(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」、「an」および「the」は、明瞭かつ明解に一つの指示対象に限定しない限り、複数の指示対象も含む。
【0012】
さらに、他で特に示されない限り、本明細書の目的のために、本明細書で使用される成分、反応条件および他の特性やパラメーターの数量を表す数字は全て、全例において語句「約」で修飾されていると理解される。したがって、他で特に示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で記載される数値で表したパラメーターは、近似値であると理解すべきである。少なくとも、そして特許請求の範囲に対して均等論の適用の制限を意図することなく、数値パラメーターは、報告された重要な桁の数値および通常の四捨五入の技術の適用を考慮して読むべきである。
【0013】
さらに、発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメーターは、前記したように、近似値であるが、実施例に記載の数値は、できるだけ正確に報告している。しかし、そのような数値は、測定装置および/または測定技術に起因する誤差を本来含んでいると理解すべきである。
【0014】
本発明の非限定的な実施形態を今から説明する。非限定的な実施形態の一つは、少なくとも第一状態と第二状態とを有するように適合された熱的に可逆的なフォトクロミック化合物であって、該熱的に可逆的なフォトクロミック化合物の平均吸収率が、セル法に従って測定した少なくとも一つの状態において2.3を超える化合物を提供する。該化合物を以下に詳細に説明する。さらに、種々の非限定的な実施形態によれば、熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した活性化状態において、2.3を超える平均吸収率を有する。本明細書で使用される用語「フォトクロミック化合物」は、熱的に可逆的なフォトクロミック化合物も非熱的に可逆的な(あるいは光可逆的な)フォトクロミック化合物も両方含む。本明細書で使用されるフォトクロミック化合物に関し、用語「活性化状態」とは、フォトクロミック化合物が充分な化学線に曝された時、該フォトクロミック化合物の少なくとも一部が切換え状態になることを言う。さらに、本明細書で使用される用語「化合物」は、複数の元素、成分、要素あるいは部分の合体から形成された物質を意味し、複数の元素、成分、要素、部分の合体から形成される分子および高分子(たとえば、ポリマーあるいはオリゴマー)が含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
一般的に言えば、フォトクロミック化合物の平均吸収率を測定するセル法は、該フォトクロミック化合物は、セル集合体内に含まれる整列された液晶媒体中で少なくとも部分的に整列されている状態で、2つの直交偏光方向のどちらかにおいて、活性化状態あるいは非活性化状態で、フォトクロミック化合物の吸収スペクトルを得ることに関与する。さらに詳しくは、該セル集合体は、2つの対抗するガラス基材を含み、これらの基材は20ミクロン±1ミクロン離れて配置される。該基材は、2つの対抗する端部に沿ってシールされ、セルを形成する。各ガラス基材の内側面にはポリイミドコーティングが塗布され、該面は磨くことによって少なくとも部分的に配向されている。フォトクロミック化合物の整列は、フォトクロミック化合物と液晶媒体とをセル集合体に導入し、液晶媒体を磨かれたポリイミド表面と整列させることによって達成される。フォトクロミック化合物は液晶媒体内に含まれているので、液晶媒体が整列することによってフォトクロミック化合物は整列する。液晶媒体および試験の間使用される温度の選択が測定される吸収率に影響を及ぼすことは、当業者によってよく理解される。したがって、実施例でさらに詳しく記載するように、セル法の目的のため、吸収率測定は室温(73°F±0.5°Fまたはそれ以上)で行われ、液晶媒体は、Licristal(登録商標)E7(シアノビフェニルとシアノターフェニルとの液晶化合物の混合物であると報告されている)である。
【0016】
一旦液晶媒体とフォトクロミック化合物とが整列されると、セル集合体はオプティカルベンチ(実施例においてさらに詳しく記載する)上に配置される。活性化状態において平均吸収率を得るために、フォトクロミック化合物の活性化は、フォトクロミック化合物を、飽和状態あるいは飽和状態に近い状態(すなわち、フォトクロミック化合物の吸収特性の測定を行っている間の時間、実質的に変化しない状態)に達するのに充分な時間、UV光に曝すことによって達成する。吸収測定は、0°、90°、90°、0°などの下記の配列において、オプティカルベンチに対して垂直の面(0°偏光面または方向と言う)内で直線偏光する光と、オプティカルベンチに対して平行の面(90°偏光面または方向と言う)内で直線偏光する光とに関して、ある時間(普通10〜300秒)、3秒間隔で行う。セルによって直線偏光された光の吸光度は、試験された全ての波長について、間隔毎に測定され、波長の同じ範囲にまたがる非活性化吸光度(すなわち、液晶材料と非活性化フォトクロミック化合物とを有するセルの吸光度)を差し引いて、0°および90°偏光面のそれぞれにおいて、フォトクロミック化合物に関し吸収スペクトルを得、飽和または飽和に近い状態でのフォトクロミック化合物について、各偏光面において平均差吸収スペクトルを得る。
【0017】
たとえば、
図1には、本明細書で開示する非限定的な一実施形態によるフォトクロミック化合物で得られる平均差吸収スペクトル(一般的に10で示す)が示されている。平均吸収スペクトル(一般的に11で示す)は、垂直偏光面における、同じフォトクロミック化合物で得られた平均差吸収スペクトルである。
【0018】
フォトクロミック化合物で得られた平均差吸収スペクトルに基づいて、以下のようにして、フォトクロミック化合物の平均吸収率が得られる。λ
max−vis±5ナノメーター(ここで、λ
max−visは、フォトクロミック化合物が全ての面の中で最も高い平均吸光度を有する波長である)に対応する波長(
図1において一般的に14で示す)の所定の範囲における各波長でのフォトクロミック化合物の吸収率は、以下の方程式に従って計算する:
【0019】
【化64】
(式中、AR
λiは波長λ
iでの吸収率であり、Ab
1λiは、偏光方向(すなわち0°または90°)におけるより高い吸光度を有する波長λ
iでの平均吸収であり、Ab
2λiは、残りの偏光方向における波長λ
iでの平均吸収である)。前記の如く、「吸収率」は、第一面内で直線偏光する放射光の吸光度の、該第一面に垂直な面内で直線偏光する同じ波長の放射光の吸光度に対する比を言い、第一面とは、最も高い吸光度を有する面のことである。
【0020】
次いで、フォトクロミック化合物の平均吸収率(「AR」)は、波長の所定の範囲(すなわちλ
max−vis±5ナノメーター)内の個々の吸収率を以下の方程式に従って平均することによって計算される:
【0021】
【化65】
(式中、ARはフォトクロミック化合物の平均吸収率であり、AR
λiは、所定の波長の範囲(すなわちλ
max−vis±5ナノメーター)での各波長についての、個々の吸収率(前記方程式1で計算された)であり、n
iは、平均された個々の吸収率の数である)。
【0022】
先に検討したように、従来の熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、化学線に反応して第一状態から第二状態へ切り替わり、熱エネルギーに反応して第一状態に戻るように適合されている。さらに詳しくは、従来の熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、化学線に反応して、一つの異性体形態(たとえば閉型、これは例示であって限定ではない)から別の異性体(たとえば開型、これは例示であって限定ではない)に変換することができ、熱エネルギーに曝されたとき閉型に戻ることができる。しかしながら、先に検討したように、一般的に、従来の熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、二色性を強く発揮しない。
【0023】
前に検討した様に、本明細書で開示する非限定的な実施形態では、セル法に従って測定した少なくとも一つの状態において2.3を超える平均吸収率を有する熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を提供する。したがって、この非限定的な実施形態による熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、有用なフォトクロミック特性と有用な二色性特性とを両方表示することができる。すなわち、熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、熱的に可逆的な、フォトクロミック二色性化合物でもありえる。本明細書で使用されるフォトクロミック化合物に関し、用語「フォトクロミック二色性」とは、ある条件下で、フォトクロミック特性と二色性特性とを両方表示することを意味する。これらの特性は少なくとも計測によって検出可能である。
【0024】
他の非限定的な実施形態によれば、熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した少なくとも一つの状態において、4〜20、3〜30、または2.5〜50の範囲の平均吸収率を有する、熱的に可逆的なフォトクロミック二色性化合物である。フォトクロミック化合物の平均吸収率が高ければ高いほど、フォトクロミック化合物はより直線偏光するようになることは、当業者によって理解される。したがって、種々の非限定的な実施形態によれば、熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、直線偏光の所望のレベルを達成するために必要な、いずれの平均吸収率も有することができる。
【0025】
他の非限定的な実施形態は、オキサジン類を含まず、少なくとも第一状態と第二状態とを有するように適合された熱的に可逆的なフォトクロミック化合物であって、該熱的に可逆的なフォトクロミック化合物の平均吸収率は、セル法に従って測定した少なくとも一つの状態において少なくとも1.5であるフォトクロミック化合物を提供する。さらに、この非限定的な実施形態によれば、セル法に従って測定した少なくとも一つの状態において、平均吸収率が1.5〜50の範囲でもよい。
【0026】
本明細書で開示する他の非限定的な実施形態は、(a)ピラン、オキサジンおよびフルギドから選択される少なくとも一つのフォトクロミック基(PC)と、(b)その少なくとも一つのフォトクロミック基に結合する少なくとも一つの延長剤とを含む熱的に可逆的なフォトクロミック化合物であり得る、フォトクロミック化合物を提供する。前記延長剤(L)は、下記式I(以下に詳しく記載する):
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「結合する」は、直接結合するあるいは他の基を介して間接的に結合することを意味する。したがって、たとえば、本明細書で開示する非限定的な実施形態によれば、Lは、PC上の置換基として、直接PCに結合することができるか、あるいはLは、PCに直接結合する他の基上の置換基(たとえばR
1で表される基、これは後に検討する)である(すなわち、LはPCに間接的に結合する)こともできる。ここで限定されないが、非限定的な実施形態によれば、LはPCに結合し得、活性化状態におけるPCを延長したり伸ばしたりすることもでき、その結果、延長されたPC(すなわちフォトクロミック化合物)の吸収率がPC単独の場合と比べて増強される。本明細書中で限定しないが、種々の非限定的な実施形態によれば、PC上のLの結合の位置は、PCの活性化形態の理論的移行性双極子モーメントに対して平行あるいは垂直方向の少なくとも一つの方向に、PCを伸ばすように選択することができる。本明細書において使用される用語「理論的移行性双極子モーメント」とは、分子と電磁放射線との相互作用によって造り出される移行性双極子分極を言う。たとえば、IUPAC Compendium of Chemical Technology 第2版,International Union of Pure and Applied Chemistry(1997)を参照のこと。
【0029】
前記式Iに関し、Q
1、Q
2およびQ
3はそれぞれ各存在について独立して、非置換または置換芳香族基、非置換または置換脂環式基、非置換または置換複素環基、およびこれらの混合物から選択される二価の基から選択することができ、前記置換基は、P(以下で記載)で表される基、アリール、チオール、アミド、液晶メソゲン、ハロゲン、C
1−C
18アルコキシ、ポリ(C
1−C
18アルコキシ)、アミノ、アミノ(C
1−C
18)アルキレン、C
1−C
18アルキルアミノ、ジ(C
1−C
18)アルキルアミノ、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケン、C
2−C
18アルキン、C
1−C
18アルキル(C
1−C
18)アルコキシ、C
1−C
18アルコキシカルボニル、C
1−C
18アルキルカルボニル、C
1−C
18アルキルカーボネート、アリールカーボネート、C
1−C
18アセチル、C
3−C
10シクロアルキル、C
3−C
10シクロアルコキシ、イソシアナト、アミド、シアノ、ニトロ、直鎖または分岐状のC
1−C
18アルキル基であってシアノ、ハロゲンまたはC
1−C
18アルコキシでモノ置換されたかまたはハロゲンでポリ置換された基、および式:−M(T)
(t−1)および−M(OT)
(t−1)(式中、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウム、およびケイ素から選択され、Tは、有機官能遊離基、有機官能炭化水素遊離基、脂肪族炭化水素遊離基および芳香族炭化水素遊離基から選択され、tは、Mの価数である)の中の一つを含む基、から選択される。本明細書で使用する接頭語「ポリ」は少なくとも2を意味する。
【0030】
前記の如く、Q
1、Q
2およびQ
3はそれぞれ各存在について独立して、非置換または置換芳香族基、非置換または置換複素環基、非置換または置換脂環式基のような二価の基から選択することができる。有用な芳香族基の非限定的な例として、ベンゾ、ナフト、フェナントロ、ジフェニル、テトラヒドロナフト、ターフェニルおよびアントラセノ基が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される用語「複素環基」は、原子の環を持つ化合物を意味し、該環を形成する少なくとも一つの原子は、該環を形成する他の原子と異なる。さらに、本明細書で使用される場合、用語複素環基は、特に縮合複素環基を除く。Q
1、Q
2およびQ
3として選ぶことができる適切な複素環基の非限定的な例示として、イソソルビトール、ジベンゾフロ、ジベンゾチエノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チエノ、フロ、ジオキシノ、カルバゾロ、アントラニリル、アゼピニル、ベンゾキサゾリル、ジアゼピニル、ジオアジリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、インダゾリル、インドレニニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、インドキサジニル、イソベンズアゾリル、イソインドリル、イソオキサゾリル、イソオキサジル、イソピロイル、イソキノリル、イソチアゾリル、モルホリノ、モルホリニル、オキザジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサチアジル、オキサチオリル、オキサトリアゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペラジル、ピペリジル、プリニル、ピラノピロリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピラジル、ピリダジニル、ピリダジル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピリデニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロイル、キノリジニル、キヌクリジニル、キノリル、チアゾリル、トリアゾリル、トリアジル、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、アリールピペリジノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピリル、非置換またはモノ置換あるいはジ置換C
4−C
18スピロ二環式アミン、および非置換またはモノ置換あるいはジ置換C
4−C
18スピロ三環式アミンが挙げられる。
【0032】
先に検討したように、種々の非限定的な実施態様によれば、Q
1、Q
2およびQ
3は、モノ置換またはジ置換C
4−C
18スピロ二環式アミンおよびC
4−C
18スピロ三環式アミンから選択することができる。適切な置換基の非限定的な例示として、アリール、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシまたはフェニル(C
1−C
6)アルキルが挙げられる。モノ置換またはジ置換スピロ二環式アミンの特定の非限定的な例示として、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル;3−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル;2−アザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イル;および6−アザビシクロ[3.2.2]ノナン−6−イルが挙げられる。モノ置換またはジ置換スピロ三環式アミンの特定の非限定的な例示として、2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−ベンジル−2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−メトキシ−6−メチル−2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカン−4−イル;および7−メチル−4−アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカン−4−イルが挙げられる。
【0033】
Q
1、Q
2およびQ
3として選ぶことができる脂環式基の例として、シクロヘキシル、シクロプロピル、ノルボルネニル、デカリニル、アダマンタニル、ビシクロオクタン、パーヒドロフルオレンおよびクバニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
引き続き式Iを参照すると、S
1、S
2、S
3、S
4およびS
5はそれぞれ独立して、各存在について、以下から選択されるスペーサー単位から選択される:
(1)−(CH
2)
g−、−(CF
2)
h−、−Si(CH
2)
g−、−(Si[(CH
3)
2]O)
h−(式中、gは、独立して各存在について、1〜20から選択され、hは、1〜16から選択される);
(2)−N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−(式中、Zは、独立して各存在について、水素、C
1−C
6アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択され、Z’は、独立して各存在について、C
1−C
6アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される);および
(3)−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、直鎖または分岐状のC
1−C
24アルキレン残基(該C
1−C
24アルキレン残基は非置換、シアノまたはハロゲンでモノ置換、またはハロゲンでポリ置換されている);
ただし、ヘテロ原子を含むスペーサー単位2個が互いに結合している場合は、該スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接結合しないように結合し、かつ、S
1およびS
5が、PCおよびPにそれぞれ結合する場合、これらは2個のヘテロ原子が互いに直接結合しないように結合する。本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の原子を意味する。
【0035】
本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、式Iにおいて、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、そしてd’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。本明細書で開示する他の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、そしてd’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも2である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。
【0036】
さらに式Iにおいて、Pは、アジリジニル、水素、ヒドロキシ、アリール、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキルアルコキシ、アルコキシアルコキシ、ニトロ、ポリアルキルエーテル、(C
1−C
6)アルキル(C
1−C
6)アルコキシ(C
1−C
6)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレン、アクリレート、メタクリレート、2−クロロアクリレート、2−フェニルアクリレート、アクリロイルフェニレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−クロロアクリルアミド、2−フェニルアクリルアミド、エポキシ、イソシアネート、チオール、チオイソシアネート、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、シロキサン、主鎖および側鎖液晶ポリマー、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換ケイ皮酸誘導体、メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンの少なくとも一つで置換されたケイ皮酸誘導体、ならびに置換および非置換の一価または二価のキラルおよび非キラル基であって、ステロイド遊離基、テルペノイド遊離基、アルカロイド遊離基およびこれらの混合物から選択される基(該基中、置換基は、独立して、アルキル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、アルキルアルコキシ、フルオロアルキル、シアノアルキル、シアノアルコキシおよびこれらの混合物から選択される)から選択することができる。
【0037】
本明細書に開示する非限定的な実施形態によれば、Pが重合可能な基の場合、該重合可能な基は、重合反応に関与するように適合された官能基のいかなるものでもよい。重合反応の非限定的な例示として、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary Thirteenth Edition,1997,John Wiley&Sons,901−902頁の「polymerization」の定義に記載されている反応が挙げられ、その開示は本明細書中で参考として援用される。重合反応として、たとえば、これに限定されないが、以下が挙げられる:フリーラジカルが開始剤であり、これが二重結合の片側に付加することによってモノマーの二重結合と反応し、同時に新しいフリー電子をもう片側に生成する「付加重合反応」;2個の反応性分子が結合して、水分子のような小さな分子を脱離して、より大きな分子を形成する「縮合重合」;および「酸化カップリング重合」。さらに、重合可能な基の非限定的な例示として、ヒドロキシ、アシルオキシ、メタクリルオキシ、2−(アクリルオキシ)エチルカルバミル、2−(メタクリルオキシ)エチルカルバミル、イソシアネート、アジリジン、アリルカーボネート、およびオキシラニルメチルのようなエポキシが挙げられる。
【0038】
特定な非限定的一実施形態によれば、Pは、主鎖または側鎖の液晶ポリマーおよび液晶メソゲンから選択することができる。本明細書で使用される場合、用語液晶「メソゲン」は、剛直な棒状(rod−like)または円盤状(disk−like)の液晶分子を意味する。さらに本明細書で使用される用語「主鎖液晶ポリマー」は、該ポリマーの骨格鎖(すなわち主鎖)構造内に液晶メソゲンを有するポリマーを言う。本明細書で使用される用語「側鎖液晶ポリマー」は、ポリマーの側鎖に結合する液晶メソゲンを有するポリマーを言う。本明細書において一般的に、メソゲンは液晶ポリマーの動きを制限する複数の芳香環から構成されるがこれに限定されない。適切な棒状液晶メソゲンの例として、置換または非置換の芳香族エステル、置換または非置換の直鎖状芳香族化合物および置換または非置換のターフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
他の特定な非限定的な実施形態によれば、Pはステロイド遊離基、たとえば、コレステロール性化合物(これに限定されない)から選択することができる。
【0040】
前記で検討したように、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態は、(a)ピラン類、オキサジン類、およびフルギド類から選択されるフォトクロミック基(PC)と、(b)式I(前記)で表され、PCに結合し、式I(上記)で表される少なくとも一つの延長剤(L)とを含むフォトクロミック化合物を提供する。本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、PCは、熱的に可逆的なピラン類、熱的に可逆的なオキサジン類および熱的に可逆的なフルギド類から選択される、熱的に可逆的なフォトクロミック基であり得る。以下でさらに詳しく検討する他の非限定的な実施形態によれば、PCは、非熱的に可逆的なフォトクロミック基でもよい。本明細書で使用される用語「非熱的に可逆的」は、化学線に反応して第一状態から第二状態に切り換わり、化学線に反応して第一状態に戻るように適合されることを意味する。
【0041】
PCとして選択することができ、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態とともに使用することができる熱的に可逆的なフォトクロミックピラン類の非限定的な例として、ベンゾピラン類;ナフトピラン類、たとえば、ナフト[1,2−b]ピラン類、ナフト[2,1−b]ピラン類、米国特許第5,645,767号に開示のナフトピラン類のようなインデノ縮合ナフトピラン類、および米国特許第5,723,072号、同第5,698,141号、同第6,153,126号および同第6,022,497号(これらは本明細書中で参考として援用される)に開示されるナフトピラン類のような複素環縮合ナフトピラン類;スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピラン類;フェナントロピラン類;キノピラン類;フルオロアンテノピラン類;たとえば、スピロ(ベンズインドリン)ナフトピラン類、スピロ(インドリン)ベンゾピラン類、スピロ(インドリン)ナフトピラン類、スピロ(インドリン)キノピラン類、およびスピロ(インドリン)ピラン類のようなスピロピラン類が挙げられる。ナフトピラン類および相補的有機フォトクロミック物質のさらに詳しい例示は、米国特許第5,658,501号に記載され、これらは本明細書に参考として特別に援用される。スピロ(インドリン)ピラン類は、また、テキスト、Techniques in Chemistry,第III巻,「Photochromism」,第3章,Glenn H.Brown,Editor,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1971にも記載され、これは本明細書中で参考として援用される。
【0042】
PCとして選択することができ、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態とともに使用することができる熱的に可逆的なフォトクロミックオキサジン類の非限定的な例として、ベンズオキサジン類、ナフトオキサジン類、および、たとえば、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン類、スピロ(インドリン)ピリドベンズオキサジン類、スピロ(ベンズインドリン)ピリドベンズオキサジン類、スピロ(ベンズインドリン)ナフトオキサジン類、スピロ(インドリン)ベンズオキサジン類、スピロ(インドリン)フルオランテノキサジン、およびスピロ(インドリン)キノキサジンのようなスピロオキサジン類が挙げられる。
【0043】
