(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも上面に警報音放音用開口が形成されたハウジングと、当該ハウジング内の上面側領域において形成された音響用空間を有する音響室を介して前記警報音放音用開口に通ずるブザー配置部に配置された圧電ブザーと、前記ハウジング内の背面側領域に配置された、複数のガスセンサと、環境雰囲気の空気を吸引して前記ガスセンサの各々に供給するガス吸引手段とを備えており、
前記圧電ブザーは、当該圧電ブザーのケースの外周面に設けられた舌片状支持部に形成された支持用孔内に、ブザー配置部に設けられたブザー配置面に垂直な方向に伸びる位置決め用ピン部材が挿通されて係止されており、当該支持用孔が当該位置決め用ピン部材の外径より大きい内径を有していることにより、ブザー配置面に水平な面方向および上下方向に微小変位可能な状態で支持されていることを特徴とする可搬型ガス警報器。
前記ハウジング内の上面側領域には、前記ブザー配置部に対向する位置に開口部を有する制御用回路基板が前記圧電ブザーの上方位置において当該ハウジングの上壁に対向して配設されており、
前記圧電ブザーの上面における外縁部と前記制御用回路基板の下面における開口部の周縁部との間に緩衝部材が介在されていることを特徴とする請求項1に記載の可搬型ガス警報器。
前記警報音放音用開口には、複数の微小放音用孔が形成されたプレート部材が当該警報音放音用開口を塞ぐよう設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可搬型ガス警報器。
前記プレート部材における微小放音用孔の各々は、前記圧電ブザーにおける放音口に対向しないよう変位した位置に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の可搬型ガス警報器。
前記ハウジングの背面に、前記音響室内の音響用空間に通ずる警報音放音用開口がさらに形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の可搬型ガス警報器。
前記音響室を形成する下壁には、前記ブザー配置部に通ずる開口部が形成されており、通音性を有する防水シートが当該開口部を塞ぐよう配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の可搬型ガス警報器。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば地下の工事現場や坑道、その他の人が立ち入る場所や作業領域などにおいて、その環境の空気中に一酸化炭素ガスや硫化水素ガスなどの危険性ガスが含有されるおそれがある場合や、空気中の酸素ガス濃度が低下しているおそれがある場合など、環境雰囲気の空気が危険な状態となっている可能性あるいは危険な状態となる可能性がある場合が少なくない。
そして、環境雰囲気の空気において、含有される危険性ガスの濃度が高いことにより、または酸素ガス濃度が低いことにより、人に対して危険な状態となったときには、そのことを直ちに知ることが必要であり、このような要請から、ガスセンサによって検知対象ガスが検知されたときに作動する警報用ブザーからの警報音による警報報知機構を具えてなる可搬型ガス警報器が広く使用されている(特許文献1参照)。
【0003】
通常、このような可搬型ガス警報器においては、ハウジングに警報音放音用開口を形成すると共に、この警報音放音用開口に通ずるようブザー配置部を設けてこれに例えば圧電ブザーを配置し、警報音放音用開口を塞ぐよう、無数の微小な貫通孔を有する防塵メッシュを設けると共に、例えば大気中の水滴などの水が防塵メッシュの孔を介してハウジングの内部に進入することを防止するために、防水シートを設けた構成とされている。
【0004】
而して、警報用ブザーを備えた可搬型ガス警報器においては、大きな警報音が発せられることが望まれているが、警報音放音用開口が防塵メッシュおよび防水シートにより塞がれた構造上、ブザー音の伝達が大きく阻害されて十分に高い音圧レベル(大きな音量)の警報音を発することができない、という問題がある。
