(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、住宅の内部の形状は、一般的に、他の建物に比べ複雑である。上記の気積の算定方法では、居室ごとに気積を計算し、それらを加算しなければならず、手間がかかるという問題があった。例えば、1つの居室において、凹凸部分等の非換気対象の部分がある場合には、複数の領域に分割して、各領域毎に気積を求め、それらを加算する必要があった。
【0005】
本発明の課題は、算定時間を短縮することができる、気積計算プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば、
図1、
図3、
図7に示すように、
所定の換気システムにより建物内を換気する換気計画に使用される気積を算出する気積計算プログラムにおいて、
コンピュータ100に、
建物の延べ床面積に含まれている
第一非換気対象の部分13の床面積を算出する第1手順、
前記建物の延べ床面積から前記
第一非換気対象の部分13の床面積を減算して基準床面積を算出する第2手順、
前記第2手順により算出された基準床面積に基準天井高さを乗じて基準容積を気積として算出する第3手順、
を実行させる
ための第1のステップ(ステップS1)に係るプログラムと、
前記コンピュータ100に、
前記第1のステップ以降に、前記建物内において換気の対象となる箇所(例えばロフト10)と換気の対象とならない箇所(例えば天袋11、地袋12)の容積を気積として算出し、その気積に基づいて前記基準容積である気積を補正する複数のステップ(ステップS2〜S4)に係るプログラムと、
があり、
前記換気の対象となる箇所と前記換気の対象とならない箇所には、複数種類の天井形状のうち一つまたは複数種類の組み合わせで形成された天井と、その天井形状に対応する一つまたは高低差のある複数の天井高さと、が設定され、
前記複数のステップに係るプログラムにおいて、前記換気の対象となる箇所と前記換気の対象とならない箇所ごとの気積を、前記天井の水平投影面積と、その天井形状に対応する前記天井高さと、に基づいて算出する、
ことを特徴とする。
【0007】
ここで、延べ床面積とは、外周壁で囲まれる室内側の床面積の合計をいう。外部収納等は除かれる。基準天井高さとは、建物の天井高さのうち、任意の代表的な設計寸法をいう。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、所定の換気システムにより建物内を換気する換気計画に使用される気積を算出する気積計算プログラムにおいて、コンピュータ100に、前記第2手順により算出された基準床面積に基準天井高さを乗じて基準容積を気積として算出する第3手順を実行させるため、居室ごとに気積を計算し、それらを加算する場合に比べて、算定工数が少なくなるため、算定時間を短縮することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば、
図1、
図4、
図7、
図8に示すように、
請求項1に記載の気積計算プログラムにおいて、
前記複数のステップに係るプログラムのうち、
更に、コンピュータ100に、
前記基準天井高さとこの基準天井高さと異なる天井高さの差分14a、25aと、前記異なる天井高さの天井と対向する床面の床面積14b、25bに基づいて差分容積14、25を算出する第4手順、
を実行させ
るプログラムであり、
前記第4手順において、前記基準天井高さと異なる天井高さ14a、25aが基準天井高さより高い場合、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記差分容積14、25を加算する
ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記差分容積14、25を加算するので、必ず必要となる気積の補正ができ、より適正な気積を求めることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば、
図1、
図5、
図7に示すように、
請求項1または2に記載の気積計算プログラムにおいて、
前記複数のステップに係るプログラムのうち、
更に、コンピュータ100に、
前記建物の延べ床面積に関する容積に含まれない換気対象10の容積を算出する第5手順、
を実行させ
るプログラムであり、
前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記換気対象の容積を加算する
ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記換気対象10の容積を加算することにより、前記建物の延べ床面積に関する容積に含まれない換気対象10の容積について、基準容積に対するそれぞれの補正部分のみ容積を算定して、気積の補正ができるため、より適正な気積を求めることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、例えば、
図1、
図5、
