特許第5778430号(P5778430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778430
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】工作機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20150827BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   G05B19/18 X
   B23Q15/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-3631(P2011-3631)
(22)【出願日】2011年1月12日
(65)【公開番号】特開2012-146109(P2012-146109A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100163027
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 健一
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆之
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲志
(72)【発明者】
【氏名】曽我 崇明
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−271215(JP,A)
【文献】 特開2002−91521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18−19/416
G05B 19/42−19/46
B23Q 15/00−15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具及びワークを相対移動させる送り機構を制御する工作機械の制御装置であって、
NCプログラムを記憶するプログラム記憶部と、
NCプログラムを構成するコードに関するパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、
前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラムをブロック毎に順次解析して、前記送り機構に関する動作指令を抽出するプログラム解析部と、
前記プログラム解析部によって順次抽出される動作指令と、前記パラメータ記憶部に格納されたパラメータとを基に、該動作指令を実行して前記送り機構を制御する実行制御部と、
前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラム、及び前記パラメータ記憶部に格納されたパラメータの内の少なくとも一方を変更するデータ変更部とを備えた工作機械の制御装置において、
前記データ変更部によって変更された変更箇所に関する変更箇所情報が格納される変更箇所情報記憶部
前記送り機構の作動を一時停止させるブロックを示した停止ブロックを記憶する停止ブロック記憶部と、
前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラムと、前記変更箇所情報記憶部に格納された変更箇所情報とを基に、変更箇所に係るブロックの1つ前のブロックを解析して、切削指令に関するブロックであるか否かを確認し、切削指令に関するブロックではないと判断した場合には、該1つ前のブロックを停止ブロックとして前記停止ブロック記憶部に格納する一方、切削指令に関するブロックであると判断した場合には、前記1つ前のブロックよりも更に前のブロックを解析して、切削指令に関するブロックではないブロックであり且つ変更箇所に係るブロックに最も近いブロックを認識し、認識したブロックを停止ブロックとして前記停止ブロック記憶部に格納するブロック解析部とを備え、
前記実行制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を実行するに当たり、該動作指令に係るブロックが停止ブロックであるか否かを、前記停止ブロック記憶部に格納された停止ブロックを基に確認して、停止ブロックであると判断した場合には、該動作指令の実行前又は実行後に前記送り機構の作動を一時停止させる一時停止処理を実行するように構成されていることを特徴とする工作機械の制御装置。
【請求項2】
前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラムに関する履歴情報であって、前記NCプログラム及びパラメータの少なくとも一方の変更後における実行実績の有無についての情報を含んだ履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、