【0005】
また、可搬型ガス警報器においては、可燃性のガスや蒸気を含む爆発性雰囲気の存在により、引火、爆発が発生し得る環境で使用されるため、ガス警報器それ自体が着火源とならない構成、いわゆる防爆仕様の規格を満足する構成であることが求められており、例えば、圧電ブザーを採用する場合には、重錘を落下させたときに圧電ブザーにおいて発生するエネルギーが規定値以下であることが必要とされている。
しかしながら、圧電ブザーをハウジングに直接的に固定した場合には、重錘を落下させたときに圧電ブザーにおいて発生するエネルギーが、上記の防爆仕様の規格において規定された規定値を超えてしまい、所定の防爆構造を有するものとして構成することはできないばかりか、圧電ブザーそれ自体の振動が阻害されて十分に高い音圧レベルの警報音を発することができない、という問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、所定の防爆構造を有し、大気中の水滴などの水が制御用回路基板等の電子部品が配置されたハウジングの内部空間に進入することを確実に防止することができ、しかも、十分な大きさの音圧レベルを有する警報音を発することのできる可搬型ガス警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の可搬型ガス警報器は、少なくとも上面に警報音放音用開口が形成されたハウジングと、当該ハウジング内の上面側領域において形成された音響用空間を有する音響室を介して前記警報音放音用開口に通ずるブザー配置部に配置された圧電ブザーと、前記ハウジング内の背面側領域に配置された
、複数のガスセンサと、環境雰囲気の空気を吸引して前記ガスセンサの各々に供給するガス吸引手段とを備えており、
前記圧電ブザーは、
当該圧電ブザーのケースの外周面に設けられた舌片状支持部に形成された支持用孔内に、ブザー配置部に設けられた
ブザー配置面に垂直な方向に伸びる位置決め用
ピン部材が挿通されて係止されており、当該支持用孔が当該位置決め用ピン部材の外径より大きい内径を有していることにより、ブザー配置面に水平な面方向および上下方向に微小変位可能な状態で支持されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の可搬型ガス警報器においては、前記ハウジング内の上面側領域には、前記ブザー配置部に対向する位置に開口部を有する制御用回路基板が前記圧電ブザーの上方位置において当該ハウジングの上壁に対向して配設されており、
前記圧電ブザーの上面における外縁部と前記制御用回路基板の下面における開口部の周縁部との間に緩衝部材が介在された構成とされていることが好ましい。
【0010】
さらにまた、本発明の可搬型ガス警報器においては、前記警報音放音用開口には、複数の微小放音用孔が形成されたプレート部材が当該警報音放音用開口を塞ぐよう設けられた構成とされていることが好ましい。
【0011】
さらにまた、本発明の可搬型ガス警報器においては、前記プレート部材における微小放音用孔の各々は、前記圧電ブザーにおける放音口に対向しないよう変位した位置に形成された構成とされていることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明の可搬型ガス警報器においては、前記ハウジングの背面に、前記音響室内の音響用空間に通ずる警報音放音用開口がさらに形成された構成とされていることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明の可搬型ガス警報器においては、前記音響室を形成する下壁には、前記ブザー配置部に通ずる開口部が形成されており、通音性を有する防水シートが開口部を塞ぐよう配置された構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の可搬型ガス警報器によれば、圧電ブザーが、ハウジング内の上面側領域において形成された音響用空間を有する音響室を介して前記警報音放音用開口に通ずるブザー配置部において、当該ブザー配置部に設けられた位置決