(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記陽極実装端子は、実装面と、上記実装面と反対側に位置し且つ上記枕電極を支持する支持面と、上記実装面と反対側に位置し且つ上記突出する方向と反対方向の端部に位置する退避面と、を有し、
上記退避面と上記実装面との距離は、上記支持面と上記実装面との距離より小さい、請求項10に記載の固体電解コンデンサ。
上記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、および、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)よりなる群の少なくとも一つから選択される樹脂のみを含んでなる、請求項1ないし33のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、しみ上がりを抑制することができる固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属よりなり、且つ、陽極ワイヤが突出するように設けられた多孔質焼結体を形成する工程と、フッ素樹脂よりなり、且つ、上記陽極ワイヤを囲む絶縁膜を形成する工程と、上記多孔質焼結体に誘電体層を形成する工程と、上記絶縁膜を形成する工程の後に、上記誘電体層に固体電解質層を形成する工程と、を備え、上記絶縁膜を形成する工程は、フッ素樹脂よりなる樹脂材を溶融させる工程を含む。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記樹脂材は複数の粒状体である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜を形成する工程は、上記溶融させる工程の前に、上記複数の粒状体のいずれかを上記陽極ワイヤに付着させる工程を更に含む。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜を形成する工程は、上記陽極ワイヤに付着させる工程と同時に上記複数の粒状体のいずれかを上記多孔質焼結体に付着させる工程を更に含む。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極ワイヤに付着させる工程においては、上記陽極ワイヤにおける上記多孔質焼結体から離間した部位にのみ、上記複数の粒状体を付着させる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極ワイヤに付着させる工程は、上記複数の粒状体を含有する水性分散体を上記陽極ワイヤに塗布する工程を有する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜を形成する工程は、上記誘電体層を形成する工程の前に行う。
【0015】
本発明の第2の側面によって提供される固体電解コンデンサは、弁作用金属よりなる多孔質焼結体と、上記多孔質焼結体から突出する陽極ワイヤと、上記多孔質焼結体に積層された誘電体層と、フッ素樹脂よりなり、且つ、上記陽極ワイヤが貫通する第1膜状部を含む絶縁膜と、上記誘電体層に積層され、且つ、上記陽極ワイヤが突出する方向に向かって、上記第1膜状部よりも隆起する部位を有する固体電解質層と、を備える。
【0016】
本発明の第3の側面によって提供される固体電解コンデンサは、弁作用金属よりなる多孔質焼結体と、上記多孔質焼結体から突出する陽極ワイヤと、上記多孔質焼結体に積層された誘電体層と、フッ素樹脂よりなり、且つ、上記陽極ワイヤが貫通する第1膜状部を含む絶縁膜と、上記誘電体層に積層された固体電解質層と、を備え、上記第1膜状部の縁は、近接部位および離間部位を有し、上記近接部位と上記陽極ワイヤとの距離は、上記離間部位と上記陽極ワイヤとの距離より小さい。
【0017】
本発明の第4の側面によって提供される固体電解コンデンサは、弁作用金属よりなる多孔質焼結体と、上記多孔質焼結体から突出する陽極ワイヤと、上記多孔質焼結体に積層された誘電体層と、フッ素樹脂よりなり、且つ、上記陽極ワイヤが貫通する第1膜状部を含む絶縁膜と、上記誘電体層に積層された固体電解質層と、を備え、上記第1膜状部は、上記陽極ワイヤが突出する方向視において上記陽極ワイヤを通る直線を挟んで非対称な形状である。
【0018】
本発明の第5の側面によって提供される固体電解コンデンサは、弁作用金属よりなる多孔質焼結体と、上記多孔質焼結体から突出する陽極ワイヤと、上記多孔質焼結体に積層された誘電体層と、フッ素樹脂よりなり、且つ、上記陽極ワイヤを囲む絶縁膜と、上記誘電体層に積層された固体電解質層と、を備え、上記絶縁膜は上記陽極ワイヤに密着している。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記固体電解質層は上記第1膜状部を囲む形状である。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜は、上記陽極ワイヤが突出する方向に向かって上記第1膜状部から延び、且つ、上記陽極ワイヤを覆う第2膜状部を更に含む。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記多孔質焼結体には細孔が形成され、上記第1膜状部の一部は上記細孔に形成されている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記多孔質焼結体は、上記陽極ワイヤが突出する方向に垂直である方向を向く第1側面を有し、上記絶縁膜は、上記第1側面を覆い且つ上記第1膜状部につながる第1側面膜状部を含む。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記多孔質焼結体は、上記陽極ワイヤが突出する方向と上記第1側面が向く方向とのいずれにも交差する方向を向く第2側面を有し、上記絶縁膜は、上記第2側面を覆い且つ上記第1膜状部につながる第2側面膜状部を含む。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記多孔質焼結体は、上記第1側面が向く方向とは反対方向を向く第3側面を有し、上記絶縁膜は、上記第3側面を覆い且つ上記第1膜状部につながる第3側面膜状部を含む。
【0025】
本発明の第6の側面によって提供される固体電解コンデンサは、弁作用金属よりなる多孔質焼結体と、上記多孔質焼結体から突出する陽極ワイヤと、上記多孔質焼結体に積層された誘電体層と、フッ素樹脂よりなり、且つ、上記陽極ワイヤを覆う絶縁膜と、上記誘電体層と上記陽極ワイヤとに積層され、且つ、上記陽極ワイヤの径方向に向かって、上記絶縁膜よりも隆起する部位を有する固体電解質層と、を備える。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜は上記陽極ワイヤに密着している。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極ワイヤが突出する方向に交差する方向に延び、且つ、上記陽極ワイヤを支持する枕電極と、上記枕電極を支持し、且つ、上記枕電極を介して上記陽極ワイヤと導通する陽極実装端子と、を更に備える。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極実装端子は、実装面と、上記実装面と反対側に位置し且つ上記枕電極を支持する支持面と、上記実装面と反対側に位置し且つ上記突出する方向と反対方向の端部に位置する退避面と、を有し、上記退避面と上記実装面との距離は、上記支持面と上記実装面との距離より小さい。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極実装端子には、上記突出する方向の端部において、上記実装面から上記支持面側に凹むフィレット部が形成されている。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記退避面に形成された絶縁層を更に備える。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極ワイヤおよび上記枕電極を覆う樹脂パッケージを更に備え、上記陽極ワイヤおよび上記枕電極は各々、上記樹脂パッケージから露出し、且つ、互いに面一である端面を有し、上記樹脂パッケージは、上記陽極ワイヤの端面と面一である端面を有する。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜は、上記樹脂パッケージから露出し、且つ、上記陽極ワイヤの端面と面一である端面を有する。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枕電極は、上記陽極ワイヤのうち上記絶縁膜から離間している部位に接合されている。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枕電極は上記絶縁膜に接する。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜には開口が形成され、上記枕電極は、上記陽極ワイヤのうち上記開口から露出する部位に接合されている。
【0036】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極ワイヤを向く第1面と上記第1面と反対側の第2面とを有する基材と、上記基材の第2面に形成され、且つ、上記陽極ワイヤと導通する実装陽極膜と、上記基材の第2面に形成され、且つ、上記固体電解質層と導通する実装陰極膜と、を更に備える。
【0037】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材の第1面に形成され、且つ、上記実装陽極膜と導通する表面陽極膜と、上記基材の第1面に形成され、且つ、上記実装陰極膜と導通する表面陰極膜とを更に備える。
