(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転係止部は、前記カッタ本体に形成される貫通孔または窪み穴である第1回転係止部と、前記ネジ本体に形成されて前記第1回転係止部と係合する第2回転係止部とを含み、
前記カッタ本体と前記配管との摩擦による負荷が所定値より大きくなったときに、前記第2回転係止部のせん断または潰れにより、前記カッタ本体と前記ネジ本体とが相対回転可能となる、請求項2記載のせん孔カッタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、ステンレス鋼や真鍮という比重の大きい金属を用いてせん孔カッタを形成しているので、せん孔カッタ自体、延いてはそれを備える分岐継手の重量が大きくなってしまう。このため、特許文献1のせん孔カッタおよびEFサドル継手(分岐継手)は、運搬および取扱いが不便であり、施工性が悪いという問題が残る。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、せん孔カッタ、それを備える分岐継手およびせん孔カッタの製造方法を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、施工性に優れる、せん孔カッタ、それを備える分岐継手およびせん孔カッタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、合成樹脂製の配管を分岐するための分岐継手に用いられるせん孔カッタであって、円筒状に形成される金属製のカッタ本体と、円柱状または円筒状に形成されてカッタ本体の上部がその壁内に埋め込まれる合成樹脂製のネジ本体とを備え、
カッタ本体の上部にインサート成形を行うことによって、ネジ本体の壁内にカッタ本体の上部が埋め込まれ、カッタ本体は、下端部に形成される刃部、およびネジ本体の壁内に埋め込まれる位置に形成される第1係合部を有し、ネジ本体は、外面に形成され、分岐継手の第1筒部の内面に形成される雌ネジ部と螺合する雄ネジ部、上端部に形成される回転工具係合部、および第1係合部と係合してカッタ本体のネジ本体に対する軸方向の動きを規制する第2係合部を有し、さらに、ネジ本体は、カッタ本体の上部の外面側を覆う被覆部分と、カッタ本体の上部の内面側を埋める充填部分とを有して、被覆部分と充填部分とによってカッタ本体の上部を挟み込み、被覆部分の外面に雄ネジ部が形成され、
さらに、カッタ本体のネジ本体に対する周方向の動きを規制する固定部を備え、固定部は、カッタ本体の上部であってかつ回転工具係合部の高さ範囲内の位置に形成される複数の貫通孔と、ネジ本体に形成され、複数の貫通孔のそれぞれを通って被覆部分と充填部分とを連結して一体化する複数の連結突起とによって構成され、カッタ本体とネジ本体とは固定部によって相対回転不可に固定される、せん孔カッタである。
【0009】
第1の発明では、せん孔カッタ(10)は、たとえばEFサドル継手(12)の第1筒部(22)に設けられるものであり、合成樹脂製の水道管やガス管などの配管(100)を分岐する際に、配管をせん孔するために用いられる。せん孔カッタは、ステンレス鋼(SUS)などの金属によって形成される円筒状のカッタ本体(40)と、ポリアセタール等の合成樹脂によって形成されるネジ本体(42)とを備える。カッタ本体の下端部には、刃部(44)が形成され、カッタ本体の上部には、環状溝(48)や貫通孔(64)等である第1係合部が形成される。ネジ本体は、第1係合部を含むカッタ本体の上部を
インサート成形によってその壁内に埋め込むように、円柱状または円筒状に形成される。つまり、ネジ本体は、カッタ本体の上部の外面側を覆う被覆部分と、カッタ本体の上部の内面側を埋める充填部分とを有して、その被覆部分と充填部分とによってカッタ本体の上部を挟み込んでいる。ネジ本体の被覆部分の外面には、EFサドル継手の第1筒部の内面に形成される雌ネジ部(32)と螺合する雄ネジ部(50)が形成され、ネジ本体の上端部には、六角穴などである回転工具係合部(52)が形成される。また、ネジ本体には、第1係合部に係合する環状突起(56)や連結突起(66)等である第2係合部が形成される。カッタ本体のネジ本体に対する軸方向の動きは、第1係合部と第2係合部との係合によって規制され、ネジ本体からのカッタ本体の抜け落ちが防止される。