め用部材に係止されて微小変位可能な状態で支持されて、配置されていることにより、圧電ブザーそれ自体の振動の効率を低下させることがなく、圧電ブザーよりの警報音の音圧レベルが音響用空間の作用により増大されて警報音放音用開口を介して外部に発せられるので、十分に高い音圧レベルの警報音を発することができ、しかも、外部からの衝撃をハウジング部材に対する圧電ブザーの微小変位により吸収することができるので、外部からの衝撃を受けたときに圧電ブザーにおいて発生するエネルギーを規定値以下の大きさに抑制することができ、所定の防爆仕様の規格を満足するものとして構成することができる。
【0015】
また、圧電ブザーの上面における外縁部と制御用回路基板の下面における開口部の周縁部との間に緩衝部材が介在された構成とされていることにより、衝撃が加えられた場合における圧電ブザーの微小変位を阻害することなしに、圧電ブザーを音響用空間に対して適正な位置に配置することができ、しかも、緩衝部材のクッション機能(衝撃吸収機能)によって、外部からの衝撃を受けたときに発生するエネルギーの一層の低減化を図ることができる。
【0016】
さらにまた、複数の微小放音用孔が形成されたプレート部材が警報音放音用開口を塞ぐよう設けられた構成とされていることにより、警報音の一部がプレート部材により一旦音響用空間内に反射されてから微小放音用孔を介して外部へと放出されることとなるので、一層高い音圧レベルの警報音を発することができる。
そして、プレート部材における微小放音用孔の各々が、圧電ブザーにおける放音口に対向しないよう変位した位置に形成された構成とされていることにより、上記の音圧レベル向上効果を確実に得ることができる。
【0017】
さらにまた、ハウジング部材の背面に、音響用空間に通ずる警報音放音用開口がさらに形成された構成とされていることにより、一層大きな音量の警報音がハウジングの外部に発せられるものとなり、また、当該警報音放音用開口を水抜き用の開口としても機能させることができるので、音響用空間に進入した水を外部に排出することができる。
【0018】
さらにまた、音響室を形成する底壁には、通音性を有する防水シートが、当該底壁に形成された前記ブザー配置部に通ずる開口部を塞ぐよう、配置された構成とされていることにより、警報音の伝達を大きく阻害することなく、しかも、大気中の水滴などの水が警報音放音用開口を介して音響室内に進入した場合であっても、制御用回路基板等の電子部品が配置される空間に進入することを完全に防止することができ、従って、所定の防水構造を有するものとして構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の可搬型ガス警報器における一例における構成を示す上面図、
図2は、
図1に示す可搬型ガス警報器の構成をセンサ室カバー蓋を取り外した状態で示す背面図、
図3は、
図1に示す可搬型ガス警報器の右側面図、
図4は、
図1におけるA−A線断面図、
図5は、
図1におけるC−C線断面図、
図6は、
図4の一部を拡大して示す部分拡大図、
図7は、
図5の一部を拡大して示す部分拡大図である。
この可搬型ガス警報器10は、全体が箱(重箱)型形状であって、表示ユニット20およびガス検知ユニット40よりなるメインユニット15と、このメインユニット15に対して着脱可能に装着される電源ユニットとにより構成されており、例えば、適宜の装着用部材によって作業者の肩に掛けられて用いられる肩掛け式のものとして構成されている。
図1および
図3において、符号11は操作用ボタン、12は例えばベルト状の装着用部材取り付け部、13Aはガス導入部、13Bはガス排出部、14は表示部である。
【0021】
表示ユニット20は、例えば樹脂よりなる、下方が開口する上面側ハウジング部材21を備えており、この上面側ハウジング部材21の内部には、制御用回路基板30が上面側ハウジング部材21の上壁に対向して配設され、この制御用回路基板30の上面の中央部にパネル状表示機構(LCD)35が配置されている。
上面側ハウジング部材21の内部における一側領域(
