特許第5778419号(P5778419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許5778419-液晶ディスプレイ用バックライト 図000002
  • 特許5778419-液晶ディスプレイ用バックライト 図000003
  • 特許5778419-液晶ディスプレイ用バックライト 図000004
  • 特許5778419-液晶ディスプレイ用バックライト 図000005
  • 特許5778419-液晶ディスプレイ用バックライト 図000006
  • 特許5778419-液晶ディスプレイ用バックライト 図000007
  • 特許5778419-液晶ディスプレイ用バックライト 図000008
  • 特許5778419-液晶ディスプレイ用バックライト 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778419
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】液晶ディスプレイ用バックライト
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/22 20060101AFI20150827BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20150827BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20150827BHJP
   H04N 13/04 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   G02B27/22
   G02F1/13 505
   G02F1/13357
   H04N13/04
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-508469(P2010-508469)
(86)(22)【出願日】2008年3月28日
(65)【公表番号】特表2010-528326(P2010-528326A)
(43)【公表日】2010年8月19日
(86)【国際出願番号】US2008058626
(87)【国際公開番号】WO2008144109
(87)【国際公開日】20081127
【審査請求日】2011年3月17日
(31)【優先権主張番号】11/750,412
(32)【優先日】2007年5月18日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100098486
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 憲一
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,ジョン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ブロット,ロバート エル.
(72)【発明者】
【氏名】シコラ,マイケル ジェイ.
【審査官】 林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−321754(JP,A)
【文献】 特開平09−145934(JP,A)
【文献】 特開2006−044075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/22
G02F 1/13
G02F 1/13357
H04N 13/04
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光面、第1の光入力面、前記第1の光入力面に対向する第2の光入力面、及び導光板厚さを有する導光板を含み、複数の反射防止機構であって、前記反射防止機構に対向する前記第1の光入力面又は前記第2の光入力面からの光を反射防止又は吸収する、或いは反射防止及び吸収する、前記複数の反射防止機構が、前記第1の光入力面及び前記第2の光入力面上又はそれらの中に存在し、各反射防止機構が、前記導光板厚さより小さい基部長さ値及び高さ値と、反射防止層及び光吸収層の少なくとも一方を含む少なくとも2つの表面とを有し、更に、
前記第1の光入力面内に光を供給するように配置された右眼用画像固体光源及び前記第2の光入力面内に光を供給するように配置された左眼用画像固体光源を含み、
少なくとも選択された反射防止機構が前記導光板の前記発光面と平行に又は直交して延在する線状プリズム要素を形成する、
バックライト。
【請求項2】
自動立体液晶ディスプレイパネルと、
前記自動立体液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置されたバックライトと、を含む表示装置であって、前記バックライトは、
