(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原動機と、該原動機と連結した同期モータと、該同期モータと連結したコンバータと、該コンバータと連結したインバータと、前記コンバータと前記インバータとの間に設けられる蓄電手段と、を備え、前記原動機により前記同期モータを回転させて交流電力を出力し、該同期モータで発電された交流電力を前記コンバータで直流化し、この直流電力を前記インバータで所望周波数の交流電力に変換するインバータ発電装置において、
前記コンバータは、
前記同期モータの回転数に応じて電流制限比率を設定し、該電流制限比率に基づいてコンバータ電流を制限する出力電流制限手段を有し、
前記出力電流制限手段は、前記同期モータの回転数が定格回転数よりも低い所定の回転数とされているときに、前記電流制限比率を100%未満の数値に設定し、前記同期モータの回転数が増加するに連れて、前記電流制限比率を単調に増加させて100%に達するように前記電流制限比率を設定することを特徴とするインバータ発電装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインバータ発電装置100の構成を示すブロック図である。同図に示すように、このインバータ発電装置100は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等のエンジン(原動機)11と、エンジン11の回転によりU相、V相、W相の3相交流の誘起電圧を発生する同期モータ13と、エンジン11の出力軸と同期モータ13の回転軸を結合するカップリング12と、同期モータ13に接続され該同期モータ13より出力されるU相、V相、W相の各誘起電圧をPN直流電圧に変換するコンバータ14と、該コンバータ14より出力されるPN直流電圧からR相、S相、T相の3相交流電圧を生成するインバータ15と、コンバータ14とインバータ15とを接続するPN結線の間に介置される主回路コンデンサ19(蓄電手段)と、前記インバータに接続されスイッチングノイズを軽減するためのLCフィルタ16と、を備えている。
【0013】
更に、LCフィルタ16は、遮断機17を介して誘導電動機等の負荷18に接続されている。なお、
図1では1つの遮断機17及び負荷18を記載しているが、実際には、LCフィルタ16の後段側に、複数の遮断機及び負荷が設けられる場合が多い。また、例えば負荷が誘導電動機の場合は、モータの起動・停止を操作するためのコンタクタ(18a)が電源接続の初段に設置されていることが多い。また、同期モータ13として、例えば回転子に永久磁石が埋め込まれたIPMモータを用いることができる。
【0014】
また、エンジン11には、該エンジン11の回転を制御するECU(Engine Control Unit)20が接続されている。
【0015】
コンバータ14は、半導体素子であるトランジスタ、IGBT、或いはMOSFET等のスイッチング素子、及びダイオードを複数個備え、各スイッチング素子をスイッチング動作させることにより、U相、V相、W相の3相交流電圧をPN直流電圧に変換する。更に、コンバータ14は、負荷18に出力する電力に応じて、同期モータ13に適宜電流を流すことにより、エンジン11の回転数を頻繁に変化させることなく、所望の電力を発生させるようにしている。つまり、コンバータ14は、通常の整流器とは異なり、同期モータ13より出力される3相交流電圧から所望の大きさのPN直流電圧を生成すると共に、負荷に出力する電力に応じて同期モータ13に電流を流すことにより、負荷変動に応じた安定した電力を発生させている。また、コンバータ14は、同期モータ13に流す電流を制御する電流制限部14a(出力電流制限手段)を備えている(
図8参照)。該電流制限部14aの詳細については、後述する。
【0016】
主回路コンデンサ19は、PN直流電圧を平滑化し、且つ、インバータ15が大電力を出力する際の電力を蓄積する機能を有する。
【0017】
インバータ15は、上述のコンバータ14と同様に、半導体素子であるトランジスタ、IGBT、MOSFETのスイッチング素子、及びダイオードを複数備え、各スイッチング素子をスイッチング動作させることによりR相、S相、T相の3相交流電圧を生成する。また、各スイッチング素子のスイッチングのパターンにより、インバータ15の出力電圧及び出力周波数を任意の値に設定することができる。
【0018】