前記実行制御部及びデータ変更部における処理を監視し、変更後における実行実績の無いNCプログラムが前記実行制御部によって実行された場合には、前記履歴情報記憶部に格納された該NCプログラムの実行実績を有りに更新するとともに、前記NCプログラム及びパラメータの内の少なくとも一方が前記データ変更部によって変更された場合には、前記履歴情報記憶部に格納された、対応するNCプログラムの実行実績を無しに更新する履歴情報管理部とを備え、
前記実行制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を実行するに当たり、該実行するNCプログラムが変更後における実行実績の無いNCプログラムであるか否かを、前記履歴情報記憶部に格納された履歴情報を基に確認して、変更後における実行実績の無いNCプログラムであると判断した場合に、前記一時停止処理を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の工作機械の制御装置。
【請求項3】
画面表示手段と、
前記実行制御部により実行中のNCプログラムを前記画面表示手段に表示する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、前記実行制御部により実行中のNCプログラムを表示するに当たり、前記変更箇所情報記憶部に格納された変更箇所情報を基に、変更箇所の表示形式を、それ以外の箇所の表示形式と異ならせて表示するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の工作機械の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具及びワークを相対移動させる送り機構を制御する工作機械の制御装置に関し、更に詳しくは、NCプログラムやパラメータを編集可能に構成された工作機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の制御装置として、従来、例えば、特開平7−227739号公報に開示されたものが知られている。この制御装置は、NCプログラムを記憶するプログラム記憶部と、プログラム記憶部に格納されたNCプログラムの実行時に、NCプログラムで指令された送り速度や主軸回転速度を変更するためのオーバーライドスイッチと、オーバーライドスイッチのオーバーライド値を記憶するオーバーライド値記憶部と、オーバーライド値記憶部に格納されたオーバーライド値を基に、プログラム記憶部に格納されたNCプログラムを編集して、このNCプログラムで指令された送り速度や主軸回転速度を、オーバーライド値に応じた送り速度や主軸回転速度に変更する編集部とを備える。
【0003】
そして、この制御装置では、NCプログラムの実行時にオーバーライドスイッチが操作されると、そのときのオーバーライド値がオーバーライド値記憶部に格納され、NCプログラムの指令値(送り速度や主軸回転速度)がオーバーライド値に応じた指令値に変更される。
【0004】
また、この他、オペレータがデータを直接入力して、送り速度,主軸回転速度及び移動位置といった指令値やコードを変更したり、工具オフセット量及びワーク原点オフセット量といったパラメータを変更する編集機能を備えた制御装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−227739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の制御装置では、例えば、指令値やパラメータ、コードを変更したときに、変更ミスによって、間違った値や不適切な値に変更されたり、間違ったコードに変更される恐れがあり、そして、変更ミスのあるNCプログラムが実行されると、工具がワークや工作機械構造体と干渉するという問題を生じたり、ワークの加工精度が低下するという問題を生じる。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、指令値やパラメータ、コードを変更したNCプログラムを実行する場合に、安全に且つ加工精度を低下させることなく、ワークを加工することができる工作機械の制御装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、
工具及びワークを相対移動させる送り機構を制御する工作機械の制御装置であって、
NCプログラムを記憶するプログラム記憶部と、
NCプログラムを構成するコードに関するパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、
前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラムをブロック毎に順次解析して、前記送り機構に関する動作指令を抽出するプログラム解析部と、
前記プログラム解析部によって順次抽出される動作指令と、前記パラメータ記憶部に格納されたパラメータとを基に、該動作指令を実行して前記送り機構を制御する実行制御部と、
前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラム、及び前記パラメータ記憶部に格納されたパラメータの内の少なくとも一方を変更するデータ変更部とを備えた工作機械の制御装置において、
