特許第5778574号(P5778574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778574
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】電線カバー付きコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/58 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   H01R13/58
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-286393(P2011-286393)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-134961(P2013-134961A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 謙志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 基義
(72)【発明者】
【氏名】畠山 知樹
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−293810(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/023117(US,A1)
【文献】 米国特許第7494376(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56−13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングの後部に、前記コネクタハウジングの端子収容室に挿入された端子に接続されて前記コネクタハウジングの後部から引き出された電線を保護しつつ所定の方向へ案内して導き出す電線カバーが装着された電線カバー付きコネクタにおいて、
前記コネクタハウジングの後部に、前記電線の引出部を包囲するように断面円形又は楕円形のカバー装着部が設けられ、
前記電線カバーは、先に前記コネクタハウジングに仮装着される本体カバーと、後から前記本体カバーと合体されることで前記電線カバーを前記コネクタハウジングに本装着する蓋体カバーと、に二分割され、
前記本体カバーと前記蓋体カバーには、前記本体カバーと前記蓋体カバーを合体した時に筒状をなして前記コネクタハウジングのカバー装着部を挟み込み、それにより前記電線カバーを前記コネクタハウジングに装着する取付部がそれぞれ設けられ、
前記本体カバー側の取付部は、前記取付部の前記カバー装着部に対する装着方向に直交する方向における前記カバー装着部の最大径部を越える位置まで延長され、その延長端に、前記カバー装着部に仮係止することで前記カバー装着部からの前記取付部の脱落を阻止する仮係止部が設けられ、
更に前記本体カバーには、前記カバー装着部に前記仮係止部が仮係止している状態で前記本体カバーに前記カバー装着部の周方向に沿った回転力が作用した際に、前記コネクタハウジングに衝突することで前記本体カバーの回転を阻止する回転規制部が設けられていることを特徴とする電線カバー付きコネクタ。
【請求項2】
前記本体カバーの一端と前記蓋体カバーの一端とがヒンジを介して回動自在に連結され、前記本体カバーの他端と前記蓋体カバーの他端とに、前記本体カバーと前記蓋体カバーの合体時に互いにロックするロック部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電線カバー付きコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線カバー付きコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電線カバー付きコネクタは、例えば、コネクタの取付位置によりその後面側に十分な配線スペースが確保できず、そのためにコネクタハウジングの後面の直後で電線を屈曲配線する必要がある場合や、コネクタハウジングの後面側を電線カバーで簡易防水する場合等に利用されており、従来その例として、特許文献1や特許文献2に記載されたものが知られている。
【0003】
この電線カバー付きコネクタは、電線の端末に固着された端子金具が後面側から挿入されるコネクタハウジングと、このコネクタハウジングの後端部に装着される二つ割りの電線カバーとから構成されており、コネクタハウジングの後部から引き出された電線を、電線カバー内を通して直角に屈曲した方向に導出するようになっている。
【0004】