さらに、せん孔カッタは、カッタ本体のネジ本体に対する周方向の動きを規制する固定部を備える。固定部は、カッタ本体の上部であってかつ回転工具係合部の高さ範囲内の位置に形成される複数の貫通孔と、ネジ本体に形成され、複数の貫通孔のそれぞれを通って被覆部分と充填部分とを連結して一体化する複数の連結突起とによって構成される。この固定部によって、カッタ本体とネジ本体とは相対回転不可に固定される。なお、固定部として機能する部分は、第1係合部および第2係合部として機能する部分と同じ部分であってもよいし、別の部分であってもよい。
【0010】
第1の発明によれば、金属と比較して比重の小さい合成樹脂によってネジ本体を形成するので、せん孔カッタを軽量化できる。したがって、せん孔カッタおよびEFサドル継手の運搬および取扱いが容易となり、施工性が向上する。
【0020】
第
2の発明は、合成樹脂製の配管を分岐するための分岐継手に用いられるせん孔カッタであって、円筒状に形成される金属製のカッタ本体と、円柱状または円筒状に形成されてカッタ本体の上部がその壁内に埋め込まれる合成樹脂製のネジ本体とを備え、カッタ本体は、下端部に形成される刃部、およびネジ本体の壁内に埋め込まれる位置に形成される第1係合部を有し、ネジ本体は、外面に形成され、分岐継手の第1筒部の内面に形成される雌ネジ部と螺合する雄ネジ部、上端部に形成される回転工具係合部、および第1係合部と係合してカッタ本体のネジ本体に対する軸方向の動きを規制する第2係合部を有し、さらに、カッタ本体とネジ本体との周方向の相対回転を規制する回転係止部を備え、カッタ本体と配管との摩擦による負荷が所定値より大きくなったときに、回転係止部が機能破壊してカッタ本体とネジ本体とが相対回転可能となる、せん孔カッタである。
【0021】
第
2の発明では、カッタ本体(40)とネジ本体(42)との周方向の相対回転を規制する回転係止部(68,70,76,80)を備える。回転係止部は、せん孔時にかかる負荷が所定値以下のときは、ネジ本体とカッタ本体との相対回転を規制する一方で、せん孔時にかかる負荷が所定値より大きくなると、相対回転の規制を解除する。すなわち、せん孔カッタ(10)は、カッタ本体と配管(100)との間の摩擦力が小さいせん孔の初期段階では、軟らかい合成樹脂を切断し易い回転切りを行い、カッタ本体と配管との間の摩擦力が大きくなると、せん孔時のトルクが小さくなる押し切りを行う。
第
2の発明によれば、回転切りと押し切りとを併用するので、効率良く配管をせん孔でき、より施工性に優れるようになる。また、せん孔負荷を小さくできるので、SUS等の金属と比較して機械的強度または硬度が劣る合成樹脂を用いてネジ本体を形成しても、ネジ本体の破損を確実に防止できる。
【0022】
第
3の発明は、第
2の発明に従属し、回転係止部は、カッタ本体に形成される貫通孔または窪み穴である第1回転係止部と、ネジ本体に形成されて第1回転係止部と係合する第2回転係止部とを含み、カッタ本体と配管との摩擦による負荷が所定値より大きくなったときに、第2回転係止部のせん断または潰れにより、カッタ本体とネジ本体とが相対回転可能となる。
【0023】
第
3の発明では、カッタ本体(40)には、貫通孔(68)または窪み穴である第1回転係止部が形成され、ネジ本体(42)には、第1回転係止部に嵌り合う小連結突起(70)または小突起などである第2回転係止部が形成される。第1回転係止部および第2回転係止部は、せん孔時にかかる負荷が所定値以下のときは、ネジ本体とカッタ本体との相対回転を規制する。一方で、せん孔時にかかる負荷が所定値をより大きくなると、第2回転係止部がせん断または潰されて、カッタ本体とネジ本体とが相対回転可能となる。
【0024】
第
4の発明は、第1ないし第
3のいずれかの発明のせん孔カッタを備える、分岐継手である。
【0025】
第
4の発明では、分岐継手は、たとえばEFサドル継手(12)であって、サドル部(20)、第1筒部(22)および第2筒部(24)などを備え、合成樹脂製の配管(100)の外面から分岐管(102)を取り出す際に使用される。そして、第1筒部の内部には、第1ないし第
3のいずれかの発明のせん孔カッタ(10)が、内面に形成される雌ネジ部(32)を介して軸方向に移動可能に設けられる。したがって、第
4の発明によれば、第1ないし第
3のいずれかの発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0034】