図4において左側領域)には、内部に四角柱状の音響用空間を形成する音響室25が形成されており、この音響室25の内部空間は、音響室25の一部を構成する下壁25Bに形成された開口Kを介してガス検知ユニット40におけるブザー配置部43と連通すると共に、上面側ハウジング部材21の上面に形成された上面側警報音放音用開口23Aおよび上面側ハウジング部材21の背面に形成されたスリット状の背面側警報音放音用開口23Bを介して外部に連通している。 音響室25から背面側警報音放音用開口23Bに至る放音用通路25Aの下面は、外方側に向かうに従って下方に傾斜して伸びるよう形成されている。
【0022】
音響室25の下壁25Bの上面には、通音性を有する防水シート26が当該下壁25Bに形成された開口Kを塞ぐよう設けられている。
防水シート26は、例えばポリエステルよりなる多孔質膜により構成されており、その外周縁部が例えば接着されることによって音響室25の下壁25Bの上面に固定されている。
【0023】
また、上面側警報音放音用開口23Aには、各々、後述する圧電ブザー60における放音口62の開口径に比して小さい開口径を有する複数の微小放音用孔28Aが形成された、例えばポリカーボネートよりなるプレート部材28が上面側警報音放音用開口23Aを塞ぐよう設けられている。
プレート部材28における微小放音用孔28Aの各々は、
図8に示すように、後述する圧電ブザー60における放音口62に対向しないよう放音口62に対して変位した位置に形成されている。
この例におけるプレート部材28には、各々、開口径の大きさが同一である4個の微小放音用孔28Aが形成されており、方形状のプレート部材28の一側領域(可搬型ガス警報器10の正面側の領域)に例えば3個の微小放音用孔28Aが等間隔毎に離間した位置に並んで形成されていると共に、これらの微小放音用孔28Aより中央側の位置に1個の微小放音用孔28Aが形成されている。
【0024】
ガス検知ユニット40は、表示ユニット20の上面側ハウジング部材21の下端に枠状のパッキング16を介して連結されて着脱可能に固定される、例えば樹脂よりなる筒状の下面側ハウジング部材41を備えており、この下面側ハウジング部材41の内部における上方部には、表示ユニット20における音響室25の下方位置に、圧電ブザー60が配置されるブザー配置部43が形成されている。
【0025】
圧電ブザー60は、
図9に示すように、上方に開口する放音口62を有するケース61内に圧電振動子(図示せず)が配置されてなる、背の低い円柱状のものであって、ケース61の下部の外周面における、放音口62を中心とする対角の位置には、ブザー配置部43における水平なブザー配置面43Aに垂直な方向に伸びるよう設けられた位置決め用ピン部材43Bに係止される舌片状支持部63が形成されている。
【0026】
また、下面側ハウジング部材41の内部には、センサ基板58が制御用回路基板30に垂直な方向に延びるよう配設されており、このセンサ基板58の背面側に、例えば5つのガスセンサ50A,50B,50C,50D,50Eを着脱可能に保持するセンサ保持部46A,46B,46C,46D,46E、並びに、ガス導入部48Aおよびガス排出部48Bを有するセンサホルダ45が形成されており、センサ基板58の正面側における他側領域(
図9における右側領域)に、外部より環境雰囲気の空気を吸引してガスセンサ50A〜50Eの各々に供給するガス吸引ポンプ66が配置されると共に、上方部の中央にガス吸引ポンプ66によって吸引されてガスセンサ50A〜50Eの各々に供給される環境雰囲気の空気のガス流路の一部を形成する空気溜まり部(バッファ用空間部)44が形成されている。
【0027】
ガスセンサ50A〜50Eの組み合わせの一例を示すと、ガスセンサ50Aとして、定電位電解式ガスセンサよりなる硫化水素ガス検知用ガスセンサ、ガスセンサ50Bとして、接触燃焼式ガスセンサよりなる、炭化水素ガスなどの可燃性ガスを%LEL(爆発下限界濃度)の測定レンジで検知するための第1の可燃性ガスセンサ、ガスセンサ50Cとして、定電位電解式ガスセンサよりなる一酸化炭素ガス検知用ガスセンサ、ガスセンサ50Dとして、熱伝導式ガスセンサよりなる、炭化水素ガスなどの可燃性ガスを体積%の測定レンジで検知するための第2の可燃性ガスセンサ、ガスセンサ50Eとして、ガルバニ電池式ガスセンサよりなる酸素ガス検知用ガスセンサを例示することができる。
