(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778492
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20150827BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20150827BHJP
H01Q 1/44 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q13/08
H01Q1/44
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-132695(P2011-132695)
(22)【出願日】2011年6月14日
(65)【公開番号】特開2013-5117(P2013-5117A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 吉紀
【審査官】
佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−094864(JP,A)
【文献】
特開2006−050586(JP,A)
【文献】
特開2009−147543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 1/44
H01Q 13/08
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面に開口を有し、内部に所定のユニットを収容する筐体本体と、
前記筐体の一部として前記開口を覆うように取り付けられるアッパーカバーと、
前記アッパーカバーの端部を折り曲げて形成された無線通信用アンテナと、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記無線通信用アンテナは、
前記アッパーカバーの一平面に対して略垂直方向に折り曲げられた連結部と、
前記連結部に対して略垂直方向に折り曲げられた接地部と、
前記接地部に連結し、前記連結部と向き合う接地端と、
前記接地端に対して略垂直方向に折り曲げられたエレメント部と、を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器において、
前記無線通信用アンテナは、逆F型の構造を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子機器であって、
前記筐体本体は、
前記筐体本体の正面側に設置されるディスプレイの設置角を変位させるチルト動作のためのアームを収容する
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車室内に持ち込まれた携帯電話などの通信端末と無線通信を行うことができる車室内無線通信装置が記載されている。この車室内無線通信装置では、筐体の内部に設けられている無線通信用のアンテナを介して電波を送受信することにより、筐体外部の通信端末と無線通信を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−324302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献の技術では、無線通信用アンテナの周囲を筐体の金属板に囲まれているため、無線通信に充分な放射電力を確保することは難しい。
【0005】
そこで、本発明は、無線通信に充分な放射電力を確保できる無線通信用アンテナを備えた電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器は、
天面に開口を有し、内部に所定のユニットを収容する筐体
本体と、前記筐体
の一部として前記開口を覆うように取り付けられるアッパーカバーと、前記アッパーカバーの端部を折り曲げて形成された無線通信用アンテナと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子機器によれば、無線通信に充分な放射電力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電子機器のアッパーカバーおよび近距離無線通信用アンテナを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る近距離無線通信用アンテナの拡大図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る近距離無線通信用アンテナの原理図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る近距離無線通信用アンテナの形成過程を示した図である。
【
図6】本発明の変形例に係る近距離無線通信用アンテナを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る電子機器の一例であるナビゲーション装置の概略構成を示した図である。同図に示すように、ナビゲーション装置100は、筐体10と、筐体10に収容される複数のユニット20と、を備えている。ここで、ナビゲーション装置100とは、地図情報や交通情報の表示、推奨経路の探索、経路誘導、といった一般的なナビゲーション機能を実現することができるナビゲーション装置のことである。なお、ナビゲーション装置100は、2DIN(ドイツ工業規格:Deutsche Industrie Normen)に対応したナビゲーション装置を想定する。すなわち、ナビゲーション装置100は、幅180mm、高さ100mmの大きさに設計されているものを前提とする。
【0011】