また、配管のせん孔前に予め、またはせん孔途中に、カッタ本体とネジ本体とが相対回転可能となるようにしておけば、配管のせん孔時にカッタ本体と配管との間に生じる摩擦力を小さくでき、せん孔負荷を小さくできる。したがって、小さい力で容易に配管をせん孔でき、より施工性に優れるようになる。また、せん孔負荷を小さくできるので、SUS等の金属と比較して機械的強度または硬度が劣る合成樹脂を用いてネジ本体を形成しても、ネジ本体の破損を確実に防止できる。
【0035】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1を参照して、この発明の一実施例であるせん孔カッタ10は、EF(エレクトロフュージョン)サドル継手12などの分岐継手に設けられる。そして、ポリエチレン等の熱融着可能な合成樹脂によって形成される水道管やガス管などの配管100に対して、分岐継手(この実施例ではEFサドル継手12)を介して分岐管102を接続する際に、配管100をせん孔して分岐孔104を形成する。
【0038】
EFサドル継手12は、配管100の外面から分岐管102を取り出す際に使用される継手であり、配管100と同種の合成樹脂によって一体的に形成される、サドル部20、第1筒部22および第2筒部24などを備える。サドル部20は、配管12の外面と略同一形状の内面を有する半円筒状に形成され、その内部には電熱線(図示せず)が埋設される。第1筒部22は、サドル部20の外面から突出する円筒状に形成され、この第1筒部22の外面には、側方に突出する第2筒部24が形成される。また、第1筒部22の外面上部には、雄ネジ部26が形成され、この雄ネジ部26の上方には、ゴム輪28を装着するためのゴム輪溝30が形成される。さらに、第1筒部22の内面には、その全体に亘って雌ねじ部32が形成され、第1筒部22の内部には、せん孔カッタ10が雌ねじ部32を介して軸方向に移動可能に設けられる。
【0039】
図2を参照して、せん孔カッタ10は、金属製のカッタ本体40および合成樹脂製のネジ本体42を含む。カッタ本体40およびネジ本体42は、詳細は後述するように、インサート成形等によって一体化される。
【0040】
図2(b)に示すように、カッタ本体40は、ステンレス鋼(たとえばSUS304)等の金属によって円筒状に形成される。カッタ本体40の大きさは、配管100や分岐管102の大きさ等に応じて適宜設定され、この実施例では、軸方向長さが75mmであり、外径が41mmである。カッタ本体40の先端には、下方に向かって鋭利となる刃部44が形成される。刃部44の先端角は、たとえば30−60°である。なお、刃部44は、内面側または外面側の片方がテーパとなる片刃であってもよいし、両方がテーパとなる両刃であってもよい。また、カッタ本体40下部の内面には、螺旋状に延びる断面三角形状の小突起46が形成される。この小突起46は、配管100をせん孔した際の切取り片106(
図4参照)を、カッタ本体40内部に確実に保持しておくための係合部として機能する。
【0041】
また、カッタ本体40の上部は、下部と比較して少し厚肉とされ、カッタ本体40上部の外面には、周方向全周に亘って延びる1または複数の環状溝48が形成される。環状溝48は、後述するネジ本体42の環状突起(第2係合部)56と係合し、カッタ本体40のネジ本体42に対する軸方向の動きを規制する第1係合部として機能する。環状溝48の数および大きさは、第1係合部としての機能を有する範囲において特に限定されないが、この実施例では、肉厚が1.25mmのカッタ本体40の管壁に対して、幅3mmおよび深さ0.75mmの大きさを有する、3つの環状溝48を形成している。
【0042】
図2(a)に示すように、ネジ本体42は、円柱状または円筒状に形成され、上述の環状溝48を含むカッタ本体40の上部は、ネジ本体42の壁内部に埋め込まれる。ネジ本体42は、合成樹脂製であるが、具体的には、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、およびガラス繊維強化プラスチック(GFRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の繊維強化プラスチック等の、配管100のせん孔時にかかる負荷に耐え得る機械的強度または硬度を有する合成樹脂によって形成される。この実施例では、材料コストや成形性なども考慮して、POMによってネジ本体42を形成している。