図7に示すように、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の気積計算プログラムにおいて、
前記複数のステップに係るプログラムのうち、
更に、コンピュータ100に、
前記建物の延べ床面積に関する容積に含まれる
第二非換気対象11、12の容積を算出する第6手順、
を実行させ
るプログラムであり、
前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積から前記
第二非換気対象11、12の容積を減算する
ことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積から前記
第二非換気対象11、12の容積を減算することにより、前記
第二非換気対象11、12の容積について、基準容積に対するそれぞれの補正部分のみ容積を算定して、気積の補正ができるため、より適正な気積を求めることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、例えば、
図1、
図6、
図9〜
図15に示すように、
請求項1から4のいずれか一項に記載の気積計算プログラムにおいて、
前記複数のステップに係るプログラムのうち、
更に、コンピュータ100に、
階段室30、40、50、60、70、80、81、90、91における上階の床高さから下階の基準天井高さまでの容積を算出する第7手順、
を実行させ
るプログラムであり、
前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記階段室30、40、50、60、70、80、81、90、91における上階の床高さから下階の基準天井高さまでの容積を加算する
ことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記階段室30、40、50、60、70、80、81、90、91の容積を加算することにより、階段室における上階の床高さから下階の基準天井高さまでの容積について、気積の補正ができるため、より適正な気積を求めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、算定時間を短縮することができる、気積計算プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
<実施の形態>
図1を参照して、コンピュータにより実行される、所定の換気システムにより建物内を換気する換気計画に使用される気積を算出する気積計算プログラムの動作について説明する。なお、本実施形態における気積を算定する建物においては、居室部分に給気して、換気のための有効開口を有する建具を経由して廊下等の非居室部分から排気する、第一種換気設備であるフロアセントラル換気システム(所定の換気システム)方式が採用され、全ての室内空間が居室等の扱いとなり得るとした住宅が想定されている。この住宅においては、基準天井高さと異なる部分を含み、基準天井高さが異なる部分の補正、部分的な気積の補正、階段部分の補正をコンピュータが行う。尚、小屋裏や天井裏は、居室等と気密層で分断されているものとし、また、天井が0.9m〜1.4m程度の低天井の収納室である蔵、小屋裏収納については、アンダーカット等のない建具で仕切り、個別に換気を確保することにより、気積算定の対象から除外する。
【0021】
以下の気積の算定においては、床面積は、壁の中心線で囲まれた部分の面積によるものとし、天井高さは、床仕上げ面から天井仕上げ面までの寸法とする。
【0022】
気積の算定手順としては、
図1に示すとおり、換気対象となる基準容積を気積として求め(ステップS1)、基準天井高さと異なる部分の差分容積で前記気積を補正し(ステップS2)、部分的な換気対象の容積で前記気積を補正し(ステップS3)、階段部分の換気対象の容積で前記気積を補正する(ステップS4)ことにより、住宅の居室等の気積をコンピュータが求める。このように、コンピュータが、表計算ソフトウェア等の演算処理手段により、気積の算定を行っている。
ここで、
図2に示す「換気対象となる気積(374.16m
3)」は、
図3に示す「I換気対象部分の気積の基準容積(335.0952m
3)」に、
図4の「II基準天井高さと異なる部分の気積の補正値(22.2656m
3)」と、
図5の「III部分的な気積の補正値(1.9875m
3)」と、
図6(a)の「IV階段部分の気積の補正値(14.8042m
3)」とを加算した後、小数点第3位を切り上げして、求められている。
【0023】
(I換気対象部分の気積の基準容積)
ステップS1において、換気対象となる気積の基準容積を気積として算出する。ここで、基準容積を求めるために、コンピュータ100に、建物の延べ床面積に含まれている
第一非換気対象の部分13の床面積を算出する第1手順、前記建物の延べ床面積から前記
第一非換気対象の部分13の床面積を減算して基準床面積を算出する第2手順、前記第2手順により算出された基準床面積に基準天井高さを乗じて基準容積を気積として算出する第3手順、を実行させる。