図2は、インバータ15の詳細な構成を示すブロック図である。同図に示すように、インバータ15は、半導体素子によりPN直流電圧をスイッチングして3相交流電圧を生成するスイッチング回路150と、主回路コンデンサ19に生じる電圧を検出するPN電圧検出部151と、スイッチング回路150にて生成する3相交流電圧の周波数指令値を出力する周波数指令生成部153と、スイッチング回路150にて生成する3相交流電圧の電圧指令値を出力する電圧指令生成部154と、を有している。
【0019】
また、周波数指令生成部153より出力される周波数指令値と、電圧指令生成部154より出力される電圧指令値、及びPN電圧検出部151で検出されるPN電圧検出値に基づいて、PWM信号を生成し、生成したPWM信号をスイッチング回路150に出力するPWM信号生成部152と、を備えている。
【0020】
更に、スイッチング回路150より出力されるR相、S相、T相の線電流をそれぞれ検出する電流計157と、該電流計157にて検出される各相の線電流IR,IS,ITを取得し、更にPWM信号生成部152より出力されるPWM信号に基づいて、3相の線電流IR,IS,ITを2相(d軸、q軸)の軸電流信号に変換する電流検出変換部156と、該電流検出変換部156で変換された2相の軸電流信号に基づいて、負荷18(
図1参照)にて消費される消費電力を算出する消費電力計算部155と、を備えている。
【0021】
スイッチング回路150は、
図10に示すように、6個のトランジスタTr1〜Tr6と、各トランジスタTr1〜Tr6に対して並列に接続されるダイオードD1〜D6を備えている。そして、トランジスタTr1とTr2は直列接続され、トランジスタTr1の一端(コレクタ)はプラス側電極(P極)に接続され、トランジスタTr2の一端(エミッタ)はマイナス側電極(N極)に接続されている。そして、各トランジスタTr1とTr2の接続点はR相電圧Vrの出力点とされている。同様に、トランジスタTr3とTr4は直列に接続され、その接続点はS相電圧Vsの出力点とされ、トランジスタTr5とTr6は直列に接続され、その接続点はT相電圧Vtの出力点とされている。
【0022】
また、6個のアンド回路AND1〜AND6を備えており、各アンド回路AND1〜AND6の一方の入力端子には、電力供給を制御するためのゲート信号が供給され、他方の入力端子には、アンド回路AND1〜AND6に対してそれぞれPWM信号生成部152より出力されるPWM信号、即ち、sigRu、sigSu、sigTu、sigRd、sigSd、sigTdが供給される。従って、ゲート信号がオン(「H」レベル)とされている場合には、各PWM信号により各トランジスタTr1〜Tr6が駆動され、3相交流電圧が生成されて出力されることとなる。また、ゲート信号がオフ(「L」レベル)とされている場合には、PWM信号に関わらず、各トランジスタTr1〜Tr6は駆動されない。なお、以下では上側のトランジスタTr1,Tr3,Tr5、及びダイオードD1,D3,D5を上側アーム、下側のトランジスタTr2,Tr4,Tr6、及びダイオードD2,D4,D6を下側アームと称する。
【0023】
図2に示す消費電力計算部155は、消費電力とエンジン回転数との対応関係を示す回転数対応テーブル155aを備えており、該消費電力計算部155では消費電力を算出すると、この消費電力に基づいて、回転数対応テーブル155aを参照してエンジン11の回転数データを求める。そして、求めた回転数データをエンジン11のECU20に送信する。エンジン11は、ECU20の制御により、求められた回転数となるように制御されることとなる。
【0024】
回転数対応テーブルは、
図7に示すようにエンジン11の燃費曲線に基づき、消費電力に所定の余裕値を加えた電力を発生させるために最も少ない燃料消費量となる消費電力とエンジン11の回転数指示値との関係が設定されており、アイドル回転数、最高回転数に基づき、消費電力が低い又は0の場合には、エンジン11の回転数がアイドル回転数となるように設定され、その後、本実施形態では消費電力が増加するにつれてエンジン11の回転数が直線的に増加し、最高回転数にてクランプされるように設定される。
【0025】
次に、
図2に示すPWM信号生成部152、及び電流検出変換部156の詳細について、
図3に示すブロック図を参照して説明する。
図3に示すように、PWM信号生成部152は、インバータ15の外部より入力される2相(d軸、q軸)の電圧指令値のうちq軸電圧を補正する電圧補正部31と、2相・3相変換部32と、R相、S相、T相の各電圧信号に基づいて、3相のPWM信号を生成するPWM波形変換部33と、電気角生成部34と、を備えている。