【0028】
ガス吸引ポンプ66は、例えばモータ駆動によるダイヤフラムポンプが用いられており、例えば、0.75リットル/min以上の流量の環境雰囲気の空気を供給することができる性能を有する。
【0029】
空気溜まり部44は、
図10に示すように、防塵フィルタ65を介してガス吸引ポンプ66により吸引されてガスセンサ50A〜50Eの各々に供給される環境雰囲気の空気のガス流路における、ガス吸引ポンプ66の下流側の位置に設けられており、この空気溜まり部44の下流側の位置には、絞り部68が設けられている。
空気溜まり部44には、圧力センサ67が接続されており、この圧力センサ67によって測定される空気溜まり部44からの排気圧が監視されることにより、例えば、水を吸引したこと、防塵フィルタ65の目詰まりが生じたこと、ガス吸引ポンプ66が経時的に劣化したことなどに起因するガス流量の低下が検出される。
【0030】
この可搬型ガス警報器10においては、リチウムイオン電池を備えたリチウムイオン電池電源ユニットおよび乾電池を備えた乾電池電源ユニットのいずれか一方の選択された電源ユニットがメインユニット15に対して他方と交換可能に装着される構成とされている。この例においては、リチウムイオン電池電源ユニット70がメインユニット15に装着されており、選択されなかった電源ユニットである乾電池電源ユニットは、例えば、所定のアルミニウム製のトランクケース内に収納されて作業者によって携行される。
【0031】
リチウムイオン電池電源ユニット70は、ガス検知ユニット40を構成する下面側ハウジング部材41の下端にパッキング18を介して連結されて着脱可能に固定されるハウジング部材71と、このハウジング部材71の内部に収容された、リチウムイオン電池77を備えてなるバッテリーパック75と、ハウジング部材71の内部におけるバッテリーパック75の上方位置に配設された電源回路基板73と、電源回路基板73を保護する保護部材74とを備えている。
【0032】
バッテリーパック75は、
図11に示すように、互いに平行に並んだ状態で配置されて直列に接続された例えば2本の棒状のリチウムイオン電池77および例えば過充電・過放電防止用の制御回路が形成された保護回路基板78が、電池収容ケース76内に充填された熱硬化性樹脂よりなる樹脂ブロック79に埋設されて構成されており、リチウムイオン電池77の長さ方向(
図11において紙面に垂直な方向)の一端側より給電用(放電用)接続リード線(図示せず)が導出されていると共に他端より充電用接続リード線(図示せず)が導出されている。
【0033】
電源回路基板73は、
図12に示すように、メインユニット15におけるセンサ基板58と電気的に接続されるコネクタ部73Dと、制限抵抗素子73Cを有し、当該制限抵抗素子73Cを介してメインユニット15に給電する給電用回路73Bと、この給電用回路73Bが形成された領域と互いに離間した位置に形成された充電用回路73Aとを有する。
給電用回路73Bが形成された領域と充電用回路73Aが形成された領域との離間距離dは、防爆上の理由から、例えば2.0mm以上の大きさとされていることが好ましい。
【0034】
乾電池電源ユニット80は、
図13に示すように、ガス検知ユニット40を構成する下面側ハウジング部材41の下端にパッキング18を介して連結されて着脱可能に固定されるハウジング部材81を備えており、このハウジング部材81には、底面において下方に開口する電池挿入口81Aを有する、円柱状の乾電池(例えば単三型乾電池(AAサイズ))86が電池挿入口81Aの下方側から装着される電池受容部81Bが形成されている。この例においては、例えば3本の単三型の乾電池86が隣接するものの正極および負極が互いに逆方向を向くよう平行に並んだ状態で、電池受容部81Bに装着されて直列に接続される構成とされている。
図11における符号83は、電池受容部カバー蓋である。