【0038】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材には、上記陽極ワイヤが突出する方向における一端に、上記第2面から上記第1面側に凹む段差部が形成されている。
【0039】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極ワイヤが突出する方向に交差する方向に延び、且つ、上記陽極ワイヤを支持する枕電極を更に備え、上記表面陽極膜は上記枕電極を支持する。
【0040】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極ワイヤおよび上記枕電極を覆う樹脂パッケージを更に備え、上記陽極ワイヤおよび上記枕電極は各々、上記樹脂パッケージから露出し、且つ、互いに面一である端面を有し、上記樹脂パッケージは、上記陽極ワイヤの端面と面一である端面を有する。
【0041】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜は、上記樹脂パッケージから露出し、且つ、上記陽極ワイヤの端面と面一である端面を有する。
【0042】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枕電極は、上記陽極ワイヤのうち上記絶縁膜から離間している部位に接合されている。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枕電極は上記絶縁膜に接する。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜には開口が形成され、上記枕電極は、上記陽極ワイヤのうち上記開口から露出する部位に接合されている。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極ワイヤを覆う樹脂パッケージを更に備え、上記陽極ワイヤは、上記樹脂パッケージから露出する端面を有し、上記樹脂パッケージ、上記基材、および、上記実装陽極膜は各々、上記陽極ワイヤの端面と面一の端面を有する。
【0046】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記陽極ワイヤ、上記樹脂パッケージ、上記基材、および、上記実装陽極膜の各端面を覆う側面陽極膜を更に備える。
【0047】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記側面陽極膜は、メッキにより形成されている。
【0048】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁膜は、上記樹脂パッケージから露出し、且つ、上記陽極ワイヤの端面と面一である端面を有する。
【0049】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記多孔質焼結体は、上記陽極ワイヤが突出する面を有し、上記陽極ワイヤは、上記陽極ワイヤが突出する面において、上記陽極ワイヤが突出する面の中心から偏心した位置より突出している。
【0050】
上記陽極ワイヤが突出する方向視において、上記陽極ワイヤに導通する陽極実装端子を更に備え、上記陽極実装端子は、上記陽極ワイヤよりも上記第1側面の向く側に位置する。
【0051】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、および、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)よりなる群の少なくとも一つから選択される樹脂のみを含んでなる。
【0052】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0055】
[第1実施形態]
図1〜
図12を用いて本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。
図2は、
図1のII方向矢視図である。
図3(a)は、
図1の領域α1の部分拡大図であり、同図(b)は、
図1の領域β1の部分拡大図である。なお、
図3は、理解の便宜上、模式的に示している。
【0056】
これらの図に示す固体電解コンデンサA1は、コンデンサ素子1と、導電性接着層2と、樹脂パッケージ3と、枕電極4と、陽極実装端子51と、陰極実装端子52とを備える。固体電解コンデンサA1は、たとえば回路基板S1aに面実装された状態で用いられる。固体電解コンデンサA1は、
図1の上下方向の寸法がたとえば0.8mmであり、
図1の左右方向の寸法がたとえば1.6mmであり、
図1の紙面奥行き方向の寸法がたとえば0.85mmである。
【0057】
コンデンサ素子1は、多孔質焼結体11と、陽極ワイヤ12と、誘電体層13(
図3参照)と、絶縁膜14と、固体電解質層15と、導電層16とを含む。多孔質焼結体11は、直方体形状であり、タンタルもしくはニオブなどの弁作用金属よりなる。
図3(a),(b)に示すように、多孔質焼結体11には多数の細孔18が形成されている。多孔質焼結体11は、方向xを向く面11aと、方向xの反対側を向く面11cと、面11aおよび面11cとつながる4つの面11b(
図1にて2つのみ示す)とを有する。面11a,11b,11cはそれぞれ、矩形状である。陽極ワイヤ12は、タンタルもしくはニオブなどの弁作用金属よりなる。陽極ワイヤ12は、多孔質焼結体11の面11aから、方向xに向かって突出している。陽極ワイヤ12の直径は、たとえば0.15mmである。
【0058】
図3(a),(b)に示すように、誘電体層13は、多孔質焼結体11に積層されている。誘電体層13は、多孔質焼結体11を構成する弁作用金属の酸化物よりなる。このような弁作用金属の酸化物としては、五酸化タンタルや五酸化ニオブなどが挙げられる。
【0059】
図1に示すように、絶縁膜14は、多孔質焼結体11および陽極ワイヤ12を覆っている。絶縁膜14は、フッ素樹脂よりなる。本実施形態において、このようなフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、および、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)よりなる群の少なくとも一つから選択される樹脂のみを含んでなる。絶縁膜14は、固体電解質層15を形成するための溶液が陽極ワイヤ12をしみ上がることを防止するためのものである。
【0060】
図1の部分拡大図、
図2によく表れているように、絶縁膜14は、第1膜状部141と、第2膜状部142とを有する。後述するように、絶縁膜14は、フッ素よりなる樹脂材(フッ素樹脂よりなる粒状体)を溶融させることにより形成される。第1膜状部141は、陽極ワイヤ12が貫通し、且つ、陽極ワイヤ12の周方向の全体にわたって、陽極ワイヤ12に密着している。第1膜状部141は、多孔質焼結体11の面11aに沿って広がる。第1膜状部141は、面11aにおいて、面11aの端縁の近傍には形成されておらず、陽極ワイヤ12寄りの部位にのみ形成されている。第1膜状部141は、方向xを向く平坦な面141aを有する。面141aは、面141aの全体にわたって、面11aからの距離が一様である。すなわち、第1膜状部141は、第1膜状部141の全体にわたって、厚さL1aが一様である。厚さL1aは、たとえば50μm以下であり、本実施形態では、厚さL1aは2μm〜4μmである。コンデンサ素子1の体積を大きくするためには、厚さL1aはなるべく小さい方が好ましい。
図3(a)に示すように、第1膜状部141の一部は細孔18に形成されていることもある。このとき、第1膜状部141は多孔質焼結体11に食い込むように形成されているといえる。だが、ここでいう厚さL1aは、面11a(多孔質焼結体11のうち最も方向x側に位置する部位)と、面141aとの離間距離をいう。
【0061】
図1の部分拡大図によく表れているように、第2膜状部142は、方向xに向かって第1膜状部141から延びる。
図2に示すように、第2膜状部142は、陽極ワイヤ12を覆っており、且つ、陽極ワイヤ12の周方向の全体にわたって、陽極ワイヤ12に密着している。
図1の部分拡大図に示すように、第2膜状部142は、陽極ワイヤ12の径方向外方を向く面142aを有する。面142aは、面142aの全体にわたって、陽極ワイヤ12の表面からの距離が一様である。すなわち、第2膜状部142は、第2膜状部142の全体にわたって、厚さL1bが一様である。厚さL1bは、たとえば50μm以下であり、本実施形態では、厚さL1bは2μm〜4μmである。ここでいう厚さL1bは、陽極ワイヤ12の表面と、面142aとの離間距離をいう。また、第2膜状部142の厚さL1bは、第1膜状部141の厚さL1aと同一であってもよい。
【0062】
図3(b)に示すように、固体電解質層15は、誘電体層13に積層されている。固体電解質層15の一部は、細孔18に形成されている。
図1に示すように、固体電解質層15の一部は、多孔質焼結体11の面11a,11b,11cに形成されている。固体電解質層15は、面11aにおいて、陽極ワイヤ12寄りの部位には形成されておらず、面11aの端縁の近傍にのみ形成されている。固体電解質層15は、第1膜状部141と密着している。
図2に示すように、面11a上にて固体電解質層15は、第1膜状部141を囲む形状となっている。
【0063】
図1に示すように、固体電解質層15は、方向xに向かって第1膜状部141よりも隆起する部位を有する。このように固体電解質層15の隆起した部位の最大厚さL1c(