【0024】
ここで、
図2に示す延べ床面積については、通常のパネル(90mm)を使用した建物の場合、建築確認申請書類等を参照して、「延べ床面積」の欄に、ユーザが延べ床面積の値を入力する。これに対して、120mmパネルを使用した建物の場合、述べ床面積を求めるために、
図2の「外壁120mmパネル仕様時入力欄」に、ユーザが、図面を参照してモジュール
2単位で面積を算出し、この算出した面積を入力する。120mmパネルを使用した建物は、法上算出される延べ床面積が大きくなるが、気積対象は通常パネルと変わらないためである。なお、120mmパネル仕様時は、「外壁120mmパネル仕様時入力欄」に入力した数値に基づいて「外壁120mmパネル仕様時(m
2)」の欄に気積対象の延べ床面積がコンピュータ100による計算結果として表示される。その数値を「延べ床面積」にユーザが入力する。また、室名については、ユーザが任意の部屋名を入力する。
【0025】
ここで、建物の延べ床面積に含まれている
第一非換気対象の部分とは、例えば、居室に付属する物入れ13(
図7)、その他、押入、クローゼット、ウォークインクローゼット、納戸、玄関、風所室等、および、局所換気を行っている場合の浴室、便所等である。
【0026】
図3に示すように、これらの建物の延べ床面積に含まれている
第一非換気対象の部分について、(ii)の「除外する室等の床面積」の室名として、「押入(和室)」、「物入(洗濯)」、「便所1」、「浴室」、「便所2」の室名と、それぞれの室名に対応した「モジュール2」として、「3」、「1」、「1.75」、「2」、「1.75」をユーザが入力部102を用いて入力し、コンピュータ100が、「2.4843」、「0.8281」、「1.4492」、「1.6562」、「1.4492」、およびこれらの合計(7.867m2)を算出し(第1手順)、前記建物の延べ床面積(147.49m2)から前記
第一非換気対象の部分13の床面積(7.867m2)を減算して基準床面積(139.623m2)を算出し(第2手順)、前記第2手順により算出された基準床面積(139.623m2)に基準天井高さ(2.4m)を乗じて基準容積(335.0952m3)を気積として、算出する(第3手順)。ここで、前記建物の延べ床面積は、建築基準法施行令2条に準じて決定される。なお、1モジュールは0.91mであり、1モジュール2は0.8281m2である。除外する室等の床面積m2は、(モジュール2)に値Aが入力されると、以下の式で求められる。
(1)除外する室等の床面積(m2)=A×0.8281
【0027】
建物全体の気積を求める前に、前記
第一非換気対象の部分の床面積として、これらの建物の延べ床面積に含まれている
第一非換気対象の部分を、前記建物の延べ床面積から除外することにより、建物全体の気積を求めてから、
第一非換気対象の容積を除算する場合に比べて、算定工数が少なくなるため、算定時間を短縮することができる。
【0028】
(II基準天井高さと異なる部分の気積の補正)
ステップS2において、基準天井高さと異なる部分の差分容積を求め、ステップS1で求めた気積を補正する。ここで、
図7に示す吹き抜け14を例に挙げると、ステップS1で求めた気積を補正するために、コンピュータ100に、前記基準天井高さとこの基準天井高さと異なる天井高さの差分14aと、前記異なる天井高さの天井と対向する床面の床面積に基づいて差分容積14を算出する第4手順、を実行させ、前記第4手順において、前記基準天井高さと異なる天井高さが基準天井高さより高い場合、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記差分容積14を必ず加算する。
【0029】
ここで、前記基準天井高さとこの基準天井高さと異なる天井高さとは、
図7に示す吹き抜け14のように天井高さが前記基準天井高さより高い部分の天井高さの他に、
図8(b)に示す前記基準天井高さより高い部分25aの天井高さ(左側)と前記基準天井高さより低い部分26aの天井高さ(右側)等がある。
【0030】
また、
図4に示すように、室名として、「玄関」、「ホール1・高いところ」、「ホール1・低いところ」、「洗面所」、「台所」、「居間・食堂」、「洋間1・低いところ」、「ホール2」の室名をユーザが入力部102を用いて入力する。「玄関」、「ホール1・高いところ」、「居間・食堂」のそれぞれに対応した「モジュール
2」として、フラット(高)の欄に「5」、「2.5」、「28」と、それぞれの室名に対応した「天井高さ」として、高い側の欄に「3.458」、「3.278」、「3.278」をユーザが入力部102を用いて入力する。また、「ホール1・低いところ」、「洗面所」、「台所」、「洋間1・低いところ」、「ホール2」のそれぞれに対応した「モジュール
