開始され得る。
【0124】
一方、ゲームが終了するまでに遊技者により最初にMAXBETボタン15が操作されたことがBET操作コマンドにより認識されると、RAM122に形成されたタイマ(詳細を後述)を用いて計時が開始される。このタイマの計時する時間が3秒になるまでに、MAXBETボタン15が15回(計時を開始させたときの操作を回数に含む)まで操作されず(これらは、BET操作コマンドにより判断)、且つ第3停止ボタンまでが操作された場合には、MAXBETボタン15が全く操作されなかった場合と同様にゲームの終了時点で前兆演出が終了する。
【0125】
この場合も、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が前兆演出に続けて告知されることはなく、新たなゲームが開始された時点で、前回のゲームまでにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していたのであれば、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が液晶表示器4にて告知される。前回のゲームまでにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していなければ、新たなゲームが開始された時点では前回のゲームでの前兆演出に告知は行われない。
【0126】
また、MAXBETボタン15の最初の操作により計時開始されたタイマの計時する時間が3秒になるまでに第3停止ボタンが操作されなかったが、タイマの計時する時間が3秒になるまでにMAXBETボタン15が15回まで操作されることもなかった場合には、タイマの計時する時間が3秒になった時点で前兆演出が終了する。この場合には、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かに関わらず、前兆演出に続けて、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していないこと(ハズレ)が液晶表示器4にて告知される。このハズレの告知は、第3停止ボタンの操作によりゲームが終了すると、終了する。
【0127】
その後、新たなゲームが開始された時点で、前回のゲームまでにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していたのであれば、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が液晶表示器4にて告知される。前回のゲームまでにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していなければ、新たなゲームが開始された時点では前回のゲームでの前兆演出に関連した告知は行われない。
【0128】
また、MAXBETボタン15の最初の操作により計時開始されたタイマの計時する時間が3秒になるまでに第3停止ボタンが操作されることなくMAXBETボタン15が15回操作された場合には、MAXBETボタン15の操作回数が15回になった時点で前兆演出が終了する。この場合には、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していれば、前兆演出に続けてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が液晶表示器4にて告知され、何れにも当選していなければ、前兆演出に続けてハズレが液晶表示器4にて告知される。
【0129】
なお、演出制御基板102のCPU121は、当選状況通知コマンドに基づいてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに“新たに”当選したかどうかを判断するため、少なくとも前回のゲームで受信した当選状況通知コマンドは、RAM122の所定の領域に保存するものとなっている。また、前兆演出が実行されているときにおいて遊技者が最初にMAXBETボタン15を操作したときからの経過時間を計時するタイマとして、例えば、RAM122の所定の領域に記憶された値を最初のMAXBETボタン15の操作でクリアし、所定時間毎のタイマ割り込み毎にその値を更新するソフトウェアタイマを利用している。
【0130】
また、ボーナス当選報知演出は、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに制御されていないときにスイカに当選しても既にビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が告知されていれば実行されない。ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が告知されている場合は内部中RTとなっている場合であり、逆に今回のゲームが開始するまでに内部中RTに制御されていればビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が告知されている(或いは、今回のゲームで告知される)ので、ボーナス当選報知演出が実行されるのは、前回のゲームの終了時に受信した遊技状態コマンドが通常遊技状態であることを示しているときだけということになる。
【0131】
なお、この実施の形態にかかるスロットマシン1において、MAXBETボタン15は、その操作とボタンの戻りの関係で1秒間に6〜7回程度操作することが物理的な限界となっている。3秒間で15回という時間及び回数は、このMAXBETボタン15の仕様から考えて、MAXBETボタン15の操作を円滑に繰り返すことができなければ達成できず、且つ遊技者にとって苦痛に感じられてしまうことのない時間及び回数として定めたものである。