発光面、第1の光入力面、前記第1の光入力面に対向する第2の光入力面、及び導光板厚さを有する、導光板を含み、複数の反射防止機構であって、前記反射防止機構に対向する前記第1の光入力面又は前記第2の光入力面からの光を反射防止又は吸収する、或いは反射防止及び吸収する、前記複数の反射防止機構が、前記第1の光入力面及び前記第2の光入力面上又はそれらの中に存在し、各反射防止機構が、反射防止層及び光吸収層の少なくとも一方を含む少なくとも2つの表面と、前記導光板厚さより小さい基部長さ値及び高さ値とを有し、更に、
前記第1の光入力面内に光を供給するように配置された右眼用画像固体光源及び前記第2の光入力面内に光を供給するように配置された左眼用画像固体光源を含み、
少なくとも選択された反射防止機構が前記導光板の前記発光面と平行に又は直交して延在する線状プリズム要素を形成する、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、逆光の液晶ディスプレイ、及び特に、表示された左眼用画像と右眼用画像との間の視覚的クロストークを低減する液晶ディスプレイ用バックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
自動立体ディスプレイは、通常、右眼用と左眼用の個々の視点からの視差を有する画像を観察者に示す。観察者の両方の目に視差画像を提供するのに、2つの方法がある。1つの方法では、観察者は、左/右画像ディスプレイの交代と同期化して光を透過又は視聴者の眼から光を遮断する1対のシャッター又は3Dメガネを利用する。同様に、別の方法では、右眼及び左眼の視点が交互に表示され、3Dメガネを使用せずに観察者のそれぞれの眼にいたる。この第2の方法は、自動立体視と呼ばれ、別個のメガネが不要であるのでステレオ3D観察に望ましい。
【0003】
液晶ディスプレイ(LCD)はサンプルアンドホールド表示装置であり、ディスプレイの任意の点又はピクセルにおける画像は、そのピクセルが次の画像リフレッシュ時間、通常は1/60秒又はそれより速い時間で更新されるまで、安定している。このようなサンプルアンドホールドシステムでは、異なる画像を表示するためには、具体的には自動立体ディスプレイ用の交互の左及び右の画像を表示するためには、例えば、右眼用データが表示されている間に左眼用画像光源がオンではなく、また逆も同様であるように、光源のタイミング順序付けを注意深く行なう必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高品質の自動立体画像を得るためには、右及び左の光源が画像ディスプレイと同期してオン/オフになることを確保することが重要である。更に、右眼用画像の光入力面が左眼用画像の光入力面に対向するとき、左及び右の光源が、光源端に基づく光を抽出する方向性バックライト構造の交互の照明を供給するなら、いずれかの表面に入る光は、続いて、対向する面に反射し、左眼用画像と右眼用画像との間の視覚的な混乱、即ちそれに等しいクロストークを招いて、質の悪い3D画像をもたらし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、逆光の液晶表示装置、並びに特に、表示された左眼用画像と右眼用画像との間の視覚的クロストークを低減する液晶ディスプレイ用バックライトに関する。
【0006】
第1の実施形態では、バックライトは、発光面、第1の光入力面、第1の光入力面に対向する第2の光入力面、及び導光板厚さを有する、導光板を含む。複数の反射防止機構は、第1の光入力面及び前記第2の光入力面上又はそれらの中に存在する。各反射防止機構は、導光板厚さより小さい基部長さ値及び高さ値を有する。右眼用画像固体光源は、第1の光入力面内に光を供給するように配置され、左眼用画像固体光源は、第2の光入力面内に光を供給するように配置されている。
【0007】
別の実施形態では、バックライトは、発光面、第1の光入力面、第1の光入力面に対向する第2の光入力面、及び導光板厚さを有する、導光板を含む。複数の反射防止機構は、第1の光入力面及び前記第2の光入力面上又はそれらの中に存在する。各反射防止機構は、反射防止層又は光吸収層を含む少なくとも2つの表面を有する。右眼用画像固体光源は、第1の光入力面内に光を供給するように配置され、左眼用画像固体光源は、第2の光入力面内に光を供給するように配置されている。
【0008】
更なる実施形態では、表示装置は、液晶ディスプレイパネル、及び液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置されたバックライトを含む。バックライトは、発光面、第1の光入力面、第1の光入力面に対向する第2の光入力面、及び導光板厚さを有する導光板を含む。複数の反射防止機構は、第1の光入力面及び前記第2の光入力面上又はそれらの中に存在する。各反射防止機構は、導光板厚さより小さい基部長さ値及び高さ値を有する。右眼用画像固体光源は、第1の光入力面内に光を供給するように配置され、左眼用画像固体光源は、第2の光入力面内に光を供給するように配置されている。
【0009】