2」として、フラット(低)の欄に「9.5」、「4」、「10」、「9.375」、「5」と、それぞれの室名に対応した「天井高さ」として、低い側の欄に「2.25」、「2.25」、「2.3」、「2.25」、「2.25」をユーザが入力部102を用いて入力する。コンピュータ100は、これらの入力値に基づいて、「玄関」、「ホール1・高いところ」、「ホール1・低いところ」、「洗面所」、「台所」、「居間・食堂」、「洋間1・低いところ」、「ホール2」の気積として、「4.3807」、「1.8177」、「−1.1801」、「−0.4969」、「−0.8282」、「20.3581」、「−1.1646」、「−0.6211」を算出し、これらの合計(22.2656m
3)を差分容積として、算出する。
【0031】
また、各天井形状の床面積については水平投影面積をモジュール
2単位でユーザが入力する。天井高さの高い側、低い側については、基準天井高さに関係なく、勾配天井等の高い側、低い側の設計寸法をユーザが入力する。
なお、天井形状がフラットのみの場合は、設計寸法と関係なく、床面積を「フラット(高)」に、天井高さについては「高い側」にユーザがその値を入力する。なお、床面積について「フラット(高)」の場合は、「低い側」に入力しても計算結果は変わらない。ここで、基準高さより低い部分26aの天井高さの場合は、「低い側」に値をユーザが入力する。この基準高さより低い部分26aの天井高さについては、安全値として補正を省略することができる。
【0032】
なお、各天井形状の床面積に対する天井高さの気積Vの計算は、以下の通りである。(1)フラット(高)をA(モジュール
2)、(2)フラット(低)をB(モジュール
2)、(3)片流をC(モジュール
2)、(4)寄棟をD(モジュール
2)、(5)逆寄をE(モジュール
2)とし、天井高さは、「高い側」をF(m)、「低い側」をG(m)とし、全体の気積をV(m
3)とする。なお、フラット部分については、フラット(高)およびフラット(低)の気積が下記に示す式V1で求められる。
【0033】
(1)フラット部分(高):V1=A×0.8281×(F−基準天井高さ)+B×0.8281×(G−基準天井高さ)
(2)片流部分:V2=C×0.8281×{(F−G)×1/2+G−基準天井高さ}
(3)寄棟部分:V3=D×0.8281×{(F+G)×1/3+G−基準天井高さ}
(4)逆寄部分:V4=E×0.8281×{(F+G)×2/3+G−基準天井高さ}
V=V1+V2+V3+V4
【0034】
(III部分的な気積の補正)
ステップS3において、部分的な気積を求め、ステップS2で求めた気積を補正する。ここで、ステップS2で求めた気積を補正するために、コンピュータ100に、前記建物の延べ床面積に関する容積に含まれない換気対象10の容積(2.8156m3)を算出する第5手順、および、前記建物の延べ床面積に関する容積に含まれる
第二非換気対象11の容積(−0.8281m3)を算出する第6手順、を実行させ、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記換気対象の容積を加算し、前記基準容積から前記
第二非換気対象11の容積を減算する。
【0035】
ここで、前記建物の延べ床面積に関する容積に含まれない換気対象とは、例えば、ロフト10(
図7)、その他、出窓部分等である。前記建物の延べ床面積に関する容積に含まれる
第二非換気対象とは、例えば、天袋11(
図7)、地袋12(
図7)、その他、吊押入れ、キャビネット、吊戸棚、間仕切収納家具の上部(上部がオープンの場合に限る)等がある。
【0036】
また、
図5に示すように、部分的な気積の補正について、(i)形状が複雑でない場合、片流れの「ロフト」では、「床面積」に「2」、「加減」に「加算」、「高さ」の「高い側」に2m、「低い側」に1.4(m)をユーザが入力し、補正対象の気積(2.8156m
3)をコンピュータ100が算出する。ここで、片流れの天井形状の例に挙げると、
図8(a)に示す符号20が片流れの天井形状である。また、「吊戸棚」では、「床面積」にフラット高「2」、「加減」に「減算」、「高さ」の「高い側」に0.5(m)をユーザが入力し、補正対象の気積(−0.8281m
3)をコンピュータ100が算出する。(ii)形状が複雑な場合、例えば、トップライト等の天井に設ける筒状の部分等、形状が複雑な部分の補正については、計算式を「計算式」の欄にユーザが直接入力して、補正対象の気積をコンピュータ100が算出する。なお、「加減」の欄において「加算」と「減算」は選択可能に表示されている。
【0037】
なお、各床面積に対する天井高さの気積Vの計算は、以下の通りである。(1)フラット(高)をA(モジュール
2)、(2)フラット(低)をB(モジュール
2)、(3)片流をC(モジュール
2)、(4)寄棟をD(モジュール
2)、(5)逆寄をE(モジュール
2)とし、天井高さは、「高い側」をF(m)、「低い側」をG(m)、とし、全体の気積をV(m
3)とする。なお、フラット部分については、フラット(高)およびフラット(低)の気積が下記に示す式V1で求められる。
【0038】
(1)フラット部分:V1=A×0.8281×F+B×0.8281×G
(2)片流部分:V2=C×0.8281×{(F+G)×1/2}