PCとして選択することができ、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態とともに使用することができる熱的に可逆的なフォトクロミックフルギド類の非限定的な例として、フルギミド類、米国特許第4,931,220号(これは参考として本明細書に具体的に援用される)に開示される3−フリルフルギド類、3−チエニルフルギド類、3−フリルフルギミド類、3−チエニルフルギミド類、および前記フォトクロミック物質/化合物のいずれかとの混合物が挙げられる。
【0044】
フォトクロミック基が少なくとも2個のPCを含む特定の非限定的な一実施形態によれば、該PCは、それぞれのPC上の結合基の置換基を介して互いに結合することができる。たとえば、該PCは、重合可能なフォトクロミック基、またはホスト材料と適合性であるように適合されたフォトクロミック基(「適合化フォトクロミック基」)であり得る。PCとして選択することができ、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態とともに使用することができる重合可能なフォトクロミック基の非限定的な例が、米国特許第6,113,814号に開示され、この米国特許第6,113,814号は参考として本明細書に具体的に援用される。PCとして選択することができ、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態とともに有用な適合化フォトクロミック基の非限定的な例が、米国特許第6,555,028号に開示され、この米国特許第6,555,028号は参考として本明細書に具体的に援用される。
【0045】
他の適切なフォトクロミック基および相補性フォトクロミック基が、米国特許第6,080,338号明細書第2欄21行〜第14欄43行、米国特許第6,136,968号明細書第2欄43行〜第20欄67行;米国特許第6,296,785号明細書第2欄47行〜第31欄5行、米国特許第6,348,604号明細書第3欄26行〜第17欄15行、米国特許第6,353,102号明細書第1欄62行〜第11欄64行、および米国特許第6,630,597号明細書第2欄16行〜第16欄23行に記載され、これらの特許は本明細書中で参考として援用される。
【0046】
さらに、先に検討したように、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、少なくとも一つのフォトクロミック基(PC)と式I(前記)で表され、PCに結合する少なくとも一つの延長剤(L)とを含むフォトクロミック化合物は、フォトクロミック二色性化合物であり得る。たとえば、種々の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、セル法(前記)に従って測定した活性化状態において、2.3を超える平均吸収率を有するフォトクロミック二色性化合物でもよい。他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した活性化状態において、4〜20、3〜30、または2.5〜50の範囲の平均吸収率を有するフォトクロミック二色性化合物でもよい。
【0047】
さらに、少なくとも一つの延長剤(L)に加えて、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミック化合物は、さらに、PCに直接結合するR
1で表される少なくとも一つの基を含むことができる。さらに、必ずしも必要ではないが、先に検討したように、種々の非限定的な実施形態によれば、少なくとも一つの延長剤(L)は、R
1で表される少なくとも一つの基を介してPCに間接的に結合することもできる。すなわち、種々の非限定的な実施形態によれば、Lは、PCに結合する少なくとも一つ基R
1上の置換基であり得る。
【0048】
本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、R
1は、独立して、各存在について、以下から選択することができる:
(i)水素、C
l−C
l2アルキル、C
2−C
12アルキリデン、C
2−C
12アルキリジン、ビニル、C
3−C
7シクロアルキル、C
1−C
12ハロアルキル、アリル、ハロゲン、および非置換またはC
l−C
l2アルキルおよびC
l−C
l2アルコキシの少なくとも一つでモノ置換されたベンジル;
(ii)フェニル基であって、そのp位において、C
1−C
7アルコキシ、直鎖または分岐鎖状のC
l−C
20アルキレン、直鎖または分岐鎖状のC
1−C
4ポリオキシアルキレン、環状C
3−C
20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C
1−C
4アルキル置換フェニレン、モノウレタン(C
1−C
20)アルキレンまたはポリウレタン(C
1−C
20)アルキレン、モノエステル(C
1−C
20)アルキレンまたはポリエステル(C
1−C
20)アルキレン、モノカーボネート(C
l−C
20)アルキレンまたはポリカーボネート(C
l−C
20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびこれらの混合物から選択される少なくとも一つの置換基でモノ置換され、該少なくとも一つの置換基はフォトクロミック物質のアリールに結合される、フェニル基;
(iii)−CH(CN)
2および−CH(COOX
1)
2(式中、X
1は、前記式Iで表される延長剤L、水素、非置換またはフェニルでモノ置換されたC
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシでモノ置換されたフェニル(C
1−C
12)アルキル、および非置換、モノ置換またはジ置換されたアリール基(該アリール基の置換基はそれぞれ独立してC
1−C
12アルキルおよびC
1−C
12アルコキシから選択される)の少なくとも一つから選択される);
(iv)−CH(X
2)(X
3)(式中、
(A)X
2は、前記式Iで表される延長剤L、水素、C
1−C
12アルキル、および非置換、モノ置換またはジ置換されたアリール基(該アリール基の置換基はそれぞれ独立してC
1−C
12アルキルおよびC
1−C
12アルコキシから選択される)の少なくとも一つから選択され;そして
(B)X
3は、−COOX
1、−COX
1、−COX
4、および−CH
2OX
5の少なくとも一つから選択され、式中、
(1)X
4は、モルホリノ、ピペリジノ、非置換またはC
1−C
12アルキルでモノ置換またはジ置換されたアミノ、およびフェニルアミノおよびジフェニルアミノから選択される非置換、モノ置換またはジ置換基(該基の各置換基は独立してC
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシから選択される)の少なくとも一つから選択され;そして
(2)X
5は、前記式Iで表される延長剤L、水素、−C(O)X
2、非置換または(C
1−C
12)アルコキシまたはフェニルでモノ置換されたC
1−C
12アルキル、(C
1−C
12)アルコキシでモノ置換されたフェニル(C
1−C
12)アルキル、および非置換またはモノ置換またはジ置換されたアリール基(該アリール基の各置換基は独立してC
1−C
12アルキルおよびC
1−C
12アルコキシから選択される)から選択される);
(v)非置換、またはモノ置換、ジ置換あるいはトリ置換された、フェニル、ナフチル、フェナントリルまたはピレニルのようなアリール基;9−ジュロリジニル;またはピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバモイル、ベンゾピリジル、インドリニル、およびフルオレニルから選択される、非置換、モノ置換またはジ置換ヘテロ芳香族基であって、該置換基は、各存在について独立して以下から選択される:
(A)前記式Iで表される延長剤L;
(B)−C(O)X
6(式中、X
6は、前記式Iで表される延長剤L、水素、C
l−C
l2アルコキシ、非置換
または、C
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシでモノ置換またはジ置換されたフェノキシ、非置換
または、C
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシでモノ置換またはジ置換されたアリール基、非置換
または、C
1−C
12アルキルでモノ置換またはジ置換されたアミノ基、および非置換
または、C
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシでモノ置換またはジ置換されたフェニルアミノの少なくとも一つから選択される);
(C)アリール、ハロアリール、C
3−C
7シクロアルキルアリール、およびC
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシでモノ置換またはジ置換されたアリール基;
(D)C
1−C
12アルキル、C
3−C
7シクロアルキル、C
3−C
7シクロアルキルオキシ(C
1−C
12)アルキル、アリール(C
1−C
12)アルキル、アリールオキシ(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルキルまたはジ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルキルまたはジ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルキル、ハロアルキル、およびモノ(C
1−C
12)アルコキシ(C
1−C
12)アルキル;
(E)C
1−C
12アルコキシ、C
3−C
7シクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C
1−C
12)アルコキシ、アリール(C
1−C
12)アルコキシ、アリールオキシ(C
1−C
12)アルコキシ、モノ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルコキシまたはジ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルコキシ、およびモノ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルコキシまたはジ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルコキシ;
(F)アミド、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C
1−C
12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシおよびハロゲン;
(G)−OX
7および−N(X
7)
2(式中、X
7は、以下から選択される:
(1)前記式Iで表される延長剤L、水素、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アシル、フェニル(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルキル置換フェニル(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルコキシ置換フェニル(C
1−C
12)アルキル;C
1−C
12アルコキシ(C
1−C
12)アルキル;C
3−C
7シクロアルキル;モノ(C
1−C
12)アルキル置換C
3−C
7シクロアルキル、C
1−C
12ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、モノ置換ベンゾイル、ナフトイルまたはモノ置換ナフトイル(ここで、該ベンゾイル置換基およびナフトイル置換基は、それぞれ独立してC
1−C
12アルキルおよびC
1−C
12アルコキシから選択される);
(2)−CH(X
8)X
9(式中、X
8は、前記式Iで表される延長剤L、水素、またはC
1−C
12アルキルから選択され、X
9は、前記式Iで表される延長剤L、−CN、−CF
3、または−COOX
10から選択され、式中、X
10は、前記式Iで表される延長剤L、水素またはC
1−C
12アルキルから選択される);
(3)−C(O)X
6;および
(4)トリ(C
1−C
12)アルキルシリル、トリ(C
1−C
12)アルコキシシリル、ジ(C
1−C
12)アルキル(C
1−C
12アルコキシ)シリル、またはジ(C
1−C
12)アルコキシ(C
1−C
12アルキル)シリル);
(H)−SX
11(式中、X
11は、前記式Iで表される延長剤、C
1−C
12アルキル、非置換
または、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシまたはハロゲンでモノ置換またはジ置換されたアリール基から選択される);
(I)式iで表される窒素含有環:
【0049】
【化67】
(式中、
(1)nは、0、1、2、および3から選択される整数であり、ただしnが0の場合は、U’はUであり、各Uは、独立して、各存在について、−CH
2−、−CH(X
12)−、−C(X
12)
2−、−CH(X
13)−、−C(X
13)
2−、および−C(X
12)(X
13)−から選択され、式中、X
12は、前記式Iで表される延長剤L、およびC
1−C
12アルキルから選択され、X
13は前記式Iで表される延長剤L、フェニルおよびナフチルから選択され、そして
(2)U’は、U、−O−、−S−、−S(O)−、−NH−、−N(X
12)−、または−N(X
13)−から選択され、mは、1、2、および3から選択される整数である);ならびに
(J)式iiまたはiiiの一つで表される基:
【0050】
【化68】
(式中、X
14、X
15、およびX
16は、独立して、各存在について、前記式Iで表される延長剤L、C
1−C
12アルキル、フェニルおよびナフチルから選択されるか、またはX
14とX
15とが一緒になって炭素原子5〜8個の環を形成し;pは、0、1、または2から選択される整数であり、X
17は、独立して、各存在について、前記式Iで表される延長剤L、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシおよびハロゲンから選択される);
(vi)非置換またはモノ置換基であって、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルおよびアクリジニルから選択される基(各置換基は、独立して、前記式Iで表される延長剤L、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノおよびハロゲンから選択される);
(vii)式ivまたはvで表される基:
【0051】
【化69】
(式中、
(A)V’は、各式で独立して、−O−、−CH−、C
1−C
6アルキレン、およびC
3−C
7シクロアルキレンから選択され、
(B)Vは、各式で独立して、−O−または−N(X
21)−から選択され、式中、X
21は、前記式Iで表される延長剤L、水素、C
1−C
12アルキル、およびC
2−C
12アシルから選択され、ただしVが−N(X
21)−の場合V’は−CH
2−であり、
(C)X
18およびX
19はそれぞれ独立して、前記式Iで表される延長剤L、水素およびC
1−C
12アルキルから選択され、そして
(D)kは、0、1および2から選択され、各X
20は、独立して、各存在について、前記式Iで表される延長剤L、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される);
(viii)式viで表される基:
【0052】
【化70】
(式中、
(A)X
22は、前記式Iで表される延長剤L、水素およびC
1−C
12アルキルから選択され、そして
(B)X
23は、前記式Iで表される延長剤L、または、ナフチル、フェニル、フラニル、およびチエニルから選択される非置換、モノ置換またはジ置換基(式中、各置換基は、独立して、各存在について、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシおよびハロゲンから選択される)から選択される);
(ix)−C(O)X
24
(式中、X
24は、前記式Iで表される延長剤L、ヒドロキシ、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、非置換またはC
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシでモノ置換されたフェニル、非置換
または、C
1−C
12アルキル、フェニル、ベンジルおよびナフチルの少なくとも一つでモノ置換またはジ置換されたアミノから選択される);(x)−OX
7および−N(X
7)
2(式中、X
7は前記の通り);
(xi)−SX
11(式中、X
11は、前記の通り);
(xii)前記式ivで表される窒素含有環;
(xiii)前記で示された式vまたはviの一つで表された基;および
(xiv)すぐ隣のR
1基が一緒になって形成される、式vii、viiiおよびixの一つによって表される基:
【0053】
【化71】
(式中、
(A)WおよびW’は、独立して、各存在について、−O−、−N(X
7)−、−C(X
14)−、−C(X
17)−(式中、X
7、X
14、およびX
17は、前記の通り)から選択され、
(B)X
14、X
15、およびX
17は、前記の通りであり、
(C)qは、0、1、2、3および4から選択される整数である)。
【0054】
他の非限定的な実施形態では、
(a)ピラン、オキサジンおよびフルギドから選択される少なくとも一つのフォトクロミック基と、
(b)その少なくとも一つのフォトクロミック基に結合した少なくとも一つの延長剤(L)とを含むフォトクロミック化合物が提供され、この少なくとも一つの延長剤は、下記の表1に列挙される(かつ図で示された)化合物から選択される:
【0058】
【化75】
本明細書で開示する他の非限定的な実施形態は、式IIで表されるフォトクロミック化合物を提供する:
【0059】
【化76】
式IIに関し、Aは、ナフト、ベンゾ、フェナントロ、フルオランテノ、アンテノ、キノリノ、チエノ、フロ、インドロ、インドリノ、インデノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チオフェノ、インデノ縮合ナフト、複素環縮合ナフトおよび複素環縮合ベンゾから選択される芳香環または縮合芳香環である。さらに、種々の非限定的な実施形態によれば、BおよびB’はそれぞれ独立して、以下から選択され得る:
(i)水素、C
1−C
12アルキル、C
2−C
12アルキリデン、C
2−C
12アルキリジン、ビニル、C
3−C
7シクロアルキル、C
1−C
12ハロアルキル、アリル、ハロゲン、および、非置換またはC
1−C
12アルキルおよびC
1−C
12アルコキシの少なくとも一つでモノ置換されたベンジル;
(ii)フェニル基であって、そのp位において、C
1−C
7アルコキシ、直鎖または分岐鎖状のC
l−C
20アルキレン、直鎖または分岐鎖状のC
1−C
4ポリオキシアルキレン、環状C
3−C
20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C
1−C
4アルキル置換フェニレン、モノまたはポリウレタン(C
1−C
20)アルキレン、モノまたはポリエステル(C
1−C
20)アルキレン、モノまたはポリカーボネート(C
l−C
20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびこれらの混合物から選択される少なくとも一つの置換基でモノ置換され、該少なくとも一つの置換基はフォトクロミック物質のアリールに結合するフェニル基;
(iii)−CH(CN)
2および−CH(COOX
1)
2(式中、X
1は前記の通り);
(iv)−CH(X
2)(X
3)(式中、X
2およびX
3は前記の通り);
(v)非置換、またはモノ置換、ジ置換あるいはトリ置換された、フェニル、ナフチル、フェナントリルまたはピレニルのようなアリール基;9−ジュロリジニル;またはピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバモイル、ベンゾピリジル、インドリニル、およびフルオレニルから選択される、非置換、モノ置換またはジ置換ヘテロ芳香族基であって、該置換基は、各存在について独立して以下から選択される:
(A)前記式Iで表される延長剤L;
(B)−C(O)X
6(式中、X
6は、前記の通り);
(C)アリール、ハロアリール、C
3−C
7シクロアルキルアリール、およびC
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシでモノ置換またはジ置換されたアリール基;
(D)C
1−C
12アルキル、C
3−C
7シクロアルキル、C
3−C
7シクロアルキルオキシ(C
1−C
12)アルキル、アリール(C
1−C
12)アルキル、アリールオキシ(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルキルまたはジ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルキルまたはジ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルキル、ハロアルキル、およびモノ(C
1−C
12)アルコキシ(C
1−C
12)アルキル;
(E)C
1−C
12アルコキシ、C
3−C
7シクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C
1−C
12)アルコキシ、アリール(C
1−C
12)アルコキシ、アリールオキシ(C
1−C
12)アルコキシ、モノ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルコキシまたはジ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルコキシ、およびモノ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルコキシまたはジ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルコキシ;
(F)アミド、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C
1−C
12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシおよびハロゲン;
(G)−OX
7および−N(X
7)
2(式中、X
7は前記の通り);
(H)−SX
11(式中、X
11は前記の通り);
(I)式i(前記の通り)で表される窒素含有環;
(J)式iiまたはiii(前記の通り)の一つで表される基;
(vi)非置換またはモノ置換基であって、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルおよびアクリジニルから選択される基(各置換基は、独立して、延長剤L、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから選択される);
(vii)式ivまたはv(前記の通り)の一つで表される基;および
(viii)式vi(前記の通り)で表される基。
【0060】
あるいは、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、BおよびB’は一緒になって、以下の基を形成することもできる:(a)非置換、モノ置換またはジ置換されたフルオレン−9−イリデンであって、該フルオレン−9−イリデンの各置換基は、C
1−C
4アルキル、C
1−C
4アルコキシ、フルオロおよびクロロから選択される;(b)飽和C
3−C
12スピロ単環式炭化水素環、たとえば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン;(c)飽和C
7−C
12スピロ−二環式炭化水素環、たとえば、ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデンすなわちノルボルニリデン、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチリデンすなわちボルニリデン、ビシクロ[3.2.1]オクチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イリデン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン;または(d)飽和C
7−C
12スピロ−三環式炭化水素環、たとえば、トリシクロ[2.2.1.0
2,6]ヘプチリデン、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デシリデンすなわちアダマンチリデン、およびトリシクロ[5.3.1.1
2,6]ドデシリデン。さらに、以下でより詳細に検討する種々の非限定的な実施形態によれば、BおよびB’は、一緒になって、非置換またはR
2で表される少なくとも一つの基で置換された、インドリノまたはベンゾインドリノを形成することもできる。
【0061】
再び式IIに関し、種々の非限定的な実施形態によれば、「i」は、0からA上の可能な位置の総数までから選択される整数であり得、各R
2は、それぞれ独立して、各存在について以下の基から選択することができる:
(i)B(前記の通り)で表される基;
(ii)−C(O)X
24(式中、X
24は、前記の通り);
(iii)−OX
7および−N(X
7)
2(式中、X
7は前記の通り);
(iv)−SX
11(式中、X
11は、前記の通り);
(v)前記式iで表される窒素含有環;
(vi)前記式iiまたはiiiの一つで表された基;
(vii)すぐ隣のR
2基がいっしょになって形成される、前記式vii、viiiまたはixの一つによって表される基;および
(viii)前記式Iで表される延長剤L。
【0062】
さらに、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、式IIで表されるフォトクロミック化合物は、前記式Iで表される少なくとも一つの延長剤(L)を含む。先に検討したように、式Iにおいて、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’はそれぞれ、独立して、0、1、2、3および4から選ぶことができ、ただしd’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。本明細書で開示する他の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも2である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。
【0063】
したがって、たとえば、式IIにおいて、「i」は、少なくとも1であり得、R
2基の少なくとも一つは延長剤Lであり得る。加えてあるいは代わりに、フォトクロミック化合物は、少なくとも一つのR
2基、少なくとも一つのB基、または少なくとも一つの、延長剤Lで置換されたB’基を含むことができる。たとえば、ここで限定されないが、一つの非限定的な実施形態において、式IIで表されるフォトクロミック化合物は、延長剤Lでモノ置換されたフェニル基を含むB基を含むことができる。
【0064】
さらに、ここで限定されないが、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、延長剤(L)は、可能などのような位置においてもフォトクロミック基(たとえば、式IIのピラン基)に結合することができ、その結果、延長されたフォトクロミック基(すなわちフォトクロミック化合物)の吸収率が延長されていないフォトクロミック基に比べて増強される活性化状態において、Lがフォトクロミック基を延長したり伸ばしたりする。したがって、たとえば(限定されない)、フォトクロミック化合物が式IIで表される種々の非限定的な実施形態によれば、Lは、ピラン基に直接結合することができ(たとえば、ここでiは少なくとも1でR
2はLである)、または、Lは、たとえば、R
2、B基またはB’基上の置換基として、ピラン基に間接的に結合することもでき、その結果、Lが活性化状態においてピラン基を延長して、フォトクロミック化合物の吸収率が延長されていないピラン基に比べて増強される。
【0065】
ここで限定されるわけではないが、Aがナフトである非限定的な一実施形態では、フォトクロミック化合物が、式III:
【0066】
【化77】
(式中、少なくとも一つのR
2はLを含みおよび/または少なくとも一つのBまたはB’基は、Lで置換されている)で一般的に表されるナフト[1,2−b]ピランであってもよい。たとえば、この非限定的な実施形態によれば、上で検討したように、少なくとも一つのR
2基はLでもよくおよび/または少なくとも一つのB基、B’基またはR
2基は、Lで置換されていてもよい。
【0067】
ここで限定されるわけではないが、たとえば、式IIIで示されるナフト[1,2−b]ピランは、LあるいはLで置換された基である8位の置換基R
2(下記する式IVにおいて説明する)を選択することによって、8位で延長することができる。さらに、ナフト[1,2−b]ピランを8位で伸ばす同様の効果は、たとえば(限定ではない)、LあるいはLで置換された基である7位のR
2置換基を選択することによって達成できることが企図される。ただし、置換は、ナフト[1,2−b]ピランを8位での延長の方向にほぼ平行な方向に伸ばす。さらに、ナフト[1,2−b]ピランを、LあるいはLで置換された基であるR