【0132】
以下、この実施の形態にかかるスロットマシン1におけるボーナス当選報知演出の実行を、具体例に基づいて説明する。図5(a)〜(c)は、この実施の形態にかかるスロットマシン1における遊技の進行とボーナス当選演出の実行態様との関係を示すタイミングチャートである。
【0133】
図5(a)の例では、遊技者によるスタートレバー11の操作によりゲーム1が開始されたときに、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選した(スイカとの同時当選した場合を含む)ものとする。このビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選により、当該ゲームが開始されたタイミングからボーナス当選報知演出の前兆演出が開始される。
【0134】
次に、ゲーム1が終了するまで(すなわち、第3停止ボタンが操作されるまで)の任意のタイミングで遊技者がMAXBETボタン15を最初に操作すると、タイマによる計時が開始される。遊技者がMAXBETボタン15の操作を繰り返して行い、第3停止ボタンが操作される前に、また、タイマにより計時している時間が3秒に到達するよりも前に、MAXBETボタン15の操作回数が最初の操作を含めて15回に達したものとする。
【0135】
すると、この時点で前兆演出が終了し、終了した前兆演出に続けてゲーム1のうちにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していることが告知されるものとなる。なお、このボーナス当選の告知は、ゲーム2が開始しても、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞するまで継続される。
【0136】
図5(b)の例では、遊技者によるスタートレバー11の操作によりゲーム1が開始されたときに、スイカに単独当選したものとする。このスイカの当選により、当該ゲームが開始されたタイミングからボーナス当選報知演出の前兆演出が開始される。
【0137】
次に、ゲーム1が終了するまで(すなわち、第3停止ボタンが操作されるまで)の任意のタイミングで遊技者がMAXBETボタン15を最初に操作すると、タイマによる計時が開始される。その後、遊技者がMAXBETボタン15の操作を繰り返して行い、タイマにより計時している時間が3秒に到達するまでに第3停止ボタンを操作することもなかったが、タイマにより計時している時間が3秒に到達した時点でMAXBETボタン15の操作回数が最初の操作を含めて14回しか行われなかったものとする。
【0138】
この場合、タイマにより計時している時間が3秒に到達した時点で前兆演出が終了し、終了した前兆演出に続けてゲーム1のうちにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していないことが告知される。このハズレ告知は、第3停止ボタンの操作によりゲーム1が終了した時点で終了させられるが、ゲーム1においてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していないので、次のゲーム2(ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)及びレギュラーボーナス、並びにスイカに当選していない)が開始されたときに何らの報知も行われない。
【0139】
図5(c)の例でも、図5(a)の例と同様に、遊技者によるスタートレバー11の操作によりゲーム1が開始されたときに、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選した(スイカとの同時当選した場合を含む)ものとする。このビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選により、当該ゲームが開始されたタイミングからボーナス当選報知演出の前兆演出が開始される。
【0140】
次に、ゲーム1が終了するまで(すなわち、第3停止ボタンが操作されるまで)の任意のタイミングで遊技者がMAXBETボタン15を最初に操作すると、タイマによる計時が開始される。その後、遊技者がMAXBETボタン15の操作を繰り返して行い、タイマにより計時している時間が3秒に到達するまでに第3停止ボタンを操作することもなかったが、タイマにより計時している時間が3秒に到達した時点でMAXBETボタン15の操作回数が最初の操作を含めて14回しか行われなかったものとする。
【0141】
この場合、タイマにより計時している時間が3秒に到達した時点で前兆演出が終了し、終了した前兆演出に続けてゲーム1のうちにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していないことが告知される。このハズレ告知は、第3停止ボタンの操作によりゲーム1が終了した時点で終了させられるが、ゲーム1においてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているので、次のゲーム2が開始された時点でビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していることが告知されるものとなる。なお、このボーナス当選の告知は、ゲーム2が開始しても、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞するまで継続される。
【0142】
以上説明したように、この実施の形態にかかるスロットマシン1によれば、スタートレバー11の操作でゲームが開始した時に行われる内部抽選でビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選したとき、若しくはこれらのボーナスとの同時当選役であるスイカに当選したときに、当該タイミングからボーナス当選報知演出が開始されるものとなっている。このボーナス当選報知演出は、前兆演出の後に、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かを告知するものである。
【0143】
ボーナス当選報知演出においてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かを告知することに対して、遊技者は、前兆演出が行われている間にMAXBETボタン15を操作することによって介入することが可能となっている。このボーナス当選報知演出(前兆演出)に対して遊技者がMAXBETボタン15を操作して介入し、その最初の操作から3秒以内に合わせて15回のMAXBETボタン15の操作を行うと、前兆演出の終了と同時にビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が遊技者に告知されるものとなっている。
【0144】
ここで、前兆演出に続けてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が遊技者に告知されることとなる15回のMAXBETボタン15が操作されたかどうかを判断する計時の起算点は、最初にMAXBETボタン15が操作されたときからとなっている。ボーナス当選報知演出(前兆演出)が開始された後の自由なタイミングで、すなわち自由度の高い介入操作でボーナス当選報知演出に遊技者が介入することができるので、ボーナス当選報知演出に遊技者が介入しやすくなり、結果として遊技の興趣を向上させることができる。
【0145】
また、遊技者がMAXBETボタン15を最初に操作してボーナス当選報知演出の介入への意思表示を行っても、前兆演出に続けてそのままビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が遊技者に告知されるようにするには、さらに3秒以内で15回(最初の操作を除くと14回)もMAXBETボタン15を繰り返して操作しなければならない。このように遊技者がボーナス当選報知演出の介入を開始してからも、その介入操作を続けることが必要になるので、演出への介入感が高まり、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0146】
また、ボーナス当選報知演出が行われたときにおいて当該ゲーム中で前兆演出に続けてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が告知されるのは、最初のMAXBETボタン15の操作から3秒以内で合計15回のMAXBETボタン15の操作があったことが条件となっている。もっとも、15回目のMAXBETボタン15の操作があれば、その時点で、最初のMAXBETボタン15の操作から3秒の経過を待たずにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が告知されるものとなる。
【0147】
これにより、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が前兆演出に続けて実行される条件の成立タイミングと、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無の告知タイミングとがリンクするものとなるので、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が告知されたときに、これが遊技者にとって分かり易いものとなる。しかも、遊技者の操作(15回目のMAXBETボタン15の操作)とリンクしたタイミングでビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が告知されることとなるので、ボーナス当選報知演出に対する遊技者の介入感をさらに高めさせることができ、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0148】
また、ボーナス当選報知演出が行われたときであっても、遊技者がMAXBETボタン15を操作しない限り、何れにしても当該ゲーム中で前兆演出に続けてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が告知されることはない。一般的な遊技者であれば、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているかどうかをなるべく早く知りたいものであるので、これによってMAXBETボタン15の操作によりボーナス当選報知演出に介入させることを遊技者に促すことができるものとなる。
【0149】
一方、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していてボーナス当選報知演出が行われたときに遊技者がMAXBETボタン15を全く操作しなかったり、MAXBETボタン15を15回操作する前に第3停止ボタンを操作したり、最初の操作から3秒以内でMAXBETボタン15を操作することができなかったりした場合でも、次のゲームが開始されたときにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が遊技者に告知されるものとなる。