前記データ変更部によって変更された変更箇所に関する変更箇所情報が格納される変更箇所情報記憶部を備え、
前記実行制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を実行するに当たり、該動作指令に係るブロックが変更箇所に係るブロックの1つ前のブロックであるか否かを、前記変更箇所情報記憶部に格納された変更箇所情報を基に確認して、1つ前のブロックであると判断した場合には、該動作指令の実行前又は実行後に前記送り機構の作動を一時停止させるように構成された工作機械の制御装置に係る。
【0009】
この制御装置によれば、プログラム記憶部に格納されたNCプログラムや、パラメータ記憶部に格納されたパラメータが、データ変更部によって変更されると、その変更箇所に関する変更箇所情報が変更箇所情報記憶部に格納される。尚、前記パラメータとしては、例えば、工具長補正,工具径補正,工具位置補正及び工具摩耗補正に用いられるオフセット量(工具オフセット量)やワーク原点オフセット量などが挙げられる。
【0010】
この後、プログラム記憶部に格納されたNCプログラムが実行されると、プログラム解析部により、このNCプログラムがブロック毎に順次解析されて、送り機構に関する動作指令が抽出され、抽出された動作指令と、パラメータ記憶部に格納されたパラメータとを基に、実行制御部により、当該動作指令が順次実行されて送り機構が制御される。
【0011】
このとき、実行制御部においては、抽出された動作指令が実行される際に、当該動作指令に係るブロックが変更箇所に係るブロックの1つ前のブロックであるか否かが、変更箇所情報記憶部に格納された変更箇所情報を基に確認され、1つ前のブロックである場合には、当該動作指令の実行前又は実行後に送り機構の作動が一時停止せしめられる。
【0012】
尚、一時停止後、再度、送り機構を動作させる態様としては、オペレータによって入力される加工再開信号を実行制御部が受信してから加工を再開する態様を、一例として挙げることができる。
【0013】
斯くして、この制御装置によれば、NCプログラムやパラメータが変更された場合には、その変更箇所に係るブロックより1つ前のブロックに係る動作指令の実行前又は実行後に送り機構の作動が一時停止するので、変更箇所の確認をオペレータに促すことができる。これにより、指令値やパラメータ、コードを変更した際に、変更ミスによって、間違った値や不適切な値に変更したり、間違ったコードに変更していたとしても、そのことをオペレータに気付かせることができる。したがって、工具がワークや工作機械構造体と干渉したり、ワークの加工精度が低下するといった問題が生じるのを防止することができる。
【0014】
また、本発明において、前記制御装置は、前記送り機構の作動を一時停止させるブロックを示した停止ブロックを記憶する停止ブロック記憶部と、前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラムと、前記変更箇所情報記憶部に格納された変更箇所情報とを基に、変更箇所に係るブロックの1つ前のブロックを解析して、切削指令に関するブロックであるか否かを確認し、切削指令に関するブロックではないと判断した場合には、該1つ前のブロックを停止ブロックとして前記停止ブロック記憶部に格納する一方、切削指令に関するブロックであると判断した場合には、前記1つ前のブロックよりも更に前のブロックを解析して、切削指令に関するブロックではないブロックであり且つ変更箇所に係るブロックに最も近いブロックを認識し、認識したブロックを停止ブロックとして前記停止ブロック記憶部に格納するブロック解析部とを備え、前記実行制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を実行するに当たり、該動作指令に係るブロックが停止ブロックであるか否かを、前記停止ブロック記憶部に格納された停止ブロックを基に確認して、停止ブロックであると判断した場合には、該動作指令の実行前又は実行後に前記送り機構の作動を一時停止させる一時停止処理を実行するように構成され
【0015】
かかる構成の制御装置によれば、変更箇所情報が変更箇所情報記憶部に格納されると、この変更箇所情報と、プログラム記憶部に格納されたNCプログラムとを基に、ブロック解析部により、変更箇所に係るブロックの1つ前のブロックが解析されて、切削指令に関するブロックであるか否かが確認され、切削指令に関するブロックではないときには、当該1つ前のブロックが停止ブロックとして停止ブロック記憶部に格納される一方、切削指令に関するブロックであるときには、1つ前のブロックよりも更に前のブロックが解析されて、切削指令に関するブロックではないブロックであり且つ変更箇所に係るブロックに最も近いブロックが認識され、認識されたブロックが停止ブロックとして停止ブロック記憶部に格納される。
【0016】
そして、実行制御部では、抽出された動作指令が実行される際、当該動作指令に係るブロックが停止ブロックであるか否かが、停止ブロック記憶部に格納された停止ブロックを基に確認され、停止ブロックである場合には、当該動作指令の実行前又は実行後に送り機構の作動が一時停止せしめられる。