ここで、上記従来例における電線カバー付きコネクタでは、各分割カバーにおけるコネクタハウジングへの取付側の端部に、コネクタハウジングの後端部の外周に位置決めされて嵌まる半割りの嵌合筒が設けられる一方、各分割カバーの突き合わせ端縁に互いにロックするロック部が設けられた構成となっている。そして、両分割カバーを合わせてロックして初めて、電線カバー自体がコネクタハウジングの後端部に取り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−127813号公報
【特許文献2】特開2001−143812号公報
【0006】
ところで、本出願人は、上記従来の電線カバー付きコネクタと類似のものとして、図13図19に示すような電線カバー付きコネクタを考えた。
【0007】
図13はこの先行発明の電線カバー付きコネクタの分解斜視図、図14は同電線カバー付きコネクタの組み立て途中の状態を示す図で、コネクタハウジングの後部に電線カバーを装着しようとしている状態を示す平面図、図15は同コネクタハウジングのカバー装着部に電線カバーの一方の分割体である本体カバーを仮装着した状態を示す平面図、図16図15のXVI−XVI矢視断面図、図17図15および図16に状態から蓋体カバーを回動させた際に、本体カバーが正規位置から回転してしまう不具合を説明するための図16と同様の断面図、図18は前記本体カバーに蓋体カバーを合体させてロックすることにより、電線カバーがコネクタハウジングに本装着された状態を示す図16と同様の断面図、図19は電線カバーに電線をテープ巻きしてワイヤーハーネスを構成した状態を示す平面図である。
【0008】
この先行発明の電線カバー付きコネクタは、図13に示すように、樹脂成形品よりなるコネクタハウジング10と、円筒状のパッキン材21付きの電線Wの端末に接続された複数の端子20と、コネクタハウジング10の後部に装着される樹脂成形品よりなる電線カバー130とから構成されている。
【0009】
コネクタハウジング10の後部には電線引出部11が設けられ、電線引出部11の後面に複数の端子収容室12の入口が開口している。そして、各入口から端子収容室12の内部に、電線Wの端末に取り付けた端子20を挿入できるようになっている。また、そのように端子20を挿入した際に、予め電線Wの外周に装着してあるパッキン材21が、端子収容室12の内周壁と電線Wとの隙間を封止するようになっている。端子20をコネクタハウジング10の各端子収容室12に挿入すると、端子20に接続された電線Wは、電線引出部11から後方へ向けて引き出される。そして、これらの電線Wを保護しつつ所定の方向へ案内して導き出す目的で、コネクタハウジング10の後部に電線カバー130が装着される。
【0010】
この電線カバー130を装着するために、コネクタハウジング10の後部には、電線引出部11を包囲するように、断面楕円形(円形でもよい)のカバー装着部13が設けられている。このカバー装着部13の端部には、カバー装着部13よりも径大の環状凸部14が設けられている。また、コネクタハウジング10の上面には、相手コネクタのハウジングと嵌合した際にロックするロックアーム17と、ロックアーム保護枠16とが設けられている。
【0011】
一方、電線カバー130は、先にコネクタハウジングの後部に装着される本体カバー131と、後から本体カバー131と合体されることで、電線カバー130をコネクタハウジング10に本装着する蓋体カバー133とに二分割されている。本体カバー131と蓋体カバー133は、一端同士が図16に示すように、ヒンジ132により回動自在(つまり開閉自在)に連結されている。本体カバー131と蓋体カバー133には、本体カバー131と蓋体カバー133を合体した時に筒状をなしてコネクタハウジング10のカバー装着部13を挟み込み、それにより電線カバー130をコネクタハウジング10に装着する半筒状の取付部131A、133Aがそれぞれ設けられている。また、本体カバー131には、コネクタハウジング10の後部から引き出された電線Wを直角方向に曲げて誘導すると共に電線Wと共にテープT(図19参照)を巻き付けることのできる電線誘導部134が設けられている。
【0012】
また、本体カバー131のヒンジ132と反対側の端部にはロック突起141が設けられ、蓋体カバー133のヒンジ132と反対側の端部には、ロック突起141の嵌まるロック孔144を有したロックアーム143が設けられている。本体カバー131に蓋体カバー133を合わせると、図18に示すように、ロック突起141にロックアーム143が係合して、本体カバー131と蓋体カバー133とが合体状態に保持され、本体カバー131の取付部131Aと蓋体カバー133の取付部133Aとの間にコネクタハウジング10のカバー装着部13が挟まれ、それにより、電線カバー130がコネクタハウジング10に本装着される。