2置換基を2つ以上選択することによって、8位でのほぼ延長方向に延長できることが企図される。ただし、置換は、ナフト[1,2−b]ピランを8位での延長の方向にほぼ平行な方向に伸ばす。しかし、本明細書で開示するフォトクロミック化合物は、延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR
2基で置換することによって、任意の可能な位置において延長され得、および/または延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR
2基による可能な位置での複数の組み合わせの置換によって、任意の所望の方向へ延長され得ることが、当業者に理解される。
【0068】
たとえば、ここで限定されるわけではないが、種々の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式IV:
【0069】
【化78】
(式中、
(a)6位のR
2置換基、8位のR
2置換基、BおよびB’の少なくとも一つは延長剤Lを含み;
(b)6位のR
2置換基は、5位のR
2置換基と一緒になって式x〜式xiv:
【0070】
【化79】
(式中、Kは、−O−、−S−、−N(X
7)−、非置換Cまたはアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソまたはアリールで置換されたCから選択され;K’は、−C−、−O−、または−N(X
7)−であり;K’’は、−O−または−N(X
7)−から選択され;X
25はR
2(前記で詳しく定義の通り)で表される基であり;X
26は、水素、アルキル、アリールから選択することができるか、または一緒になってベンゾまたナフトを形成してもよく;各X
27は、アルキルおよびアリールから選択されるか、または一緒になってオキソであり;ただし8位のR
2置換基、X
25、K、K’、K’’、BまたはB’の少なくとも一つは延長剤Lを含む)の一つで表される基を形成し;
(c)6位のR
2置換基と7位のR
2置換基とは一緒になって、ベンゼノおよびナフトから選択される芳香族基を形成し、ただし、8位のR
2置換基、BおよびB’の少なくとも一つは延長剤Lを含む)で表されるナフト[1,2−b]ピランであってもよい。
【0071】
さらに、5位のR
2置換基と6位のR
2置換基(前記式IVに示されている)が一緒になって、インデノ基を形成する、特定の非限定的な一実施形態によれば、フォトクロミック化合物は式V:
【0072】
【化80】
(式中、Kは前記の通りであり、11位のR
2置換基、7位のR
2置換基、K、BおよびB’の少なくとも一つは延長剤Lを含む)で表されるインデノ縮合ナフト[1,2−b]ピランであってもよい。さらに、特定の非限定的な一実施形態によれば、11位のR
2置換基および7位のR
2置換基の少なくとも一つは延長剤Lである。
【0073】
再び前記式IIに関し、Aがナフトである他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式VI:
【0074】
【化81】
(式中、B、B’の少なくとも一つ、または少なくとも一つのR
2は延長剤Lを含む)で一般的に示されるナフト[2,1−b]ピランであってもよい。さらに、ナフト[1,2−b]ピラン類に関し先に検討したように、本明細書で開示するナフト[2,1−b]ピラン類は、延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR
2基で置換することによって、任意の可能な位置において延長され得、および/または延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR
2基による可能な位置での複数の組み合わせの置換によって、任意の所望の方向へ延長され得る。
【0075】
たとえば、ここで限定するものではないが、種々の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式VII:
【0076】
【化82】
(式中、6位のR
2置換基、7位のR
2置換基、BおよびB’の少なくとも一つは延長剤Lを含む)で表されるナフト[2,1−b]ピランであってもよい。さらに詳しくは、非限定的な一実施形態によれば、6位のR
2置換基および7位のR
2置換基の少なくとも一つは延長剤Lである。
【0077】
再び前記式IIに関し、さらに別の非限定的な実施形態によれば、Aはベンゾでもよく、フォトクロミック化合物は、式VIII:
【0078】
【化83】
(式中、B、B’の少なくとも一つ、または少なくとも一つのR
2は延長剤Lを含む)で表されるベンゾピランでもよい。さらに、ナフトピラン類に関し先に検討したように、本明細書で開示するベンゾピラン類は、延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR
2基で置換することによって、任意の可能な位置において延長され得、および/または延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR基による可能な位置での複数の組み合わせの置換によって、任意の所望の方向へ延長され得る。
【0079】
たとえば、ここで限定するものではないが、種々の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式IX:
【0080】
【化84】
(式中、
(a)5位のR
2置換基、7位のR
2置換基、BおよびB’の少なくとも一つは延長剤Lを含む;あるいは
(b)すぐ隣のR
2置換と一緒になった5位のR
2置換基および7位のR
2置換基(すなわち、6位または8位のR
2置換基と一緒になった7位のR
2置換基、または6位のR置換基と一緒になった5位のR
2置換基)の少なくとも一つが、式x〜xiv(前記の通り)で表される基を形成し、ただし、5位のR
2置換基および7位のR
2置換基のうちの一つのみが6位のR
2置換基と一緒に結合し、そして5位のR
2置換基、7位のR
2置換基、X
25、K、K’、K’’、BまたはB’の少なくとも一つは延長剤Lを含む)で表されるベンゾピランでもよい。
【0081】
さらに、本明細書で開示し、式II(前記)で一般的に表される種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した活性化状態において、少なくとも1.5の平均吸収率を有することができる。他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミックピラン類は、セル法に従って測定した活性化状態において、4〜20、3〜30、または2.5〜50の範囲の平均吸収率を有することができる。さらに他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミックピラン類は、セル法に従って測定した活性化状態において、1.5〜50の範囲の平均吸収率を有することができる。
【0082】
本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミック化合物であって前記式II(式中、BがL置換フェニル基であり、B’が非置換フェニル基である)で表されるフォトクロミック化合物を形成するための一般反応順序を、以下の反応順序Aに示す。
【0084】
【化85】
反応順序A、パート1において、式α
1で表される4−フルオロベンゾフェノンは、窒素下、無水ジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒中で、式α
2で表される延長剤Lと反応させ、式α
3で表されるL置換ケトンを形成することができる。4−フルオロベンゾフェノンは、購入することができ、また、当該分野で公知のフリーデル−クラフツ(Friedel−Crafts)反応によって調製することができることは、当業者によって理解される。たとえば、刊行物 Friedel−Crafts and Related Reactions,George A.Olah,Interscience Publishers,1964,第3巻,XXXI章(Aromatic Ketone Synthesis),および「Regioselective Friedel−Crafts Acylation of 1,2,3,4−Tetrahydroquinoline and Related Nitrogen Heterocycles:Effect on NH Protective Groups and Ring Size」Ishihara,Yugiら,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,3401−3406頁,1992参照。
【0085】
【化86】
反応順序Aのパート2で示すように、式α
3で表されるL置換ケトンは、たとえば(これに限定されない)無水テトラヒドロフラン(THF)のような適切な溶媒中でナトリウムアセチリドと反応させ、対応するプロパルギルアルコール(式α
4で表される)を形成することができる。
【0086】
【化87】
反応順序Aのパート3において、式α
4で表されるプロパルギルアルコールは、ヒドロキシ置換A基(式α
5で表される)と結合させ、本明細書で開示する非限定的な一実施形態による、式α
6で表されるフォトクロミックピランを形成することができる。必要に応じて、A基は、1またはそれ以上のR
2基によって置換されていてもよく、各R
2は、残留L置換基と同じまたは相違する延長剤Lを含んでもよい。本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態との併用に適したAおよびR
2基の非限定的な例示は、先に詳しく述べている。少なくとも一つの延長剤Lで置換されたヒドロキシル化A基を形成するための一般反応順序の非限定的な例示を、以下の反応順序B、C、およびDに示す。
【0087】
反応順序Aは、式IIで表され、L置換フェニルおよびフェニルから選択されるBおよびB’基を有するフォトクロミック化合物を形成するための一般反応順序を示すが、式IIで一般的に表され、前記式α
6中で示された基以外のBおよびB’基を有するフォトクロミック化合物(該化合物は、必要に応じて、1またはそれ以上のL基、またはLを含むR
2基の1またはそれ以上で置換されることができる)は、市販のケトン類から、またはアシルハライドとナフタレンまたはヘテロ芳香族化合物などの置換または非置換材料との反応によって調製することができることが、当業者に理解される。本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態との併用に適切なBおよびB’置換基の非限定的な例示は、先に詳しく述べている。
【0088】
反応順序B、CおよびDに、少なくとも一つの延長剤Lで置換されたヒドロキシル化A基であって、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミックピラン類の形成に使用することのできるヒドロキシル化A基を形成するための、3つの相違する一般反応順序を示す。たとえば、ここで限定するものではないが、反応順序Aにおいて先に検討したように、得られたL置換ヒドロキシル化A基は、プロパルギルアルコールと結合させて、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミックピランを形成することができる。さらに、先に検討したように、必要に応じて、A基はまた、1またはそれ以上の追加のR
2基によって置換されていてもよく、各R
2は、残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含んでもよい。
【0090】
【化88】
反応順序Bでは、式β
1で表されるヒドロキシル化A基を、無水テトラヒドロフラン中で、たとえば(限定ではない)メチルリチウム(MeLi)のようなアルキルリチウムの存在下で、式β
2で表されるL置換ピペリジンと反応させ、式β
3で表されるヒドロキシル化A基に結合するL置換R
2基を生成する。さらに、先に示したように、A基はまた、1またはそれ以上の追加のR
2基によって置換されていてもよく、各R
2は、残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含んでもよい。さらに、Kは、−O−、−S−、−N(X
7)−または置換または非置換の炭素から選択することができる。たとえば、Kは、メチルでジ置換された炭素であることもでき、またはエチル基およびヒドロキシル基で置換することもできる。
【0092】
【化89】
反応順序Cでは、式χ
1で表されるR
2置換ヒドロキシル化A基を、メチレンクロライド中、ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で、式χ
2で表されるL置換フェノールとエステル化反応によって反応させ、式χ
3で表されるヒドロキシル化A基に結合するL置換R
2基を生成する。さらに反応順序Cにおいて示したように、式χ
3で表される基は、必要に応じて、1またはそれ以上の追加のR
2基によって置換されていてもよく、各R
2は、残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含んでもよい。
【0093】
以下の反応順序Dでは、式δ
1で表されるヒドロキシ置換ナフトールを塩素と反応させ、式δ
2で表される化合物を形成する。式δ
2で表される化合物を、式δ
3で表されるL置換ピペリジンと反応させ、式δ
4で表される物質を形成する。式δ
4で表される物質を、水素雰囲気中で、炭素担持パラジウム触媒で還元し、式δ
5で表される、ヒドロキシル化A基に結合したL置換R
2基を形成する。
【0095】
【化90】
反応順序EおよびFは、延長剤Lで置換されたナフトピランを形成し、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミックナフトピランを形成する2つの異なる方法を示す。
【0097】
【化91】
反応順序Eでは、式ε
1で表されるヒドロキシ置換A基(該基は必要に応じて少なくとも一つのR
2基で置換されている)を、たとえば(限定ではない)メチルリチウム(MeLi)のようなアルキルリチウムの存在下、無水テトラヒドロフラン中で、式ε
2で表されるヒドロキシ置換ピペリジンと反応させ、式ε
3で表される、ヒドロキシル化A基に結合する4−ヒドロキシピペリジニルを生成する。次いで、式ε
3で表される化合物を、式ε
4で表されるプロパルギルアルコールと結合させ、式ε
5で表される、インデノ縮合ナフトピランに結合する4−ヒドロキシピペリジニルを生成する。式ε
5で表されるナフトピランは、反応順序Eの経路(1)で示すように、たとえば(限定ではない)塩化メチレンのような溶媒中、たとえば(限定ではない)トリエチルアミンのような3級アミンを使用したアセチル化反応によって、式ε
6で表されるL置換化合物とさらに反応させ、式ε
7で表される、本明細書で開示する非限定的な一実施形態によるインデノ縮合ナフトピランに結合するL置換ピペリジニルを生成することができる。あるいは、経路(2)で示すように、式ε
5で表されるナフトピランを、式ε
8で表されるL置換化合物と反応させ、式ε
9で表され、本明細書で開示する非限定的な一実施形態による、インデノ縮合ナフトピランに結合するL置換ピペリジニルを生成することもできる。さらに、反応順序Eで示すように、式ε
7および式ε
9で表される、インデノ縮合ナフトピランに結合するL置換ピペリジニルは、必要に応じて、1またはそれ以上の追加のR
2基によって置換されていてもよく、各R
2は、残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含んでもよい。
【0098】
下記の反応順序Fでは、式φ
1で表されるヒドロキシル化A基を、式φ
2で表されるプロパルギルアルコールと結合して、式φ
3で表されるナフトピランを生成する。次いで、式φ
3で表されるナフトピランを、式φ
4で表されるL置換フェニルアミンと反応させ、式φ
5で表され、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態による、ナフトピランに結合するL置換フェニルアミンを生成する。適切なBおよびB’置換基の非限定的な例示は先に詳しく述べている。
【0100】
【化92】
ここで限定するものではないが、式β
1および式ε
1(これらはそれぞれ反応順序BおよびEにおいて記載する)で表されるヒドロキシ置換A基において、Kはメチルでジ置換された炭素であり得、2,3−ジメトキシ−7,7−ジメチル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オールを形成することができる。当業者であれば、このようなヒドロキシ置換A基の複数の製造方法を認識する。たとえば、限定ではないが、2,3−ジメトキシ−7,7−ジメチル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オールの製造方法の一つが、米国特許第6,296,785号(これは参考として本明細書に具体的に援用される)の実施例9、工程2に記載されている。さらに詳しくは、米国特許第6,296,785号の実施例9、工程2に記載されているように、2,3−ジメトキシ−7,7−ジメチル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オールの非限定的な一形成方法は以下の通りである:
工程1:1,2−ジメトキシベンゼン(92.5g)、および塩化ベンゾイル(84.3g)の500ミリリッター(mL)塩化メチレン溶液を、窒素雰囲気下で、固形物追加漏斗を備える反応フラスコに加える。必要に応じて反応混合物を氷/水浴中で冷却しながら、固形物状の無水塩化アルミニウム(89.7g)を、反応混合物に加える。反応混合物を室温で3時間撹拌する。得られた混合物を、300mLの氷および1N塩酸の1:1混合物に注ぎ入れ、15分間激しく撹拌する。混合物を100mLの塩化メチレンで2回抽出する。有機層を合わせて、50mLの10重量%水酸化ナトリウム、次いで50mLの水で洗浄する。塩化メチレン溶媒を回転蒸発器によって取り除き、黄色の固形物を得る。95%エタノールから再結晶し、融点が103〜105℃のベージュ色の針状物を147g得る。生成物は、3,4,−ジメトキシベンゾフェノンと一致する構造を持つと考えられる。
工程2:カリウムt−ブトキシド(62g)および90gの前記工程1の生成物を300mLのトルエンを含む反応フラスコに窒素雰囲気下で加える。混合物を加熱還流し、コハク酸ジメチル(144.8g)を1時間にわたって滴下する。混合物を5時間還流し、室温まで冷却する。300mLの水を反応混合物に加え、20分間激しく撹拌する。水相と有機相とを分離し、有機相を1回100mLの水で3回抽出する。合わせた水相を1回50mLのクロロホルムで3回洗浄する。水層を6N塩酸で酸性化しpH2とし、沈殿物を形成し、これをろ過によって取り除く。水層を1回100mLのクロロホルムで3回抽出する。有機抽出物を合わせ、回転蒸発器によって濃縮する。得られた油状物は(EおよびZ)4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−フェニル−3−メトキシカルボニル−3−ブテン酸の混合物と一致する構造を持つと考えられる。
工程3:前記工程2で得られた生成物(8.6g)、5mLの無水酢酸、および50mLのトルエンを窒素雰囲気下で反応フラスコに加える。反応混合物を110℃で6時間加熱し、室温に冷却し、溶媒(トルエンおよび無水酢酸)を回転蒸発器により取り除く。残渣を300mLの塩化メチレンと200mLの水に溶解する。固体状の炭酸ナトリウムを上記二相性混合物に泡立ちがなくなるまで加える。層を分離し、水層を1回50mLの塩化メチレンで2回抽出する。有機層を合わせて、溶媒(塩化メチレン)を回転蒸発器によって取り除き、濃い赤色の油状物を得る。該油状物を温かいメタノールに溶解し、0℃で2時間冷凍する。得られた結晶を減圧ろ過によって集め、冷メタノールで洗浄し、融点が176〜177℃の生成物を5g生成する。回収した固体状の生成物は、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−メトキシカルボニル−4−アセトキシナフタレンおよび1−フェニル−2−メトキシカルボニル−4−アセトキシ−6,7−ジメトキシナフタレンの混合物に一致する構造を有すると考えられる。
工程4:5gの前記工程3の混合生成物、5mLの12M塩酸および30mLのメタノールを反応フラスコ内で合わせ、1時間加熱還流する。反応混合物を冷却し、得られた沈殿物を減圧濾過によって集め、冷メタノールで洗浄する。生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチルの2:1混合物を溶離液として用いるシリカゲルのプラグを通すろ過によって精製する。濾液を回転蒸発器で濃縮し、1−フェニル−2−メトキシカルボニル−6,7−ジメトキシナフト−4−オールと一致する構造を有すると考えられるベージュ色の固形物を3g得る。
工程5:反応フラスコに窒素雰囲気下で2.8gの工程4で得られた生成物を充填する。無水テトラヒドロフラン(40mL)を該フラスコに加える。反応混合物をドライアイス/アセトン浴中で冷却し、41mLのメチルマグネシウムクロライド溶液(テトラヒドロフラン中1M)を15分にわたって滴下する。得られた黄色の反応混合物を0℃で2時間撹拌し、ゆっくりと室温まで温める。反応混合物を50mLの氷/水混合物中に注ぎ入れる。エーテル(20mL)を加え、層を分離する。水層を1回20mLのエーテルで2回抽出し、有機部分を合わせ、30mLの水で洗浄する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、回転蒸発器によって濃縮する。得られた油状物を50mLのトルエンを含む反応容器(ディーンスターク(Dean−Stark)トラップを備える)に移し、これにドデシルベンゼンスルホン酸を2滴加える。反応混合物を2時間加熱還流し、冷却する。トルエンを回転蒸発器によって取り除き、所望の化合物を2g得る。
【0101】
次いで、工程1において、1,2−ジメトキシベンゼンの代わりにベンゼンを使用してベンゾフェノンを得、これを残りの反応において3,4−ジメトキシベンゾフェノンの代わりに使用することができること以外は、前述と本質的に同じ手順によって7,7−ジメチル7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オールを形成できることが、当業者によって理解される。このような手段の1つは、米国特許第6,296,785B1号の実施例9(これは本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
【0102】
さらに、ここで限定するものではないが、式β
1およびε
1で表されるヒドロキシ置換A基(これらはそれぞれ反応順序BおよびEにおいて記載する)において、Kは、エチル基とヒドロキシ基とで置換した炭素であり、7−エチル−2,3−ジメトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,7−ジオールを形成することができる。当業者であれば、そのようなヒドロキシ置換A基の複数の製造方法を認識する。たとえば、限定ではないが、7−エチル−2,3−ジメトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,7−ジオールの一形成方法は以下の通りである:
工程1:1−フェニル−2−メトキシカルボニル−6,7−ジメトキシナフト−4−オール(前記工程1〜4で示されたようにして生成することができる)(20.0g)を150mLの10重量%水酸化ナトリウム水溶液と15mLのメタノールとを含む反応フラスコに加える。混合物を3時間還流し、冷却する。水層を50mLの塩化メチレンで2回洗浄し、合わせた有機層を100mLの水で抽出する。水層を合わせ、6N塩酸の水溶液で酸性化してpH2とする。水層を1回50mLの塩化メチレンで4回抽出する。塩化メチレン層を合わせ、回転蒸発器によって濃縮する。得られた油状物をエタノール(95%)から結晶化し、1−フェニル−4−ヒドロキシ−6,7−ジメトキシ−2−ナフトエ酸と一致する構造を有すると考えられるベージュ色の固形物を12.0g得る。
工程2:前記工程1の生成物(6.0g)、100mLのトルエンおよび20ミリグラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、ディーンスタークトラップを備える反応フラスコに加える。得られた混合物を5時間加熱還流する。紅色固形沈殿物を生成する。さらにドデシルベンゼンスルホン酸を2回(50ミリグラムおよび500ミリグラム)、還流している混合物に、3時間間隔で加える。混合物を冷却し、固形物を減圧濾過で集める。未反応の出発物質はどれも沸騰アセトニトリル中に温浸させて取り除く。混合物を減圧濾過して、2,3−ジメトキシ−5−ヒドロキシ−7H−ベンゾ[C]フルオレン−7−オンと一致する構造を有すると考えられる生成物を4.45g得る。
工程3:前記工程2の生成物(3.0g)を窒素雰囲気下で乾燥反応フラスコに加える。無水テトラヒドロフラン(50mL)を加え、反応混合物をドライアイス/アセトン浴中で冷却する。エチルマグネシウムクロリド(7.2mLの2Mテトラヒドロフラン溶液)を1時間にわたって滴下し、反応系をゆっくり室温に暖める。反応混合物を100gの氷を含むフラスコに注ぎ入れ、この混合物を塩酸の6N溶液で酸性化し、pH3にする。層を分離し、水層を1回50mLのジエチルエーテルで4回抽出する。有機層を合わせ、溶媒(エーテルおよびテトラヒドロフラン)を回転蒸発器によって取り除く。残渣を、ヘキサンおよび酢酸エチルの3:1(v/v)混合物を溶離液として用いたシリカゲル上でクロマトグラフィーに付す。生成物を含む画分を集め、回転蒸発器によって濃縮し、エタノール(95%)から再結晶し、所望の生成物1.5gを得る。
【0103】
先に検討したように、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、非熱的に可逆的なフォトクロミック化合物でもよい。たとえば、非限定的な一実施形態は、式Xおよび式XIの一つで表される非熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を提供する:
【0104】
【化93】
(式中、
(a)Aは、ナフト、ベンゾ、フェナントロ、フルオランテノ、アンテノ、キノリノ、チエノ、フロ、インドロ、インドリノ、インデノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チオフェノ、インデノ縮合ナフト、複素環縮合ナフトおよび複素環縮合ベンゾから選択され;
(b)AAは、式xvおよびxviの一つで表される基であり;
【0105】
【化94】
式中、
X
29は、独立して各存在について、−C(R’’)(R’’)−、−O−、−S−、および−N(R’’’)−から選択され、式中R’’は、独立して各存在について、水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アリールアルキルから選択されるか、または一緒になって置換または非置換のシクロアルキルを形成すし;R’’’は、独立して各存在について、非置換または以下の少なくとも一つで置換されたアルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される:
(i)−CH(CN)
2または−CH(COOX
1)
2(式中、X
1は前記の通り);
(ii)−CH(X
2)(X
3)(式中、X
2およびX
3は前記の通り);
(iii)−C(O)X
24(式中、X
24は前記の通り);および
(iv)ハロゲン、ヒドロキシ、エステルまたはアミン))
(c)Y’は、−(Y
l)C=C(Y
2)−、−O−、−S−、−S(O)(O)−、および−N(X
7)−から選択され、式中、Y
lおよびY
2は、一緒になって、ベンゾ、ナフト、フェナントロ、フロ、チエノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノおよびインドロを形成し;X
7は前記の通りであり;
(d)Bは前記の通りであり;
(e)iは、0〜4から選択される整数であり、各R
2は、独立して各存在について、前記のR
2基から選択され;
延長剤Lは独立して各存在について、式Iで表される化合物から選択される)。
【0106】
さらに、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、式XまたはXIで表されるフォトクロミック化合物は、前記式Iで表される少なくとも一つの延長剤(L)を含む。先に検討したように、式Iにおいて、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。本明細書で開示する他の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも2である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。
【0107】
したがって、たとえば、式XまたはXIのいずれかにおいて、「i」は、少なくとも1でもよく、R
2基の少なくとも一つは延長剤Lであってもよい。加えてあるいは代わりに、フォトクロミック化合物は、延長剤Lで置換された少なくとも一つのR