【0017】
このように、切削指令に関するブロック以外のブロックが停止ブロックとして設定されるので、切削途中で工具及びワークの相対移動が一時停止するのを防止することができ、切削途中における工具及びワークの移動停止によりワークの加工精度が低下するのを防止することができる。
【0018】
また、本発明において、前記制御装置は、前記プログラム記憶部に格納されたNCプログラムに関する履歴情報であって、前記NCプログラム及びパラメータの少なくとも一方の変更後における実行実績の有無についての情報を含んだ履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、前記実行制御部及びデータ変更部における処理を監視し、変更後における実行実績の無いNCプログラムが前記実行制御部によって実行された場合には、前記履歴情報記憶部に格納された該NCプログラムの実行実績を有りに更新するとともに、前記NCプログラム及びパラメータの内の少なくとも一方が前記データ変更部によって変更された場合には、前記履歴情報記憶部に格納された、対応するNCプログラムの実行実績を無しに更新する履歴情報管理部とを備え、前記実行制御部は、前記プログラム解析部によって抽出された動作指令を実行するに当たり、該実行するNCプログラムが変更後における実行実績の無いNCプログラムであるか否かを、前記履歴情報記憶部に格納された履歴情報を基に確認して、変更後における実行実績の無いNCプログラムであると判断した場合に、前記所定のブロックに係る動作指令の実行前又は実行後に前記送り機構の作動を一時停止させるように構成されていても良い。
【0019】
この場合、変更後における実行実績の無いNCプログラムが実行制御部によって実行されると、履歴情報管理部により、履歴情報記憶部に格納された当該NCプログラムの実行実績が有りに更新され、NCプログラム及びパラメータの内の少なくとも一方がデータ変更部によって変更されると、履歴情報管理部により、履歴情報記憶部に格納された、対応するNCプログラムの実行実績が無しに更新される。
【0020】
また、実行制御部では、抽出された動作指令が実行される際、その実行NCプログラムが変更後における実行実績の無いNCプログラムであるか否かが、履歴情報記憶部に格納された履歴情報を基に確認され、変更後における実行実績の無いNCプログラムであるときに、前記所定のブロックに係る動作指令の実行前又は実行後に送り機構の作動が一時停止せしめられる。
【0021】
このように、NCプログラムやパラメータの変更後、最初の実行時にのみ変更箇所に係るブロックの直前で加工を一時停止させ、2回目以降の実行時には一時停止させないようにすることができるので、毎回、変更箇所に係るブロックの直前で加工が一時停止し、ワークの加工が非効率となるのを防止することができる。
【0022】
また、前記制御装置は、画面表示手段と、前記実行制御部により実行中のNCプログラムを前記画面表示手段に表示する表示制御部とを備え、前記表示制御部は、前記実行制御部により実行中のNCプログラムを表示するに当たり、前記変更箇所情報記憶部に格納された変更箇所情報を基に、変更箇所の表示形式を、それ以外の箇所の表示形式と異ならせて表示するように構成されていても良い。
【0023】
この場合、実行制御部により実行中のNCプログラムが表示制御部によって画面表示手段に表示される際、変更箇所情報記憶部に格納された変更箇所情報を基に、変更箇所の表示形式が、それ以外の箇所の表示形式と異なるように表示されるので、オペレータは変更箇所を容易に認識することができる。尚、異なる表示形式としては、例えば、変更箇所に係るブロックを点滅させたり、表示色を異ならせたり、反転表示させることなどが挙げられる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る工作機械の制御装置によれば、NCプログラムやパラメータが変更されたときには、その変更箇所に係るブロックの直前で送り機構の作動を一時停止させ、オペレータに注意させるようにしたので、安全に且つ加工精度を低下させることなく、ワークを加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械の制御装置などの概略構成を示したブロック図である。
図2】NCプログラムの変更例を示した説明図である。
図3】パラメータの変更例を示した説明図である。
図4】本実施形態のブロック解析部における一連の処理を示したフローチャートである。
図5】本実施形態の履歴情報記憶部に格納された履歴情報を示すデータテーブルである。
図6】本実施形態の実行制御部における一連の処理を示したフローチャートである。
図7】本実施形態の実行制御部における一連の処理を示したフローチャートである。
図8】本実施形態の表示制御部によって表示される表示画面の一部を示した説明図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る工作機械の制御装置などの概略構成を示したブロック図である。