別の実施形態では、表示装置は、液晶ディスプレイパネル、及び液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置されたバックライトを含む。バックライトは、発光面、第1の光入力面、第1の光入力面に対向する第2の光入力面、及び導光板厚さを有する導光板を含む。複数の反射防止機構は、第1の光入力面及び前記第2の光入力面上又はそれらの中に存在する。各反射防止機構は、導光板厚さより小さい基部長さ値及び高さ値を有する。右眼用画像固体光源は、第1の光入力面内に光を供給するように配置され、左眼用画像固体光源は、第2の光入力面内に光を供給するように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付図面と併せて以下の本発明の様々な実施形態の「発明を実施するための形態」を検討することにより、本発明をより完全に理解することができる。
図1】例示的な表示装置の概略側面図。
図2A】動作中の例示的な自動立体表示装置の概略的側面図。
図2B】動作中の例示的な自動立体表示装置の概略的側面図。
図3】例示的な自動立体バックライトの概略断面図。
図4A】例示的なバックライト光入力面の概略斜視図。
図4B】例示的なバックライト光入力面の概略斜視図。
図5】例示的なバックライト光入力面の概略断面図。
図6】別の例示的なバックライト光入力面の概略断面図。
【0011】
図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図中で用いられる類似の数字は、類似の構成要素を示す。しかし、所与の図中の構成要素を指す数字の使用は、同一数字でラベル付けされた別の図中の構成要素を限定するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記述において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、いくつかの特定の実施形態を実例として示す。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0013】
本発明で使用する全ての科学用語及び専門用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書にて与えられる定義は、本明細書でしばしば使用される特定の用語の理解を促進しようとするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0014】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴の大きさ、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0015】
端点による数値範囲の詳述には、その範囲内に組み入れられる全ての数が包含され(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)並びにその範囲内のあらゆる範囲が包含される。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「ある(a及びan)」及び「その(the)」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用するとき、その内容について別段の明確な指示がない限り、「又は」という用語は概して、「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0017】
用語「自動立体」は、ユーザー又は視聴者の側で特別なヘッドギア又はメガネを使用することなく見ることができる三次元画像を表示することを指す。これらの方法は、画像が平面デバイスによって作製されたとしても、視聴者に奥行き感覚を作り出す。
【0018】
本開示は、逆光の液晶表示装置、並びに特に、表示された左眼用画像と右眼用画像との間の視覚的クロストークを低減する液晶ディスプレイ用の自動立体バックライトに関する。本明細書で説明されるバックライトは、場合によりその光入力面に戻る前に反射された光を多数回跳ね返す複数の反射防止機構を、対向する光入力面に含む。これらの機構には、光吸収材料及び/又は反射防止材料が挙げられる。これらの機構は、バックライトと一体化していてもよいし、又はバックライトの各光入力面へのインクジェットプロセスによるなど、フィルム、製造後に成型された機構若しくは堆積された機構として適用されてもよい。機構は、規則的でも不規則的でもよく、また1を超える縦横比を有してもよい。本発明はそれだけには限定されないが、以下で提供される考察を通じて本発明の様々な態様の理解が得られるであろう。
【0019】