2基を含むことができる。さらに、ここで限定されるわけではないが、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、延長剤(L)は、可能などのような位置にでも結合することができ、活性化状態において、Lがフォトクロミック基を延長したり伸ばしたりし、その結果、延長されたフォトクロミック基(すなわちフォトクロミック化合物)の吸収率が延長されていないフォトクロミック基に比べて増強される。従って、たとえば(限定されない)、フォトクロミック化合物が式Xで表される種々の非限定的な実施形態によれば、Lはピラン基に直接結合することができるか(たとえば、iは少なくとも1でR
2はLである)、または、たとえば、R
2基またはB基上の置換基として、Lはピラン基に間接的に結合することもでき、活性化状態においてLがピラン基を延長し、その結果、フォトクロミック化合物の吸収率が延長されていないフォトクロミック基に比べて増強される。さらに、たとえば(限定ではない)、フォトクロミック化合物が式XIで表される種々の非限定的な実施形態によれば、Lはピラン基に直接結合することができるか(たとえば、iは少なくとも1でR
2はLである)、または、たとえば、R
2基またはAA基上の置換基として、Lはピラン基に間接的に結合することもでき、活性化状態においてLがピラン基を延長し、その結果、フォトクロミック化合物の吸収率が延長されていないフォトクロミック基に比べて増強される。
【0108】
たとえば、ここで限定されるわけではないが、前記式X(式中Aはベンゾである)で表される非熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を形成するための一般的な反応順序は以下の通りである。
【0110】
【化95】
反応順序Wのパート1において、X
28はBr、IおよびClのようなハロゲンであり、金属はLi、Mg、ZnおよびSnから選択され、X
28’はLiX
28、MgX
28、ZnX
28、およびSnX
28のような金属塩である。さらに、反応順序WのパートAにおいて、式Ω
1で表されるBおよびハロゲン置換化合物を、たとえば(限定されない)テトラヒドロフランのようなエーテル様溶媒中で、金属と反応させ、ハロゲン金属交換反応を起こし、式Ω
2で表される金属化化合物を生成する。
【0111】
反応順序Wのパート2において、式Ω
2で表される金属化化合物を、エーテル様溶媒(たとえば(限定されない)テトラヒドロフラン)中で、R
2置換サリチルアルデヒド誘導体(式Ω
3で表される)と反応させ、式Ω
4で表されるジオール化合物を生成する。その後、式Ω
4で表されるジオール化合物を、たとえば(限定ではない)硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、P
2O
5、モレキュラシーブ、p−トルエンスルホン酸類のような脱水剤で脱水し、式Ω
5で表される、本明細書で開示する、非限定的な一実施形態による非熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を生成する。さらに、式Xに関して先に検討したように、式Ω
5で表されるフォトクロミック化合物中の少なくとも一つのR
2基は、延長剤Lであってもよく、または少なくとも一つのR
2基、BまたはY’は、延長剤Lで置換された基を含むこともできる。
【0112】
たとえば、ここで限定されるわけではないが、前記式XIで表される非熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を形成する一般的な反応順序は以下の通りである。
【0114】
【化96】
反応順序Xのパート1において、式Ξ
1で表されるo−アミノチオフェノールを、たとえば(限定ではない)クロロホルムのような溶媒中で、式Ξ
2(式中、R’’’’は、水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキルおよびアリールアルキルから選択される)で表される酸塩化物と縮合し、式Ξ
3で表されるベンゾチアゾール誘導体を形成する。式Ξ
3で表されるベンゾチアゾール誘導体を、溶媒中あるいは溶媒なしで、アルキルハライド、トシラートまたはスルホン酸メチルと反応させ、式Ξ
4で表されるベンゾチアゾリウム四級塩を形成する。次いで、式Ξ
4で表されるベンゾチアゾリウム四級塩を、アミンまたは水酸化物(示される)のような塩基と反応させ、式Ξ
5で表されるベンゾチオゾリン誘導体を得る。
【0115】
反応順序Xのパート2において、式Ξ
5で表されるベンゾチオゾリン誘導体を、R
2置換サリチルアルデヒド誘導体(式Ξ
6で表される)と縮合して、式Ξ
7で表される、本明細書で開示する非限定的な一実施形態による非熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を生成する。前記式XIに関して先に検討したように、式Ξ
7で表されるフォトクロミック化合物において、少なくとも一つのR
2基は、延長剤L(前記式Iで表される)であることもできるし、延長剤Lで置換された基であることもできる。
【0116】
他の非限定的な実施形態は、式XIIで表されるフォトクロミック化合物を提供する:
【0117】
【化97】
(式中、
(a)Aは、ナフト、ベンゾ、フェナントロ、フルオランテノ、アンテノ、キノリノ、チエノ、フロ、インドロ、インドリノ、インデノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チオフェノ、インデノ縮合ナフト、複素環縮合ナフトおよび複素環縮合ベンゾから選択され;
(b)YはCまたはNであり;
(c)SPは、インドリノおよびベンズインドリノから選択されるスピロ基であり;そして(d)iは、0からA上の可能な位置の総数までから選択される整数であり、rは、0からSP上の可能な位置の総数までから選択される整数であり、ただし、i+rの合計は少なくとも1であり、各R
3は独立して各存在について、以下から選択される:
(i)前記式Iで表される延長剤L;
(ii)水素、C
1−C
12アルキル、C
2−C
12アルキリデン、C
2−C
12アルキリジン、ビニル、C
3−C
7シクロアルキル、C
1−C
12ハロアルキル、アリル、ハロゲン、および非置換またはC
1−C
12アルキルおよびC
1−C
12アルコキシの少なくとも一つでモノ置換されたベンジル;
(iii)p位において、C
1−C
7アルコキシ、直鎖または分岐鎖状のC
1−C
20アルキレン、直鎖または分岐鎖状のC
1−C
4ポリオキシアルキレン、環状C
3−C
20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C
1−C
4アルキル置換フェニレン、モノまたはポリウレタン(C
1−C
20)アルキレン、モノまたはポリエステル(C
1−C
20)アルキレン、モノまたはポリカーボネート(C
1−C
20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびこれらの混合物から選択される、少なくとも一つの置換基でモノ置換されたフェニルであって、前記少なくとも一つの置換基は、フォトクロミック物質のアリール基に結合している、フェニル;
(iv)−CH(CN)
2および−CH(COOX
1)
2(式中、X
1は前記の通り);
(v)−CH(X
2)(X
3)(式中、X
2およびX
3は前記の通り);
(vi)フェニル、ナフチル、フェナントリルまたはピレニルのような非置換、モノ置換、ジ置換またはトリ置換アリール基;9−ジュロリジニル;または非置換、モノ置換またはジ置換のピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルおよびフルオレニルから選択されるヘテロ芳香族(ここで、該置換基は、それぞれ独立して、各存在について、以下から選択される:
(A)前記式Iで表される延長剤L;および
(B)−C(O)X
6(式中、X
6は前記の通り);
(C)アリール、ハロアリール、C
3−C
7シクロアルキルアリールおよびC
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシでモノ置換またはジ置換されたアリール;
(D)C
1−C
12アルキル、C
3−C
7シクロアルキル、C
3−C
7シクロアルキルオキシ(C
1−C
12)アルキル、アリール(C
1−C
12)アルキル、アリールオキシ(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルキルまたはジ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルキルまたはジ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルキル、ハロアルキル、およびモノ(C
1−C
12)アルコキシ(C
1−C
12)アルキル;
(E)C
1−C
12アルコキシ、C
3−C
7シクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C
1−C
12)アルコキシ、アリール(C
1−C
12)アルコキシ、アリールオキシ(C
1−C
12)アルコキシ、モノ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルコキシまたはジ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルコキシ、およびモノ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルコキシまたはジ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルコキシ;
(F)アミド、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C
1−C
12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジンノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(G)−OX
7および−N(X
7)
2(式中、X
7は前記の通り);
(H)−SX
11(式中、X
11は前記の通り);
(I)前記式iで表される窒素含有環;および
(J)前記式iiまたはiiiの一つで表される基;
(vi)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジリニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル,フェナジニルまたはアクリジニルから選択される非置換またはモノ置換基であって、各置換基は、独立して、延長剤L、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから選択される;
(viii)前記式ivまたはvの一つで表される基;
(ix)前記式viで表される基;
(x)−C(O)X
24(式中、X
24は前記の通り);
(xi)−OX
7および−N(X
7)
2(式中、X
7は前記の通り);
(xii)−SX
11(式中、X
11は前記の通り);
(xiii)前記式iで表される窒素含有環;
(xiv)前記式iiまたはiiiでの一つ表される基;および
(xv)すぐ隣のR
3基が一緒になって前記式vii、viiiおよびixの一つによって表される基を形成する)。
【0118】
さらに、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によれば、式XIIで表されるフォトクロミック化合物は、前記式Iで表される少なくとも一つの延長剤(L)を含む。先に検討したように、式Iにおいて、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。本明細書で開示する他の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも2である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。
【0119】
本明細書で開示する、式IIで一般的に表されるフォトクロミック化合物に関して先に検討したように、式XIIで一般的に表されるフォトクロミック化合物は、延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR
3基で置換することによって、任意の可能な位置において延長され得、および/または延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR
3基による可能な位置での複数の組み合わせの置換によって、任意の所望の方向へ延長され得る。したがって、たとえば、ここで限定されるわけではないが、式XIIで一般的に表されるフォトクロミック化合物を、SP基をLまたはLで置換されたR
3基で置換することによって、そして/またはA基をLまたはLで置換されたR
3基で置換することによって、延長することができ、その結果、所望の平均吸収率のフォトクロミック化合物を提供する。
【0120】
式XIIに関し先に検討したように、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態によれば、SP基は、インドリノでもよい。さらに詳しくは、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式XIIIで表すことができる:
【0121】
【化98】
(式中、各R’’は独立して、各存在について、水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アリールアルキルから選択されるか、または一緒になって、置換または非置換シクロアルキルを形成し;R’’’は、非置換または(i)−CH(CN)
2または−CH(COOX
1)
2;(ii)−CH(X
2)(X
3);および(iii)−C(O)X
24(式中、X
1、X
2、X
3、およびX
24は前記の通り);および(iv)ハロゲン、ヒドロキシ、エステルまたはアミンの少なくとも一つで置換されたアルキル、アリール、またはアリールアルキルから選択され;iおよびrの少なくとも一つは少なくとも1であり、少なくとも一つのR
3は、Lを含む)。
【0122】
たとえば、ここで限定するわけではないが、SP基がインドリノである、ある非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式XIVおよび式XV:
【0123】
【化99】
(式中、各式について、少なくとも一つのR
3はLを含む)の少なくとも一つで表すことができる。さらに、非限定的な一実施形態によれば、少なくとも一つのR
3はLである。式XIIに関して先に検討したように、式XIVおよびXV中のYは、CまたはNから選択することができる。たとえば、種々の非限定的な実施形態によれば、YはCでもよく、フォトクロミック化合物は、スピロ(インドリノ)ピランでもよい。他の非限定的な実施形態によれば、YはNでもよく、フォトクロミック化合物は、スピロ(インドリノ)オキサジンでもよい。
【0124】
再び前記式XIIに関し、種々の非限定的な実施形態によれば、Aはナフトでもよく、YはNでもよく、フォトクロミック化合物は、式XVIまたは式XVII:
【0125】
【化100】
(式中、各式について、少なくとも一つのR
3は延長剤Lを含む)の一つで表されるスピロナフトオキサジンでもよい。従って、開示されたこれらの非限定的な実施形態によるスピロナフトオキサジンを、I基を延長剤Lまたは延長剤Lで置換されたR
3基で置換することによって、および/またはナフト基上の可能な位置の1またはそれ以上を、延長剤Lまたは延長剤Lで置換されたR
3基で置換することによって、延長することができ、その結果、所望の平均吸収率のフォトクロミック化合物を提供する。
【0126】
たとえば、ここで限定するわけではないが、種々の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式XVIII:
【0127】
【化101】
(式中、6位のR
3または7位のR
3の少なくとも一つは延長剤Lを含む)で表すことができる。さらに、特定の非限定的な一実施形態によれば、式XVIIIの6位のR
3または7位のR
3の少なくとも一つは延長剤Lである。
【0128】
他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式XIX:
【0129】
【化102】
(式中、少なくとも7位のR
3は延長剤Lを含む)で表すことができる。さらに、特定な非限定的な一実施形態によれば、7位のR
3基は延長剤Lである。
【0130】
再び前記式XIIに関し、本明細書で開示する、他の非限定的な実施形態によれば、Aはベンゾでもよく、YはNでもよく、フォトクロミック化合物は式XX:
【0131】
【化103】
(式中、少なくとも一つのR
3は延長剤Lを含む)で表すことができる。さらに詳しくは、非限定的な一実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式XXI:
【0132】
【化104】
(式中、少なくとも6位のR
3基は延長剤Lを含む)を含むことができる。さらに、種々の非限定的な実施形態によれば、6位のR
3基は延長剤Lである。
【0133】
さらに、本明細書で開示する、式XIIで一般的に表される、種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した活性化状態において、2.3を超える平均吸収率を有することができる。他の非限定的な実施形態によれば、本明細書で開示する、式XIIで一般的に表されるフォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した活性化状態において、4〜20、3〜30、または2.5〜50の範囲の平均吸収率を有することができる。
【0134】
本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態による、式XIIで一般的に表される、さらに詳しくは式XIIIで表される、YがNでありSPがインドリノであるフォトクロミック化合物を合成する一般反応順序を以下の反応順序Gに示す。
【0136】
【化105】
反応順序G、パート1は、式γ
1で表されるヒドロキシル化A基を、たとえば(限定ではない)酢酸のような酸の存在下、亜硝酸ナトリウムと反応させ、式γ
2で表されるニトロソ置換A基を生成する一般的なニトロソ化方法を示す。A基の適切な非限定的例示として、ナフト、ベンゾ、フェナントロ、フルオランテノ、アンテノ、キノリノ、インデノ縮合ナフト、複素環縮合ナフトおよび複素環縮合ベンゾが挙げられる。必要に応じて、A基は1またはそれ以上のR
3基で置換することができ、これらはそれぞれ、残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含んでもよい。本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態との併用に適したR
3置換の非限定的な例示は、先の式XIIに関するところで詳しく述べている。
【0137】
【化106】
反応順序Gのパート2において、式γ
2で表されるニトロソ置換A基を、式γ
3で表されるフィッシャー(Fischer)塩基とカップリングさせる。このカップリングは、たとえば(限定ではない)無水エタノールのような溶媒中で行い、還流条件下で加熱し、式γ
4で表される本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミックオキサジンを生成する。
【0138】
式XVIIIに関し先に検討したように、式γ
3において、各R’’は、独立して、各存在について、水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アリールアルキルから選択されるか、または一緒になって置換または非置換のシクロアルキルを形成し;R’’’は、非置換または(i)−CH(CN)
2または−CH(COOX
1)
2;(ii)−CH(X
2)(X
3);および(iii)−C(O)X
24(式中、X
1、X
2、X
3、およびX
24は前記の通り);および(iv)ハロゲン、ヒドロキシ、エステルまたはアミンの少なくとも一つで置換されたアルキル、アリール、またはアリールアルキル基から選択される。可能性のあるR
3置換基は、先に、式XIIのところで詳細に検討している。
【0139】
反応順序Gのパート1で示した一般的なニトロソ化方法を、以下の2つの順序(反応順序HおよびI)でさらに詳しく記載するが、これらは一般的に、ニトロソ置換A基を生成するための、2つのニトロソフェノール合成方法を示す。上記ニトロソ置換A基は必要に応じて少なくとも一つのR
3で置換されていてもよく、カップリング反応で使用され、本発明のオキサジン生成物を生成することができる。順序HおよびIの経路(2)で説明するように、NaNO
2と反応させる前に、中間化合物をさらに1またはそれ以上の他の反応体と反応させ、A基上に適切な延長剤Lを形成することができる。
【0141】
【化107】
さらに詳しくは、反応順序Hにおいて、式η
1で表されるヒドロキシル化A基のカルボン酸を、式η
2で表されるヒドロキシル化A基のエステルに変換し、次いで、式η
2で表されるヒドロキシル化A基のエステルを、たとえば(限定ではない)酢酸のような酸の存在下、亜硝酸ナトリウムと反応させ、式η
3のニトロソ置換A基を生成することができる。あるいは、経路(2)に示すように、式η
2で表されるヒドロキシル化A基のエステルを、塩基性条件下で4−ピペリジノアニリン(式η
4で表される)と反応させ、式η
5で表されるL置換化合物を生成することもできる。次いで、式η
5で表されるL置換化合物を、ニトロソ化反応に供し、式η
6で表されるLおよびニトロソ置換A基を生成する。さらに、Lおよびニトロソ置換A基は、必要に応じて、1またはそれ以上のR
3基で置換することもでき、R
3基の各々は、残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含むことができる。
【0142】
反応順序Hに関し先に検討したように、反応順序I(下記)において、式ι
1で表されるヒドロキシル化A基のカルボン酸を、式ι
2で表されるヒドロキシル化A基のエステルに変換する。次いで、式ι
2で表されるヒドロキシル化A基のエステルを、たとえば(限定ではない)酢酸のような酸の存在下、亜硝酸ナトリウムと反応させ、式ι
3のニトロソ置換A基を生成することができる。あるいは、経路(2)に示すように、式ι
2で表されるヒドロキシル化A基のエステルを、塩基性条件下で4−フェニルアニリン(式ι
4で表される)と反応させ、式ι
5で表されるL置換4−フェニルアニリンを生成することもできる。次いで、式ι
5で表されるL置換4−フェニルアニリンを、ニトロソ化反応に供し、式ι
6で表されるLおよびニトロソ置換A基を生成する。先に検討したように、(L置換(ニトロソ置換A基))は、必要に応じて、1またはそれ以上のR
3基で置換することもでき、R
3基の各々は、残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含むことができる。
【0144】
【化108】
前記式XIIで一般的に表され、さらに詳しくは前記式XIIIで表される、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態による、YがNでありSPがインドリノであるフォトクロミック化合物を合成するさらに詳しい反応順序を、以下の反応順序JおよびKに示す。
【0145】
反応順序J(下記)において、式φ
1で表されるニトロソフェノールを、メタノール中で延長剤Lのピペラジノフェノール(式φ
2で表される)と反応させ、式φ
3で表されるL置換ニトロソナフトールを形成する。反応順序Jに示すように、L置換ニトロソナフトールをさらに、1またはそれ以上のR基で置換することもでき、R基の各々は、残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含むことができる。次いで、式φ
3で表されるL置換ニトロソナフトールを、式φ
4で表されるフィッシャー塩基と加熱することによりカップリングし、式φ
5で表されるL置換ナフトオキサジンを生成する。
【0147】
【化109】
引き続き反応順序Jを参照し、式φ
5で表されるL置換ナフトオキサジンは、L置換ナフトオキサジンと式φ
6で表される他のL置換化合物とを反応させることによってさらに延長され、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態による、式φ
7で表されるナフトオキサジンを生成することができる。さらに、先に検討したように、および反応順序Jで示したように、式φ
7で表されるナフトオキサジンは、1またはそれ以上のR
3基で置換することもでき、R
3基の各々は、残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含むことができる。
【0148】
先に反応順序Jにおいて説明するように、一般的に、ニトロソフェノールとフィッシャー塩基とをカップリングした後、得られたナフトオキサジンは、さらに1またはそれ以上の他の反応体と反応させ、ナフトオキサジンを延長剤Lで延長することができる。しかし、これに付け加えてあるいは代わりに、ニトロソフェノールとフィッシャー塩基とのカップリングの前に、該ニトロソフェノールを反応させ、ニトロソフェノールを1またはそれ以上の延長剤Lで置換することができる(たとえば、反応順序HおよびIで先に示されるように)ことを、当業者は理解する。さらに、このようなL置換ニトロソフェノールを、一般的に下記反応順序Kで示すように、フィッシャー塩基とカップリングさせ、L−置換ナフトオキサジンを形成することができる。
【0150】
【化110】
さらに詳しく言えば、反応順序Kにおいて、式κ
1で表されるL置換ピペリジニルナフトールを、トリアルコキシメタンと反応させ、加熱し、式κ
2で表されるLおよびホルミル置換ナフトールを形成する。次いで、κ
2で表される化合物をフィッシャー塩基(κ
3で表される)と反応させ、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態によるκ
4で表されるL置換スピロナフトピランを生成する。
【0151】
先に検討したように、一般的に、ニトロソフェノールとフィッシャー塩基(たとえば、反応順序Jに示す)とをカップリングした後、得られたナフトオキサジンを、さらに1またはそれ以上の他の反応体と反応させ、ナフトオキサジンを延長剤Lで延長することができる。このような延長の数種の非限定的な例示が、以下の一般化した反応順序Mに提供される。
【0153】
【化111】
さらに詳しく言えば、反応順序Mは、延長剤Lをナフトオキサジンに付加させ、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態による、フォトクロミックオキサジンを生成する3つの経路を示す。第一経路(1)では、式μ
1で表されるナフトオキサジンをヒドロキシフェニルピペラジンと反応させ、式μ
2で表される物質を生成する。式μ
2で表される物質を塩化ヘキシルベンゾイルでベンゾイル化し、式μ
3で表される物質を生成する。
【0154】
第二経路(2)では、式μ
1で表される物質を加水分解し、式μ
4の物質に変換する。塩化メチレン中、ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下でのフェノール様物質とのエステル化反応では、式μ
4で表される物質を、式μ
5で表される、テトラヒドロピラン保護基を有する物質に変換する。式μ
5で表される物質を、たとえば(限定ではない)エタノールのようなアルコール系溶媒中の塩酸の希釈溶液で脱保護し、式μ
6で表される物質を形成する。式μ
6で表される物質をコレステロールクロロホルメートと反応させ、式μ
7で表される物質を形成する。
【0155】
第三経路(3)では、式μ
6で表される物質を、4−フェニルベンゾイルクロライドでベンゾイル化し、式μ
8で表される物質を形成する。
【0156】
他の非限定的な実施形態は、式XXIIで表されるフォトクロミック化合物を提供する:
【0157】
【化112】
(式中、
(a)Aは、ナフト、ベンゾ、フェナントロ、フルオランテノ、アンテノ、キノリノ、チエノ、フロ、インドロ、インドリノ、インデノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チオフェノ、インデノ縮合ナフト、複素環縮合ナフトおよび複素環縮合ベンゾから選択され;
(b)Jはスピロ脂環であり;
(c)各Dは独立してO、N(Z)、C(X
4)、C(CN)
2から選択され、式中、Zは独立して各存在について水素、C
1−C
6アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択され;
(d)Gはアルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される基であって、これらは非置換または少なくとも一つの置換基R
4で置換されていてもよく;
(e)Eは−O−または−N(R
5)−であり、式中、R
5は以下から選択される:
(i)水素、C
1−C
12アルキル、C
2−C
12アルケン、C
2−C
12アルキン、ビニル、C
3−C
7シクロアルキル、C
1−C
12ハロアルキル、アリル、ハロゲン、および非置換またはC
1−C
12アルキルおよびC
1−C
12アルコキシの少なくとも一つでモノ置換されたベンジル;
(ii)p位において、C
1−C
7アルコキシ、直鎖または分岐鎖状のC
l−C
20アルキレン、直鎖または分岐鎖状のC
1−C
4ポリオキシアルキレン、環状C
3−C