【0150】
このため、ボーナス当選報知演出の前兆演出が行われている間にMAXBETボタン15を操作しなかったばかりに、或いは操作しても適切な操作ができなかったばかりに、遊技者が知りたいはずの情報(つまり、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かという情報)を遊技者が何時までも知り得ず、遊技者の不利益が大きくなりすぎてしまうことがない。
【0151】
ところで、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、可変表示装置2を構成するリール3L、3C、3Lの回転は、遊技者が停止ボタン12L、12C、12Rを操作することによって停止されるものとなっているが、遊技者が停止ボタン12L、12C、12Rを操作しなければ何時までも回転し続けるものとなっている。ここで、スタートレバー11の操作によりリール3L、3C、3Rが回転開始されたときにボーナス当選報知演出の前兆演出が開始されても、遊技者がMAXBETボタン15を操作しない限りビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選を告知すべきかどうかの判断を行う必要がない。このため、リール3L、3C、3Rが回転している状態で放置されているときの制御負荷を増大させずに済むものとなる。
【0152】
さらに、ボーナス当選報知演出の前兆演出が実行されている場合において、停止ボタン12L、12C、12Rの全部または一部が操作されることなく、MAXBETボタン15が操作された後にリール3L、3C、3Rの全部または一部が回転を継続しているまま放置されてしまうという場合も考えられる。もっとも、当該ゲーム中で前兆演出に続けてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選またはハズレの告知を行うかどうかの判断は、最初のMAXBETボタン15の操作から3秒間の間だけ行えばよい。このため、制御負荷が大きくなりすぎることはない。
【0153】
また、ボーナス当選報知演出の前兆演出は、遅くともリール3L、3C、3Rの全ての回転が停止したゲーム終了時点で終了し、その後、新たにリール3L、3C、3Rの回転が開始される次のゲームの開始前の間には実行されない。MAXBETボタン15は、このゲームの終了から次のゲームの開始までの間で有効な遊技操作(ここでは、賭け数の設定)が行われるものとなる操作手段であり、これがボーナス当選報知演出に遊技者が介入するための操作手段として用いられている。
【0154】
このため、スロットマシン1の本来の遊技を進行するために必要な操作手段(スタートレバー11、停止ボタン12L、12C、12R、メダル投入口13、1枚BETボタン14、MAXBETボタン15)の他に、遊技者がボーナス当選報知演出に介入するための専用の操作手段を別途設ける必要がないので、スロットマシン1の製造コストを増大させることがない。また、ボーナス当選報知演出の実行に関する部分については、ROM113、123に格納されるプログラムの変更だけで対応できるので、既存のスロットマシンをリサイクルして使用することができるものとなる。
【0155】
また、設定値を変更することによって遊技制御基板101のRAM112が初期化されるが、リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数をカウントするためのカウンタの値は初期化されない。このため、設定値の変更後においてもCPU111が把握するリールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数(RAM112のカウンタでカウントされているステップ数)が実際のステップ数と異なることがなく、パルス信号の励磁相が異なってリール3L、3C、3Rが滑らかに回転開始きずに設定値の変更がされていることが遊技者に察知されてしまうということを防ぐことができる。
【0156】
また、満タンセンサ90によりオーバーフロータンクの満タンが検出されているかどうかを1ゲームに1回ずつチェックし、満タンが検出されている場合には、満タンエラーに制御する。もっとも、前回のゲームでリプレイ入賞していた場合(すなわちRAM112にリプレイゲーム中フラグが設定されている場合)には、このチェックを行っていない。前回のゲームでリプレイ入賞していた場合は、遊技者がメダルを投入せずに賭け数が設定されるので、発生可能性の低い満タンエラーのチェックを省くことで遊技制御基板101の制御部110にかかる負荷を小さくすることができる。
【0157】
また、外部出力基板105は、スタートレバー11の操作時にまとめてメダルIN信号を出力するものとしている。賭け数として設定するメダルの投入の度にメダルIN信号を出力するものとした場合には、精算ボタン16の操作により既に設定した賭け数がキャンセルされると、出力したメダルIN信号の取が必要となってしまう。また、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15の操作によりクレジットから賭け数を設定した場合と、メダル投入口13からメダルの現物を投入して賭け数を設定した場合とで、メダルIN信号を出力するためのプログラムが別々に必要になってしまう。この実施の形態にかかるスロットマシン1のようにスタートレバー11の操作時にまとめてメダルIN信号を出力することで、このような不都合が生じるのを防ぐことができる。