液晶ディスプレイは、サンプルホールド表示装置であり、任意の特定の点での画像は、その点又はピクセルが次の画像リフレッシュ時間、通常は1/60秒又はそれより速い時間内で更新されるまで安定している。このようなサンプルホールドシステムにおいて、ディスプレイの順次リフレッシュ期間中に、異なる画像を表示する、特に自動立体ディスプレイ用の左画像及び右画像を交互にすることは、例えば、右眼用のデータが表示されている間に左眼用光源がオンにならないように、また逆も同様であるように、バックライトの光源を注意深くシーケンスさせる必要がある。更に、左眼用及び右眼用画像光源は、反射されるべきではなく、又はそうでなければ、対向する眼の画像光源から来るように見えるように作られるべきではない。そのようなディスプレイのための有用なバックライトを供給する方法は、米国特許出願第2006/013273号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような粗面領域を有する2つの透明なプレート、又はやはり米国特許出願第2006/013273号に記載される、どちらかの側に右用及び左用光源を有する1つの導光板並びに1つの反射防止面を使用することである。
【0020】
図1は、例示的な表示装置10の概略側面図である。表示装置は、10ミリ秒未満又は5ミリ秒未満のフレーム応答時間を有する液晶ディスプレイパネル20、及び液晶ディスプレイパネル20に光を供給するように配置されたバックライト30を含む。バックライト30は右眼用画像固体光源32及び左眼用画像固体光源34を含み、それらは右眼用画像固体光源32と左眼用画像固体光源34との間で少なくとも90ヘルツの速度で変調され得る。両面プリズムフィルム40は、液晶ディスプレイパネル20とバックライト30との間に配置される。
【0021】
液晶ディスプレイパネル20及び/又はバックライト30は、有用な任意の形状又は外形を有することができる。多くの実施形態において、液晶ディスプレイパネル20及びバックライト30は、正方形又は矩形の形状を有する。しかしながら、いくつかの実施形態においては、液晶ディスプレイパネル20及び/又はバックライト30は、4つを超える辺を有するか、又は曲線形状である。本開示は、任意のバックライト及び関連する液晶ディスプレイパネルを対象とするが、自動立体ディスプレイに特に有用である。
【0022】
同期駆動素子50は、バックライト30の光源32、34及び液晶ディスプレイパネル20に電気的に接続される。同期駆動素子50は、画像フレームが毎秒90フレーム以上の速度で液晶ディスプレイパネル20に供給されるときに、右眼用画像固体光源32及び左眼用画像固体光源34の駆動及び停止(即ち、変調)を同期化して、ちらつきのないビデオ又はレンダリングされたコンピュータグラフィックスを作り出す。画像(例えば、ビデオ又はコンピュータでレンダリングされたグラフィックス)ソース60は、同期駆動素子50に接続され、画像フレーム(例えば、右眼用画像及び左眼用画像)を液晶ディスプレイパネル20に供給する。
【0023】
液晶ディスプレイパネル20は、10ミリ秒未満又は5ミリ秒未満のフレーム応答時間を有する任意の透過型液晶ディスプレイパネルであってもよい。10ミリ秒未満又は5ミリ秒未満のフレーム応答時間を有する市販の透過型液晶ディスプレイパネルには、ハンスター(HannStar)のHSD190ME13(ハンスター・ディスプレイ社(HannStar Display Corporation)、台湾)及び東芝松下ディスプレイ(Toshiba Matsushita Display)(TMD)の光学補償曲げ(OCB:optically compensated bend)モードパネルLTA090A220F(日本、東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社(Toshiba Matsushita Display Technology Co., Ltd.))が挙げられる。
【0024】
バックライト30は、右眼用画像固体光源32と左眼用画像固体光源34との間で少なくとも90ヘルツ、又は100ヘルツ、又は110ヘルツ、又は120ヘルツ、又は120ヘルツを超える速度で変調され得る有用な任意のバックライトであってもよい。例示的なバックライト30は、右眼用画像固体光源32に隣接する第1の光入力面31と、それに対向する、左眼用画像固体光源34に隣接する第2の光入力面33、及び光出力面35を含む。固体光源は、少なくとも90ヘルツの速度で変調され得る有用な任意の固体光源であってもよい。多くの実施形態において、固体光源は例えば、日亜(Nichia)NSSW020B(日本、日亜化学工業株式会社(Nichia Chemical Industries, Ltd.))などの、複数の発光ダイオードである。他の実施形態において、固体光源は、複数のレーザーダイオード又は有機発光ダイオード(即ち、OLED)である。固体光源は、白、赤、青及び/又は緑などのあらゆる可視光波長を放射することができる。バックライトは、光源を対向する両端部に有する光学的に透明な材料でできた単一層、又は各層に望ましい方向に光を優先的に抽出する、層毎に光源を有する光学的に透明な材料でできた2つ(若しくはそれ以上)の層であることができる。