図3(b)参照)は、たとえば、2μm〜100μmである。上述のように固体電解質層15の一部は細孔18に形成されているが、ここでいう最大厚さL1cは、面11a(多孔質焼結体11のうち最も方向x側に位置する部位)と、固体電解質層15の最も隆起した部位との方向xにおける離間距離をいう。固体電解質層15は、たとえば、二酸化マンガンや導電性ポリマーよりなる。固体電解コンデンサA1が用いられる際には、固体電解質層15と誘電体層13との界面に電荷が蓄蔵される。
【0064】
導電層16は、固体電解質層15を覆っている。導電層16は、固体電解質層15と導通している。導電層16は、たとえばグラファイト層と銀層とからなる積層構造を有する。
【0065】
導電性接着層2は、たとえば銀ペーストである。樹脂パッケージ3は、たとえばエポキシ樹脂よりなる。樹脂パッケージ3は、コンデンサ素子1を保護するためのものである。
【0066】
枕電極4は、コンデンサ素子1に後述の陽極実装端子51および陰極実装端子52を取り付ける際に、陽極ワイヤ12を支持するためのものである。枕電極4は、方向xと交差する方向に延びており、本実施形態では、
図1の上下方向に延びている。枕電極4は、陽極ワイヤ12のうち第2膜状部142から離間した部位に接合され、且つ、陽極ワイヤ12と導通している。枕電極4は、たとえば、銅メッキが施された、42アロイなどのNi−Fe合金よりなる。
【0067】
陽極実装端子51および陰極実装端子52は、固体電解コンデンサA1を回路基板S1aに実装するためのものである。陽極実装端子51および陰極実装端子52はいずれも、たとえば、銅メッキが施された、42アロイなどのNi−Fe合金よりなる。
【0068】
陽極実装端子51は、枕電極4を支持し、且つ、枕電極4を介して陽極ワイヤ12と導通している。陽極実装端子51の一部は、樹脂パッケージ3から露出している。陽極実装端子51において樹脂パッケージ3から露出している面は、固体電解コンデンサA1を回路基板S1aに実装するための実装面513となっている。実装面513がハンダ89によって回路基板S1aに対し接着されることにより、固体電解コンデンサA1は回路基板S1aに対し実装される。
【0069】
陽極実装端子51は、厚肉部511と、厚肉部511よりも厚さ(
図1の上下方向における寸法)が薄い薄肉部512とを含む。厚肉部511にて実装面513と反対側に位置する面は、枕電極4を支持する支持面514となっている。支持面514は、実装面513と平行である。厚肉部511の方向x側の部分には、実装面513から支持面514側に凹むフィレット部511aが形成されている。これにより、実装面513と回路基板S1aとを接着するハンダ89の一部は、ハンダフィレットとして形成される。
【0070】
薄肉部512は、陽極実装端子51が導電層16ないし固体電解質層15に接触するのを防止するために形成されている。薄肉部512にて実装面513と反対側に位置する面は、退避面515となっている。退避面515は、実装面513と平行である。退避面515は、陽極実装端子51において、方向xと反対側の端部に位置している。退避面515は薄肉部512におけるものであるから、退避面515と実装面513との距離は、支持面514と実装面513との距離よりも小さい。退避面515は、必ずしも実装面513と平行である必要はなく、支持面514から方向xの反対側に向かうにつれて、徐々に実装面513に接近する面であってもよい。本実施形態では、退避面515は、支持面514と起立面516を介してつながっている。起立面516は、退避面515に対し垂直である面であり、退避面515から支持面514に延びる。
【0071】
陰極実装端子52は、導電性接着層2および導電層16を介して固体電解質層15と導通している。陰極実装端子52の一部は、樹脂パッケージ3から露出している。陰極実装端子52において樹脂パッケージ3から露出している面は、固体電解コンデンサA1を回路基板S1aに実装するための実装面523となっている。実装面523がハンダ89によって回路基板S1aに対し接着されることにより、固体電解コンデンサA1は回路基板S1aに対し実装される。実装面523の面積と実装面513の面積とが同一であるならば、セルフアライメントに効果的である。陰極実装端子52の方向xの反対側の部分には、陽極実装端子51と同様に、フィレット部52aが形成されている。陰極実装端子52にて実装面523と反対側に位置する面は、等価直列抵抗(ESR)を向上させる観点から、大きい方が好ましい。
【0072】
次に、
図4〜
図10を用いて固体電解コンデンサA1の製造方法の一例について説明する。まず、コンデンサ素子1の製造方法について説明する。
図4には、コンデンサ素子1の製造方法の流れを示す。
【0073】
まず、
図5に示す多孔質焼結体11’を形成する工程S1を行う。工程S1においては、たとえば、タンタルまたはニオブなどの弁作用金属の微粉末に陽極ワイヤ12’の一部を進入させた状態で加圧成形を行う。この加圧成形により得られた加圧成型体に対して焼結処理を施す。この焼結処理により、弁作用金属の微粉末どうしが焼結し、多数の細孔を有する多孔質焼結体11’が形成される。
【0074】
次に、
図5〜
図8に示すように、絶縁膜14(
図8参照)を形成する工程S2を行う。工程S2では、フッ素樹脂よりなる複数の粒状体81を陽極ワイヤ12’に付着させる工程S21(
図5〜
図7)と、複数の粒状体81を溶融させる工程S22(
図8)とを行う。本実施形態においては、工程S21を行う際に、複数の粒状体81を多孔質焼結体11’にも付着させる。以下、詳細に説明する。なお、複数の粒状体81は、樹脂材の一例に相当する。
【0075】
図5(a),(b)に示すように、複数の粒状体81を陽極ワイヤ12’に付着させる工程S21においては、先端が二股状になっている保持部材88の二股部分に、水性分散体8を保持させる。水性分散体8は、複数の粒状体81を界面活性剤で安定化させたものである。
【0076】
次に、同図(a),(b)の想像線で示すように、保持部材88を陽極ワイヤ12’に接近させ、保持部材88の二股部分を、陽極ワイヤ12’における多孔質焼結体11’の近傍部分に嵌めこむ。すると、保持部材88に保持された水性分散体8は、陽極ワイヤ12’および多孔質焼結体11’に付着する。この際に、水性分散体8は多孔質焼結体11’に偏って付着することがある。また、多孔質焼結体11’の表面状態によって、多孔質焼結体11’における水性分散体8の広がり方が異なる。そのため、後述の
図11に表れているように、第1膜状部141は、同図に示す形状となりやすい。
【0077】
次に、
図6に示すように、保持部材88を陽極ワイヤ12’から離間させる。すると、水性分散体8が陽極ワイヤ12’および多孔質焼結体11’に塗布された状態となる。次に、
図7に示すように、多孔質焼結体11’および陽極ワイヤ12’に水性分散体8を塗布したのち数秒ほど経過すると、水性分散体8中の液体成分が多孔質焼結体11’にしみ込む。そして、複数の粒状体81が多孔質焼結体11’と陽極ワイヤ12’とに付着した状態となる。このように、複数の粒状体81を陽極ワイヤ12’に付着させる工程S21を行う。
【0078】
本実施形態において水性分散体8としては、たとえば、ダイキン工業株式会社、PTFE Dシリーズ、型番D−210Cを用いることができる。この水性分散体8を用いたときの各パラメータは以下のとおりである。陽極ワイヤ12’と多孔質焼結体11’とに塗布する水性分散体8の質量は、約0.2gである。水性分散体8に対する粒状体81の濃度は、約60質量%である。粒状体81の粒子径は、たとえば0.15μm〜0.30μmである。水性分散体8に対する界面活性剤の濃度は、約6質量%/pである。水性分散体8の粘度は、15〜35(cp,25℃)である。水性分散体8の比重は、1.51〜1.54(25℃)である。水性分散体8のpHは、9〜10である。
【0079】
なお、水性分散体8としては、ダイキン工業株式会社、PTFE Dシリーズ、型番D−1Eや、ダイキン工業株式会社、PTFE Dシリーズ、型番D−311や、ダイキン工業株式会社、PTFE Dシリーズ、型番ND−110を用いるとよい。
【0080】
次に、
図8に示すように、加熱することにより粒状体81を溶融させる工程S22を行う。粒状体81が溶融することにより、絶縁膜14が形成される。工程S22は、たとえば、粒状体81の融点より高い温度の加熱炉にて行う。粒状体81がPTFEである場合、粒状体81の融点は327℃であるため、工程S22は約340℃の加熱炉にて行うとよい。粒状体81がPFAである場合、粒状体81の融点は304〜310℃であるため、工程S22は約340℃の加熱炉にて行うとよい。粒状体81がFEPである場合、粒状体81の融点は280℃であるため、工程S22は約300℃の加熱炉にて行うとよい。
【0081】
なお、工程S22では、陽極ワイヤ12が酸化することを防止するため、陽極ワイヤ12を加熱する時間を短くすることが好ましい。工程S22では、粒状体81と多孔質焼結体11’とを挟み込むようなヒートブロックを用いて、粒状体81を溶融させるとよい。これにより、陽極ワイヤ81をあまり加熱することなく粒状体81を溶融させることができる。
【0082】
本実施形態において、絶縁膜14は、多孔質焼結体11’と陽極ワイヤ12’とに形成される。絶縁膜14のうち多孔質焼結体11’に形成されるものは、第1膜状部141となる。絶縁膜14のうち陽極ワイヤ12’に形成されるものは、第2膜状部142となる。絶縁膜14は、複数の粒状体81が溶融することにより形成されている。そのため、第1膜状部141および第2膜状部142は、陽極ワイヤ12’に密着したものとなる。また複数の粒状体81が溶融する際には、溶融した樹脂が多孔質焼結体11’にわずかに入り込むと考えられる。そのため、第1膜状部141の一部は、多孔質焼結体11’における細孔内に形成されることがある。
【0083】
なお、絶縁膜14の厚さをより厚くするために、絶縁膜14を形成する工程S2を繰り返し行ってもよい。また、絶縁膜14の厚さをより薄くするために、工程21にて、水性分散体8を水で希釈したものを陽極ワイヤ12’に塗布してもよい。