【0043】
ネジ本体42の外面には、EFサドル継手12の第1筒部22の内面に形成される雌ネジ部32と螺合する雄ネジ部50が形成される。また、ネジ本体42の上端部には、回転工具と係合する六角穴などの回転工具係合部52が形成される。回転工具を用いてネジ本体42を回転させると、せん孔カッタ10は、雌ネジ部32と雄ネジ部50との螺合によって第1筒部22内を軸方向に移動する。つまり、第1筒部22内において、せん孔カッタ10の軸方向位置は自由に調整できる。また、ネジ本体42には、回転工具係合部52から軸方向に沿って延びる貫通孔54が形成され、配管100のせん孔時には、この貫通孔54を介して配管100の状態などを確認できる。
【0044】
また、ネジ本体42には、カッタ本体40の環状溝48に嵌まり合う環状突起56が形成される。この環状突起56は、上述のように、カッタ本体40の環状溝(第1係合部)48と係合して、カッタ本体40のネジ本体42に対する軸方向の動きを規制する第2係合部として機能する。この実施例では、環状溝48と環状突起56との係合によって、カッタ本体40のネジ本体42に対する軸方向の動きを規制する、つまりネジ本体42からのカッタ本体40の抜けを防止するので、配管100のせん孔後に、せん孔カッタ10を第1筒部22上部に引き上げても、カッタ本体40が抜け落ちてしまうことがない。
【0045】
このようなせん孔カッタ10を製造する方法としては、インサート成形を用いるとよい。具体的には、切削加工などを利用して刃部44や環状溝48などを有するカッタ本体40を製作した後、そのカッタ本体40を金型内の所定位置にセットする。そして、金型内の射出室に合成樹脂を充填してインサート成形を行うことによって、雄ネジ部50、回転工具係合部52および環状突起56などを有し、カッタ本体40の上部を覆うネジ本体42を形成する。このようにして、カッタ本体40の上部がネジ本体42の壁内に埋め込まれて一体化された、せん孔カッタ10が製造される。
【0046】
ここで、通常、インサート成形品における金属と合成樹脂との界面は、化学的な結合がないことから機械的強度が小さくなる上、合成樹脂の成形収縮の影響もあるので、剥離し易いものとなる。すなわち、この実施例におけるカッタ本体40とネジ本体42との界面(接触部分)は、剥離し易い。このため、上述のインサート成形を利用して製造したせん孔カッタ10において、カッタ本体40を固定した状態でネジ本体42に対して少し回転力(捻り)を加えると、カッタ本体40とネジ本体42との界面が剥離して、カッタ本体40とネジ本体42とが周方向に相対回転可能となる。
【0047】
言い換えると、この実施例では、従来のインサート成形品では弱点となる可能性があった、金属と合成樹脂との界面の剥離し易さを利用することによって、カッタ本体40に対してネジ本体42が周方向に相対回転可能(空回り可能)となるようにしている。
【0048】
このようなせん孔カッタ10は、上述のように、EFサドル継手12の第1筒部22内に装着され、EFサドル継手12を介して配管100に分岐管102を接続する際に、配管100に分岐孔104を形成するために用いられる。以下、
図1、3および4を参照して、せん孔カッタ10を備えるEFサドル継手12を用いて、配管100に分岐を設ける方法について説明する。なお、配管100の分岐は、配管100内を通る流体を停止することなく行うことができる。
【0049】
配管100に分岐を設ける際には、先ず、
図1に示すように、配管100の所望位置にEFサドル継手12を載置し、クランプ等の固定具(図示せず)を用いて、配管100外面とサドル部20内面とが密着するように固定する。そして、サドル部20内に埋設した電熱線に通電して発熱させ、配管100外面とサドル部20内面とを融着接合する。また、第2筒部24には、分岐管102を接続する。
【0050】
次に、回動工具(図示せず)の端部を回動工具係合部52に挿し込む。そして、回動工具によってネジ本体42を回転させることにより、せん孔カッタ10を下方向に螺進させ、
図3に示すように、カッタ本体40の刃部44によって配管100をせん孔していく。この際、カッタ本体40に対してネジ本体42が相対回転可能となっていることから、刃部44が配管100の管壁に食い込んだときには、カッタ本体40は回転することなくネジ本体42に押されてそのまま下方向に進み、配管100の管壁を押し切りする。
