(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778434
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】羊羹状栄養食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 1/30 20060101AFI20150827BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20150827BHJP
A23G 3/48 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
A23L1/30 B
A23G3/00 107
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-11497(P2011-11497)
(22)【出願日】2011年1月24日
(65)【公開番号】特開2012-152110(P2012-152110A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】511020634
【氏名又は名称】増子 正敏
(74)【代理人】
【識別番号】100098969
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 正行
(72)【発明者】
【氏名】増子 正敏
【審査官】
伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−042696(JP,A)
【文献】
特開平07−298835(JP,A)
【文献】
特開2001−057849(JP,A)
【文献】
高地taiyo特産、高知県名産 土佐文旦ようかん(土佐の和菓子羊羹),掲載日不明、2015.1.9検索、インターネット,URL,http://taiyo-tokusan.com/?pid=12911279
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 3/00−3/32
A23L 1/29−1/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量基準で、
文旦の皮1000部に1.4〜1.6倍の水を加えて圧力釜で沸騰させることにより、皮を軟化させる工程と、
圧力釜内で軟化した皮を掬いだし、必要により適量の水を加えて粉砕することにより、皮を泥状化させる工程と、
泥状化した皮に、こしあん200〜500部、三温糖及び黒砂糖を、三温糖:黒砂糖=10:4〜6の配分比で且つ合計量1300部以上含む糖類1300〜2000部、並びに水80〜140部に溶かした粉末寒天20〜70部を混合し、加熱しながら撹拌する工程と、
混合物を型に流し、固まるまで放置する工程と
を備えることを特徴とする羊羹状栄養食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、柑橘類、好ましくは苦味のある文旦の皮を多量に含む羊羹状栄養食品
の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
文旦などの苦味のある柑橘類は、その苦味の故に爽快さが有り、これに砂糖の甘みを組み合わせた文旦羊羹などの菓子類は美味である(非特許文献1、2)。しかも文旦にはギャバ、オーラプテン、ビタミンなどの栄養が含まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】高知taiyo特産、[online]、[平成22年12月22日検索]、インターネット<http://taiyo-tokusan.com/?pid=12911279>
【非特許文献2】JAとさし、[online]、[平成22年12月22日検索]、インターネット<http://www.jatosashi.or.jp/genki/recipe.php?id=31>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の文旦羊羹は、多量の水及び寒天の中に少量の文旦汁、文旦果実及び場合により文旦皮が含まれているに過ぎない。従って、栄養補給を目的として多量に食すると、糖分を摂取しすぎることとなり、かえって健康を害する。また、文旦は皮部が特に苦いので、ほとんどの皮はオーラプテンが多く含まれているにも関わらず食されることなく捨てられる。かといって、水や寒天の量に比して文旦皮を多量に入れると、成形が困難であった。
それ故、この発明の課題は、水や寒天の量に比して文旦などの柑橘類の皮を多量に含む栄養価の高い美味しい食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その課題を解決するために、この発明の羊羹状栄養食品は、
重量基準で、
柑橘類の皮1000部と、
豆類を漉して得られるこしあん200〜500部と、
少なくとも三温糖及び黒砂糖を、三温糖:黒砂糖=10:4〜6の配分比で且つ合計量1300部以上含み、必要により白砂糖及び/又は中双糖700部以下を含んでも良い糖類1300〜2000部と、