【0013】
この電線カバー付きコネクタを組み立てる場合は、まず、コネクタハウジング10の各端子収容室12に後端入口から、電線Wの端末に接続した端子20を挿入する。全部の端子20を挿入してコネクタを組み立てたら、コネクタハウジング10の後部から後方へ引き出された電線Wを電線カバー130によって誘導しようとする方向へ曲げて癖付けしながら、図14図17に示すように、本体カバー131の取付部131Aをコネクタハウジング10の後部のカバー装着部13に仮装着する。
【0014】
次にその状態で、図16の矢印Y1で示すように蓋体カバー133を回動させて、図18に示すように蓋体カバー133を本体カバー131に合体させ、ロック突起141とロックアーム143をロックさせる。そして、最後に本体カバー131に一体に設けた電線誘導部134にテープTを巻き付けることにより、電線Wを屈曲させた状態のままテープTで固定し、こうすることにより電線カバー付きコネクタの組み立てが完了する。
【0015】
ところで、実際の組み立てに際しては、コネクタハウジング10に仮装着した本体カバー131に蓋体カバー133を合体させる時に、コネクタハウジング10のカバー装着部13の断面が楕円形になっている関係から、図17の矢印Y2で示すように、蓋体カバー133の回動と共に本体カバー131が回転してしまうおそれがある。そのため、本体カバー131が回転しないように一方の手で本体カバー131を押さえながら、他方の手で蓋体カバー133を本体カバー131に合わせなくてはならず、両方の手で作業する必要があるために作業性が悪いことが判った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、片手で容易に電線カバーをコネクタハウジングに装着することができる組付作業性の良い電線カバー付きコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) コネクタハウジングの後部に、前記コネクタハウジングの端子収容室に挿入された端子に接続されて前記コネクタハウジングの後部から引き出された電線を保護しつつ所定の方向へ案内して導き出す電線カバーが装着された電線カバー付きコネクタにおいて、
前記コネクタハウジングの後部に、前記電線の引出部を包囲するように断面円形又は楕円形のカバー装着部が設けられ、
前記電線カバーは、先に前記コネクタハウジングに仮装着される本体カバーと、後から前記本体カバーと合体されることで前記電線カバーを前記コネクタハウジングに本装着する蓋体カバーと、に二分割され、
前記本体カバーと前記蓋体カバーには、前記本体カバーと前記蓋体カバーを合体した時に筒状をなして前記コネクタハウジングのカバー装着部を挟み込み、それにより前記電線カバーを前記コネクタハウジングに装着する取付部がそれぞれ設けられ、
前記本体カバー側の取付部は、前記取付部の前記カバー装着部に対する装着方向に直交する方向における前記カバー装着部の最大径部を越える位置まで延長され、その延長端に、前記カバー装着部に仮係止することで前記カバー装着部からの前記取付部の脱落を阻止する仮係止部が設けられ、
更に前記本体カバーには、前記カバー装着部に前記仮係止部が仮係止している状態で前記本体カバーに前記カバー装着部の周方向に沿った回転力が作用した際に、前記コネクタハウジングに衝突することで前記本体カバーの回転を阻止する回転規制部が設けられていることを特徴とする電線カバー付きコネクタ。
【0018】
(2) 前記本体カバーの一端と前記蓋体カバーの一端とがヒンジを介して回動自在に連結され、前記本体カバーの他端と前記蓋体カバーの他端とに、前記本体カバーと前記蓋体カバーの合体時に互いにロックするロック部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電線カバー付きコネクタ。
【0019】
上記(1)の構成の電線カバー付きコネクタによれば、本体カバーの取付部をカバー装着部の最大径部を越える位置まで延長し、その延長端にカバー装着部に対する仮係止部を設けているので、本体カバーをコネクタハウジングに仮装着した状態での本体カバーの脱落を阻止することができる。また、本体カバーには、コネクタハウジングに衝突することで本体カバーの回転を規制する回転規制部を設けているので、蓋体カバーを本体カバーに合体させる際に本体カバーに回転力が作用した場合にも、本体カバーを回転しないように保持しておくことができる。従って、片方の手で本体カバーを回転しないように押さえながら、もう片方の手で蓋体カバーを本体カバーに合体させるというような両手作業をする必要がなく、片手作業で容易に蓋体カバーを本体カバーに合体させることができて、電線カバーをコネクタハウジングに本装着することができる。