20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C
1−C
4アルキル置換フェニレン、モノウレタン(C
l−C
20)アルキレンまたはポリウレタン(C
l−C
20)アルキレン、モノエステル(C
l−C
20)アルキレンまたはポリエステル(C
l−C
20)アルキレン、モノカーボネート(C
l−C
20)アルキレンまたはポリカーボネート(C
l−C
20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびこれらの混合物から選択される少なくとも一つの置換基でモノ置換されたフェニルであって、少なくとも一つの置換基がフォトクロミック物質のアリール基に結合する、フェニル;
(iii)−CH(CN)
2および−CH(COOX
1)
2(式中、X
1は前記の通り);
(iv)−CH(X
2)(X
3)(式中、X
2およびX
3は前記の通り);
(v)フェニル、ナフチル、フェナントリルまたはピレニルのような非置換、モノ置換、ジ置換、またはトリ置換アリール基;9ジュロリジニル;またはピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルおよびフルオレニルから選択される非置換、モノ置換またはジ置換ヘテロ芳香族基(ここで、上記置換基は独立して、各存在について、以下から選択される:
(A)前記式Iで表される延長剤L;
(B)−C(O)X
6(式中、X
6は前記の通り);
(C)アリール、ハロアリール、C
3−C
7シクロアルキルアリール、およびC
1−C
12アルキルまたはC
1−C
12アルコキシでモノ置換またはジ置換されたアリール基;
(D)C
1−C
12アルキル、C
3−C
7シクロアルキル、C
3−C
7シクロアルキルオキシ(C
1−C
12)アルキル、アリール(C
1−C
12)アルキル、アリールオキシ(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルキルまたはジ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルキル、モノ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルキルまたはジ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルキル、ハロアルキル、およびモノ(C
1−C
12)アルコキシ(C
1−C
12)アルキル;
(E)C
1−C
12アルコキシ、C
3−C
7シクロアルコキシ、シクロアルキルオキシ(C
1−C
12)アルコキシ、アリール(C
1−C
12)アルコキシ、アリールオキシ(C
1−C
12)アルコキシ、モノ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルコキシまたはジ(C
1−C
12)アルキルアリール(C
1−C
12)アルコキシ、およびモノ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルコキシまたはジ(C
1−C
12)アルコキシアリール(C
1−C
12)アルコキシ;
(F)アミド、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C
1−C
12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(G)−OX
7および−N(X
7)
2(式中、X
7は前記の通り);
(H)−SX
11(式中、X
11は前記の通り);
(I)前記式iで表される窒素含有環;および
(J)前記式iiまたはiiiの一つで表される基);
(vi)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニル、またはアクリジニルから選択される非置換またはモノ置換基であって、各置換基は独立して、延長剤L、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから選択される;
(vii)前記式ivまたはvの一つで表される基;
(viii)前記式viで表される基;および
(ix)前記式Iで表される延長剤L;ならびに
(f)iは0からA上の可能な位置の総数までから選択される整数であり、各R
4は、独立して各存在について、以下から選択される:
(i)R
5で表される基;
(ii)−C(O)X
24(式中、X
24は前記の通り);
(iii)−OX
7および−N(X
7)
2(式中、X
7は前記の通り);
(iv)−SX
11(式中X
11は前記の通り);
(v)前記式iで表される窒素含有環;
(vi)前記式iiまたはiiiの一つで表される基;および
(vii)すぐ隣のR
4基が一緒になって、前記式vii、viiiまたはixの一つで表される基を形成する)。
【0158】
さらに、式XXIIで表される、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミック化合物は、前記式Iで表される延長剤(L)を少なくとも一つを含む。先に検討したように、式Iにおいて、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。本明細書で開示する他の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも2である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。
【0159】
前記フォトクロミック化合物に関して検討したように、式XXIIで一般的に表されるフォトクロミック化合物は、延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR
4基で置換することによって、任意の可能な位置において延長され得、および/または延長剤Lおよび/または延長剤Lで置換されたR
4基による可能な位置での複数の組み合わせの置換によって、任意の所望の方向へ延長され得る。したがって、たとえば、ここで限定されるわけではないが、少なくとも活性化状態においてフルギドの平均吸収率を高めるために、D、G、および少なくとも一つのR
4の少なくとも一つとして、LまたはLで置換された基を選択することによって、本明細書で開示するフルギド類を延長することができる。さらに、ここで限定されるわけではないが、以下でさらに詳しく検討するように、Eが−N(R
5)−である場合、R
5はLまたはLで置換された基であることもできる。
【0160】
たとえば、ここで限定されるわけではないが、非限定的な実施形態によれば、Aはチオフェンであり、Eは−N(R
5)−であり、各DはOであり、フォトクロミック化合物はXXIII:
【0161】
【化113】
(式中、R
5、G、または少なくとも一つのR
4の少なくとも一つは延長剤Lを含む)で表されることもできる。
【0162】
したがって、上記した非限定的な実施形態によれば、少なくとも活性化状態においてフルギドの平均吸収率を高めるために、R
5、G、または少なくとも一つのR
4の少なくとも一つとして、LまたはLで置換された基を選択することによって、フォトクロミック化合物を延長することができる。たとえば(限定ではない)、この非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、式XXIV:
【0163】
【化114】
(式中、R
5、GまたはR
4の少なくとも一つは延長剤Lである)で表すことができる。
【0164】
さらに、一般的に前記式XXIIで表される、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した活性化状態において、少なくとも1.5の平均吸収率を有することができる。他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミックフルギド類は、セル法に従って測定した活性化状態において、4〜20、3〜30、または2.5〜50の範囲の平均吸収率を有することができる。さらに他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミックフルギド類は、セル法に従って測定した活性化状態において、1.5〜50の範囲の平均吸収率を有することができる。
【0165】
前記式XXIIで一般的に表され、さらに詳しくは前記式XXIIIで表される、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態による、Eが−N(R
5)−であり、DがOである、フォトクロミック化合物を合成するための一般反応順序を以下の反応順序Nに示す。
【0167】
【化115】
反応順序Nにおいて、式ν
1で表される脂環式ケトンを、ストッベ(Stobbe)縮合で、式ν
2で表されるコハク酸ジメチルと反応させ、式ν
3で表されるハーフエステル生成物を生成する。式ν
3で表されるハーフエステル生成物をエステル化し、式ν
4で表されるジエステル生成物を形成する。式ν
4で表されるジエステル生成物を、ストッベ縮合で、式ν
5で表されるカルボニル置換A基と反応させ、式ν
6で表されるハーフエステル物質を生成する。式ν
5が示すように、カルボニル置換A基はまた、それぞれ残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含むことができる、1またはそれ以上のR
4基で置換されることもできる。式ν
7で表されるハーフエステル物質は、加水分解して、式ν
7で表される二酸物質を生成する。式ν
7の二酸物質をエーテルおよび/またはテトラヒドロフラン溶媒中で塩化アセチルと反応させ、式ν
8で表される無水物を形成する。
【0168】
経路(1)で示すように、式ν
8の無水物をアミノ置換延長剤Lと反応させ、次いで塩化アセチルと還流条件下で反応させて、式ν
9で表される、本明細書で開示する非限定的な一実施形態によるフォトクロミックフルギミド化合物を生成することができる。あるいは、経路(2)に示すように、式ν
8の無水物を、アンモニア、次いで塩化アセチルと反応させて、式ν
10で表される、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミックフルギド化合物を生成することができる。式ν
10のフォトクロミックフルギド化合物を、さらに、適切な反応体と反応させて、窒素がR
5基で置換された、式ν
11で表される、本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミックフルギド化合物を形成することができる。さらに、種々の非限定的な実施形態によれば、R
5基は延長剤Lであることもでき、あるいは、延長剤Lで置換された他の置換基を含むこともできる。
【0169】
反応順序P、QおよびTは、延長剤Lをフルギド上の種々の位置において置換するための3つの一般反応スキームを説明する。
【0171】
【化116】
反応順序Pでは、式π
1で表されるヒドロキシル化化合物を、フリーデル−クラフト(Friedel−Crafts)反応に供し、式π
2で表されるカルボニル置換基を形成する。反応順序Nにおいて式ν
5で表される物質を反応させたように、反応順序Pにおいても式π
2で表される物質を反応させ、式π
3で表されるヒドロキシフェニル置換チオフェノ縮合フルギドを形成する。式π
3で表されるフルギドを4−フェニルベンゾイルクロライドでベンゾイル化し、式π
4で表される、本明細書で開示する非限定的な一実施形態による熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を形成する。さらに前記式XXIIに関し、式π
4で表されるように、A基は、延長剤Lで置換されたチオフェノである。先に検討したように、種々の非限定的な実施形態によれば(および下記反応順序Qに示すように)、式π
4中のR
5基は延長剤Lであることもでき、あるいは、延長剤Lで置換された他の置換基を含むこともできる。さらに、G基も、延長剤Lであることもでき、あるいは、(たとえば、下記反応順序Tで示すように)延長剤Lで置換された他の置換基を含むこともできる。
【0173】
【化117】
反応順序Qでは、式θ
1で表されるフルギドは、反応順序Nに従って、当業者には認識される適切な修飾によって調製され得る。さらに前記式XXIIIに関し、式θ
1において、窒素原子に結合するR
5基は、p−アミノ安息香酸のメチルエステルである。次いで、p−アミノ安息香酸のメチルエステルを4−アミノジアゾベンゼンと反応させ、式θ
2で表される、本明細書で開示する非限定的な一実施形態による熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を形成する。前記式XXIIIに関し先に検討したように、R
5基は延長剤Lであることもでき、あるいは延長剤Lで置換された他の置換基であることもできる。さらに、先に検討したように(そして前記反応順序Pで示すように)、式θ
2で表される熱的に可逆的なフォトクロミック化合物のA基は、必要に応じて、それぞれ残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含んでもよい、1またはそれ以上のR
4基で置換されることもできる。さらに、下記反応順序Tに示すように、式θ
2中のG基は延長剤Lであることもできるし、または延長剤Lで置換された他の置換基であることもできる。
【0175】
【化118】
反応順序Tでは、式τ
1で表されるフルギドは、反応順序Nに従って、当業者には認識される適切な修飾によって調製され得る。次いで、式τ
1で表されるフルギドをp−アミノベンゾイルクロライドと反応させ、式τ
2で表される、本明細書で開示する非限定的な一実施形態による熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を形成することができる。先に検討したように(そして前記反応順序Qで示すように)、式τ
2で表される熱的に可逆的なフォトクロミック化合物のR
5基は、延長剤Lであることもでき、あるいはLで置換された他の置換基であることもできる。さらに先に検討したように(そして前記反応順序Pで示したように)、式τ
2で表される熱的に可逆的なフォトクロミック化合物のA基は、必要に応じて、それぞれ残留Lと同じまたは相違する延長剤Lを含んでもよい、1またはそれ以上のR
4基で置換されることもできる。
【0176】
先に検討したように、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミック基(PC)は、非熱的に可逆的なフォトクロミック基であることができる。たとえば、非限定的な一実施形態によれば、フォトクロミック基は、式XXV:
【0177】
【化119】
で表される非熱的に可逆的なフルギドであることができる。
【0178】
この非限定的な実施形態によれば、A、R
4、i、J、G、D、およびEは、式XXIIに関して示された通りであり、ただし、非熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、前記式Iで表される少なくとも一つの延長剤Lを含む。さらに先に検討したように、式Iにおいて、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。本明細書で開示する他の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも2である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3である。本明細書で開示するさらに別の非限定的な実施形態によれば、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0〜20(両端を含む)の範囲の整数から選択することができ、d’、e’およびf’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、および4から選択することができ、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。
【0179】
たとえば、ここで限定されるわけではないが、式XXVで表される非熱的に可逆的なフォトクロミック化合物を形成するための一般反応順序は、(下記反応順序Yに示すように)式ν
8の無水物をアミノ置換延長剤Lと反応させ、続いて還流条件下で塩化アセチルと反応させて、式Ψ
1で表される、本明細書で開示する非限定的な一実施形態による非熱的に可逆的なフォトクロミックフルギミド化合物を生成することができること以外は、前記反応順序Nに従う。
【0181】
【化120】
さらに、式Ψ
1で表される、非熱的に可逆的なフォトクロミックフルギミド化合物は、当業者には明らかな前記開示に基づいて、前記反応順序P、QおよびTに類似の反応順序で、出発物質の適切な修飾によって、延長剤Lで置換することができる。
【0182】
他の非限定的な実施形態は、(a)ピラン類、オキサジン類およびフルギド類から選択される、少なくとも一つのフォトクロミック基(PC)と、(b)その少なくとも一つのフォトクロミック基に結合する少なくとも一つの延長剤L
2とを含むフォトクロミック化合物を提供し、ここで、L
2は、式XXVI:
【0183】
【化121】
で表され、
式中、
(i)P’は、ステロイド遊離基、テルペノイド遊離基、アルカロイド遊離基、および液晶メソゲンであって、PCに直接結合するか、あるいは1またはそれ以上の下記スペーサー単位(「S」)を介してPCに間接的に結合する液晶メソゲンから選択され;そして
(ii)s’は、0〜20から選択され、各Sは、独立して、各存在について、以下のスペーサー単位から選択される:
(A)−(CH
2)
g−、−(CF
2)
h−、−Si(CH
2)
g−、−(Si[(CH
3)
2]O)
h−(式中、gは、独立して各存在について、1〜20から選択され、hは、1〜16から選択される);
(B)−N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−(式中、Zは、独立して各存在について、水素、C
1−C
6アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択され、Z’は、独立して各存在について、C
1−C
6アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される);および
(C)−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、直鎖または分岐状のC
1−C
24アルキレン残基(該C
1−C
24アルキレン残基は非置換、シアノまたはハロゲンでモノ置換、またはハロゲンでポリ置換されている);
ただし、ヘテロ原子を含むスペーサー単位2個が互いに結合している場合は、該スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接結合しないように結合する。
【0184】
この非限定的な実施形態によるフォトクロミック化合物との併用に適したフォトクロミック基(PC)の非限定的な例示は、先に詳細に記載している。さらに、非限定的な一実施形態によれば、フォトクロミック基PCは、熱的に可逆的なフォトクロミック基である。
【0185】
P’として選択することのできるステロイド遊離基の非限定的な例示として、コレステロール化合物が挙げられる。
【0186】
さらに、少なくとも一つの延長剤L
2に加えて、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態によるフォトクロミック化合物は、さらに、PC上の可能な位置で置換するR
1基を1またはそれ以上含むことができる。適切なR
1基は、先に詳細に記載している:
他の非限定的な実施形態は、以下から選択されるフォトクロミック化合物を提供する:
(a)3−フェニル−3−(4−(4−ピペリジノピペリジノ)フェニル)−13,13−ジメチル−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(b)3−フェニル−3−(4−(4−ベンジルピペリジノ)フェニル)−13,13−ジメチル−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(c)3−フェニル−3−(4−(4−(3−ピペリジン−4−イル−プロピル)ピペリジノ)フェニル)−13,13−ジメチル−インデノ[2’,3’:3,4]−ナフト[1,2−b]ピラン;
(d)3−フェニル−3−(4−(4−(3−(1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−4−イル)プロピル)ピペリジノ)フェニル)−13,13−ジメチル−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(e)3−フェニル−3−(4−(4−フェニルピペラジン)フェニル)−13,13−ジメチル−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(f)3−フェニル−3−(4−(4−ベンジルピペラジン)フェニル)−13,13−ジメチル−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(g)3−フェニル−3−(4−(4−ヘキシルオキシメチルピペリジノ)フェニル)−13,13−ジメチル−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(h)3−フェニル−3−(4−(4−(4−ブチル−フェニルカルバモイル)−ピペリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(i)3−フェニル−3−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(j)3−フェニル−3−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−([1,4’]ビピペリジニル−1’’−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(k)3−フェニル−3−(4−([1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−([1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(l)3−フェニル−3−(4−([1,4’]ビピペリニイル−1’−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(m)3−フェニル−3−(4−([1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(n)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(o)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(p)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−ヘキシルオキシ−ベンゾイルオキシ)−ピペリジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(q)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)−ピペリジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(r)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4’−オクチルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(s)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(t)3−フェニル−3−(4−(4−ピロリジニルフェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(u)3−フェニル−3−(4−(1−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(v)3−フェニル−3−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(w)3−フェニル−3−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)−ピペリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)−ピペリジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(x)3−フェニル−3−(4−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(y)3−フェニル−3−(4−{4−(ビフェニル−4−カルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−4−(4−(ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル}−)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(z)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニル]−ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(aa)3−フェニル−3−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(bb)3−フェニル−3−(4−(4−フルオロベンゾイルオキシ)−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(cc)3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−3−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(dd)3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(ee)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(ff)3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニル]−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(gg)3−フェニル−3−(4−(4−フェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−4−オキソ−ブタノイル)−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(hh)3−フェニル−3−(4−(4−フェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−フルオロベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(ii)3−フェニル−3−(4−(4−フェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(jj)3−フェニル−3−(4−(4−フェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4’−オクチルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(kk)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルオキシフェニルカルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(ll)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−{4−(4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−フェニル)−ピペリジン−1−イル}−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(mm)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(nn)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(oo)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(2−フルオロベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(pp)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(4−フルオロベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(qq)3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(rr)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−ベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(ss)3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(tt)3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(uu)3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(vv)3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−ベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(ww)3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル))フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(3−フェニルプロプ−2−イノイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(xx)3−フェニル−3−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(yy)3−フェニル−3−(4−(4’−オクチルオキシビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペラジン−1−イル))フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(フェニル)−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(zz)3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル))フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(3−(4−ヘキシルベンゾイルオキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(aaa)3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−エチル−13−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(bbb)3−フェニル−3−{4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシ]−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(ccc)3−フェニル−3−(4−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−フェニル)−13−エチル−13−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(ddd)3−フェニル−3−{4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(3−フェニル−3−{4−(ピロリジン−1−イル)フェニル}−13,13−ジメチル−6−メトキシ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン−7−イル)−ピペラジン−1−イル)オキシカルボニル)フェニル)フェニル)カルボニルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(eee)3−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−3−フェニル−7−メトキシカルボニル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン;
