(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778526
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20150827BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20150827BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20150827BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20150827BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
H02J7/04 C
H02J7/00 P
H01M10/44 Q
H01M10/46
B60L11/18 A
H02J7/04 F
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-193765(P2011-193765)
(22)【出願日】2011年9月6日
(65)【公開番号】特開2013-55845(P2013-55845A)
(43)【公開日】2013年3月21日
【審査請求日】2014年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】金森 崇
【審査官】
田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−078205(JP,A)
【文献】
特開2011−050143(JP,A)
【文献】
特開2005−253210(JP,A)
【文献】
特開2004−282929(JP,A)
【文献】
特開2002−191136(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0113591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両を駐車可能とした駐車場に設置される車室と、
前記電気車両に充電される電流値を検出する電流検出器と、
少なくとも1以上設置され、前記車室に駐車した車両に対する充電制御を行う充電制御装置と、を備え、
前記充電制御装置は、充電終了タイミングに応じて監視期間を設定し、前記監視期間内に前記電流検出器により充電電流の休止期間が生じたことを検出したときに充電をOFFに制御することを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記充電制御装置による監視期間は、充電終了タイミングの前後にわたって設定されることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電制御装置は、利用者が設定する充電時間に基づいて充電制御を行うものであり、前記充電終了タイミングは、前記充電時間の終了時に設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記車両への通電のON、OFFを行う電力開閉器をさらに備え、
前記充電制御装置は、前記監視期間内に前記電流検出器により充電電流の休止期間が生じたことを検出したときに前記電力開閉器をOFFに制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充電システムに係り、特に、充電電圧が異なる車両に対して、適正に対応することができ、それぞれの電圧により車両に対する充電を行うことを可能とした充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車が普及しつつあり、電気自動車に対する充電システムが開発されてきている。このような充電システムにおいては、電気自動車を駐車場に駐車させた際に、車両に対して充電することが行われている。
【0003】
そして、車両のバッテリに対して充電を行うシステムとしては、従来、例えば、充電が完了した後、タイマ起動信号が入力された場合に、バッテリの温度と電圧を測定し、その測定結果に応じて補充電を開始する時刻を設定し、その時刻になると補充電を開始する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このように、車両走行開始直前に再度充電を行うことにより、バッテリの温度を上げることができ、バッテリから取り出せる電力量を増やすことができるものである。
【0004】
また、その他の充電システムとしては、例えば、複数台の車両にそれぞれ搭載された駆動用バッテリを充電する充電手段と、各バッテリのバッテリ状態に応じて充電手段を制御する制御手段とを備え、この制御手段は、各バッテリ状態に応じてそれぞれの充電時間を算出する第1の演算手段と、各バッテリの所定充電完了時刻および第1の演算手段により算出されたそれぞれの充電時間とに基づいて各バッテリの充電開始時刻を算出する第2の演算手段と、第2の演算手段により算出された充電開始時刻に充電手段による充電をそれぞれ開始する開始手段とを備えるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−098304号公報
【特許文献2】特開平8−116626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1および特許文献2に記載の技術においては、所定の充電完了時間や補充電時間を設定し、これら設定した時間に応じて充電を行い、充電時間が完了したら、充電を終了するものである。そのため、充電の電流値が高い状態で、充電を終了すると、充電のON、OFFを行う開閉器に損傷を与えてしまうという問題を有している。
【0007】
ここで、充電する車両によっては、所定の電流値で充電する際に、電流値を低い値に保持する充電休止期間を設定するものがある。そのため、この充電休止時間に充電を終了するようにすれば、開閉器の損傷を防止することができるが、この充電休止時間は、充電する車両によって異なるものであり、充電休止時間の周期も必ずしも一定ではない。