【0020】
上記(2)の構成の電線カバー付きコネクタによれば、ヒンジを支点にして蓋体カバーを先に仮装着してある本体カバーに向けて回動させ、本体カバーと蓋体カバーのロック部を互いにロックさせることによって、本体カバーと蓋体カバーとを合体させることができ、その状態で電線カバーをコネクタハウジングに本装着することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、本体カバーをコネクタハウジングに仮装着した状態での本体カバーの脱落を阻止することができるし、また、蓋体カバーを本体カバーに合体させる際に本体カバーに回転力が作用した場合にも、本体カバーを回転しないように保持しておくことができる。従って、片手作業で容易に蓋体カバーを本体カバーに合体させることができて、電線カバーをコネクタハウジングに本装着することができ、作業性の向上を図ることができる。
【0022】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態の電線カバー付きコネクタの分解斜視図である。
図2】同電線カバー付きコネクタに使用する電線カバーの前側から見た斜視図である。
図3図2のIII−III矢視断面図である。
図4】同電線カバー付きコネクタの組み立て途中の状態を示す図で、コネクタハウジングの後部に電線カバーを装着しようとしている状態を示す平面図である。
図5】同コネクタハウジングのカバー装着部に電線カバーの一方の分割体である本体カバーを仮装着した状態を示す前側から見た斜視図である。
図6図5と同じ状態を側方から見て示す側面図である。
図7図5と同じ状態を上方から見て示す平面図である。
図8】(a)は図7のVIIIa−VIIIa矢視断面図、(b)は(a)のVIIIb部の拡大図である。
図9図7のIX−IX矢視断面図である。
図10】(a)は前記本体カバーに蓋体カバーを合体させてロックすることにより、電線カバーがコネクタハウジングに本装着された状態を示す図9と同様の断面図、(b)は(a)のXb部の拡大図である。
図11】電線カバーに電線をテープ巻きしてワイヤーハーネスを構成した状態を示す平面図である。
図12】電線カバーに電線をテープ巻きしてワイヤーハーネスを構成した状態を示す斜視図である。
図13】先行発明の電線カバー付きコネクタの分解斜視図である。
図14】同電線カバー付きコネクタの組み立て途中の状態を示す図で、コネクタハウジングの後部に電線カバーを装着しようとしている状態を示す平面図である。
図15】同コネクタハウジングのカバー装着部に電線カバーの一方の分割体である本体カバーを仮装着した状態を示す平面図である。
図16図15のXVI−XVI矢視断面図である。
図17図15および図16に状態から蓋体カバーを回動させた際に、本体カバーが正規位置から回転してしまう不具合を説明するための図16と同様の断面図である。
図18】前記本体カバーに蓋体カバーを合体させてロックすることにより、電線カバーがコネクタハウジングに本装着された状態を示す図16と同様の断面図である。
図19】電線カバーに電線をテープ巻きしてワイヤーハーネスを構成した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態の電線カバー付きコネクタの分解斜視図、図2は同電線カバー付きコネクタに使用する電線カバーの前側から見た斜視図、図3図2のIII−III矢視断面図、図4は同電線カバー付きコネクタの組み立て途中の状態を示す図で、コネクタハウジングの後部に電線カバーを装着しようとしている状態を示す平面図、図5は同コネクタハウジングのカバー装着部に電線カバーの一方の分割体である本体カバーを仮装着した状態を示す前側から見た斜視図、図6図5と同じ状態を側方から見て示す側面図、図7図5と同じ状態を上方から見て示す平面図、図8(a)は図7のVIIIa−VIIIa矢視断面図、(b)は(a)のVIIIb部の拡大図、図9図7のIX−IX矢視断面図、図10(a)は前記本体カバーに蓋体カバーを合体させてロックすることにより、電線カバーがコネクタハウジングに本装着された状態を示す図9と同様の断面図、(b)は(a)のXb部の拡大図、図11は電線カバーに電線をテープ巻きしてワイヤーハーネスを構成した状態を示す平面図、図12は電線カバーに電線をテープ巻きしてワイヤーハーネスを構成した状態を示す斜視図である。
【0025】
この電線カバー付きコネクタは、図1に示すように、樹脂成形品よりなるコネクタハウジング10と、円筒状のパッキン材21付きの電線Wの端末に接続された複数の端子20と、コネクタハウジング10の後部に装着される樹脂成形品よりなる電線カバー30とから構成されている。