図10】本発明の他の実施形態の実行制御部における一連の処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。
【0027】
図1に示すように、本例の制御装置1は、プログラム記憶部11,パラメータ記憶部12,プログラム編集部13,パラメータ編集部14,変更箇所情報記憶部15,プログラム解析部16,ブロック解析部17,停止ブロック記憶部18,履歴情報記憶部19,履歴情報管理部20,実行制御部21,表示制御部22,画面表示装置23及び入力装置(図示せず)などを備えており、X軸,Y軸及びZ軸の直交3軸方向に工具及びワークを相対移動させる送り機構6と、工具若しくはワークを保持し、保持した工具若しくはワークを主軸モータ7により軸中心に回転させる主軸装置などから構成される工作機械5に設けられている。
【0028】
前記プログラム記憶部11には、NCプログラムが格納され、前記パラメータ記憶部12には、NCプログラムを構成するコードに関するパラメータが格納される。尚、このパラメータの具体例としては、例えば、工具長補正,工具径補正,工具位置補正及び工具摩耗補正に用いられるオフセット量(工具オフセット量)やワーク原点オフセット量などが挙げられる。
【0029】
前記プログラム編集部(データ変更部)13は、入力装置(図示せず)から入力されるデータを基に、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムを変更する。具体的には、送り速度,主軸回転速度及び移動位置といった指令値や、コードを変更する。図2に示した例では、15ブロック、17ブロック及び19ブロックのX軸方向における指令位置が−95から−96に変更されている。
【0030】
前記パラメータ編集部(データ変更部)14は、入力装置(図示せず)から入力されるデータを基に、パラメータ記憶部12に格納されたパラメータを変更する。図3に示した例では、13ブロックの工具長補正に関するパラメータについて、形状に関する項目の値が10.500から10.200に変更され、摩耗に関する項目の値が1.230から1.120に変更されている。
【0031】
前記変更箇所情報記憶部15には、プログラム編集部13によって変更されたNCプログラムの変更箇所や、パラメータ編集部14によって変更されたパラメータの変更箇所に関する変更箇所情報が格納される。この変更箇所情報には、例えば、変更箇所に係るブロックや、変更前及び変更後のデータなどに関する情報が含まれる。また、パラメータの場合、変更箇所に係るブロックとは、例えば、変更後のパラメータを参照するコード(指令)が含まれたブロックのことである。
【0032】
前記プログラム解析部16は、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムをブロック毎に順次解析して、送り機構6や主軸モータ7に関する動作指令を抽出する。送り機構6に関する動作指令としては、工具及びワークの送り速度、工具の移動位置、ワークの移動位置についての指令が挙げられ、主軸モータ7に関する動作指令としては、主軸の回転速度、主軸の回転開始、主軸の回転停止についての指令が挙げられる。
【0033】
前記ブロック解析部17は、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムと、変更箇所情報記憶部15に格納された変更箇所情報とを基に、変更箇所に係るブロックよりも前のブロックを解析して、送り機構6及び主軸モータ7の作動を一時停止させるブロックたる停止ブロックを認識し、認識した停止ブロックを前記停止ブロック記憶部18に格納する。尚、停止ブロック記憶部18には、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムであって、プログラム編集部13やパラメータ編集部14による変更箇所を有するNCプログラムについて、前記停止ブロックが格納されている。
【0034】
具体的には、ブロック解析部17は、図4に示すような一連の処理を実行するようになっており、まず、プログラム記憶部11に格納された変更後のNCプログラムを認識するとともに(ステップS1)、変更箇所情報記憶部15に格納された変更箇所情報を認識し(ステップS2)、変更箇所に係るブロックの1つ前のブロックを停止ブロックに設定する(ステップS3)。例えば、図2に示した例では、14ブロック、16ブロック及び18ブロックが停止ブロックに設定され、図3に示した例では、12ブロックが停止ブロックに設定される。
【0035】
この後、設定した停止ブロックを解析して、この停止ブロックが切削指令に関するブロックであるか否かを確認する(ステップS4)。切削指令に関するブロックであるか否かは、切削コードが有効になっているブロックであるか否かで判断することができる。
【0036】