【0084】
次に、誘電体層13を形成する工程S3を行う。工程S3は、たとえば、多孔質焼結体11’をリン酸水溶液の化成液に漬けた状態で陽極酸化処理を施すことによりなされる。
【0085】
次に、
図9に示すように、固体電解質層15を形成する工程S4を行う。工程S4においては、誘電体層13が形成された多孔質焼結体11を、水溶液87に漬ける。水溶液87は、たとえば、硝酸マンガンの水溶液、もしくは、導電性ポリマの水溶液である。多孔質焼結体11を水溶液87に漬けるとき、水溶液87の界面が絶縁膜14を超えない位置関係とする。水溶液87は絶縁膜14との間に表面張力が生じ、絶縁膜14には水溶液87は付着しない。仮に絶縁膜14に水溶液87が一時的に付着しても、その後、多孔質焼結体11を水溶液87から引き揚げた時に、水溶液87は絶縁膜14から流れ落ちる。多孔質焼結体11を水溶液87から引き揚げた後には、焼成処理を施す。多孔質焼結体11を水溶液87に漬け、その後、焼成処理を施す当該作業を繰り返すことにより、固体電解質層15を形成することができる。
【0086】
図11(a)〜(d)に、固体電解質層15を形成する工程S4を終えた時の素子を、SEM(Scanning Electron Microscope)を用いて撮影した写真を4種類示す。
【0087】
同図に示すように、固体電解質層15が第1膜状部141を囲むように形成されている。第1膜状部141の縁は真円ではない歪んだ形状となっている。すなわち、第1膜状部141は、方向x視において、陽極ワイヤ12を通る線(図示略)を挟んで、非対称な形状となっている。また、
図11(d)に示すように、第1膜状部の縁は、近接部位141nと、離間部位141mとを有する。近接部位141nと陽極ワイヤ12との距離は、離間部位141mと陽極ワイヤ12との距離よりも小さい。同図に表れていないが、第1膜状部141の縁は真円であってもよい。
図11(a)〜(d)に示す素子における第2膜状部142は、
図1に示す第2膜状部142の方向xにおける寸法とは異なる。第2膜状部142の方向xにおける寸法は、工程S2にて陽極ワイヤ12’に塗布する水性分散体8の量を調整することにより、適宜調整することができる。
【0088】
次に、
図10に示すように、たとえばグラファイト層および銀層からなる導電層16を形成する工程S5を行う。以上の工程S1〜S5を経ることにより、コンデンサ素子1が製造される。
【0089】
次に、導電性接着層2を介して、導電層16と陰極実装端子52を接合する。また、たとえば溶接をすることにより、陽極ワイヤ12に枕電極4および陽極実装端子51を接合する。そして、コンデンサ素子1を覆うように樹脂パッケージ3をモールド成形する。以上の工程を経ることにより、
図1に示す固体電解コンデンサA1を製造することができる。
【0090】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0091】
固体電解コンデンサA1においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、絶縁膜14は陽極ワイヤ12に、より密着したものとなる。したがって、固体電解質層15を形成する工程S4にて、陽極ワイヤ12と絶縁膜14との間を毛細管現象によって水溶液87がしみ上がることを、抑制することができる。
【0092】
従来、水溶液87がしみ上がることを防止するために、絶縁樹脂よりなる板を打ち抜いたワッシャーを用いている。この場合には、ワッシャーを陽極ワイヤ12に適切に嵌めこむことができないといった不具合が生じることがある。しかしながら、本実施形態にかかる固体電解コンデンサA1において、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成されている。そのため、固体電解コンデンサA1は、水溶液87がしみ上がることを防止するためのワッシャーを用いる必要がない。したがって、固体電解コンデンサA1によると、ワッシャーを用いたことに起因する上述の不具合を回避することができる。
【0093】
図12に、従来のようにワッシャーを用いた場合の
図11に相当する写真を、比較例として示す。
【0094】
上述のように、粒状体81の粒子径は、たとえば0.15μm〜0.30μmである。当該粒子径は、従来用いられているワッシャー97(
図12参照)の厚み(150μm程度)よりも極めて小さい。そのため、従来のようにワッシャーを用いる場合と比較して、複数の粒状体81を溶融させることにより第1膜状部141を形成する本実施形態にかかる製造方法は、第1膜状部141の厚さL1aを小さくするのに適する。第1膜状部141の厚さL1aを小さくすることができると、方向xにおける固体電解コンデンサA1の寸法を維持する場合であっても、方向xにおける多孔質焼結体11の寸法を大きくすることができる。したがって、本実施形態にかかる製造方法は、固体電解コンデンサA1の大容量化を図るのに適する。一方、第1膜状部141の厚さL1aを小さくすることができると、固体電解コンデンサA1の容量を維持する場合であっても、方向xにおける固体電解コンデンサA1の寸法を小さくすることができる。したがって、本実施形態にかかる製造方法は、固体電解コンデンサA1の小型化を図るのに適する。
【0095】
本実施形態において、複数の粒状体81を陽極ワイヤ12’に付着させる工程S21は、水性分散体8を陽極ワイヤ12’および多孔質焼結体11’に塗布することにより行っている。水性分散体8にて複数の粒状体81は分散した状態となっている。そのため、本実施形態にかかる方法は、複数の粒状体81を分散した状態で陽極ワイヤ12’に付着させるのに適している。
【0096】
図13、
図14を用いて、本発明の第1実施形態の第1変形例について説明する。
図13は、本変形例にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。
【0097】
同図に示す固体電解コンデンサA11は、第2膜状部142の方向xにおける寸法が、固体電解コンデンサA1の第2膜状部142の方向xにおける寸法より大きい点において、上述の固体電解コンデンサA1と異なる。
【0098】
固体電解コンデンサA11においては、枕電極4が第2膜状部142に接している。第2膜状部142には開口142bが形成されている。枕電極4は、陽極ワイヤ12のうち開口142bから露出する部位に接合されている。
【0099】
固体電解コンデンサA11を製造するには、固体電解コンデンサA1を形成する場合と同様に、工程S1〜S5を経ることにより、
図14に示すコンデンサ素子1を形成する。本変形例においては、陽極ワイヤ12’の多孔質焼結体11’からやや離間した部位にも第2膜状部142を形成する。
【0100】
その後、固体電解コンデンサA1を形成する場合と同様の工程を行うことにより、
図13に示す固体電解コンデンサA11が製造される。本変形例においては、溶接によって枕電極4を陽極ワイヤ12に接合する際に、第2膜状部142の一部が切削されることにより、開口142bが形成される。
【0101】
図15は、本発明の第1実施形態の第2変形例にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。
図16は、
図15に示す固体電解コンデンサの左側面図である。同図に示す固体電解コンデンサA12は、陽極ワイヤ12、第2膜状部142、および枕電極4が樹脂パッケージ3から露出している点において、固体電解コンデンサA11と相違する。陽極ワイヤ12の端面12a、第2膜状部142の端面142c、枕電極4の端面4a、および樹脂パッケージ3の端面3aは、面一となっている。このような固体電解コンデンサA12は、切断線CL1に沿って切断されることにより製造されたものである。
【0102】
図17は、本発明の第1実施形態の第3変形例にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。同図に示す固体電解コンデンサA13は、退避面515および起立面516に形成された絶縁層518を更に備えている点において、固体電解コンデンサA1と相違する。このような構成によると、陽極実装端子51が導電層16ないし固体電解質層15と接触し導通することを、防止することができる。絶縁層518を備える本変形例の構成は、上述の固体電解コンデンサA11,A12にも適用できる。
【0103】
図18は、本発明の第1実施形態の第4変形例にかかる固体電解コンデンサを示す側面図である。同図に示す固体電解コンデンサA14は、枕電極4が陽極ワイヤ12に近づくにつれ幅狭となる台形状である点において、上述の固体電解コンデンサA12と異なる。このような構成によると、陽極ワイヤ12と枕電極4とを溶接により接合する際、枕電極4の幅狭となっている部分は多くの電流が流れるため、発熱しやすい。そのため、溶接により陽極ワイヤ12と枕電極4とを接合する際、枕電極4のうち陽極ワイヤ12の近傍の部分を溶融させやすい。したがって当該構成によると、溶接によって陽極ワイヤ12と枕電極4とを接合しやすくなる。
【0104】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。これらの実施形態では、第1実施形態と同一または類似の要素には、第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
[第2実施形態]
図19〜
図23を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図19は、本実施形態にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。
【0106】