(3)寄棟部分:V3=D×0.8281×{(F−G)×1/3}
(4)逆寄部分:V4=E×0.8281×{(F−G)×2/3}
V=V1+V2+V3+V4
【0039】
(IV階段部分の気積の補正)
ステップS4において、階段部分の気積を求め、ステップS3で求めた気積を補正する。ここで、ステップS3で求めた気積を補正するために、コンピュータ100に、階段室30における上階の床高さから下階の基準天井高さまでの容積を算出する第7手順、を実行させ、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記階段室30等の容積(14.8042m
3)を加算する。
【0040】
ここで、階段室における上階の床高さから下階の基準天井高さまでの容積とは、例えば、
図9(b)の階段室30の容積、
図10(b)の階段室40の容積、
図11(b)の階段室50の容積の他に、
図12(b)の階段室60の容積、
図13(b)の階段室70の容積、
図14(b)の階段室80、81の容積、
図15(b)の階段室90、91の容積等がある。
図9(b)において、基準点天井高さと異なる部分31と階段室30の重なる部分32は、階段室30の容積と重複する容積となるため、この重なる部分32の容積分を階段室30の容積または基準点天井高さと異なる部分31の容積から減算する。また、
図11(b)において、1階と2階の間に蔵が設けられているため、階段室50の容積が大きくなっている。また、
図13において、吹き抜け部分71と階段室70の重なる部分72は、階段室70の容積と重複する容積となるため、この重なる部分72の容積分を階段室70の容積または基準点天井高さと異なる部分71の容積から減算する。
【0041】
(2階建て)
また、
図6(a)に示すように、2階建ての階段部分の気積の補正値(14.8042m
3)は、(i)階間・吹抜けの場合、「階段室1」、「ホール2」、「階段室2」、「階段室1、2ホール」の気積の合計値で求まる。「階段室1」では、「階高」に4.123(m)、「階段室の面積」の「1F〜S2又は2F」に2.25(モジュール
2)、「上階床と重なる部分の面積」に1.25(モジュール
2)をユーザが入力し、補正対象の気積(8.2218m
3)をコンピュータ100が算出する。また、「ホール2」では、「階高」に4.123(m)、「階段室の面積」の「1F〜S2又は2F」に3.125(モジュール
2)をユーザが入力し、補正対象の気積(4.4589m
3)をコンピュータ100が算出する。また、「階段室2」では、「階高」に4.123(m)、「階段室の面積」の「S2〜2F」に2.25(モジュール
2)をユーザが入力し、補正対象の気積(3.2104m
3)をコンピュータ100が算出する。(ii)最上階の階段の天井高さの補正についても、「各天井形状の床面積」の「フラット(低)」に8.75(モジュール
2)、「高さ」の「低い側」に2.25(m)をユーザが入力し、補正対象の気積−1.0869(m
3)をコンピュータ100が算出する。なお、天井高さHは、床面積の合計値にモジュール値(0.8281)を乗算した値で気積を除算して求める。
【0042】
H=気積÷(床面積の合計値×0.8281)
【0043】
なお、階段部分の気積Vの計算は、以下の通りである。階高をH(m)とし、階段室の面積において、(1)1F〜1F蔵上をA(モジュール
2)、(2)1F蔵上〜S2FをB(モジュール
2)、(3)1F〜S2Fまたは2FをC(モジュール
2)、(4)S2F〜2FをD(モジュール
2)とし、上階床と重なる部分の面積において、(5)1F〜1F蔵上をE(モジュール
2)、(6)1F蔵上〜S2FをF(モジュール
2)、(3)1F〜S2Fまたは2FをG(モジュール
2)とし、階段吹抜面積をI(モジュール
2)とする。
【0044】
V=(A+B+C+D)×0.8281×(H−基準天井高さ)+(E+G+F)×0.8281×(H−基準天井高さ−0.18)+I×0.8281×H
【0045】
(3階建て)
また、
図6(b)に示すように、3階建ての階段部分の気積の補正について、(i)「階段室」、「階高」に2.758(m)、「階段室の面積」の「2F〜3F」に5(モジュール
2)、「階段吹抜面積」に1(モジュール
2)をユーザが入力し、補正する気積3.7662(m
3)をコンピュータ100が算出する。(ii)最上階の階段の天井高さの補正についても、「各天井形状の床面積」の「フラット(高)」に2(モジュール
2)、「片流れ」に4(モジュール
2)、「高さ」の「高い側」に3.365(m)、「高さ」の「低い側」に2.4(m)をユーザが入力し、補正対象の気積3.1965(m
3)をコンピュータ100が算出する。ここで、「フラット(高)」については、2(モジュール
2)、「高さ」の「高い側」3.365(m)に基づいて、補正対象の気積(m
3)をコンピュータ100が算出し、「片流れ」については、4(モジュール
2)、「高さ」の「高い側」3.365(m)、「高さ」の「低い側」2.4(m)に基づいて補正対象の気積(m