【0158】
一方、外部出力基板105は、ホッパー80からメダルを1枚払い出す度にメダルOUT信号を出力するものとしている。仮に小役入賞に基づいてメダルを払い出すときに、払い出すメダルの数だけメダルOUT信号をまとめて出力するものとした場合には、ホッパー80においてメダル切れエラーが発生したときなどに、実際に払い出されたメダルとの間に誤差が生じてしまう。また、メダルの払い出しの終了時に払い出したメダルの数だけメダルOUT信号をまとめて出力するものとした場合には、次のゲームが開始されてからもメダルOUT信号の出力が継続されているという可能性が生じる。この実施の形態にかかるスロットマシン1のようにホッパー80からメダルを1枚払い出す度にメダルOUT信号を出力することで、このような不都合が生じるのを防ぐことができる。
【0159】
また、遊技の進行状況に応じて、各種のコマンドが遊技制御基板101から演出制御基板102へと送信されるものとなっているが、遊技制御基板101のRAM112に設けられたコマンド送信バッファよりも、演出制御基板102のRAM122に設けられたコマンド受信バッファの方が容量が大きくなっている。このため、遊技制御基板101から一度に大量のコマンドが送られてきても、演出制御基板102の側では未処理のコマンドを十分に貯めておくことができるので、演出制御基板102のCPU121が処理しきれないコマンドが生じ、演出の実行に支障が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0160】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0161】
上記の実施の形態では、ボーナス当選報知演出が行われた場合において、最初のMAXBETボタン15の操作から3秒以内にMAXBETボタン15が合計で15回操作されていないと、前兆演出の終了とともにハズレ告知がされるものとなっていた。もっとも、このような場合には何も告知せずに前兆演出だけを終了させるものとしてもよい。そして、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していた場合には、次のゲームでスタートレバー11が操作されたときにボーナス告知を行うものとしてもよい。このような場合も、上記の実施の形態と変わらない効果を得ることができる。
【0162】
上記の実施の形態では、ボーナス当選報知演出が行われた場合において、最初のMAXBETボタン15の操作から3秒以内に合計で15回MAXBETボタン15が操作されたことを条件として、当該ゲーム中に前兆演出に続けてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が遊技者に告知されるものとなっていた。もっとも、この3秒という時間の条件、或いは15回という操作の条件の何れか一方または両方は、例えば、ボーナス当選報知演出が実行される度に行われる抽選などにより可変されるものとしてもよい。
【0163】
例えば、2秒12回、3秒12回という条件から何れかを選ぶものであってもよい。3秒6回、3秒18回という条件から何れかを選ぶものであってもよい。或いは、1秒5回、2秒10回、3秒15回という条件から何れかを選ぶものであってもよい。これらの場合、前兆演出に続けてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が告知されることとなるタイミングに変化が生じたり、そのために必要な操作の難易度に変化が生じたりするので、ボーナス当選報知演出への介入に対する面白みをさらに増すことができるものとなる。
【0164】
上記の実施の形態では、ボーナス当選報知演出は、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選、若しくはスイカに当選したときに、当該ゲームの開始時から開始されるものとなっていたが、これ以外の条件及びタイミングで開始されるものとしてもよい。例えば、リール3L、3C、3Rの全てが停止して可変表示装置2に表示結果が導出されたときに、その表示結果が所定のチャンス目(ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているときも当選していないときにも導出され得る出目)であった場合に、当該タイミングからボーナス当選報知演出の前兆演出を開始させるものとしてもよい。
【0165】
このようにゲームが終了してから開始されるボーナス当選報知演出では、当該ボーナス当選演出の前兆演出が実行されているときにおいて、停止ボタン12L、12C、12Rが遊技を進行させるための有効な操作がなされない操作手段となるので、停止ボタン12L、12C、12Rを上記の実施の形態におけるMAXBETボタン15の代わりに適用することができる。左の停止ボタン12LだけがMAXBETボタン15の代わりに適用されるものとしたり、第3停止ボタンだけがMAXBETボタン15の代わりに適用されるものとすることもできる。
【0166】
上記の実施の形態では、ボーナス当選報知演出の前兆演出が実行されている場合において遊技の進行のためには全く有効な操作がなされないMAXBETボタン15が最初に操作されたことをボーナス当選報知演出への介入を開始する意思表示となる操作としてタイマによる計時を開始するものとし、また、そのMAXBETボタン15の操作を介入の意思表示の後にボーナス当選報知演出に介入する操作としていた。