そして、ハウジング部材81の内部における電池受容部81Bの上方位置には、電源回路基板85が配設されていると共に当該電源回路基板85を保護する保護部材84が設けられている。
【0035】
また、この可搬型ガス警報器10における、表示ユニット20、ガス検知ユニット40、リチウムイオン電池電源ユニット70および乾電池電源ユニット80の各々には、例えば帯電防止性樹脂(制電性樹脂)よりなるプロテクトカバー22,42,72,82が装着されており、プロテクトカバー22,42,72,82が装着された状態においては、外部に露出されるハウジング部材の連続した樹脂表面部分の大きさが所定の大きさ例えば400mm
2 以下に規制され、これにより、静電気対策が十分で信頼性の高い防爆性を有するものとなる。
【0036】
而して、上記の可搬型ガス警報器10においては、圧電ブザー60が、舌片状支持部63に形成された支持用孔(図示せず)内に位置決め用ピン部材43Bが挿通されて、放音口62が音響室25に対して位置決めされた状態で、ブザー配置面43A上に配置されており、圧電ブザー60の上面における外縁部が、制御用回路基板30における圧電ブザー60の放音口62に対向する位置に形成された開口30Aの下面側の周縁部に設けられた緩衝部材(クッション部材)31を介して、上方から押さえられている。
圧電ブザー60における舌片状支持部63の支持用孔は、位置決め用ピン部材43Bの外径より大きい内径を有しており、これにより、ブザー配置面43Aに水平な面方向および上下方向に微小変位可能に支持されている。
【0037】
この可搬型ガス警報器10においては、環境雰囲気の空気が防塵フィルタ65を介してガス吸引ポンプ66により吸引されて導入されると、空気溜まり部44および絞り部68を介してガスセンサ50A〜50Eの各々に順次に供給されて検知対象ガスの検知が行われ、表示部14において、検知されたガスの種類と濃度が表示されると共に、いずれかの検知対象ガスの濃度が基準値を越えたことが検出されたときに、警報動作信号が発せられ、これにより、圧電ブザー60が作動される。
例えば、酸素ガス(O
2 ガス)の場合には、基準値は例えば18.0体積%(vol%)とされ、それ以下となったときに警報動作信号が発せられる。また、基準値は、炭化水素ガス(HCガス)の場合には、例えば10%LEL(爆発下限界濃度に対するガス濃度)とされ、一酸化炭素ガス(COガス)の場合には例えば25ppmとされ、硫化水素ガス(H
2 Sガス)の場合には例えば10ppmとされ、当該基準値を超えたときに警報動作信号が発せられる。
【0038】
而して、上記構成の可搬型ガス警報器10によれば、圧電ブザー60が、上面側ハウジング部材21内において形成された音響用空間を有する音響室25を介して上面側警報音放音用開口23Aおよび背面側警報音放音用開口23Bに通ずるブザー配置部43において、当該ブザー配置部43に設けられた位置決め用ピン部材43Bに係止されて微小変位可能な状態で支持されて、配置されていることにより、圧電ブザー60それ自体の振動の効率を低下させることがなく、圧電ブザー60よりの警報音の音圧レベルが音響用空間の作用により増大されて上面側警報音放音用開口23Aおよび背面側警報音放音用開口23Bを介して外部に発せられるので、十分に高い音圧レベルの警報音を発することができ、しかも、外部からの衝撃を下面側ハウジング部材41に対する圧電ブザー60の微小変位により吸収することができるので、外部からの衝撃を受けたときに圧電ブザー60において発生するエネルギーを規定値以下の大きさに抑制することができ、従って、所定の防爆仕様の規格を満足するものとして構成することができる。
【0039】
また、圧電ブザー60の上面における外縁部と制御用回路基板30の下面における開口30Aの周縁部との間に緩衝部材31が介在された構成とされていることにより、衝撃が加えられたときに生ずる圧電ブザー60の微小変位を阻害することなしに、圧電ブザー60を音響用空間に対して適正な位置に配置することができ、しかも、緩衝部材31のクッション機能によって、外部からの衝撃を受けたときに発生するエネルギーの一層の低減化を図ることができる。
