(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溝部の前記光源に近接した前記溝部の前部は、前記光源からの光量を制御するよう前記溝部の奧部より細幅に形成され、前記反射面には、前記意匠部に向かって傾斜状に形成された傾斜部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載した計器の照明構造。
【背景技術】
【0002】
車両や船舶や飛行機等(以後まとめて車両等と言う)、の乗り物に搭載される計器の文字板等を照明する照明構造は知られている。この種の計器の照明構造の一例を
図4に示す(特許文献1参照)。
【0003】
図4は従来の計器の照明構造を示す正面斜視図である。従来の計器の照明構造100は、ケース200とケース200に取り付けられている複数の照明部300と指針取付部500とから成る。照明部300は、ケース200の周辺部に円環状に配置され、指針取付部500は、ケース200の中央部に配置され、指針510を回動自在に支持している。照明部300は、光源410と反射面部Rとから成り、光源410と反射面部Rとの上部に導光部材Pが載置され、導光部材Pの内面反射を利用して文字板600を全体に均一な輝度で照明することが開示されている。また、ケース200の中央部には、文字板600上に設けられたウオーニングシンボルである複数の警告表示部210Sに対応した位置にランプボックスである複数の警告表示照明部210と、文字板600上に設けられた意匠部610に対応した位置に意匠照明部610Aと、が配置されていることも開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、従来の計器の照明構造100においては、照明部300と導光部材Pとによって文字板600を全体に均一な輝度で照明し、警告表示部210Sや意匠部610の点灯や照明は、照明部300や導光部材Pとは独立して、警告表示部210Sと意匠照明部610Aとがそれぞれ行うため、専用の光源が必要となる分コスト増となっていた。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、文字板上に文字やマーク等から成る意匠部を設け、文字板と意匠部の照明を兼用する第2照明部を配置し、意匠部と文字板との均一照明を与えるとともにコスト低減を図った計器の照明構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る計器の照明構造は、下記(1)〜(
3)を特徴としている。
(1) 文字板を照明する計器の照明構造であって、
計器内に取り付けられるケースと、
前記ケースの前面側に配置された前記文字板を裏面から照明する
ために前記ケースに円弧を形成するように配置される複数の照明部と、
前記円弧の中心位置で指針を回動自在に取り付ける指針取付部と、
を備え、
前記照明部
の各々は、光源と
、前記光源から直上に出射される直射光を遮光するために前記光源の上方に配置される遮光部と
、を有し、
前記ケース
は、少なくとも一つの前記照明部の光源から出射された光を前記文字板の内方に形成された意匠部に導く溝部
を有し、
前記溝部は、
前記ケースの一部を凹状に窪ませて形成され、前記光源
の近傍から前記意匠部に向けて
前記円弧の内側に延びており、凹状の窪みの内面に反射面を有している、
こと。
こと。
(
2) 上記(
1)の構成の計器の照明構造であって、
前記溝部の前記光源に近接した前記溝部の前部は、前記光源からの光量を制御するよう前記溝部の奧部より細幅に形成され、前記反射面には、前記意匠部に向かって傾斜状に形成された傾斜部が設けられている
こと。
(
3) 上記(
2)の構成の計器の照明構造であって、
前記反射面は、異なる傾きを持つ複数の前記傾斜部から成る
こと。
【0008】
上記(1)の構成では、溝部によって光源光を意匠部に導くことができ、意匠部を均一に照明することができる。
また、光源光を確実に意匠部に導くことができると共に意匠部の自由な配置に適用できる。
上記(
2)の構成では、輝度が高くなる光源に近い前部の光量、即ち、直射光成分を制御し、光源光を無駄なく意匠部まで導くことができるため意匠部の輝度ムラが解消でき、警告表示および警告表示照明部を設けるスペースが広くなる。
上記(
3)の構成では、意匠部の輝度バランスをより取りやすくなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、文字板を照明する照明部に主として意匠部を照明する溝部を設け、意匠部の専用照明部を排除して構成の簡素化を図り、溝部からの反射光により意匠部の輝度ムラを解消して輝度バランスを取り易くし、スペースの有効利用を図った計器の照明構造を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1(A)及び
図1(B)に基づいて、本発明の実施例1である計器の照明構造10を説明する。
【0014】