そして、切削指令に関するブロックであると判断した場合には、前記ステップS3で設定した停止ブロックの1つ前のブロックを停止ブロックとして再設定し(ステップS5)、再設定した停止ブロックを更に解析して、この停止ブロックが切削指令に関するブロックであるか否かを確認する(ステップS4)。このようにして、切削指令に関するブロックではない停止ブロックが見つかるまで前記ステップS4及びS5の処理を繰り返す。図2に示した例では、14ブロック及び18ブロックが切削指令に関するブロックであるため、切削指令に関するブロックではない停止ブロックとして13ブロック及び17ブロックが認識される。
【0037】
そして、切削指令に関するブロックではない停止ブロックを認識すると(ステップS4)、前記ステップS3で設定した停止ブロック、又は前記ステップS5で再設定した停止ブロックを前記停止ブロック記憶部18に格納して(ステップS6)、上記一連の処理を終了する。図2に示した例では、停止ブロックとして13ブロック、16ブロック及び17ブロックが停止ブロック記憶部18に格納され、図3に示した例では、停止ブロックとして12ブロックが停止ブロック記憶部18に格納される。
【0038】
前記履歴情報記憶部19には、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムに関する履歴情報が格納される。この履歴情報は、図5に示すように、プログラム名、NCプログラム及びパラメータの少なくとも一方が変更されたか否か(変更箇所が有るか否か)、NCプログラム及びパラメータの少なくとも一方が変更された場合にはその変更後における実行実績の有無についての情報を含み、これらが相互に関連付けられている。尚、前記プログラム名は、図5のようにプログラム番号であっても、それ以外のファイル名であっても良い。
【0039】
前記履歴情報管理部20は、前記プログラム編集部13,パラメータ編集部14及び実行制御部21における処理を監視し、変更後における実行実績の無いNCプログラムの全ブロックが実行制御部21によって実行されると、履歴情報記憶部19に格納された当該NCプログラムの実行実績を有りに更新し、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムがプログラム編集部13によって変更されたり、パラメータ記憶部12に格納されたパラメータがパラメータ編集部14によって変更されると、履歴情報記憶部19に格納された、対応するNCプログラムの実行実績を無しに更新する。また、履歴情報管理部20は、プログラム記憶部11に新たなNCプログラムが格納されると、当該NCプログラムについての履歴情報を生成して履歴情報記憶部19に格納するようになっている。
【0040】
前記実行制御部21は、プログラム解析部16によって順次抽出される動作指令と、パラメータ記憶部12に格納されたパラメータと、停止ブロック記憶部18に格納された停止ブロックとを基に、当該動作指令を実行して送り機構6及び主軸モータ7を制御する。
【0041】
具体的には、実行制御部21は、図6及び図7に示すような一連の処理を実行するようになっており、まず、履歴情報記憶部19に格納された履歴情報を認識して(ステップS11)、認識した履歴情報を基に、実行するNCプログラムに変更箇所が有るか否かを確認し(ステップS12)、変更箇所が有ると判断した場合(例えば、図5のプログラム名O0001,O0003及びO0004の場合)には、実行するNCプログラムが変更後における実行実績の有るNCプログラムであるか否かを更に確認する(ステップS13)。
【0042】
そして、実行実績が有ると判断した場合(例えば、図5のプログラム名O0001及びO0004の場合)、及び前記ステップS12で変更箇所が無いと判断した場合(例えば、図5のプログラム名O0002及びO0005の場合)には、カウンタnをn=1に設定し(ステップS14)、n番目のブロックの動作指令をプログラム解析部16から受信して(ステップS15)、受信した動作指令を実行する(ステップS16)。この後、NCプログラムの全ブロックについて動作指令を実行したか否かを確認し(ステップS17)、カウンタnを更新しつつNCプログラムの全ブロックについて動作指令を実行した後(ステップS17,S18)、上記一連の処理を終了する。
【0043】
一方、前記ステップS13で実行実績が無いと判断した場合(例えば、図5のプログラム名O0003の場合)には、停止ブロック記憶部18に格納された停止ブロックを認識した後(ステップS19)、カウンタnをn=1に設定し(ステップS20)、n番目のブロックの動作指令をプログラム解析部16から受信して(ステップS21)、前記認識した停止ブロックを基に、n番目のブロックが停止ブロックであるか否かを確認する(ステップS22)。
【0044】
そして、停止ブロックであると判断した場合には、前記受信した動作指令を実行した後(ステップS23)、停止指令を出力して送り機構6及び主軸モータ7の作動を一時停止させる(ステップS24)。例えば、図2に示した例では、13ブロック、16ブロック及び17ブロックの動作指令の実行後に送り機構6及び主軸モータ7の作動が一時停止せしめられ、図3に示した例では、12ブロックの動作指令の実行後に送り機構6及び主軸モータ7の作動が一時停止せしめられる。
【0045】