筐体10は、筐体本体30と、アッパーカバー40と、を備えている。筐体本体30は、ナビゲーション機能を実現するための複数のユニットや装置など(以下、「収容ユニット20」という)を収容するナビゲーション装置100の骨格となる部材である。同図に示すように、筐体本体30は、収容ユニット20が収まる内部空間を有する。具体的には、筐体本体30は、底面31と、底面31から垂直方向に立ち上がり相互に対向する側面32と、を有し、筐体本体30の正面、背面、天面が開口しているコの字型の形状に形成されている。なお、収容ユニット20は、筐体本体30の内部空間に収容された状態で筐体本体30にネジ止めされる。また、筐体本体30は、収容ユニット20を保護するため、所望の強度が得られるように、例えば、アルミ、ステンレス、スチール、その他の金属合金などの板金から形成される。また、板金の厚みは、例えば、1mm〜4mm程度の厚みに形成されているものが用いられればよい。また、筐体本体30の形状は、板金のプレス加工により、例えば、コの字型などの形状に形成されればよい。
【0012】
筐体本体30の内部空間には、所定の収容ユニット20が収容され固定されている。収容ユニット20には、例えば、地図情報や交通情報といった所定の情報が記憶されているCD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリーカードなどの記憶媒体と、ユーザから受け付けた指示に基づいて経路探索や地図情報の表示などの演算処理を実行する演算処理ユニットと、が含まれている。また、筐体本体30の正面側には、図示しないディスプレイが取り付けられる。また、かかるディスプレイの設置角を変位させるチルト動作のためのアーム33や、アーム33をスライドさせるためのモータ(図示せず)などが筐体本体30に取り付けられている。
【0013】
また、筐体本体30には、近距離の無線通信機能を実現するための無線通信回路を有する無線通信モジュールが収容されている。なお、近距離無線通信モジュールは、例えば、「ブルートゥース(Bluetooth)」(商標)といった近距離の無線通信規格に対応したものである。ここで、ブルートゥースとは、例えば、半径10数m以内にある通信機器間で無線によるデータ通信を行うための技術である。
【0014】
無線通信モジュールは、例えば、車内に持ち込まれた携帯電話などの通信端末との間で通信を行う。また、無線通信モジュールは、演算処理ユニットとの協働により、通信端末から受け付けた要求に応じたデータを通信端末に送信する。具体的には、無線通信モジュールは、ブルートゥースによる携帯電話との間の近距離無線通信により、ハンズフリー機能を提供する。なお、ハンズフリー機能とは、携帯端末を手に持つことなく、例えば、車載スピーカーおよびマイクロフォンを介して通話者と会話を行うことができる技術をいう。また、無線通信モジュールは、例えば、「iPod touch」(商標)などの近距離無線通信機能を有するデジタル音楽プレーヤーからデジタル信号を受信して、車載スピーカーから音楽を出力する。
【0015】
このような通信端末との無線通信にあたり、無線通信モジュールには、近距離無線通信用アンテナが接続される。無線通信モジュールは、近距離無線通信用アンテナを介して通信端末との間で電波を送受信することにより無線通信を行う。なお、近距離無線通信用アンテナについては後述する。
【0016】
アッパーカバー40は、開口している筐体本体30の天面を覆う金属部材である。
図2に示すように、アッパーカバー40は、平板形状の本体部41と、本体部の周囲を囲む端部42と、を有し、例えば、筐体本体30にネジ止めされる。また、端部42の所定箇所には、切り欠き43と、近距離無線通信用アンテナ50と、が形成されている。なお、アッパーカバー40は、所望の強度が得られ、かつ、アンテナの機能をなすように、例えば、アルミ、ステンレス、スチール、その他の金属合金などの板金から形成される。また、板金の厚みは、例えば、1mm〜4mm程度の厚みに形成されているものが用いられればよい。
【0017】
図3は、アッパーカバー40の端部42に形成されている近距離無線通信用アンテナ50を拡大した図である。また、
図4は、近距離無線通信用アンテナ50の原理図である。近距離無線通信用アンテナ50は、エレメント部51と、接地部52(GND)と、を有している。また、エレメント部51には、接地部52に連結している接地端53と、接地部52の反対側のエレメント部51の縁端に位置する開放端54と、がある。また、エレメント部51および接地部52の各々には、一端が無線通信モジュールに接続されている給電線55が接続されている。なお、給電線55と、エレメント部51および接地部52とは、例えば、はんだやピン56などにより接続される。
【0018】
エレメント部51は、所定の距離(例えば、10数m)内にある通信端末から放射された電波を受信する。また、エレメント部51で受信された電波は、電気信号として無線通信モジュール内の無線通信回路に送られる。また、無線通信回路で生成された電気信号は、給電線55を通じて無線通信用アンテナ50のエレメント部51に送られ、電波として放射される。なお、接地部52は基準電位点を示すものである。
【0019】
近距離無線通信用アンテナ40は、いわゆる逆F型アンテナの構造を有している。逆F型アンテナとは、給電されている垂直方向の金属棒(または板)と接地板に短絡される金属棒(または板)との間隔を変化させることにより、インピーダンス値を調節して、良好な整合状態を得るようにしたアンテナのことである。なお、逆F型アンテナは、いわゆるモノポールアンテナの高さを折り曲げることによって低くした構造を有しているため、占有面積が少なくて済むため、携帯電話などの移動体通信端末に広く用いられている。
【0020】