【0026】
電圧補正部31は、電圧指令値に、PN設定電圧とPN電圧のフィードバック値との比率(PN電圧設定値/PN電圧検出値)を乗じることにより、該q軸電圧を補正し、補正後のq軸電圧を2相・3相変換部32に出力する。
【0027】
2相・3相変換部32は、d軸電圧及び補正後のq軸電圧に基づいて2相・3相変換を行い、3相(R相、S相、T相)で6アームのPWM信号を生成する。該PWM信号生成部152で生成されるPWM信号は、
図2に示すスイッチング回路150に出力されて、
図10に示した各トランジスタTr1〜Tr6の駆動に用いられる。
【0028】
電気角生成部34は、
図2に示す周波数指令生成部153より出力される周波数指令値に基づいて、3相電圧(R相、S相、T相の各電圧)の電気角を求め、この電気角を2相・3相変換部32、及び電流検出変換部156に出力する。電気角は、電気的な1周期が0〜360degとなるように設定する。例えば、周波数指令値が50Hzの場合には電気的な1周期は20msecとなるので、電気角は20msecで0〜360degとなるように生成する。
【0029】
また、
図3に示す電流検出変換部156は、電流計157(
図2参照)で検出されるR相、S相、T相の各相電流IR,IS,IT、及び電気角生成部34より出力される電気角に基づいて、R相、S相、T相の3相電流を、d軸、q軸の2相電流に変換する3相・2相変換部35を備え、変換後のd軸電流、及びq軸電流を
図2に示す消費電力計算部155に出力する。
【0030】
次に、
図2に示した消費電力計算部155における消費電力の計算手順について説明する。インバータ15の外部より入力される電圧指示値をVa、電圧指令生成部より出力される電圧指令値(インバータ15の出力電圧)をVb、3相の線電流をI1、q軸電流をIq、d軸電流をId、とすると、瞬時の消費電力P1は、次の(1)式で示すことができる。
【数1】
【0031】
そして、(1)式の右辺の分母は、有効電力のインピーダンスを示すから、該インピーダンスをZとすると、(1)式は次の(2)式で示すことができる。
【数2】
【0032】
(2)式に示すように、負荷18の瞬時の消費電力P1を演算する際に、外部から入力される電圧指示値Va及び有効電力のインピーダンスZを使用している。従って、負荷の駆動時等に突入電流が発生し、インバータ15の出力電圧が急激に低下した場合であっても、消費電力計算部155にて求められる消費電力が急激に低下することが無い。即ち、出力電圧が急激に変動した場合であっても、エンジン11の回転数が急激に変動することを防止し、該エンジン11を安定的に運転できることとなる。また、消費電力P1の演算にスイッチング回路150の電圧出力値を用いないので、リップルの影響を受けることがない。
【0033】
次に、
図2に示す電圧指令生成部154の詳細な構成について、
図4に示すブロック図を参照して説明する。
図4に示すように、電圧指令生成部154は、インバータ15の外部より電圧指示値、最低出力電圧、インバータ15より出力される線電流(即ち、(Iq
2+Id
2)
1/2で求められる電流)、及び電流上限閾値が入力される。そして、該電圧指令生成部154は、外部より与えられる電圧指示値に対して係数G1を乗じる乗算部41と、乗算部41の出力信号に対して係数G2を乗じる乗算部42と、演算部43、及びローパスフィルタ44を備えている。
【0034】
ここで、最低出力電圧は、電圧指示値よりも低い値であって負荷に付属して例えばモータの起動や停止を制御するコンタクタが遮断しないの電圧に設定される。
【0035】
乗算部41は、インバータ15の外部より入力された電圧指示値に対して、次の(3)式で示す係数G1を乗じる。
【0036】
G1=1/{1−(PWM周波数×デッドタイム×2)} …(3)
(3)式は、スイッチング回路150が有する各相の上側アーム、即ち、
図10に示すトランジスタTr1,Tr3,Tr5、及び下側アーム、即ちトランジスタTr2,Tr4,Tr6が駆動するときのデッドタイムを補正するための係数を示している。つまり、上側アーム、及び下側アームは、双方が同時にオンとなることを防止するために、オン、オフの切り替え時に双方を同時にオフとするデッドタイムを設けており、この分の電圧を補正するために電圧指示値に係数G1を乗じている。なお、上記のデッドタイムには、上側アーム及び下側アームに使用するトランジスタのオンとオフの時間差を含めるようにしても良い。