(fff)3−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−3−フェニル−7−ヒドロキシカルボニル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン;
(ggg)3−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−3−フェニル−7−(4−フェニル−(フェン−1−オキシ)カルボニル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン;
(hhh)3−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−3−フェニル−7−(N−(4−((4−ジメチルアミノ)フェニル)ジアゼニル)フェニル)カルバモイル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン;
(iii)2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−ベンゾフロ[3’,2’:7,8]ベンゾ[b]ピラン;
(jjj)2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−ベンゾチエノ[3’,2’:7,8]ベンゾ[b]ピラン;
(kkk)7−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}−2−フェニル−2−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−6−メトキシカルボニル−2H−ベンゾ[b]ピラン;
(lll)2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−メトキシカルボニル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(mmm)2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−(N−(4−ブチル−フェニル))カルバモイル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(nnn)2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−(N−(4−フェニル)フェニル)カルバモイル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(ooo)1,3,3−トリメチル−6’−(4−エトキシカルボニル)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン];
(ppp)1,3,3−トリメチル−6’−(4−[N−(4−ブチルフェニル)カルバモイル]−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン];
(qqq)1,3,3−トリメチル−6’−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン];
(rrr)1,3,3−トリメチル−6’−(4−(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン];
(sss)1,3,3,5,6−ペンタメチル−7’−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン];
(ttt)1,3−ジエチル−3−メチル−5−メトキシ−6’−(4−(4’−ヘキシルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン];
(uuu)1,3−ジエチル−3−メチル−5−[4−(4−ペンタデカフルオロヘプチルオキシ−フェニルカルバモイル)−ベンジルオキシ]−6’−(4−(4’−ヘキシルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン];
(vvv)2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−5−カルボメトキシ−8−(N−(4−フェニル)フェニル)カルバモイル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(www)2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−5−カルボメトキシ−8−(N−(4−フェニル)フェニル)カルバモイル−2H−フルオアンテノ[1,2−b]ピラン;
(xxx)2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−5−カルボメトキシ−11−(4−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}フェニル)−2H−フルオアンテノ[1,2−b]ピラン;
(yyy)1−(4−カルボキシブチル)−6−(4−(4−プロピルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−3,3−ジメチル−6’−(4−エトキシカルボニル)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[(1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4’,5’:6,7]インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン];
(zzz)1−(4−カルボキシブチル)−6−(4−(4−プロピルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−3,3−ジメチル−7’−(4−エトキシカルボニル)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[(1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4’,5’:6,7]インドリン−2,3’−3H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン];
(aaaa)1,3−ジエチル−3−メチル−5−(4−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}フェニル)−6’−(4−(4’−ヘキシルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン];
(bbbb)1−ブチル−3−エチル−3−メチル−5−メトキシ−7’−(4−(4’−ヘキシルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン];
(cccc)2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2H−9−(4−(4−プロピルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)(1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4’,5’:6,7]ナフト[1,2−b]ピラン;
(dddd)3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−エチル−13−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−(4−(4−プロピルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−[1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4’’,5’’:6,7]][インデノ[2’,3’:3,4]]ナフト[1,2−b]ピラン;
(eeee)3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−エチル−13−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−(4−(4−ヘキシルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−[1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4’’,5’’:5,6]][インデノ[2’,3’:3,4]]ナフト[1,2−b]ピラン;
(ffff)4−(4−((4−シクロヘキシリデン−1−エチル−2,5−ジオキソピロリン−3−イリデン)エチル)−2−チエニル)フェニル−(4−プロピル)ベンゾエート;
(gggg)4−(4−((4−アダマンタン−2−イリデン−1−(4−(4−ヘキシルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−2,5−ジオキソピロリン−3−イリデン)エチル)−2−チエニル)フェニル−(4−プロピル)ベンゾエート;
(hhhh)4−(4−((4−アダマンタン−2−イリデン−2,5−ジオキソ−1−(4−(4−(4−プロピルフェニル)ピペラジニル)フェニル)ピロリン−3−イリデン)エチル)−2−チエニル)フェニル(4−プロピル)ベンゾエート;
(iiii)4−(4−((4−アダマンタン−2−イリデン−2,5−ジオキソ−1−(4−(4−(4−プロピルフェニル)ピペラジニル)フェニル)ピロリン−3−イリデン)エチル)−1−メチルピロール−2−イル)フェニル(4−プロピル)ベンゾエート;
(jjjj)4−(4−((4−アダマンタン−2−イリデン−2,5−ジオキソ−1−(4−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}フェニル)ピロリン−3−イリデン)エチル)−1−メチルピロール−2−イル)フェニル(4−プロピル)ベンゾエート;
(kkkk)4−(4−メチル−5,7−ジオキソ−6−(4−(4−(4−プロピルフェニル)ピペラジニル)フェニル)スピロ[8,7a−ジヒドロチアフェノ[4,5−f]イソインドール−8,2’−アダメンタン]−2−イル)フェニル(4−プロピル)フェニルベンゾエート;
(llll)N−(4−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]フェニル−6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン);
(mmmm)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(4−(4−(4−プロピルフェニル)ピペラジニル)フェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン);
(nnnn)N−フェニルエチル−6,7−ジヒドロ−2−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン);
(oooo)N−フェニルエチル−6,7−ジヒドロ−2−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル−4−シクロプロピルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン);
(pppp)N−フェニルエチル−6,7−ジヒドロ−2−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル−4−シクロプロピルスピロ(5,6−ベンゾ[b]フロジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン);
(qqqq)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン);
(rrrr)N−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニル−6,7−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)フェニル−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン);
(ssss)N−シアノメチル−2−(4−(6−(4−ブチルフェニル)カルボニルオキシ−(4,8−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクト−2−イル))オキシカルボニル)フェニル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン);
(tttt)6,7−ジヒドロ−N−メトキシカルボニルメチル−4−(4−(6−(4−ブチルフェニル)カルボニルオキシ−(4,8−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクト−2−イル))オキシカルボニル)フェニル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン);
(uuuu)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(4−(6−(4−(4−(4−(4−ノニルフェニルカルボニルオキシ)フェニル)オキシカルボニル)フェノキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;
(vvvv)3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(4−(6−(4−(4−(4−(4−ノニルフェニルカルボニルオキシ)フェニル)オキシカルボニル)フェノキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン;および
(wwww)3−フェニル−3−(4−ピロリジニルフェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(4−(6−(4−(4−(4−ノニルフェニルカルボニルオキシ)フェニル)オキシカルボニル)フェノキシ)ヘキシルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン。
【0187】
本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態による熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、種々の用途において使用され得、フォトクロミックおよび/または二色性特性を提供することができる。
【0188】
非限定的な一実施形態は、有機ホスト材料と、フォトクロミック量のフォトクロミック化合物とを含むフォトクロミック物品を提供し、上記フォトクロミック化合物は、ピラン類、オキサジン類およびフルギド類から選択される少なくとも一つのフォトクロミック基;および(b)前記式Iで表され、上記少なくとも一つのフォトクロミック基に結合する少なくとも一つの延長剤Lであって、有機ホスト材料の少なくとも一部に連結される延長剤Lを含む。本明細書で使用される用語「連結される(connected to)」とは、物体と直接接するか、あるいは1またはそれ以上の他の構造あるいは物質を介して物体と間接的に接し、上記他の構造あるいは物質の少なくとも一つは直接物体と接することを意味する。さらに、この非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック化合物は、ホスト材料への組み込みによって、またはホスト材料への塗布(たとえばコーティングまたは層の一部として)によって、ホスト材料の少なくとも一部に連結され得る。
【0189】
本明細書で開示する種々の非限定的な実施形態と併用してもよい有機ホスト材料の非限定的な例示として、高分子材料、たとえば、ホモポリマーおよびコポリマーが挙げられ、これらは、米国特許第5,962,617号および米国特許第5,658,501号、第15欄、28行から第16欄、17行(これらの米国特許明細書の開示は、参考として本明細書に具体的に援用される)に開示のモノマーおよびモノマー混合物から製造される。たとえば、そのような高分子材料は、熱可塑性高分子材料または熱硬化性高分子材料であり得、透明または光学的に透明であり得、求められるいかなる屈折率も有することができる。このような開示されたモノマーおよびポリマーの非限定的な例示として、以下が挙げられる:ポリオール(アリルカーボネート)モノマー類、たとえば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のようなアリルジグリコールカーボネート(該モノマーは、商標名CR−39のもとに、PPG Industries,Inc.によって販売されている);ポリウレア−ポリウレタン(ポリウレア−ウレタン)ポリマー(これは、たとえば、ポリウレタンプレポリマーとジアミン硬化剤との反応により調製され、そのような一ポリマーのための組成物は、商標TRIVEXのもと、PPG Industries,Inc.によって販売されている);ポリオール(メタ)アクリロイル末端カーボネートモノマー;ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エトキシル化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコールビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(塩化ビニル);ポリ(ビニリデンクロライド);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;ビスフェノールAとホスゲンとから誘導されるカーボネート結合樹脂のような熱可塑性ポリカーボネート(そのような材料の一つが商標名LEXANのもとに販売されている);ポリエステル(そのような材料が商標名MYLARのもとに販売されている);ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;商標名PLEXIGLASのもとに販売されているもののようなポリ(メチルメタクリレート)、多官能性イソシアネートと、ポリチオール類またはポリエピスルフィドモノマーとを反応させることによって調製されるポリマー、ポリチオール類、ポリイソシアネート類、ポリイソチオシアネート類、および必要に応じてエチレン性不飽和モノマーまたはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーとを単独重合、共重合および/または三元重合したポリマー。さらに、たとえば、ブロックコポリマーまたは相互浸透ネットワーク生成物を形成するための、そのようなモノマーのコポリマー、および記載されたポリマーおよびコポリマーと他のポリマーとのブレンドも企図される。
【0190】
特定の非限定的な一実施形態によれば、有機ホスト材料は、以下から選択される:ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリ(C
l−C
l2)アルキルメタクリレート類、ポリオキシ(アルキレンメタクリレート)、ポリ(アルコキシル化フェノールメタクリレート)、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ((メタ)アクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ((メタ)アクリル酸)、熱可塑性ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリチオウレタン類、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、コポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリビニルブチラール、およびポリオール(アリルカーボネート)モノマー、単官能性アクリレートモノマー、単官能性メタクリレートモノマー、多官能性アクリレートモノマー、多官能性メタクリレートモノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、アルコキシル化多価アルコールモノマーおよびジアリルイリデンペンタエリスリトールモノマーからなる群のメンバーのポリマー。
【0191】
他の特定の非限定的な実施形態によれば、有機ホスト材料は、アクリレート類、メタクリレート類、メチルメタクリレート類、エチレングリコールビスメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、酢酸ビニル、ビニルブチラール、ウレタン、チオウレタン、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、およびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートから選択されるモノマーのホモポリマーまたはコポリマーである。
【0192】
さらに、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態による有機ホスト材料は、光学素子またはその一部を形成することができる。光学素子の非限定的な例示として、眼用要素(optical element)、表示要素(display element)、ウィンドウ、およびミラーが挙げられる。本明細書で使用される用語「光学」は、光および/または視覚に関連するまたは伴うことを意味する。たとえば、ここで限定されるわけではないが、種々の非限定的な実施形態によれば、光学素子または光学装置は、眼用要素および眼用装置、表示要素および表示装置、ウィンドウ、ミラー、ならびに活性および受動液晶セル要素および活性および受動液晶セル装置から選択することができる。
【0193】
本明細書で使用される用語「眼用」は、目および視覚に関連するまたは伴うことを意味する。眼用要素の非限定的な例示として、単焦点または複焦点レンズ(該複焦点レンズは分割されていてもよいしあるいは分割されていなくてもよい、たとえば、二重焦点レンズ、三重焦点レンズおよび累進多焦点レンズが挙げられるがこれらに限定されない)を始めとする矯正および非矯正レンズ、および視覚を矯正、保護、あるいは増強(美容上その他)するために使用される他の構成要素、たとえば、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、保護レンズまたはバイザーが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書で使用される用語「表示」は、言語、数字、シンボル、デザインまたは図形による情報の可視または機械読取り可能な表示を意味する。表示要素および表示装置の非限定的な例示として、スクリーン、モニター、およびセキュリティーマークおよび認証マーク(これらに限定されない)を始めとするセキュリティー要素が挙げられる。本明細書で使用される用語「ウィンドウ」は、放射線がそこを通って透過することが可能なように適合された開口部を意味する。ウィンドウの非限定的なとして、自動車用および航空機用透明材料、フィルター、シャッター、および光学スイッチが挙げられる。本明細書で使用される用語「ミラー」は、入射光の大部分を鏡面的に反射する表面を意味する。
【0194】
たとえば、非限定的な一実施形態では、有機ホスト材料は、眼用要素であり、さらに詳しくは、眼用レンズである。
【0195】
さらに、本明細書で開示するフォトクロミック化合物は、単独で、あるいは300nm〜1000nm(両端を含む)の範囲の中に少なくとも一つの活性化吸収極大を有する他の相補的有機フォトクロミック化合物(あるいはこれを含む物質)との併用で使用できることが考えられる。たとえば、本明細書で開示するフォトクロミック化合物は、少なくとも一つの他の従来の有機フォトクロミック化合物と組み合わせることができ、たとえば、活性化された場合、フォトクロミック化合物の組み合わせは、所望の色相を呈する。適切な従来の有機フォトクロミック化合物の非限定的な例示として、前記フォトクロミックピラン類、オキサジン類、フルギド類、およびフルギミド類が挙げられる。他の相補的なフォトクロミック化合物として、たとえば、米国特許第3,361,706号明細書に記載の水銀ジチゾネートのようなフォトクロミック金属ジチアゾネートが挙げられる。
【0196】
たとえば、本明細書で開示するフォトクロミック化合物を、フォトクロミック化合物が組み込まれ、あるいは塗布されている有機ホスト材料が、活性化あるいは「混合」状態で、所望の色(複数も含む)を呈するような量または比において、単独であるいは他の従来の有機フォトクロミック化合物(先に検討したように、)と併用して使用できることが考えられる。したがって、所望のフォトクロミック効果を得るために十分な量であれば、フォトクロミック化合物の使用量は重要ではない。本明細書で使用される用語「フォトクロミック量」は、所望のフォトクロミック効果を得るのに必要なフォトクロミック化合物の量を言う。
【0197】