【0051】
ここで、カッタ本体40を回転させて配管100の管壁を切断する、つまり回転切りを行うと、カッタ本体40下端部の配管100管壁への食い込み深さが大きくなるに従い、カッタ本体40と配管100との間に大きな摩擦力が生じるようになるので、せん孔負荷が大きくなってしまう。しかし、この実施例のように、配管100の管壁を押し切りすることにより、カッタ本体40と配管100との間の摩擦力を小さくできるので、せん孔負荷を小さくでき、小さい力で容易に配管100をせん孔していくことができる。
【0052】
カッタ本体40の刃部44が配管100内面まで到達した後は、
図4に示すように、回動工具によってネジ本体42を逆回転させることにより、せん孔カッタ10を上方向に螺進させる。この際、カッタ本体40の環状溝48とネジ本体42の環状突起56との係合によって、ネジ本体42からのカッタ本体40の抜け落ちは、確実に防止される。また、配管100の管壁から分離した切取り片106は、カッタ本体40内部に形成された小突起46に係合して、カッタ本体40内部に確実に保持され、配管100には分岐孔104が形成される。
【0053】
その後、せん孔カッタ10を第1筒部22の最上部まで移動させると、分岐孔104、第1筒部22および第2筒部24を介して配管100内と分岐管102内とが連通し、配管100内を流れる流体が分岐管102内に供給されるようになる。また、第1筒部22の上部は、ゴム輪28を介してキャップ108を装着することによって密閉しておく。
【0054】
この実施例によれば、金属と比較して比重の小さい合成樹脂によってネジ本体42を形成したので、せん孔カッタ10を軽量化できる。したがって、せん孔カッタ10およびEFサドル継手12の運搬および取扱いが容易となり、施工性に優れるようになる。
【0055】
たとえば、その全体がSUS等の金属で形成される従来のせん孔カッタでは、実施例サイズのもので約600gの重量であるのに対して、ネジ本体42が合成樹脂で形成されるこの実施例のせん孔カッタ10は、その重量は約150gであり、かなりの軽量化を図ることができる。
【0056】
また、カッタ本体40とネジ本体42とを相対回転可能としたので、配管100のせん孔時に、カッタ本体40は回転することなく配管100の管壁を押し切りするようになり、カッタ本体40と配管100との間の摩擦力を小さくできる。すなわち、せん孔負荷を小さくでき、小さい力で容易に配管100をせん孔することができるので、施工性に優れる。また、せん孔負荷が小さくなる、つまりせん孔時にネジ本体42にかかる負荷が小さくなるので、SUS等の金属と比較して、機械的強度または硬度が劣る合成樹脂を用いてネジ本体42を形成しても、ネジ本体42の破損を確実に防ぐことができる。
【0057】
また、カッタ本体40の上部に環状溝48を形成し、その上部をネジ本体42の壁内に埋め込むようにインサート成形するという製造方法を採用することによって、簡易な構造で、カッタ本体40のネジ本体42に対する軸方向の動きを規制(つまり抜けを防止)しつつ、カッタ本体40とネジ本体42とが相対回転可能(つまり空回り可能)な、せん孔カッタ10を容易かつ安価に製造できる。
【0058】
なお、上述の実施例では、EFサドル継手12の第1筒部22内にせん孔カッタ10を装着する前に、回転力を加えてカッタ本体40とネジ本体42との界面を剥離させておくことによって、カッタ本体40に対してネジ本体42を予め相対回転可能にしておくようにした。しかし、カッタ本体40とネジ本体42との界面を剥離させない状態で、せん孔カッタ10を第1筒部22内に装着することもできる。予め相対回転可能にしておかない場合であっても、せん孔時の回転負荷が大きくなれば、カッタ本体40とネジ本体42との界面が自動的に剥離して相対回転可能となり、同様の作用効果を奏するからである。
【0059】
また、上述の実施例では、第1係合部としてカッタ本体40に環状溝48を形成するようにしたが、
図5に示すように、第1係合部は、周方向全周に延びる1または複数の環状突起60であってもよい(