【0008】
また、車両に対する充電には、三相200Vによる急速充電と、AC100Vによる普通充電またはAC200Vによる倍速充電とがあるが、三相200Vによる急速充電を行う場合には、車両側との制御信号線が存在するため、充電制御装置側で充電終了の指示が可能であり、充電の終了制御が可能となる。しかしながら、AC100Vによる普通充電またはAC200Vによる倍速充電の場合は、制御信号線を確保することができないので、充電制御装置側では、充電休止時間を検出することができず、充電休止時間における充電の終了制御を行うことができないという問題を有している。
【0009】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、AC100Vの普通充電を行う場合であっても、充電休止時間に応じて充電の終了制御を行うことができ、充電の開閉器の損傷を確実に防止することのできる充電システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る充電システムは、電気車両を駐車可能とした駐車場に設置される車室と、
前記電気車両に充電される電流値を検出する電流検出器と、
少なくとも1以上設置され、前記車室に駐車した車両に対する充電制御を行う充電制御装置と、を備え、
前記充電制御装置は、充電終了タイミングに応じて監視期間を設定し、前記監視期間内に前記電流検出器によ
り充電電流
の休止期間が生じた
ことを検出したときに充電をOFFに制御することを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記充電制御装置による監視期間は、充電終了タイミングの前後にわたって設定されることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記充電制御装置は、利用者が設定する充電時間に基づいて充電制御を行うものであり、前記充電終了タイミングは、前記充電時間の終了時に設定されることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記車両への通電のON、OFFを行う電力開閉器をさらに備え、
前記充電制御装置は、前記監視期間内に前記電流検出器によ
り充電電流
の休止期間が生じた
ことを検出したときに前記電力開閉器をOFFに制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、充電制御装置により、充電終了タイミングに応じて監視期間を設定し、前記監視期間内に前記電流検出器によ
り充電電流
の休止期間が生じた
ことを検出したときに充電をOFFに制御するようにしているので、休止時間に充電の終了制御を行うことができ、大きな充電電流が流れている状態で充電をOFFにした場合に生じる電力開閉器の損傷を確実に防止することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、充電制御装置による監視期間を充電終了タイミングの前後にわたって設定するようにしているので、充電終了タイミングの前後の監視期間において、充電電流
の休止期間が生じた場合に、適切に充電をOFFに制御することができ、電力開閉器の損傷を確実に防止することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、充電制御装置により利用者が設定する充電時間に基づいて充電制御を行い、充電終了タイミングを充電時間の終了時に設定するようにしているので、利用者が設定した充電時間に基づいて充電終了タイミングを設定することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、充電制御装置により、監視期間内に電流検出器によ
り充電電流
の休止期間が生じた
ことを検出したときに電力開閉器をOFFに制御するようにしているので、電力開閉器のOFF制御により、充電の終了制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る充電システムの実施形態を示す概略構成図である。
【
図2】本発明に係る充電システムの実施形態における充電電流の変化を示す説明図である。
【
図3】本発明に係る充電システムの実施形態における充電動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明に係る充電システムの実施形態における給電動作を示すフローチャートである。
【
図5】従来の充電システムの実施形態における充電電流の変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は本発明に係る充電システムの実施形態を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の充電システムは、例えば、電気自動車などのバッテリの電力で走行する車両1を駐車させるため、駐車場2に設置されるものであり、この駐車場2は、複数の車室3を備えている。
【0021】
また、充電システムは、図示しない外部電源からの普通充電用のAC100Vまたは倍速充電用のAC200Vの電力が供給される分電盤4を備えており、分電盤4には、漏電遮断器5が設置されている。また、充電システムは、駐車場2の各車室3に設置された充電制御装置6を備えており、充電制御装置6には、各種制御を行う充電制御部7が設けられている。各充電制御装置6には、車室に駐車した車両1の電源プラグ8が差し込まれるコンセント9が設けられている。本実施形態においては、コンセント9部分には、コンセント9部分を被覆するカバー部材10が設けられており、さらに、コンセント9部分には、充電制御部7の制御信号により、カバー部材10を閉状態に保持するロック機構11が設けられている。このロック機構11は、コンセント9に電源プラグ8が差し込まれた状態で、カバー部材10を閉状態に保持するものである。なお、カバー部材10を設けない場合には、ロック機構11として、コンセント9に差し込まれた電源プラグ8が抜けないように保持する機構で構成するようにしてもよい。