他の非限定的な実施形態は、基材と、フォトクロミック化合物をフォトクロミック量有するコーティング組成物の少なくとも部分的なコーティングとを含むフォトクロミック物品を提供し、上記フォトクロミック化合物は、(a)ピラン類、オキサジン類、およびフルギド類から選択されるフォトクロミック基の少なくとも一つと(b)前記式Iで表される、上記少なくとも一つのフォトクロミック基に結合する延長剤Lであって、基材の少なくとも一つの表面の少なくとも一部に連結される少なくとも一つの延長剤Lを含む。さらに、ここで限定されるわけではないが、少なくとも部分的なコーティングの少なくとも一部は、少なくとも部分的に固化されていることができる。本明細書で使用される用語「固化」は、所望の方向に固定されることを意味する。
【0198】
たとえば、前記非限定的な実施形態によれば、コーティング組成物は、高分子コーティング組成物、塗料、およびインク(これらに限定されない)から選択することができる。さらに、本明細書で開示するフォトクロミック化合物に加え、種々の非限定的な実施形態によるコーティング組成物は、300nm〜1000nm(両端を含む)の範囲の中に少なくとも一つの活性化吸収極大を有する他の従来の有機フォトクロミック化合物を少なくとも一つ含むこともできる。
【0199】
フォトクロミック量のフォトクロミック化合物を含むコーティング組成物を塗布できる適切な基材の非限定的な例示として、ガラス、メーソンリー、織物、セラミック、金属、木材、紙、高分子有機材料が挙げられる。適切な高分子有機材料の非限定的な例示は、先に記載した。
【0200】
さらに他の非限定的な実施形態は、基材と、フォトクロミック化合物を少なくとも一つ含む少なくとも部分的なコーティングとを含む、光学素子を提供し、上記フォトクロミック化合物は、(a)ピラン類、オキサジン類、およびフルギド類から選択される少なくとも一つのフォトクロミック基と、(b)少なくとも一つの前記式Iで表される、少なくとも一つのフォトクロミック基に結合する延長剤Lであって、基材の少なくとも一部に連結される延長剤とを含む。光学素子の非限定的な例示として、眼用要素、標識素子、ウィンドウ、およびミラーが挙げられる。たとえば、非限定的な一実施形態によれば、光学素子は、眼用要素であり、基材は、矯正レンズまたは非矯正レンズ、部分的に形成されているレンズ、およびレンズブランクから選択される眼用基材である。
【0201】
ここで限定されるわけではないが、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態による光学素子は、フォトクロミック化合物を、所望の光学特性(たとえばフォトクロミック特性や二色性特性などが挙げられるが、これらに限定されない)を達成するために必要ないかなる量でも含むことができる。
【0202】
前記非限定的な実施形態との併用で適切な基材の他の非限定的な例示として、着色されていない基材、着色された基材、フォトクロミック基材、着色フォトクロミック基材、直線偏光基材、円偏光基材、楕円偏光基材、および反射性基材が挙げられる。本明細書で使用される基材に関し、用語「着色されていない」は、本質的に着色剤(たとえば従来の染料、しかしこれに限定されない)の添加がなく、化学線に反応して大きく変化しない可視光に対し吸収スペクトルを有する基材を意味する。さらに、基材に関し、用語「着色」は、着色剤(たとえば従来の染料、しかしこれに限定されない)が添加され、化学線に反応して大きく変化しない可視光に対する吸収スペクトルを有する基材を意味する。
【0203】
本明細書で使用される基材に関し、用語「直線偏光」は、放射線を直線偏光する(すなわち、光波の電界ベクトルの波動を一方向に制限する)ように適合された基材を言う。本明細書で使用される、基材に関し、用語「円偏光」は、放射線を円偏光するように適合された基材を言う。本明細書で使用される基材に関し、用語「楕円偏光」は、放射線を楕円偏光するように適合された基材を言う。本明細書で使用される基材に関し、用語「フォトクロミック」は、少なくとも化学線に反応して変化し、かつ熱的に可逆的である可視光線に対して吸収スペクトルを有する基材を言う。さらに、本明細書で使用される基材に関し、用語「着色−フォトクロミック」は、着色剤の添加とフォトクロミック化合物を含み、少なくとも化学線に反応して変化し、熱的に可逆的である可視光線に対する吸収スペクトルを有する基材を意味する。したがって、たとえば、非限定的な一実施形態において、着色フォトクロミック物質は、着色剤の第一色特徴と、化学線に曝されたときの着色剤とフォトクロミック化合物との組み合わせの第二色特徴とを有することができる。
【0204】
特定の非限定的な一実施形態は、基材と、フォトクロミック化合物を少なくとも一つ含む少なくとも部分的なコーティングとを含む、光学素子を提供し、上記フォトクロミック化合物は、(a)ピラン類、オキサジン類、およびフルギド類から選択される少なくとも一つのフォトクロミック基と、(b)少なくとも一つの前記式Iで表され、基材の少なくとも部分に連結されるフォトクロミック基の少なくとも一つに結合する延長剤Lとを含む。さらに、この非限定的な実施形態によれば、少なくとも一つの熱的に可逆的なフォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した活性化状態において、2.3を超える平均吸収率を有するフォトクロミック二色性化合物であり得る。
【0205】
先に検討したように、本明細書で開示する、種々の非限定的な実施形態による光学素子は、たとえば(限定されない)、スクリーン、モニター、およびセキュリティー要素のような標識素子でもありえる。たとえば、非限定的な一実施形態は、第一面を有する第一基材と第二面を有する第二基材であって、該第二基材の第二面は、開口領域を規定するように、前記第一基材の第一面と向かい合い、それから離れた配置にある基材と、(a)ピラン類、オキサジン類、およびフルギド類から選択されるフォトクロミック基を少なくとも一つと、(b)前記式Iで表される、第一基材の第一面と第二基材の第二面とによって規定される開口領域内に位置するフォトクロミック基の少なくとも一つに結合する少なくとも一つの延長剤Lを含む少なくとも一つのフォトクロミック化合物を含む流体材料とを含む表示要素を提供する。さらに、少なくとも一つのフォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した活性化状態において、2.3を超える平均吸収率を有するフォトクロミック二色性化合物でありえる。
【0206】
さらに、この非限定的な実施形態によれば、第一および第二基材は、独立して、着色されていない基材、着色された基材、フォトクロミック基材、着色フォトクロミック基材、直線偏光基材、円偏光基材、楕円偏光基材、および反射性基材から選択することができる。
【0207】
他の非限定的な実施形態は、基材と、フォトクロミック化合物を少なくとも一つとを含むセキュリティー要素を提供し、上記フォトクロミック化合物は、(a)ピラン類、オキサジン類、およびフルギド類から選択される少なくとも一つのフォトクロミック基と、(b)少なくとも一つの前記式Iで表され、基材の少なくとも部分に連結されるフォトクロミック基の少なくとも一つに結合する延長剤Lとを含む。セキュリティー要素の非限定的なとして、基材の少なくとも一部に連結されるセキュリティーマークおよび認証マークが挙げられ、たとえば(限定ではない)以下のものがある:アクセスカードおよびパス、たとえば、チケット、バッジ、IDカード、会員券、デビットカード、その他;流通証券および非流通証券、たとえば、為替手形、小切手、債券、証券、定期預金証書、株券、その他;公文書、たとえば、貨幣、ライセンス、IDカード、ベネフィットカード、ビザ、パスポート、正式証明書、証書、その他;消費者用の製品、たとえば、ソフト、コンパクトディスク(「CD」)、デジタルヴィデオディスク(「DVD」)、家庭機器、家電製品、スポーツ用品、車、その他;クレジットカード;および商品用タグ、ラベルおよびパッケージ。
【0208】
ここで限定されるわけではないが、この非限定的な実施形態によれば、セキュリティー要素を、透明の基材および反射性基材から選択される基材の少なくとも一部につなげることができる。あるいは、反射性基材が要求される、ある非限定的な実施形態によれば、基材が反射性ではないか、あるいは目的とする用途には充分に反射性ではない場合、セキュリティーマークを適用する前に、先ず、基材の少なくとも一部に反射性材料を塗布することができる。たとえば、セキュリティー要素を形成する前に、反射性アルミニウムコーティングを基材の少なくとも一部に塗布することができる。さらに、セキュリティー要素を、着色されていない基材、着色された基材、フォトクロミック基材、着色−フォトクロミック基材、直線偏光および円偏光基材、および楕円偏光基材から選択される基材の少なくとも一部に連結することもできる。
【0209】
さらに、前記非限定的な実施形態によれば、少なくとも一つのフォトクロミック化合物は、セル法に従って測定した活性化状態において、2.3を超える平均吸収率を有する熱的に可逆的フォトクロミック二色性化合物でもあり得る。
【0210】
さらに、前記非限定的な実施形態によるセキュリティー要素は、さらに、1またはそれ以上の他のコーティングあるいはシートを含み、米国特許第6,641,874号明細書(これは参考として本明細書に具体的に援用される)に記載される、視覚依存特性付き多層反射性セキュリティー要素を形成することができる。
【0211】
前記フォトクロミック物品および光学素子は、当該分野で公知の方法で形成することができる。ここで限定されるわけではないが、ホスト材料に組み込むことによって、またはホストまたは基材上に、たとえばコーティングの形で塗布することによって、本明細書で開示するフォトクロミック化合物を、基材またはホストに連結することができる。
【0212】
たとえば、フォトクロミック化合物をホスト材料内に溶解または分散させ、フォトクロミック化合物をホスト材料モノマーに加える代わりに、重合の前に、たとえば、それを流し込み、フォトクロミック化合物の熱溶液中でホスト材料を浸漬することによってフォトクロミック化合物を吸収させることによって、または熱転写によって、フォトクロミック二色性化合物を有機ホスト材料に組み込むことができる。本明細書で使用される用語「吸収」は、フォトクロミック化合物が単独でホスト材料に浸透すること、溶媒の補助を受けてフォトクロミック化合物が多孔性重合体へ移行すること、気相移動、およびその他そのような移動を含む。
【0213】
さらに、本明細書で開示するフォトクロミック化合物を、フォトクロミック化合物を含むコーティング組成物(先に検討したように)またはシートの一部として、有機ホスト材料または他の基材に塗布することができる。本明細書で使用される用語「コーティング」は、均一な厚さであってもなくてもよい、流動可能組成物から誘導される、支持フィルムを意味する。本明細書で使用される用語「シート」は、一般的に均一な厚さの、自己支持しうる予備形成されたフィルムを意味する。
【0214】
本明細書で開示するフォトクロミック化合物を含むコーティング組成物を塗布する非限定的な方法としては、コーティングを塗布するための当該分野で公知の方法が挙げられる。たとえば、スピン塗布、スプレー塗布、スプレーおよびスピン塗布、カーテン塗布、流し塗り、ディップ塗布、射出成形、キャスティング、ロール塗布、ワイア塗布、およびオーバーモールディングが挙げられる。非限定的な一実施形態によれば、フォトクロミック化合物を含むコーティングは、型に適用され、基材はコーティングの上面に形成される(すなわち、オーバーモールディング)。これに加え、または代わりに、フォトクロミック化合物を含まないコーティング組成物を先ず先に記載した技術のどれかを使用して、基材または有機ホスト材料に塗布し、その後、前記フォトクロミック化合物を吸収させることもできる。
【0215】
本明細書で開示するフォトクロミック化合物を含むシートを基材に塗布する非限定的な方法として、たとえば、ポリマーシートを基材の少なくとも一部に、積層、溶融、インモールドキャスティング、および離れないように接着することの少なくとも一つを行うことが挙げられる。本明細書で使用される「インモールドキャスティング」は、種々のキャスティング技術を含む。たとえば、シートを型内に置き、基材の少なくとも一部に基材を形成する(たとえば、キャスティングによって)オーバーキャスティング;基材をシートの回りに形成する射出成形があるが、これらに限定されない。さらに、シートを基材に適用する前または後のいずれでも、フォトクロミック化合物をシートにコーティングとして塗布し、吸収によって、あるいは他の適切な方法によって、シート中に組み入れることも考えられる。
【0216】
さらに、先に検討したように、本明細書で開示するフォトクロミック化合物は、単独で、あるいは前記ホスト材料および基材に塗布または組み入れることができる、他の従来の有機フォトクロミック化合物の少なくとも一つと併用して、組み入れるまたは塗布することもできる。
【実施例】
【0217】
本明細書で開示する種々の実施形態を、以下の非限定的な実施例で説明する。
【0218】
(実施例1)
(工程1)
4−フルオロベンゾフェノン(64.5g)および無水ジメチルスルホキシド(DMSO)(200ml)を、窒素下で反応フラスコに加えた。1−フェニルピペラジン(36.2g)を加え、懸濁物を180℃に加熱した。2時間後、熱を取り除き、混合物を4リットルの水に注ぎ入れた。沈殿物を減圧濾過によって集め、水で洗浄し、真空乾燥し、アセトン/メタノールから再結晶した。灰白色結晶として回収された生成物(55g、収率89%)は、GC/MSデータによって、4−(4−フェニルピペラジン−1−イル)ベンゾフェノンと一致する構造を有することが示された。
【0219】
(工程2)
工程1からの4−(4−フェニルピペラジン−1−イル)ベンゾフェノン(55g)と、ジメチルホルムアミド(DMF)(300mL、アセチレンで飽和)とを反応フラスコに加えた。ナトリウムアセチリド懸濁物(トルエン中の18重量%スラリーを64g、Aldrichから得た)を、撹拌しながら前記混合物に加えた。20分後、反応物を脱イオン水(3L)とヘキサン(500ml)との撹拌されている混合物に注ぎ入れた。形成した固体を減圧濾過により集め、真空乾燥した。NMRスペクトルによって、灰白色粉末の最終生成物(59g、収率99.7%)は1−フェニル−1−(4−フェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−プロプ−2−イン−1−オールと一致する構造を有したことが示された。
【0220】
(工程3)
N−フェニルピペラジン(31.3g、187ミリモル(mmol))、2,3−ジメトキシ−7,7−ジメチル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オール(40g、125mmol)およびTHF(200mL)を、バブラ付きの2リットル丸底フラスコに加え、室温で磁気によって撹拌した。1.6Mメチルリチウムのエチルエーテル溶液(234mL、375mmol)を、窒素雰囲気下、滴下漏斗でゆっくり混合物に加えた。ガスの発生と溶媒の沸騰が観察され、200mLの溶媒を蒸留によってフラスコから取除いた。残った混合物を10時間還流し、次いで、400mLの水に注ぎ入れた。pHが4〜6になるまで、塩酸(HCl)(3N)を撹拌しながら混合物に加えた。次いで、酢酸エチル(300mL)を混合物に加えた。結晶性の沈殿物を減圧濾過によって集めた。有機層を分離し、乾燥し、濃縮した。得られた油状物を酢酸エチルの添加によって結晶化し、減圧濾過によって集めた。回収した固形物を合わせ、アセトンで洗浄した。白色結晶(45.7g)が生成物として得られた。該生成物をNMRおよびMSによって特性評価し、7,7−ジメチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オールと一致する構造を有することがわかった。
【0221】
(工程4)
工程2からの1−フェニル−1−(4−フェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−プロプ−2−イン−1−オール(1.84g、5mmol)、工程3からの7,7−ジメチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オール(1.5g、3.33mmol)、3Åモレキュラシーブ(2g)およびクロロホルム(80mL)を、滴下漏斗付きの250mLフラスコに加え、室温で撹拌した。トリフルオロ酢酸のクロロホルム溶液(0.3M、4mL)を滴下漏斗によって反応フラスコに滴下した。灰色を呈した。得られた反応混合物を8時間還流した。モレキュラシーブをセライトのパッドを通すろ過によって取除いた。クロロホルム溶液を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。回収した生成物を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:20/80酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。回収した固形物をCHCl
3に溶解することによってさらに精製し、メタノールから析出させ、灰色の固形物(2.1g)を得た。最終生成物をNMRによって同定すると、3−フェニル−3−(4−ピロリジン−1−イルフェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有することがわかった。
【0222】
(実施例2)
工程1において1−フェニルピペラジンの代わりに4−ピペリジノピペリジンを用い、工程4において7,7−ジメチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オールの代わりに7,7−ジメチル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オールを用いたこと以外は、実施例1の工程1、工程2および工程4の手順を行なった。回収した最終生成物は、青色の固形物であった。NMRスペクトルによって、最終生成物は、3−フェニル−3−(4−(4−ピペリジノピペリジノ)フェニル)−13,13−ジメチルインデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0223】
(実施例3)
(工程1)
米国特許第6,296,785号の実施例14、工程5の生成物である2,3−ジメトキシ−5−ヒドロキシ−7H−ベンゾ[C]フルオレン−7−オン(50.13g、0.164mol)とTHF(500ml)とを、窒素雰囲気でバブラ付きのフラスコに加え、室温で撹拌した。25重量%エチルマグネシウムクロリドTHF溶液(124ml、0.36mol)をゆっくり加え、注意深くガスを発生させた。添加を30分で完了した。反応は発熱性であり、THFを沸騰させた。10分後、3N HCI水溶液を、弱酸性混合物が得られるまで、激しく撹拌しながらゆっくりと加えた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。回収した有機溶液を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。溶媒が蒸発する間、結晶が沈殿した。クロロホルムを加え、結晶化を助けた。生成物を、減圧濾過によって白色結晶(47.7g)として集めた。NMRスペクトルによって、生成物が7−エチル−2,3−ジメトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,7−ジオールと一致する構造を有することが示された。
【0224】
(工程2)
N−フェニルピペラジン(7.23g、44.6mmol)、工程1からの7−エチル−2,3−ジメトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,7−ジオール(10g、30mmol)、およびTHF(200mL)をフラスコに加え、窒素雰囲気下、室温で磁気的に撹拌した。1.6Mメチルリチウムのエチルエーテル溶液(93mL、149mmol)を、滴下漏斗を通してゆっくりと混合物に加えた。100mL量の溶媒をフラスコから留去した。残った混合物を2日間還流した。得られた反応混合物を、水(200mL)を含むフラスコに注ぎ入れ、3N HCIを添加することによってpH4に酸性化した。酢酸エチル(100mL)を混合物に加え、得られた結晶性沈殿物を減圧濾過によって集め、水、アセトンで洗浄し、空気乾燥した。生成物として、白色結晶(6.77g)を回収した。得られた生成物は、NMRスペクトルによって、7−エチル−3−メトキシ−2−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,7−ジオールと一致する構造を有したことが示された。
【0225】
(工程3)
1−フェニル−1−(4−フェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−プロプ−2−イン−1−オールの代わりに、実施例6からの1−フェニル−1−(4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オールを用い、7,7−ジメチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オールの代わりに、7−エチル−3−メトキシ−2−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,7−ジオールを用いたこと以外は、実施例1の工程4の手順を行った。NMRスペクトルによって、黒の固形物である得られた生成物は3−フェニル−3−(4−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0226】
(工程4)
工程3の生成物(0.5g、0.66mmol)、4−ヘキシル塩化ベンゾイル(0.42g、1.9mmol)およびピリジン(10mL)を反応フラスコに加え、室温で4時間撹拌した。得られた混合物を、100mLの水を含むビーカーに注ぎ入れた。得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、溶離液として2/8(体積/体積)酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに付した。回収した固形物をCHCl
3に溶解することによってさらに精製し、メタノールから析出させ、黒色の固形物(0.44g)を得た。NMRスペクトルによって、最終生成物は3−フェニル−3−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0227】
(実施例4)
(工程1)
工程1において1−フェニルピペラジンの代わりにピロリジンを用い、工程3において1−フェニルピペラジンの代わりに4−ヒドロキシピペリジンを用いたこと以外は、実施例1の手順を行った。紫色の結晶として回収した最終生成物は、NMRスペクトルによって、3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0228】
(工程2)
工程1からの3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン(1.5g、2.3mmol)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸(0.27g、1.1mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.48g、2.3mmol)、4−(ジメチルアミノ)−ピリジン(0.03g、0.23mmol)、およびジクロロメタン(40mL)をフラスコに加え、還流下、36時間加熱した。生成した固形物をろ過によって取り除き、残った溶液を濃縮した。得られた粗生成物である固形物をフラッシュクロマトグラフィー(3/7酢酸エチル/ヘキサン、体積比)で精製した。回収した固形物をCHCl
3に溶解することによってさらに精製し、メタノールから析出させた。NMRスペクトルによって、紫色の固形物である最終生成物(0.47g)はビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス−{1−[6−メトキシ−13,13−ジメチル−3−フェニル−3−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフタ[1,2−b]ピラン−7−イル]−ピペリジン−4−イル}エステルと一致する構造を有したことが示された。
【0229】
(実施例5)
(工程1)
工程2においてN−フェニルピペラジンの代わりに4−ヒドロキシピペリジンを用い、工程3において1−フェニル−1−(4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オールの代わりに1−フェニル−1−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オール(実施例4、工程1の一中間体)を用いたこと以外は、実施例7の工程1、工程2および工程3の手順を行なった。NMRスペクトルによって、紫色の固形物である最終生成物は3−フェニル−3−(4−ピロリジノフェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0230】
(工程2)
工程1の3−フェニル−3−(4−ピロリジノフェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン(4.0g、6mmol)およびテトラヒドロフラン(THF)(200mL)の混合物を、反応フラスコに加え、窒素雰囲気下、室温で撹拌した。ACROS Organicsから入手可能なTHFとヘキサン溶媒との混合物中のリチウムジイソプロピルアミドの2M溶液(12mL、24mmol)をシリンジによって加えた。クロロ蟻酸コレステリル(2.7g、6mmol)を−78℃で加え、得られた混合物を室温まで温め、室温で30分撹拌した。反応混合物を水(1500mL)に注ぎ入れ、3N HClで酸性化し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で過剰量の酸の中和を行い、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、溶離液として3:7(体積:体積)酢酸エチル:ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーに付した。2種類の生成物が得られ、それらはそれぞれモノ付加物とジ付加物に対応した。NMRスペクトルによって、ジ付加物生成物(0.666g)は3−フェニル−3−{4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシ}−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0231】
(実施例6)
工程2においてN−フェニルピペラジンの代わりに4−ヒドロキシピペリジンを用い、工程4においてヘキシルベンゾイルクロライドの代わりにクロロ蟻酸コレステリルを用いたこと以外は実施例3の手順を行った。NMRスペクトルによって、灰白色の固形物である得られた生成物は3−フェニル−3−(4−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−フェニル)−13−エチル−13−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0232】
(実施例7)
(工程1)
4−ヒドロキシ安息香酸(45g、0.326mol)、ドデシルベンゼンスルホン酸(2滴)およびエチルエーテル(500mL)を滴下漏斗が付いたフラスコに加え、室温で撹拌した。純粋ジヒドロピラン(DHP)(35mL、0.39mol)を、30分以内で滴下漏斗を通して滴下し、白色沈殿物を形成した。得られた懸濁物を一晩撹拌し、沈殿物を減圧濾過で集めた。白色固体生成物(41g)を回収した。得られた生成物は、NMRスペクトルにより、4−(2−テトラヒドロ−2H−ピランオキシ)安息香酸と一致する構造を有したことが示された。
【0233】
(工程2)
4−ヒドロキシピペリジン(19.5g、0.193mol)、2,3−ジメトキシ−7,7−ジメチル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オール(41.17g、0.128mol)およびTHF(300mL)を、バブラ付きの2リットル丸底フラスコへ添加し、室温で磁気的に撹拌した。3Mメチルグリニヤール(Grignard)のTHF溶液(171mL、0.514mmol)を窒素雰囲気下、滴下漏斗でゆっくりと混合物に加えた。得られた混合物を濃縮し、粘性油状物を得た。この粘性油状物を還流下に保ち、5日間撹拌した。薄層クロマトグラフィーによって、反応物中に2種の生成物が存在することが示された。得られた反応混合物を、水(1000mL)を含むビーカーに注ぎ入れ、HCl(3N)で中和してpHを4〜6とし、酢酸エチルで抽出し、溶離液として2:8(体積:体積)酢酸エチル:ヘキサンを使用したフラッシュクロマトグラフィーに付した。両生成物を集め、白い固形物として得た。NMRスペクトルによって、主な生成物は7,7−ジメチル−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−2,5−ジオールと一致する構造を有し、および少量の生成物は、7,7−ジメチル−3−メトキシ−3−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−オールと一致する構造を有したことが示された。
【0234】
(工程3)