【0037】
更に、乗算部42は、乗算部41の出力信号に対して、次の(4)式で示す係数G2を乗じる。
【0038】
G2=(PN電圧検出値)/(PN電圧設定値)
(但し、0≦G2≦1) …(5)
(5)式に示すPN電圧検出値は、主回路コンデンサ19に生じる電圧値であり、PN電圧設定値は、主回路コンデンサ19に充電する電圧の設定値である。そして、(5)式で算出する係数G2は、主回路コンデンサ19に生じるPN電圧の検出値が、PN電圧設定値に対して大きく減少した場合に小さい値となる。従って、PN電圧検出値が低下しているときに、負荷18の消費電力が増加した場合であっても、係数G2を乗じることにより、電圧指令値が急激に増加することを防止できる。
【0039】
即ち、主回路コンデンサ19に生じる電圧(PN電圧)が低下しているときに、インバータ15が負荷変動に応じた電力をそのまま出力すると、主回路コンデンサ19に電力を供給するためにコンバータ14の負荷が増大し、エンジン11がストールする原因となる場合がある。本実施形態では、電圧指示値に係数G2を乗じることにより、PN電圧検出値がPN電圧設定値に対して低下している場合には、乗算部42の出力信号を低下させることにより、インバータ15の出力電圧を低下させて、エンジン11がストールすることを防止する。
【0040】
また、
図4に示す演算部43は、入力端子IN1〜IN4、及び出力端子OUT1を備えており、入力端子IN1には、乗算部42の出力信号d1が入力され、入力端子IN2には、インバータ15が出力可能な最低電圧である最低出力電圧d2が入力され、入力端子IN3には、負荷18に流れる線電流d3が入力され、入力端子IN4には、過電流の発生を定義する電流上限閾値d4が入力される。そして、演算部43は、これらの各データに基づいて、「d3>d4」が成立した場合に出力端OUT1より最低出力電圧d2を出力し、それ以外の場合には信号d1を出力する。
【0041】
上記の処理では、線電流d3が電流上限閾値d4を上回った場合、換言すれば、負荷18に流れる電流が増大して過電流に達する場合には、最低出力電圧d2に基づく電圧指令値を出力することにより、負荷18に供給する電圧を低下させて、過電流が流れることを防止する。
【0042】
そして、演算部43の出力信号(d1またはd2)はゲイン(後述する係数G3,G4)を変更可能なローパスフィルタ44に供給される。
【0043】
ローパスフィルタ44は、負荷18に起動時等の突入電流を抑制するために設けられており、突入電流が発生した際にはインバータ15の出力電圧を即時に低下させ、その後、低下した出力電圧を電圧指示値に上昇させる際には緩やかに電圧を上昇する電圧指令値を出力する。そして、該ローパスフィルタ44から出力された電圧指令値は、
図2に示すPWM信号生成部152、及び消費電力計算部155に出力されることとなる。以下、ローパスフィルタ44について詳細に説明する。
【0044】
図5は、ローパスフィルタ44の詳細な構成を示すブロック図である。該ローパスフィルタ44は、演算部43の出力信号(d1またはd2)、及び最低出力電圧d2に基づいて、電圧指令値をフィルタ処理して出力する。
【0045】
図5に示すように、ローパスフィルタ44は、係数G3を乗じる乗算部51と、係数G4(但し、G4>G3)を乗じる乗算部52と、演算部53と、遅延部54と、減算部55と、加算部56、及びスイッチSW1を備えている。
【0046】
減算部55は、入力信号(
図4に示す演算部43の出力端子OUT1の出力信号)とフィードバック信号(前回の演算部53の出力)との差分を演算し、これを偏差Errとして出力する。
【0047】
乗算部51は、偏差Errに係数G3を乗じてスイッチSW1の端子T1に出力する。乗算部52は、偏差Errに係数G4を乗じて端子T2に出力する。
【0048】
スイッチSW1は、偏差Errが正の値(Err>0)である場合にはスイッチSW1を端子T1側に接続することにより、乗算部51の出力信号を出力端子OUT2より出力し、偏差Errがゼロまたは負の値(Err≦0)の場合には、スイッチSW1を端子T2側に接続することにより、乗算部52の出力信号を出力端子OUT2より出力する。そして、出力端子OUT2は、加算部56に接続され、更に、該加算部56は、演算部53の入力端子IN5に接続されている。また、演算部53の入力端子IN6には、
図4に示す最低出力電圧d2が入力される。
【0049】