図5では内面に形成される1つの環状突起60を示している)。この場合、ネジ本体42には、環状突起60と係合する環状溝(第2係合部)62が形成され、環状突起60と環状溝62との係合によって、カッタ本体40のネジ本体42に対する軸方向の動きを規制しつつ、カッタ本体40とネジ本体42とが相対回転可能とされる。なお、環状溝48および環状突起60の双方をカッタ本体40に形成して第1係合部として機能させ、それら第1係合部に対応する環状突起56および環状溝62の双方をネジ本体42に形成して第2係合部として機能させることもできる。また、環状溝48や環状突起60は、カッタ本体40の内面および外面のいずれか一方に形成してもよいし、カッタ本体40の内面および外面の双方に形成してもよい。
【0060】
さらに、上述の実施例では、カッタ本体40とネジ本体42とを相対回転可能に一体化するようにしたが、カッタ本体40とネジ部42とを相対回転不可に固定するようにしてもよい。たとえば、
図6に示す実施例では、カッタ本体40の管壁には、1または複数の貫通孔64が形成され、ネジ本体42には、各貫通孔64を通ってその内壁と外壁とを連結する連結突起66が形成される。この場合、貫通孔64および連結突起66は、カッタ本体40のネジ本体42に対する軸方向の動きを規制する第1係合部および第2係合部として機能すると共に、カッタ本体40とネジ部42とを相対回転不可に固定する固定部として機能する。
【0061】
貫通孔64の形、大きさ、数および配置などは特に限定されないが、この実施例では、周方向に間隔をあけて並ぶ6つの円形の貫通孔64がカッタ本体40の管壁に形成される。貫通孔64の径は、たとえば5mmである。なお、貫通孔64の代わりに、または貫通孔64と共に、カッタ本体40の管壁に窪み穴や突起を形成することによって、カッタ本体40とネジ本体42とを相対回転不可に固定することもできる。また、固定部として機能する部分は、第1係合部および第2係合部として機能する部分と別に設けることもできる。ただし、カッタ本体40とネジ本体42とを相対回転不可に固定すると、せん孔時において、カッタ本体40と配管100との間の摩擦力が大きくなり、ネジ本体42にかかる負荷も大きくなるので、ネジ本体42の破損を防止するため、繊維強化プラスチック等の機械的強度または硬度により優れる合成樹脂によってネジ本体42を形成することが好ましい。
【0062】
さらにまた、カッタ本体40のネジ本体42に対する軸方向の動きを規制しつつ、カッタ本体40とネジ本体42とを相対回転可能とする第1係合部および第2係合部に加えて、カッタ本体40およびネジ部42に対して、回転係止部を形成することもできる。回転係止部は、カッタ本体40とネジ本体42との周方向の相対回転を規制するものであるが、カッタ本体40と配管100との摩擦による負荷が所定値より大きくなったときに、機能破壊する、つまり相対回転の規制を解除するものである。
【0063】
たとえば、
図7に示すこの発明の他の実施例であるせん孔カッタ10では、カッタ本体40およびネジ部42に形成される環状溝48および環状突起56に加えて、カッタ本体40の管壁には、1または複数の小貫通孔(第1回転係止部)68が形成され、ネジ本体42には、各小貫通孔68を通ってその内壁と外壁とを連結する小連結突起(第2回転係止部)70が形成される。この際、小貫通孔68および小連結突起70の形、大きさ、数および配置などは、せん孔時におけるカッタ本体40と配管100との摩擦による負荷が所定値より大きくなると、小連結突起70がせん断されて、カッタ本体40とネジ本体42とが相対回転可能となるように設定される。すなわち、
図7に示すせん孔カッタ10では、せん孔時にかかる負荷が所定値以下のときは、小貫通孔68および小連結突起70が係合して、カッタ本体40とネジ部42とが相対回転不可に固定され、せん孔時にかかる負荷が所定値をより大きくなると、小連結突起70がせん断されて、カッタ本体40とネジ本体42とが相対回転可能となる。この所定値は、せん孔時のトルクを考慮して設定され、少なくとも、せん孔時にネジ本体42が破損されない範囲の値とされる。たとえば、
図7に示すせん孔カッタ10では、カッタ本体40には、1mmの径を有する断面円形の2つの小貫通孔68が形成される。
【0064】
図7に示すせん孔カッタ10を製造する場合にも、
図2に示すせん孔カッタ10と同様に、インサート成形を用いるとよい。すなわち、切削加工などを利用して刃部44、環状溝48および小貫通孔68などを有するカッタ本体40を製作した後、そのカッタ本体40を金型内の所定位置にセットする。そして、金型内の射出室に合成樹脂を充填してインサート成形を行うことによって、雄ネジ部50、回転工具係合部52、環状突起56および小連結突起70などを有し、カッタ本体40の上部を覆うネジ本体42を形成するとよい。