このような逆F型アンテナの構造を有する近距離無線通信用アンテナ50は、その長さLおよび占有幅Wに応じて周波数帯域が決定される。したがって、本実施形態に係る近距離無線通信用アンテナ50の寸法は、所望の周波数帯域が得られるように、かかる端部42を構成する材質との関係で、その長さLおよび占有幅Wが決定されればよい(例えば、長さL=15mm、占有幅W=3mm)。
【0021】
次に、近距離無線通信用アンテナ50の形成過程について説明する。なお、後述するように、本実施形態に係る近距離無線通信用アンテナ50は、アッパーカバー40の端部42の一部が折り曲げられて形成される。したがって、近距離無線通信用アンテナ50は、アッパーカバー40と一体的に、かつ、アッパーカバー40と同一の板金から形成されることになる。
【0022】
図5(a)は、アッパーカバー40の端部42を示した図である。同図に示すように、端部42には、プレス加工を行った際に、近距離無線通信用アンテナ50のエレメント部51および接地部52を構成するアンテナ構成部61が予め切り出されている。なお、アンテナ構成部61は、各々、所定の平面領域を有するA部62と、B部63と、C部64と、を有している。また、アッパーカバー40の切り欠き43となる箇所には、端部42の縁端からアッパーカバー40の中心方向に向かって2本の切り込みが入れられており、切り込み同士の間に挟まれた端部42の所定領域をD部65とする。
【0023】
図5(b)は、第一のプレス加工を施した後の端部を示した図である。プレス加工により、D部65は、端部42の一面に対して垂直方向に折り曲げられる。また、プレス加工により、A部62、B部63、C部64は、端部42の一面と水平となるように折り曲げられる。
【0024】
図5(c)は、第二のプレス加工を施した後の端部を示した図である。プレス加工により、B部63は、A部62に対して垂直方向であって、D部65に対向するように折り曲げられる。また、
図5(d)は、第三のプレス加工を施した後の端部を示した図である。プレス加工により、C部64は、B部63に対して垂直方向であって、A部62に対向するように折り曲げられる。このようにして、本実施形態の逆F型アンテナの構造を有する近距離無線通信用アンテナ50は形成される。
【0025】
なお、近距離無線通信用アンテナ50は、アンテナ構成部61のA部が接地部52を構成する。また、アンテナ構成部61のB部63およびC部64がエレメント部51を構成する。また、B部63のうち、A部62と接している部分がエレメント部51の接地端53に相当する。また、接地部52となるA部62およびエレメント部51となるC部64には、各々、給電線55が接続される。
【0026】
このように、本実施形態に係る電子機器によれば、無線通信に充分な放射電力を確保することができる。
【0027】
また、本実施形態に係る電子機器のアッパーカバーの端部には、所望の周波数帯域を得ることができる寸法で近距離無線通信用アンテナが形成される。また、近距離無線通信用アンテナは、筐体の外側に面したアッパーカバーの端部に形成されるため、筐体内にアンテナが設置する場合に比べて、強い放射電力を確保することができる。加えて、筐体内にアンテナを設ける場合、所定の放射電力を確保するために筐体に開口を形成する必要が生じるが、本実施形態に係る電子機器では、その必要はない。すなわち、本実施形態に係る電子機器によれば、筐体に開口を形成する作業工程を省略することができる。また、電子機器が車両に搭載された際、車室内に対向する筐体部分に近距離無線通信用アンテナを形成すれば、かかるアンテナを車室内の通信端末により近い位置に配置でき、安定した無線通信を実現することができる。
【0028】
以上、本実施形態に係る電子機器について説明した。
【0029】
なお、前述の実施形態では、アッパーカバー40の端部42の一部を折り曲げて近距離無線通信用アンテナを形成したが、本発明は本実施形態に限られるものではない。本発明の変形例では、アッパーカバーの端部を近距離無線通信用アンテナの形状が形成されるように切断加工する。
【0030】
図6(a)は、変形例に係る近距離無線通信用アンテナ70を示した図である。同図に示すように、近距離無線通信用アンテナ70は、端部42と切り欠き71との境界端Xを基準にして、端部42の縁端側に位置しているエレメント部72と、境界端Xを基準にして、アッパーカバー40の中心側に位置している接地部73と、を有している。また、切り欠き71は、端部の縁端からアッパーカバー40の中心方向に向けて、端部42が近距離無線通信用アンテナの所定形状となるように形成される。また、エレメント部72および接地部73には、各々、一端が無線通信モジュールに接続されている給電線75が接続される。なお、エレメント部72および接地部73には、例えば、はんだやピンなどにより給電線75と接続するための位置74が予め設定されている。また、
図6(b)は、エレメント部72および接地部73に給電線75が接続された後の近距離無線通信用アンテナ70を示した図である。
【0031】
このように、変形例に係る電子機器によれば、無線通信に充分な放射電力を確保することができる。
【0032】
また、このような変形例に係る近距離無線通信用アンテナは、筐体の外側に面したアッパーカバーの端部に形成されるため、筐体内にアンテナが設置する場合に比べて、強い放射電力を確保することができる。更に、筐体内にアンテナを設ける場合、所定の放射電力を確保するために筐体に開口を形成する必要が生じるが、変形例に係る電子機器によれば筐体に開口を形成する作業工程を省略することができる。また、電子機器が車両に搭載された際、車室内に対向する筐体部分に近距離無線通信用アンテナを形成すれば、かかるアンテナを車室内の通信端末により近い位置に配置でき、安定した無線通信を実現することができる。
【符号の説明】
【0033】
100・・・ナビゲーション装置、
10・・・筐体、20・・・収容ユニット、30・・・筐体本体、
40・・・アッパーカバー