寒天20〜70部と、
寒天の5倍〜30倍の水と
を備えることを特徴とする。
【0006】
寒天が20部未満であると固まりにくく、70部を超えると全体が硬すぎて食べにくい。水の量が寒天の5倍未満であると成形しにくく、30倍を超えると、相対的に皮の量が減り、苦味及び栄養価が低下する。こしあん及び糖類の量は、上記の範囲とすることで皮に苦味と適合した甘味となる。
【0007】
この羊羹状栄養食品には、柑橘類、好ましくは文旦の皮が水や寒天に比して多量に含まれているので、ギャバ、オーラプテン、又はビタミンなどの栄養も多量に含まれている。
前記こしあんの含有量は砂糖を含まず豆類単独の量を示す。従って、こしあんとして市販のものを用いる場合は、前記の範囲よりも多めに含有させるとともに、糖類の含有量が仕入れ時よりこしあんに含まれている量と三温糖などの追加量との合計で前記範囲となるように調整する。
糖類としてミネラルが豊富である一方、糖分の低い三温糖及び黒砂糖を必須としているため、甘さの割に健康的である。
この羊羹状栄養食品には更に、好みにより各々150部以下のココア、蜂蜜及び柚子絞り汁のうち一種以上を備えていてもよい。
【0008】
この発明の羊羹状栄養食品を製造する適切な方法は、
重量基準で、
柑橘類の皮1000部に1.4〜1.6倍の水を加えて圧力釜で沸騰させることにより、皮を軟化させる工程と、
圧力釜内で軟化した皮を掬いだし、必要により適量の水を加えて粉砕することにより、皮を泥状化させる工程と、
泥状化した皮に、こしあん200〜500部、三温糖及び黒砂糖を、三温糖:黒砂糖=10:4〜6の配分比で且つ合計量1300部以上含む糖類1300〜2000部、並びに水80〜140部に溶かした粉末寒天20〜70部を混合し、加熱しながら撹拌する工程と、
混合物を型に流し、固まるまで放置する工程と
を備えることを特徴とする。
ここで、「必要により適量の水」とは、軟化した皮を粉砕できる程度であればよく、水を加えなくても粉砕できれば不要である。このときの水は、圧力釜に残っているものを用いても良い。
【0009】
この方法によれば、皮を泥状化させた後に他の原料を加えているので、成形しやすい。また、皮に含まれるペクチンなどの水溶性植物繊維が絡み合うので、少量の水と寒天であっても固化する。原料の皮は、冷凍して長期的に保存されたものでも適用可能である。この場合、皮内の水分量が新鮮皮に比べて30%程度減っているので、その分水を補充すると新鮮皮と同様に使用することができる。
【発明の効果】
【0010】
水や寒天の量に比して文旦などの柑橘類の皮を多量に含むので、栄養価が高く、しかも十分な苦味があって美味しい。また、植物繊維を多く含むので便秘が解消される。このため老若男女を問わず楽しみながら栄養を補給するとともに、健康を維持することができる。更にまた、通常捨てられる皮が主原料であるから、コストが低いうえ、天然資源の有効利用にもなる。
【実施例】
【0011】
[実施例1]
文旦の新鮮な皮1000gに水1500ccを加え圧力釜で沸騰させながら、20分間保持した。釜が冷めたら文旦皮のみ掬い出した。文旦皮は水分を含んで1300gに増量していた。増量前の文旦皮100部に対して新たに重量割合20部の水を加えミキサーで泥状とし、非圧力鍋に移した。
【0012】
更に、三温糖1000g、黒砂糖500g、市販こしあん500g(白砂糖含有量は250〜300g程度と推定される。)、ココア50g及び食塩4gを加えた。
別途、水120ccに粉寒天24gを溶かし、固化しないうちに前記非圧力鍋に投入し、撹拌しながら中火で20分加熱した。
その後、直方体状の型に流し、室温放置すると固化し、羊羹状栄養食品が得られた。
男女混合10名の大人にモニターとして食してもらったところ、全員が「羊羹よりもやや柔らかくて食べやすく、また苦味があって美味しい。」と評価した。
【0013】
[実施例2]
実施例1と同様に文旦皮を泥状化し、非圧力鍋に移した。更に、更に、三温糖1000g、黒砂糖500g、中双糖500g、市販こしあん500g(白砂糖含有量は250〜300g程度と推定される。)、ココア50g、蜂蜜100g及び食塩5gを加えた。実施例1と同様に水に溶かした寒天を投入し、撹拌しながら中火で20分加熱した。
その後、直方体状の型に流し、室温放置すると固化し、羊羹状栄養食品が得られた。
男女混合10名の大人にモニターとして食してもらったところ、全員が「羊羹よりもやや柔らかくて食べやすく、また苦味があって美味しい。」と評価した。
【0014】
[実施例3]
実施例1と同様に文旦皮を泥状化し、非圧力鍋に移した。更に、更に、三温糖1000g、黒砂糖500g、中双糖500g、市販こしあん500g(白砂糖含有量は250〜300g程度と推定される。)、ココア50g、及び食塩4gを加えた。
別途、水100ccに粉寒天50gを溶かし、固化しないうちに前記非圧力鍋に投入し、撹拌しながら中火で20分加熱した。
その後、直方体状の型に流し、室温放置すると固化し、羊羹状栄養食品が得られた。
男女混合10名の大人にモニターとして食してもらったところ、全員が「羊羹と同程度の硬さで食べやすく、また苦味があって美味しい。」と評価した。