【0167】
これに対して、タイマによる計時を開始させる介入の意思表示となる操作の方は、遊技の進行のためにも有効となる操作であってもよい。例えば、第1停止ボタン(停止ボタン12L、12C、12Rのうちで最初に操作されるもの)の操作は、リール3L、3C、3Rの何れも停止していないときに遊技の進行のために有効となる操作であるが、タイマによる計時を開始させる介入の意思表示となる操作として適用することもできる。
【0168】
この第1停止ボタンの操作を、そのまま介入の意思表示の後にボーナス当選報知演出に介入する操作として適用することもできる。もっとも、この場合の第1停止ボタンの操作は、最初の操作で対応するリールの回転が停止されると、遊技の進行のために有効となる操作とはならないから適用可能なのであって、ボーナス当選報知演出への介入を開始する意思表示となる操作と同じ操作であるから適用可能となる訳ではない。
【0169】
上記の実施の形態では、最初の操作を含めて3秒以内にMAXBETボタン15が15回操作されることを、前兆演出に続けてボーナス当選報知演出が行われたゲームのうちにビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無を告知するかどうかの条件としていた。しかしながら、前兆演出に続けてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無を告知するかどうかの操作の条件は、これに限るものではない。例えば、MAXBETボタン15が所定時間(3秒以下)継続して(断続して)操作されたこととしてもよい。最初のMAXBETボタン15の操作から3秒を経過するまでの間になされた2回目以降のMAXBETボタン15の操作が所定時間継続したこととしてもよい。
【0170】
或いは、ボーナス当選報知演出への介入を開始する意思表示(上記の実施の形態の例では、最初のMAXBETボタン15の操作)の後にボーナス当選報知演出に介入する操作を複数の操作手段の操作とする場合には、該複数の操作手段が所定のパターンで操作されたこととしてもよい。例えば、ボーナス当選報知演出への介入を開始する意思表示の後にボーナス当選報知演出に介入するための操作手段として1枚BETボタン14とMAXBETボタン15の2つを適用し、これらが交互に20回(各々のボタンの操作が10回)だけ最初のMAXBETボタン15の操作から3秒以内に行われたときに、前兆演出に続けてビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無を告知するものとしてもよい。
【0171】
上記の実施の形態では、ボーナス当選報知演出への介入を開始する意思表示となる操作と、その意思表示の後にボーナス当選報知演出に介入する操作とは、何れもMAXBETボタン15の操作としていた。もっとも、両者の操作は、異なる操作手段の操作であってもよい。例えば、1枚BETボタン14の操作をボーナス当選報知演出への介入を開始する意思表示となる操作として計時を開始するが、MAXBETボタン15の操作をその意思表示の後にボーナス当選報知演出に介入する操作として、計時開始から所定時間以内にMAXBETボタン15が所定回数操作されたかどうかを判定するものとしてもよい。
【0172】
上記の実施の形態では、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選してボーナス当選報知演出が行われた場合において、MAXBETボタン15を操作したものの3秒以内に15回の操作ができなくて前兆演出に続けてハズレが告知された場合、若しくは、MAXBETボタン15が操作されないまま、或いはMAXBETボタン15の操作から3秒経過または15回の操作がある前に第3停止ボタンが操作されてゲームが終了して前兆演出だけが終了させられた場合、次のゲームの開始時点(すなわち、スタートレバー11の開始時点)において、ビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が告知されるものとなっていた。
【0173】
もっとも、このような場合におけるビッグボーナス(A)、ビッグボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の告知のタイミングは、これに限るものではない。例えば、次のゲームの終了時(第3停止ボタンが操作されたとき)としてもよい。或いは、第1停止ボタンまたは第2停止ボタンが操作されたときとしてもよい。さらには、厳密には次のゲームの開始ということではないが、次のゲームに関連した操作である賭け数の設定操作(メダル投入口13からのメダルの投入、若しくは1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15の操作)が行われたときとしてもよい。
【0174】
上記の実施の形態では、遊技制御基板101のRAM112も、演出制御基板102のRAM122も、ともにバッテリバックアップされるものとなっており、スロットマシン1の電源をOFFしても記憶しているデータが保持されるものとなっていた。もっとも、バッテリバックアップしておく必要があるのは、遊技制御基板101のRAM112だけで、演出制御基板102のRAM122は、バッテリバックアップせず、スロットマシン1の電源をOFFしたときには、記憶しているデータが消失してしまうものであってもよい。
【0175】