同図に示す固体電解コンデンサA2は、絶縁膜14が多孔質焼結体11に形成されておらず、陽極ワイヤ12における多孔質焼結体11から離間した部位にのみ形成されている点において、固体電解コンデンサA1と主に相違する。固体電解コンデンサA2の構成は、絶縁膜14および固体電解質層15を除き、固体電解コンデンサA1と同様である。以下では、固体電解コンデンサA1の構成と同様のものについての説明は省略する。
【0107】
絶縁膜14は、多孔質焼結体11から離間しており、方向xに向かって延びる形状である。絶縁膜14は、陽極ワイヤ12を覆っており、且つ、陽極ワイヤ12の周方向の全体にわたって、陽極ワイヤ12に密着している。絶縁膜14は、陽極ワイヤ12の径方向外方を向く面14aを有する。面14aは、面14aの全体にわたって、陽極ワイヤ12の表面からの距離が一様である。すなわち、絶縁膜14は、絶縁膜14の全体にわたって、厚さL1dが一様である。厚さL1dは、たとえば50μm以下であり、本実施形態では、厚さL1dは2μm〜4μmである。ここでいう厚さL1dは、陽極ワイヤ12の表面と、面14aとの離間距離をいう。
【0108】
固体電解質層15は、多孔質焼結体11の細孔、多孔質焼結体11の面11a,11b,11cに加え、陽極ワイヤ12にも形成されている。固体電解質層15は、面11aの全体を覆っている。
【0109】
図19の部分拡大図に示すように、固体電解質層15は、陽極ワイヤ12の径方向に向かって絶縁膜14よりも隆起する部位を有する。このように固体電解質層15の隆起した部位の最大厚さL1eは、たとえば、10μm〜100μmである。ここでいう最大厚さL1eは、陽極ワイヤ12の表面と、固体電解質層15の最も隆起した部位との上記径方向における離間距離をいう。
【0110】
次に、
図20〜
図23を用いて固体電解コンデンサA2の製造方法の一例について説明する。本実施形態においても、第1実施形態と同様に工程S1〜S5が行われる。
【0111】
まず、
図20に示す多孔質焼結体11’を形成する工程S1を行う。
【0112】
次に、
図20〜
図22に示すように、絶縁膜14(
図22参照)を形成する工程S2を行う。本実施形態では、
図20に示すように、水性分散体8を、陽極ワイヤ12’にのみ塗布する。すると、
図21に示すように、複数の粒状体81が多孔質焼結体11’に付着せずに、陽極ワイヤ12’にのみ付着した状態となる。このように、複数の粒状体81を陽極ワイヤ12’に付着させる工程S21を行う。次に、
図22に示すように、加熱することにより粒状体81を溶融させる工程S22を行う。以上のように、絶縁膜14が形成される。
【0113】
次に、誘電体層13を形成する工程S3を行う。誘電体層13を形成する工程S3は、たとえば、多孔質焼結体11’をリン酸水溶液の化成液に漬けた状態で陽極酸化処理を施すことによりなされる。
【0114】
次に、
図23に示すように、固体電解質層15を形成する工程S4を行う。固体電解質層15を形成する工程S4においては、誘電体層13が形成された多孔質焼結体11を、水溶液87に漬ける。多孔質焼結体11を水溶液87に漬けるとき、水溶液87の界面が絶縁膜14を超えない位置関係とする。
【0115】
その後、導電層16を形成する工程S5を行う。さらに、枕電極4、陽極実装端子51、陰極実装端子52、および樹脂パッケージ3を形成することにより、
図19に示す固体電解コンデンサA2を製造することができる。
【0116】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0117】
固体電解コンデンサA2においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、絶縁膜14は陽極ワイヤ12に、より密着したものとなる。したがって、固体電解質層15を形成する工程S4にて陽極ワイヤ12と絶縁膜14との間を毛細管現象によって水溶液87が通りしみ上がることを、抑制することができる。
【0118】
本実施形態にかかる固体電解コンデンサA2においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、固体電解コンデンサA2は、水溶液87がしみ上がることを防止するためのワッシャーを用いる必要がない。したがって、固体電解コンデンサA2によると、ワッシャーを用いたことに起因する第1実施形態で述べた不具合を回避することができる。
【0119】
本実施形態において、複数の粒状体81を陽極ワイヤ12’に付着させる工程S21は、水性分散体8を陽極ワイヤ12’に塗布することにより行っている。水性分散体8にて複数の粒状体81は分散した状態となっている。そのため、本実施形態にかかる方法は、複数の粒状体81を分散した状態で陽極ワイヤ12’に付着させるのに適している。
【0120】
図24は、本発明の第2実施形態の第1変形例にかかる固体電解コンデンサについて示す断面図である。同図に示す固体電解コンデンサA21は、絶縁膜14の形状が、固体電解コンデンサA2と相違する。
【0121】
固体電解コンデンサA21においては、枕電極4が絶縁膜14に接している。絶縁膜14に開口14bが形成されている。枕電極4は、陽極ワイヤ12のうち開口14bから露出する部位に接合されている。
【0122】
図25は、本発明の第1実施形態の第2変形例にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。同図に示す固体電解コンデンサA22は、陽極ワイヤ12、絶縁膜14、および枕電極4が樹脂パッケージ3から露出している点において、固体電解コンデンサA21と相違する。陽極ワイヤ12の端面12a、絶縁膜14の端面14c、枕電極4の端面4a、および、樹脂パッケージ3の端面3aは、面一となっている。このような固体電解コンデンサA22は、切断線CL2に沿って切断されることにより製造されたものである。
【0123】
固体電解コンデンサA2,A21,A22には、第1実施形態の第3変形例で述べた絶縁層を備える構成を適用することができる。
【0124】
[第3実施形態]
図26は、本発明の第3実施形態にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。同図に示す固体電解コンデンサA3は、陽極ワイヤ12が多孔質焼結体11の面11aの中央から突出しておらず、面11aの中央から偏心した位置より突出している点において、第1実施形態にかかる固体電解コンデンサA1と相違する。
【0125】
固体電解コンデンサA3は、固体電解コンデンサA1と同様の方法を用いて製造することができる。
【0126】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0127】
固体電解コンデンサA3においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、絶縁膜14は陽極ワイヤ12に、より密着したものとなる。したがって、固体電解質層15を形成する工程S4にて、陽極ワイヤ12と絶縁膜14との間を毛細管現象によって水溶液87がしみ上がることを、抑制することができる。
【0128】
本実施形態にかかる固体電解コンデンサA3においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、固体電解コンデンサA3は、水溶液87がしみ上がることを防止するためのワッシャーを用いる必要がない。したがって、固体電解コンデンサA3によると、ワッシャーを用いたことに起因する第1実施形態で述べた不具合を回避することができる。
【0129】
固体電解コンデンサA3は、固体電解コンデンサA1に関して述べたのと同様の理由により、大容量化および小型化を図るのに適する。
【0130】
さらに、固体電解コンデンサA3によると、枕電極4の同図の上下方向における寸法L1mを小さくすることができる。寸法L1mが小さいと、枕電極4は、陽極ワイヤ12に接合される際に変形しにくい。そのため、固体電解コンデンサA3によると、枕電極4が変形することにより枕電極4と陽極実装端子51とを適切に接合できなくなるといった不具合を、抑制することができる。
【0131】
固定電解コンデンサA3は、固形物であるワッシャーを備えていない。固体電解コンデンサA3における絶縁膜14は、液状物である水性分散体8を用いて形成される。そのため、面11aの中央から偏心した位置より陽極ワイヤ12が突出している固体電解コンデンサA3を製造する場合であっても、絶縁膜14を形成するために、ワッシャーなどの材料を変更する必要がない。そのため、固体電解コンデンサA3を製造する場合には、コストを抑制しつつ、設計を変更することができる。
【0132】
なお、面11aの中央から偏心した位置より陽極ワイヤ12が突出する本実施形態にかかる構成は、上述の固体電解コンデンサA11,A12,A13,A2,A21,A22にも適用できる。
【0133】
[第4実施形態]
図27〜
図29を用いて本発明の第4実施形態について説明する。
図27は、本実施形態にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。
図28は、
図27のXXVIII方向矢視図である。
図29は、
図27に示した固体電解コンデンサの底面図である。
【0134】
これらの図に示す固体電解コンデンサA4は、枕電極4を備えておらず、且つ、陽極実装端子51と陰極実装端子52との断面がL字状である点において、固体電解コンデンサA1と主に相違する。
【0135】
陽極ワイヤ12は、樹脂パッケージ3から露出している。陽極ワイヤ12は、樹脂パッケージ3から露出している端面12aを有する。
【0136】
陽極実装端子51は、実装面513と端面517とを有する。実装面513および端面517は樹脂パッケージ3から露出している。実装面513および端面517は矩形状を呈する。