3)をコンピュータ100が算出し、これらの算出結果を合計して、気積3.1965(m
3)を算出する。なお、天井高さHは、床面積の合計値にモジュール値(0.8281)を乗算した値で気積を除算して求める。
【0046】
H=気積÷(床面積の合計値×0.8281)
【0047】
なお、階段部分の補正する気積Vの計算は、以下の通りである。階高をH(m)とし、階段室の面積において、(1)1F〜2をA(モジュール
2)、(2)2F〜3FをB(モジュール
2)とし、上階床と重なる部分の面積において、(3)1F〜2FをC(モジュール
2)、(6)2F〜3FをD(モジュール
2)とする。
【0048】
V=(A+B)×0.8281×(H−基準天井高さ)+(C+D)×0.8281×(H−基準天井高さ−0.18)+I×0.8281×H
【0049】
(コンピュータ)
図16は、コンピュータ100の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、コンピュータ100はCPU(Central Processing Unit)101、入力部102、表示部103、HD(Hard Disk)104、RAM(Random Access Memory)105を備えており、各部はバス106で相互にデータ通信可能に接続されている。
【0050】
入力部102は、キー群を備えており、押下されたキーの信号をCPU101に出力するようになっている。なお、この入力部102は、必ずしもキー群を備える必要はなく、例えばタッチパネルを備えることとしてもよい。
【0051】
表示部103は、ディスプレイを備えており、CPU101から入力される各種信号に基づいて各種画面を表示するものである。この表示部103は、入力部102による入力値および気積計算プログラムの計算結果を表示する。
【0052】
CPU101は、コンピュータ100の各部を統括的に制御するものであり、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示やデータの転送を行うようになっている。具体的には、CPU101は、入力部102から入力される操作信号に応じてHD104に格納された気積計算プログラムを読み出し、当該気積計算プログラムに従って処理を実行する。そして、CPU101は、処理結果を表示するための表示制御信号を適宜表示部103に出力して、対応した表示情報を表示させる。
【0053】
HD104は、電源がON状態にされた際にコンピュータ100を初期状態に設定するためのプログラムやデータの他、上記実施の形態において説明した計算処理を実現するためのプログラム等を格納している。
【0054】
RAM105は、CPU101の作業領域として各種データを一時的に記憶するための記憶領域である。なお、本実施の形態において説明した気積計算プログラムは、電気通信回線を通じてHD104に格納され、または、USBメモリ、フラッシュメモリ等の可搬可能な記録媒体に記録されていてもよい。
【0055】
本実施の形態では、所定の換気システムにより建物内を換気する換気計画に使用される気積を算出する気積計算プログラムを前記コンピュータ100のHD104にインストールし、当該コンピュータ100に、前記第2手順により算出された基準床面積に基準天井高さを乗じて基準容積を気積として算出する第3手順を実行させるため、居室ごとに気積を計算し、それらを加算する場合に比べて、算定工数が少なくなるため、算定時間を短縮することができる。
なお、コンピュータ100は、延べ床面積、除外する室等の床面積、天井高さ等のデータが入力部102によって入力されると、入力されたデータに基づいて、CPU101で演算処理を実行し、表示部103に演算結果を表示する。
【0056】
また、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記差分容積14、25を加算するので、必ず必要となる気積の補正ができ、より適正な気積を求めることができる。
【0057】
また、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記換気対象10の容積を加算することにより、前記建物の延べ床面積に関する容積に含まれない換気対象10の容積について、基準容積に対するそれぞれの補正部分のみ容積を算定して、気積の補正ができるため、より適正な気積を求めることができる。
【0058】
前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積から前記
第二非換気対象11、12の容積を減算することにより、前記
第二非換気対象11、12の容積について、基準容積に対するそれぞれの補正部分のみ容積を算定して、気積の補正ができるため、より適正な気積を求めることができる。
【0059】
また、前記第3手順において、前記気積を算出する際に、前記基準容積に前記階段室30の容積を加算することにより、階段室における上階の床高さから下階の基準天井高さまでの容積について、気積の補正ができるため、より適正な気積を求めることができる。