この後、オペレータによって入力装置(図示せず)から加工再開信号が入力され、これを受信すると(ステップS25)、ステップS27の処理に進む。一方、前記ステップS22で停止ブロックではないと判断した場合には、前記受信した動作指令を実行して(ステップS26)、ステップS27の処理に進む。
【0046】
そして、前記ステップS27では、NCプログラムの全ブロックについて動作指令を実行したか否かを確認し、カウンタnを更新しつつNCプログラムの全ブロックについて動作指令を実行した後(ステップS27,S28)、上記一連の処理を終了する。
【0047】
前記表示制御部22は、実行制御部21により実行中のNCプログラムを前記画面表示装置23に表示する。また、表示制御部22は、NCプログラムを表示するに当たり、変更箇所情報記憶部15に格納された変更箇所情報を基に、変更箇所の表示形式を、それ以外の箇所の表示形式と異ならせて表示する。
【0048】
ここで、図2に示したNCプログラムの場合を一例に説明すると、例えば、図8に示すように、変更箇所に係るブロックである15ブロック、17ブロック及び19ブロックの表示を点滅させる。この他、15ブロック、17ブロック及び19ブロックの表示色を異ならせたり、15ブロック、17ブロック及び19ブロックを反転表示させるようにしても良い。
【0049】
以上のように構成された本例の制御装置1によれば、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムがプログラム編集部13により変更されたり、パラメータ記憶部12に格納されたパラメータがパラメータ編集部14により変更されると、その変更箇所に関する変更箇所情報が変更箇所情報記憶部15に格納されるとともに、履歴情報管理部20により、履歴情報記憶部19に格納された、対応するNCプログラムの実行実績が無しに更新される。
【0050】
また、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムと、変更箇所情報記憶部15に格納された変更箇所情報とを基に、ブロック解析部17によって変更箇所に係るブロックよりも前のブロックが解析され、切削指令に関するブロックではないブロックであって変更箇所に係るブロックに最も近いブロックが停止ブロックとして停止ブロック記憶部18に格納される。
【0051】
この後、プログラム記憶部11に格納されたNCプログラムがプログラム解析部16によりブロック毎に順次解析されて、送り機構6や主軸モータ7に関する動作指令が抽出され、抽出された動作指令と、パラメータ記憶部12に格納されたパラメータとを基に、実行制御部21によって当該動作指令が順次実行されて送り機構6や主軸モータ7が制御される。
【0052】
その際、実行制御部21では、まず、履歴情報記憶部19に格納された履歴情報を基に、その実行NCプログラムが変更後における実行実績の無いNCプログラムであるか否かが確認され、変更後における実行実績の無いNCプログラムであるときには、停止ブロック記憶部18に格納された停止ブロックに係る動作指令の実行後に、送り機構6及び主軸モータ7の作動が一時停止せしめられる一方、変更箇所が無いときや、変更箇所が有っても変更後における実行実績の有るNCプログラムであるときには、送り機構6及び主軸モータ7の作動が一時停止せしめられることなく、動作指令が順次実行される。
【0053】
また、実行制御部21により実行中のNCプログラムは、表示制御部22によって画面表示装置23に表示されるが、変更箇所情報記憶部15に格納された変更箇所情報を基に認識される変更箇所については、その表示形式が、それ以外の箇所の表示形式と異なるように表示される。
【0054】
尚、実行制御部21によって変更後における実行実績の無いNCプログラムの全ブロックが実行されると、履歴情報管理部20により、履歴情報記憶部19に格納された当該NCプログラムの実行実績が有りに更新される。
【0055】
このように、本例の制御装置1によれば、NCプログラムやパラメータが変更された場合には、その変更箇所に係るブロックよりも1つ前のブロックに係る動作指令の実行後に送り機構6及び主軸モータ7の作動が一時停止するので、変更箇所の確認をオペレータに促すことができる。これにより、指令値やパラメータ、コードを変更した際に、変更ミスによって、間違った値や不適切な値に変更したり、間違ったコードに変更していたとしても、そのことをオペレータに気付かせることができる。したがって、工具がワークや工作機械構造体と干渉したり、ワークの加工精度が低下するといった問題が生じるのを防止することができる。
【0056】
また、変更箇所に係るブロックより1つ前のブロックが切削指令に関するブロックであるときには、切削指令に関するブロックではないブロックであって変更箇所に係るブロックに最も近いブロックの実行後に送り機構6及び主軸モータ7の作動が一時停止するので、切削途中で工具及びワークの相対移動や主軸の回転が一時停止するのを防止することができ、切削途中における工具及びワークの移動停止や主軸の回転停止によりワークの加工精度が低下するのを防止することができる。
【0057】