図28に示すように、本実施形態において端面517は、台形状を呈する。端面517は、陽極ワイヤ12の端面12aと面一となっている。陽極実装端子51は、表面にメッキが施された一つの板状部材を折り曲げ成形されている。そのため、実装面513および端面517にはいずれも、メッキが施されている。これにより、固体電解コンデンサA4が回路基板S1aに実装される際には、実装面513のみならず端面517にも、回路基板S1aと接着するためのハンダ89を付着させることができる。したがって、このような構成によれば、視認性の高いハンダフィレットを形成することができる。
【0137】
陰極実装端子52は、実装面523と端面527とを有する。実装面523および端面527は樹脂パッケージ3から露出している。実装面523および端面527は矩形状を呈する。陰極実装端子52は、陽極実装端子51と同様に、一つの板状部材を折り曲げ成形されている。そのため、実装面523および端面527にはいずれも、銅などのメッキが施されている。これにより、固体電解コンデンサA4が回路基板S1aに実装される際には、実装面523のみならず端面527にも、回路基板S1aと接着するためのハンダ89を付着させることができる。したがって、このような構成によれば、視認性の高いハンダフィレットを形成することができる。
【0138】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0139】
固体電解コンデンサA4においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、絶縁膜14は陽極ワイヤ12に、より密着したものとなる。したがって、固体電解質層15を形成する工程S4にて、陽極ワイヤ12と絶縁膜14との間を毛細管現象によって水溶液87がしみ上がることを、抑制することができる。
【0140】
本実施形態にかかる固体電解コンデンサA4においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、固体電解コンデンサA4は、水溶液87がしみ上がることを防止するためのワッシャーを用いる必要がない。したがって、固体電解コンデンサA4によると、ワッシャーを用いたことに起因する第1実施形態で述べた不具合を回避することができる。
【0141】
固体電解コンデンサA4は、固体電解コンデンサA1に関して述べたのと同様の理由により、大容量化および小型化を図るのに適する。
【0142】
図30〜
図32は、本発明の第4実施形態の変形例をそれぞれ示す断面図である。これらの図に示す固体電解コンデンサA41,A42,A43はそれぞれ、上述の固体電解コンデンサA12,A2,A22に対応する。固体電解コンデンサA41,A42,A43はそれぞれ、陽極ワイヤ12に接合されているものが枕電極4でなく陽極実装端子51である点を除き、固体電解コンデンサA12,A2,A22と略同様である。そのため、本実施形態の変形例についての説明を省略する。
【0143】
[第5実施形態]
図33は、本発明の第5実施形態にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。同図に示す固体電解コンデンサA5は、陽極実装端子51および陰極実装端子52の形状が、固体電解コンデンサA4と相違する。
【0144】
本実施形態においても、陽極実装端子51は陽極ワイヤ12に接合している。陽極実装端子51は、実装面513と、露出面519b,519cと、端面519dとを有する。実装面513は、方向xに沿って延びている。露出面519bは、実装面513とつながり、方向xを向いている。露出面519cは、露出面519bとつながり、方向xに沿って延びている。端面519dは、露出面519cとつながり、陽極ワイヤ12の端面12aと面一となっている。陰極実装端子52も陽極実装端子51と同一形状である。
【0145】
このような固体電解コンデンサA5は、切断線CL3に沿って切断されることにより製造されたものである。また、陽極実装端子51は、一つの板状部材を折り曲げ成形されている。そのため、実装面513、露出面519b,519cにはいずれも、銅などのメッキが施されている。これにより、固体電解コンデンサA5が回路基板S1aに実装される際には、実装面513のみならず露出面519b,519cにも、回路基板S1aと接着するためのハンダ89を付着させることができる。したがって、このような構成によれば、陽極実装端子51に、視認性の高いハンダフィレットを形成することができる。同様の理由により、陰極実装端子52にも視認性の高いハンダフィレットを形成することができる。
【0146】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0147】
固体電解コンデンサA5においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、絶縁膜14は陽極ワイヤ12に、より密着したものとなる。したがって、固体電解質層15を形成する工程S4にて、陽極ワイヤ12と絶縁膜14との間を毛細管現象によって水溶液87がしみ上がることを、抑制することができる。
【0148】
本実施形態にかかる固体電解コンデンサA5においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、固体電解コンデンサA5は、水溶液87がしみ上がることを防止するためのワッシャーを用いる必要がない。したがって、固体電解コンデンサA5によると、ワッシャーを用いたことに起因する第1実施形態で述べた不具合を回避することができる。
【0149】
固体電解コンデンサA5は、固体電解コンデンサA1に関して述べたのと同様の理由により、大容量化および小型化を図るのに適する。
【0150】
図34〜
図36は、本発明の第5実施形態の変形例をそれぞれ示す断面図である。これらの図に示す固体電解コンデンサA51,A52,A53はそれぞれ、上述の固体電解コンデンサA12,A2,A22に対応する。固体電解コンデンサA51,A52,A53はそれぞれ、陽極ワイヤ12に接合されているものが枕電極4でなく、陽極実装端子51である点を除き、固体電解コンデンサA12,A2,A22と略同様である。そのため、本実施形態の変形例についての説明を省略する。
【0151】
[第6実施形態]
図37は、本発明の第6実施形態にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。
【0152】
同図に示す固体電解コンデンサA6は、陽極実装端子51、および陰極実装端子52を備えておらず、プリント基板6を備えている点において、第1実施形態にかかる固体電解コンデンサA1と主に相違する。なお、固体電解コンデンサA6では、陽極ワイヤ12が多孔質焼結体11の面11aの中央から突出しておらず、面11aの中央から偏心した位置より突出している。
【0153】
プリント基板6は、基材61と、表面陽極膜62と、表面陰極膜63と、実装陽極膜64と、実装陰極膜65と、スルーホール電極66,67とを含む。
【0154】
基材61は、たとえばガラスエポキシ樹脂よりなる。基材61は、陽極ワイヤ12を向く第1面611と、第1面611と反対側の第2面612とを有する。基材61には、段差部617が形成されている。段差部617は、第2面612の方向xにおける端部において、第2面612から第1面611側に凹む形状である。
【0155】
表面陽極膜62、表面陰極膜63、実装陽極膜64、および実装陰極膜65を構成する材料は、たとえばCu、Au、Ag、Al、Niなどの導電性材料から適宜選択される。
【0156】
表面陽極膜62および表面陰極膜63はいずれも、第1面611に形成されている。本実施形態において、表面陽極膜62は枕電極4を支持している。これにより表面陽極膜62は、枕電極4を介して、陽極ワイヤ12と導通している。
【0157】
表面陰極膜63は、導電性接着層2により導電層16と接着されている。これにより、表面陰極膜63は、導電性接着層2を介して、導電層16や固体電解質層15と導通している。表面陰極膜63は、第1面611の大部分を占めている。これは、等価直列抵抗(ESR)を向上させるのに適している。
【0158】
実装陽極膜64および実装陰極膜65は、第2面612に形成されている。実装陽極膜64は、基材61に形成されたスルーホール電極66を介して、表面陽極膜62と導通している。これにより、実装陽極膜64は、陽極ワイヤ12と導通している。実装陰極膜65は、基材61に形成されたスルーホール電極67を介して、表面陰極膜63と導通している。これにより、実装陰極膜65は、導電層16や固体電解質層15と導通している。実装陽極膜64および実装陰極膜65がハンダ89によって回路基板S1aに対し接着されることにより、固体電解コンデンサA6は回路基板S1aに対し実装される。
【0159】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0160】
固体電解コンデンサA6においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、絶縁膜14は陽極ワイヤ12に、より密着したものとなる。したがって、固体電解質層15を形成する工程S4にて、陽極ワイヤ12と絶縁膜14との間を毛細管現象によって水溶液87がしみ上がることを、抑制することができる。
【0161】
本実施形態にかかる固体電解コンデンサA6においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、固体電解コンデンサA6は、水溶液87がしみ上がることを防止するためのワッシャーを用いる必要がない。したがって、固体電解コンデンサA6によると、ワッシャーを用いたことに起因する第1実施形態で述べた不具合を回避することができる。
【0162】