【0065】
図7に示すせん孔カッタ10を用いて配管100をせん孔すると、せん孔の初期段階では、小貫通孔68と小連結突起70との係合によってカッタ本体40とネジ部42とが相対回転不可に固定されていることから、カッタ本体40は、回転しながら配管100の管壁を切断する(つまり回転切りを行う)。そして、カッタ本体40下端部の配管100管壁への食い込み深さが大きくなって、カッタ本体40と配管100との摩擦による負荷が所定値より大きくなった段階では、小連結突起70がせん断されて、カッタ本体40とネジ本体42とが相対回転可能となることから、カッタ本体40は回転することなくネジ本体42に押されてそのまま下方向に進み、配管100の管壁を押し切りする。
【0066】
ここで、ポリエチレン等の比較的軟らかい合成樹脂によって形成される配管100をせん孔する場合、カッタ本体40で押し切りを行うと、配管100の管壁が少し伸びるような状態になるので、カッタ本体40で回転切りを行う方が、配管100の管壁を切断し易い。しかしながら、上述のように、カッタ本体40の配管100への食い込み深さが大きくなると、カッタ本体40と配管100との間に大きな摩擦力が生じるようになるので、カッタ本体40で押し切りを行う方が、せん孔時のトルクは小さくなる。したがって、
図7に示す実施例のように、カッタ本体40と配管100との間の摩擦力が小さいせん孔の初期段階では回転切りを行い、カッタ本体40と配管100との間の摩擦力が大きくなると押し切りを行う、つまり、回転切りと押し切りとを併用することによって、より効率良く配管100のせん孔を行うことができるようになる。なお、せん断された小連結突起70は、そのまま小貫通孔68に保持されるので、配管100や分岐管102の内部に混入することはない。
【0067】
図7に示す実施例によれば、配管100のせん孔時に、回転切りと押し切りとを併用するので、より効率良く配管100のせん孔を行うことができ、施工性をより向上させることができる。
【0068】
また、カッタ本体40の上部に環状溝48および小貫通孔68を形成し、その上部をネジ本体42の壁内に埋め込むようにインサート成形するという製造方法を採用することによって、簡易な構造で、回転負荷が所定値より大きくなったときにカッタ本体40とネジ本体42とが相対回転可能となる、せん孔カッタ10を容易かつ安価に製造できる。
【0069】
なお、
図7に示す実施例では、第1回転係止部として小貫通孔68を形成したが、第1回転係止部は、径方向または軸方向に形成される窪み穴でもよい。この場合、ネジ本体42には、窪み穴に嵌り合う小突起が第2回転係止部として形成され、せん孔時にかかる負荷が所定値をより大きくなったときには、小突起のせん断または潰れによって、カッタ本体とネジ本体とが相対回転可能となる。また、第1回転係止部は、
図8(a)に示すように、環状溝72の側壁や環状突起74等に形成される切欠き76であってもよいし、
図8(b)に示すように、環状溝78の溝幅を変化させることによって形成される幅広部80であってもよい。これらの場合にも、ネジ本体42には、切欠き76や幅広部80に嵌り合う第2回転係止部が形成され、せん孔時にかかる負荷が所定値をより大きくなったときには、第2回転係止部のせん断または潰れによって、カッタ本体40とネジ本体42とが相対回転可能となる。
【0070】
さらにまた、上述のような回転切りと押し切りとを併用する効果は、
図2や
図5に示す実施例において、カッタ本体40とネジ本体42との界面を剥離させない状態で、せん孔カッタ10を第1筒部22内に装着する場合にも発揮される。この場合には、剥離前のカッタ本体40とネジ本体42との界面部分が回転係止部として機能する。なお、界面の剥離強度(界面を剥離するために必要な力)は、界面の面積を変更すること等によって適宜調整するとよい。
【0071】
また、上述の各実施例では、せん孔カッタ10をEFサドル継手12に用いるようにしたが、せん孔カッタ10は、EFサドル継手12以外の分岐継手に用いることもできる。
【0072】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。