【0040】
さらにまた、複数の微小放音用孔28Aが形成されたプレート部材28が上面側警報音放音用開口23Aを塞ぐよう設けられた構成とされていることにより、警報音の一部がプレート部材28により一旦音響用空間内に反射されてから微小放音用孔28Aを介して外部へと放出されることとなるので、一層高い音圧レベルの警報音を発することができる。 そして、プレート部材28における微小放音用孔28Aの各々が、圧電ブザー60における放音口62に対向しないよう変位した位置に形成された構成とされていることにより、上記の音圧レベル向上効果を確実に得ることができる。
【0041】
さらにまた、通音性を有する防水シート26が、音響室25を形成する下壁25Bに形成されたブザー配置部43に通ずる開口Kを塞ぐよう、配置された構成とされていることにより、警報音の伝達を大きく阻害することなく、しかも、大気中の水滴などの水が上面側警報音放音用開口23Aおよび背面側警報音放音用開口23Bを介して音響室25内に進入した場合であっても、制御用回路基板30等の電子部品が配置される空間に進入することを完全に防止することができ、従って、所定の防水構造を有するものとして構成することができる。
【0042】
さらに、上面側ハウジング部材21の背面に開口する背面側警報音放音用開口23Bは、その形状がスリット状であって、音響室25から背面側警報音放音用開口23Bに至る放音用通路25Aの下面が外方側に向かうに従って下方に傾斜して伸びるよう形成されていることにより、背面側警報音放音用開口23Bを水抜き用の開口としても機能させることができるので、大気中の水滴などの水が音響用空間に進入した場合であっても、背面側警報音放音用開口23Bより外部に排出することができる。
【0043】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
【0044】
<実験例1>
上記の例に従って、本発明に係る可搬型ガス警報器(10)を作製した。
上面側ハウジング部材(21)における上面側警報音放音用開口(23A)は、縦方向(
図1における上下方向)の寸法が16.5mm、横方向(
図1における左右方向)の寸法が13mmである方形状である。
上面側ハウジング部材(21)における音響室(25)は、容積が約1800mm
3 である。
圧電ブザー(60)は、発振周波数が3.0〜3.7kHz、放音口(62)の開口径がφ4mmであるものである。
防水シート(26)は、材質がポリエステル、厚みが0.03mmのシート状のものである。
プレート部材(28)は、材質がポリカーボネート、厚みが1mm、微小放音用孔(28A)の数が4個、微小放音用孔28Aの開口径がφ2mm、隣接する微小放音用孔28Aの中心間距離(離間距離)が約4mmである。
圧電ブザー(60)における舌片状支持部(63)の支持用孔の孔径がφ2.2mm、ブザー配置部(43)におけるピン部材(43B)の外径がφ1.9mmであって、圧電ブザー(60)は下面側ハウジング部材(41)に対して微小変位可能に支持されて配置されている。
【0045】
この可搬型ガス警報器について、外部に発せられる警報音の音圧レベルを測定したところ、警報音の音圧レベルは95〜100dBであった。
また、1kgの鉄球を可搬型ガス警報器(10)の上面に対して70cmの高さ位置から落下させる防爆試験を行ったところ、圧電ブザー(60)において発生するエネルギーは、当該防爆試験において規定される規定値以下の大きさであることが確認された。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、圧電ブザーの支持構造は、圧電ブザーがハウジング部材に対して直接的に固定されることなく微小変位可能に支持されていれば、上記の例のものに限定されない。
また、プレート部材における微小放音孔の数、開口径および形成位置は、上記の例のものに限定されず、適宜に変更可能である。
さらにまた、本発明の可搬型ガス警報器は、適宜の装着具によって身体に装着して使用されても、例えば検知対象空間において水平面上に載置された状態で使用されてもよい。