図37に示すように、固体電解コンデンサA6を回路基板S1aに実装する際には、基材61にハンダ89は付着せず、ハンダ89は、実装陽極膜64や実装陰極膜65に付着するのみである。また、基材61には、段差部617が形成されている。そのため、固体電解コンデンサA6によると、方向xにおいて基材61や樹脂パッケージ3と重なる領域に、ハンダフィレットを形成することができる。これにより、固体電解コンデンサA6の実装密度を向上させることが可能となる。さらに、固体電解コンデンサA6は、固体電解コンデンサA1に関して述べたのと同様の理由により、大容量化および小型化を図るのに適する。したがって、固体電解コンデンサA6を備える電子製品の小型化を図ることができる。
【0163】
固体電解コンデンサA6の構成は、上述の固体電解コンデンサA11,A12,A2,A21,A22にも適用できる。
【0164】
[第7実施形態]
図38、
図39を用いて、本発明の第7実施形態について説明する。
図38は、本実施形態にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。
【0165】
同図に示す固体電解コンデンサA7は、コンデンサ素子1と、導電性接着層2と、樹脂パッケージ3と、基材71と、実装陽極膜72と、実装陰極膜73と、側面陽極膜74と、側面陰極膜75とを備える。固体電解コンデンサA7における、コンデンサ素子1、および、導電性接着層2の各構成は固体電解コンデンサA1と略同様であるから説明を省略する。
【0166】
基材71は、たとえばガラスエポキシ樹脂よりなる。基板71の厚さは、たとえば50μmである。基板71にはスルーホール電極が形成されていない。基材71は、陽極ワイヤ12を向く第1面711と、第1面711と反対側の第2面712とを有する。第1面711は、導電性接着層2によって、導電層16と接着されている。
【0167】
実装陽極膜72および実装陰極膜73はいずれも第2面712に形成されている。実装陽極膜72および実装陰極膜73を構成する材料は、たとえばCu、Au、Ag、Al、Niなどの導電性材料から適宜選択される。
【0168】
陽極ワイヤ12の端面12a、樹脂パッケージ3の端面3a、基材71の端面71a、および、実装陽極膜72の端面72aは、面一となっている。同様に、樹脂パッケージ3の端面3b、導電性接着層2の端面2b、基材71の端面71b、および、実装陰極膜73の端面73bは、面一となっている。
【0169】
側面陽極膜74は、端面12a,3a,71a,72aを覆っている。側面陽極膜74は、陽極ワイヤ12および実装陽極膜72のいずれとも接している。これにより、側面陽極膜74を介して、実装陽極膜72が陽極ワイヤ12と導通している。
【0170】
側面陰極膜75は、端面3b,2b,71b,73bを覆っている。側面陰極膜75は、導電性接着層2および実装陰極膜73のいずれとも接している。これにより、側面陰極膜75および導電性接着層2を介して、実装陰極膜73が導電層16や固体電解質層15と導通している。
【0171】
図39を用いて、固体電解コンデンサA7の製造方法を簡単に説明する。
【0172】
まず、第1実施形態で説明した方法と同様に、同図に示すコンデンサ素子1を製造する。次に、導電性接着層2を介して、コンデンサ素子1と、実装陽極膜72および実装陰極膜73が形成された基材71とを、接合する。次に、コンデンサ素子1を樹脂パッケージ3により覆う。これにより、同図に示す中間品が得られる。次に、当該中間品を切断線CL4,CL5により切断する。これにより、
図38に示した端面12a,3a,71a,72a、および、端面3b,2b,71b,73bが形成される。次に、メッキによって、側面陽極膜74および側面陰極膜75を形成することにより、
図38に示す固体電解コンデンサA7が得られる。
【0173】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0174】
固体電解コンデンサA7においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、絶縁膜14は陽極ワイヤ12に、より密着したものとなる。したがって、固体電解質層15を形成する工程S4にて、陽極ワイヤ12と絶縁膜14との間を毛細管現象によって水溶液87がしみ上がることを、抑制することができる。
【0175】
本実施形態にかかる固体電解コンデンサA7においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、固体電解コンデンサA7は、水溶液87がしみ上がることを防止するためのワッシャーを用いる必要がない。したがって、固体電解コンデンサA7によると、ワッシャーを用いたことに起因する第1実施形態で述べた不具合を回避することができる。
【0176】
固体電解コンデンサA7は、固体電解コンデンサA1に関して述べたのと同様の理由により、大容量化および小型化を図るのに適する。
【0177】
図40〜
図42は、本発明の第7実施形態の変形例をそれぞれ示す断面図である。これらの図に示す固体電解コンデンサA71,A72,A73はそれぞれ、上述の固体電解コンデンサA12,A2,A22に対応する。固体電解コンデンサA71,A72,A73は、絶縁膜14の形状が異なること以外は、固体電解コンデンサA7と略同様である。そのため、本実施形態にかかる変形例についての説明を省略する。
【0178】
本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0179】
上述の実施形態では、誘電体層13を形成する工程S3を終えた後に素子を扱うことを避けるため、絶縁膜14を形成する工程S2の後に誘電体層13を形成する工程S3を行う例を示した。逆に、誘電体層13を形成する工程S3の後に絶縁膜14を形成する工程S2を行ってもよい。このようにしても、上述の実施形態で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0180】
[第8実施形態]
図43は、本発明の第8実施形態にかかる固体電解コンデンサを示す断面図である。
図44は、
図43のXLIV−XLIV線に沿う断面図である。
図44では、樹脂パッケージ3を省略し、想像線で示している。
【0181】
同図に示す固体電解コンデンサA8は、コンデンサ素子1と、導電性接着層2と、樹脂パッケージ3と、枕電極4と、陽極実装端子51と、陰極実装端子52とを備える。固体電解コンデンサA8において、コンデンサ素子1および陽極実装端子51を除き、導電性接着層2、樹脂パッケージ3、枕電極4、および陰極実装端子52の各構成は、上述の固体電解コンデンサA12と同様であるから、説明を省略する。
【0182】
コンデンサ素子1は、多孔質焼結体11と、陽極ワイヤ12と、誘電体層13と、絶縁膜14と、固体電解質層15と、導電層16とを含む。本実施形態において、絶縁膜14、固体電解質層15、および導電層16を除き、多孔質焼結体11、陽極ワイヤ12、誘電体層13の各構成は、上述の固体電解コンデンサA12と同様であるから、説明を省略する。本実施形態では、多孔質焼結体11の4つ面11bを、第1側面111b,第2側面112b,113b、第3側面114bとしている。第1側面111b,第2側面112b,113b、および第3側面114bはいずれも、方向xに垂直である方向を向く。
【0183】
本実施形態において、絶縁膜14は、第1膜状部141と第2膜状部142とに加え、第1側面膜状部143を有する。第1膜状部141および第2膜状部142の各構成は、上述の固体電解コンデンサA12と同様であるから、説明を省略する。
【0184】
第1側面膜状部143は、多孔質焼結体11の第1側面111bを覆っている。第1側面膜状部143は第1膜状部141につながる。
図43の部分拡大図に示すように、第1側面膜状部143は、陽極ワイヤ12の径方向外方を向く面143aを有する。面143aは、面143aの全体にわたって、第1側面111bからの距離が一様である。すなわち、面143aは、面143aの全体にわたって、厚さL1fが一様である。厚さL1fは、たとえば50μm以下であり、本実施形態では、厚さL1fは2μm〜4μmである。ここでいう厚さL1fは、面143aと、第1側面111bとの離間距離をいう。また、第1側面膜状部143の厚さL1bは、第1膜状部141の厚さL1a(
図1参照)と同一であってもよい。
【0185】
図43の部分拡大図に示すように、固体電解質層15は、陽極ワイヤ12の径方向(径方向は方向xに直交する)に向かって第1側面膜状部143よりも隆起する部位を有する。このように固体電解質層15の隆起した部位の最大厚さL1gは、たとえば、10μm〜100μmである。ここでいう最大厚さL1gは、第1側面111bと、固体電解質層15の最も隆起した部位との上記径方向における離間距離をいう。なお、固体電解コンデンサA8においては、第2側面112b,113bおよび第3側面114bのいずれも絶縁膜14に覆われていない。第2側面112b,113bおよび第3側面114bの各面の全体は、固体電解質層15に覆われている。
【0186】
導電層16は、固体電解質層15を覆っており、第1膜状部141、第2膜状部142および第1側面膜状部143のいずれをも覆っていない。導電層16は、たとえばグラファイト層と銀層とからなる積層構造を有する。
【0187】
陽極実装端子51は、固体電解コンデンサA12における構成と同様である。本実施形態において陽極実装端子51は、より具体的には次のとおりの構成を有する。
図43に示すように、陽極実装端子51は、陽極ワイヤ12よりも第1側面111bが向く側に位置する。陽極実装端子51は、方向xにおいて第1側面膜状部143と重なる。陽極実装端子51は、樹脂パッケージ3の一部を挟んで第1側面膜状部143に対向している。陽極実装端子51は、方向xにおいて、固体電解質層15の方向x側の端部および導電層16の端部のいずれとも離間している。すなわち、固体電解質層15の方向x側の端部および導電層16の端部のいずれよりも、陽極実装端子51は、方向x側に位置している。