【0025】
両面プリズムフィルム40は、第1の面上にレンズ構造及び対向面上にプリズム構造を有する任意の有用なプリズムであり得る。両面プリズムフィルム40は、視聴者が表示された画像の奥行きを知覚するように、バックライトから液晶ディスプレイパネル20へと正確な角度で光を透過する。有用な両面プリズムフィルムは、米国特許公報第2005/0052750号及び同第2005/0276071号に記載されており、これらは本開示と矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれる。
【0026】
画像ソース60は、例えば、ビデオソース又はコンピュータでレンダリングされたグラフィックソースなどの画像フレーム(例えば、右眼用画像及び左眼用画像)を供給することができる任意の有用な画像ソースであり得る。多くの実施形態において、ビデオソースは、50〜60ヘルツ又はそれ以上の画像フレームを供給することができる。多くの実施形態において、コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースは、100〜120ヘルツ又はそれ以上の画像フレームを供給することができる。
【0027】
コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースは、ゲームコンテンツ、医学用画像(medical imaging)コンテンツ、コンピュータ支援設計コンテンツなどを供給することができる。コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースは、例えば、エヌビディアFX5200(Nvidia FX5200)グラフィックスカード、エヌビディアジーフォース9750 GTX(Nvidia GeForce 9750 GTX)グラフィックスカード、又はノートパソコンなどの携帯型ソリューションにはエヌビディアジーフォースGO 7900 GS(Nvidia GeForce GO 7900 GS)グラフィックスカードなどの、グラフィックス処理ユニットを含むことができる。コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースはまた、例えば、オープンGL(OpenGL)、ディレクトX(DirectX)、又はエヌビディアが所有権を有する3Dステレオドライバーなどの、適切なステレオドライバーソフトウェアを組み込むこともできる。
【0028】
ビデオソースは、ビデオコンテンツを供給することができる。ビデオソースは、例えば、エヌビディアクアドロFX1400(Nvidia Quadro FX1400)グラフィックスカードなどのグラフィックス処理ユニットを含むことができる。ビデオソースはまた、例えば、オープンGL(OpenGL)、ディレクトX(DirectX)、又はエヌビディアの所有物である3Dステレオドライバーなどの、適切なステレオドライバーソフトウェアを組み込むこともできる。
【0029】
同期駆動素子50は、右眼用画像固体光源32及び左眼用画像固体光源34の駆動及び停止(即ち、変調)の同期化を行い、画像フレームを毎秒90フレーム以上の速度で自動立体液晶ディスプレイパネル20に供給して、ちらつきのないビデオ又はレンダリングされたコンピュータグラフィックスを作り出す、有用な任意の駆動素子を含むことができる。同期駆動素子50は、例えば、カスタムの固体光源駆動電子装置と連結したウェスターVP−7(Westar VP-7)ビデオアダプタ(ウェスター・ディスプレイ・テクノロジーズ社(Westar Display Technologies, Inc.)、ミズーリ州セントチャールズ)などの、ビデオインターフェースを含むことができる。
【0030】
図2A及び図2Bは、動作中の例示的な表示装置10の概略側面図である。図2Aでは、左眼用画像固体光源34が点灯しており、右眼用画像固体光源32は点灯していない。この状態で、左眼用固体光源34から放射された光は、バックライト30を通過し、両面プリズムシート40及び液晶パネル20を通過して、視聴者又は観察者の左眼1aに向けられた左眼用画像を供給する。図2Bでは、右眼用画像固体光源32が点灯しており、左眼用画像固体光源34は点灯していない。この状態で、右眼用固体光源32から放射された光は、バックライト30を通過し、両面プリズムシート40及び液晶パネル20を通過して、視聴者又は観察者の右眼1bに向けられた右眼用画像を供給する。
【0031】
毎秒少なくとも45の左眼用画像及び少なくとも45の右眼用画像を視聴者に供給することにより(右眼用画像と左眼用画像を交互に、また、画像は前回の画像ペアの繰り返しである可能性がある)、ちらつきのない3D画像を視聴者に提供する。したがって、光源32及び34の切り換えと同期化して交代することで、コンピュータでレンダリングされた又は上記のように適切に配置された静止画像カメラ若しくはビデオ画像カメラによって得られた右及び左の異なる視点の画像を表示することにより、視聴者は2つの異なる画像を視覚的に融合させることができ、その結果、平面のディスプレイパネルから奥行きの感覚を作り出す。