加算部56は、スイッチSW1の出力端子OUT2より出力される信号と、遅延部54より出力される前回の出力値とを加算し、加算した信号d5を演算部53の入力端子IN5に出力する。
【0050】
演算部53は、d5<d2の場合には、出力端子OUT3よりd2を出力する。他方、d5≧d2の場合には、出力端子OUT3よりd5を出力する。つまり、出力信号を最低出力電圧d2にクランプする。そして、この出力信号は、電圧指令値として
図2に示すPWM信号生成部152、及び消費電力計算部155に出力される。また、この出力信号は、フィードバック信号として
図5に示す遅延部54に供給される。
【0051】
遅延部54より出力される一サンプリング遅れ信号は、減算部55、及び加算部56に出力される。そして、上述したようにスイッチSW1は、偏差Errが正の値である場合(Err>0)には、該偏差Errに対して係数G3を乗じ、偏差Errがゼロまたは負の値である(Err≦0)には、該偏差Errに対して係数G4(G4>G3)を乗じるので、電圧指令値が増加傾向にある場合には、減少傾向にある場合よりも、より小さい係数を乗じて出力端子OUT2より出力することとなる。このため、突入電流が流れた後の場合等において、電圧指令値(OUT1)が増加する場合にはその増加速度を遅くすることができる。
【0052】
また、演算部53は、加算部56の出力信号d5と最低出力電圧d2を比較し、d5がd2よりも低い場合、即ち、加算部56の演算結果が最低出力電圧d2よりも低い場合には、出力端子OUT3より出力する電圧指令値を最低出力電圧d2とする。従って、電圧指示値が最低出力電圧d2にクランプされるので、例えば、負荷に付属してモータの起動や停止を制御するコンタクタの遮断を防ぐことができる。
【0053】
次に、
図6に示すブロック図を参照して、
図2に示した周波数指令生成部153の詳細について説明する。
図6に示すように周波数指令生成部153は、周波数指示値を所定の範囲内でスイープするスイープ演算部61(倍率演算手段)と、所定の係数K(0<K≦1の範囲の数値)を乗じる乗算部62と、減算部63と、を備えている。
【0054】
スイープ演算部61は、インバータ15の外部より入力される周波数指示値に基づいて、下記の(6)式に示す演算により倍率Bを算出し、算出した倍率Bを乗算部62に出力する。
【0055】
B=1−{(電圧指令値V2)/(電圧指示値V1)} …(6)
また、出力する周波数指令値(減算部63の出力)は、以下の(7)式により求められる。
【0056】
(周波数指令値)=f1*(1−K*B) …(7)
但し、(7)式において「f1」は入力される周波数指令値、「K」は、乗算部62に設定されている係数であり0<K≦1である。
【0057】
(6)式において、例えば、電圧指示値V1が200ボルト、電圧指令値V2が140ボルトで、入力される周波数指示値がf1である場合にはB=0.3となり、スイープ演算部61の出力信号は、0.3*f1となる。また、乗算部62で設定される係数Kが0.5である場合には、該乗算部62の出力信号は0.15*f1となって、減算部63に供給される。従って、減算部63の出力信号は、0.85*f1となり、外部より入力される周波数指示値f1よりも15%低い周波数が周波数指令値となって出力される。
【0058】
その後、電圧指令値V2が上昇して電圧指示値V1と一致すると、(6)式で示すBがゼロとなるので、周波数指示値f1は減算部63で減算されることなく、そのまま出力されることとなる。つまり、「0.85*f1」〜「f1」の範囲で周波数指令値がスイープされることとなる。このように、周波数指令値をスイープさせながら周波数指令値f1まで増加させることにより、例えば、誘導電動機の様な誘導負荷の場合、効率良く負荷にエネルギーを注入することができることから、起動時間を短くすることができ、コンバータやエンジンの負担の軽減に寄与することとなる。
【0059】
図8は、
図1に示したコンバータ14に設けられる電流制限部14a(出力電流制限手段)が含まれるコンバータPN電圧制御の詳細な構成を示すブロック図であり、以下、
図8を参照して電流制限部14aについて説明する。
図8に示すように、PN電圧制御部は、PI補償部81(電流指令生成手段)と、電流制限部14a(電流制限手段)と、電流制御処理部83(電流制御処理手段)にて構成される。以下は制御対象をブロック図に示したものである。トルク定数と、回転数と、から電流と電力が決定することから、コンデンサに充電する電圧が決まる。このPN電圧を検出し、PN電圧設定値から減算することとなる(減算部89)。