【0026】
コネクタハウジング10の後部には電線引出部11が設けられ、電線引出部11の後面に複数の端子収容室12の入口が開口している。そして、各入口から端子収容室12の内部に、電線Wの端末に取り付けた端子20を挿入できるようになっている。また、そのように端子20を挿入した際に、予め電線Wの外周に装着してある円筒状のパッキン材21が、端子収容室12の内周壁と電線Wとの隙間を封止するようになっている。端子20をコネクタハウジング10の各端子収容室12に挿入すると、端子20に接続された電線Wは、電線引出部11から後方へ向けて引き出される。そして、これらの電線Wを保護しつつ所定の方向へ案内して導き出す目的で、コネクタハウジング10の後部に電線カバー30が装着される。
【0027】
この電線カバー30を装着するために、コネクタハウジング10の後部には、電線引出部11を包囲するように、横方向(左右方向)に長軸を向け縦方向(上下方向)に短軸を向けた断面楕円形(断面円形でもよい)の筒状のカバー装着部13が設けられている。このカバー装着部13の端部には、カバー装着部13よりも径大の環状凸部14が設けられている。また、コネクタハウジング10の上面には、相手コネクタのハウジングと嵌合した際にロックするロックアーム17と、ロックアーム保護枠16とが設けられている。
【0028】
一方、電線カバー30は、図2図10に示すように、先にコネクタハウジング10の後部に装着される本体カバー31と、後から本体カバー31と合体されることで電線カバー30をコネクタハウジング10に本装着する蓋体カバー33と、に二分割されている。本体カバー31と蓋体カバー33は、一端同士がヒンジ32により回動自在(つまり開閉自在)に連結されている。
【0029】
本体カバー31と蓋体カバー33には、本体カバー31と蓋体カバー33を合体した時に筒状をなしてコネクタハウジング10のカバー装着部13を挟み込み、それにより電線カバー30をコネクタハウジング10に装着する取付部31A、33Aがそれぞれ設けられており、取付部31A、33Aの一端側にそれぞれ連設した合わせ壁38、35がヒンジ32により連結されている。
【0030】
これらの合わせ壁38、35は、本体カバー31と蓋体カバー33を合体させた際に、図10に示すように互いに面合わせとなる壁であり、これら合わせ壁38、35に設けた係合フック37と係合孔36が、本体カバー31と蓋体カバー33の合体時に互いに係合することにより、ヒンジ32による取付部31A、33Aの一端側の連結を補強するようになっている。
【0031】
この場合、本体カバー31側の取付部31Aと蓋体カバー33側の取付部33Aは、断面楕円形のカバー装着部13を包囲する筒体を半周ずつに等分割したものではなく、本体カバー31側の取付部31Aの方が、蓋体カバー33側の取付部33Aよりも、大きくなる割合で分割されている。
【0032】
即ち、本体カバー31側の取付部31Aは、断面C字状をなし、その両端が、該取付部31Aのカバー装着部13に対する装着方向(左右方向)に直交する方向(上下方向)におけるカバー装着部13の最大径部(つまり、断面楕円形のカバー装着部13の短軸方向の最大寸法部)を越える位置まで延長されており、蓋体カバー33側の取付部33Aは、本体カバー31側の取付部31Aが長く延長されている分だけ短くなっている。
【0033】
そして、本体カバー31側の取付部31Aの上下の延長端には、図8に示すように、カバー装着部13の外周に弾性的に仮係止することで、カバー装着部13からの取付部31Aの脱落を阻止する仮係止部48、49が設けられている。ここで、上側の仮係止部48は、可撓性の係止アームとなっている。
【0034】
また、断面C字状の本体カバー31には、図9に示すように、カバー装着部13に仮係止部48、49が仮係止している状態で、本体カバー31にカバー装着部13の周方向に沿った矢印Y2や矢印Y3のような回転力が作用した際に、コネクタハウジング10の上面のロックアーム保護枠16や下面のリブ18に衝突することで、本体カバー31の回転を阻止する回転規制部46、47が設けられている。これらの回転規制部46、47は、図2に示すように、取付部31Aの側方に設けた壁45に形成されている。
【0035】
また、本体カバー31と蓋体カバー33の取付部31A、33Aの他方の側方には、コネクタハウジング10のカバー装着部13の端部に設けられた環状凸部14の嵌まる径大部31B、33Bが設けられている。
【0036】