図1(A)は、計器の照明構造10を示す正面図である。計器の照明構造10は、ケース20と、ケース20に取り付けられる第1照明部30と、第2照明部40と、指針取付部50と、を含んで構成される。
【0015】
第1照明部30は、文字板60(
図1(B)参照)を照明するためのもので、複数、ケース20に円弧状に配列されている。指針取付部50は、ケース20の中央下方側に設けられ、後述する指針51(
図3参照)が回動自在に取り付けられる。文字板60には、文字板60の内方向に向かって形成される意匠部61が設けられている。
【0016】
第2照明部40は、文字板60上の目盛や数字と、文字板60上に設けられる意匠部61とを照明するためのもので、実施例1では、ケース20の側部に配置されている。また、ケース20の中央部には、後述するシートベルトや油圧計等の各種警告マークの警告表示部21Sを(
図3参照)照明する複数の警告表示照明部21が設けられている。更に、第1照明部30の外方には、文字板60を取り付けるための複数の文字板取付部22が設けられている。
【0017】
図1(B)は、
図1(A)のIb−Ib線の断面図である。第2照明部40は、光源41と遮光部42と溝部43とを備えている。また、第2照明部40は、文字板60と回路等が実装される基板70との間に配置されている。光源41は、基板70上に実装され、光源41としてLEDが採用されている。遮光部42は、光源41の上方に設けられ、光源41からの直射光が文字板60に入射しないよう直射光をカットしている。溝部43は、ケース20の一部を窪ませて凹状に形成され、光源41の側方に配置され、その内面には反射面44が設けられている。
【0018】
溝部43は、光源41近傍からケース20の上面、即ち文字板60と接する位置、まで設けられている。溝部43の形成開始位置、即ち光源41に最も近接した溝部43の前部45は、ケース20の側面に沿って開口された形状となり、光源41からの出射光を溝部43内に確実に導くことができる。また、溝部43は、文字板60上に設けられている意匠部61に向かって形成されており、溝部43の長さや幅は、意匠部61の長さや幅よりもやや大きめに形成されている。即ち、溝部43は、意匠部61の大きさや配置に合わせて自由にその幅や長さや形成方向を選択できる。
【0019】
本発明に係る実施例1に於いて、溝部43は、略平坦状の平坦部43Aと急激に立ち上がる壁部43Bとから成る。上述の平坦部43Aと壁部43Bとに設けられている反射面44からの反射光によって、文字板60と意匠部61を均一に照射する(一部直射光成分も含まれる)。
【0020】
意匠部61は、文字板60上にシルク印刷やインクジェット印刷等で形成され、文字や数字やマーク等が施される。例えば、文字板60と同じ機能を表すものとして、文字板60に設けられた文字が速度表示であればkm/hであり、回転数表示であれば×1000r/min等の英数字である。
【0021】
本発明の実施形態によれば、第2照明部40の光源41からの光を溝部43の反射面44で反射させ、文字板60の照明と共に意匠部61も照明するため、意匠部61の専用の照明部を設ける必要が無く、意匠部61の輝度バランスがより取りやすくなる。
【0022】
本発明に係る実施例2は、第2照明部40の他の実施形態である。
図2(A)、
図2(B)及び
図2(C)を基づいて、実施例2を説明する。尚、第2照明部40以外の構成は実施例1と同じであるため詳述を省略する。
【0023】
図2(A)は本発明に係る実施例2の正面図、
図2(B)は
図2(A)のIIb−IIb線の断面図、
図2(C)は
図2(A)の第2照明部の要部斜視図である。
【0024】
溝部43は、前部45から意匠部61の形成方向に向かって設けられ、溝部43は、2つの傾斜角度の異なる傾斜部、即ち第1傾斜部43Sと第2傾斜部43Tと、を備えている。第1傾斜部43Sは、光源41に近接して配置される前部45から意匠部61に接近するように上方に向かって緩やかな傾斜角度θ1を持って形成され、第2傾斜部43Tは、溝部43の途中から文字板60の接合近辺まで第1傾斜部角度θ1より傾斜角度のきつい傾斜角度θ2を持って形成されている(θ1<θ2)。
【0025】
溝部43の前部45は、実施例1に比べて細幅に形成され、溝部43に入射する光源41からの直射光の一部をカットし、溝部43内への光量を制御している。ここで述べる幅とは、光源41と溝部43を結ぶ線に対して直交する線上を指す。また、溝部43内の奧部46の幅(D)は、前部45の幅(L)より大きく形成され(D>L)、溝部43内に入射してくる光を均一にさせる働きがある。
【0026】
実施例2の第2照明部40の溝部43は、実施例1の溝部43に比べ、反射面44が設けられた傾斜部43S、43Tの反射光が、的確に意匠部61を照射するため、光の利用率が向上している。また、前部45を細幅としたことにより光量調整が可能となり、傾斜部43S、43Tと協業して意匠部61の輝度ムラを押さえ、実施例1に比較して溝部43を小さくできるため、警告表示照明部21を設けるスペースをより増加させることができる効果がある。
【0027】
図3(A)及び