【0060】
減算部89は、所定のサンプリング周期で時系列的に入力される今回のPN電圧設定値と、前回積分部88より出力されたPN電圧フィードバック値との差分(偏差電圧)を演算する。PI補償部81は、減算部89で演算された偏差電圧にPI補償値を乗じて電流指令値とし、この電流指令値を電流制限部82に出力する。
【0061】
電流制限部14aは、
図9に示す電流制限比率テーブルを備えている。該電流制限比率テーブルは、エンジン11の回転数(本実施形態では同期モータ13の回転数と一致する)に対する電流制限比率を規定している。そして、電流制限部14aは、エンジン11の回転数に基づいて、電流制限比率テーブルを参照して電流制限比率を求め、PI補償部81より出力される電流指令値に、電流制限比率を乗じる。例えば、エンジンの定格回転数(同期モータの定格回転数)よりも低い所定の回転数をエンジンのアイドル回転数である1200rpmの場合、エンジンの回転数がアイドル回転数のときには、電流制限比率は70%(100%未満の数値)であるので、電流指令が70%を上回る場合は70%にてクランプし、下回る場合はそのままの電流指令を補正後電流指令値として、電流制御処理部83に出力する。また、エンジンの回転数が定格回転数である2000rpmのときには、電流制限比率は100%であるので、電流指令値をそのまま補正後電流指令値として、電流制御処理部83に出力する。
【0062】
ここで、
図9に示す電流制限比率テーブルは、エンジン11の回転数がアイドル回転数(例えば、1200rpm)から定格回転数(例えば、2000rpm)に達するまで、電流制限比率が徐々に増加して、100%に達するように設定されている。
【0063】
即ち、電流制限比率テーブルは、同期モータ13の回転数がエンジン11(原動機)のアイドル回転数とされているときに、電流制限比率が100%未満の数値となるように設定され、同期モータ13の回転数が増加するに連れて、電流制限比率が単調に増加して100%に達するように前記電流制限比率が変化するように設定されている。なお、
図9に示す電流制限比率テーブルでは、アイドル回転数から定格回転数まで、電流制限比率が直線的に増加するように設定しているが、曲線状に変化するように設定することも可能である。
【0064】
図8に示す電流制御処理部83は、電流制限部82より出力される補正後電流指令値に基づいて、同期モータ13が出力する電流を制御する。この際、エンジン11の回転数が定格回転数から低くなるほど、電流制限比率が低い値になるので、エンジン11にかかる負担が軽減され、エンジン11がストールすることを防止できる。
【0065】
そして、インバータ15は、主回路コンデンサ19に充電された電力を使用して、負荷18に電力を供給するので、主回路コンデンサ19の充電電圧は減少するため、コンバータ14は常にこの主回路コンデンサ19に充電されているPN電圧をPN設定電圧値とするべく制御するように、同期モータ13を通して、エンジン11からエネルギーを引き出すこととなる。
【0066】
次に、上述のように構成された本実施形態に係るインバータ発電装置100の作用について説明する。
【0067】
図11は、電流制限部14aによる電流制限を行わない場合の(即ち、従来の場合の)、各波形の変化を示すタイミングチャート、
図12は、本実施形態に係る電流制限部14aによる電流制限を行った場合の、各波形の変化を示すタイミングチャートであり、
図11,
図12それぞれの(a)はコンバータ電流、(b)はエンジン11の回転数、(c)はPN電圧、(d)は推定消費電力の変化を示している。
【0068】
初めに、
図11を参照して本実施形態に係る電流制限を行わない場合について説明する。
図11(a),(b)に示すように、エンジン11がアイドル回転数(例えば、1200rpm)で回転している際に、時刻t21でステップ状に重負荷が投入された場合には、インバータ15は大電力を負荷18に供給することとなり、これに伴って、
図11(c)に示すように、主回路コンデンサ19の電圧(PN電圧)が低下する。すると、コンバータ14はエンジン11よりエネルギーを吸収して低下したPN電圧を復帰させるために、電流を100%まで流して、主回路コンデンサ19に電力を供給する。
【0069】
また、