図44に示すように、方向xに直交する面による断面にて、方向xと第1側面111bが向く方向とのいずれにも直交する方向(同図の左右方向)における陽極実装端子51の最大寸法は、方向xと第1側面111bが向く方向とのいずれにも直交する方向(同図の左右方向)における多孔質焼結体の最大寸法よりも小さい。
【0188】
次に、固体電解コンデンサA8の製造方法について簡単に説明する。
【0189】
まず、
図45に示す多孔質焼結体11’を形成する工程S1を行う。
【0190】
次に、
図45〜
図47に示すように、絶縁膜14(
図47参照)を形成する工程S2を行う。本実施形態では、
図45に示すように、保持部材88を用いて、水性分散体8を、陽極ワイヤ12’および多孔質焼結体11’の面11a’および第1側面111b’に塗布する。水性分散体8の塗布は、陽極ワイヤ12’を鉛直方向に対し傾けた状態で行う。すると、
図46に示すように、複数の粒状体81が陽極ワイヤ12’および面11a’および第1側面111b’に付着した状態となる。このように、複数の粒状体81を陽極ワイヤ12’に付着させる工程S21を行う。次に、
図47に示すように、加熱することにより粒状体81を溶融させる工程S22を行う。以上のように、絶縁膜14が形成される。
【0191】
次に、第1実施形態で述べたのと同様にして、誘電体層13を形成する工程S3と、固体電解質層15を形成する工程S4とを行う。その後、導電層16を形成する工程S5を行う。さらに、枕電極4、陽極実装端子51、陰極実装端子52、および樹脂パッケージ3を形成することにより、
図43に示す固体電解コンデンサA8を製造することができる。
【0192】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0193】
固体電解コンデンサA8においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、絶縁膜14は陽極ワイヤ12に、より密着したものとなる。したがって、固体電解質層15を形成する工程S4にて陽極ワイヤ12と絶縁膜14との間を毛細管現象によって水溶液87が通りしみ上がることを、抑制することができる。
【0194】
本実施形態にかかる固体電解コンデンサA8においては、絶縁膜14は、複数の粒状体81を溶融することにより形成される。そのため、固体電解コンデンサA8は、水溶液87がしみ上がることを防止するためのワッシャーを用いる必要がない。したがって、固体電解コンデンサA8によると、ワッシャーを用いたことに起因する第1実施形態で述べた不具合を回避することができる。
【0195】
本実施形態において、複数の粒状体81を陽極ワイヤ12’に付着させる工程S21は、水性分散体8を陽極ワイヤ12’に塗布することにより行っている。水性分散体8にて複数の粒状体81は分散した状態となっている。そのため、本実施形態にかかる方法は、複数の粒状体81を分散した状態で陽極ワイヤ12’に付着させるのに適している。
【0196】
固体電解コンデンサA8においては、絶縁膜14は、第1側面111bを覆い且つ第1膜状部141につながる第1側面膜状部143を含む。絶縁膜14は、固体電解質層15および導電層16に覆われないことが多い。そのため、固体電解質層15や導電層16のうち第1側面111bを覆う部分の方向x側の端部を、より、方向xとは反対方向の側に位置させることができる。そのため、固体電解コンデンサA8のように、陽極ワイヤ12よりも第1側面111bが向く側に位置する陽極実装端子51が存在していたとしても、陽極実装端子51と、第1側面111bに形成された固体電解質層15ないし導電層16とが接触することを防止することができる。
【0197】
図48、
図49を用いて、本発明の第8実施形態の第1変形例について説明する。
図48は、本実施形態の第1変形例について示す断面図である。
図49は、
図48のXLIX−XLIX線に沿う断面図である。
図49では、樹脂パッケージ3を省略し、想像線で示している。
【0198】
同図に示す固体電解コンデンサA81は、絶縁膜14が第2側面膜状部144,145と、第3側面膜状部146とを有する点において、固体電解コンデンサA8と異なる。第2側面膜状部144は第2側面112bを覆っており、第2側面膜状部145は第2側面113bを覆っている。第2側面膜状部144,145はいずれも、第1膜状部141および第1側面膜状部143のいずれにもつながる。第3側面膜状部146は、第1膜状部141および第2側面膜状部144,145のいずれにもつながる。面11aの全面は第1膜状部141に覆われており、固体電解質層15に覆われていない。更に
図49に示すように、固体電解コンデンサA81は、方向xに直交する面による断面にて、方向xと第1側面111bが向く方向とのいずれにも直交する方向(
図49の左右方向)における多孔質焼結体11の最大寸法が、方向xと第1側面111bが向く方向とのいずれにも直交する方向(
図49の左右方向)における陽極実装端子51の最大寸法よりも小さい点において、固体電解コンデンサA8と異なる。
【0199】
このような構成において、仮に第2側面112bが第2側面膜状部144に覆われておらず、第2側面112bの全体を固体電解質層15が覆っていたならば、第2側面112bを覆う固体電解質層15と、陽極実装端子51とが接触するおそれがある。しかしながら、本実施形態においては、第2側面112bを第2側面膜状部144が覆っている。そのため、固体電解コンデンサA8に関して説明したのと同様に、陽極実装端子51と、第2側面112bに形成された固体電解質層15ないし導電層16とが接触することを防止することができる。同様に、陽極実装端子51と、第2側面113bに形成された固体電解質層15ないし導電層16とが接触することを防止することができる。
【0200】
図50を用いて、本発明の第8実施形態の第2変形例について説明する。
図50は、本実施形態の第2変形例を示す断面図である。
【0201】
同図に示す固体電解コンデンサA82は、陽極ワイヤ12が多孔質焼結体11の面11aの中央から突出しておらず、面11aの中央から偏心した位置より突出している点において、固体電解コンデンサA8と相違する。更に、固体電解コンデンサA82は、枕電極4を備えておらず、且つ、陽極実装端子51と陰極実装端子52との断面が略L字状である点において、固体電解コンデンサA8と相違する。陽極実装端子51および陰極実装端子52は、固体電解コンデンサA5における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0202】
固定電解コンデンサA82は、固形物であるワッシャーを備えていない。固体電解コンデンサA82における絶縁膜14は、液状物である水性分散体8を用いて形成される。そのため、面11aの中央から偏心した位置より陽極ワイヤ12が突出している固体電解コンデンサA82を製造する場合であっても、絶縁膜14を形成するために、ワッシャーなどの材料を変更する必要がない。そのため、固体電解コンデンサA82を製造する場合には、コストを抑制しつつ、設計を変更することができる。
【0203】
固体電解コンデンサA82によると、固体電解コンデンサA8に関して述べたのと同様の理由により、陽極実装端子51と、第1側面111bに形成された固体電解質層15ないし導電層16とが接触することを防止することができる。
【0204】
また、水性分散体8を陽極ワイヤ12に付着させる際、液状である水性分散体8は陽極ワイヤ12に付着する傾向にあるから、陽極ワイヤ12の周辺に留まりやすい。そのため、面11aの中央から偏心した位置より陽極ワイヤ12が突出していると、水性分散体8を多孔質焼結体11の側面に付着させやすい。これは、多孔質焼結体11の側面である第1側面111bに形成される第1側面膜状部143を有する構成を製造するのに適する。
【0205】
図51を用いて、本発明の第8実施形態の第3変形例について説明する。
図51は、本実施形態の第3変形例の断面図である。
【0206】
同図に示す固体電解コンデンサA83は、コンデンサ素子1と、導電性接着層2と、樹脂パッケージ3と、基材71と、実装陽極膜72と、実装陰極膜73と、側面陽極膜74と、側面陰極膜75とを備える。固体電解コンデンサA83における、コンデンサ素子1、および導電性接着層2の各構成は、固体電解コンデンサA81と略同様であるから説明を省略する。固体電解コンデンサA83における、樹脂パッケージ3と、基材71と、実装陽極膜72と、実装陰極膜73と、側面陽極膜74と、側面陰極膜75の各構成は、固体電解コンデンサA71と略同様であるから説明を省略する。ただし本実施形態においては、側面陽極膜74が部位741を有している。部位741は、実装陽極膜72の陽極ワイヤ12の位置する側とは反対側を向く端面を覆っている。このような実装陽極膜72は、同図の左斜め下から右斜め上に向かう方向に、樹脂パッケージ3等に対し導電粒子をスパッタリングすることにより形成される。
【0207】
このような構成によると、面11aは固体電解質層15に覆われておらず、面11aの全体が第1膜状部141に覆われているため、側面陽極膜74が面11aに近接したとしても、側面陽極膜74が固体電解質層15や導電層16に接触しにくい。
【0208】
固体電解コンデンサA83においては実装陽極膜72の端面を覆う部位741を有している。このことは、側面陽極膜74と実装陽極膜72との接合面積を増大させるのに適する。したがって、固体電解コンデンサA83は、側面陽極膜74が実装陽極膜72から剥がれることを抑制するのに適する。
【0209】
複数の粒状体81を陽極ワイヤ12’に付着させる工程S21は水性分散体8を塗布することにより行うことが好ましいが、複数の粒状体81のみを陽極ワイヤ12’に散布することにより行ってもよい。