図3(B)に基づいて本発明に係る計器の照明構造10を応用した一実施形態を説明する。
【0028】
図3(A)は計器Kの正面図、
図2(B)は
図2(A)のIIIb−IIIb線の断面図である。
【0029】
図3(A)に示された本発明に係る計器の照明構造10を備える計器Kは、車両等の速度を表示するスピードメータである。文字板60に速度を表す数字が表示されている。本発明では文字板60の右側に意匠部61が設けられkm/hの表示が施されている。また、文字板60の中央部には、ケース20の警告表示照明部21に対応して複数の警告表示部21Sが設けられている。
【0030】
本発明に係る計器の照明構造10は、文字板60と基板70との間に取り付けられている。文字板60の前方には指針51が指針取付部50に回動自在に取り付けられ、その前方には、見返し板80の先端を覆うように透明の樹脂または硝子から成形される前部カバー81が取り付けられている。また、基板70の後方には、基板70を覆うように後部カバー82が取り付けられている。尚、文字板60は、文字板取付部22を利用して後部カバー82に取り付けられる。
【0031】
これまで説明した実施形態の本発明の計器の照明構造10は、ケース20と、ケース20に取り付けられ文字板60を裏面から照明する第1照明部30と、文字板60と文字板60上に設けられた意匠部61を照明する第2照明部40と、指針51を回動自在に取り付ける指針取付部50と、を備えている。また、第2照明部40は、光源41と光源41の前方に配置される遮光部42とケース20に形成される溝部43とを備えており、溝部43の文字板60側に設けられた反射面44からの反射光によって意匠部61を照明している。
【0032】
この構成によって、光源41からの光を溝部43を介して意匠部61に導くことができ、意匠部61を均一に照明することができる。特に、夜間等の走行中に於いて、意匠部61の光輝は、計器Kの種類の判別や運転者等への注意喚起となり、また、ケース20の一部を利用して溝部43を形成しているため構成が簡素化し、コスト低減を図った計器の照明構造10を提供できる。
【0033】
本発明の計器の照明構造10に於いては、溝部43はケース20の上面より窪んだ凹状に形成され、意匠部61の形成方向に向かって形成されている。この構成により、光源41の光を確実に意匠部61に導くことができると共に意匠部61の自由な配置に適用できる。
【0034】
また、本発明の計器の照明構造10に於いては、溝部43の光源41に近接した前部45の幅(L)が、光源41からの光量を制御するよう溝部43の奧部の幅(D)より細幅(D>L)に形成されており、溝部43の反射面44には、前部45から意匠部61に向かって接近する傾斜状の第1傾斜部43Sと第2傾斜部43Tとが設けられている。この構成により、輝度が高くなる光源41に近い前部45の光量(直射成分)を制御し、無駄なく意匠部61まで導くことができるため、意匠部61の輝度ムラが解消でき、警告表示部21Sおよび警告表示照明部21を設けるスペースが広くなる。
【0035】
更に、本発明の計器の照明構造10に於いては、第1傾斜部43Sの傾斜角度θ1と第2傾斜部43Tの傾斜角度θ2が相違している(θ1<θ2)。この構成により、意匠部61への照明量をコントロールすることができより均一な照明を提供し、文字板60の照明と意匠部61との輝度バランスをより取りやすくなる。
【0036】
第1照明部30と第2照明部40とを分けて説明したが、複数の第1照明部30のうち少なくとも1つに意匠部61の照明も兼ねる溝部43を設けていることを意味しており、第1照明部30と第2照明部40とは、詳述する上で分かりやすくするために別々の用語を用いている。換言すれば、第1照明部30も第2照明部40と同様、光源41と遮光部42を備えてはいるが、本発明の実施形態では図示されてはいない。従って、第1照明部30も第2照明部40も文字板60を照明する機能は同じである。相違点は、光源41の前方に溝部43を備えているか否かであり、溝部43を含めた部分を第2照明部40と定義している。
【0037】
本発明に係る実施例2では、2つの傾斜部43S、43Tを説明したが、連続した一つの傾斜部でも良く、漸次角度が変わる傾斜部で有っても良い。更に、階段状に変化していても良い。
【0038】
また、反射面44の形成方法としてアルミ蒸着、反射塗装、反射部材の接合等があるが、フロスト加工等を施していても良い。
【0039】
本発明に係る溝部43の形成方向について、ケース20の内方向に向かって形成されると上述し、実施形態では、略直線上に形成された図を示したが、屈曲形成していても良く、意匠部61に向かって形成されていることが重要である。
【0040】
本発明に係る計器の照明構造10は、指針51を備える各種の計器Kに取り付けることが可能である。実施形態に於いては、スピードメータを説明したが、エンジンの回転数を表示するタコメータや燃料残量を表示する燃料計やエンジンの冷却水温度を表示する温度計、等々、にも応用できる。
【0041】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。