また、実行制御部21によって変更後における実行実績の無いNCプログラムの全ブロックが実行されると、履歴情報管理部20により、履歴情報記憶部19に格納された当該NCプログラムの実行実績が有りに更新されるので、NCプログラムやパラメータの変更後、最初の実行時にのみ変更箇所に係るブロックの直前で加工を一時停止させ、2回目以降の実行時には一時停止させないようにすることができ、毎回、変更箇所に係るブロックの直前で加工が一時停止し、ワークの加工が非効率となるのを防止することができる。この他、NCプログラムの全ブロックが実行された後に実行実績が更新されるので、NCプログラムの実行が途中で中断された場合にまで実行実績が更新され、すべての変更箇所が実行されないまま実行実績が更新されるのを防止することもできる。
【0058】
更に、実行制御部21により実行中のNCプログラムが表示制御部22によって画面表示装置23に表示される際、変更箇所情報記憶部15に格納された変更箇所情報を基に、変更箇所の表示形式が、それ以外の箇所の表示形式と異なるように表示されるので、オペレータは変更箇所を容易に認識することができる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0060】
例えば、図1の制御装置1におけるブロック解析部17及び停止ブロック記憶部18は、これらを省略することができ、これらを省略した制御装置2は、図9に示すように、プログラム記憶部11,パラメータ記憶部12,プログラム編集部13,パラメータ編集部14,変更箇所情報記憶部15,プログラム解析部16,履歴情報記憶部19,履歴情報管理部20,実行制御部21’,表示制御部22,画面表示装置23及び入力装置(図示せず)を備え、前記制御装置1とは、ブロック解析部17及び停止ブロック記憶部18が省略されている点、実行制御部21に代えて実行制御部21’が設けられている点で相違している。
【0061】
前記実行制御部21’は、プログラム解析部16によって順次抽出される動作指令と、パラメータ記憶部12に格納されたパラメータと、変更箇所情報記憶部15に格納された変更箇所情報とを基に、当該動作指令を実行して送り機構6及び主軸モータ7を制御する。
【0062】
具体的には、実行制御部21’は、図6及び図10に示すような一連の処理を実行するが、前記ステップS11〜ステップS18については前記実行制御部21と同様の処理を行うため、ここでは、これらの説明については省略し、ステップS31以降の処理について説明する。
【0063】
即ち、実行制御部21’は、前記ステップS13で実行実績が無いと判断すると、変更箇所情報記憶部15に格納された変更箇所情報を認識した後(ステップS31)、カウンタnをn=1に設定し(ステップS32)、n番目のブロックの動作指令をプログラム解析部16から受信して(ステップS33)、前記認識した変更箇所情報を基に、n番目のブロックが変更箇所に係るブロックの1つ前のブロックであるか否かを確認する(ステップS34)。例えば、図2に示した例では、n番目のブロックが14ブロック、16ブロック及び18ブロックに該当するか否かが確認され、図3に示した例では、n番目のブロックが12ブロックに該当するか否かが確認される。
【0064】
そして、1つ前のブロックであると判断した場合には、前記受信した動作指令を実行した後(ステップS35)、停止指令を出力して送り機構6及び主軸モータ7の作動を一時停止させ(ステップS36)、この後、オペレータによって入力装置(図示せず)から入力される加工再開信号を受信すると(ステップS37)、ステップS39の処理に進む。一方、前記ステップS34で1つ前のブロックではないと判断した場合には、前記受信した動作指令を実行して(ステップS38)、ステップS39の処理に進む。
【0065】
そして、前記ステップS39では、NCプログラムの全ブロックについて動作指令を実行したか否かを確認し、カウンタnを更新しつつNCプログラムの全ブロックについて動作指令を実行した後(ステップS39,S40)、上記一連の処理を終了する。
【0066】
このように制御装置2を構成しても、NCプログラムやパラメータの変更箇所に係るブロックよりも1つ前のブロックに係る動作指令の実行後に送り機構6及び主軸モータ7の作動が一時停止するので、上記制御装置1と同様の効果を得ることができる。
【0067】
また、前記制御装置1,2では、所定のブロックに係る動作指令の実行後に送り機構6及び主軸モータ7の作動を一時停止させるようにしたが、これに限られるものではなく、所定のブロックに係る動作指令の実行前に送り機構6及び主軸モータ7の作動を一時停止させ、前記加工再開信号を受信した後、加工を再開して、当該所定のブロックに係る動作指令を実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 工作機械の制御装置
5 工作機械
6 送り機構
11 プログラム記憶部
12 パラメータ記憶部
13 プログラム編集部
14 パラメータ編集部
15 変更箇所情報記憶部
16 ブロック解析部
17 停止ブロック記憶部
21 実行制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10