図11(d)に示すように、インバータ15で算出される推定消費電力が上昇するので、エンジン11は回転数を上昇しようとする。しかし、エンジン11が出力可能なトルクは限られており、特に該エンジン11がアイドル回転数(例えば、1200rpm)付近で回転している場合には、エンジン11がストールするまでのマージンが少ないので、エンジン11は回転数を上昇することができなくなり、また、コンバータ14が電流制限状態を維持するために、
図11(b)に示すように、徐々に回転数が低下していく。
【0070】
そして、エンジン11の回転数が上昇できなくなると、
図11(c)に示すようにPN電圧を復帰させることができなくなり、更に、コンバータが電流制限値を下回ることがないので、エンジン11はストールする方向に推移することとなる。つまり、本実施形態に係る電流制限を行わない場合には、エンジン11をアイドル回転数付近で動作させているときに、急激な負荷変動が発生した場合には、エンジン11がストールすることが多々発生することとなる。
【0071】
次に、
図12を参照して本実施形態に係る電流制限を行う場合について説明する。
図12(a)、(b)に示すように、エンジン11がアイドル回転数(例えば、1200rpm)で回転している際に、時刻t31でステップ状に重負荷が投入された場合には、インバータ15は大電力を負荷18に供給することとなり、これに伴って、
図12(c)に示すように、主回路コンデンサ19の電圧(PN電圧)が低下する。そして、低下したPN電圧を復帰させるために、コンバータ14は、エンジン11よりエネルギーを吸収して電流を流し、主回路コンデンサ19に電力を供給する。この際、電流制限比率は、
図9に示したように、70%に設定されているので、電流指令値を70%で制限した補正後電流指令値が生成されてコンバータ14に流れる電流が制御される。
【0072】
また、
図12(d)に示すように、インバータ15で算出される推定消費電力が上昇するので、エンジン11は回転数を上昇しようとする。この際、電流指令値が70%とされていることにより、エンジン11に要求されるトルクは電流指令値が100%の場合と比較して小さくなるので、エンジン11は
図12(b)に示すように、無理なく回転数を上昇させることができる。即ち、エンジン11がストールすることを防止できる。
【0073】
また、
図12(c)に示すように、PN電圧が一旦低下した後、PN設定電圧に復帰するまでに長時間を要するが、エンジン11がストールすることなく回転数を上昇させることができれば、
図12(a)に示すように、コンバータ電流は制限値を下回り、PN電圧を回復するために必要な数値となり、PN電圧は次第にPN設定電圧に復帰することとなる。こうして、エンジン11の回転数がアイドル回転数に近い場合に、電流制限比率を100%未満の数値として、電流指令値を制限することにより、エンジン11をストールさせることなく、コンバータ14に電流を流すことができるのである。
【0074】
このようにして、本実施形態に係るインバータ発電装置100では、コンバータ14に設けられる電流制限部14aにより、電流制限比率を設定しており、該電流制限比率はエンジン11がアイドル回転数である場合から定格回転数に達するまでに、単調増加するように設定されている。従って、エンジン11がアイドル回転数付近で回転しており、トルク変動に余裕が無いときに、急激な負荷変動が発生した場合であっても、電流指令値が低い数値に抑えられるので、エンジン11の回転数を無理なく上昇させることができ、エンジン11をストールさせることなく、PN電圧をPN設定電圧に復帰させることができる。
【0075】
即ち、エンジン11を省エネ運転するために、負荷18の消費電力が小さい場合は、アイドル回転数付近で運転していることが多い。この時のエンジン11の回転エネルギーは小さく、負荷が増加した場合でもエンジンの制御可能な回転数の余裕がないために、エンジンストールに陥りやすい。しかも、負荷18の消費電力が増加したことによりPN電圧が減少するので、100%の電力を引き出そうとすると、より一層エンジンストールを助長する結果となる。そこで、回転数が低い場合は、電流指令値を制限することにより、エンジン11のトルクを抑制して、エンジンをストールしないようにしている。
【0076】
以上、本発明のインバータ発電装置100を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0077】
例えば、上述した実施形態では、
図1に示したように各相毎に電流計157を設ける構成としたが、2つの相にのみ電流計を設ける構成とすることも可能である。