【0022】
また、充電制御装置6には、コンセント9に電気的に接続された電力開閉器12が設けられており、電力開閉器12は、電源幹線13との接続を開閉するスイッチであり、分電盤4からの電源幹線13が漏電遮断器14を介して接続されている。また、充電制御装置6には、コンセント9に送られる電流値を検出して充電制御部7に送る電流検出器としての電流センサ15が設けられており、充電制御装置6には、コンセント9に供給される電圧値を検出する電圧検知部16が設けられている。
【0023】
さらに、充電制御装置6には、例えば、充電時間の設定などの充電予約を行うためのキー入力部17が設けられており、充電制御部7は、キー入力部17により入力された充電時間に基づいて、電力開閉器12をON、OFF動作させるように構成されている。そして、電力開閉器12がON動作されると、電源幹線13とコンセント9とを接続してコンセント9に電源が供給されるように構成されている。さらに、充電制御装置6には、例えば、充電受付などの所定の案内表示を行う表示部18が設けられており、この表示部18は、例えば、案内表示の確認操作やキャンセル操作などの案内にしたがった操作を行うことができるように構成されている。さらに、充電制御装置6には、メモリ19およびタイマ20が配設されている。
【0024】
また、本実施形態においては、車両1は、車両1に搭載されたバッテリ21の充電制御を行うための車両制御部22を備えており、この車両制御部22は、
図2に示すように、バッテリ21に対して電源が供給された際に、電源の供給直後の一定時間は、充電中に対して比較的少ない待機電流を流し、その後、比較的多い充電電流を流すとともに、途中で、比較的少ない充電電流とする充電休止期間を設けるように制御して充電を行うように構成されている。
【0025】
本実施形態においては、
図2に示すように、充電制御部7は、キー入力部17により設定された充電時間に基づく充電終了タイミングに応じて充電休止期間を監視するための監視期間を設定するように構成されている。この監視期間は、例えば、充電終了タイミングの前後に設定するものであり、この監視期間の設定情報は、メモリ19に記憶されている。監視期間は、具体的には、充電終了タイミングに対して±10分の監視期間を設定するようになっている。なお、この監視期間は、任意に設定することができるものであり、また、充電終了タイミングに対して充電終了前にのみ監視期間を設定するようにしてもよいし、充電終了後にのみ監視期間を設定するようにしてもよい。そして、充電制御部7は、充電する際に、コンセント9に流れる電流値を電流センサにより検出し、充電監視期間の間に充電休止期間を検出した場合に、電力開閉器12をOFFに制御するように構成されている。
【0026】
次に、本実施形態の充電動作について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0027】
本実施形態においては、まず、電圧検知部16により、給電電圧を検知し(ST1)、電圧を検知しない場合は、充電が不可である旨を表示部18に表示させる(ST2)。電圧を検知している状態で、キー入力部17により充電予約が行われた場合には(ST3)、充電制御装置6のカバー部材10を開いて、コンセント9に、車両1の充電プラグを差し込んだ後(ST4)、表示部18の案内表示にしたがって充電の確認を選択する(ST5)。その後、充電制御部7によりロック機構11を動作させてカバー部材10をロックさせ(ST6)、ロックが完了したら(ST7:YES)、電力開閉器12をONにして給電が開始される(ST8)。一方、ロックが完了しない場合は(ST7:NO)、ロックできない旨の異常を報知する(ST9)。
【0028】
次に、本実施形態の給電動作について、
図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0029】
まず、電力開閉器12をONにして充電を行い(ST20)、充電中は、電流センサ15により給電電流値を測定する(ST21)。そして、タイマ20により充電終了タイミング終了前の監視期間になった場合に(ST22:YES)、充電の休止期間を検出した場合には(ST23:YES)、電力開閉器12をOFFに制御する(ST24)。
【0030】
そして、
図3に示すように、充電が終了したら(ST10)、給電電流値を測定し(ST11)、電流値が0となったら、その後、カバー部材10のロック機構11を解除し(ST12)、利用者が電源プラグ8を外すことにより(ST13)、全ての充電動作が完了する。また、給電電流が0以上の場合は、OFFすることができない旨の異常を報知する(ST14)。なお、コンセント9を接続した後、キャンセルを選択した場合は(ST15)、電源プラグ8をコンセント9から外して充電を終了する(ST13)。
【0031】
以上述べたように、本実施形態においては、充電中の監視期間に、休止期間を検出した場合に、電力開閉器12をOFFに制御するようにしているので、普通充電用のAC100Vによる普通充電またはAC200Vによる倍速充電を行う場合であっても、充電休止時間に充電の終了制御を行うことができ、
図5に示す従来のように、大きな充電電流が流れている状態で電力開閉器12をOFFにした場合のように、電力開閉器12の損傷を確実に防止することができる。
【0032】
なお、前記実施形態においては、充電制御装置6を駐車場2の各車室3に設置するようにしたが、各車室3に設置される車室用の充電制御装置を統括して制御する統括充電制御装置を設置し、この統括充電制御装置により各電力開閉器12のON、OFF制御を行うようにしてもよい。
【0033】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 車両
2 駐車場
3 車室
4 分電盤
6 充電制御装置
7 充電制御部
8 電源プラグ
9 コンセント
10 カバー部材
11 ロック機構
12 電力開閉器
13 電源幹線
14 漏電遮断機
15 電流センサ
16 電圧検知部
17 キー入力部
18 表示部
19 メモリ
20 タイマ
21 バッテリ
22 車両制御部