工程1の7,7−ジメチル−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−2,5−ジオール(5.1g)、1−フェニル−1−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オール(5.1g)、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(0.2g)、オルト蟻酸トリメチル(4g)およびクロロホルム(100mL)を反応フラスコに加え、室温で週末にわたって撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、溶離液として2:8(体積:体積)酢酸エチル:ヘキサンを使用したフラッシュクロマトグラフィーに付した。灰色の固形物を回収した(9.1g)。得られた生成物は、NMRスペクトルによって、3−フェニル−3−(4−(4−ピロリジニルフェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−ヒドロキシ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0235】
(工程4)
反応を室温で行い、4,4’−ビフェニルジカルボン酸の代わりに工程1の4−(2−テトラヒドロ−2H−ピランオキシ)安息香酸を用い、3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)−フェニル)−13,13−ジメチル6−メトキシ−7−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランの代わりに工程3の3−フェニル−3−(4−(4−ピロリジニルフェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−ヒドロキシ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランを用い、生成物の精製にシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを使用しなかったこと以外は、実施例4の工程2の手順を使用した。生成物をクロロホルム中に溶解し、次いでメタノールから析出させる技術によって精製した。NMRスペクトルによって、青い固形物である得られた生成物は3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(2−テトライドロ−2H−ピランオキシ)ベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0236】
(工程5)
工程4の生成物である3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(2−テトラヒドロ−2H−ピランオキシ)ベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン(5g、6.5mmol)、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(0.16g、0.65mmol)、酢酸エチル(100mL)、およびメタノール(20mL)を反応フラスコに加え、24時間還流した。得られた反応混合物を水で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶離液として、3/7(体積/体積)酢酸エチル/ヘキサンを使用したフラッシュクロマトグラフィーに付した。NMRスペクトルによって、青い固形物として得られた生成物(4.4g)は3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0237】
(工程6)
3−フェニル−3−(4−(4−ピロリジニルフェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−ヒドロキシ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランの代わりに、この実施例の工程5の生成物である3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランを用いたこと以外は、この実施例の工程4と工程5の手順を使用した。NMRスペクトルによって、青い固形物である得られた生成物は3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0238】
(工程7)
3−フェニル−3−(4−(4−ピロリジニルフェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−ヒドロキシ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランの代わりにこの実施例の工程6の生成物である3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランを用いたこと以外は、この実施例の工程4と工程5の手順を使用した。NMRスペクトルによって、青い固形物である得られた生成物は3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0239】
(工程8)
3−フェニル−3−(4−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランの代わりに工程7の生成物である3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランを用いたこと以外は、実施例3の工程4の手順を使用した。NMRスペクトルによって、青い固形物である最終生成物は3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(4−ヘキシ)ベンゾイルオキシ)−ベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0240】
(実施例8)
7,7−ジメチル−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−2,5−ジオールの代わりに6−メトキシ−1−ナフトエ酸メチルを用い、1−フェニル−1−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オールの代わりに1−フェニル−1−(4−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジノ)フェニル)−2−プロプ−1−オールを用いたこと以外は、実施例7の工程3の手順を使用した。淡黄色結晶(2.4g)を回収した。得られた生成物は、NMRスペクトルによって、3−(4−(4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル)−フェニル)−3−フェニル−7−メトキシカルボニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0241】
(実施例9)
(工程1)
6−メトキシ−1−ナフトエ酸メチルの代わりに6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸を用いたこと以外は実施例8の手順を行った。淡いオレンジ色の粉末を回収した。得られた生成物は、NMRスペクトルによって、3−(4−(4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル)−フェニル)−3−フェニル−7−ヒドロキシカルボニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0242】
(工程2)
反応を室温で行い、4,4’−ビフェニルジカルボン酸の代わりに3−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−3−フェニル−7−ヒドロキシカルボニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランを用い、3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランの代わりに4−フェニルフェノールを用いたこと以外は、実施例4の工程2の手順を使用した。NMRスペクトルによって、白色の固体生成物は3−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−3−フェニル−7−(4−フェニル−(フェン−1−オキシ)カルボニル)−3H−ナフト[2,1−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0243】
(実施例10)
7,7−ジメチル−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−2,5−ジオールの代わりに4−ヒドロキシ−ジベンゾフランを用い、1−フェニル−1−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オールの代わりに1−フェニル−1−(4−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジノ)フェニル)−2−プロピン−1−オールを用いたこと以外は、実施例7の工程3の手順を使用した。NMRスペクトルによって、灰白色の固形物である最終生成物は2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−ベンゾフロ[3’,2’:7,8]ベンゾ[b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0244】
(実施例11)
(工程1)
7,7−ジメチル−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−2,5−ジオールの代わりに2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチルを用いたこと以外は、実施例7の工程3の手順を使用した。NMRスペクトルによって、黄色の固形物である最終生成物は7−ヒドロキシ−2−フェニル−2−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−6−メトキシカルボニル−2H−ベンゾ[b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0245】
(工程2)
3−フェニル−3−(4−(4−ヒドロキシピペラジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランの代わりに、工程1の生成物である、7−ヒドロキシ−2−フェニル−2−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−6−メトキシカルボニル−2H−ベンゾ[b]ピランを用い、4−ヘキシルベンゾイルクロライドの代わりにクロロ蟻酸コレステリルを用いたこと以外は、実施例3の工程4の手順を行った。NMRスペクトルによって、灰白色の固形物である最終生成物は7−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}−2−フェニル−2−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−6−メトキシカルボニル−2H−ベンゾ[b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0246】
(実施例12)
7,7−ジメチル−3−メトキシ−7H−ベンゾ[c]フルオレン−2,5−ジオールの代わりに3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルを用い、1−フェニル−1−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オールの代わりに1−フェニル−1−(4−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジノ)フェニル)−2−プロピン−1−オールを用いたこと以外は、実施例7の工程3の手順を使用した。NMRスペクトルによって、灰色の固形物である最終生成物は2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−メトキシカルボニル−2H−ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0247】
(実施例13)
4−n−ブチルアニリン(1.13g、7.6mmol)とTHF(20ml)との混合物に撹拌しながら、室温で、臭化マグネシウムイソプロピル(エチルエーテル中2M、3.8ml)を、シリンジを通して加えた。2分後、固形状2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−メトキシカルボニル−2H−ナフト[1,2−b]ピランを1回で加え、得られた混合物を室温でさらに4時間撹拌し続け、水に注ぎ入れた。沈殿物を集め、クロロホルムに溶解し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。NMRスペクトルによって、灰色の固形物である最終生成物(0.71g)は2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−(4−ブチル−フェニル)カルバモイル−2H−ナフト[1,2−b]ピランと一致する構造を有したことが示された。
【0248】
(実施例14)
1−ニトロソ−2−ナフトイル(12.32g、71mmol)、エチルイソニペコテート(11.2g、71mmol)およびメタノール(200ml)の混合物を2時間還流した。純粋な1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリンを1回で加えた。混合物をさらに10分還流し続け、次いで溶媒を減圧によって除去した。フラッシュクロマトグラフィーで生成物を分離した。NMRスペクトルによって、黄色の固形物である最終生成物(9g、収率25%)は1,3,3−トリメチル−6’−(4−エトキシカルボニル)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]と一致する構造を有したことが示された。
【0249】
(実施例15)
2−フェニル−2−4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−メトキシカルボニル−2H−ナフト[1,2−b]ピランの代わりに1,3,3−トリメチル−6’−(4−エトキシカルボニル)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]を用いたこと以外は、実施例13の手順を使用した。NMRスペクトルによって、灰白色結晶である最終生成物は1,3,3−トリメチル−6’−(4−[N−(4−ブチルフェニル)カルバモイル]−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]と一致する構造を有したことが示された。
【0250】
(実施例16)
エチルイソニペコテートの代わりにN−(4−メトキシフェニル)ピペラジンを用いたこと以外は、実施例14の手順を使用した。NMRスペクトルによって、最終生成物は1,3,3−トリメチル−6’−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]と一致する構造を有したことが示された。
【0251】
(実施例17)
エチルイソニペコテートの代わりにN−(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジンを用いたこと以外は、実施例14の手順を使用した。NMRスペクトルによって、最終生成物は1,3,3−トリメチル−6’−(4−(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]と一致する構造を有したことが示された。
【0252】
(実施例18)
(パートA)
実施例1〜17に記載したフォトクロミック化合物に関し、以下の方法で試験を行った。1.5×10
−3モル溶液を得るように計算した量のフォトクロミック化合物を、4部のエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート(BPA 2EO DMA)、1部のポリ(エチレングリコール)600ジメタクリレート、および0.033重量%の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)のモノマーブレンド50gを含むフラスコに加えた。各フォトクロミック化合物を、上記モノマーブレンド中に、必要に応じて撹拌、穏やかに加熱して、溶解した。透明の溶液が得られた後、それを内容積が2.2mm±0.3mm×6インチ(15.24cm)×6インチ(15.24cm)の平板型に流し込んだ。型を密閉し、水平空気流のプログラム可能なオーブンに置き、5時間かけて40℃から95℃に上げ、95℃で3時間保ち、2時間かけて60℃に下げ、次いで60℃で16時間保った。硬化した後、型を開け、ポリマーシートを、ダイヤモンド刃のこぎりを使用して2インチ(5.1cm)の正方形試験片に切断した。
【0253】
(パートB)
オプティカルベンチ上の反応試験の前に、フォトクロミック分子を予め活性化するために、パートAのフォトクロミックサンプルを、365nmの紫外線にその光源から約14cm離れた場所で10分間曝すことによって、条件付けした。サンプルへのUVA照射を、Licor Model Li−1800スペクトロラジオメータで測定すると22.2Watts/m
2であった。次いでサンプル中のフォトクロミック化合物を漂白あるいは不活性化するために、サンプルをハロゲンランプ(500W、120V)から約36cm離れた場所に約10分間置いた。サンプルへの照度をLicorスペクトロラジオメータで測定すると、21.9キロルクス(Klux)であった。次いでサンプルを冷やして基底状態に戻すために、試験前に少なくとも1時間、暗い環境に置いた。
【0254】
オプティカルベンチに、Oriel Model#66011 300ワットキセノンアークランプ、Oriel Model 71445コンピュータコントロールシャッター、Schott 3mmKG−2帯域通過フィルター(短波長放射線を取り除く)、キセノンランプからの光を弱めるNDフィルター、ビーム集束のための溶融シリカ集光レンズ、および試験すべき試験サンプルが挿入される、サンプル温度を保つための溶融シリカ水セル/サンプルホルダーを取り付けた。水セル内の温度を、ポンプによる水循環システムによって制御し、該システム内で水は冷却装置単位の貯留部内に置かれた銅コイルを通って通過した。試験サンプルを保持するために使用される水セルは、光ビームの活性化やモニタリングのスペクトル変化を取り除くために、正面と後面上に溶融シリカシートを含んでいた。水セルを通り抜けるろ過された水を、フォトクロミック反応試験のために、72°F±2°に維持した。サンプルの活性化の間中、Oriel Photofeedbackユニット、Model 68850を使用して、キセノンアークランプの輝度を調整した。
【0255】
Ocean Optics LS−1タングステンハロゲン光源を、フォトクロミック反応測定用のモニタリング光源として使用した。光ファイバーケーブルに集束する光をコリメート(collimate)し、水セル中のサンプルの中心を通して垂直に通過させた。サンプルを通り抜けた後、光を再び、2インチ積分球内に集束させ、光ファイバーケーブルによってOcean Optics S2000スペクトロフォトメーターに送り込んだ。Ocean Optics OOIBase32ソフトウェアとPPG独自のソフトウェアを使用し、反応を測定し、オプティカルベンチの操作を制御した。
【0256】
オプティカルベンチ上のフォトクロミックサンプルの反応試験のための照射量は、サンプルに関し、Model SED033検出器、B Filterおよびディフューザーを含む検出システムが付いた、International Light Research Radiometer、Model IL−1700を使用して設定した。W/m
2UVA値として表示するために、ラジオメーターの出力表示を、Licor 1800−02光学キャリブレーションキャリブレーター(Optical Calibration Calibrator)に対して補正した(係数値を設定)。初期反応試験のためのサンプルポイントでの照射量を3.0W/m
2UVA、照度を約8.6キロルクスと設定した。サンプル反応試験の間、サンプルが許容できる検出能力限界を超えて退色した場合、照射量を1.0W/m
2UVAまで低下させるか、サンプルをコポリマー中半分の濃度に造りなおすかした。ろ過されたキセノンアークランプの出力の制御を、コントローラーを経てランプへ流れる電流を増やすかあるいは減らすことによって、および/または光経路内のNDフィルターを加えるかあるいは減らすことによって行った。試験サンプルをモニタリング光に対して垂直にしつつ、その表面に対して30°〜35°法線での光刺激に曝した。
【0257】
サンプルを72°Fに制御した水セル中で30分活性化し、次いで、活性化サンプルの光学密度の変化が最も暗い(飽和)状態の1/4にフェードする(fade)まで、あるいは最高30分間フェードさせて、室内光の条件のもとでフェードさせた。
【0258】
漂白した状態から暗化した状態への光学密度における変化(ΔOD)を、初期透過率を設定し、キセノンランプからシャッターを開き、紫外線を当てて試験レンズを漂白した状態から活性化(すなわち暗化した)状態に変化させることによって、定量した。選択した時間間隔でデータを集め、活性化状態での透過率を測定し、光学密度における変化を、式:ΔOD=log(%Tb/%Ta)(式中、%Tbは漂白した状態での透過率(%)であり、%Taは活性化状態での透過率(%)であり、対数はベースが10である)によって計算した。
【0259】
可視光線範囲内でのλ
max−visは、可視スペクトル内でフォトクロミック化合物の活性化形態の最高吸収が起こる波長である。上記λ
max−visを、Varian Cary 3UV−可視分光光度計または比較機器でフォトクロミック正方形試験片を試験することによって定量した。
【0260】
実施例の化合物の中には、特異な色領域において可視スペクトルの二重の吸収ピークを示すものもあった。各λ
max−visに関し、これに対応する実施例化合物の感光度(ΔOD/Min)、飽和光学密度(飽和でのΔOD)およびフェード半減期(T1/2)を表IIに示す。表中、バンドAは主な(より高い)吸収ピークを示し、BおよびBは小さな吸収ピークを示す。
【0261】
ΔOD/Min(UV光に反応するフォトクロミック化合物の感光度をあらわす)を、UV曝露の最初の5秒間測定し、次いで、1分毎に表示した。飽和感光度(飽和でのΔOD)も、UV曝露を合計で30分間続けた以外は、同じ条件で測定した。フェード半減期は、15分後、またはたとえば、シャッターを閉めることによって、活性化光源を取り除いた後、室温で飽和あるいは飽和に近い状態に達した後に、正方形試験片中のフォトクロミック化合物の活性化形態のΔODが半分に達するまでの時間(秒)である。
【0262】
【化122】
(実施例19)
実施例1〜17の各フォトクロミック化合物の平均吸収率と、PPG Industries,Inc.から市販され、1,3,3,4,5(または1,3,3,5,6)−ペンタメチル−スピロ[インドリン−2,3−[3H]ナフト[2,1−b][1,4]オキサジンであると報告されている、Photosol
TM0265(「比較例」)の平均吸収率とを、セル法によって定量した。
【0263】
以下の構成を有するセル集合体をDesign Concepts,Inc.から入手した。直径20ミクロン±1ミクロンのガラスビーズスペーサーで間隔をあけられた2枚の向かい合うガラス基材で、各セル集合体を形成した。各ガラス基材の内側表面には配向ポリイミドコーティングがあり、以下で検討するように、液晶材料を整列させた。ガラス基材の2つの向かい合う端部をエポキシシーラントで密封し、残った2つの端部は、充填のために開放した。
【0264】
セル集合体の2つのガラス基材の間の隙間を、実施例1〜17のフォトクロミック化合物の一つまたは比較例の化合物(「試験材料」)を含む液晶溶液で充填した。液晶溶液を、以下の成分を表IIIに挙げられた重量%で、必要なら加熱しながら、混合して試験材料を溶解した。
【0265】
【化123】
試験材料のそれぞれについて、セルの光学特性を測定し、吸収率を導き出すため、オプティカルベンチを使用した。充填セル集合体を、セル集合体の入射角30°〜35°で配置された活性化光源(迷走光がデータ収集過程で邪魔をしないように、データ収集の間は瞬間的に閉じる、Melles Griot 04 IES 211高速コンピューター制御シャッターの付いた、Oriel Model 66011 300ワットキセノンアークランプ、短波長放射線を取り除くSchott 3mm KG−1帯域通過フィルター、輝度減衰用NDフィルターおよびビーム集束用集光レンズ)付きのオプティカルベンチ上に配置した。
【0266】
反応測定をモニタリングするための広帯域光源を、セル集合体の表面に対して垂直に配置した。スプリット端部が二股の光ファイバーケーブルで、100ワットタングステンハロゲンランプ(Lambda UP60−14定電圧電源によって制御される)から別々にフィルター処理された光を集め、合わせることによって、より短い可視波長が増強されたシグナルを得た。タングステンハロゲンランプの一面からの光を、Schott KG1フィルターでフィルター処理して熱を吸収し、Hoya B−440フィルターでフィルター処理し、より短い波長の通過を可能にした。他の面の光は、Schott KG1フィルターでフィルター処理するか、またはフィルター処理をしなかった。光を、ランプの各面からスプリット端部が二股の光ファイバーケーブルの分離端に集束させ、引き続いて該ケーブルの単一端から新たな一光源として合わせることによって、光を集めた。4’’光パイプは、ケーブルの単一端に取り付け、正しい混合を保障した。
【0267】
ケーブルの単一端からの光を、コンピュータで動き、モーターで回転するステージ(Polytech,PIのModel M−061−PD)中に置かれたMoxtek社のプロフラックス偏光子(Moxtek,Proflux Polarizer)を通すことによって、光源の偏光を行った。モニタリングビームは、一偏光面(0°)がオプティカルベンチテーブルの面に対し垂直に、および第二偏光面(90°)がオプティカルベンチテーブルの面に対して平行になるように設定した。研究室の空調設備または温調式空気清浄セルによって室温(73°F±5°Fまたはそれ以上)に保って、サンプルを測定した。
【0268】
測定を行うために、セル集合体を活性化光源からの6.7W/m
2のUVAに5〜15分間曝し、試験材料を活性化した。各試験の前に、検出システム(Model SED033検出器、B Filterおよびディフューザー)が付いたInternational Light Research Radiometer(Model IL−1700)を使用して、照射を確かめた。次いで、0°偏光面に対し偏光している、モニタリング光源からの光を、塗布サンプルに通し、単機能光ファイバーを使用したOcean Optics 2000分光光度計に連結される、2’’積分球上に集束した。サンプルを通した後で、Ocean Optics OOIBase32およびOOIColorソフトウエアおよびPPG独自のソフトウエアを使用してスペクトル情報を集めた。フォトクロミック二色性材料を活性化しながら、偏光シートの位置を前後に回転して、モニタリング光源からの光を90°偏光面および後ろに偏光した。活性の間、約10〜300秒間、3秒間隔でデータを集めた。各試験で、偏光の回転を調整し偏光面の次の順序:0°、90°、90°、0°その他でデータを集めた。
【0269】
吸収スペクトルが得られ、各セル集合体について、Igor Proソフトウエア(WaveMetricsから入手可能)を使用して分析した。セル集合体に関する各セル集合体の各偏光方向における吸光度変化を、試験した各波長での吸収から0回(すなわち、非活性化)吸収測定を差し引いて計算した。平均吸光度値は、各セル集合体に関し、試験材料のフォトクロミック反応が飽和か飽和に近い(すなわち、測定した吸光度が、時間経過とともに増加しないかあるいは大きく増加しない範囲)活性プロファイル範囲で、この範囲内での各時間での吸光度の平均を取って得た。λ
max−vis±5nmに対応する波長の所定範囲内の平均吸光度値を、0°偏光と90°偏光とで抽出し、この範囲における各波長の吸収率を、より大きな平均吸光度を小さな平均吸光度で割って計算した。抽出された各波長に関し、5〜100のデーターポイントの平均を取った。次いで、試験材料に関する平均吸収率を、これら個々の吸収率を平均化して計算した。
【0270】
各試験材料に関し、前記手順を少なくとも2回行った。表の平均吸収率に関する値は、実験から得られた結果の平均を表す。これらの試験の結果を下記表IVに示す。
【0271】
【化124】
(実施例20)
表Vに挙げた各化合物に関する平均吸収率を、前記実施例19に記載したように決定した。表Vに挙げた化合物は、本明細書で開示する技術および実施例、および当業者に容易に明らかとなる適切な修飾に従って調製できることが、当業者によって理解される。さらに、当業者は、開示された方法および他の方法への種々の改変を、下記表Vに挙げられた化合物の調製において使用することができることを理解する。
【0272】
【化125】
【0273】
【化126】
【0274】
【化127】
【0275】
【化128】
【0276】
【化129】