また、本体カバー31には、コネクタハウジング10の後部から引き出された電線Wを直角方向に曲げて誘導すると共に電線Wと共にテープT(図11および図12参照)を巻き付けることのできる電線誘導部34が設けられ、更に本体カバー31の外面には、図1に示すように、本体カバー31の剛性を補強するための補強リブ50が、電線誘導部34の基部から径大部31Bや取付部31Aを経て、回転規制部46、47を設けた壁45に至るまでの範囲にわたり設けられている。
【0037】
また、本体カバー31のヒンジ32と反対側の端部にはロック突起41が設けられ、蓋体カバー33のヒンジ32と反対側の端部には、ロック突起41の嵌まるロック孔44を有したロックアーム43が設けられている。本体カバー31に蓋体カバー33を合わせると、図10に示すように、ロック突起41にロックアーム43が係合して、本体カバー31と蓋体カバー33とが合体状態に保持され、本体カバー31の取付部31Aと蓋体カバー33の取付部33Aとの間にコネクタハウジング10のカバー装着部13が挟まれ、それにより、電線カバー30がコネクタハウジング10に本装着される。
【0038】
この電線カバー付きコネクタを組み立てる場合は、まず、コネクタハウジング10の各端子収容室12に後端入口から、電線Wの端末に接続した端子20を挿入する。挿入すると、予め電線Wの端末の外周に装着されたパッキン材21が端子収容室12に圧入され、電線Wとコネクタハウジング10の隙間が封止される。全部の端子20を挿入してコネクタを組み立てたら、コネクタハウジング10の後部から後方へ引き出された電線Wを電線カバー130によって誘導しようとする方向へ曲げて癖付けしながら、図4図8に示すように、本体カバー31の取付部31Aをコネクタハウジング10の後部のカバー装着部13に仮装着する。
【0039】
次にその状態で、図9の矢印Y1で示すように蓋体カバー33を回動させて、図10に示すように蓋体カバー33を本体カバー31に合体させ、ロック突起41とロックアーム43をロックさせる。そして、最後に図11および図12に示すように、本体カバー31に一体に設けた電線誘導部34にテープTを巻き付けることにより、電線Wを屈曲させた状態のままテープTで固定する。こうすることにより、電線カバー付きコネクタの組み立てが完了し、電線Wを電線カバー30により保護しながら所定の方向へ導くことができる。
【0040】
この組立作業の際、本体カバー31の取付部31Aをカバー装着部13の最大径部を越える位置まで延長し、その延長端にカバー装着部13に対する仮係止部48、49を設けているので、本体カバー31をコネクタハウジング10に仮装着した状態での本体カバー31の脱落を阻止することができる。
【0041】
また、本体カバー31には、図9に示すように、コネクタハウジング10のロックアーム保護枠16やリブ18に衝突することで本体カバー31の回転を規制する回転規制部46、47を設けているので、蓋体カバー33を本体カバー31に合体させる際に本体カバー31に矢印Y1や矢印Y2のような回転力が作用した場合にも、本体カバー31を回転しないように保持しておくことができる。
【0042】
従って、片方の手で本体カバー31を回転しないように押さえながら、もう片方の手で蓋体カバー33を本体カバー31に合体させるというような両手作業をする必要がなく、片手作業で容易に蓋体カバー33を本体カバー31に合体させることができて、電線カバー30をコネクタハウジング10に本装着することができる。
【0043】
特に、本実施形態では、ヒンジ32を支点にして蓋体カバー33を先に仮装着してある本体カバー31に向けて回動させ、本体カバー31と蓋体カバー33を互いにロックさせることによって、本体カバー31と蓋体カバー33とを合体させることができ、それにより電線カバー30をコネクタハウジング10に容易に本装着することができ、組立作業性の向上を図ることができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0045】
例えば、上記実施形態では、ヒンジ32により本体カバー31と蓋体カバー33を連結しているが、ヒンジ32を省略して本体カバー31と蓋体カバー33を別体に構成してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、カバー装着部13が断面楕円形になっている場合を示したが、断面円形になっていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 コネクタハウジング
11 電線引出部
13 カバー装着部
30 電線カバー
31 本体カバー
31A 取付部
32 ヒンジ
33 蓋体カバー
33A 取付部
41 ロック突起(ロック部)
43 ロックアーム(ロック部)
46,47 回転規制部
48,49 仮係止部
W 電線
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