上記の実施の形態では、扉開放センサ95は、前面扉が開放状態にあることを検出するものであり、その検出信号に基づいてセキュリティ信号のうちのドア開放信号が外部出力基板105から出力されるものとなっていた。もっとも、扉開放センサ95は、前面扉を開放するための鍵が解除されていることを検出するものであってもよく、この場合には、実際には前面扉は開放されていなくても当該鍵が解除されていれば、すなわち前面扉が開放可能な状態にあることが扉開放センサ95により検出されれば、セキュリティ信号のうちのドア開放信号を外部出力基板105から出力させるものとすることができる。
【0176】
また、扉開放センサ95の検出信号が遊技制御基板101に入力されるようにし、扉開放センサ95により前面扉が開放状態にあることが検出された場合には、遊技制御基板101のCPU111は、その旨を示す所定のコマンドを演出制御基板102に送信するものとしてもよい。当該所定のコマンドを受信した演出制御基板102のCPU121は、前面扉が開放状態にあることを、例えば、液晶表示器4に所定のメッセージを表示したり、扉開放音を再生してスピーカ7L、7R、7Uから出力させるものとしてもよい。扉開放音を出力するボリュームレベルは、最大レベルとすることが好ましい。
【0177】
スロットマシン1の内部には、各種制御を行うための制御回路を搭載した基板類や、設定値を変更するための設定スイッチ91などが配置されており、これらの操作のためには前面扉を開放しなければならない。もっとも、これらの操作は、本来遊技者が行い得ない操作であって、遊技店の店員でない者によってスロットマシン1の前面扉が開放されているということは、遊技者により不正行為が行われている可能性が極めて高いということになる。前面扉の開放を液晶表示器4へのメッセージの表示や扉開放音の出力で報知することによって、遊技店の店員は、不正行為が行われていることを容易に察知することができるものとなる。
【0178】
上記の実施の形態では、設定値を変更することによって遊技制御基板101のRAM112が初期化されるが、リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数をカウントするためのカウンタの値だけは初期化されないものとしていた。これにより、設定値の変更後においてリール3L、3C、3Rが滑らかに回転開始きずに設定値の変更がされていることが遊技者に察知されてしまうということを防ぐものとしていた。
【0179】
これに対して、設定値を変更したかどうかに関わらず、すなわち設定キースイッチ92をON状態としてスロットマシン1を起動したか否かに関わらず、スロットマシン1を起動したときには、ステッピングモータのステップ数をカウントするためのカウンタの値を初期化してしまい、ステッピングモータの各励磁相が必ず初期パターンで励磁されるようになるものとしてもよい。この場合には、設定値を変更したか否かに関わらずにリール3L、3C、3Rが起動後直ぐに同じ挙動をするため、設定値の変更がされていることが遊技者に察知されてしまうということを防ぐことができる。
【0180】
上記の実施の形態では、演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から送られてきたコマンドに応じて、演出の処理を行うものとしていた。もっとも、遊技制御基板101から送られてきたコマンドは、先入れ先出し方式のコマンド受信バッファに入れられ、コマンド受信バッファに順次入れられたコマンドに処理落ちが生じないことを前提とするものであった。また、遊技者の操作に応じた信号が、演出制御基板102のCPU121に直接出力されることはなかった。
【0181】
これに対して、演出制御基板102のCPU121により制御される液晶表示器4の前面に、演出操作手段として遊技者によりタッチされた位置を検出可能なタッチパネルを配置するものとし、このタッチパネルにおいてタッチされた位置に応じた信号が、演出制御基板102のCPU121に出力されるものとしてもよい。そして、CPU121は、遊技制御基板101から受信したコマンドに加えて、タッチパネルにより検出されたタッチ位置に対応した信号に応じて、演出の処理を行うものとすることができる。
【0182】
また、演出制御基板102には、工場からの出荷前に通常の遊技制御基板102に代えてコマンドシミュレータ(試験用の遊技制御基板)を接続できる構成とすることができ、コマンドシミュレータから入力される各種の検査コマンドに基づいて、演出制御基板102に接続された各演出手段やタッチパネルのような演出操作手段の検査を行えるようにすることができる。
【0183】
ここで、CPU121は、タッチパネルの動作を検査する検査コマンドを受信した場合には、例えば、タッチパネルを全面有効とするとともに後面の液晶表示器4に「触れてください」というメッセージを表示し、正常にタッチ操作が検出されるかどうかを検査することができる。この場合において、タッチパネルのタッチ操作が検出されるまでは、CPU121は、コマンド受信割込処理を禁止し、新たなコマンドの受信を禁止するものとすることができる。
【0184】
このようにタッチパネルの動作を検査する検査コマンドを受信し、これに応じてタッチパネルの動作を行う場合には、タッチ操作の検出までコマンド受信割込処理を禁止し、新たなコマンドの受信を禁止するものとしているので、検査コマンドの受信からタッチ操作の検出までに新たなコマンドを受信しても、当該新たなコマンドに基づく処理を行わないものとなっている。このため、タッチパネルの動作チェックの完了を待たずに誤って検査コマンドを送信した場合も、タッチパネルの動作チェックを正常に行うことができるものとなる。なお、演出操作手段として、タッチパネル以外の演出操作手段、例えば、ボタンやダイアルを適用した場合も、同様とすることができる。