【0032】
多くの場合、これらのバックライトは、一回の通過では抽出されないいくらかの光を有し、この光の一部が、対向する光入力面に反射する。その結果、この反射された光は、対向する光源から来たかのように見え、あるレベルの背景光を観察者の正しくない方の眼に生成して、立体画像視覚化において左眼用画像と右眼用画像との間のクロストーク、及び観察者にとって質の悪い3Dの視聴経験を作り出す。
【0033】
本明細書に記載されるバックライト30は、反射された光が場合によりその光入力面31、33に向かって戻る前に、反射された光を多数回跳ね返す複数の反射防止機構(以下に説明)を、対向する光入力面31、33上に含む。これらの機構は、光吸収材及び/又は反射防止材(以下に説明)を含み、これはバックライトと一体化されていてもよいし、又はバックライトの各光入力面にフィルムとして適用されてもよく、また規則的でも不規則的でもよく、0.5を超える若しくは1を超える縦横比を有してもよい。これらの反射防止機構は、最初の導光板通過では抽出されない光を低減又は除去することによって、自動立体ディスプレイ上に表示された左眼用画像と右眼用画像との間の視覚的クロストークを低減するのを助け、それによって立体画像の視覚化及び観察者にとっての3Dの視聴経験を改善する。
【0034】
図3は、例示的なバックライト導光板130の概略断面図である。図4A及び図4Bは、例示的なバックライト130の光入力面131、133の概略斜視図である。図5は、例示的なバックライト130の光入力面131、133の概略断面図である。図6は、別の例示的なバックライト130の光入力面131、133の概略断面図である。
【0035】
導光板130は、発光面135、第1の光入力面131、第1の光入力面に対向する第2の光入力面133、及び導光板厚さT値を含む。複数の反射防止機構136、137は、第1の光入力面131及び第2の光入力面133上又はそれらの中に存在する。多くの実施形態では、各反射防止機構136、137は、導光板厚さT値より小さい基部の長さB値及び高さH値を有する(図5及び図6を参照)。いくつかの実施形態では、各反射防止機構136、137は、反射防止層140又は光吸収層140を有する、少なくとも2つの表面S、Sを有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、反射防止機構136、137は、導光板130と一体化して形成(例えば、成型)されたマイクロ複製機構である(図5を参照)。いくつかの実施形態では、反射防止機構136、137は、導光板130上に適用されたフィルムの形態のマイクロ複製機構である(図6を参照)。場合によっては、反射防止機構136、137は、例えば、単一の若しくは複数の層の真空蒸着、単一の若しくは複数の層の有機若しくは無機コーティング、インクジェット付着、スクリーン、グラビア、若しくはその他の印刷プロセスによって付着されてもよいし、又は屈折率整合目的(バックライトからの透過のため)で機械的、化学的、若しくはその他の方法によって粗面化されてもよい。多くの実施形態では、反射防止機構136、137は、導光板130内に戻る前に、反射された光を多数回跳ね返す複数のプリズム構造を含む。複数のプリズム構造(図のように線状に延在するか、又はピラミッド型若しくは立方体型の角部などの分離した構造)は、規則的であっても不規則的であってよい。いくつかの実施形態では、その他(非プリズム構造)の規則的又は不規則的な反射防止機構、例えば、高縦横比の錐体、又は構造体に入る光が導光板に戻る前に二回以上跳ね返さなければならない任意の構造体が使用される。
【0037】
反射防止機構136、137は、いかなる光透過性材料で形成されることもでき、また導光板130を形成するのと同じ又は異なる材料で形成され得る。多くの実施形態では、反射防止機構136、137は、導光板130の屈折率と実質的に類似の又は同じ屈折率を有する。
【0038】
図4Aに示されるように、複数のプリズム反射防止機構137は、発光面135と水平又は平行に配向された、線状に延在するプリズム反射防止機構137であることができる。導光板130の第2の光入力面133のみが示されているが、同じ外形が第1の光入力面131にも当てはまることが理解される。これらの実施形態のいくつかにおいては、光入力開口部138が反射防止機構137の構造体又は配列内の孔又は空隙を画定する。これらの開口部138によって、光源34(図1を参照)の光は、導光板130の光入力面133に入ることができる。多くの実施形態では、反射防止機構137は、各開口部138の2つ以上の側部を取り囲む。
【0039】