【0185】
上記の実施の形態では、当選フラグの設定状況に基づいて停止制御テーブルを予め選択し、リール3L、3C、3Rの停止時において停止制御テーブルを参照して図柄の停止位置を決定し、当該停止位置でリールを停止させるテーブル方式でリール3L、3C、3Rの回転を停止させるスロットマシンを例として説明した。これに対して、停止条件が成立したときの現在の図柄位置と当選フラグの設定状況に基づいて、当選している役の図柄が揃うように引き込み制御を行ったり、当選していない役の図柄が揃わないように外し制御を行うコントロール方式でリール3L、3C、3Rの回転を停止させるスロットマシンにも本発明を適用することができる。
【0186】
コントロール方式では、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されたときに、対応するリール3L、3C、3Rについてその時点で表示されている図柄から190ミリ秒(チャレンジボーナス中に右のリール3Rについては75ミリ秒)の最大停止遅延時間の範囲内(表示されている図柄と引き込み分を含めて合計5コマの範囲(チャレンジボーナス中に右のリール3Rについては合計2コマの範囲))に、当選フラグの設定されている役の図柄があるかどうかを判定する。
【0187】
当選フラグの設定されている役の図柄(重複当選時には、導出が優先される役の図柄から判断する)があれば、当該役を入賞させるための図柄を選択して入賞ライン(既に停止しているリールがあるときには、停止しているリール上の図柄とともに入賞の表示態様を構成可能な入賞ライン)上に導出させる。そうでなければ、いずれの役にも入賞させないための図柄を選択して導出させる。すなわち、このコントロール方式によりリール3L、3C、3Rの停止を制御する場合も、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されてから最大停止遅延時間の範囲で図柄を停止させることにより導出可能となる表示態様であって当選フラグの設定状況に応じた表示態様が、可変表示装置2の表示結果として導出されるものとなる。
【0188】
上記の実施の形態では、可変表示装置2は、外周部に複数の図柄を所定順に配した3つのリール3L、3C、3Rを備えるものとし、これらのリール3L、3C、3Rの回転駆動によって図柄を可変表示させるものとしていた。しかしながら、液晶表示装置などの表示装置上で仮想的に図柄を可変表示させるものを、上記のような可変表示装置2の代わりに用いてもよい。
【0189】
上記の実施の形態では、賭け数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシン(いわゆるパロット)であってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができる。
【0190】
いわゆるパロットでは、遊技媒体として用いられる遊技球は、そのままの物理的形態で貯留皿に貯留されており、遊技者がBETボタンを操作すると、貯留皿(上皿)に貯留されていた遊技球のうちのBET操作に応じた数の遊技球が所定の取り込み経路を介してパロットの内部に取り込まれる。この内部に取り込まれた遊技球によって1ゲームを行うための賭け数が設定されるものとなる。
【0191】
また、パロットにおいて遊技者が精算ボタンを操作した場合には、既に賭け数が設定されていれば(但し、リプレイ入賞後に賭け数が自動設定された場合を除く)、設定された賭け数に応じた数の遊技球がスロットマシンの下部に設けられた下皿に排出される。賭け数が設定されていなければ(先に賭け数の精算を行った場合を含む)、貯留皿に貯留されている遊技球が所定の経路を通って下皿に排出されるものとなる。下皿には、遊技者が所定のレバーを操作することで貯留された遊技球を下部に通過させるための穴が設けられており、遊技球箱(いわゆるドル箱)を下皿の下においてレバー操作すれば、遊技者が所有する遊技球を容易に遊技球箱に移すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
図1】本発明の実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。
図2図1のスロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
図3】(a)は、メダルIN信号の出力状況を示すタイミングチャートであり、(b)は、メダルOUT信号の出力状況を示すタイミングチャートである。
図4】(a)は、入賞となる役の図柄組み合わせを示す図であり、(b)は、遊技状態別当選役テーブルの例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態にかかるスロットマシンにおける遊技の進行とボーナス当選演出の実行態様との関係を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0193】
1 スロットマシン
2 可変表示装置
4 液晶表示器
7L、7R、7U スピーカ
11 スタートレバー
12L、12C、12R 停止ボタン
13 メダル投入口
14 1枚BETボタン
15 MAXBETボタン
101 遊技制御基板
111 CPU
112 RAM
113 ROM
102 演出制御基板
121 CPU
122 RAM
123 ROM
図1
図2
図3
図4
図5