図4Bに示されるように、複数のプリズム反射防止機構136は、発光面135に直交又は非平行に配向された、線状に延在するプリズム反射防止機構136であることができる。導光板130の第1の光入力面131のみが示されているが、同じ外形が第2の光入力面133にも当てはまることが理解される。これらの実施形態のいくつかにおいては、光入力開口部138が反射防止機構136の構造体又は配列内の孔又は空隙を画定する。これらの開口部138によって、光源32(図1を参照)の光は、導光板130の光入力面131に入ることができる。多くの実施形態では、反射防止機構136は、各開口部138の2つ以上の側部を取り囲む。
【0040】
反射防止機構136、137は、反射防止層140及び/又は光吸収層140を含む。2つ以上の反射防止機構136、137の表面S、Sは、反射防止層140及び/又は光吸収層140を含む。これらの反射防止機構136、137は、ほとんどの入射光が導光板130本体に戻る前に、それらを多数回跳ね返して、吸収インターフェース140の吸収率を増加させ、それ故に対向する光入力面131、133に向かって反射する光の量を低減する。
【0041】
光吸収層140が使用されるとき、各反射防止機構136、137は、それぞれ対向する光入力面133及び131から透過される光を効率的に吸収する、マルチバウンス光シンクとして機能する。光吸収層140は、例えば、顔料及び染料など、有用な任意の光吸収材料であることができる。多くの実施形態では、光吸収層140は、光吸収顔料又は有色顔料(例えば、黒色顔料など)を含む。
【0042】
反射防止層140が使用されるとき、各反射防止機構136、137は、それぞれ対向する光入力面133及び131から透過された光を導光板130から効率的に透過させる、マルチバウンス光シンクとして機能する反射防止層140は、例えば、二酸化ケイ素など有用な任意の反射防止材料又は材料の層、及び変化する屈折率のポリマーの交互層などであり得る。これらの実施形態では、所望通りに透過された光を吸収するために、次いで光吸収材料を反射防止機構136及び137に隣接して設置することができる。
【0043】
線状に延在する線状プリズム反射防止機構136が、135に直交して(図4B)又は平行に(図4A)示されているが、線状に延在する線状プリズム反射防止機構136は、発光面135に対していかなる角度(0°〜90°)、例えば30°、45°など、に配向されてもよいことが、理解される。線状に延在するこれらのプリズム反射防止機能136は、開口部138が、選択された線状に延在するプリズム反射防止機構136に沿って設置されている図4A及び図4Bに示されるように連続的でなくてもよい。
【0044】
図5は、反射防止機構137が導光板130と一体化して形成された、導光板130を示す。図6は、反射防止機構137が導光板130の光入力面133上にフィルムとして適用された、導光板130を示す。反射防止機構137フィルムは、感圧接着剤(例えば、3M社(ミネソタ州セントポール)から商品名OP1で入手可能なもの)又は構造用接着剤などの有用な任意の光学的又は光透過性接着材料によって、導光板130の光入力面133に接着されてもよい。
【0045】
各反射防止機構136、137は、入射光の光を跳ね返す数を増加させるのに有用な任意の形状を有することができる。多くの実施形態では、複数の反射防止機構136、137は、規則的又は不規則的な任意の外形、例えばピッチP、頂角θ、及び縦横比を有することができる。例えば、複数の反射防止機構136、137は、規則的なピッチP、頂角θ、及び縦横比を有することができ、又は複数の反射防止機構136、137は、所望により、変化するピッチP、変化する頂角θ、及び/又は変化する縦横比を有することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも選択された反射防止機構136、137は、85〜95°、又は50〜85°、又は25〜50°の範囲の頂角θを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも選択された反射防止機構136、137は、10〜10000マイクロメートル、又は50〜1000マイクロメートルの範囲のピッチPを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも選択された反射防止機構136、137は、0.5〜10の範囲、又は0.5以上の縦横比(即ち、高さH/基部B)を有する。いくつかの実施形態では、反射防止機構136、137は、3M社(ミネソタ州セントポール)から商品名ブライトネス・エンハンシング・フィルム(BRIGHTNESS ENHANCING FILM)又はBEF、BEF II、若しくはBEF IIIで市販されるフィルムとして供給され得る。
【0047】
このように、液晶ディスプレイ用バックライトの実施形態が開示される。本発明は、開示されたもの以外の実施形態でも実施可能であることを当業者は理解するであろう。開示された実施形態は、例証の目的で提示されているのであって、制限するものではなく、本発明は、以下に続く請求項によってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6